JP3139522B2 - 包装用熱可塑性樹脂フイルム - Google Patents

包装用熱可塑性樹脂フイルム

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JP3139522B2
JP3139522B2 JP06109753A JP10975394A JP3139522B2 JP 3139522 B2 JP3139522 B2 JP 3139522B2 JP 06109753 A JP06109753 A JP 06109753A JP 10975394 A JP10975394 A JP 10975394A JP 3139522 B2 JP3139522 B2 JP 3139522B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸素や水蒸気などの遮
断性に優れた(以下ガスバリア性と言う)包装用熱可塑
性樹脂フイルム、金属化熱可塑性樹脂フイルムおよび金
属酸化物被覆熱可塑性樹脂フイルムに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、アルミニウム等の金属あるいは、
金属化合物の熱可塑性樹脂フイルムへの真空蒸着は金銀
糸、コンデンサ、食品などに幅広く用いられてきた。し
かし、一般にこれらの蒸着膜は単に基体であるプラスチ
ックフイルムなどにそのまま蒸着されるため、基体との
接着力が弱いなどの問題があり、種々改良方法が検討さ
れている。
【0003】例えば、プラスチックフイルムを低温プラ
ズマ雰囲気中で処理した後、金属を蒸着する蒸着フイル
ムの製造方法として、特公昭52−25868,特開昭
63−242534,特開昭63−270455,特開
平3−247750などの提案がある。
【0004】しかしながら、かかる従来の低温プラズマ
雰囲気中で処理した後、金属を蒸着した蒸着フイルムの
主たる目的は、蒸着膜と基体との接着力を高めることに
あり、ガスバリア性の向上については全く考慮されてお
らず、十分なガスバリア性が得られない。
【0005】このため、特開平6−65712に提案さ
れたように、特定の電極で、特定の圧力以下で炭酸ガス
の低温プラズマ雰囲気中で前処理したあと、連続して金
属蒸着を設けることによりガスバリア性を向上させよう
とする提案がなされている。一方、近年特に内容物の状
態を確認できる透明ガスバリア性が要求される傾向が強
くなり、その手法として、金属酸化物を熱可塑性樹脂フ
イルムに形成した、すなわち金属酸化物被覆熱可塑性樹
脂フイルムがガスバリア性と透明性に優れているが知ら
れている。これらの中で特に酸化珪素を熱可塑性樹脂フ
イルム上に形成したものが特公昭53−12953号公
報に、酸化アルミニウムを形成したものが特開昭62−
179935号公報により知られている。
【0006】しかし、これらにもフイルムの着色、カー
ル、クラックが発生しやすいため、特開平5−3380
72にアルミニウムの酸化膜と金属成分をコントルール
するものが提案されてきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の前者手
法ではまだ十分なガスバリア性が得られないこと、後者
の手法では装置が複雑で生産性も悪く、安定したガスバ
リア性が得られないため、従来の蒸着設備で安価にガス
バリア性を向上させることのできる包装用熱可塑性樹脂
フイルム,金属化熱可塑性樹脂フイルムを提供すること
を目的とするものである。
【0008】また、金属酸化物被覆熱可塑性樹脂フイル
ムにおいては前記問題点がなく、かつさらに高ガスバリ
ア性、透明性に優れた金属酸化物被覆熱可塑性樹脂フイ
ルムを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、次ぎの構成すなわち、本発明は、少な
くとも片面に被膜を形成してなる熱可塑性樹脂フイルム
であって、該被膜の表面カルボン酸濃度が0.01以上
であり、かつ、被膜の厚みが0.02〜0.5μmであ
ることを特徴とする包装用熱可塑性樹脂フイルムであ
る。
【0010】本発明における熱可塑性樹脂とは、ポリエ
ステル,ポリオレフィン,ポリアミド、ポリフェニレン
スルフィド樹脂などのように熱によって可塑化可能な樹
脂を言う。
【0011】本発明におけるポリエステル樹脂として
は、エステル化によって高分子化されている結晶性の熱
可塑性樹脂組成物であり、このようなポリエステルはジ
カルボン酸成分とグリコール成分を重縮合することによ
って得られる。ジカルボン酸成分としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘ
キサンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸な
どが挙げられ、グリコール成分としてはエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。こ
れらのうち酸成分としてはテレフタル酸、ナフタレン−
2,6−ジカルボキシレートが好ましく、グルコール成
分としてはエチレングリコールが好ましい。
【0012】該ポリエステルの融点は250℃以上であ
ることが耐熱性の点から好ましく、また300℃以下で
あることが生産性の点から好ましい。また、このような
好ましいポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−
1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートを
挙げることができる。これらのポリマには他の成分が共
重合、ブレンドされていることは差し支えない。
【0013】また、これらポリエステルの極限粘度は、
0.50dl/g以上、好ましくは0.6dl/g以
上,さらに好ましくは0.7dl/g以上が機械的性
質,透明性,成型性などに優れるため好ましい。
【0014】本発明におけるポリオレフィン樹脂として
は、ポリプロピレン,ポリスチレンなどをあげることが
できる。
【0015】また、これらポリオレフィン樹脂には、他
の成分の共重合、ブレンドなどがされていることは差し
支えない。このポリオレフィン樹脂の極限粘度は、1.
0〜3.0dl/g、好ましくは1.4〜2.5dl/
gが、生産性,耐圧性,機械特性,耐湿熱ライフ性に優
れ好ましい。
【0016】本発明におけるポリフェニレンスルフィド
樹脂(以下PPSと言う)としては繰り返し単位の70
モル%以上、好ましくは85モル%以上が下記構造式化
【化1】 で表わされるp−フェニレンスルフィドユニットからな
るものを言う。70モル%未満では、ポリマの結晶性、
熱特性が低くなり、二軸延伸時の特徴である耐熱性、寸
法安定性、機械特性などを悪化させるため好ましくな
い。PPS樹脂の溶融粘度は、300℃、剪断速度20
0sec-1のもとで100〜50000ポイズの範囲で
あり、好ましくは500〜12000ポイズの範囲のも
のが生産性、フイルム特性から好ましい。
【0017】本発明におけるポリアミド樹脂としては、
アミド結合を有する高分子化合物で形成された樹脂の総
称であって、脂肪族ポリアミドでも、芳香族ポリアミド
であってもよい。代表的なポリアミドとしてはナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナ
イロン12、ポリエチレンイソフタラミド、ポリメタキ
シリレンアジパミド、ポリ(ヘキサメチレンイソフタラ
ミド/テレフタラミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフ
タラミド/モノメチルテレフタラミド)、ヘキサメチレ
ンイソフタラミド/テレフタラミドとε−カプロラクタ
ムとの共重合体、ヘキサメチレンテレフタラミドとヘキ
サメチレンアジパミドなどが挙げられ、これらは単独で
の使用であってもよいし、2成分以上を混合したもので
あってもよい。
【0018】このポリアミド樹脂の粘度はフイルム成形
性、機械的強度の観点から98%硫酸中での相対粘度
[ηr]が2〜5、好ましくは2.5〜4のものが好適
である。この範囲より小さいものでは二軸延伸フイルム
としたとき耐衝撃性が劣ったものとなり易く、この範囲
より高いものでは製膜性(延伸安定性)が悪化しやす
い。
【0019】この熱可塑性樹脂フイルムは必ずしも単膜
である必要はなく、複合フイルムであってもよい。また
その複合を構成するポリマも同一ポリマの共重合,変成
物,ブレンド物また異種ポリマとの積層であってもよ
い。例えば、ラミネート性やヒートシール性を付与する
ためにベースとなる熱可塑性フイルムのガラス転移温度
(Tg)や融点よりも低いものとの複合や耐熱性を付与
するために逆にTgや融点の高いものを複合するなどが
ある。また、複合方法としては、二軸延伸製造工程中で
もよく、オフラインすなわち二軸延伸した後に各種のラ
ミネートする方法であってもよい。
【0020】これらの熱可塑性樹脂フイルムは、二軸延
伸フイルムであるのが機械的特性、透明性、バリア性、
透明性などから好ましい。
【0021】本発明における少なくとも片面の表面のカ
ルボン酸濃度は0.01以上が必要であり、好ましくは
0.015、更に好ましくは0.02以上であるのが良
い。0.01未満では、本発明の目的とする蒸着後の水
蒸気や酸素などのバリア性が悪化する。
【0022】本発明の少なくとも片面の表面のカルボン
酸濃度が、0.01以上を得る方法としては、カルボン
酸を末端および/または側鎖に多く有する樹脂を表面に
被覆(複合溶融押出法,ホットメルトコート法,水溶性
及び/または水分散性樹脂からのインラインコート法な
ど)する方法や、同様組成のブレンド品の表層積層法な
どによって得られる。
【0023】このカルボン酸を末端および/または側鎖
に多く有する樹脂を得る方法としては、ポリエステル系
樹脂においては、特開昭54−46294,特開昭60
ー209073,特開昭62−240318,特開昭5
3−26828,特開昭53−26829,特開昭53
−98336,特開昭56−116718,特開昭61
−124684などに記載の3価以上の多価カルボン酸
を共重合した樹脂により製造することができる。
【0024】この多価カルボン酸としては、たとえばト
リメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、
無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,
2,3,−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,
3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペ
ンタンテトラカルボン酸、3,3‘,4,4’−ベンゾ
フェノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテ
トラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキ
セン−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオキソ
テトラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−1,
2−ジカルボン酸,シクロペンタンテトラカルボン酸、
2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,
2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレング
リコールビストリメリテート、2,2’,3,3’−ジ
フェニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,
5−テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸など
が挙げられる。これらの中で特に好ましいものとしては
ポリエステル共重合体とした時、昇温とともに分子量が
低下するが、降温とともに分子量が増加する(必ずしも
元の分子量である必要はない)、すなわち、分子量が可
逆的変化をするものが好ましい、ガスバリア性の向上効
果のみでなく再使用時発泡や溶融粘度低下、異物の発生
が起こり難いため好ましい。この具体例としては5−
(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メ
チル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸など
が挙げられる。
【0025】ポリエステル成分については公知のグリコ
ール成分と酸成分により得られるが、ポリエーテル成分
は含まないのがガスバリア性の点で好ましく、エーテル
成分は50モル%を越えて含まないのがガスバリア性の
点で好ましい。
【0026】また、ポリエチレンテレフタレートの極限
粘度を低下させることによっても達成されるが、ガスバ
リア性の観点からは末端カルボン酸よりも前者の方法が
優れたものとなる。
【0027】また、ポリウレタン系樹脂においては、特
開昭61−228030などに示されたポリエステルウ
レタンなどが挙げられ、そのカルボン酸成分としては
2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロ
ール酪酸などのペンダントカルボキシル基などが挙げら
れ、その導入方法としては特公昭52−3438などが
挙げられる。
【0028】さらにアクリル系樹脂においては、「水系
塗料とコーティング技術」((株)技術情報協会編)に
記載されたような親水基がアニオン型のカルボキシル基
を用いたものにより得られる。
【0029】また、これら以外の方法であっても良い。
しかし、すべてのポリマについて共通する内容として主
鎖の末端にカルボン酸を有するよりも側鎖またはペンダ
ントにカルボン酸を有する方がガスバリア性向上効果は
大きいことから好ましい。
【0030】また、これらの樹脂は、そのガラス転移温
度が120℃以下、好ましくは110〜50℃であるの
がガスバリア性の観点から好ましい。このガラス転移温
度をコントロールする手法としては、その樹脂の共重合
成分や共重合割合を変更することにより、容易に可能で
ある。
【0031】これらの樹脂は、その被覆方法によってこ
となるが、前述した水溶性及び/または水分散性樹脂か
らのインラインコート法による場合は前述のカルボキシ
ル基を中和し、カルボン酸塩とすることにより得られ
る。
【0032】しかし、カルボン酸塩の状態のものがフイ
ルムに存在すると目標とするガスバリア性が悪化し易い
ので、含まないことが好ましい。
【0033】また、水溶化、水分散化のため中和し、カ
ルボン酸塩を作るが上述理由から中和剤としてはその沸
点が170℃以下,好ましくは150℃以下,より好ま
しくは130℃以下、さらに好ましくは100℃以下で
あるのがガスバリア性の観点から好ましい。
【0034】また、表面カルボン酸濃度は、上述したポ
リマの3価以上の多価カルボン酸量を変えることによ
り、濃度を変えることができる。
【0035】また、これらにより構成された表面カルボ
ン酸濃度が0.01以上のフイルムを公知の表面処理
(コロナ放電処理、プラズマ放電処理など)をすること
によってもさらにガスバリア性は向上される。
【0036】本発明における熱可塑性樹脂フイルムの表
面は、表面粗さが0.002〜1.0μmであるのが好
ましく、0.002μm未満では、ブロッキング性や滑
り性が悪くなり、巻取性、ラミネート性、開袋性などが
悪くなる傾向にある。
【0037】また、1.0μmを越えるものでは、本発
明の目的とするガスバリア性が悪くなる傾向にある。
【0038】この表面を形成する手段としては熱可塑性
樹脂フイルム中や被覆フイルムにおいては被覆樹脂中
に、不活性粒子を添加することにより得られ、場合によ
ってはいずれか一方の層に添加することにより得られ
る。具体例としては、シリカ,炭酸カルシウム,酸化チ
タン,カオリン,タルク,アルミナなどがある。さらに
架橋高分子粒子なども用いることができる。
【0039】また、滑り性を得るための別の手段として
は、炭素数が10〜23の高級脂肪族モノカルボン酸ま
たはそのエステルからなる化合物を0.01%以下添加
することによってもガスバリア性に優れ、かつ滑り性,
耐ブロッキング性を付与できるため好ましい。
【0040】また、この被覆層の厚みは少なくとも片面
に、0.01〜2μmである必要があり、好ましくは
0.02〜0.5μmである。0.01μm未満ではガ
スバリア性が改良されない。また、2μmを越えるもの
では、前述の表面形態としも十分な滑り性、耐ブロッキ
ング性は得られない。とくに本発明では0.02〜0.
5μmの範囲に規定したので、良好なガスバリア性、十
分な滑り性、耐ブロッキング性が得られる。
【0041】次に本発明の製造方法について説明するが
必ずしも限定されるものではない。まず、熱可塑性樹脂
を押出機にて溶融押出し、一方別の押出機から前述した
カルボン酸を末端および/または側鎖に多く有する他の
樹脂をブレンドした熱可塑性樹脂を2層以上の複合フイ
ルムとなるよう、融点を越える温度で溶融押出し、ガラ
ス転移点以下に冷却、キャストし、ガラス転移点以上に
加熱したのち、長手方向に2.8〜7.5倍延伸し、さ
らにステンターにてガラス転移点以上に予熱したのち
3.0〜12倍に幅方向に延伸し、必要により弛緩し、
熱可塑性樹脂の融点未満の温度で(160〜260℃)
熱固定する。
【0042】また、別の方法として、長手方向の延伸が
終わったあとコロナ放電処理を行ない、前述した、カル
ボン酸を末端および/または側鎖に多く有する樹脂をホ
ットメルトコータにて塗布し、同様の延伸,熱固定によ
り得る。
【0043】また、溶融粘度が高い場合は、複合製膜に
よっても良い。
【0044】また、水溶性及び/または水分散性樹脂を
用いる場合は、長手方向の延伸が終わったあとコロナ放
電処理を行ない公知の方法でコートし、ステンタにて予
熱、幅方向延伸、熱処理(必要により弛緩)を行なうこ
とにより得られる。
【0045】また、別の表面被覆方法としては、熱可塑
性樹脂フイルムを二軸延伸フイルムとしたのちに、コー
トする方法(すなわち、オフラインコート方法)もあ
り、この際は、被覆剤をコートする前に、コロナ放電な
どの処理を行ない、その後、コートし熱処理する方法で
ある。
【0046】また、これらの各手法であってもその熱処
理温度,処理時間,弛緩処理が重要であり、被覆樹脂の
軟化温度(融点の存在しない非晶性樹脂の場合),融点
よりも高く、好ましくは+30℃以上で処理することが
重要である。またその処理時間も5秒以上、好ましくは
10秒以上であることが重要である。さらにその際に長
手方向および/または幅方向に少なくとも3%以上弛緩
することが重要であり、同一被覆樹脂を用いてもそのガ
スバリア性向上効果は変化を与える。
【0047】次に、金属化熱可塑性樹脂フイルムとする
ためには、本発明の表面カルボン酸濃度が0.01以上
である表面に、公知の蒸着方法(真空蒸着、電子ビーム
蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等)によ
りアルミニウム等を蒸着して得られる。また、特開平6
−65712に示した方法を併用することによってさら
にガスバリア性が向上するため好ましい。
【0048】この蒸着金属膜の厚みは、ガスバリア性お
よび可撓性などの点で、10〜200nmが好ましく、
より好ましくは20〜100nmが良い。10nm未満
ではガスバリア性、特に酸素バリア性が十分でなく、2
00nmを越えると折曲げによる割れ、剥離が生じやす
く、蒸着時の熱負けによる白化やカールの発生さらには
可撓性が悪くなるなどの問題を有する場合がある。
【0049】この金属蒸着層に使用する金属としてはA
l,Zn,Mg,Sn,Ti,In,Cr,Ni,C
u,Pb,Feなどがあり、これらのうちAl,Zn,
Mg,Snが本発明にとって好ましい。また、この金属
は純度が99%以上,好ましくは99.5%以上のもの
が本発明の目的から好ましく、より好ましくはAlが生
産性の点で好ましい。
【0050】また、金属酸化物被膜熱可塑性樹脂フイル
ムとするためには、公知の方法であればよいが特開平4
−225939のように本発明のフイルムを10W・分
/m2 以上の処理強度で低温プラズマ処理し、反応性蒸
着により金属酸化物被膜を設ける手法を用いるとより一
層優れたガスバリア性が得られるため好ましい。
【0051】また、本発明の金属化又は金属酸化物被熱
可塑性樹脂フイルムにおいては、カルボン酸と蒸着金属
の結合が確認され、理由はさだかでないがガスバリア性
効果との関係が存在する。したがって表面カルボン酸濃
度の定量が困難な場合、この結合の有無により判断が可
能である。
【0052】本発明のフイルムは優れたガスバリア性が
得られるため、食品、医薬品、電子部品、機械部品など
の包装材料として広く用いることができる。
【0053】
【評価方法】
(1)フイルムの表面粗さRa JIS R601に準じて測定する。
【0054】(2)OD値(Optical Dens
ity) マクベス社製マクベス濃度計TR−927を用いて、透
過法で測定した。
【0055】(3)酸素透過率 ASTM D3985に準じて、モダンコントロール社
製酸素透過率測定装置OX−TRAN100を用いて、
20℃、0%RHの条件にて測定した。
【0056】(4)水蒸気透過率 水蒸気透過率測定装置(ハネウエル(株)製 W82
5)を用いて40℃、100%RHの条件で測定した。
【0057】(5)ガラス転移温度(Tg) パーキンエルマ社製DSCIIを用い、10mmgをサン
プリングし、昇温速度20℃/minで測定し、求め
た。
【0058】(6)表面のカルボン酸濃度 島津製作所製 ESCA750を使用し、次ぎの条件で
測定した。
【0059】励起X線:MgKα1,2 線(1253.6eV) 光電子脱出角度θ:90゜ 標準サンプルはポリアクリル酸(PAA)フイルムを使
用した。
【0060】標準サンプル,測定サンプル共に以下の気
相化学修飾反応を実施した。
【0061】
【化2】 試料フイルムと標準試料であるPAAフイルムを約1c
m角に切り、デシケータ中で空気雰囲気下、ピリジンと
ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を触媒と
し、トリフルオロエタノール(TFE)により、フイル
ム表面カルボン酸のエステル化を行なった(試料フイル
ムとPAAフイルムは同一バッチで行なった)。
【0062】PAA標準試料からTFEとの反応率
(r)と反応触媒として用いたDCCの残留率(m)を
求め、各試料のC1S ,F1S のピーク面積にrとmを
配慮してフイルム表面カルボン酸濃度(ー COOH/C[tota
l ])を求めた。
【0063】(7)アルミニウム酸化膜中のアルミニウ
ムの金属成分の分析 X線光電子分光法(以下XPSと言う)分析によるAl
2pスペクトルによって判別することができる。すなわ
ち、該スペクトルが酸化されたアルミニウムによるピー
ク(Al(III ))以外に金属成分の存在を示すAl
(0)ピークを有するとき、アルミニウムの金属成分が
含有されていることが判る。またアルミニウム酸化膜の
内部にのみアルミニウムの金属成分が含有されているこ
とを確認するには、該XPS分析をアルミニウム酸化膜
の表面から行なうだけでなく、表面から少しずつイオン
エッチングしながらXPS分析を行ない、アルミニウム
酸化膜の深さ方向に沿ったAl2pスペクトルの変化を
追うことにより測定できる。詳細は特開平4−2259
39と同様手法で定量分析ができる。
【0064】(8)被膜厚みの測定方法 被覆樹脂の溶剤により被覆層を除去し、除去前の厚み
(T0 )と除去後の厚み(T1 )を安立電気(株)製電
子マイクロメータK103Aを用い厚み測定した。
【0065】被覆厚み(T)=T0 −T1 サンプルは5cm角を取り、10点測定しその平均値を
用いた。
【0066】また、別の方法としてはTEM(透過型電
子顕微鏡)などを用い、断面を観察し、前述の厚み計で
トータル厚みを測定し、断面観察により構成比を求める
手法であっても良く、観察しやすくするため、染色など
の事前処理を行なってもよい。
【0067】
【実施例】以下本発明を実施例に基づき説明する。
【0068】比較例1 熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレート(極限
粘度0.60)を用い、180℃で真空乾燥し、押出機
に供給し、290℃で溶融させたのちTダイよりシート
を吐出させ、冷却ドラムにてキャストした。
【0069】このフイルムを90℃に加熱し、長手方向
に3.5倍延伸し、コロナ放電処理を施したのち、コー
トし、90℃に予熱し、さらに100℃に加熱して幅方
向に3.6倍に延伸し、引続き240℃で4%弛緩処理
をし、12μmの二軸延伸フイルムを得た。コート厚み
は0.1μmとした。
【0070】このコート剤として、メチルメタアクリレ
ートとメチルアクリレートを60/40の共重合体でア
クリル酸を1.28wt%導入した水分散性アクリル樹
脂を用いた。
【0071】また、蒸着フイルムとするため電子ビーム
加熱型真空蒸着機を用い2×10-3パスカルまで真空排
気した後、アルモニウムの真空蒸着を行なった。膜厚3
0nmのアルミニウム膜厚を形成した。この際フイルム
冷却ドラムの温度は、30℃で実施した。
【0072】比較例 被膜を設けなかった以外は比較例1と同様とした。
【0073】実施例 コート剤として、メチルメタアクリレートとメチルアク
リレートを60/40の共重合体でアクリル酸を2.5
wt%導入した水分散性アクリル樹脂を用いた以外は
較例1と同様とした。
【0074】実施例 コート剤として、メチルメタアクリレートとメチルアク
リレートを60/40の共重合体でアクリル酸を5.8
wt%導入した水分散性アクリル樹脂を用いた以外は
較例1と同様とした。
【0075】実施例 コート剤として、メチルメタアクリレートとメチルアク
リレートを60/40の共重合体でアクリル酸を16.
0wt%導入した水分散性アクリル樹脂を用いた以外は
比較例1と同様とした。
【0076】実施例 極限粘度1.8のポリプロピレンを押出機に供給し、2
80℃で溶融させ、Tダイよりシートを吐出させ、冷却
ドラムにてキャストした。このフイルムを125℃に加
熱し、長手方向に5倍延伸し、コロナ放電処理をした
後、実施例2と同様のコート剤を塗布し、95℃で予熱
を行ない水がなくなったあと引続き158℃に加熱し、
8.5倍延伸を行ない、5%の弛緩処理を160℃で行
ないフイルム厚み18μm(被覆厚み0.1μm)の二
軸延伸フイルムを得た。
【0077】比較例 コート剤を塗布しない以外は実施例と同様とした。
【0078】比較例4、実施例5,6 蒸着に変わり以下の酸化膜を設ける以外は比較例1,実
施例1,3と同様とした。
【0079】蒸発電源として電子ビーム加熱方式で、ア
ルミナ製ルツボに純度99.99%のアルミニウム金属
を装填して蒸着した。ロール状で巻出しロールから冷却
ドラム上に送膜し、蒸発電源上で蒸着が行なわれる。酸
素雰囲気として100%酸素を巻だし側から導入した。
冷却ドラムは冷水により25℃に冷却した。真空排気を
行ない到達圧力5×10-5Torr以下で蒸着を開始
し、インラインの光線透過率計および抵抗率計を用い蒸
発速度を目標に併せ酸素ガスを導入し、光線透過率を目
標に併せるように酸素導入量を調整した。膜厚は蒸発量
とフイルム走行速度で併せた。膜厚は6.2nm、光線
透過率は97〜98%とした。
【0080】
【表1】
【0081】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂フイルムは従来の
熱可塑性樹脂フイルムに比べ、表面カルボン酸濃度を
0.01以上とし、かつ、被膜の厚みを0.02〜0.
5μmとすることにより、金属蒸着および透明ガスバリ
ア性に優れ、巻取性、滑り性、ブロッキング防止性にも
優れた熱可塑性樹脂フイルムが得られたものである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−176858(JP,A) 特開 昭59−202232(JP,A) 特開 昭51−56883(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C08J 7/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも片面に被膜を形成してなる熱
    可塑性樹脂フイルムであって、該被膜の表面カルボン酸
    濃度が0.01以上であり、かつ、被膜の厚みが0.0
    2〜0.5μmであることを特徴とする包装用熱可塑性
    樹脂フイルム。
  2. 【請求項2】 該熱可塑性樹脂フイルムがポリエステ
    ル、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド又はポ
    リアミド樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載
    の包装用熱可塑性樹脂フイルム。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の包装用熱可塑
    性樹脂フイルムの少なくとも片面に金属層を設けたこと
    を特徴とする包装用金属化熱可塑性樹脂フイルム。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の包装用熱可塑
    性樹脂フイルムの少なくとも片面に金属酸化物層を設け
    たことを特徴とする包装用金属酸化物被覆熱可塑性樹脂
    フイルム。
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