JP3137871B2 - ジルコニウム合金を含む放射性廃棄物の貯蔵方法 - Google Patents

ジルコニウム合金を含む放射性廃棄物の貯蔵方法

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JP3137871B2
JP3137871B2 JP07121306A JP12130695A JP3137871B2 JP 3137871 B2 JP3137871 B2 JP 3137871B2 JP 07121306 A JP07121306 A JP 07121306A JP 12130695 A JP12130695 A JP 12130695A JP 3137871 B2 JP3137871 B2 JP 3137871B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軽水型原子炉用使用済
み燃料の再生処理時に発生する使用済みのジルカロイ製
の燃料被覆管や金属材等のジルコニウム合金を含む放射
性金属廃棄物を貯蔵する貯蔵方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ジルカロイは、ジルコニウムを主体とし
た合金であり、熱中性子の吸収断面積が小さいため、原
子炉材料として多用されており、特に原子炉の燃料被覆
管用として好んで使用されている。このようなジルカロ
イからなる燃料被覆管内に装填された例えば軽水型の原
子炉用の燃料を再処理するときは、まず、使用済みの燃
料棒が装填された燃料被覆管の集合体を切断する。その
際、燃料被覆管を数cm単位に裁断し、得られた細片を
溶解槽に投入し、溶解槽内で核燃料物質と、被覆管剪断
片(以下ジルカロイハルという)や集合体部品(以下ハ
ードウエアという)とに分離する。分離された核燃料物
質は再利用のための処理工程に送られ、残余のジルカロ
イハルやハードウエア等の放射性金属廃棄物は、放射能
が外部に漏洩しないようにして貯蔵される。
【0003】ところで、上記ジルカロイハルからはジル
カロイのファイン(粉塵)が発生するが、このファイン
は発火性が非常に強いため、発火を防止する対策が施さ
れた状態で貯蔵する必要がある。発火防止対策として
は、ファインの発生を抑制する方法、発火源をハルに全
く近付けないようにする方法、発火し難いようにハルを
冷却状態で貯蔵する方法、周囲環境の水分含有率を多く
する方法、発火に必要な酸素をハルに与えないようにす
る方法等が考えられる。
【0004】しかし、ジルカロイハルは放射能の照射で
脆化しており、ファインが非常に発生し易い状態になっ
ているため、その発生を抑制することは非常に困難であ
り、ファインの発生を確実に抑制する有効な方法は見出
せない。また、発火源をハルに近付けないようにして
も、貯蔵設備での落下事故や地震による振動によって発
火に必要なエネルギーが発生し、それが発火源になるこ
とがある。さらに、ハルを冷却状態で貯蔵する方法は、
冷却温度を極低温にすることによって確実な発火防止効
果が得られるが、莫大な設備コストおよび運転コストを
要するという問題点を有している。
【0005】これらの方法に対して、発火に必要な酸素
を遮断して貯蔵する方法は、確実な発火防止効果を有す
るものであるとともに、ハルを極低温の冷却状態で貯蔵
する方法に比べて経済的に有利である。また、減容処理
前のハルの貯蔵方法としては、ハルを水中で貯蔵するよ
うにした水中貯蔵法が最もポピュラーである。具体的に
は、ジルカロイハル等の放射性金属廃棄物をハル缶と呼
ばれるステンレス鋼製の収納容器に収納し、ハル缶内に
も水を充填して水中に貯蔵するのが一般的である。こう
することにより、ハル等の放射性廃棄物による放射能を
遮蔽するとともに、除熱とファインの発火防止を図って
いる。
【0006】しかしながら、ジルカロイハル等が収納さ
れたハル缶は、使用済み核燃料の再処理が行われる毎に
増加するため、水中の貯蔵設備がすぐに満杯状態になっ
てしまうという問題点を有している。そこで、ジルカロ
イハル等の放射性金属廃棄物をハル缶に収納した状態で
減容処理し、貯蔵空間の貯蔵率の向上を図るとともに、
高価な水中の貯蔵設備の代りに安価な地上の貯蔵設備に
貯蔵する、いわゆる乾式貯蔵方式を採用して設備コスト
の低減を図ることが試みられている。乾式貯蔵方式にお
いては、ハル等の放射性廃棄物からの放射能は、コンク
リート遮蔽等によって防護し、また除熱は空冷によって
行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記乾式貯
蔵方式においては、貯蔵を行うためのハル缶の取り扱い
中に例えば落下事故等が起こると、その衝撃によってハ
ル缶内にジルカロイファインが発生するとともに、上記
衝撃で発火に必要なエネルギーが導入され、その結果ジ
ルカロイファインがハル缶内の酸素と反応する可能性が
あるという問題点を有している。また、貯蔵中に地震等
の自然災害が発生し、ハル缶が転倒したり、積み重ねら
れたハル缶が落下すると、ハル缶内にジルカロイファイ
ンが発生し、缶内の酸素と反応する可能性があるという
問題点を有している。
【0008】本発明は、上記のような乾式貯蔵方式の問
題点を解決するためになされたものであり、貯蔵コスト
の低減に寄与するとともに、ジルカロイファインに起因
した発火や爆発を確実に防止することができるジルコニ
ウム合金を含む放射性廃棄物の貯蔵方法を提供すること
を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
ジルコニウム合金を含む放射性廃棄物の貯蔵方法は、ジ
ルコニウム合金を含む放射性金属廃棄物を貯蔵容器内に
充填して貯蔵するジルコニウム合金を含む放射性廃棄物
の貯蔵方法において、上記放射性金属廃棄物の充填され
た貯蔵容器内を酸素不足状態にした後、この貯蔵容器を
密封して貯蔵することを特徴とするものである。
【0010】本発明の請求項2記載のジルコニウム合金
を含む放射性廃棄物の貯蔵方法は、請求項1記載のジル
コニウム合金を含む放射性廃棄物の貯蔵方法において、
上記酸素不足状態を、上記貯蔵容器内に不活性ガスを導
入することによって形成することを特徴とするものであ
る。
【0011】本発明の請求項3記載のジルコニウム合金
を含む放射性廃棄物の貯蔵方法は、請求項1記載のジル
コニウム合金を含む放射性廃棄物の貯蔵方法において、
上記酸素不足状態を、上記貯蔵容器内から脱気すること
によって形成することを特徴とするものである。
【0012】本発明の請求項4記載のジルコニウム合金
を含む放射性廃棄物の貯蔵方法は、請求項1乃至3のい
ずれかに記載のジルコニウム合金を含む放射性廃棄物の
貯蔵方法において、上記放射性金属廃棄物を貯蔵容器に
充填する前に減容処理することを特徴とするものであ
る。
【0013】本発明の請求項5記載のジルコニウム合金
を含む放射性廃棄物の貯蔵方法は、請求項4記載のジル
コニウム合金を含む放射性廃棄物の貯蔵方法において、
上記放射性金属廃棄物を予めカプセル内に装填し、この
カプセル内を酸素不足状態にした後にカプセルごと減容
処理することを特徴とするものである。
【0014】
【作用】上記請求項1記載のジルコニウム合金を含む放
射性廃棄物の貯蔵方法によれば、放射性金属廃棄物の充
填された貯蔵容器内を酸素不足状態にした後、この貯蔵
容器を密封して貯蔵するようにしているため、貯蔵容器
に貯蔵された放射性廃棄物内のジルカロイファインの発
火が阻止される。
【0015】上記請求項2記載のジルコニウム合金を含
む放射性廃棄物の貯蔵方法によれば、貯蔵容器内に不活
性ガスが導入されているため、この不活性ガスの存在に
よって貯蔵容器内は酸素不足状態になっており、貯蔵容
器内のジルカロイファインの発火が阻止される。
【0016】上記請求項3記載のジルコニウム合金を含
む放射性廃棄物の貯蔵方法によれば、貯蔵容器内は脱気
によって酸素不足状態になっているため、貯蔵容器内の
ジルカロイファインの発火が阻止される。
【0017】上記請求項4記載のジルコニウム合金を含
む放射性廃棄物の貯蔵方法によれば、放射性金属廃棄物
を貯蔵容器に充填する前に減容処理が施されるため、貯
蔵容器内に充填される放射性廃棄物の充填率が大きくな
る。
【0018】上記請求項5記載のジルコニウム合金を含
む放射性廃棄物の貯蔵方法によれば、放射性金属廃棄物
を予めカプセル内に装填し、このカプセル内を酸素不足
状態にした後にカプセルごと減容処理するようにしてい
るため、減容処理時にはカプセル内はすでに酸素不足状
態になっており、従って、減容処理時の加圧による変形
や衝突等によってカプセル内でジルカロイハルに摩擦熱
等のエネルギーが生じても、酸素不足によってジルカロ
イハルが発火することはない。
【0019】
【実施例】本発明の放射性廃棄物の貯蔵方法は、ジルコ
ニウム合金を含む放射性金属廃棄物(ジルカロイハルお
よびハードウエア、以下、ジルカロイハルとのみいう)
の充填された貯蔵容器内を酸素不足状態にした後、この
貯蔵容器を密封して貯蔵するものである。この方法を実
施するために、本実施例においては、図1に示すよう
に、前処理工程P1、減容工程P2、密封工程P3およ
び貯蔵工程P4が順次実行される。
【0020】上記前処理工程P1は、発生したジルカロ
イハルHをカプセルに導入し、脱気してからカプセルを
密封して脱気密封カプセルH1を得る工程であり、この
ようにジルカロイハルHを略真空状態でカプセル内に封
じ込めることによって、以後の工程におけるジルカロイ
ハルHの処理操作時に、カプセル内で生じたジルカロイ
ファインによる発火が確実に抑止される。この工程では
カプセル内を脱気して蓋体を溶接する脱気溶接装置が使
用される。
【0021】上記減容工程P2は、前処理工程P1で得
られた脱気密封カプセルH1を圧縮して減容する工程で
ある。この工程P2においては油圧で駆動する減容処理
装置が用いられ、この減容処理装置によって脱気密封カ
プセルH1は圧縮されて圧縮固化体H2になる。なお、
この工程P2において脱気密封カプセルH1が減容処理
されても、カプセル内は略真空状態であるため、内部圧
の上昇によるカプセルの破損は起こらない。従って、圧
縮固化体H2内への空気の流入は起こらず、ジルカロイ
ハルHの発火抑止状態は維持される。
【0022】なお、減容処理装置において、不活性ガス
を供給しながら、あるいは脱気しながら脱気密封カプセ
ルH1を圧縮するようにすれば、たとえカプセルが破損
しても、減容処理途中の発火は防止される。
【0023】上記密封工程P3は、減容工程P2におい
て形成された複数の圧縮固化体H2を収納容器に収納
し、この収納容器内の空気を不活性ガスに置換して発火
対策済み収納容器H3を得る工程である。この工程では
耐圧構造の置換溶接装置が用いられる。この置換溶接装
置内に収納容器が装填された状態で置換溶接装置内が脱
気され、その後、不活性ガスが供給され、最後に蓋体が
容器本体に溶接されて完全密封される。なお、上記不活
性ガスの供給を省略し、収容容器内を略真空状態にした
段階で蓋体の溶接を行うようにしてもよい。
【0024】上記貯蔵工程P4は、密封工程P3で得ら
れた発火対策済み収納容器H3を、適宜の移送手段を用
いて貯蔵庫に搬入し貯蔵する工程である。貯蔵庫に貯蔵
されたジルカロイハルHは、圧縮固化体H2内に真空状
態で封入され、さらに発火対策済み収納容器H3内に不
活性ガスが導入されるか、あるいは同容器内が真空状態
にされて二重に発火防止処置が施された状態になってい
るため、貯蔵庫内が空気環境であってもジルカロイハル
Hの発火を確実に阻止することができる。
【0025】以下、上記各工程における処理について、
図2〜図5を基にさらに詳細に説明する。図2は、前処
理工程を説明するための説明図であり、(イ)はカプセ
ルにジルカロイハルを充填している状態、(ロ)はカプ
セルに充填されたジルカロイハルを乾燥している状態、
(ハ)はカプセル内が脱気され、密閉されている状態、
(ニ)は脱気密封カプセルが次工程に搬送されつつある
状態をそれぞれ示している。
【0026】前処理工程P1においては、まず、図2の
(イ)に示すように、予め所定の寸法に切断されたジル
カロイハルHは、所定位置のフロアF上に配置された有
底円筒状のステンレス鋼製カプセルCにシュート11を
介して供給される。そしてカプセルC内がジルカロイハ
ルHで満杯になるとカプセルCは、図2の(ロ)に示す
ように、乾燥室12に導入される。この乾燥室12にお
いてカプセルC内のジルカロイハルHは乾燥され、乾燥
完了後、ステンレス鋼製の蓋体C1が被せられて脱気溶
接装置13に導入される。
【0027】上記脱気溶接装置13は、図2の(ハ)に
示すように、上部が開口した円筒状の本体14と、この
本体14の上部開口を閉止する密閉蓋15と、電動モー
タの駆動によって回転する回転テーブル16と、上記本
体14の上部周壁に貫通状態で固定された溶接手段17
とから構成されている。上記本体14の底部には、図略
の吸引手段に連通された吸引孔14aが設けられてお
り、吸引手段を駆動させることによって本体14内の空
気が吸引除去されるようになっている。また、上記溶接
手段17は、カプセルCが回転テーブル16上に載置さ
れた状態で、溶接用のトーチがカプセルCの上縁部と蓋
体C1の周縁部との接合部分に対向するように位置設定
されている。
【0028】乾燥室12から取り出されたカプセルC
は、上記蓋体C1が取り付けられた後、図2の(ニ)に
示すように、上記脱気溶接装置13内に導入され、回転
テーブル16上に軸心を一致させた状態で載置される。
その後、密閉蓋15が装着され、吸引手段を駆動させる
ことによって本体14内が脱気される。そして、本体1
4内が略真空状態になってから、回転テーブル16およ
び溶接手段17が駆動される。これらの駆動によってカ
プセルCは垂直軸心回りに回転し、これによって蓋体C
1はカプセルCの上縁部に溶接され、カプセルC内が略
真空状態の脱気密封カプセルH1になる。
【0029】上記脱気処理が完了すると、脱気密封カプ
セルH1は、適宜の吊持手段18に吊るされて本体14
から取り出され、レール6a上に待機している台車6に
搭載されてつぎの減容工程P2に送りこまれる。
【0030】図3は、減容工程で使用される減容処理装
置の一例を示す側面視の断面図である。この図に示すよ
うに、減容処理装置2は、フロアF上に突設されたベー
スB上に据え付けられている。そして、この減容処理装
置2は、ベースB上に配置された基台21と、この基台
21上に立設された支持枠体20と、この支持枠体20
に昇降可能に支持された円筒状の金型3と、この金型3
の内壁面に摺接して昇降するピストン部材4と、上記支
持枠体20に支持され、かつ、上記ピストン部材4を昇
降させるシリンダ41とから構成されている。
【0031】上記金型3は、脱気密封カプセルH1に外
嵌し得るようにカプセルH1の外径よりも若干大きい内
径を有している。またこの金型3は、支持枠体20に台
座を介して固定された昇降シリンダ31のシリンダロッ
ド32下端部に連結されており、昇降シリンダ31を駆
動させることによって昇降するようになっている。
【0032】このような減容処理装置2に前処理工程P
1から台車6に搭載されて搬入された脱気密封カプセル
H1は、台車6上に搭載された状態で基台21の中央部
に配置される。その後、昇降シリンダ31および押圧シ
リンダ41を駆動させ、シリンダロッド32およびピス
トン部材4を下降させると、脱気密封カプセルH1は金
型3によって外嵌され、この状態でのピストン部材4の
下降の継続によって、二点鎖線で示すように、台車6上
で押し潰されて圧縮固化体H2になる。
【0033】上記脱気密封カプセルH1の圧縮処理時に
は脱気密封カプセルH1内のジルカロイハル等から多量
のファインが発生しても、カプセルH1内は略真空状態
になっているため、ファインが発火することはない。ま
た、カプセルH1内は略真空状態であるため、上記圧縮
によってカプセルH1内の圧力が上昇することはなく、
従って、上記圧力上昇に起因したカプセルH1の破損は
起こり難く、従って内部のファインが外部に漏洩するこ
とはない。
【0034】なお、金型3が下降してカプセルH1に外
嵌された状態で、不活性ガス導入配管5を通して不活性
ガスを金型3内に導入するようにしておけば、万一カプ
セルH1が破損しても、不活性ガスがカプセルH1内に
導入されるため、ジルカロイファインによる発火が確実
に抑制される。
【0035】その後、昇降シリンダ31および押圧シリ
ンダ41を同期させた状態で駆動させ、シリンダロッド
32およびピストン部材4を上昇させることによって台
車6上に圧縮固化体H2が残された状態になる。この状
態で台車6を移動させることによって圧縮固化体H2は
減容処理装置2から搬出され、つぎの密封工程P3に導
入される。
【0036】なお、上記台車6がピストン部材4による
圧縮処理に耐え得ない場合には、脱気密封カプセルH1
を金型3の下部に運び込んでから一旦台車6を退避さ
せ、カプセルH1のみを基台21上に残した状態で圧縮
処理を行うようにしてもよい。
【0037】図4は、密封工程での処理を説明するため
の説明図であり、(イ)は減容工程で得られた圧縮固化
体が吊持手段によって移送されている状態、(ロ)は収
納容器内に圧縮固化体が装填されつつある状態、(ハ)
は収納容器が置換装置内に導入された状態、(ニ)は貯
蔵のために発火対策済み収納容器が移送されている状態
をそれぞれ示している。
【0038】先の減容工程P2で減容され、台車6によ
って導出された圧縮固化体H2は、(イ)に示すよう
に、吊持手段19によって吊持移送され、フロアFの適
所に配置された収納容器7内に複数個が導入される。本
実施例においては収納容器7内に6個の圧縮固化体H2
を収納するようにしている。そして、収納容器7内への
圧縮固化体H2の収納が完了すると、収納容器7は、そ
の上部開口が蓋体7aによって閉止され、(ハ)に示す
ように置換溶接装置70に導入されて収納容器7内の空
気が不活性ガスに置換される置換処理が施される。上記
収納容器7および蓋体7aともにステンレス鋼製のもの
が使用されている。
【0039】上記置換溶接装置70は、基本的には上記
脱気溶接装置13と同様に構成されており、上部が開口
した円筒状の本体71と、この本体71の上部開口を閉
止する密閉蓋72と、電動モータの駆動によって回転す
る回転テーブル73と、上記本体71の上部周壁に貫通
状態で固定された溶接手段74とから構成されている。
上記本体71の底部には、図略の供給ポンプに接続され
た不活性ガス導入配管75と、図略の真空ポンプに接続
された吸引配管76とが設けられており、真空ポンプを
運転することによって本体71内の空気が吸引除去され
るとともに、供給ポンプを運転することによって本体7
1内に不活性ガスが導入されるようになっている。本実
施例においては、不活性ガスとして窒素ガスが用いられ
ているが、窒素ガスに代えてヘリウムガスやアルゴンガ
スを用いてもよい。
【0040】また、上記溶接手段74は、収納容器7が
回転テーブル73上に載置された状態で、その溶接用の
トーチ74aが収納容器7の上縁部と密閉蓋72の周縁
部との接合部分に対向するように位置設定されている。
【0041】そして、密閉蓋72で閉止された収納容器
7は、上記置換溶接装置70内に導入され、回転テーブ
ル73上に軸心を一致させた状態で載置される。その
後、密閉蓋72が装着され、吸引ポンプを駆動させるこ
とによって本体71内の空気が吸引配管76を通って吸
引除去され、これによって本体71内が略真空状態にな
る。この状態では収納容器7内も略真空になっている。
蓋体7aの収納容器7への装着は、密閉蓋72の閉止
前、または置換溶接装置70内に収納容器を装填する前
に行ってもよい。
【0042】その後、供給ポンプが駆動され、不活性ガ
スが導入配管75を通って置換溶接装置70の本体71
内に導入される。この導入によって収納容器7内も不活
性ガスによって充満された状態になる。そして、収納容
器7内に充分の不活性ガスが導入されてから、回転テー
ブル73および溶接手段74が駆動される。これらの駆
動によって収納容器7は垂直軸心回りに回転し、これに
よって蓋体7aは収納容器7の上縁部に溶接され、収納
容器7内に不活性ガスが充填された発火対策済み収納容
器H3が得られる。
【0043】その後、図4の(ニ)に示すように、上記
発火対策済み収納容器H3は、吊持手段19aによって
吊持されて本体71から取り出され、所定の地上設置の
貯蔵庫に運び込まれて貯蔵される。
【0044】図5は、内部に圧縮固化体が収納された収
納容器の一例を示す一部切欠き側面図である。この図に
示すように、発火対策済み収納容器H3の中には、ジル
カロイハルHが充填され、かつ減容処理された複数個の
圧縮固化体H2が積層状態で密封されて収納されてお
り、しかも収納容器H3内には不活性ガスが封入されて
いるため、貯蔵に到るまでのハンドリングで収納容器H
3が振動したり、搬送途中に誤って収納容器H3を落下
させたりし、それによって圧縮固化体H2内でジルカロ
イファインが発生したとしても、収納容器H3が破損し
ない限りジルカロイファインの発火が確実に阻止され
る。
【0045】また、貯蔵庫における貯蔵中に地震が発生
し、貯蔵されている発火対策済み収納容器H3が倒れた
り、積層されたものが落下しても、収納容器H3が破損
しない限り上記同様にジルカロイファインの発火は確実
に抑止される。
【0046】上記実施例においては、前処理工程P1で
カプセルC内の脱気処理が施されているが、本発明は前
処理工程P1でのカプセルCの脱気処理は必ずしも必要
ではなく、カプセルCを解放状態のままで減容工程P2
における圧縮処理に供してもよい。ただしこの場合は、
減容工程P2での圧縮処理時およびその後のハンドリン
グ時は、カプセルCを不活性ガス雰囲気下あるいは極低
温雰囲気下におくようにする等、発火防止処置を施すこ
とが好ましい。
【0047】
【発明の効果】本発明の請求項1記載のジルコニウム合
金を含む放射性廃棄物の貯蔵方法によれば、放射性金属
廃棄物の充填された貯蔵容器内を酸素不足状態にした
後、この貯蔵容器を密封して貯蔵するようにしているた
め、貯蔵容器に貯蔵された放射性廃棄物内のジルカロイ
ファインの発火が確実に阻止され、貯蔵している放射性
金属廃棄物の安全性を向上させる上で極めて有効であ
る。
【0048】また、貯蔵容器内が酸素不足状態にされて
いるため、地上に設置された貯蔵設備内に貯蔵すること
が可能であり、従来のように水中貯蔵を行う必要はな
く、貯蔵コストを軽減させる上で好都合である。
【0049】本発明の請求項2記載のジルコニウム合金
を含む放射性廃棄物の貯蔵方法によれば、貯蔵容器内に
不活性ガスが導入されているため、この不活性ガスの存
在によって貯蔵容器内は酸素不足状態になっており、貯
蔵容器内のジルカロイファインの発火が確実に阻止され
る。
【0050】本発明の請求項3記載のジルコニウム合金
を含む放射性廃棄物の貯蔵方法によれば、貯蔵容器内は
脱気によって酸素不足状態になっているため、貯蔵容器
内のジルカロイファインの発火が確実に阻止される。
【0051】本発明の請求項4記載のジルコニウム合金
を含む放射性廃棄物の貯蔵方法によれば、放射性金属廃
棄物を貯蔵容器に充填する前に減容処理が施されるた
め、貯蔵容器内に充填される放射性廃棄物の充填率が多
くなり、貯蔵コストを低減する上で好都合である。
【0052】本発明の請求項5記載のジルコニウム合金
を含む放射性廃棄物の貯蔵方法によれば、放射性金属廃
棄物を予めカプセル内に装填し、このカプセル内を酸素
不足状態にした後にカプセルごと減容処理するようにし
ているため、減容処理時にはカプセル内はすでに酸素不
足状態になっており、従って、減容処理時の加圧による
変形や衝突等によってカプセル内でジルカロイハルに摩
擦熱等のエネルギーが生じても、酸素不足によってジル
カロイハルが発火することが確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の貯蔵方法の一例を示す工程図である。
【図2】前処理工程を説明するための説明図であり、
(イ)はカプセルにジルカロイハルを充填している状
態、(ロ)はカプセルに充填されたジルカロイハルを乾
燥している状態、(ハ)はカプセル内が脱気され、密閉
されつつある状態、(ニ)は脱気密封カプセルが次工程
に搬送されつつある状態をそれぞれ示している。
【図3】減容工程で使用される減容処理装置の一例を示
す側面視の断面図である。
【図4】密封工程を説明するための説明図であり、
(イ)は減容工程で得られた圧縮固化体が吊持手段によ
って移送されている状態、(ロ)は収納容器内に圧縮固
化体が装填されつつある状態、(ハ)は収納容器が置換
溶接装置内に装填された状態、(ニ)は貯蔵のために発
火対策済み収納容器が移送されてつつある状態をそれぞ
れ示している。
【図5】内部に圧縮固化体が収納された収納容器の一例
を示す一部切欠き側面図である。
【符号の説明】
P1 前処理工程 P2 減容工程 P3 密封工程 P4 貯蔵工程 H 脱気密封カプセル H1 圧縮固化体 H2 圧縮固化体 H3 発火対策済み収納容器 C カプセル C1 蓋体 1 減容処理装置 11 シュート 12 乾燥室 13 脱気溶接装置 14 本体 15 密閉蓋 16回転テーブル 17 溶接手段 2 減容処理装置 20 支持枠体 21 基台 3 金型 31 昇降シリンダ 32 シリンダロッド 4 ピストン部材 41 シリンダ 6 台車 7 収納容器 7a 蓋体 70 置換溶接装置 71 本体 72 密閉蓋 73 回転テーブル 74 溶接手段 75 不活性ガス導入配管 76 吸引配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21F 9/36 G21F 9/30 G21F 9/34

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジルコニウム合金を含む放射性金属廃棄
    物を貯蔵容器内に充填して貯蔵するジルコニウム合金を
    含む放射性廃棄物の貯蔵方法において、上記放射性金属
    廃棄物の充填された貯蔵容器内を酸素不足状態にした
    後、この貯蔵容器を密封して貯蔵することを特徴とする
    ジルコニウム合金を含む放射性廃棄物の貯蔵方法。
  2. 【請求項2】 上記酸素不足状態を、上記貯蔵容器内に
    不活性ガスを導入することによって形成することを特徴
    とする請求項1記載のジルコニウム合金を含む放射性廃
    棄物の貯蔵方法。
  3. 【請求項3】 上記酸素不足状態を、上記貯蔵容器内か
    ら脱気することによって形成することを特徴とする請求
    項1記載のジルコニウム合金を含む放射性廃棄物の貯蔵
    方法。
  4. 【請求項4】 上記放射性金属廃棄物を貯蔵容器に充填
    する前に減容処理することを特徴とする請求項1乃至3
    のいずれかに記載のジルコニウム合金を含む放射性廃棄
    物の貯蔵方法。
  5. 【請求項5】 上記放射性金属廃棄物を予めカプセル内
    に装填し、このカプセル内を酸素不足状態にした後にカ
    プセルごと減容処理することを特徴とする請求項4記載
    のジルコニウム合金を含む放射性廃棄物の貯蔵方法。
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