JP3145526B2 - 知識獲得装置およびそれを用いた診断型エキスパートシステム - Google Patents

知識獲得装置およびそれを用いた診断型エキスパートシステム

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JP3145526B2
JP3145526B2 JP02333593A JP2333593A JP3145526B2 JP 3145526 B2 JP3145526 B2 JP 3145526B2 JP 02333593 A JP02333593 A JP 02333593A JP 2333593 A JP2333593 A JP 2333593A JP 3145526 B2 JP3145526 B2 JP 3145526B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、専門家等のもつ知識を
獲得する知識獲得装置およびそれを用いた診断型エキス
パ−トシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】専門家のもつ故障に関する知識と故障診
断の対象に関する知識とに基づいて対象の診断などを行
なう診断型エキスパートシステムが一般に知られてい
る。ここで、故障診断の対象に関する知識とは、故障診
断がなされる対象に関する知識であって、故障には関係
しない客観的な知識を意味しており、一般にユーザによ
っても入力可能な知識である。これに対し、専門家のも
つ故障に関する知識とは、故障の原因と結果の因果関係
の知識であって、このような因果関係については、一般
に専門家が知識としてもっている。この種のエキスパー
トシステムを構築する際には、従来では、エキスパート
システムを構築する知識工学者が専門家にインタビュー
を行ない、専門家のもつ知識(因果関係)を獲得して知
識工学者が知識を整理したり、あるいは、エキスパート
システムを構築する知識工学者が専門家の下で、専門家
と共に対象を開発して知識工学者が専門家となり知識
(因果関係)を獲得したり、あるいは、専門家のもつ知
識(因果関係)を専門家自身が直接入力編集したりする
などによって、知識を獲得するようになっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、知識工
学者が専門家から知識を獲得するまでには多大な時間を
要し、また専門家に直接因果関係を入力させ編集させる
には専門家に対して多大な負担をかけるという問題があ
った。
【0004】特に、専門家のもつ知識,すなわち因果関
係を入力する方法としてif-then形式のルールが一般に
良く知られているが、if-then形式のルールで因果関係
を専門家により入力させようとする場合、専門家はif-t
hen形式に関する知識をさらに必要とし、さらには、if-
then形式のルールの入力を文字によって行なう必要があ
ったので、因果関係の入力,編集は専門家にとって極め
て困難なものとなっていた。
【0005】本発明は、専門家や知識工学者が知識を作
成しこれを入力する際の煩雑さ,手間を著しく軽減し、
知識を容易に獲得することの可能な知識獲得装置および
それを用いた診断型エキスパ−トシステムを提供するこ
とを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の知識獲得装置は、知識の入力,編集
などを行なう知識編集手段と、知識編集手段において入
力,編集された知識が格納される知識格納手段と、診断
の対象となる知識に因果関係生成知識を適用して因果関
係を生成する因果関係生成手段と、既存の具体的な因果
関係から因果関係生成知識を獲得する因果関係生成知識
獲得手段とを備えていることを特徴としている。
【0007】また、請求項2記載の知識獲得装置は、上
記因果関係生成知識が、診断対象に関する客観的な記述
から診断対象の因果関係を生成するための知識であっ
て、診断対象に関する客観的な記述を条件部にもち、診
断対象の因果関係を結論部にもつif-then形式のルール
であることを特徴としている。
【0008】また、請求項3記載の知識獲得装置は、因
果関係生成知識獲得手段が、診断対象の具体的な因果関
係が指示されたときに、該因果関係の原因および結果の
中の構造に関する条件,制約を取り出して提示し、提示
した条件,制約のうちで不要な部分を削除させること
で、具体的な因果関係を一般化した因果関係生成知識を
獲得するようになっていることを特徴としている。
【0009】また、請求項4記載の知識獲得装置は、因
果関係生成知識獲得手段が、指示された具体的な因果関
係を因果関係生成知識の結論部にもたせ、提示した条
件,制約のうちで不要な部分を削除した結果の条件,制
約を因果関係生成知識の条件部または制約として、一般
化された因果関係生成知識を獲得するようになっている
ことを特徴としている。
【0010】また、請求項5記載の知識獲得装置は、因
果関係生成知識獲得手段によって獲得された因果関係生
成知識を、診断対象マシンのIS A階層を用いてレベル分
けして、知識格納手段に格納するようになっていること
を特徴としている。
【0011】また、請求項6記載の知識獲得装置は、診
断対象マシンの階層を、対象マシンの対象階層における
分類に基づく機能IS A階層と、対象マシンおよび構成部
品の商品分類の階層である対象IS A階層と、対象マシン
および構成部品の他のタイプの分類階層であるタイプIS
A階層との3種類に分類し、因果関係生成知識を3種類
のIS A階層のうちの対象IS A階層を用いてレベル分けし
て、知識格納手段に格納するようになっていることを特
徴としている。
【0012】また、請求項7記載の知識獲得装置は、因
果関係生成知識を前記知識格納手段に格納するときのレ
ベルを対象階層のどの対象マシンレベルにするかを、因
果関係生成知識の条件部である対象階層における診断対
象マシンの構成に基づいて判別する判別手段がさらに設
けられていることを特徴としている。
【0013】また、請求項8記載の知識獲得装置は、因
果関係が、専門家により直接入力されたものであるか、
または、前記因果関係生成手段によって生成されたもの
であるか、または、その他の方法により生成されたもの
であるかの出所の情報を因果関係に対して付加するよう
になっていることを特徴としている。
【0014】また、請求項9記載の知識獲得装置は、因
果関係生成知識に変更が生じたときに、因果関係に付加
されている前記出所の情報を調べ、因果関係生成手段に
よって生成された因果関係である場合には、必要に応
じ、生成された因果関係生成知識に対しての変更を知識
入力者に対して促すようになっていることを特徴として
いる。
【0015】また、請求項10記載の診断型エキスパ−
トシステムは、請求項1乃至請求項10のいずれか一項
に記載の知識獲得装置を用い、該知識獲得装置の知識格
納手段に格納されている知識に基づき推論を行なうよう
になっていることを特徴としている。
【0016】
【作用】請求項1記載の発明では、診断の対象となる知
識に因果関係生成知識を適用して因果関係を自動生成す
る。さらに、既存の具体的な因果関係から因果関係生成
知識を獲得する。
【0017】また、請求項2記載の発明では、因果関係
生成知識が、診断対象に関する客観的な記述を条件部に
もち、診断対象の因果関係を結論部にもつif-then形式
のループとなっているが、条件部が対象モデル記述に対
応していることによって、if-then形式の特別な知識を
もっていなくても、専門家等にとって理解容易な因果関
係生成知識を獲得することができる。
【0018】また、請求項3,4記載の発明では、専門
家等が診断対象の具体的な因果関係を指示すると、該因
果関係の原因および結果の中の構造に関する条件,制約
を取り出して提示する。専門家等は、提示された条件,
制約のうちで不要な部分を削除することで、具体的な因
果関係を一般化した因果関係生成知識を獲得できる。こ
のように、専門家等は因果関係生成知識を直接入力せず
とも良く、単に、具体的な因果関係の指示と、提示され
た条件,制約のうち、不要な部分を削除するだけの極め
て簡単な判断,操作で因果関係生成知識を獲得すること
ができる。
【0019】また、請求項5,請求項6記載の発明で
は、因果関係生成知識獲得手段によって獲得された因果
関係生成知識を、診断対象マシンのIS A階層を用いてレ
ベル分けして、知識格納手段に格納するようになってい
る。これにより、因果関係生成知識の適用範囲を明確に
することができる。
【0020】また、請求項7記載の発明では、因果関係
生成知識を前記知識格納手段に格納するときのレベルを
対象IS A階層のどの対象マシンレベルにするかを、因果
関係生成知識の条件部である対象IS A階層における診断
対象マシンの構成に基づいて判別する判別手段がさらに
設けられている。これにより、知識入力者がどのレベル
に格納するかを判定する必要をなくし、因果関係生成知
識を最適な位置に格納することができる。
【0021】また、請求項8記載の発明では、因果関係
が、専門家により直接入力されたものであるか、また
は、前記因果関係生成手段によって生成されたものであ
るか、または、その他の方法により生成されたものであ
るかの出所の情報を因果関係に対して付加するようにな
っており、請求項9記載の発明では、因果関係生成知識
に変更が生じたときに、因果関係に付加されている出所
の情報を調べ、因果関係生成手段によって生成された因
果関係である場合には、必要に応じ、生成された因果関
係生成知識に対しての変更を知識入力者に対して促すよ
うになっている。これにより、因果関係をより最新の状
態に、また正確な状態に保つことができる。
【0022】また、請求項10記載の診断型エキスパー
トシステムでは、請求項1乃至請求項9記載のいずれか
一項に記載の知識獲得装置を用いており、知識格納手段
に格納されている知識を基に推論を行なうことができ
る。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明に係る知識獲得装置およびそれを用
いた診断型エキスパートシステムの一実施例のブロック
図である。なお、この実施例においては、便宜上、診断
型エキスパートシステム5は、故障診断エキスパートシ
ステムであるとし、知識獲得装置を故障診断エキスパー
トシステムに利用するものとして説明する。図1を参照
すると、この知識獲得装置は、知識の入力,編集,表示
を行なう知識編集部1と、入力,編集等のなされた知識
が格納される知識格納部2と、故障の原因,結果の因果
関係を生成する因果関係生成部3と、既存の具体的な因
果関係から因果関係生成知識を獲得する因果関係生成知
識獲得部4とを有している。
【0024】知識編集部1には、故障診断の対象に関す
る知識の入力,編集,表示を行なうための対象モデルエ
ディタ11と、因果関係生成知識の入力,編集,表示を
行なうための因果関係生成知識エディタ12と、原因,
結果の因果関係の入力,編集,表示を行なうための因果
関係エディタ13とが設けられている。
【0025】また、知識格納部2には、対象モデルエデ
ィタ11で入力,編集のなされた故障診断の対象に関す
る知識,すなわち対象モデル14が格納され、また、因
果関係生成知識エディタ12で入力,編集のなされた因
果関係生成知識15が格納され、また、因果関係エディ
タ13で入力,編集のなされた因果関係16が格納され
るようになっている。
【0026】また、因果関係生成部3は、対象モデルエ
ディタ11で入力,編集のなされた故障診断の対象に関
する知識14に因果関係生成知識15を適用することに
よって、診断対象の因果関係を自動生成するようになっ
ている。すなわち、因果関係生成部3は、先づ、原因を
生成したい診断対象の構成部品やプロセスを選択し、次
に因果関係生成知識を取りだし、制約が成立するかどう
かをチェックし、成立した場合には、因果関係生成知識
を発火させ、原因候補を生成するようになっている。こ
の場合、因果関係生成部3には、知識格納部2に格納さ
れている故障診断の対象に関する知識14,因果関係生
成知識15が入力するようになっている。あるいは、対
象モデルエディタ11で入力,編集のなされた知識が因
果関係生成部3に直接入力するようになっていても良
い。
【0027】なお、ここで、故障診断の対象に関する知
識とは、前述したように、故障診断がなされる対象に関
する知識,すなわち診断対象モデルであって、故障には
関係しない客観的な知識(対象の構造やプロセスなど)
を意味しており、ユーザによっても入力可能な知識であ
る。具体的には、診断対象モデルに関する知識は、診断
対象がどのようなユニットから構成されており、さらに
そのユニットがどのような部品から構成されているか、
そしてそれらのユニットや部品が他のユニットや部品と
どのような関係(関係の方向も含む)にあるか、またプ
ロセスがどのような子プロセスから構成され、どの構成
部品と関連しているかなどを記述した知識である。
【0028】また、因果関係生成知識とは、原因,結果
の因果関係を専門家が直接入力する手間を省くためのも
のであり、対象に関する客観的な知識(故障に関係しな
い)から因果関係を生成するための知識であって、診断
対象に依存しないように一般化された因果関係を意味し
ている。この場合、因果関係がif-then形式のものであ
れば、因果関係生成知識についても、故障診断の対象に
関する知識を条件部にもち、診断対象の因果関係を結論
部にもったif-then形式のルールで形成されるのが良
い。具体的には、条件部が、診断対象の構成部品間やプ
ロセス間の関係,構成部品やプロセスのもつ属性などの
診断対象モデルと同じ記述であり、また、結論部が、故
障現象または故障診断対象の構造(構成部品やプロセ
ス)とその故障状態と故障状態値との3つの組である故
障事象を原因および結果にそれぞれもつ因果関係である
よう、因果関係生成知識を形成するのが良い。すなわ
ち、因果関係生成知識を獲得する際に、具体的な因果関
係の原因・結果の故障事象中の構造に関する情報(関係
や属性)を因果関係生成知識の条件部または制約とし、
具体的な因果関係の故障事象中の構造名を変数化してそ
の因果関係を結論部にもたせるようにするのが良い。
【0029】これに対し、因果関係エディタ13で取り
扱う因果関係とは、前述したように、専門家のもつ故障
に関する知識である。本実施例では、この因果関係を専
門家が直接入力することもできるが、そのかわりに、因
果関係生成部3において因果関係を自動生成し、因果関
係エディタ13に入力させることをも意図している。こ
のとき、因果関係生成部3において生成された因果関係
の形式が専門家に直接入力させるときの因果関係の形式
(if-then形式)と同じ形式のものであれば、因果関係
エディタ13においては、専門家が入力した因果関係を
編集するのと同等の方法によって、因果関係生成部3で
生成された因果関係を編集可能となっている。さらにこ
の場合、因果関係を専門家が直接入力できる機能を有し
ていなくとも良い。
【0030】また、因果関係生成知識獲得部4は、診断
対象に対する因果関係が既に存在している場合、既存の
具体的な因果関係を一般化することによって、因果関係
知識を獲得するために設けられている。より詳しくは、
因果関係生成知識獲得部4は、診断対象の具体的な因果
関係(例えば、具体的な診断対象マシンの2項間の因果
関係)が専門家等によって指示選択されたときに、指示
選択された具体的な因果関係を一般化することによって
因果関係生成知識を獲得するようになっている。この
際、獲得されるべき因果関係生成知識が上述のように故
障診断の対象に関する知識を条件部にもち、診断対象の
故障の原因と結果の因果関係を結論部にもったif-then
型式のルールである場合、指示された具体的な因果関係
の原因および結果の故障事象から構造に関する条件,制
約を取出して提示し、提示した条件,制約のうちで不要
な部分を削除させ、削除の結果残った条件,制約を因果
関係生成知識の条件部,制約とし、また、指示された具
体的な因果関係を結論部にもたせるよう、因果関係生成
知識を獲得するようになっている。
【0031】また、図1において、診断型エキスパート
システム5(推論部),いまの例では故障診断エキスパ
ートシステムは、知識格納部2に格納されている知識を
用いて推論を行なうようになっている。
【0032】図2(a),(b)はファクシミリマネー
ジメントシステム(FMS)を診断対象モデルとした場
合の構造が示されており、この例では、診断対象は、構
成部品(図2(a))と構成プロセス(図2(b))と
から構成されている。すなわち、図2(a)の例では、
FMSの構成部品の一部として、PSU(パワーサプラ
イユニット)と、HDD(ハードディスクドライブ)
と、FDD(フロッピィディスクドライブ)と、FHD
C(フロッピィハードディスクコントローラ)と、CP
U(中央演算処理装置)とが示され、FMSと各構成部
品との関係は、PART−OF関係で階層的に表現され
ている。また、図2(b)の例では、FMSの構成プロ
セスの一部として、ホスト処理プロセス,インストール
作業、ファイル処理プロセス等が示され、これらの関係
も、PART−OF関係で階層的に表現されている。
【0033】また、図3は診断対象マシン(FMS)の
構造に関する知識を示しており、ここでは構成部品間の
関係が示されている。すなわち、図3の例では、構成部
品間の関係として、「PSUからCPUへ電源が流れる
伝播関係がある。」,「PSUからFHDCへ電源が流
れる伝播関係がある。」,「PSUからHDDへ電源が
流れる伝播関係がある。」,「PSUからFDDへ電源
が流れる伝播関係がある。」,「FDDからFHDCへ
データ(プログラム、信号など)が流れる伝播関係があ
る。」,「HDDからFHDCへデータ(プログラム、
信号など)が流れる伝播関係がある。」,「FHDCか
らCPUへデータ(プログラム、信号など)が流れる伝
播関係がある。」が示されている。
【0034】また、図4(a),(b),(c)は入力
された診断対象モデルの構成部品および構成プロセスに
関する情報の一例を示す図である。図4(a),
(b),(c)の例では、オブジェクトがそれぞれPS
U,HDD,ホスト処理プロセスの場合が示されてお
り、各々、構成のもつ属性と属性値および関係が記述さ
れている。
【0035】また、図5は図4の因果関係生成知識エデ
ィタ12によって入力,編集のなされた因果関係生成知
識の一例を示す図であり、因果関係生成知識は、条件部
(IF部),結論部(THEN部),制約を有してい
る。ここで、条件部には、診断対象モデルについての記
述が用いられ、図5(a)の因果関係生成知識は、条件
部(IF部),結論部(THEN部),制約の全てに値
をもっている。これに対し、図5(b)の因果関係生成
知識は、条件部(IF部)がない知識の例を示してい
る。すなわち、図5(a)の例では、条件部(IF部)
は、「あるXとあるYとの間に伝播関係が存在する」と
いうことを示し、結論部(THEN部)は、「あるXに
動作異常が発生すると結果としてあるYにも動作異常が
発生する。」ということを示し、制約は、条件部(IF
部)や結論部(THEN部)に出てくる変数Xがデバイ
スであり、変数Yもデバイスでなければならないことを
示している。また、図5(b)の例では、条件部が無
く、あるXがデバイスでありX自身が不良ならば、結果
として動作異常が発生することを示している。
【0036】また、図6は因果関係エディタ13により
編集された因果関係連鎖木の一例を示す図であり、この
例では、診断対象マシンをFMSとしたときの因果関係
連鎖木の一部が示されている。
【0037】次に、このような構成の知識獲得装置の動
作について説明する。先づ、専門家は知識編集部1の対
象モデルエディタ11を通して診断対象モデルに関する
客観的な知識(対象の構造やプロセスなど)を入力す
る。すなわち、診断対象がどのようなユニットから構成
されており、さらにそのユニットがどのような部品から
構成されているか、そしてそれらのユニットや部品が他
のユニットや部品とどのような関係(関係の方向も含
む)にあるか、またプロセスがどのような子プロセスか
ら構成され、どの構成部品と関連しているかなどを記述
した知識を入力する。さらに、図3に示したような構成
部品間の関係や図4に示したような構成部品に関する情
報およびプロセスに関する情報を入力する。これらの一
連の作業によって、診断対象マシンの客観的な知識を入
力する。また、診断対象モデルに関する知識とともに、
診断対象モデルの客観的な知識から因果関係を生成する
のに用いられる因果関係生成知識も知識編集部1の因果
関係生成知識エディタ12を通して入力,編集すること
ができる。
【0038】このようにして、故障診断の対象に関する
知識,すなわち診断対象モデルに関する客観的な知識が
対象モデルエディタ11を用いて、入力,編集され、ま
た、因果関係生成知識が因果関係生成知識エディタ12
を用いて入力,編集されると、因果関係生成部3では、
専門家が入力した診断対象モデルに関する知識に因果関
係生成知識を適用することによって診断対象の因果関係
を生成する。すなわち、先づ、原因を生成したい診断対
象の構成部品またはプロセスを選択し、次に因果関係生
成知識を取りだし、制約が成立するかどうかをチェック
する。成立した場合には因果関係生成知識を発火させ、
原因候補を生成する。このようにして図6に示したよう
な原因結果の因果関係の連鎖を生成することができ、こ
れを知識編集部1により専門家に対して表示する。専門
家は知識編集部1によって表示された因果関係の連鎖を
削除したり、追加したりして修正することによって正確
な知識ベースを知識格納部2に作成することができる。
【0039】これにより、専門家や知識工学者は、因果
関係自体を自ら作成しこれを入力する必要がなくなり、
専門家等に対する負担を軽減することができる。ところ
で、上述の処理では、因果関係生成知識そのものを知識
編集部1を介し専門家により入力させて獲得するように
している。但し、このときにも、因果関係生成知識の条
件部は、診断対象モデルの記述を反映しているので、診
断対象モデル(構成部品間やプロセス間の関係、構成部
品やプロセスの持つ属性など)の入力手段がネットワー
ク表現による場合、因果関係生成知識の条件部を、診断
対象モデルのネットワークによる入力と同じ手段を用い
て入力することができる。これによって、専門家はif-t
hen形式の特別な知識を持っていなくても因果関係生成
知識の条件部を容易に入力することができる。
【0040】また、因果関係生成知識の結論部は、診断
対象の故障の原因と結果の関係である因果関係であっ
て、原因と結果は故障現象または故障診断対象の構成部
品やプロセスとその故障状態との組で表現される故障事
象であり、さらに原因と結果の間は関係の一種である因
果関係で結ばれているので、条件部と同様にネットワー
クで表現可能である。従って、条件部と同様に結論部も
ネットワークによる入力手段を用いることができ、専門
家は、if-then形式の特別な知識を持っていなくても因
果関係生成知識を容易に入力することができる。
【0041】このように因果関係生成知識そのものの入
力は、因果関係の入力に比べれば容易に行なうことがで
きるが、その場合でも、専門家等は新たに知識を考える
必要がある。従って、因果関係生成知識を入力する際
に、新たに知識を考える必要をなくし、一層容易に因果
関係生成知識を入力することができるのが望ましい。本
実施例においては、図6に示したような診断対象に対す
る具体的な因果関係が既に存在している場合、専門家等
が具体的な因果関係を指定すると、因果関係生成知識獲
得部4は、その具体的な因果関係の原因および結果の故
障事象(構造と状態と状態値との3つの組からなってい
る)中の構造に関する条件,制約を専門家等に提示す
る。専門家等が提示された条件,制約のうち、不要な部
分を削除すると、削除の結果、残された条件,制約を因
果関係生成知識の条件部,制約として獲得することがで
きる。また、専門家等によって指定された具体的な因果
関係を因果関係生成知識の結論部として獲得することが
できる。このように、専門家等が因果関係生成知識を入
力しようとする場合、既存の具体的な因果関係を指定す
ると、指定された具体的な因果関係の故障事象内の構造
に関する条件,制約が専門家等に提示されて、これが一
種の入力ガイドラインとなる。従って、専門家等は新た
な知識を必要,操作とせずに、提示された条件,制約の
うち、不要な部分を削除するだけの極めて簡単な判断,
操作で、因果関係生成知識を入力することができる。
【0042】次に、診断対象をファクシミリマネージメ
ントシステム(FMS)としたときのより具体的な動作
について説明する。先づ、専門家は図1の知識編集部1
の対象モデルエディタ11を通して、図2(a),
(b)の診断対象の部品構成やプロセス構成、部品間の
関係、構成部品や構成プロセスの持つ属性および属性値
について診断対象モデルを入力する。この際、専門家は
対象モデルエディタ11を用いて診断対象モデルをネッ
トワーク表現で入力することが可能である。すなわち、
対象モデルエディタ11を用いて診断対象モデルをネッ
トワーク表現で入力するときには、診断対象モデルは、
図3のようにネットワークで構成部品間が関係付けら
れ、また、構成部品は図4のようにオブジェクトと呼ば
れて属性および属性値をもつ。
【0043】また、因果関係生成知識についても、因果
関係生成知識獲得部4を起動しない場合には、診断対象
モデルを入力,編集するのと同様の仕方で、知識編集部
1の因果関係生成知識エディタ12を用いて、ネットワ
ークで表現して入力,編集することができる。
【0044】このようにして、入力,編集のなされた診
断対象モデル,因果関係生成知識は、知識格納部2に格
納される。次いで、因果関係生成部3では、入力,編集
のなされた診断対象モデルに因果関係生成知識を適用し
て因果関係を自動生成することができる。
【0045】図7は因果関係生成部3において因果関係
生成知識を診断対象モデルに対して適用して因果関係を
生成する処理流れを示すフローチャートである。図7を
参照すると、因果関係生成部3は、先づ、ステップS1
において診断対象モデルの原因を追及したい故障事象を
選択する。例えば、図2の診断対象モデルのHDDにつ
いて、「HDD/動作異常」が発生しており、その原因
を調べたいとする。この場合には、因果関係生成知識を
順に取り出し適用して、因果関係を生成させる。具体的
には、先づステップS2において因果関係生成知識を選
択する。例えば、最初、図5(a)の因果関係生成知識
を選択したとすると、ステップS3では、因果関係生成
知識の結論部の結果を取りだし、(&Y 状態 動作異
常)に現在の故障事象「HDD/動作異常」がマッチす
るかどうかをチェックする。この例の場合、マッチング
に成功するので、ステップS4において、変数&YがH
DDに束縛される。次にステップS5においては束縛し
た値が制約を満足するかをチェックする。いまの場合、
制約は「&Yはデバイスである」となっており、HDD
はデバイスであるので制約チェックに成功する。なお、
制約チェックに失敗した場合には、因果関係の生成にも
失敗し、次の因果関係生成知識の適用に移る。
【0046】このようにして、ステップS1からS5ま
での処理で、因果関係生成知識に関するチェックを行な
い、このチェックに成功したときには、ステップS6に
おいて因果関係生成知識を起動し、ステップS7で因果
関係生成知識が条件部を持つかどうかをチェックする。
この結果、条件部が存在する場合には、ステップS8の
処理へ移り、条件部の記述とマッチする状態を診断対象
モデルから検索する。図5(a)の因果関係生成知識は
条件部を持つのでステップS8の処理へ進み、条件部を
診断対象モデルに適用する。ステップS9では、条件部
を診断対象モデルに適用したときにマッチする条件が存
在するか否かを判断し、マッチする条件が存在した場合
には、ステップS10の処理により、条件部の中の変数
を束縛する。これに対し、ステップS9において、マッ
チする条件が存在しなかった場合には、ステップS13
の処理で因果関係生成失敗とする。いまの場合、図2の
診断対象モデルを見ると、HDDと伝播関係にある部品
としてPSUがあるので、ステップS10で変数XにP
SUを束縛する。この場合には、さらに束縛された変数
が制約にマッチするかどうかの最終チェックをステップ
S11において行なう。その結果、束縛がすべて失敗す
れば、ステップS13の処理へ進み、成功した束縛があ
ればステップS12の処理で結論部の変数に束縛をセッ
トし、因果関係を生成させる。図5(a)の因果関係生
成知識では、「変数Xも変数Yもデバイスである」とい
う束縛を満足するので、ステップS12の処理で因果関
係を生成し、「(原因)PSU/動作異常→(結果)H
DD/動作異常」という因果関係が生成される。
【0047】一方、ステップS2において、図5(b)
の因果関係生成知識が選択された場合において、図5
(b)の因果関係生成知識は条件部が存在しないので、
この場合には、ステップS7の処理の結果、条件部がな
いと判断されてステップS13の処理へ移る。すなわ
ち、図5(b)の因果関係生成知識の場合には、条件部
が存在しないので、制約のみで変数の束縛を行ない、そ
の後は図5(a)の因果関係生成知識の場合と同様の方
法にて因果関係の生成を行なう。その結果、生成される
因果関係は、「(原因)HDD/不良→(結果)HDD
/動作異常」となる。
【0048】上記のように、生成させた因果関係は原因
と結果の2項間の関係であるが、生成した原因に対して
さらに因果関係生成知識を適用することにより図6に示
したように、因果関係の連鎖木を生成することができ
る。
【0049】このように、本実施例では、因果関係生成
部3において、因果関係生成知識を診断対象の客観的な
知識(対象モデル)に対して適用し、診断対象の因果関
係,さらには因果関係の連鎖木を生成するようになって
いるので、専門家や知識工学者は、因果関係自体を自ら
作成しこれを入力する必要がなく、知識獲得を容易に
し、専門家等に対する負担を軽減することができる。
【0050】本実施例ではさらに、例えば図6に示した
ような因果関係の連鎖木が既に存在している場合、この
既存の具体的な因果関係から因果関係生成知識を獲得す
ることが可能である。
【0051】例えば、図6の因果連鎖木において、具体
的な2項間の因果関係「(原因)HDD/不良→(結
果)HDD/動作異常」が専門家等によって指示される
と、因果関係生成知識獲得部4は、先づ、上記2項間の
因果関係の故障事象中の構造HDDに関する情報(関係
や属性),すなわち構造HDDに関する条件,制約を客
観的な知識から取り出す。すなわち、故障事象{(原
因)(結果)}は、「構造」,「状態」,「状態値」の
3つの組に必ずなっているので、このうち、構造HDD
に関する条件,制約を客観的な知識から取り出す。いま
の場合、HDDに関する客観的な知識の条件,制約は、
図2(a),(b),図3,図4の知識から図8(a)
のように取り出される。なお、この際、具体的な因果関
係の故障事象中の構造名であるHDDは、変数化されて
一般化され、変数「&X」となる。このように、「(原
因)HDD/不良→(結果)HDD/動作異常」の2項
間の因果関係が専門家等によって指定されると、因果関
係生成知識獲得部4は、図8(a)のような条件,制約
を取り出し、そのリストを専門家等に対して提示する。
このような条件,制約のリストが専門家等に提示される
とき、専門家等は不要な条件や制約をこのリストから削
除することによって(例えば条件を全て削除することに
よって)、図5(b)の因果関係生成知識を容易に獲得
することができる。この場合、一般化された因果関係生
成知識の結論部は、図8(a),図5(b)からわかる
ように、指示された2項間の具体的な因果関係となって
おり、この結論部においても構造名HDDは変数「&
X」に変数化されて表現されている。
【0052】また、図6の因果関係連鎖木において、具
体的な2項間の因果関係「(原因)PSU/動作異常→
(結果)HDD/動作異常」が専門家等によって指示さ
れると、因果関係生成知識獲得部4は、上述したと同様
にして、この2項間の因果関係の故障事象中の構造すな
わちPSU,HDDに関する条件,制約を図2(a),
(b),図3,図4の知識から、図8(b)のように取
り出す。なお、この際、具体的な因果関係の故障事象中
の構造名である「HDD」,「PSU」は、それぞれ変
数化されて、変数「&X」,「&Y」となる。このよう
に、「(原因)PSU/動作異常→(結果)HDD/動
作異常」2項間の因果関係が専門家等によって指定され
ると、因果関係生成知識獲得部4は、図8(b)のよう
な条件,制約を取り出し、そのリストを提示する。専門
家等は、提示されたリストから不要な条件や制約を削除
することによって(例えば、直接関係ある部品&X,&
Y間で発生することを示す「関係;伝播関係&Y&X」
以外の全ての条件を削除することによって)、図5
(a)の因果関係生成知識を容易に得ることができる。
この場合、一般化された因果関係生成知識の結論部は、
図8(b),図5(a)からわかるように、指示された
2項間の具体的な因果関係となっており、この結論部に
おいても、構造名HDD,PSUは、変数「&X」,
「&Y」にそれぞれ変数化されて表現されている。
【0053】このように、専門家等は、新たに知識を必
要とせずに、提示された条件や制約を削除するだけの簡
単な仕方で、すなわち提示された条件や制約を一種の入
力(獲得)ガイダンスとして、一般化された因果関係生
成知識を獲得することができる。また、このようにして
獲得された因果関係生成知識は、診断対象に関する客観
的な記述を条件部にもち、診断対象の因果関係を結論部
にもつif-then形式のループとなっており、条件部が対
象モデル記述に対応しているので、if-then形式の特別
の知識をもっていなくとも、専門家等にとって理解容易
な因果関係生成知識を獲得することができる。
【0054】ところで、獲得された因果関係生成知識に
ついては、これらを全て知識格納部2の1つの領域に格
納することもできる。しかしながら、この場合には、ど
の診断対象マシンにも全ての因果関係生成知識が適用さ
れることになり、診断対象マシンに対し因果関係生成知
識を効率良く適用するには限度がある。
【0055】この問題を解決するため、本実施例では、
さらに、診断対象マシンのIS A階層を用いて、より一般
的な因果関係生成知識をより一般的な上位の診断対象マ
シンの階層,すなわちレベルに格納するようにしてい
る。これにより、因果関係生成知識は、診断対象マシン
に対して最も効率良く適用できるレベル(因果関係生成
知識の最適な適用範囲をもつ位置)に格納され、この診
断対象マシンに対し因果関係生成知識を効率良く適用す
ることができる。すなわち、因果関係生成知識の適用範
囲を診断対象マシンのIS A階層により明確にすることが
できる。
【0056】さらには、獲得された因果関係生成知識を
診断対象マシンのIS A階層に基づいて格納する際に、こ
のときの診断対象マシンのIS A階層を、対象マシンの対
象階層における分類に基づく構成部品階層としての機能
IS A階層と、対象マシンおよび構成部品の商品分類の階
層としての対象IS A階層と、対象マシンおよび構成部品
の他のタイプの分類階層としてのタイプIS A階層との3
種類に分類し、因果関係生成知識を、3種類のIS A階層
のうちの対象IS A階層を用いてレベル分けして、知識格
納手段に格納するようにしている。
【0057】さらに、因果関係生成知識を格納するとき
のレベルを、因果関係生成知識の条件部である対象階層
における診断対象マシンの構成(部品構成、プロセス構
成)に基づいて、対象階層のどの対象マシンレベルに格
納するかを判別するようにしている。
【0058】次に上述のようなレベル分け格納の仕方を
具体例を用いて詳細に説明する。図9は複写機を例とし
たときの部品構成の一部であり、図10乃至図12は具
体的な診断対象マシン(商品)である複写機の部品構成
の一部の例である。なお、図10はFT7000Seriesの1つ
の種類であるFT7020の部品構成であり、図11はFT7000
Seriesの1つの種類であるFT7050の部品構成であり、図
12はFT9000Seriesの1つの種類であるFT9100の部品構
成である。図13乃至図15は対象マシンおよび構成部
品の3種類のIS A階層を示した図であり、図13は対象
マシン、特に複写機についての例であって、対象IS A階
層により対象マシンが分類され、機能IS A階層は存在し
ない。図14は構成ユニットについてのIS A階層の例で
あって、現像ユニットを例としており、独立した商品と
して存在しないため、対象IS A階層は存在せず、対象マ
シン内での機能を示す機能IS A階層によって分類されて
いる。図15は構成部品のIS A階層の例でありCPUを
例としており、商品分類である対象IS A階層および対象
マシン内での構成を示す機能IS A階層が存在する。図1
6,図17は、因果関係と対象IS A階層との関係を示し
た図であり、具体的な因果関係を因果関係生成知識とし
たときの格納レベルを示す図である。
【0059】因果関係生成知識の条件部が診断対象マシ
ンの全てに対しては成立しないことは明白である。すな
わち、因果関係生成知識には適用範囲が存在する。因果
関係生成知識は、対象モデル(部品構成、プロセス構
成)に基づいて作成されるので、この対象モデルの情報
を用いて適用範囲を指定することが可能であることが予
測できる。従って、図13乃至図15に示した対象マシ
ンのIS A階層を用いて因果関係生成知識の適用範囲を自
動的に判断し、格納位置を決定する。
【0060】例えば図16のような因果関係(感光体/
汚れ→定着ローラ/汚れ:対象マシンFT7020)が存在し
ており、このFT7020の具体的な因果関係を因果関係生成
知識とするときには、図13の対象マシンの対象IS A階
層を、FT7020,FT7000S,複写機へと上位に辿りながら、
各レベルで、構成部品(感光体と定着ロ−ラ)が存在して
いるかを調べる。いまの場合、図9の構成から明らかな
ように、その最上位の複写機に部品(感光体と定着ロ−
ラ)が存在するので、獲得された因果関係生成知識は、
対象IS A階層の複写機のレベルに格納される。この因果
関係生成知識は全ての複写機の因果関係を生成するとき
に用いられる。
【0061】一方、図17の因果関係(感光体/汚れ→
スイーパ/汚れ:対象マシンFT9100)の場合には、図1
3の対象マシンの対象IS A階層をFT9000S,複写機へと
上位に辿りながら、構成部品(感光体とスイ−パ)を確認
していくが、最上位レベルである複写機にはスイーパは
存在しない。スイーパが存在するレベルはFT9000Sより
下位のFT9100の診断対象マシンに限られる(図12参
照)。従って、この場合には、獲得された因果関係生成
知識は、対象IS A階層のFT9100のレベルに格納される。
このようにして具体的な因果関係を因果関係生成知識と
するとき、因果関係生成知識の条件部が成立する最上位
の対象IS A階層の対象マシンがその因果関係生成知識の
格納レベルとなる。
【0062】また、通常、因果関係生成部3は、因果関
係を生成する機能のみしか持っていない。この場合に
は、因果関係生成知識に変更が生じた場合や因果関係生
成知識が誤っていた場合などに生成された因果関係に対
し、変更を行なうことができず、上位のレベル(因果関
係生成知識)への知識の変更が具体的な因果関係に反映
されないという問題がある。
【0063】ところで、入力された因果関係は、1)専
門家が直接入力した因果関係、2)因果関係生成部3に
より生成された因果関係、3)その他の方法による因果
関係に分けることができる。これに着目し、本実施例で
は、さらに、因果関係生成部3を用いて因果関係を生成
した際、または知識入力者が因果関係を直接入力した際
などに、因果関係がどの方法により入力されたかの知識
の出所の情報を、入力された因果関係に付加するように
している。また、これに伴い、因果関係生成知識に変更
が生じた時に、診断対象マシンの因果関係を検査し、変
更された因果関係生成知識を用いて生成された因果関係
を見い出し、知識入力者に対して変更を促す変更手段が
設けられている。このように、診断対象マシンの因果関
係に知識の出所の情報を付加することにより、因果関係
生成知識に変更が生じた場合、上記変更手段によって、
生成された知識に対しての変更を知識入力者に促すこと
ができる。例えば、入力された因果関係が因果関係生成
部3により生成されたものである場合には、影響を判断
し、必要な場合には知識入力者に対して因果関係の変更
を促すことができる。
【0064】以上のように、本実施例では、総合的に、
専門家が因果関係を考え知識工学者が専門家にインタビ
ューをする必要がなく、知識工学者が専門家になる必要
もなく、知識獲得を容易にし、専門家に対する負担を軽
減することができる。
【0065】
【発明の効果】以上に説明したように、請求項1記載の
発明では、診断の対象となる知識に因果関係生成知識を
適用して因果関係を自動生成するようになっているの
で、専門家等が因果関係を作成しこれを直接入力する手
間を省くことができ、さらに、既存の具体的な因果関係
から因果関係生成知識を獲得するようになっているの
で、因果関係生成知識の入力をも簡便化することができ
て、知識を容易に獲得することができる。
【0066】また、請求項2記載の発明では、因果関係
生成知識が、診断対象に関する客観的な記述を条件部に
もち、診断対象の因果関係を結論部にもつif-then形式
のルールとなっているが、条件部が対象モデル記述に対
応しているので、if-then形式の特別の知識をもってい
なくとも、専門家等にとって理解容易な因果関係生成知
識を獲得することができる。
【0067】また、請求項3,4記載の発明では、専門
家等が診断対象の具体的な因果関係を指示すると、該具
体的な因果関係の原因および結果の中の構造に関する条
件,制約を取り出して提示し、提示した条件,制約のう
ちで不要な部分を削除させることで、具体的な因果関係
を一般化した因果関係生成知識を獲得するようになって
いるので、専門家等は因果関係生成知識を直接入力せず
とも良く、単に、具体的な因果関係の指示と、提示され
た条件,制約のうち、不要な部分を削除するだけの極め
て簡単な判断,操作で因果関係生成知識を獲得すること
ができる。
【0068】また、請求項5,請求項6記載の発明で
は、因果関係生成知識獲得手段によって獲得された因果
関係生成知識を、診断対象マシンのIS A階層を用いてレ
ベル分けして、知識格納手段に格納するようになってい
るので、因果関係生成知識の適用範囲を明確にすること
ができる。
【0069】また、請求項7記載の発明では、因果関係
生成知識を前記知識格納手段に格納するときのレベルを
対象IS A階層のどの対象マシンレベルにするかを、因果
関係生成知識の条件部である対象IS A階層における診断
対象マシンの構成に基づいて判別する判別手段がさらに
設けられているので、知識入力者がどのレベルに格納す
るかを判定する必要をなくし、因果関係生成知識を最適
な位置(因果関係生成知識の最適な適用範囲を持つ位
置)に格納することができる。
【0070】また、請求項8記載の発明では、因果関係
が、専門家により直接入力されたものであるか、また
は、前記因果関係生成手段によって生成されたものであ
るか、または、その他の方法により生成されたものであ
るかの出所の情報を因果関係に対して付加するようにな
っており、請求項9記載の発明では、因果関係生成知識
に変更が生じたときに、因果関係に付加されている出所
の情報を調べ、因果関係生成手段によって生成された因
果関係である場合には、必要に応じ、生成された因果関
係生成知識に対しての変更を知識入力者に対して促すよ
うになっているので、因果関係をより最新の状態に、ま
た正確な状態に保つことができる。
【0071】また、請求項10記載の診断型エキスパー
トシステムでは、請求項1乃至請求項9のいずれか一項
に記載の知識獲得装置を用いているので、知識ベースの
構築を容易にかつ迅速に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る知識獲得装置およびそれを用いた
診断型エキスパートシステムの一実施例のブロック図で
ある。
【図2】診断対象モデルの構造の一例を示す図である。
【図3】構成部品間の関係の一例を示す図である。
【図4】診断対象モデルの構造部品および構成プロセス
に関する情報の一例を示す図である。
【図5】因果関係生成知識の一例を示す図である。
【図6】因果関係連鎖木の一例を示す図である。
【図7】因果関係生成部における処理流れを示すフロー
チャートである。
【図8】具体的な2項間の因果関係に基づき専門家に提
示されるリストの例を示す図である。
【図9】複写機を例としたときの部品構成の一部を示す
図である。
【図10】複写機の部品構成の一部の例を示す図であ
る。
【図11】複写機の部品構成の一部の例を示す図であ
る。
【図12】複写機の部品構成の一部の例を示す図であ
る。
【図13】対象マシンのIS A階層の例を示す図である。
【図14】構成ユニットのIS A階層の例を示す図であ
る。
【図15】構成部品のIS A階層の例を示す図である。
【図16】具体的な因果関係と対象マシンのIS A階層の
関係を示す図である。
【図17】具体的な因果関係と対象マシンのIS A階層の
関係を示す図である。
【符号の説明】
1 知識編集部 2 知識格納部 3 因果関係生成部 4 因果関係生成知識獲得部 5 診断型エキスパートシステム 11 対象モデルエディタ 12 因果関係生成知識エディタ 14 対象モデル 15 因果関係生成知識 16 因果関係
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−134872(JP,A) 特開 平4−74224(JP,A) 電子情報通信学会技術研究報告、Vo l.91、No.207(AI91−48〜56)、 社団法人電子情報通信学会(1991年)、 pp.21〜31(特許庁CSDB文献番 号:CSNT199900578003) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G06F 9/44 JICSTファイル(JOIS) CSDB(日本国特許庁)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 知識の入力,編集などを行なう知識編集
    手段と、知識編集手段において入力,編集された知識が
    格納される知識格納手段と、診断の対象となる知識に因
    果関係生成知識を適用して因果関係を生成する因果関係
    生成手段と、既存の具体的な因果関係から因果関係生成
    知識を獲得する因果関係生成知識獲得手段とを備えてい
    ることを特徴とする知識獲得装置。
  2. 【請求項2】 前記因果関係生成知識は、診断対象に関
    する客観的な記述から診断対象の因果関係を生成するた
    めの知識であって、診断対象に関する客観的な記述を条
    件部にもち、診断対象の因果関係を結論部にもつif-the
    n形式のルールであることを特徴とする請求項1記載の
    知識獲得装置。
  3. 【請求項3】 前記因果関係生成知識獲得手段は、診断
    対象の具体的な因果関係が指示されたときに、該因果関
    係の原因および結果の中の構造に関する条件,制約を取
    り出して提示し、提示した条件,制約のうちで不要な部
    分を削除させることで、前記具体的な因果関係を一般化
    した因果関係生成知識を獲得するようになっていること
    を特徴とする請求項1または2記載の知識獲得装置。
  4. 【請求項4】 前記因果関係生成知識獲得手段は、指示
    された具体的な因果関係を因果関係生成知識の結論部に
    もたせ、提示した条件,制約のうちで不要な部分を削除
    した結果の条件,制約を因果関係生成知識の条件部また
    は制約として、一般化された因果関係生成知識を獲得す
    るようになっていることを特徴とする請求項3記載の知
    識獲得装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の知識獲得装置において、
    前記因果関係生成知識獲得手段によって獲得された因果
    関係生成知識は、診断対象マシンのIS A階層を用いてレ
    ベル分けされて、前記知識格納手段に格納されるように
    なっていることを特徴とする知識獲得装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の知識獲得装置において、
    診断対象マシンの階層を、対象マシンの対象階層におけ
    る分類に基づく構成部品階層としての機能IS A階層と、
    対象マシンおよび構成部品の商品分類の階層としての対
    象IS A階層と、対象マシンおよび構成部品の他のタイプ
    の分類階層としてのタイプIS A階層との3種類に分類
    し、前記因果関係生成知識は、前記3種類のIS A階層の
    うちの対象IS A階層を用いてレベル分けされて、前記知
    識格納手段に格納されるようになっていることを特徴と
    する知識獲得装置。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の知識獲得装置において、
    因果関係生成知識を前記知識格納手段に格納するときの
    レベルを対象IS A階層のどの対象マシンレベルにするか
    を、因果関係生成知識の条件部である対象IS A階層にお
    ける診断対象マシンの構成に基づいて判別する判別手段
    がさらに設けられていることを特徴とする知識獲得装
    置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の知識獲得装置において、
    因果関係が、専門家により直接入力されたものである
    か、または、前記因果関係生成手段によって生成された
    ものであるか、または、その他の方法により生成された
    ものであるかの出所の情報を因果関係に対して付加する
    ようになっていることを特徴とする知識獲得装置。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の知識獲得装置において、
    因果関係生成知識に変更が生じたときに、因果関係に付
    加されている前記出所の情報を調べ、因果関係生成手段
    によって生成された因果関係である場合には、必要に応
    じ、生成された因果関係生成知識に対しての変更を知識
    入力者に対して促すようになっていることを特徴とする
    知識獲得装置。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至請求項9記載のいずれか
    一項に記載の知識獲得装置を用い、該知識獲得装置の知
    識格納手段に格納されている知識に基づき推論を行なう
    ようになっていることを特徴とする診断型エキスパ−ト
    システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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電子情報通信学会技術研究報告、Vol.91、No.207(AI91−48〜56)、社団法人電子情報通信学会(1991年)、pp.21〜31(特許庁CSDB文献番号:CSNT199900578003)

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