JP3144863B2 - 染色繊維製品およびその製造法 - Google Patents

染色繊維製品およびその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自然感ある独特の色調
および風合を有し、染着性が良好で、染色堅牢度が高
く、さらにはすぐれた抗菌性および紫外線カット性を有
し、かつ冷え症等の改善にも有効な染色繊維製品に関す
るものである。またそのような染色繊維製品を製造する
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】天然染料が合成染料により駆逐されて久
しいが、草木染めは、合成染料では出せない独特の渋
さ、落ちつき、光沢、風合を有するため、自然志向が高
まってきた今日においては再評価されつつある。
【0003】草木染めは本来植物染料による染色法を指
すが、天然染料の大部分は植物染料であるため、コチニ
ール、貝紫等の動物性染料、ベレンス青等の鉱物性染料
を含め、天然染料と言う意味で草木染めと称することが
ある。
【0004】草木染めに適用できる天然染料としては、
くちなし、うこん、きはだ、つゆくさ、藍、紅花、えん
じゅ、阿仙、梅、桜、ざくろ、茶、もっこく、あかね、
すおう、紫根、五倍子、ひさかき、よもぎ、すすき、
菊、南天、ひいらぎ南天、葛、くぬぎ、白樫、げんのし
ょうこ、矢車、やまもも、くるみ、ログウッド、柏、朝
顔、ばら、サフラン、マリーゴールド、ぶどう、なす、
どんぐり、刈安、つつじ、おうれん、はまなす、杉、
桧、松、ひいらぎ、桃、ドクダミ、萩、柿、栗、サフラ
ン、小豆、黒豆、はぜのき、セイタカアワダチソウ、タ
マネギ、イチイ、ハンノキ、アセビ、ねむのき、椎茸を
はじめ、極めて多種の植物から得られる染料が用いられ
ている。
【0005】特開平1−132886号公報には、石英
はん岩の微粉末を水溶性アクリル樹脂液に混合分散さ
せ、この分散液を熱水を注入し、これに植物性エキスお
よび染料を添加混合して、繊維品類を浸漬した後、ソー
ピング、乾燥などの通常の後処理を行う繊維品類の染色
方法が示されている。
【0006】この方法は、石英はん岩の遠赤外線放射作
用を利用して繊維品類の保温性を高めようとするもので
あるが、さらに植物性エキスを併用して保温、保冷また
は虫よけ機能を付加している。植物性エキスとしては、
保温を目的とするときには、にんにく、唐辛子、サルの
こしかけ、訶子、山豆根、盤梯キノリ、盤梯ウド、蓼の
実、コンクリー、枸杷の実、アロエの葉、クロレラなど
を、保冷を目的とするときは、蜜柑、橙などの柑橘類
を、虫よけを目的とするときは桧等の樹木の皮や葉など
が用いられるとしている。ただし、植物エキスは染料と
して用いているのではなく、染料としては別に天然染料
(草木染めに用いられるもの)や合成染料を用いてい
る。
【0007】特開昭53−69226号公報には、乾燥
した固形植物染料を所要粉度に粉砕加工して染色効果の
向上および被染物対象の拡大を達成してなる植物染料、
および、その染料で、染着および発色機能を有する媒染
剤を用いて被染物を染上げる煮染法が示されている。植
物染料として殺菌性のあるものを採用すれば、白アリ撃
退や虫除けの効果を持たせることができるとの記載もあ
る。例示のある植物染料は、アカネ、ムラサキ、ウコ
ン、アイ、スオウ、フシノキ、ベニバナ、シコン、エン
ジュ、カリヤス、キハダ、クチナシ、シブキ、クルミ、
タンガラ、チョウジ、ツルバミ、ビロウジ、ミロバラ
ン、ヤシャである。
【0008】特開平1−124691号公報には、食品
中の色素とタンニン類とを用いて繊維を染色する染色方
法が示されており、直接肌につける下着類に好適である
ことが述べられている。食品とは、たとえば、紅心大
根、赤色大根、葡萄、紅紫蘇、赤キャベツ、カボチャ、
ほうれんそう、オレンジ果肉、蔦紫の種、キィウイフル
ーツ果肉などである。
【0009】なお、本発明に関連するジオウについて
は、平成3年8月5日に「ジオウ」、「アカヤジオウ」
をフリーキーワードとしてパトリスにより検索した結果
では、次の出願があるだけであり、ジオウを染色目的に
使用することは従来知られていなかったことと思われ
る。 ・特開昭52−130903号公報 植物性擦込薬液製
法 ・特開昭56−140853号公報 薬草入りカステラ
の製造方法 ・特開昭57−200312号公報 漢方製剤の製造方
法 ・特開昭58−222028号公報 生薬の新しい修治
方法 ・特開昭59−36619号公報 制癌補助剤 ・特開昭59−36620号公報 制癌補助剤 ・特開昭59−36621号公報 脂肪分解促進作用
阻害剤 ・特開昭59−59158号公報 薬草シロップの製
造方法 ・特開昭59−176203号公報 皮膚化粧料 ・特開昭60−13895号公報 低刺激性界面活性
剤組成物 ・特開昭60−78524号公報 ジオウ新品種に属
する植物及びその育種方法 ・特開昭60−168322号公報 ジオウ新品種に属
する植物の栽培方法 ・特開昭62−116520号公報 テストステロン5
α−リダクターゼ阻害剤 ・特開平1−179662号公報 漢方味噌の製造法 ・特開平2−36189号公報 新規フェネチルア
ルコール誘導体およびフェネチルアルコール誘導体を有
効成分とするアルドースリダクターゼ阻害剤 ・特開平2−40394号公報 5−リポキシゲナ
ーゼ阻害剤
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来の草木染めは、染
色工程が煩雑であることのほか、特に木綿や麻に対して
は染着性および染色堅牢度が劣り、その物質特有の個性
の持続性に乏しいという弱点があり、この点が草木染め
の最大の問題点になっている。
【0011】また一般に草木染めは、自然志向の趨性に
は沿うものの、新たな機能性の発現には必ずしもつなが
らないという限界がある。
【0012】機能性の発現を考慮した特開平1−132
886号公報の染色方法は、天然染料や合成染料による
染色液に石英はん岩と植物性エキスとを添加して、石英
はん岩による遠赤外線放射作用、植物性エキスによる保
温、保冷または虫よけ作用を発揮させるようにしたもの
であるが、繊維品類への石英はん岩の付着は風合を損な
い、また染料として天然染料を用いたときには染色堅牢
度が劣ることを免かれない。
【0013】特開昭53−69226号公報の植物染料
は、従来使われている固形植物染料を粉砕加工した点に
特徴があるにすぎない。
【0014】特開平1−124691号公報の染色方法
は、直接肌につける下着類に好適であるとは言っても、
それは食品を原料としているから安全であるというにす
ぎず、積極的に機能性を発現させようとするものではな
い。
【0015】本発明は、このような背景下において、自
然感ある独特の色調および風合を有し、染着性が良好
で、染色堅牢度が高く、さらにはすぐれた抗菌性および
紫外線カット性を有し、かつ冷え症等の改善にも有効な
染色繊維製品およびその製造法を提供することを目的と
するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の染色繊維製品
は、タンニン酸処理されかつジオウの抽出物で染色反応
されたものである。
【0017】また本発明の染色繊維製品の製造法は、繊
維製品をタンニン酸を含む前処理液と接触させてタンニ
ン酸処理した後、必要に応じて吐酒石による固着処理を
行い、ついで媒染剤を含む媒染液と接触させてタンニン
酸の固着と媒染とを行ってから、媒染後の繊維製品をジ
オウの抽出物を含む染液と接触させて染色反応させるこ
とを特徴とするものである。
【0018】以下本発明を詳細に説明する。
【0019】本発明における繊維製品としては、原繊
維、糸、パイル、綿状物、織布、編布、不織布、植毛布
などがあげられる。そのほか、紙製品、木製品なども本
発明に言う繊維製品に含まれる。
【0020】これらの繊維製品の材質は、木綿、麻、
絹、羊毛などの天然繊維、あるいはそれらの天然繊維と
化学繊維との混紡品、交織品、交編品など任意である
が、特に従来の草木染めでは染着性が劣り、堅牢度も低
かった木綿や麻にも適用できる点が本発明の特長の一つ
でもある。
【0021】本発明においては、必要に応じ糊抜き、精
練、漂白などを行ってから、まず繊維製品をタンニン酸
を含む前処理液と接触反応させてタンニン酸処理する。
【0022】タンニン酸としては、精製されたものを用
いることもできるが、五倍子、没食子などタンニン酸を
多量に含む高タンニン酸含有天然植物の抽出物またはそ
の半精製物をそのまま用いることも好ましい。五倍子は
60〜75%程度、没食子は55〜65%程度のタンニ
ン酸を含んでいる。なお精製タンニン酸も、五倍子や没
食子を粉砕してエーテルとエタノールとの混合液で抽出
し、浸出液に水を加えてタンニン酸を水に移し、さらに
必要に応じて精製処理を行うことにより取得されるの
で、天然物であるということができる。
【0023】タンニン酸処理時の浴比は繊維製品の重量
に対し10〜100倍程度(殊に20〜60倍程度)、
浴温は50〜95℃程度(殊に60〜90℃程度)、処
理時間は10分〜2時間程度(殊に20分〜1.5 時間程
度)、タンニン酸濃度は繊維製品の重量に対し5〜20
重量%程度とすることが多いが、必ずしもこの範囲に限
定されるものではない。
【0024】タンニン酸処理後は、タンニン酸を固着さ
せるために吐酒石(酒石酸アンチモンカリ)の 0.2〜1
0重量%程度(繊維製品の重量に対し)の溶液と接触さ
せることが好ましいが、タンニン酸の固着は次の工程で
ある媒染工程によっても達成できるので、吐酒石による
タンニン酸の固着工程は省略することができる。
【0025】タンニン酸処理後は、媒染剤を含む媒染液
と接触反応させてタンニン酸の固着と媒染とを行う。こ
の工程は重要であり、この工程を経ないと次工程である
染色工程における染着性および染色堅牢度が不足するよ
うになる。
【0026】ここで媒染剤としては、ツバキ灰、サワフ
タギ灰、ヒサカキ灰、クヌギ灰、アカザ灰、早稲藁灰な
どの草木灰(木灰や藁灰)を用いることが好ましい。こ
れらの草木灰は、アルミニウムイオンのほか、染色に有
用な他の金属イオンやアルカリ物質を含んでいる。
【0027】これらの草木灰と共にあるいはこれらの草
木灰に代えて、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、
塩化アルミニウム、ミョウバン、焼ミョウバン、カリミ
ョウバンなどのアルミニウム塩や、市販のアルミ液など
のアルミナ媒染剤を用いることもできる。さらには上記
の草木灰、アルミニウム塩、アルミ液と共に、炭酸カル
シウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナ
トリウムなどのアルカリを併用することもできる。
【0028】一般に草木染めの媒染剤としては、上記の
草木灰、アルミナ媒染剤(アルミニウム塩)のほか、鉄
媒染剤(鉄塩)、銅媒染剤(銅塩)、スズ媒染剤(スズ
塩)、クロム媒染剤(クロム塩)などが知られており、
これらの媒染剤によっても染色自体は可能であるが、本
発明の目的には上述の草木灰、アルミナ媒染剤が好まし
い。なお鉄媒染剤は、後述のように染色の色調節を兼ね
て染色反応時にジオウの抽出物に添加する用い方をする
ことが望ましい。
【0029】媒染時の浴比は繊維製品の重量に対し10
〜100倍程度(殊に20〜60倍程度)、浴温は常温
ないし沸騰温度、処理時間は10分〜1時間程度とする
ことが多いが、必ずしもこの範囲に限定されるものでは
ない。
【0030】タンニン酸処理および媒染後は、繊維製品
をジオウの抽出物を含む染液と接触させることにより染
色する。これにより茶褐色に紫色の混じったような色調
の染色がなされる。
【0031】タンニン酸処理および媒染後の繊維製品を
ジオウの抽出物および鉄媒染剤を含む染液と接触させて
染色することも好ましく、このようにすると、黒褐色に
紫色の混じったような色調の染色がなされる。ここで鉄
媒染剤(鉄塩)としては、木酢酸鉄、硫酸第一鉄、硝酸
鉄、酢酸第一鉄、木酢酸鉄などがあげられる。
【0032】ジオウ(地黄)はゴマノハグサ科のアカヤ
ジオウまたはその同属植物の根であり、細長い紡錘形を
有し、深い縦溝およびくびれがある。外面および断面は
黄褐色ないし黒褐色を呈している。ジオウの生根を生地
黄または鮮地黄と称し、そのまま乾燥したものを乾地
黄、蒸してから加工調製したものを熟地黄と呼んでい
る。地黄は、神農本草経に上品として収記されており、
古くから補血、強壮に効があるとされている。このジオ
ウの水または有機溶剤(アルコール等)による抽出物を
染料として用いるわけである。ジオウの中では、本発明
の目的には熟地黄が特に有用である。
【0033】染色反応処理時の浴比は繊維製品の重量に
対し10〜100倍程度(殊に20〜60倍程度)、浴
温は50〜95℃程度(殊に60〜90℃程度)、処理
時間は20分〜3時間程度(殊に30分〜2時間程度)
とすることが多いが、必ずしもこの範囲に限定されな
い。染料濃度は目的に応じ広い範囲から選択しうる。
【0034】染色工程終了後は、適宜ソーピング、水洗
などの後処理を行ってから、自然乾燥または熱風乾燥す
る。
【0035】以上の工程を実施することにより、タンニ
ン酸処理されかつジオウの抽出物で染色された染色繊維
製品が得られる。
【0036】
【作用】染色反応に先立ちタンニン酸処理反応および媒
染(殊に草木灰による媒染)を行うと、ジオウ抽出物に
よる染色反応が円滑になされると共に、ジオウ中の有効
成分と繊維製品との間の結合が確実に行われ、濃い染色
が可能となりかつ染色堅牢度も極めて高くなる。
【0037】そしてジオウの抽出物による染色により自
然感ある独特の色調および風合が得られると共に、ジオ
ウ中の有効成分が固着されているので、冷え症等の改善
に有効であるという独特の作用効果が奏される。
【0038】また、ジオウの抽出物による染色により、
すぐれた紫外線カット作用が得られることが判明した。
紫外線カット率は、染色前の生地を基準として90%以
上というように高いものである。
【0039】加えて、この染色繊維製品はすぐれた抗菌
性を有することが判明した。これは、繊維製品に固着し
ているタンニン酸の抗菌作用によるものである。なお、
一般的には、タンニン酸で下処理してから染色を行って
も抗菌作用が現われないことが多いので、ジオウ抽出物
による染色反応はタンニン酸の持つ抗菌性を引き出す作
用を有するものと考えられる。この抗菌作用は人体の生
態系を冒さない静菌作用であるため、皮膚病やかゆみを
有する人体に対し薬用的に使用することも可能である。
【0040】従って本発明の染色繊維製品は、肌と接触
する用途、たとえば、下着類、パンティーストッキン
グ、ブラジャー、シャツ類、夜着、シーツ、手袋、帽
子、スポーツ用サポータ、水着、包帯、病人用衣類、マ
スク、履物の内装材または表面材、時計バンド、靴下な
どに特に有用である。またファッション性を有すること
から、肌に直接接触しない用途であっても何ら差し支え
ない。
【0041】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。以下「部」、「%」とあるのは、全光線透過率
(%)および紫外線カット率(%)を除き、重量基準で
表わしたものである。なお「%owf 」とあるのは、被染
物である繊維製品の重量に対するパーセントを意味す
る。
【0042】実施例1(ジオウ染色綿生地)綿生地の予備処理 綿生地100gを水3000ml(浴比1:30、酢酸
0.3mlを含む)中に投入し、撹拌しながら80℃まで加
温し、この温度で約30分加熱した後、水洗、脱水を行
った。
【0043】タンニン酸−吐酒石処理 タンニン酸18g(18%owf)を水4000ml(浴比
1:40)に溶解して処理液を調製し、この処理液中に
上記で酢酸処理した綿生地を投入し、約85℃まで加温
してから約1時間撹拌処理し、ついで自然冷却して一夜
放置した。放置後の溶液に吐酒石8gを加え、温度85
℃にて約1時間撹拌処理した後、水洗、脱水を行った。
【0044】灰処理 サワフタギ灰50gを水4000ml(浴比1:40)に
懸濁させ、この懸濁液に上記で処理した綿生地を投入
し、約85℃まで加温してから約20分撹拌処理した
後、水洗を2回行い、さらに脱水を行った。
【0045】ジオウ抽出液の調製 ジオウ(熟地黄)60g(60%owf)を水1800
mlに加え、約1時間還流することにより抽出を行い、
ジオウ抽出物を含む水溶液を得た。
【0046】染色反応 上記で得たジオウ抽出液に水を加えて全量を4000ml
(浴比1:40)とし、この染液に木酢酸鉄60ml(6
0%owf)を加え、良く撹拌した後、上記の灰処理した綿
生地を投入し、撹拌しながら温度85℃まで加温し、こ
の温度で約1時間加熱して染色反応させた。染色反応
後、水洗、脱水、乾燥を行った。これにより、自然感あ
る独特の色調(紫色がかった黒褐色)に染着されたジオ
ウ染色綿布が得られた。この染色綿布は、風合、感触も
好ましいものであった。
【0047】抗菌性試験 この染色綿布の切片(2cm×2cm)を用いて抗菌力新評
価法(防菌防黴、16,2,49−57(1988))
に準じて抗菌力試験を行ったところ(培地:ニュートリ
エントブロス、ニュートリエント寒天培地、試験菌:Es
cherichia coli ATCC 25922、Staphylococcus aureus
ATCC 25923)、これらの試験株に対して下記のように明
らかな抗菌性が認められた。 ・ E. coli ATCC 25922 初発菌数:2.40×105 cells/g (cloth) 生菌数: 0 cells/g (cloth) Control は 3.05×108 cells/g (cloth) 活性CA(殺菌): 100% ・ S. aureus ATCC 25923 初発菌数:4.95×105 cells/g (cloth) 生菌数: 0 cells/g (cloth) Control は 4.48×106 cells/g (cloth) 活性CA(殺菌): 100%
【0048】染色堅牢度試験 またこのジオウ染色綿布につき、財団法人日本紡績検査
協会浜松検査所に堅牢度テストを依頼して、次の試験を
行った。 耐光性試験(太陽光線、蛍光灯などの紫外線、赤外
線などの光による影響検査) 洗濯試験(通常の選択により色落ちがどの程度か、
また白生地と一緒に洗濯したとき色が移行するかどうか
の試験、草木染めは弱アルカリ性洗剤により変色する場
合が多いので特に注意が必要である。) 汗試験(人間の汗(酸性、アルカリ性)により変色
するかどうかの試験)
【0049】結果は次の通りであった。 染色堅牢度 ・耐光(JISL-04842 3/4級) 3−4級 ・洗濯(JISL-0844A-2号) 変退色 4級 汚染 5級 ・汗(JISL-0848A法) 酸 変退色 4級 汚染 4−5級 アルカリ 変退色 4級 汚染 4−5級
【0050】この結果から、本発明のジオウ染色綿布
が、従来にない草木染めとしての品質を有していること
が客観的にも証明された。
【0051】紫外線カット性試験 上記で得たジオウ染色綿布と原布として用いた綿生地に
つき、下記の条件で紫外線透過率を測定した。 測定機本体 島津UV−3101PC 付属装置 積分球付属装置ISR−3100 積分球内径 60mmφ 測定波長 220〜420nm
【0052】結果を図1に示す。縦軸は全光線透過率
(%)、横軸は波長(nm)である。図1から、360nm
および305nmにおける全光線透過率を読みとると次の
ようになる。
【0053】紫外線カット率は、360nmの場合が91.9
%、305nmの場合が91.7%であり、この結果から、ジ
オウ染色綿布はすぐれた紫外線カット作用を有すること
がわかる。
【0054】着用試験 さらにこのジオウ染色綿布と同様の染色綿布を上記と同
手順で多数作成し、縫製により肌着(パンティーおよび
スリップ)としてから、冷え症に悩む各年代の女性10
名に着用させて通常の綿製の肌着を着用した場合と対比
させたところ、ジオウ染色品の方が良いと判定した者が
7名、差なしと判定した者が3名、ジオウ染色品の方が
劣ると判定したものが0名であり、冷え症の改善効果が
認められた。
【0055】実施例2 綿生地の予備処理、タンニン酸−吐酒石処理、灰処理、
ジオウ抽出液の調製までの工程については実施例1を繰
り返し、染色反応を以下のようにして実施した。
【0056】すなわち、上記で得たジオウ抽出液に水を
加えて全量を4000ml(浴比1:40)とし、この染
液に上記の灰処理した綿生地を投入し、撹拌しながら温
度85℃まで加温し、この温度で約1時間加熱して染色
反応させた。染色反応後、水洗、脱水、乾燥を行った。
【0057】これにより、自然感ある独特の色調(紫色
がかった茶褐色)に染着されたジオウ染色綿布が得られ
た。風合、感触、抗菌性、染色堅牢度、紫外線カット
性、冷え症改善性も、実施例1と同様に好ましいもので
あった。
【0058】実施例3 タンニン酸に代えて五倍子抽出液を用いたほかは実施例
1を繰り返したところ、実施例1と同様の色調、風合、
感触、抗菌性、染色堅牢度、紫外線カット性、冷え症改
善性を有するジオウ染色綿布が得られた。
【0059】実施例4(ジオウ染色麻生地) 綿生地に代えて麻生地を用いたほかは実施例1を繰り返
したところ、実施例1と同様の色調、風合、感触、抗菌
性、染色堅牢度、紫外線カット性、冷え症改善性を有す
るジオウ染色麻生地が得られた。
【0060】実施例5(ジオウ染色絹地) 綿生地に代えて絹地を用いたほかは実施例2を繰り返し
たところ、実施例2と同様の色調、風合、感触、抗菌
性、染色堅牢度、紫外線カット性、冷え症改善性を有す
るジオウ染色絹地が得られた。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、比較的染色しやすい絹
や羊毛はもとより、木綿、麻など従来草木染めの難しい
とされていた被染物に対しても染着性良く染色すること
ができ、自然感ある独特の色調および風合を有すると共
に染色堅牢度の極めて高い染色繊維製品を得ることがで
きる。
【0062】しかも得られた染色繊維製品は、皮膚にや
さしく、冷え症防止効果を有し、さらにはすぐれた抗菌
性および紫外線カット性を有するという機能的な特長も
有している。
【0063】従って本発明の染色繊維製品は、消費者の
ナチュラル志向および健康志向に完全に応えることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のジオウ染色綿布とその原布として用
いた綿生地の紫外線透過率の測定結果を示したグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−220383(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06P 1/34 D06P 3/14 D06P 3/60 D06P 5/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タンニン酸処理されかつジオウの抽出物で
    染色反応された染色繊維製品。
  2. 【請求項2】繊維製品をタンニン酸を含む前処理液と接
    触させてタンニン酸処理した後、必要に応じて吐酒石に
    よる固着処理を行い、ついで媒染剤を含む媒染液と接触
    させてタンニン酸の固着と媒染とを行ってから、媒染後
    の繊維製品をジオウの抽出物を含む染液と接触させて染
    色反応させることを特徴とする染色繊維製品の製造法。
  3. 【請求項3】媒染剤が草木灰である請求項2記載の製造
    法。
  4. 【請求項4】媒染後の繊維製品をジオウの抽出物および
    鉄媒染剤を含む染液と接触させて染色反応させることを
    特徴とする請求項2記載の製造法。
  5. 【請求項5】繊維製品が天然繊維製の繊維製品である請
    求項2記載の製造法。
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