JP3145227B2 - 可逆式圧延機による自動圧延方法 - Google Patents

可逆式圧延機による自動圧延方法

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JP3145227B2 JP08423493A JP8423493A JP3145227B2 JP 3145227 B2 JP3145227 B2 JP 3145227B2 JP 08423493 A JP08423493 A JP 08423493A JP 8423493 A JP8423493 A JP 8423493A JP 3145227 B2 JP3145227 B2 JP 3145227B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、可逆式圧延機を用いる
自動圧延に関し、特に、1回の工程として圧延される1
つの圧延材から、仕上厚などが互いに異なる複数種類の
成品を製造する場合の圧延動作の最適化に関する。
【0002】
【従来の技術】可逆式圧延機においては、圧延材を搬送
する方向を正方向と逆方向のいずれにも設定することが
できるので、圧延材を往復させながら複数パスの圧延を
実施することにより、1台の可逆式圧延機で粗圧延から
仕上圧延まで実施することができる。
【0003】ところで最近では、1つの圧延材原板か
ら、仕上厚など仕様が異なる複数種類の成品を1回の工
程で圧延する場合が多い。例えば、1つの原板コイルを
3領域に区分し、各々の領域を互いに異なる厚みに圧延
することがある。また、互いに厚みの異なる複数のコイ
ルを溶接したものを原板コイルとして圧延する場合もあ
る。
【0004】このような圧延を実施するためには、圧延
材の領域の区切り位置では、圧延材を搬送しながら、あ
るいは圧延材の搬送を一時的に中止して、可逆式圧延機
のロ−ル間間隙や圧下量を変更する必要がある。このよ
うな圧延材を搬送しながら可逆式圧延機の圧下を変更す
る「走間板厚変更」については、例えば、特開昭63−
144815号公報の技術が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、1つのコイ
ルあるいは厚みの異なる複数のコイルで構成される1本
の圧延材原板から、仕上厚等が異なる複数の成品を製造
する場合、高効率で圧延を実施しようとすれば、圧延パ
ス数は圧延材の領域毎に異なったものになる場合が多
い。
【0006】図2は、原板の各領域の厚みと、各領域を
予め定めた仕上厚にするために必要な各パスの目標厚を
一例として示している。図2を参照すると、この例で
は、圧延材の左側の領域は7パスで1.000mmから仕上
厚0.300mmまで圧延され、中央の領域は5パスで1.000
mmから仕上厚0.400mmまで圧延され、右側の領域は
6パスで1.050mmから仕上厚0.350mmまで圧延され
る。
【0007】このように領域毎に圧延必要パス数が異な
る状況では、圧延上の様々な制約により、実際の圧延順
序の決定は非常に難しい。このような場合、従来は作業
オペレ−タが試行錯誤しながら、圧延順序を決定してい
たが、常に最も効率のよい圧延順序が選択されるわけで
はなかった。
【0008】圧延上の制約には、例えば次のようなもの
がある。
【0009】通常、可逆式圧延機に使用されるワ−クロ
−ル(WR)は、1組だけではなく、複数パス圧延の途
中でワ−クロ−ルを別の種類のものに組替える必要があ
る。即ち、ワ−クロ−ルの材質及び表面粗度が、その時
の圧延パスに最適なものを使用することによって、粗圧
延から仕上げ圧延までの全てのパスを1台の圧延機で圧
延することができる。例えば現在使用している設備にお
いては、1パス目,2〜n−3パス目,n−2パス目,
n−1パス目,n(最終)パス目で、それぞれワ−クロ
−ルの組替えが操業上可能になっている。また通常、最
終パスではワ−クロ−ルの組替えが必要になる。従っ
て、圧延材原板の領域毎に圧延パス数が図2のように異
なる場合、そのままの順番で圧延を実施すると、圧延材
原板の左側の領域の最終パス(7パス目),中央の領域
の最終パス(5パス目),及び右側の領域の最終パス
(6パス目)で、それぞれワ−クロ−ルの組替えが必要
になるので、組替えの回数が多くなり、作業の効率が低
下する。
【0010】また、ワ−クロ−ルの組替えが不要であっ
ても、ロ−ル間間隙の変更のために、圧延を一時的に停
止せざるを得ない場合がある。圧延パスの順番が不適切
であると、圧延停止回数が増えるので、作業効率が悪化
する。
【0011】また、一般に圧延材原板を繰り出して可逆
式圧延機に供給する繰り出し側リ−ルと、可逆式圧延機
から送り出される圧延後の成品を巻き取る巻取り側リ−
ルとは、圧延機に対して互いに反対の位置に配置される
ので、圧延材が圧延機を通る全パス数は、通常奇数回に
なる。
【0012】更に、例えばステンレスを圧延する時に
は、圧延材に中間紙と呼ばれる紙を重ねて圧延材と中間
紙とをリ−ルで一緒に巻取る場合があるが、中間紙を重
ねるパスが圧延材の領域毎に異なるパスに割り当ててあ
ると、中間紙を重ねる作業を複数のパスで繰り返さなけ
ればならず、作業の効率が低下する。
【0013】そこで本発明は、複数圧延パスの順番を圧
延の効率を改善するように決定するとともに、その決定
の作業を自動化可能にすることを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、1つの圧延材が複数の領域に区分さ
れ、区分された領域のそれぞれについて、少なくともそ
れの仕上厚が割り当てられ、区分された領域のそれぞれ
について、その仕上厚までの圧延に必要な圧延パス数と
各圧延パスの目標厚を含むスケジュ−ルが予め決定され
る、可逆式圧延機による自動圧延方法において:パス数
が偶数回の領域もしくはパス数が奇数回の領域に対する
スケジュ−ル中に、圧延が省略される空パスを新たに挿
入して、全ての領域のパス数を奇数回もしくは偶数回に
統一し;各領域のスケジュ−ルを初パスから順に並ぶ位
置にそれぞれ割り当てし;全パス数が奇数回で、先に仕
上がる領域の有効圧延パス数が多い時、もしくは、全パ
ス数が偶数回で、先に仕上がる領域の有効圧延パス数が
少ない時には、有効圧延パス数が少ない領域のスケジュ
−ルを修正し、少なくとも各領域の最終パスを含む一部
の後方パスを、パスの後方から順に揃えて再割り当て
し;全パス数が奇数回で、先に仕上がる領域の有効圧延
パス数が少ない時、もしくは、全パス数が偶数回で、先
に仕上がる領域の有効圧延パス数が多い時には、有効圧
延パス数が少ない領域のスケジュ−ルを修正し、少なく
とも各領域の最終パスとその前段パスを含む一部の後方
パスを、パスの後方から順に揃えて再割り当てする。
【0015】また本発明の好ましい態様では、有効圧延
パス数が少ない領域のスケジュ−ルを修正した時には、
その修正によって無効になった当該領域のパス位置に対
応して、その領域に隣接する他の領域のスケジュ−ルに
無効パスを挿入しそのスケジュ−ルを修正する。
【0016】また更に好ましい態様では、複数の各領域
の圧延パス数が互いに異なる場合、前記処理の前処理と
して;圧延パス数が同一の複数領域が存在するなら、ス
ケジュ−ルを修正し、それらの領域を互いに隣接する位
置に再割当てし;予定される空パスの挿入後の全パス数
が同一の複数領域が存在するなら、スケジュ−ルを修正
し、それらの領域を互いに隣接する位置に再割当てし;
全領域のスケジュ−ル中で、圧延パス数が最大の領域と
最小の領域とが隣接する時には、領域の並びを変更し;
全領域のスケジュ−ル中で、圧延パス数が最小の領域
は、領域の並びの先頭もしくは最後尾に再割当てする。
【0017】
【作用】本発明では、まず最初に、圧延材の全ての領域
のパス数を奇数回もしくは偶数回に統一するために、ス
ケジュ−ル中に、圧延が省略される空パスを新たに挿入
する(図4参照)。これによって、パス数を奇数回に統
一する時には、例えば左側の供給リ−ルから巻戻したコ
イルを所定奇数パス圧延した後、そのまま右側の巻取リ
−ルで巻取ることができる。またパス数を偶数回に統一
する時には、例えば左側の供給リ−ルから巻戻したコイ
ルを所定偶数パス圧延した後、そのまま左側の巻取リ−
ルで巻取ることができる。
【0018】次に、各領域のスケジュ−ルを初パスから
順に並ぶ位置にそれぞれ割り当てする。これによって、
例えば図4に示すように、各領域のスケジュ−ルは、総
パス数が7である領域1ではパス1からパス7までに目
標厚が大きい順に並べられ、総パス数が5である領域2
ではパス1からパス5までに目標厚が大きい順に並べら
れ、総パス数が7(空パスを含む)である領域3ではパ
ス1からパス7までに目標厚が大きい順に並べられる。
【0019】全パス数が奇数回で、先に仕上がる領域の
有効圧延パス数が多い時、もしくは、全パス数が偶数回
で、先に仕上がる領域の有効圧延パス数が少ない時に
は、有効圧延パス数が少ない領域のスケジュ−ルを修正
し、少なくとも各領域の最終パスを含む一部の後方パス
を、パスの後方から順に揃えて再割り当てする。例え
ば、図5はパス数が奇数回の例であるが、領域1は領域
2に比べて、先に仕上がり、圧延パス数が多いので、有
効圧延パス数が少ない領域2のスケジュ−ルを修正す
る。この修正によって、最終パス等の目標厚が領域毎に
変化するので、最終パスにおいて、領域の切換り点で目
標厚の変更を行なう必要が生じる。しかし、その不都合
を考慮しても、前述のように、最終パスではワ−クロ−
ルの組替えは避けられないので、複数の領域に対して異
なるパスでワ−クロ−ルの組替えを繰り返し実施するよ
りも、同一パスで複数領域のワ−クロ−ル組替えを実施
する方が、組替え必要回数が減り、作業効率が高くな
る。
【0020】更に、全パス数が奇数回で、先に仕上がる
領域の有効圧延パス数が少ない時、もしくは、全パス数
が偶数回で、先に仕上がる領域の有効圧延パス数が多い
時には、有効圧延パス数が少ない領域のスケジュ−ルを
修正し、少なくとも各領域の最終パスとその前段パスを
含む一部の後方パスを、パスの後方から順に揃えて再割
り当てする。例えば、図6はパス数が奇数回の例である
が、領域2は領域3に比べて、先に仕上がり、圧延パス
数が少ないので、有効圧延パス数が少ない領域2のスケ
ジュ−ルを修正する。この修正によって、最終パス等の
目標厚が領域毎に変化するので、最終パスにおいて、領
域の切換り点で目標厚の変更を行なう必要が生じる。し
かし、その不都合を考慮しても、前述のように、最終パ
スではワ−クロ−ルの組替えは避けられないので、複数
の領域に対して異なるパスでワ−クロ−ルの組替えを実
施するよりも、同一パスで複数領域のワ−クロ−ル組替
えを実施する方が、組替え必要回数が減り、作業効率が
高くなる。
【0021】また、上記処理によって、有効圧延パス数
が少ない領域のスケジュ−ルを修正した時には、その修
正によって無効になったパスが生じる(図5参照:中
段)が、この無効パスを空パスにするよりも、それに隣
接する他の領域のスケジュ−ルにも無効パスを挿入して
それらを揃える(図5参照:下段)方が作業効率が高く
なる。
【0022】また、複数の各領域の圧延パス数が互いに
異なる場合、前記処理の前処理として;圧延パス数が同
一の複数領域が存在するなら、スケジュ−ルを修正し、
それらの領域を互いに隣接する位置に再割当てし
(1);予定される空パスの挿入後の全パス数が同一の
複数領域が存在するなら、スケジュ−ルを修正し、それ
らの領域を互いに隣接する位置に再割当てし(2);全
領域のスケジュ−ル中で、圧延パス数が最大の領域と最
小の領域とが隣接する時には、領域の並びを変更し
(3);全領域のスケジュ−ル中で、圧延パス数が最小
の領域は、領域の並びの先頭もしくは最後尾に再割当て
する(4)。例えば図3においては、領域1のパス数と
領域3に空パスを挿入したパス数とが同一になるので上
記(2)に該当し、またパス数が最大の領域1と最小の
領域2とが隣接するので、上記(3)に該当し、更にパ
ス数が最小の領域2が上記(4)に該当するので、領域
2と領域1のスケジュ−ル(作業指示)を交換し、図3
のスケジュ−ルを上段から下段のように修正する。この
前処理を実施することによって、更に作業効率が改善さ
れる。
【0023】
【実施例】可逆式圧延機を用いる圧延設備の構成例を図
1に示す。図1を参照して説明する。この設備において
は、圧延前のコイル状の圧延材は圧延機の左側に配置さ
れたテンションリ−ル(左TR)に装填される。そし
て、左側テンションリ−ルから巻き戻された圧延材は、
圧延機を通って、右側のテンションリ−ル(右TR)に
巻き取られ、圧延機を通る時に圧延される。これが第1
圧延パスである。次に、各テンションリ−ルと圧延機の
駆動方向を逆転し、右側のテンションリ−ルから巻き戻
された圧延材を、圧延機を通して、左側のテンションリ
−ルで巻き取る。これが第2圧延パスである。以下同様
に、圧延材を往復搬送しながら、第3圧延パス,第4圧
延パス,・・・の圧延を実施する。最終圧延パスが終了
した圧延材は、右側のテンションリ−ル側にある所定の
搬出設備により、次の工程に送られる。従ってこの設備
では、奇数回の圧延パスで圧延を完了するのが望まし
い。単一の鋼種の圧延材(シングルコイルと呼ぶ)を圧
延する場合もあるが、この設備では、複数種類の圧延材
を溶接して連結した圧延材(ダブルコイル)を1回の圧
延工程で圧延することもできる。また、1つの圧延材を
複数の領域に区分し、区分された領域の各々について互
いに異なる仕上厚を設定することもできる。従って、圧
延の途中でも、領域間の区切り位置では、目標板厚(圧
下量)の変更が必要な場合が生じる。圧下量の変更は、
圧延材を搬送したまま実施(走間板厚変更)できる場合
と、圧延材を停止した状態で実施(停止板厚変更)せざ
るを得ない場合とがある。
【0024】また、複数パスの圧延の途中では、圧延機
のワ−クロ−ルの組替えが必要な場合がある。このため
実施例の設備では、1パス目,2〜n−3パス目,n−
2パス目,n−1パス目,n(最終)パス目で、それぞ
れワ−クロ−ルの組替えが操業上可能になっている。但
し、通常、最終パスではワ−クロ−ルの組替えが必要で
あるが、その他のパスでは常に組替えが必要なわけでは
ない。
【0025】図1を参照すると、この設備の最上位に位
置するビジネスコンピュ−タ(生産管理計算機)は、必
要なコイルデ−タ(作業指示)を順次にプロセスコンピ
ュ−タに入力する。プロセスコンピュ−タは、入力され
るコイルデ−タに基づいて、各種制御設備、即ち主幹制
御用PLC,荷重検出器,位置検出器,油圧圧下制御用
PLC,AGC制御用PLC,形状検出器,形状制御用
PLC,及びベンダ制御盤を制御し、圧延プロセスを実
行する。
【0026】プロセスコンピュ−タに入力されるコイル
デ−タには、作業指示番号(圧延後コイル毎の番号),
圧延材全体のコイル外径,圧延鋼種コ−ド,仕上区分
(表面品質等),コイル巻状(溶接点に対するコイルの
外側/内側),板幅,圧延後板厚,圧延前実測板厚,圧
延前圧下率,ワ−クロ−ルの使用区分,圧延形状目標
値,材料変形抵抗,圧延前形状等が含まれている。これ
らのコイルデ−タと予め用意されたミル・ロ−ル情報と
に基づいて、プロセスコンピュ−タは、パススケジュ−
ル計算処理を実施して、スケジュ−ル情報を生成し、こ
の情報に基づいて実際の圧延制御を実施する。
【0027】パススケジュ−ル計算処理によって生成さ
れる情報には、圧延材全体に対する作業指示番号と最大
パス数、ならびに圧延後コイル毎の、作業指示番号,ト
−タルパス数,目標板厚、ならびに各コイルのパス毎
の、パス数,空パス指示,ワ−クロ−ル組替指示,溶接
点指示,入側板厚,出側板厚,板幅,圧延荷重,ミル定
数,ロ−ルギャップ,・・・を含んでいる。
【0028】パススケジュ−ル計算処理の概要を図8に
示す。図8を参照すると、ステップ11では「ゲ−ジス
ケジュ−ル計算」処理を実行し、ステップ12では「異
厚順決定」処理を実行し、ステップ13では「空パス設
定」処理を実行し、ステップ14では「各パス圧延順決
定」処理を実行し、ステップ15では「異厚点,溶接点
の圧延方法決定」処理を実行し、ステップ16では「ワ
−クロ−ル組替指示付与」処理を実行し、ステップ17
では「初期設定計算」処理を実行する。
【0029】ステップ11の「ゲ−ジスケジュ−ル計
算」処理では、原板厚,仕上厚,及び最大圧下率に基づ
いて、各コイルの領域毎のパススケジュ−ルを生成す
る。これによって、例えば図2に示すようなパススケジ
ュ−ルが得られる。図2を参照すると、この例では、1
回の工程で圧延される圧延材原板が、2つのコイルの溶
接により構成されており、この原板上の3つに区分され
た領域の各々に、それぞれ仕上厚が割り当てられてい
る。領域1は原板厚が1.000mm、仕上厚が0.3
00mmであり、領域2は原板厚が1.000mm、仕
上厚が0.400mmであり、領域3は原板厚が1.0
50mm、仕上厚が0.350mmである。圧延パス回
数は、領域1が7、領域2が5、領域3が6になってい
る。
【0030】ステップ12の「異厚順決定」処理では、
入力された指示情報の並び(図2の領域1,領域2,領
域3の各コイルの並び)をそれらの厚みに基づき、必要
に応じて並び替える。この処理の実際の内容は、図9,
図10,図11及び図12に示されている通りであるの
で、詳細な説明は省略するが、基本的には、次の規則に
従うように指示情報の並びが変更される。
【0031】(1)圧延パス数が同一の複数領域が存在
するなら、スケジュ−ルを修正し、それらの領域を互い
に隣接する位置に再割当てする。
【0032】(2)予定される空パスの挿入後の全パス
数が同一の複数領域が存在するなら、スケジュ−ルを修
正し、それらの領域を互いに隣接する位置に再割当てす
る。
【0033】(3)全領域のスケジュ−ル中で、圧延パ
ス数が最大の領域と最小の領域とが隣接する時には、領
域の並びを変更する。
【0034】(4)全領域のスケジュ−ル中で、圧延パ
ス数が最小の領域は、領域の並びの先頭もしくは最後尾
に再割当てする。
【0035】例えば図3においては、領域1のパス数と
領域3に空パスを挿入したパス数とが同一になるので上
記(2)に該当し、またパス数が最大の領域1と最小の
領域2とが隣接するので、上記(3)に該当し、更にパ
ス数が最小の領域2が上記(4)に該当するので、領域
2と領域1のスケジュ−ル(作業指示)を交換し、図3
のスケジュ−ルを上段から下段のように修正する。この
前処理を実施することによって、作業効率が改善され
る。
【0036】ステップ13の「空パス設定」処理では、
スケジュ−ルに「空パス」を挿入し、各領域のパス数を
設備に合わせて奇数もしくは偶数に統一する。図1に示
す設備では、奇数回のパスで圧延終了するのが望ましい
ので、パス数が偶数回の領域のスケジュ−ル中に、圧延
が省略される空パスを新たに挿入して、全ての領域のパ
ス数を奇数回に統一する。偶数回に統一する場合には、
パス数が奇数回の領域のスケジュ−ル中に空パスを挿入
すればよい。図4の例では、パス数を奇数回に統一する
ために、圧延パス数が6の領域3のスケジュ−ル中に、
1つの空パスを挿入している。空パスを挿入する位置
は、この例では、仕上パス(n)の前々パス(n−2)
に固定してある。
【0037】ステップ14の「各パス圧延順決定」処理
では、互いに隣接する全ての領域のスケジュ−ルについ
て、次のように処理する。
【0038】(9−1)各領域のスケジュ−ルを初パス
から順に並ぶ各パス位置にそれぞれ割り当てる。
【0039】(9−2)全パス数が奇数回で、先に仕上
がる領域の有効圧延パス数が多い時には、有効圧延パス
数が少ない領域のスケジュ−ルを修正し、各領域の最終
パス(nパス),最終前パス(n−1パス)及び最終前
々パス(n−2パス)を、パスの後方から順に揃えて再
割り当てする。
【0040】(9−3)全パス数が偶数回で、先に仕上
がる領域の有効圧延パス数が少ない時には、有効圧延パ
ス数が少ない領域のスケジュ−ルを修正し、各領域の最
終パス(nパス),最終前パス(n−1パス)及び最終
前々パス(n−2パス)を、パスの後方から順に揃えて
再割り当てする。
【0041】(9−4)全パス数が奇数回で、先に仕上
がる領域の有効圧延パス数が少ない時には、有効圧延パ
ス数が少ない領域のスケジュ−ルを修正し、各領域の最
終パスとその前段パスを、パスの後方から順に揃えて再
割り当てする。
【0042】(9−5)全パス数が偶数回で、先に仕上
がる領域の有効圧延パス数が多い時には、有効圧延パス
数が少ない領域のスケジュ−ルを修正し、各領域の最終
パスとその前段パスを、パスの後方から順に揃えて再割
り当てする。
【0043】図5に示すスケジュ−ルの例では、領域2
よりも先に仕上がる領域1の有効圧延パス数が多く、ま
たこの例では全パス数が奇数回に統一してあり、上記(9
-2)の条件に該当するので、有効圧延パス数が少ない領
域2のスケジュ−ルが修正される。即ち、領域2の最終
パス(nパス),最終前パス(n−1パス)及び最終前
々パス(n−2パス)が、それぞれパス7,パス6及び
パス5の位置に再割り当てされる。
【0044】またこの修正に伴なって、領域2のパス3
及びパス4が無効になるが、これらを空パスにすると無
駄が多くなるので、それらの空パスをなくするために、
次のようにする。即ち、領域2に隣接する領域3のスケ
ジュ−ルが、領域2に揃うように、領域3のパス3以降
を後方に移動し、パス3及びパス4を無効にする。
【0045】更に、図6に示すスケジュ−ルの例では、
領域3よりも先に仕上がる領域2の有効圧延パス数が少
なく、またこの例では全パス数が奇数回に統一してあ
り、上記(9-4)の条件に該当するので、有効圧延パス数
が少ない領域2のスケジュ−ルが修正される。即ち、領
域2の最終パス(nパス)及び最終前パス(n−1パ
ス)が、それぞれパス9及びパス8の位置に再割り当て
される。
【0046】またこの修正に伴なって、領域2のパス6
及びパス7が無効になるが、これらを空パスにすると無
駄が多くなるので、それらの空パスをなくするために、
次のようにする。即ち、領域2に隣接する領域1のスケ
ジュ−ルが、領域2に揃うように、領域1のパス6以降
を後方に移動し、パス6及びパス7を無効にする。
【0047】これらの処理によって生成されるパススケ
ジュ−ルによる実際の圧延順及び圧延時の圧延材搬送方
向が図7に示されている。図7を参照すると、このスケ
ジュ−ルではワ−クロ−ル(WR)の組替回数が少な
く、停止板厚変更の回数も少なく、空パスも少ないの
で、非常に効率良く圧延を実施しうることが分かる。な
お図7のスケジュ−ルは、図3に示す作業指示の入替を
実施しない時のものであり、実際には、図3に示す処理
が実行されるので、図7より更に最適化されたスケジュ
−ルが得られる。
【0048】図8を再び参照する。ステップ15の「異
厚点,溶接点の圧延方法決定」処理では、圧延材の領域
間の境界での、厚みの違いに応じて、「走間板厚変更」
と「停止板厚変更」のいずれかを選択する。ステップ1
6の「ワ−クロ−ル組替指示付与」処理では、必要に応
じて、ワ−クロ−ル組替指示をスケジュ−ル中のパス切
換点又は領域切換点に挿入する。ステップ17の「初期
設定計算」処理では、圧延に必要なロ−ルギャップ,張
力,荷重などの初期値を計算して求める。
【0049】なお、前記ステップ14の(9−2)及び
(9−3)では、nパス,n−1パス及びn−2パスを
揃えているが、ワ−クロ−ルの組替えを最終パスのみで
する場合には、nパスのみを揃えるだけでもよい。また
ワ−クロ−ルの組替え回数が多い時には、必要に応じて
更に後方から2パスずつ、前パスに向かって順にスケジ
ュ−ルを揃えればよい。同様に、ステップ14の(9−
4)及び(9−5)では、nパスとn−1パスを揃えて
いるが、ワ−クロ−ルの組替え回数が多い時には、必要
に応じて更に後方から2パスずつ、前パスに向かって順
にスケジュ−ルを揃えればよい。
【0050】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、互いに
圧延パス数が異なる複数領域に区分された圧延材を圧延
する場合であっても、複数圧延パスのスケジュ−ルを適
切に決定するので圧延の作業効率が改善される。しかも
スケジュ−ル決定の作業は自動化しうるので、作業者の
負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 圧延設備の構成の一例を示すブロック図であ
る。
【図2】 作成途中のパススケジュ−ルを示すマップで
ある。
【図3】 作成途中のパススケジュ−ルの変化を示すマ
ップである。
【図4】 作成途中のパススケジュ−ルの変化を示すマ
ップである。
【図5】 作成途中のパススケジュ−ルの変化を示すマ
ップである。
【図6】 作成途中のパススケジュ−ルの変化を示すマ
ップである。
【図7】 作成されたパススケジュ−ルを示すマップで
ある。
【図8】 処理の一部分を示すフロ−チャ−トである。
【図9】 処理の一部分を示すフロ−チャ−トである。
【図10】 図9の一部分を詳細に示すフロ−チャ−ト
である。
【図11】 図9の一部分を詳細に示すフロ−チャ−ト
である。
【図12】 図11の一部分を詳細に示すフロ−チャ−
トである。
【符号の説明】
11:ゲ−ジスケジュ−ル計算 12:異厚順決定 13:空パス設定 14:各パス圧延順決定 15:異厚点,溶接点の圧延方法決定 16:WR組替指示付与 17:初期設定計算
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大 塚 利 秋 光市大字島田3434番地 新日本製鐵株式 会社 光製鐵所内 (56)参考文献 特開 平8−117825(JP,A) 特開 平7−256319(JP,A) 特開 平7−112205(JP,A) 特開 平7−80520(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 37/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1つの圧延材が複数の領域に区分され、
    区分された領域のそれぞれについて、少なくともそれの
    仕上厚が割り当てられ、区分された領域のそれぞれにつ
    いて、その仕上厚までの圧延に必要な圧延パス数と各圧
    延パスの目標厚を含むスケジュ−ルが予め決定される、
    可逆式圧延機による自動圧延方法において:パス数が偶
    数回の領域もしくはパス数が奇数回の領域に対するスケ
    ジュ−ル中に、圧延が省略される空パスを新たに挿入し
    て、全ての領域のパス数を奇数回もしくは偶数回に統一
    し、 各領域のスケジュ−ルを初パスから順に並ぶ各パス位置
    にそれぞれ割り当て、 全パス数が奇数回で、先に仕上がる領域の有効圧延パス
    数が多い時、もしくは、全パス数が偶数回で、先に仕上
    がる領域の有効圧延パス数が少ない時には、有効圧延パ
    ス数が少ない領域のスケジュ−ルを修正し、少なくとも
    各領域の最終パスを含む一部の後方パスを、パスの後方
    から順に揃えて再割り当てし、 全パス数が奇数回で、先に仕上がる領域の有効圧延パス
    数が少ない時、もしくは、全パス数が偶数回で、先に仕
    上がる領域の有効圧延パス数が多い時には、有効圧延パ
    ス数が少ない領域のスケジュ−ルを修正し、少なくとも
    各領域の最終パスとその前段パスを含む一部の後方パス
    を、パスの後方から順に揃えて再割り当てする、ことを
    特徴とする可逆式圧延機による自動圧延方法。
  2. 【請求項2】 有効圧延パス数が少ない領域のスケジュ
    −ルを修正した時には、その修正によって無効になった
    当該領域のパス位置に対応して、その領域に隣接する他
    の領域のスケジュ−ルに無効パスを挿入しそのスケジュ
    −ルを修正する、前記請求項1記載の可逆式圧延機によ
    る自動圧延方法。
  3. 【請求項3】 複数の各領域の圧延パス数が互いに異な
    る場合、前記処理の前処理として、 圧延パス数が同一の複数領域が存在するなら、スケジュ
    −ルを修正し、それらの領域を互いに隣接する位置に再
    割当てし、 予定される空パスの挿入後の全パス数が同一の複数領域
    が存在するなら、スケジュ−ルを修正し、それらの領域
    を互いに隣接する位置に再割当てし、 全領域のスケジュ−ル中で、圧延パス数が最大の領域と
    最小の領域とが隣接する時には、領域の並びを変更し、 全領域のスケジュ−ル中で、圧延パス数が最小の領域
    は、領域の並びの先頭もしくは最後尾に再割当てする、
    前記請求項1記載の可逆式圧延機による自動圧延方法。
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