JP3142935B2 - 酸化鉄中のりん分析方法及びその分析方法を用いた酸化物磁性材料の製造方法 - Google Patents

酸化鉄中のりん分析方法及びその分析方法を用いた酸化物磁性材料の製造方法

Info

Publication number
JP3142935B2
JP3142935B2 JP04017861A JP1786192A JP3142935B2 JP 3142935 B2 JP3142935 B2 JP 3142935B2 JP 04017861 A JP04017861 A JP 04017861A JP 1786192 A JP1786192 A JP 1786192A JP 3142935 B2 JP3142935 B2 JP 3142935B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phosphorus
iron oxide
absorbance
amount
analyzing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP04017861A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05215740A (ja
Inventor
徹 阿部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP04017861A priority Critical patent/JP3142935B2/ja
Publication of JPH05215740A publication Critical patent/JPH05215740A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3142935B2 publication Critical patent/JP3142935B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化鉄中のりん分析方
法及びその分析方法を用いた酸化物磁性材料の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、鉄鋼材料は品質の高級化とともに
過酷な条件下での使用に耐えられるようにするため、極
低りん化が進められており、ppmオーダーの正確な分
析値が要求されるようになってきた。
【0003】また、ディスプレイモニタ等の電源用磁心
に適用される酸化物磁心材料(Mn−Zn系フェライ
ト)では、電力損失の低減を図るため、磁心損失の低損
失化が要求されており、りん(P)の含有量を10乃至
70ppmとすることによりその低損失化が図れること
が知られている(例えば、特開平2−30660号公報
等)。
【0004】この酸化鉄(Fe2 3 )中のPの含有量
の分析方法としては、従来より一般にはJIS1214
(化学分析法)等を主体に行われている。
【0005】また、微量のPの含有量の分析方法として
は、図17に示すように、ICP法(直接法,溶媒抽出
法),原子吸光法(間接法),吸光光度法(直接法,溶
媒抽出法,共沈法,吸着濃縮法),蛍光X線法(粉末
法)等がある。この内でも特に、1ppmレベルのPを
定量する方法として、水酸化ベリリウムとマラカイトグ
リーンとを併用する吸光光度法(図17の共沈法に相
当)が文献(「分析化学」,vol.40(199
1),第71頁乃至第75頁)等により知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来主
として行われていたJIS1214等を主体としたりん
分析方法は、定量範囲が40ppm以上であり、1pp
mレベルのPを精度良く定量できないという問題があっ
た。
【0007】また上記吸光光度法(共沈法)では、ベリ
リウムを日々管理して分析に使用する場合に、作業環境
上及び後々の廃液処理において問題が残るという欠点を
有している。
【0008】そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなさ
れたものであり、作業環境上,廃液処理上等の環境問題
を生ずることなく、1ppmレベルのりんを精度良く定
量し得る酸化鉄中のりん分析方法を提供することを目的
とし及びりん含有量に起因する諸特性向上を図った酸化
物磁性材の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
酸化鉄中のりんをモリブデン酸に反応させてりんモリブ
デン酸を得る第1の工程と、前記りんモリブデン酸を酢
酸イソブチルで抽出する第2の工程と、前記酢酸イソブ
チルで抽出したものから過塩素酸で洗浄後純水によりり
んを逆抽出する第3の工程とを含むことを特徴とする酸
化鉄中のりん分析方法である。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1記載の酸
化鉄中のりん分析方法において、第3の工程の後、りん
・モリブデン・マラカイトグリーンの三元錯体を生成す
る第4の工程を含んだものである。
【0011】請求項3記載の発明は、軟磁性フェライト
に、請求項1又は2記載の酸化鉄中のりん分析方法を用
いて得たりん分析値に基づいて、前記軟磁性フェライト
中のりんの含有量を所定値に制御することを特徴とする
酸化物磁性材料の製造方法である。
【0012】
【作用】請求項1記載の酸化鉄中のりん分析方法によれ
ば、酸化鉄中のりんをモリブデン酸に反応させて酸化鉄
からりんを分離してりんモリブデン酸を得て(第1の工
程)、そのりんモリブデン酸を酢酸イソブチルで抽出す
る(第2の工程)。この酢酸イソブチルによりりんモリ
ブデン酸を100%近く抽出できる。次に、その酢酸イ
ソブチルで抽出したものから過塩素酸で洗浄後純水によ
りりんを逆抽出する(第3の工程)。この純水を逆抽出
水として用いることにより、りんを100%逆抽出でき
る。従って、1ppmレベルのりんを精度良く定量でき
る。また、ベリリウムを使用ないため、作業環境上,
廃液処理上等の環境問題を生ずることもない。
【0013】請求項2記載の酸化鉄中のりん分析方法に
よれば、りん・モリブデン・マラカイトグリーンの三元
錯体はりん量に比例して発色し、吸光光度の感度が向上
するので、より高精度のりんの定量が可能となる。
【0014】請求項3記載の酸化物磁性材の製造方法に
よれば、請求項1又は2記載の酸化鉄中のりん分析方法
を用いることにより、高精度に定量されたりん分析値
得られ、りん含有量に起因する酸化物磁性材料の諸特性
が向上する。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を表及び図を参照して
詳述する。
【0016】図1は本発明の酸化鉄中のりん分析方法の
一実施例を示す工程図である。
【0017】本分析方法は、図1に示すように、酸化鉄
中のりんをモリブデン酸に反応させてりんモリブデン酸
を得る第1の工程(S1)と、そのりんモリブデン酸を
酢酸イソブチルで抽出する第2の工程(S2)と、その
酢酸イソブチルで抽出したものから過塩素酸で洗浄後純
水によりりんを逆抽出する第3の工程(S3)と、りん
・モリブデン・マラカイトグリーンの三元錯体を生成す
る第4の工程(S4)と、吸光度を測定する第5の工程
(S5)からなるものである。
【0018】前記第1の工程(S1)について説明す
る。まず、所定量(例えば1.0g)の試料を石英ビー
カーに量り取り(S10)、この試料に王水を20m
l,過塩素酸(HClO4 )を所定量(例えば15m
l)加えて試料を加熱溶解し(S11)、引き続き加熱
して過塩素酸の白煙を発生させる(S12)。白煙が発
生して10分経過後に冷却し(S13)、100mlの
分液ロートに移入して純水で約50mlにする。この場
合、りん濃度が5ppmを越える場合は、メスフラスコ
に移入後、適当に分液ロートに分液し、過塩素酸量が1
5mlになるように添加後操作する(S14)。次に、
15%モリブデン酸アンモニウム溶液を所定量(例えば
20ml)添加してりんモリブデン酸とし(S15)、
所定時間(例えば10分間)放置する(S16)。
【0019】なお、溶解工程(S11)における過塩素
酸(HClO4 )の添加量は、この添加量を8乃至20
mlまで変化させて、吸光度を測定した結果(図2参
照)、ほぼ一定の吸光度を示したが、10ml以下では
有機相の分離が悪かったので、15mlとしたが、通常
は白煙処理後全量を抽出する場合は、そのままでよい。
【0020】また、試料量は、定量下限を向上させる方
法の一つに試料量を増やす方法があるが、試料量を0.
2乃至2.0gまで変化させて吸光度を測定した結果
(図3参照)、ほぼ一定の吸光度を示した。なお、試料
中のりんPの含有量は、次の式(1) から求めた。
【0021】 P=(検量線から求めた量(μg)・10-4)/サンプル量(g) …(1)
【0022】この検量線は、りん標準溶液0乃至5μg
を20mlメスフラスコに入れ、1%モリブデン酸アン
モニウム6N塩酸溶液を添加した後、MG溶液(マラカ
イトグリーン)を加える操作以降同時に操作して作成し
て求めた。
【0023】また、りんをモリブデン酸に反応させる工
程(S15)における15%モリブデン酸アンモニウム
溶液の量は、鉄(酸化鉄として1g及び2g)に対しり
んを5μg添加し、モリブデン酸アンモニウムの添加量
を変化させた場合の吸光度を測定した結果(図4参
照)、試料量2gの場合は添加量が25ml以上で反応
生成物が析出して吸光度が測定できず、また添加量が1
0ml以上で吸光度が変化しているが、試料量1gの場
合は添加量が10ml以上でも安定した吸光度が得られ
たため、試料量1gに対し20mlとした。
【0024】また、15%モリブデン酸アンモニウム溶
液を添加した後の放置時間(反応時間)(S16)は、
15%モリブデン酸アンモニウム溶液を添加した直後か
ら60分まで放置時間を変化させて吸光度を測定した結
果(図5参照)、ほぼ一定の吸光度となったため、10
分とした。
【0025】前記第2の工程(S2)について説明す
る。有機溶媒として例えば酢酸イソブチルを所定量(例
えば20ml)添加してりんモリブデン酸を抽出させ、
所定時間(例えば2分間)混合する(S20)。次に、
過塩素酸(HClO4 (1+3))20mlで洗浄を複
数回(例えば5回)行う。
【0026】なお、抽出・混合の工程(S20)におけ
る有機溶媒は、酢酸イソブチル,メチルイソブチルケト
ン(MIBK),オクタールの有機溶媒にりん5μgを
抽出させて溶媒を蒸発させた後、発色させて吸光度を測
定した結果(表1参照)、酢酸イソブチル,MIBKに
ついてはほぼ等しい吸光度が得られたが、オクタールに
ついては溶媒を蒸発できず確認ができなかったため、酢
酸イソブチルとした。
【0027】
【表1】
【0028】また、抽出・混合の工程(S20)におけ
る酢酸イソブチルの添加量は、その添加量を5乃至50
mlまで変化させて吸光度を測定した結果(図6参
照)、110乃至30mlではほぼ一定した吸光度とな
ったため、20mlとした。
【0029】また、抽出・混合の工程(S20)におけ
る混合時間は、30秒乃至5分まで混合時間を変化させ
て吸光度を測定した結果(図7参照)、1分以降はほぼ
一定した吸光度となったため、2分とした。
【0030】また、洗浄工程(S21)における過塩素
酸HClO4 (1+3)の洗浄回数は、酸化鉄を0.2
g,0.5g,1.0gの場合について、洗浄回数を1
乃至6回まで変化させて吸光度を測定した結果(図9参
照)、酸化鉄1gの場合はりん濃度が低いと吸光度のば
らつきが大きく、また高い値が出るが、洗浄を4回以上
とすると、ほぼ一定の吸光度となったため、1回当たり
20mlを5回繰り返した。
【0031】前記第3の工程(S3)について説明す
る。逆抽出水として所定量(例えば10ml)の純水に
より逆抽出操作を所定回数(例えば3回)繰り返して、
下層を200ml石英ビーカーに捕集してりんを逆抽出
する(S30)。逆抽出した後混入する有機溶媒の分解
及びりんをりん酸イオンにするために、HNO3 を例え
ば10ml,過塩素酸(HClO4 )を所定量(例えば
5ml)添加し、更に残存する過塩素酸(HClO4
を発色時に影響を及ぼさない許容範囲とするために、混
入した有機溶媒を飛散後時計ざらで蓋をし、白煙が発生
したら蓋を取り除き乾固状態にする(S31)。
【0032】なお、逆抽出工程(S30)における逆抽
出水は、抽出溶媒を酢酸イソブチルに固定し、りんを5
μg抽出した後、塩酸10%,濃塩酸,純水について吸
光度を測定した結果(表2参照)、塩酸10%,濃塩酸
は殆ど逆抽出されなかったが、純水だけで行った場合標
準液だけ発色させた吸光度と一致する値が得られた。こ
のため、逆抽出水は純水とした。
【0033】
【表2】
【0034】また、先の3種類の有機溶媒を用いてりん
を5μgを抽出した後純水で逆抽出して吸光度を測定し
た結果(表3参照)、MIBK,オクタノールは逆抽出
されず、酢酸イソブチルはほぼ100%逆抽出されるこ
とが再度確認できた。
【0035】
【表3】
【0036】また、逆抽出工程(S30)における逆抽
出回数は、逆抽出回数を1乃至5回まで変化させて吸光
度を測定した結果(図8参照)、2回以上ではほぼ一定
した吸光度となったため、3回とした。
【0037】また、乾固工程S31における過塩素酸の
添加量は、その添加量を0乃至1.0mlまで変化させ
て吸光度を測定した結果(図10参照)、0乃至0.3
mlではほぼ一定の吸光度が得られるが、乾固状態とし
た。
【0038】前記第4の工程(S4)について説明す
る。乾固したりんを溶解すると同時にりん・Mo・マラ
カイトグリーンの三元錯体に反応できるようにするため
に、1%モリブデン酸アンモニウム6N塩酸溶液を所定
量(例えば2ml)添加する(S40)。そして、20
mlメスフラスコに移入する(S41)。0.05%M
G溶液(マラカイトグリーン)を所定量(例えば2m
l),PVAを1ml添加して反応させる(S42)。
20mlメスフラスコにメスアップする(S43)。沸
騰水浴中で所定時間(例えば10分間)加温し(S4
4)、その後所定時間(例えば20分間)冷却放置する
(S45)。
【0039】なお、溶解工程(S40)における1%モ
リブデン酸アンモニウム6N塩酸溶液の量は、1.0乃
至5.0mlまで変化させて吸光度を測定した結果(図
11参照)、1.4乃至2.6mlではほぼ一定した吸
光度となったため、2mlとした。
【0040】また、反応工程(S42)における0.0
5%マラカイトグリーンの添加量は、マラカイトグリー
ン三元錯体はりん量に比例し発色するが、1.0乃至
3.0mlまで変化させて吸光度を測定した結果(図1
2参照)、1.5ml以上でほぼ一定した吸光度となっ
たため、2mlとした。
【0041】また、加温工程(S44)における加熱時
間は、加温時間を沸騰水浴中で5乃至30分まで変化さ
せて吸光度を測定した結果(図13参照)、加温時間を
変えても吸光度はほぼ一定となったため、10分とし
た。
【0042】また、冷却・放置工程(S45)における
反応後の放置時間は、冷却放置時間を10乃至60分ま
で変化させて吸光度を測定した結果(図14参照)、冷
却放置時間を変えてもほぼ一定した吸光度となったた
め、20分とした。
【0043】前記吸光度の測定(S5)の吸収波長は、
図15に示すようになった。
【0044】このように構成された本実施例の酸化鉄中
のりん分析方法によれば、酢酸イソブチルによりりんモ
リブデン酸を100%近く抽出でき、その酢酸イソブチ
ルにより抽出されたりんモリブデン酸から過塩素酸で洗
浄後純水によりりんを100%近く逆抽出でき、更に
0.05%マラカイトグリーン添加して吸光度の感度
向上を図っているので、1.4ppmレベルのりんを
C.V値6.3%(n=20)で比較的高精度で定量で
きた。
【0045】なお、各りん濃度の吸光度の測定のばらつ
きは、過塩素酸(HClO4 (1+3))で5回洗浄
後、鉄にりん標準溶液を添加し、りん濃度を1乃至5μ
gまで変化させて吸光度を測定した結果(図16)、ば
らつきは、最大でも0.05μgの誤差となり、比較的
小さいことが判った。
【0046】また、共存元素の影響については、鉄(酸
化鉄として1g)にりん5μg及び各元素(mg)を添
加し検出量を調査した結果(表4参照)、TiV,Zr
については0.025%以下、W,Cr6+については
0.05%以下であれば影響が見られなかった。その他
の元素については、表4に示す。
【0047】
【表4】
【0048】また、分析方法の正確性については、高純
度鉄,酸化鉄及び鉄鋼標準試料に標準溶液を添加して調
査した結果(表5参照)、全操作を通じて理論値と比較
して分析値が正確であることが判明した。なお、分析し
た試料の種類は少ないが、分析した試料内では理論値と
良く一致している(回収率がほぼ100%)ことから問
題はないと判断できる。
【0049】
【表5】
【0050】また、分析精度については、本法による繰
り返し精度は、表6に示すように、1.4ppmでσ
0.088,C.V値6.3%(n=20)であった。
また、全操作を含めた試験値の吸光度は、0.036で
σ0.014(n=10)であった。その3σを定量下
限とするとりん含有量は0.3μgであった。さらに鉄
1gを溶解後フラスコに移し入れ、適当量分液して過塩
素酸量を調整後、本法の有機溶媒抽出操作以降同様に行
うことにより高含有のりんも定量できることが判明し
た。
【0051】
【表6】
【0052】次に、本発明の酸化物磁性材料の製造方法
の一実施例を説明する。
【0053】この酸化物磁性材料は、例えば、所定量の
酸化鉄(Fe2 3 ),酸化マンガン(MnO)及び酸
化亜鉛(ZnO)を含有する軟磁性フェライトとしての
マンガン亜鉛(Mn−Zn)フェライトに、添加材とし
て所定量の二酸化ケイ素(SiO2 )及び酸化カルシウ
ム(CaO)を含有するように各酸化物を秤量し、更に
図1に示すりんの分析方法により高精度に秤量した0乃
至10ppmのりんを添加,混合して得られる。
【0054】ここで、更にこの酸化物磁性材料からなる
磁心を得るには、所定量の前記各酸化物及びりんを湿式
混合し、例えば約900℃で仮焼成を行い、純水を使用
して湿式粉砕を行う。次に、プレス成型機により所定の
形(例えば円筒形状)に成型する。そして、例えば約1
300℃において空気と窒素(N2 )との混合ガスにて
焼成して、磁心が得られる。
【0055】このような酸化物磁性材料の製造方法によ
れば、これにより得られた酸化物磁性材料からなる磁心
は、りんの含有量を所定量に制御できるので、磁心損失
の低減化等の諸特性の向上が図れる。
【0056】なお、本発明は上記実施例に限定されず、
その要旨を変更しない範囲内で種々に変形実施できる。
例えば、軟磁性フェライトに添加するりん以外の添加材
は、なくてもよく、その他各種の添加材を用いてもよ
い。
【0057】
【発明の効果】以上詳述した請求項1記載の分析方法に
よれば、酢酸イソブチルにより100%近くりんモリブ
デン酸からを抽出し、その酢酸イソブチルにより抽出さ
れたりんモリブデン酸から過塩素酸で洗浄後純水により
りんを100%近く逆抽出しているので、1ppmレベ
ルのりんを精度良く定量可能となる。また、ベリリウム
を使用しなしないため、作業環境上,廃液処理上等の環
境問題を生ずることもない。従って、作業環境上,廃液
処理上等の環境問題を生ずることなく、1ppmレベル
のりんを精度良く定量し得る酸化鉄中のりん分析方法を
提供することができる。
【0058】請求項2記載の分析方法によれば、りん・
モリブデン・マラカイトグリーンの三元錯体により吸光
光度の感度が向上するので、より高精度のりんの定量が
可能となる。
【0059】請求項3記載の製造方法によれば、高精度
に定量されたりん分析値が得られるので、りん含有量に
起因する酸化物磁性材料の諸特性が向上する請求項1記
載の酸化鉄中のりん分析方法を用いているので、りん含
有量に起因する諸特性向上を図った酸化物磁性材の製造
方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸化鉄中のりん分析方法の一実施例を
示す工程図である。
【図2】試料溶解時の過塩素酸(HClO4 )の添加量
の検討結果を示すグラフである。
【図3】酸化鉄(Fe2 3 )の影響量の検討結果を示
すグラフである。
【図4】15%モリブデン酸アンモニウム溶液の添加量
の検討結果を示すグラフである。
【図5】15%モリブデン酸アンモニウム溶液を添加し
た後の放置時間の検討結果を示すグラフである。
【図6】抽出溶媒(酢酸イソブチル)の添加量の検討結
果を示すグラフである。
【図7】混合時間の検討結果を示すグラフである。
【図8】逆抽出回数の検討結果を示すグラフである。
【図9】鉄量と洗浄回数の検討結果を示すグラフであ
る。
【図10】発色時の過塩素酸(HClO4 )の量の検討
結果を示すグラフである。
【図11】1%モリブデン酸アンモニウム6N塩酸溶液
の添加量の検討結果を示すグラフである。
【図12】0.05%MG溶液(マラカイトグリーン)
の添加量の検討結果を示すグラフである。
【図13】発色加熱時間の検討結果を示すグラフであ
る。
【図14】反応後の放置時間の検討結果を示すグラフで
ある。
【図15】吸収波長の調査結果を示すグラフである。
【図16】各濃度による吸光度測定結果のばらつきの検
討結果を示すグラフである。
【図17】従来の酸化鉄(Fe2 3 )中のりん分析方
法を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 31/00 C01G 49/00 C04B 35/622 G01N 21/77

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化鉄中のりんをモリブデン酸に反応さ
    せてりんモリブデン酸を得る第一の工程と、前記りんモ
    リブデン酸を酢酸イソブチルで抽出する第2の工程と、
    前記酢酸イソブチルで抽出したものから過塩素酸で洗浄
    後純水によりりんを逆抽出する第3の工程とを含むこと
    を特徴とする酸化鉄中のりん分析方法。
  2. 【請求項2】 前記第3の工程の後、りん・モリブデン
    ・マラカイトグリーンの三元錯体を生成する第4の工程
    を含む請求項1記載の酸化鉄中のりん分析方法。
  3. 【請求項3】 軟磁性フェライトに、請求項1又は2記
    載の酸化鉄中のりん分析方法を用いて得たりん分析値に
    基づいて、前記軟磁性フェライト中のりんの含有量を所
    定値に制御することを特徴とする酸化物磁性材料の製造
    方法。
JP04017861A 1992-02-03 1992-02-03 酸化鉄中のりん分析方法及びその分析方法を用いた酸化物磁性材料の製造方法 Expired - Fee Related JP3142935B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04017861A JP3142935B2 (ja) 1992-02-03 1992-02-03 酸化鉄中のりん分析方法及びその分析方法を用いた酸化物磁性材料の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04017861A JP3142935B2 (ja) 1992-02-03 1992-02-03 酸化鉄中のりん分析方法及びその分析方法を用いた酸化物磁性材料の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05215740A JPH05215740A (ja) 1993-08-24
JP3142935B2 true JP3142935B2 (ja) 2001-03-07

Family

ID=11955445

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04017861A Expired - Fee Related JP3142935B2 (ja) 1992-02-03 1992-02-03 酸化鉄中のりん分析方法及びその分析方法を用いた酸化物磁性材料の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3142935B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102262009B (zh) * 2011-06-22 2012-11-14 武钢集团昆明钢铁股份有限公司 直接还原铁中磷含量的测定方法
CN102393368B (zh) * 2011-10-28 2014-04-09 内蒙古包钢钢联股份有限公司 一种海绵铁中磷含量的测定方法
JP7207167B2 (ja) * 2018-08-10 2023-01-18 住友金属鉱山株式会社 溶液中のリンの定量方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05215740A (ja) 1993-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ghasemi et al. Simultaneous spectrophotometric determination of trace amounts of uranium, thorium, and zirconium using the partial least squares method after their preconcentration by α-benzoin oxime modified Amberlite XAD-2000 resin
Sugiyama et al. Preconcentration by dithiocarbamate extraction for determination of trace elements in natural waters by inductively-coupled plasma atomic emission spectrometry
CN102419325B (zh) 一种碳酸锶中锶钙钡的测定方法
CN101408515B (zh) 钢铁中锆的测定方法
JP3142935B2 (ja) 酸化鉄中のりん分析方法及びその分析方法を用いた酸化物磁性材料の製造方法
Sakaguchi Miyamoto et al. Evaluation of coexistent metal ions with TiO 2: an EPR approach
Patil et al. Insights about inductively coupled plasma optical emission spectroscopy interferences of major rare earth elements in complex e-waste feeds
Desesa et al. Spectrophotometric and Polarographic Determinations of Soluble Silicate
Iwasaki et al. Simultaneous determination of 14 lanthanides and yttrium in rare earth ores by inductively-coupled plasma atomic emission spectrometry
JP2007108064A (ja) 試料形成材料および該試料形成材料からなる膜を備えた吸光分析装置
Shunxin et al. Separation and preconcentration of Se (IV)/Se (VI) speciation on algae and determination by graphite furnace atomic absorption spectrometry in sediment and water
Beimer et al. Metal complexing properties and proton magnetic resonance spectra of 5-halo-8-quinolinols
JP2012118032A (ja) 無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法
HuA-Li et al. Polarographic determination of traces of zirconium in ores by use of complex-forming compounds adsorbable at the dropping mercury electrode
Jones et al. Spectrophotometric determination of vanadium in plant materials
JPH10286561A (ja) ケイ素およびリンの分離方法並びに分析方法
CN102830118B (zh) 一种工业用三氮唑钠中三氮唑质量分数的测定方法
CN105758845A (zh) 电感耦合等离子体发射光谱测定石膏中三氧化硫的方法
Pickett et al. Determination of boron in fertilizers by emission flame photometry in the air-hydrogen flame
Weaver et al. Polarographic Determination of Sodium or Potassium in Various Materials
JP2004028884A (ja) 不純物元素の定量分析法
KR102126606B1 (ko) La 화합물 내 K 함량의 분석방법
Chao et al. The solubility products of some slightly soluble lead salts and the potentiometric titration of molybdate, tungstate, perrhenate and fluoride with use of a lead ion-selective electrode
CN110491531A (zh) 锆基体去除工艺及采用该工艺的燃耗测量方法
Childs et al. Determination of hexachlorophene in liquid soaps

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20001114

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees