JP3146873U - 硯 - Google Patents

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Abstract

【課題】文字を書く際に筆から余分な墨を簡単に落としてスムーズに筆の墨の量を調整できるとともに、1つの硯だけで濃淡の異なる墨を使い分けることができる硯を提供する。
【解決手段】周囲を囲む縁部12の内側に、墨を磨る面を形成した丘14と、墨を溜める墨池16と、丘14から墨池16に向けて下り傾斜して丘14と墨池16とを連設する斜面18と、を備えた硯であって、丘14と斜面18とが接続している丘14の境界辺部24の一部に、該境界辺部24に沿って横長に形成されつつ該丘14から上方に向けて突設されて、丘14と斜面18との一部を堰状に仕切る突設部20と、丘14に凹設されて墨池とは異なる他の墨溜めとなる凹部22であり、突設部の仕切り面20aの丘側に該突設部20に隣接して配置された凹部22と、を1組又は複数組備えたことを特徴とする硯から構成される。
【選択図】図1

Description

本考案は、書道等に用いられる硯に関する。
書道で筆と墨を使用して文字を書く際には、硯の墨池に溜めた墨に筆を浸けて墨を十分に含ませた後に筆から余分な墨を落として墨の量を調節する。従来、筆から余分な墨を落とす際には、硯の墨を磨る部分である小高く形成された丘に筆をこすりつけていた。また、例えば、特許文献1に開示されているように、硯の丘部の手前側に筆ならし用の突起を設けて、該突起で筆をならすものも提案されていた。
特開平11−70791号公報
しかしながら、従来の硯や特許文献1のように突起が丘部の手前側に設けられた硯では、丘上に筆の余分な墨を落とすものであるから、繰返し筆を墨に浸けて文字を書くにつれて丘に墨がたまりやすかった。したがって、丘にたまった墨が筆に付着して筆から余分な墨を落としにくく、筆の墨の量の調節が困難であり、書いた文字が滲んでしまったり、筆から滴り落ちた墨が紙を汚してしまったり等してスムーズに文字を書けない場合があった。また、従来の硯では、例えば、濃度や色の異なる墨を使いたい場合には別の硯を用意する必要があり、場所をとって不便であるとともに、コストがかかる問題があった。
本考案は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、文字を書く際に筆から余分な墨を簡単に落としてスムーズに筆の墨の量を調整できるとともに、1つの硯だけで濃淡の異なる墨を使い分けることができる硯を提供することにある。
上記課題を解決するために本考案は、周囲を囲む縁部12の内側に、墨を磨る面を形成した丘14と、墨を溜める墨池16と、丘14から墨池16に向けて下り傾斜して丘14と墨池16とを連設する斜面18と、を備えた硯であって、丘14と斜面18とが接続している丘14の境界辺部24の一部に、該境界辺部24に沿って横長に形成されつつ該丘14から上方に向けて突設されて、丘14と斜面18との一部を堰状に仕切る突設部2020と、丘14に凹設されて墨池とは異なる他の墨溜めとなる凹部22であり、突設部の仕切り面の丘側(20a)に該突設部20に隣接して配置された凹部22と、を1組又は複数組備えたことを特徴とする硯から構成される。硯の形状は、例えば、平面視略矩形状や丸形状、整形しないで石の自然な形状等その他任意の形状でもよい。また、硯の材料は、例えば、粘板岩等の天然石やプラスチック等の合成樹脂製でもよい。また、突設部20は、硯本体と一体的に設けられてもよく、別に設けたブロック体や棒材等を硯の丘の所定位置に固定することとしてもよい。
また、突設部20は、横長長手方向の一端部側を縁部12に接続して設けられたこととしてもよい。突設部20の他端部は境界辺部24の中間位置まで伸びており、突設部以外の部分は丘14と斜面18とを連通した開放連通部26が形成される。
本考案の硯によれば、周囲を囲む縁部の内側に、墨を磨る面を形成した丘と、墨を溜める墨池と、丘から墨池に向けて下り傾斜して丘と墨池とを連設する斜面と、を備えた硯であって、丘と斜面とが接続している丘の境界辺部の一部に、該境界辺部に沿って横長に形成されつつ該丘から上方に向けて突設されて、丘と斜面との一部を堰状に仕切る突設部と、丘に凹設されて墨池とは異なる他の墨溜めとなる凹部であり、突設部の仕切り面の丘側に該突設部に隣接して配置された凹部と、を1組又は複数組備えたことから、墨池に溜めた墨に筆を浸けた後、筆を突設部の墨池側にこすりつけて筆から余分な墨を簡単に落とすことができる。同時に、突起部により筆から落とした余分な墨は墨池に戻るので、繰返して筆を突設部に当てる場合でも筆から落とした墨が筆に再付着することが一切なく、常に良好に筆から余分な墨を落として墨の量を調節することができる。さらに、例えば墨池に溜めた墨とは濃度や色の異なる墨を丘に設けた凹部に溜めることができ、1つ硯だけで必要に応じて複数の墨を使い分けることができる。さらに、丘で磨った墨を凹部に入れる際には凹部に隣接して突設部が突設しているので、該凹部に溜めようとする墨が斜面側すなわち墨池側に流れ落ちるのを遮って簡便かつ確実に凹部内に集め入れることができ、使い勝手がよい。また、突設部は境界辺部の一部のみ仕切る構造であるので、境界辺部では突設部が設けられていない部分を介して丘と墨池とが連通しており、丘で磨った墨を墨池に流して該墨池に溜めることができる。
また、突設部は、横長長手方向の一端部側を縁部に接続して設けられた構成とすることにより、凹部が突設部と縁部とで略L字状に囲まれた位置に配置されるので墨を凹部へ集めやすい。さらに、突設部が丘の横側に設けられるので、丘ですった墨を墨池に入れる際に比較的邪魔になりにくいとともに、墨池に入れる墨が凹部内に入りにくく墨が混ざりにくい。
以下、添付図面を参照しつつ本考案の硯の実施の形態について説明する。本考案の硯は、書道で文字を書く際に、墨を磨るとともに該磨った墨を溜めておく硯であり、筆の墨の量の調節を確実に行えるものである。図1ないし図4は、本考案の硯の一実施形態を示している。図1、図2、図3に示すように、本実施形態において、硯10は、周囲を囲む縁部12の内側に、上面に墨をする面を形成した丘14と、墨を溜める墨池16と、丘14から墨池16に下り傾斜して丘14と墨池16とを接続した斜面18と、を備えており、さらに、丘14に突設部20と、凹部22と、が設けられている。
図1、図2、図3に示すように、硯10は、例えば、粘板岩等を所定の形状、本実施形態では略偏平直方体状に切り出した後、周囲に略矩形枠状に縁部12を残しつつ内側の略隅丸縦長四角形部分を硯上面側から削って形成されている。該縁部12の内側は、硯の後方側(図1上、右側)から前方側(図1上、左側)に向かって順番に、縁部12上面から数mm程度凹設された丘14、該丘14から下り傾斜する斜面18、丘14よりも深底の墨池16、が連設されている。さらに丘14と斜面18及び斜面18と墨池16の各部位どうしは曲面で滑らかに接続されて形成されている。
図1、図2、図3に示すように、突設部20は、丘14の墨池16側に寄った所定の位置、具体的には丘14と斜面18とが接続している丘の境界辺部24の一部に丘から上方に向けて突設されている。突設部20は、該境界辺部24に沿って、すなわち硯の左右幅方向(図1の上下方向)に向けて、横長に設けられており、前記境界辺部24において丘14と斜面18とを一部分だけ堰状に仕切っている。すなわち、突設部20は、丘14と墨池16との一部仕切り手段であり、一方の仕切り面20aを丘14側に、他方の仕切り面20bを墨池16側に臨ませている。突設部20が設けられていない境界辺部24のその他の部分は開放されて丘と斜面とが連通されている。本実施形態では、具体的には、突設部20は、例えば、石から丘14や墨池16等を削って形成する際に該突設部部分を残して削ることにより硯本体と一体的に設けられており、その上端は縁部12の上面と一致し、丘14からの突設高さが数mm程度に設けられている。突設部20は、平面視で境界辺部24の右側(図1上、上方側)に配置されており、前後左右の4方を囲む縁部12F、12B、12R、12Lのうち右側の縁部12Rに略T字状に一端部側を接続して、丘14の左右横幅長さの約1/3程度の横長長さTで設けられている。そして、該境界辺部24の突設部以外の約2/3程度部分(突設部20の延長先端側と突設部とは接続していない左側の縁部12Lとの間)を開放連通部26として丘14から斜面18、墨池16へと連通している。図4に示すように、突設部20は筆からの墨落とし手段として機能でき、例えば、墨池16に溜めた墨に筆Brを浸けて十分に含ませた後に、この突設部20の墨池16側に筆Brをこすりつけて余分な墨を簡単に落とすことができる。この際、筆Brから落ちた墨は斜面18に落ちて墨池16に戻るので、繰返し筆を墨に浸けて文字を書く場合でも、筆を突設部20に当てる際に墨が筆に再付着することがなく、常に良好に筆から余分な墨を落として墨の量を簡単に調節して、スムーズに文字を書くことができる。
凹部22は、丘14に凹設されており、墨池16とは異なる他の墨溜め手段である。丘14に凹部22を設けたことにより、例えば、濃淡や色が異なる2種の墨を墨池16と該凹部22にそれぞれ溜めておくことができ、必要に応じて使い分けることができる。図1、図2に示すように、凹部22は、突設部20の仕切り面20aの丘側に該突設部20に隣接して設けられている。本実施形態では、凹部20は、例えば、平面視略円形状に設けられており、凹部の横幅Mは突設部20の横長長さTよりも小さい幅で設けられている。すなわち、凹部20は、丘14において突設部20によって仕切られる横長さTの範囲内に対応して配置されている。上記のように突設部20が縁部12Rに接続されているので、凹部22は、該突設部20と縁部12RとによるL字隅部内側に囲まれた位置に配置されている。これにより、丘14で墨を磨って凹部22に溜める際に、墨池側に墨が流れ落ちるのを突設部20により堰状に遮って墨池の墨と混ざるのを良好に防止できるとともに、突設部20と縁部12Rにより凹部内に墨を集めやすい構造となっている。
次に本実施形態に係る硯の作用について説明する。例えば、墨池16に墨をためる場合には、丘14の左側を利用して墨をすり、突設部20が設けられていない開放連通部を介して墨池16へ磨った墨を入れる。突設部20が丘の横側に寄った位置に形成されているので、該突設部が邪魔になりにくく円滑に墨を溜めることができる。一方、凹部22に墨をためる場合には、例えば、丘14の右側を利用して墨を磨り、該磨った墨を凹部22内に溜めていく。この際、凹部22に隣接して突設部20が突設され丘14と斜面18とを仕切っているので、該凹部22へ入れるために磨った墨が墨池に流れるのを堰状に遮って、確実に凹部22にためることができると同時に、墨池16内に異なる墨が混ざりにくい。このようにして例えば濃淡が異なる墨を墨池16と丘14の凹部22とにそれぞれ分けて溜めることができる。そして、筆Brで文字を書く場合には、図4に示すように、墨池16に溜めた墨に筆Brを浸けて該筆に墨を十分に含ませた後、筆を突設部20の墨池側(20b)にこすりつけて筆から余分な墨を簡単に落とすことができる。この際、筆から落とした墨は斜面18に落ちて墨池16に戻るので、繰返して突設部に筆を当てる場合でも筆から落とした墨が筆に再付着することがなく、常時良好に筆から余分な墨を落として筆の墨の量を調節することができ、スムーズに文字を書くことができる。なお、例えば、凹部22には、例えば朱墨等の色の異なる墨を溜めることとしてもよく、この場合にも異なる色の墨が混ざりにくく使い勝手がよい。また、墨池16を大筆又は中筆用、凹部22を小筆用として使い分けることもできる。
なお、上記実施形態の硯では、突設部20の位置が右側寄りに配置されていたがこれに限らず、突設部20が設けられる位置は丘14と斜面18との境界辺部24の一部を仕切る態様であれば任意の位置でもよい。例えば、図5に示すように、境界辺部24の左右中央位置に突設部20を設けてもよく、該突設部の位置にあわせて凹部22の位置も設けられる。この際、丘14と斜面18との境界辺部24では、中央に突設部20が配置されるのでその両側に2つの開放連通部26位置し、丘14と斜面18とが連通されている。また、図6に示すように、硯10は、突設部20とそれに隣接する凹部22とを2組、あるいは複数組設けることとしてもよい。図6では、左右2つの突設部20の間に、すなわち丘14と斜面18との境界辺部24の左右中央位置に開放連通部26位置し、丘と斜面とが連通されている。また、硯10は、丘14に突設部に隣接して設けた凹部22とは異なる他の凹部を1個又は複数個設けても良い。
以上説明した本考案の硯は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、実用新案登録請求の範囲に記載した本考案の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
本考案の硯は書道で用いられる。
本考案の一実施形態に係る硯の斜視図である。 図1の硯の平面図である。 図2のA−A線矢視図である。 図1の硯の作用説明図である。 他の実施形態の硯の斜視図である。 他の実施形態の硯の斜視図である。
符号の説明
10 硯
12 縁部
14 墨池
16 丘
18 斜面
20 突設部
22 凹部

Claims (2)

  1. 周囲を囲む縁部の内側に、墨を磨る面を形成した丘と、墨を溜める墨池と、丘から墨池に向けて下り傾斜して丘と墨池とを連設する斜面と、を備えた硯であって、
    丘と斜面とが接続している丘の境界辺部の一部に、該境界辺部に沿って横長に形成されつつ該丘から上方に向けて突設されて、丘と斜面との一部を堰状に仕切る突設部と、
    丘に凹設されて墨池とは異なる他の墨溜めとなる凹部であり、突設部の仕切り面の丘側に該突設部に隣接して配置された凹部と、を1組又は複数組備えたことを特徴とする硯。
  2. 突設部は、横長長手方向の一端部側を縁部に接続して設けられた請求項1記載の硯。
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KR102197633B1 (ko) * 2020-06-24 2020-12-31 김길수 한국화 전용벼루

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