JP3142926B2 - 液液接触塔 - Google Patents
液液接触塔Info
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Description
比重が異なる液体同士を効率よく向流接触させて混合す
るための液液接触塔に関し、さらに詳細には、抽出塔お
よび反応塔などとして好適に使用され得る、テイラー渦
(Taylor vortex)を利用する液液接触塔に係わる。
塔は、たとえば、抽出塔および反応塔などとして広く使
用されている。 抽出塔としては、設置面積が節約で
き、しかも抽出効率がよいなどの利点を有していること
から、シャイベル塔および回転円板抽出塔などの攪拌式
段型抽出塔が広く使用されている。しかしながら、これ
らの攪拌式段型抽出塔においては、高い抽出効率を得る
ためには強力な攪拌が必要とされ、そのために大きな攪
拌動力が必要とされる。また、どのように強力に攪拌し
ても、塔内にデッド・ゾーンが生ずるために塔の容積効
率が低く、塔内での状態が不均一になるとの本質的な欠
点を有しており、攪拌動力が小さくて済み、しかも、塔
内にはデッド・ゾーンが実質的に生ぜず、塔内の状態が
実質的に均一になり、容積効率および抽出効率がともに
高い抽出塔の開発が急がれている。また、反応器には、
回分式反応器、半回分式反応器および連続式反応器があ
る。前二者においては、操作が簡単で反応を比較的制御
し易く反応率が高くなる一方、反応の進行に伴って反応
液の粘度などの物性が変化し、反応後の反応生成物の取
り出しおよび反応器の洗浄などが必要であり、煩雑であ
る。後者は、反応後の反応生成物の取り出しおよび反応
器の洗浄などは必要ではないが、滞留時間が不均一であ
って、反応率の制御が困難である。このように、前二者
と後者とでは利害得失が互いに相反しており、両者の利
点を兼備している反応器の出現が期待されている。
拌動力が小さくて済み、しかも、塔内にはデッド・ゾー
ンが実質的に生ぜず、塔内の状態が実質的に均一にな
り、容積効率および抽出効率などがともに高い抽出塔な
らびに回分式反応器、半回分式反応器および連続式反応
器の利点を兼備している反応器を開発すべく、鋭意、研
鑽を重ねた結果、テイラー渦を利用することにより、前
記のような抽出塔および反応器として好適な、液液接触
塔が得られることを発見し、この発見に基づいて本発明
に到達した。すなわち、本発明は、外筒および内筒を有
し、該外筒と該内筒との間隙には、その上部に重液供給
管および軽液排出管ならびにその下部に軽液供給管およ
び重液排出管が配設され、該内筒を回転せしめて該間隙
に充填されている液体にテイラー渦を生成せしめること
を特徴とする液液接触塔である。
れ互いに同心的に配設された円筒であることが、実用
上、最も好ましいが、外筒および内筒が共に同心的な円
錐台状、もしくは逆円錐台状であってもよい。この場合
に、両円錐台の底角(側面の勾配)は互いに等しくても
よく、また、異なってもよい。また、外筒が円筒であ
り、これと同心的に内筒が蛇腹円筒状、または、円錐台
状、もしくは、逆円錐台状であってもよい。内筒と外筒
との間隙に液体が充填されている。この間隙に液体を充
填するために、この間隙の上部および下部のそれぞれに
は、重液供給管および軽液供給管が配設されている。こ
の間隙に供給された液量に相当する液をこの間隙から抜
き出すために、この間隙の上部および下部のそれぞれに
は、軽液排出管および重液排出管が配設されている。重
液供給管からの重液と軽液排出管から排出されるべき軽
液、軽液供給管からの軽液と重液排出管から排出される
べき重液が互いに混合しないような手段を講じなければ
ならない。そのためには、たとえば、デカンターなどが
利用される。
り、この間隙に充填された液体にテイラー渦を生成せし
める。テイラー渦とは、外筒が静止し、内筒が回転する
共軸二重筒の間隙において、内筒の回転数または回転速
度が或る限定された範囲内とされた場合にのみ生成せし
められ、間隙の長手方向に沿った回転面を有し、かつ、
回転方向が互いに逆な2個で1組のドーナツ状の2次流
である。回転数または回転速度を前記の限定された範囲
外とした場合にはテイラー渦は生成せしめられない。こ
の液体にテイラー渦を生成せしめるための内筒の回転数
または回転速度は、たとえば、予め予備実験によって、
または、計算により算出することができる。外筒と内筒
とが互いに同心的な円筒である場合には、内円筒の回転
数または回転速度は、次の式によって、内円筒の回転角
速度として算出される。
粘度νは、間隙中の液体の最小のものが採択される。
も薄く、または、厚くされた部分では、他の部分でテイ
ラー渦が生成されていても、これらの部分ではテイラー
渦は生成されない。他の部分よりも薄く、または、厚く
された部分が間隙の中間部とされた場合には、これらの
部分では、通常は、軽液と重液とに分離し、また、これ
らの部分が外筒内の上端部および下端部または間隙内の
上端部および下端部のそれぞれとされた場合には、これ
らの部分に、通常は、軽液および重液がそれぞれ貯留す
る。 間隙の厚さを他の部分よりも薄くするためには、内
筒の外周面のその部分に環を配設したり、もしくは、内
筒を外方に膨出させおよび/または外筒を内方に陥没さ
せることができる。就中、環を配設することが好まし
い。また、間隙の厚さを他の部分よりも厚くするために
は、内筒のその部分の径を小さくしおよび/または外筒
の径を大きくすればよい。内筒および/または外筒を蛇
腹状円筒とした場合にも、テイラー渦は間隙の厚さが減
少せしめられた部分および増大せしめられた部分のいず
れかにおいてのみ生成する。
として使用するときには、たとえば、重液供給管から目
的物質を含有する水溶液のような被抽出液が、また、軽
液供給管から有機溶媒のような抽剤がそれぞれ間隙に供
給された場合に、目的物質が溶存している抽出液および
抽残液はそれぞれ軽液排出管および重液排出管から塔外
へ排出される。これに対して、軽液供給管から目的物質
を含有する有機溶媒溶液のような被抽出液が、また、重
液供給管から水のような抽剤がそれぞれ間隙に供給され
た場合には、目的物質が溶存している抽出液および抽残
液をそれぞれ塔の下部および上部に貯留せしめ、次い
で、重液排出管および軽液排出管から塔外へ排出させる
こともできる。
反応塔として使用する場合には、重液供給管および軽液
供給管から、異なる反応原料含有液がそれぞれの比重に
応じて供給され、反応生成物含有液および/または反応
残渣含有液はそれぞれの比重に応じて、軽液排出管およ
び重液排出管のそれぞれから塔外へ排出せしめられる。
どをそれぞれ行なう場合には、内筒を回転せしめて間隙
内の液体にテイラー渦を生成させて、このテイラー渦に
より被抽出液と抽剤とを、または、異なる反応原料含有
液同士を充分に接触させ両者を混合して混合液とする。
この間に、間隙内のテイラー渦とされた液体は該間隙内
を水平方向にのみ移動するが、上下方向には移動しな
い。所定時間経過後に、内筒の回転速度を減らすか乃至
は停止させてテイラー渦を消失せしめる。このテイラー
渦が消失せしめられることにより、前記混合液は重液と
軽液とに分離して、再び、それぞれ間隙内を下降および
上昇する。その後、再度、内筒の回転数を増して間隙内
の液にテイラー渦を生成させて、このテイラー渦により
重液と軽液とを充分に接触させ両者を混合して混合液と
する。このような操作を繰り返すことにより抽出および
反応は実質的に完結せしめられ、抽出液および抽残液な
らびに反応生成物含有液および反応残渣含有液はそれぞ
れの比重に応じて間隙内の上端部および下端部または外
筒内の上端部および下端部のそれぞれに貯留し軽液層お
よび重液層を形成して、軽液排出管および重液排出管か
らそれぞれ塔外へ排出せしめられる。なお、テイラー渦
を生成せしめて両液同士を接触、混合せしめる所定時間
は、たとえば、抽出および反応において、それぞれ、所
望の抽出率および反応率などにより決定される。
ラー渦の生成時および消失時のどちらでもよく、また、
通常は、ヘッドまたはポンプなどによって行なわれる。
また、間隙の厚さが中央部よりも薄く、もしくは、厚く
された上端部および下端部を設け、または、内筒の長さ
を外筒の長さよりも短くして、外筒内の上端部および下
端部のそれぞれに内筒のない部分を形成させることによ
り、テイラー渦が生成せしめられないこれらの部分に軽
液および重液をそれぞれ貯留せしめて形成せしめた軽液
層および重液層のそれぞれから軽液排出管および重液排
出管を経由して軽液および重液をそれぞれ塔外へ排出せ
しめることもできる。さらに、内筒を中空の筒体とした
場合には、塔が軽量となり、かつ、この中空の筒体内に
熱媒または冷媒を通過させまたは内蔵せしめて塔内の液
体を加熱、冷却できるので好ましい。なお、内筒を中実
の円柱とすることを妨げない。また、外筒の外周面にジ
ャケットを設け、このジャケットに熱媒または冷媒を通
過させて塔内の液体を加熱、冷却することができる。
する。なお、図面は本発明の原理を説明するためのもの
であり、図1および図2は、それぞれ、本発明の液液接
触塔のフローシートおよび本発明の液液接触塔の塔体で
ある外筒と内筒との縦断端面図である。図1の液液接触
塔は、外筒1と内筒2とを有している。外筒1および内
筒2は同心的に配設された円筒であり、両者により、間
隙3が形成されている。この間隙3の上部には重液供給
管4および軽液供給管5が、また、この間隙3の下部に
は重液排出管6および軽液排出管7が、それぞれ配設さ
れている。図1において(A)および(B)は、内筒2が回転
せしめられて間隙3内の液体8に、間隙の長手方向に沿
った回転面を有し、かつ、回転が互いに逆方向の2個で
1組のドーナツ状の2次流あるテイラー渦9,10の複
数組が生成せしめられている状態および内筒2が停止せ
しめられて間隙3内の液体8に生成せしめられたテイラ
ー渦が消失せしめられている状態をそれぞれ示してい
る。重液供給管4からは重液が、また、軽液供給管7か
らは軽液がポンプ11によって間隙3にそれぞれ供給さ
れる。図1(A)に示されているように、この重液および
軽液は間隙3で生成せしめられたテイラー渦によって互
いに接触せしめられ混合されて混合液とされる。このと
きに、間隙3内の液体は、間隙3の長軸線に対して垂直
方向にのみに移動し、間隙3の長軸線方向へは移動しな
い。
1(B)に示されているように内筒2を停止せしめてテイ
ラー渦を消失せしめると、間隙3内の混合液は、重液と
軽液とに分離し、この重液および軽液はそれぞれ間隙3
内を下降および上昇する。このような、内筒1の回転と
停止とを繰り返すことにより、重液と軽液とは充分に接
触、混合せしめられ、所定の、たとえば、抽出率または
反応率に達し、次いで、それによって生成された混合液
から軽液および重液が互いに分離し、それぞれ外筒1内
の上端部および下端部に逐次貯留して、遂には、それぞ
れ軽液層および重液層を形成する。外筒1内の上端部に
貯留した軽液は、軽液排出管5、下降管12、上昇管1
3および貯槽14を経由して塔外へ排出せしめられる。
一方、外筒1内の下端部に貯留した重液は、重液排出管
6、上昇管15および貯槽16を経由して塔外へ排出せ
しめられる。なお、貯槽14および16のそれぞれはデ
カンターとされている。
は互いに同心的に配設されており、 ( A)は、外筒1および内筒2が、それぞれ底角が互いに
実質的に等しい円錐台状の筒、 (B)は、外筒1および内筒2が、それぞれ底角が互いに
実質的に等しい逆円錐台状の筒、 (C)は、外筒1が円筒であり、内筒2が蛇腹状円筒、 (D)は、外筒1が円筒であり、内筒2が円錐台状の筒な
らびに (E)は、外筒1が円筒であり、内筒2が逆円錐台状の筒
である液液接触塔の塔体をそれぞれ示している。
て済み、しかも、塔内にはデッド・ゾーンが実質的に生
ぜず、塔内の状態が実質的に均一になり、液体同士の接
触が良好であり、たとえば、抽出塔および反応器などと
して好適に使用される。たとえば、抽出塔として使用す
る場合には容積効率および抽出効率がともに高くなり、
また、反応器として使用する場合には回分反応器、半回
分反応器および連続式反応器の利点を兼備し、操作が簡
単で反応を比較的制御し易く反応率も高くなり、反応の
経過に伴う反応液の物性の大きな変化はない。
Claims (4)
- 【請求項1】外筒および内筒を有し、該外筒と該内筒と
の間隙には、その上部に重液供給管および軽液排出管な
らびにその下部に軽液供給管および重液排出管が配設さ
れ、該内筒を回転せしめて該間隙に充填されている液体
にテイラー渦を生成せしめることを特徴とする液液接触
塔。 - 【請求項2】外筒および内筒がそれぞれ互いに同心的に
配設された円筒である「請求項1」の液液接触塔。 - 【請求項3】内筒が、その回転数を任意に調節すること
ができる「請求項1」または「請求項2」の液液接触
塔。 - 【請求項4】内筒の外周面に少なくとも1個の環が配設
されている「請求項1」乃至「請求項3」のいずれか1
項の液液接触塔。
Priority Applications (1)
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Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP03313082A JP3142926B2 (ja) | 1991-11-01 | 1991-11-01 | 液液接触塔 |
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ID=18036970
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP03313082A Expired - Lifetime JP3142926B2 (ja) | 1991-11-01 | 1991-11-01 | 液液接触塔 |
Country Status (1)
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- 1991-11-01 JP JP03313082A patent/JP3142926B2/ja not_active Expired - Lifetime
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