JP3139044U - 小径ドリル - Google Patents
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Abstract
【課題】クリップ等の手工具によって柄部を掴んで移動又は運搬する際に滑り落ちることのない、電子回路用プリント基板の穴あけに用いられる小径ドリルを提供する。
【解決手段】略丸棒状をなす工具本体10には、工具本体10の先端側に設けられた刃部20と、基端側に設けられた柄部30と、刃部20と柄部30との間に設けられた円錐状のテーパ部40とが備えられる。さらに、柄部30とテーパ部との間には段差部50が形成され、この段差部50の最先端における直径d1が柄部の直径dに対して10μm〜70μmの範囲で縮小し、しかも、段差部50の外周面の表面のあらさが柄部30の外周面の表面のあらさより粗くなるようにした。
【選択図】図1
【解決手段】略丸棒状をなす工具本体10には、工具本体10の先端側に設けられた刃部20と、基端側に設けられた柄部30と、刃部20と柄部30との間に設けられた円錐状のテーパ部40とが備えられる。さらに、柄部30とテーパ部との間には段差部50が形成され、この段差部50の最先端における直径d1が柄部の直径dに対して10μm〜70μmの範囲で縮小し、しかも、段差部50の外周面の表面のあらさが柄部30の外周面の表面のあらさより粗くなるようにした。
【選択図】図1
Description
本考案は、電子回路用プリント基板の穴あけに用いられる小径ドリルに関する。
電子回路用プリント基板の穴あけに一般的に用いられている小径ドリルは、従来から刃部と柄部との間に、1段乃至複数段の円錐状のテーパ部を備えている。前記テーパ部のテーパ角度は、一般的には10°〜15°程度になっている(例えば、特許文献1参照)。
また、この種の小径ドリルは、前記柄部を工作機械の主軸又は保持具に取り付けて、該柄部の軸線まわりに回転して穴加工を行う。加工した穴精度を高めるには、取り付け時の刃部の回転振れ精度を高めることが重要になる。そのため、前記柄部は、研削砥石を用いた外周研削加工を行うことによって、直径、真円度、真直度、および外周面の表面あらさ等の精度を高められている。
実用新案登録第3085732号
また、この種の小径ドリルは、前記柄部を工作機械の主軸又は保持具に取り付けて、該柄部の軸線まわりに回転して穴加工を行う。加工した穴精度を高めるには、取り付け時の刃部の回転振れ精度を高めることが重要になる。そのため、前記柄部は、研削砥石を用いた外周研削加工を行うことによって、直径、真円度、真直度、および外周面の表面あらさ等の精度を高められている。
該小径ドリルは、再研削等にともなう移動又は運搬に際して、図7に例示したクリップ等の手工具で挟むようにして掴まれる。しかしながら、刃部を上向きにした状態で、小径の刃部を掴む場合、折損するおそれがあった。テーパ部を掴む場合、2点で挟むことになり不安定で抜け落ち、刃部又は柄部を損傷するおそれがあった。柄部を掴む場合、柄部の外周面の表面あらさがきわめて良好なため、滑り落ちて刃部又は柄部を損傷するおそれがあった。
本考案は、上記問題を解決するためになされたもので、クリップ等の手工具によって柄部を掴んで移動又は運搬する際に滑り落ちることのない、電子回路用プリント基板の穴あけに用いられる小径ドリルを提供することを目的とする。
本考案は、上記課題を解決するために以下の構成を有する。
請求項1に係る考案は、略丸棒状をなす工具本体には、前記工具本体の先端側に設けられた刃部と、基端側に設けられた柄部と、前記刃部と前記柄部との間に設けられた円錐状のテーパ部とが備えられ、さらに、前記柄部と前記テーパ部との間には、段差部が形成され、少なくとも前記段差部の最先端における直径が前記柄部の直径に対して10μm〜70μmの範囲で縮小し、しかも、前記段差部の外周面の表面あらさが前記柄部の外周面の表面あらさより粗くなっていることを特徴とする小径ドリルである。
請求項1に係る考案は、略丸棒状をなす工具本体には、前記工具本体の先端側に設けられた刃部と、基端側に設けられた柄部と、前記刃部と前記柄部との間に設けられた円錐状のテーパ部とが備えられ、さらに、前記柄部と前記テーパ部との間には、段差部が形成され、少なくとも前記段差部の最先端における直径が前記柄部の直径に対して10μm〜70μmの範囲で縮小し、しかも、前記段差部の外周面の表面あらさが前記柄部の外周面の表面あらさより粗くなっていることを特徴とする小径ドリルである。
本考案に係る小径ドリルによれば、段差部の外周面の表面あらさが柄部の外周面の表面あらさより粗くなっていることから、段差部をクリップ等の手工具で掴んだとき、滑って該小径ドリルを落下させることがないため、刃部又は柄部を損傷することがない。
段差部の形状は、該段差部の基端から先端にかけて一定の割合で直径が縮小する円錐台形状であるか、又は該段差部の基端から先端にかけて柄部より直径が小さい円筒状であることが望ましい。さらに、柄部と段差部とを個別に成形することによって、段差部の外周面の表面あらさが柄部の外周面の表面あらさより粗くなってている。しかも、段差部の最先端における直径が柄部の直径に対して10μm〜70μmの範囲で縮小することによって、段差部を加工する砥石が柄部に干渉して表面あらさを粗くすることがない。段差部と柄部との直径差が70μmを超えると、該小径ドリルが刃部を下向きにしてツールマガジン又は収納ケース等の差し込み孔に挿入された際、本来テーパ部の外周面を差し込み孔で係止すべきであるが、段差部の外周面を係止する事態が生じてしまう。そのため、該小径ドリルの軸線方向の装入位置が変動したり、差し込み孔にきつく嵌入して抜けなくなったりする問題がある。
請求項2に係る考案は、前記段差部の工具本体の軸線方向の長さが前記柄部の直径の1〜2倍の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の小径ドリルである。
この場合、クリップ等の手工具による段差部の前記軸線方向の掴みしろが十分に確保できる。しかし、前記範囲を超えると、柄部の長さが短くなるため、工作機械の主軸又は保持具に取り付けたときの精度が悪化するおそれがある。また、該小径ドリルの全長を決めるための位置決め用リングが段差部に干渉おそれがある。
この場合、クリップ等の手工具による段差部の前記軸線方向の掴みしろが十分に確保できる。しかし、前記範囲を超えると、柄部の長さが短くなるため、工作機械の主軸又は保持具に取り付けたときの精度が悪化するおそれがある。また、該小径ドリルの全長を決めるための位置決め用リングが段差部に干渉おそれがある。
本考案に係る小径ドリルによれば、段差部の外周面の表面あらさが柄部の外周面の表面あらさよりも粗くなっていることから、段差部がクリップ等の手工具によって滑らずに掴まれる。よって、該小径ドリルをクリップ等の手工具で移動又は運搬する際、落下して刃部又は柄部を損傷することがない。
以下に、本考案を適用した小径ドリルについて図面を参照しながら説明する。図1は、本考案を適用した小径ドリルの正面図である。図2は、刃部を上向きにした小径ドリルの柄部をクリップ等の手工具で掴んだ状態を説明する一部断面図である。図3は、小径ドリルをツールマガジンの差し込み孔に装入した状態を説明する図であり、(a)が一部を断面で示した全体正面図、(b)および(c)が段差部近傍の一部断面拡大図である。図4は、小径ドリルに位置決めリングを装着した状態を説明する図であり、(a)が装着する途中の図、(b)が装着完了した図である。
図1に図示するように小径ドリルは、略丸棒状の工具本体1の先端側に設けられた刃部20と、基端側に設けられていて前記刃部20より径大の柄部30と、前記刃部20と前記柄部30との間に設けられた円錐状のテーパ部40とを備えている。
刃部20の外周面には、該刃部20の先端面から基端側に向かって一対のねじれ溝21が形成されており、これらねじれ溝21の回転方向を向く壁面の先端稜には、一対の切刃22が形成されている。溝21はねじれがないものであってもよく、溝21の数も2つに限らず、1条又は3条以上であってもよい。
この小径ドリルの主要な寸法は、例えば切刃外径Dが1.65mm以下、好ましくは0.5mm以下、柄部30の直径dが2.000mm又は3.175mm、全長が31.75mm又は38.1mmにそれぞれ設定される。
さらに、柄部30とテーパ部40との間には、段差部50が形成される。この段差部50は、柄部30側からテーパ部40側にいくにしたがって、言い換えれば基端から先端にいくにしたがって直径が漸次縮小する円錐台形状となっている。そして、段差部50は、その最先端の直径d1が柄部30の直径dに対して10μm〜70μmの範囲でわずかに縮小している。段差部50の外周面は、該小径ドリルの軸線に対して非常に小さなテーパ角度α°で傾斜する。さらに、段差部50の外周面の表面あらさは、柄部30の外周面の表面あらさより粗くなっている。柄部30の外周面は、従来のドリルと同様に研削砥石を用いた研削加工により、直径、真円度、真直度および表面あらさ等が高精度となるように形成されている。段差部50の表面あらさを粗くするには、例えば、段差部50を成形する研削砥石を、柄部30を成形する砥石より番手の大きいものに変更したり、段差部50を成形する研削砥石の送り量を、柄部30を成形する研削砥石の送り量より大きくなるように設定したりすればよい。研削砥石による研削加工以外の段差部50の加工方法として、切削加工、放電加工、レーザー加工、電子ビーム加工等が挙げられる。
この種の小径ドリルは、再研削等に際して、所定の収納ケース、セッティング用ケース等に刃部20を上向きにして載置され、クリップ等の手工具60により柄部30を掴まれて(図2参照)所定の位置まで移動又は運搬される。以上に説明した構成を有する小径ドリルによれば、段差部50の外周面の表面あらさが柄部30の外周面の表面あらさより粗くなっていることから、段差部50をクリップ等の手工具60で掴んだとき、滑って該小径ドリルを落下させることがない。よって、移動又は運搬の際、刃部や柄部を損傷することがなくなる。柄部30の外周面の表面あらさは、通常、算術平均高さRa0.1μm以下である。それに対して、段差部50の外周面の表面あらさは、所期の効果が得られるように算術平均高さRa0.15μm以上にすることが望ましい。なお、段差部50の外周面の算術平均高さRaは、研削砥石を用いた研削加工では、Ra1.00μm以下、概ねRa3.00μm以下とするのが妥当である。
該小径ドリルの段差部50は、工作機械の主軸又は保持具に取り付ける際に把持される部分とはならないので、表面あらさが粗くなっても取付精度に悪影響を及ぼさない。また、仮に柄部30の成形後に段差部50が成形されても、段差部50が先端側にいくにしたがって直径が漸次縮小する円錐台形状に形成されているので、段差部50を研削する砥石が柄部30を研削することがなく、柄部30の外周面の表面あらさを粗くすることがない。この点においても取り付け精度への悪影響が避けられる。
図3に図示するように、本考案を適用した小径ドリルは、工具自動交換機構を有する工作機械で使用される場合、柄部30を上向き(刃部20を下向き)にしてツールマガジン70の差し込み孔に交換用ドリルとして差し込み装入される。このとき、該小径ドリルは、段差部50の最先端における直径d1が柄部30の直径より10μm〜70μmの範囲でわずかに縮小せしめられているため、テーパ部40がツールマガジンの差し込み孔の途中に設けられた係止部71の内壁面で一定に係止される(図3の(b)参照)。したがって、ツールマガジン70の差し込み孔に装入したときの長手方向の位置が一定に保たれるので、古いドリルに替えて新しいドリルを主軸に取り付けた際の該小径ドリルの長手方向の取付精度が補償される。段差部50の最先端における直径d1と柄部30の直径との差を10μm〜70μmの範囲とした理由を以下に説明する。前記直径差が10μm未満になると、加工精度によっては、段差部50を形成できないおそれがある。また、前記直径差が70μmを超えると、前述した、ツールマガジン70の差し込み孔に装入する際、本来テーパ部40の外周面を差し込み孔の係止部71で係止すべきであるが、段差部50の外周面を係止する事態が生じてしまう(図3の(c)参照)。そのため、該小径ドリルの軸線方向の装入位置が変動したり、係止部71にきつく嵌入してしまい抜けなくなったりするおそれがある。
本考案を適用した小径ドリルにおいて、段差部50の長手方向の長さLは、柄部30の直径dの1〜2倍の範囲に設定されることが望ましい。このような構成を追加した小径ドリルでは、段差部50に、クリップ等の手工具60のつかみしろが十分に確保されるので、該小径ドリルをクリップ等の手工具60で掴んだ際に、滑り落ちることを防止する効果が高くなる。段差部50の長手方向の長さLが柄部30の直径dの1倍未満になると、所期の効果が得られなくなり、2倍を超えると、柄部30の長さが短くなるため、工作機械への取付精度に悪影響を及ぼすおそれがある。
さらに、この種の小径ドリルを機械に装着したときに長手方向における切刃の最先端の位置を、図4に図示するように柄部に装着した位置決め用リング90によって決めることがある。この場合、段差部50の長手方向の長さLが柄部30の直径dの2倍を超えてしまうと、位置決め用リング90が段差部50に干渉するため安定した装着状態が得られないおそれがあるので、位置決め機能を果たさないおそれがある。
さらに、段差部50の外周面の表面には、該小径ドリルの柄部30を構成する材料よりも摩擦係数の高い材料が被覆されていることが望ましい。摩擦係数の高い材料としては、例えばゴム又は樹脂等が選択される。このように被覆された小径ドリルでは、クリップ等の手工具60で掴まれたときに滑りにくくなり、該小径ドリルをクリップ等の手工具60で掴んだ際の落下防止効果がさらに高くなる。しかも、段差部50の外周面の表面あらさが粗いことから表面の凹凸が大きくなるので、被覆した材料が剥離しにくい。
あるいは、段差部50の外周面には、その断面曲線における谷部に、塗料がうめこまれてもよい。このような構成を追加した小径ドリルでは、塗料の色によって切刃外径D等の識別が可能となるため、ドリルの選択が容易かつ正確になる。しかも、塗料が前記谷部に埋め込んであるため、段差部50がクリップ等の手工具60で掴まれたり切屑等で擦られたりしても、塗料が剥がれないので長期間にわたって識別を可能にするという副次的な効果を奏する。
次に、本考案を適用した小径ドリルの変形例について図面を参照しながら説明する。図5は小径ドリルの変形例を説明する図であり、(a)が正面図、(b)が柄部と段差部との接続部の拡大正面図である。図6の(a)〜(c)は、本考案を適用した小径ドリルの他の変形例を説明する正面図である。先に説明した小径ドリルと同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図5の(a)に図示するように、この小径ドリルは、先に説明した小径ドリルとは段差部50の形状が異なっている。段差部50は、その直径d1が柄部30の直径dより10μm〜70μmの範囲で縮小している。段差部50は、柄部30との境界部で直ちに直径が縮小する。あるいは、前記境界部の強度低下が懸念される場合には、図5に図示するように断面円弧状の面取り51が全周にわたって形成されるのが望ましい。そして、先に説明した小径ドリルと同様に、段差部50の外周面の表面あらさは、柄部30の外周面の表面あらさより粗くなっている。
このように段差部50を円筒状に形成した場合、図5の(b)に図示したように段差部50と柄部の外周面とが略直角に交差するので、段差部50の直径の変動による長手方向の長さLの変動をなくすことができる。
本考案は、以上に説明した形態に限定されず、本考案の要旨を逸脱しない範囲内で構成の変更、追加、削除が可能である。例えば、テーパ部は、長手方向に2つのテーパ部を配して2段階で径縮小したもの(図6の(a)参照)でもかまわない。また、刃部と柄部とがテーパ部に形成した溶接部80によって一体的に接合されてもよい(図6(b)および(c)参照)。前記溶接部は、テーパ部に限らず柄部又は段差部に形成されてもよい。この場合、刃部側を超硬合金で製作し柄部側をステンレス鋼等の鋼材で製作することによって原料コストの削減がはかられる。
10 工具本体
20 刃部
21 溝
22 切刃
30 柄部
40 テーパ部
50 段差部
60 クリップ等の手工具
70 ツールマガジン
71 係止部
80 溶接部
90 位置決め用リング
d 柄部の直径
d1 段差部の最先端における直径
L 段差部の長手方向の長さ
20 刃部
21 溝
22 切刃
30 柄部
40 テーパ部
50 段差部
60 クリップ等の手工具
70 ツールマガジン
71 係止部
80 溶接部
90 位置決め用リング
d 柄部の直径
d1 段差部の最先端における直径
L 段差部の長手方向の長さ
Claims (2)
- 略丸棒状をなす工具本体には、前記工具本体の先端側に設けられた刃部と、基端側に設けられた柄部と、前記刃部と前記柄部との間に設けられた円錐状のテーパ部とが備えられ、
さらに、前記柄部と前記テーパ部との間には、段差部が形成され、
前記段差部の最先端における直径が前記柄部の直径に対して10μm〜70μmの範囲で縮小し、
しかも、前記段差部の外周面の表面あらさが前記柄部の外周面の表面あらさより粗くなっている
ことを特徴とする小径ドリル。 - 前記段差部の工具本体の軸線方向の長さが前記柄部の直径の1〜2倍の範囲である
ことを特徴とする請求項1に記載の小径ドリル。
Priority Applications (1)
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JP2007008752U JP3139044U (ja) | 2007-11-13 | 2007-11-13 | 小径ドリル |
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