JP3135432B2 - 絶縁バンドを用いた平形半導体素子用スタック - Google Patents

絶縁バンドを用いた平形半導体素子用スタック

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JP3135432B2
JP3135432B2 JP05225280A JP22528093A JP3135432B2 JP 3135432 B2 JP3135432 B2 JP 3135432B2 JP 05225280 A JP05225280 A JP 05225280A JP 22528093 A JP22528093 A JP 22528093A JP 3135432 B2 JP3135432 B2 JP 3135432B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、平形半導体素子とヒ―
トシンクを積層し弾性的な押圧力(加圧力)を加えて成
る絶縁バンドを用いた平形半導体素子用スタックに関す
る。
【0002】
【従来の技術】半導体変換装置は大容量化(高電圧化)
の傾向にあり、それに伴ない多数個の平形半導体素子
(以下単に素子と記す)が用いられる。半導体変換装置
は複数個の素子とその素子を冷却するためのヒ―トシン
クを交互に積層し弾性的な押圧力(加圧力)を保持する
ための押え板、スタッド、バネ等から構成して成る平形
半導体素子用スタック(以下単にスタックと記す)を半
導体変換装置の回路構成要素として多数使用している。
【0003】近年、特に設置場所、スペ―ス等の制限か
ら益々装置のコンパクト化が要求されているが、装置の
大容量化(高電圧化、大電流化)は部品の大形化を招く
ばかりでなく用品の機械強度アップ、用品間の絶縁距離
確保の点からコンパクト化と相反する要因となってい
る。
【0004】以下、半導体変換装置に使用している従来
のスタックを、図9乃至図13を参照して説明する。一
般に半導体変換装置はモジュ―ルと呼ばれるユニットを
複数台搭載して構成している。図9は、代表的なモジュ
―ル内の回路を示している。モジュ―ル1は複数個の半
導体素子3(図では6個直列)及びその付属回路である
アノ―ドリアクトル6、分圧抵抗4A、スナバ抵抗4
B、スナバコンデンサ5を収納して構成されており、破
線の部分がスタック2である。
【0005】図10は、図9のモジュ―ル回路1の組立
構成図の一例を示す鳥瞰図で、図9と同一部品には同一
符号を付している。半導体素子3、抵抗類4、コンデン
サ5、アノ―ドリアクトル6等の部品は適切な絶縁部材
を用いてステ―ジ8上に固定される。この例では、液令
式のモジュ―ルなので絶縁チュ―ブ9により冷却液が各
部品に供給される構造となっている。素子3は水冷ヒ―
トシンク7と交互に積層されスタック2を構成する。
【0006】図11(a)はスタック2を示す正面図、
図11(b)はスタック2の側面図、図12は加圧ユニ
ット図を示す。図11に示すようにガラスクロス積層材
等の絶縁平板11を押え板10へボルト19で固定して
スタッキングのためのフレ―ムを構成し、両端の押え板
10には素子3及びヒ―トシンク7の積層体に沿った穴
を設け、一方の押え板の貫通穴17には自在に可動し得
る加圧ロッド15を設けこの加圧ロッド15にネジ加工
を施してロックナット18を装着し、他方の押さえ板の
貫通穴17には自在に可動し且つ皿バネ12を装着した
皿バネロッド16を設ける。尚、押え板10の貫通穴1
7、加圧ロッド15、素子3やヒ―トシンク7等の積層
体、皿バネロッド16は加圧軸に一致するように配列し
ている。スタッキングの際の加圧は図12に示す加圧ユ
ニット22を押え板10に適宜な方法で取付けて加圧を
行う。
【0007】加圧ユニット22は油圧シリンダ24を取
付け治具23に固定して構成される。図に示さないが油
圧ポンプ等からの油圧を油圧ホ―ス25で油圧シリンダ
24に伝達し加圧ロッド15を押圧し適当な加圧力とな
ったところで加圧ロッド15に装着してあるロックナッ
ト18を押え板10側に締め付けて加圧ロッド15を固
定し、半導体スタックの弾性的押圧力を維持する。ここ
で皿バネ12は装置運転中の素子3の熱損失による素子
3そのものの熱膨脹と素子を冷却するヒ―トシンク7の
熱膨脹による加圧力の変動を吸収し、素子3の許容加圧
力以下にて弾性的に加圧維持する機能がある。座13は
片側が円錐溝または球面溝、反対面側が平面となってお
り、加圧ロッド15、皿バネロッド16の加圧力を受け
積層体側に均等な押圧力を伝達させる働きがある。押え
板10は電気的にはそれぞれ図9のA、Kの電位となっ
ていてステ―ジ8とは碍子21で絶縁されている。また
絶縁平板11そのものが絶縁物なので各々の押え板10
とも絶縁されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】近年、サイリスタ素子
の大容量化に伴って素子の直径が大きくなり、素子の圧
接力が増大している。これは平形半導体素子ポスト面で
の接触熱抵抗と電気的な抵抗を低減するためで、圧接力
の大きさは接触面積に比例している。
【0009】図13(a)は絶縁平板11の破断を説明
する図、図13(b)は絶縁平板11と押え板10の取
付部に作用する力を説明する部分断面図である。前述の
方法で素子3が加圧維持されると図13(b)に示すよ
うに押え板10と固定ボルト19の嵌合部に素子圧接力
による剪断力が作用する。また図13(a)に示すよう
に絶縁平板11にも固定ボルト19用の穴に図のような
剪断力が作用する。特に絶縁平板11は固定ボルト19
用の取付穴に設計値を越えた剪断力が作用すると、その
破断は図13(a)の“X”や“Y”で発生する。絶縁
平板11を最適に設計してもその破断荷重Fa は最大で
も次の式で与えられる値にしかならない。
【0010】
【数1】 Fa =σa ×(w−2d)×t ………(1) σa :絶縁平板の引張り破断応力 w :絶縁平板の幅 d :絶縁平板の固定穴の径 t :絶縁平板の板厚 実際には絶縁平板11にあけられた固定穴に応力集中が
発生するので破断荷重Fa は(1)式で得られた値以下
となる。
【0011】素子大容量化に対応したスタックを設計す
るには素子の圧接力に充分耐える設計が要求される。当
然のことながら(1)式の破断荷重を大きくするには絶
縁板厚t,幅wを大きくしなければならない。ところが
固定ボルト19の径も太くしないとボルトが負荷荷重で
破断してしまうので、絶縁板11は更に大きなものにな
ってしまうことになる。また押さえ板10も太い固定ボ
ルト19と嵌合することになり、やはり形状が大きくな
りコンパクト化、軽量化の要求とは矛盾する要因となっ
ていた。
【0012】本発明の目的は、前述の問題点を克服し簡
素で、軽量なしかも圧接が容易で、圧接力を長期間保持
できる絶縁バンドを用いた平形半導体素子用スタックを
提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1の発明は、複数個の平形半導体素子と冷却体
とを交互に積層した積層体と、この積層体の一方の端部
に設けられる加圧側押えブロックと、他方の端部に設け
られる皿バネ側押えブロックと、前記加圧側押えブロッ
クに装着され積層方向に自在に可動し得るネジ加工が施
された加圧ロッドと、この加圧ロッドに装着されるロッ
クナットと、前記皿バネ側押えブロックに装着され積層
方向に自在に可動し得る皿バネロッドと、この皿バネロ
ッドに装着される皿バネと、前記積層体と前記加圧側押
えブロック及び前記皿バネ側押えブロックを取囲むガラ
ス繊維強化プラスチック絶縁材料による絶縁バンド輪を
具備し、前記加圧側押えブロックに着脱可能に取付けら
れる加圧ユニットで前記積層体に加圧力を加えることを
特徴としたものである。
【0014】又、請求項2の発明は、請求項1の発明の
おける皿バネロッドに、ネジ加工を施してロックナット
を装着したことを特徴とするものである。更に、請求項
3の発明は、請求項1の発明のおけるガラス繊維強化プ
ラスチック絶縁材料による絶縁バンドのガラス繊維を、
レ―ストラック状の周方向に多重に巻かれ隣合う繊維は
平行で交差せず、弛みのない伸びきった連続ガラス繊維
層を構成したガラス繊維強化プラスチック絶縁材料とし
たことを特徴としたものである。
【0015】又、請求項4の発明は、請求項1の発明に
おけるガラス繊維強化プラスチック絶縁材料による絶縁
バンドのガラス繊維を、レ―ストラック状の周方向に多
重に巻かれ隣合う繊維は平行で交差せず、弛みのない伸
びきった連続ガラス繊維層と、その外側にガラスクロス
繊維層を構成したガラス繊維強化プラスチック絶縁材料
としたことを特徴としたものである。
【0016】更に、請求項5の発明は、請求項1の発明
におけるガラス繊維強化プラスチック絶縁材料による絶
縁バンドと、押えブロックとは、例えばアルミ、銅、高
分子材料等の当て部材を介して組立構成したことを特徴
とするものである。
【0017】又、請求項6の発明は、請求項1の発明に
おける皿バネ側押えブロック自体にバネ機構を持たせ皿
バネを無くしたことを特徴としたものである。更に、請
求項7の発明は、請求項1の発明における絶縁バンドを
用いた平形半導体素子用スタックをステ―ジに固定する
ために、前記加圧側押えブロック及び皿バネ側押えブロ
ックと前記ステ―ジ間にそれぞれ設けられる固定部品の
少くとも一方に前記半導体素子用スタックの積層体の積
層方向の変形を逃すスライドベ―スを設けたことを特徴
としたものである。
【0018】
【作用】本発明によれば絶縁バンドの破断荷重Fb は
(2)式で表される。
【0019】
【数2】 Fb =σb ×w×t ………(2) σb :絶縁バンドの引張り破断応力 w :絶縁バンドの幅 t :絶縁バンドの板厚 従来のスタックの絶縁平板も本発明の絶縁バンドも同じ
厚み、同じ幅とすると絶縁バンドの方が次の式で表現さ
れる荷重分だけ強度が強い。
【0020】
【数3】 ΔF=Fb −Fa =(σb −σa )×w×t+2×σa ×d×t ……(3) 同じ材料を用いれば(4)式の荷重分だけ向上する。
【0021】 ΔF=2×σ×d×t ……(4) σ :絶縁材料の引張破断力 また、複数個の素子及びヒ―トシンクを交互に積層した
積層体に弾性的な押圧力で圧接保持する作用を有するこ
とができる。特に皿バネロッドに皿バネを通して装着す
ることによにりスタック加圧時のすわり(安定性)を向
上している。また加圧ロッドに外部から押圧力を加えて
積層体を圧接後、加圧ロッドのロックナットで加圧保持
することができ、加圧ユニットを取付ければ、どこでも
簡単にスタックの加圧力を解除して素子交換ができ、再
び加圧し弾性的な押圧力の保持が実現できる。即ち、モ
ジュ―ルユニットに組込まれたスタックをモジュ―ルか
ら取外すこと無くそのままの状態で手軽に素子交換がで
きる。
【0022】更に、請求項2の発明においては、素子交
換の際、皿バネロッドに装着されたロックナットを締め
付けて皿バネロッドを固定し、加圧ロッドの加圧を解除
しても皿バネが変形しないように維持し、素子やヒ―ト
シンク等の積層体の位置を動かさないように作用する。
これによりヒ―トシンクに接続している冷却水用絶縁チ
ュ―ブの変形を防ぐことができ絶縁チュ―ブに機械的ス
トレスを加えること無く素子交換が可能となる。
【0023】又、請求項3の発明においては、ガラス繊
維は曲げに対しては脆いが、ガラス繊維が交わること無
く一方向に並ぶため純粋な引張りとして使用する場合は
鋼より強いという特徴を利用したものでガラスクロス繊
維形の絶縁材料の絶縁バンドに対し引張り強度が3倍以
上向上し強度上の信頼性を向上できる。また縦弾性係数
が大きいので引張りに対し伸び歪みが小さく皿バネによ
るスタック加圧力の加圧力変化を小さく設定できる等コ
ンパクト化に寄与する。
【0024】更に、請求項4の発明においては、請求項
3の発明のガラス繊維は交わること無く一方向に並ぶた
め繊維間強度は樹脂との濡れ性に依存しており、引張り
荷重に対しては非常に強いが圧縮荷重や引き裂き荷重に
対しての強度補強が必要な場合がある。そのような場
合、本発明を用いれば繊維間の剥離強度が増大し圧縮や
引き裂き強度が向上する。また、例え一方向に並んだ繊
維が樹脂と剥離してもこれらの一方向繊維束をガラスク
ロス繊維層で構成したガラス繊維強化プラスチックが覆
っているので中の繊維が散り乱れる心配がない。
【0025】又、請求項5の発明においては、押えブロ
ックと絶縁バンドとが当て部材を介して組立構成される
ので、万一絶縁バンドと押えブロックとの当り面に偏当
り部があっても例えばアルミ、銅、高分子材料を当て部
材として使うことにより、この当て部材が変形して緩衝
材の役割を果し絶縁バンドに応力集中が発生しないよう
に作用する。
【0026】更に、請求項6の発明においては、押えブ
ロックにバネ機能を持たせることで請求項1の発明の絶
縁バンドを用いた平形導体素子用スタックの皿バネを無
くすることができ皿バネ分で占めていたスタックの長さ
を短縮でき、部品点数低減の観点からもコンパクトで簡
素なスタックとなる。
【0027】又に、請求項7の発明においては、絶縁バ
ンドを長期間加圧保持するとクリープ歪みが増大し、ス
タック全体が伸びる。その結果としてスタックとステー
ジを固定する絶縁固定体、例えば碍子等の絶縁固定体に
曲げモーメントが働き碍子等で構成された絶縁固定体を
破損するので、素子やヒートシンクの積層体の積層方向
に位置する少くとも片側の絶縁固定体をスタックの積層
体の積層方向に変形可能となる部品、例えば免震ゴム等
のように横方向にスライドする部品を介して碍子等の絶
縁固定体にする。これにより絶縁バンドのクリープ変形
によってスタック全体が伸びその結果、碍子等の絶縁固
定体に付加される曲げモーメントを回避させる作用があ
る。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1(a)は本発明のスタックを示す正面図、図
1(b)はその側面図、図2は図1のA―A断面図、図
3は本発明のスタツクの加圧方法を説明するための加圧
ユニット説明図である。
【0029】図1、図2に示すように1輪のガラス繊維
強化プラスチック絶縁材料による絶縁バンド32による
スタッキングのためのフレ―ムを構成して、複数個の平
形半導体素子3とヒ―トシンク7とを交互に積層した積
層体と、この積層体を弾性的な押圧力で圧接保持するた
めの加圧側押えブロック26、皿バネ側押えブロック2
9、加圧ロッド15、皿バネロッド16、皿バネ12等
を電気的に絶縁して取囲み、半導体素子3とヒ―トシン
ク7とを圧接することで絶縁バンド32の断面に均等に
引張り力が負荷されるようにしてあり、両端部に配置し
た押えブロック26,29には、前記積層体に沿った貫
通穴17を設け、一方の皿バネ側押えブロック29に
は、上下方向に自在に可動し且つ皿バネ12を装着した
皿バネロッド16を装着し、他方の加圧側押えブロック
26の貫通穴17には、上下方向に自在に可動し得る加
圧ロッド15を装着し、この加圧ロッド15にはネジ加
工が施されてロックナット18を装着し、さらに加圧ロ
ッド側押えブロック26には図3に示す加圧ユニット2
2を着脱可能となるよう治具取付穴27、貫通穴17と
直交するように設けられた圧接用貫通穴28が設けられ
ている。スタッキングの際には図3に示す加圧ユニット
22を閂35にて押えブロック26に取付け、プレス用
治具36、37を用いて加圧を行う。加圧ユニット22
は油圧シリンダ24を取付治具23に固定して構成され
る。即ち、油圧シリンダ24が固定されているU字状の
取付治具23は図1(a)の加圧側押えブロック26に
設けられている治具取付穴27に貫通して設けられる閂
35により固定されることになる。又、圧接用貫通穴2
8に図3のプレス用治具36が挿入され、このプレス用
治具36は油圧シリンダ24によって加圧力が与えられ
るプレス用治具37により押し下げられる。図には示さ
ないが油圧ポンプ等から油圧を油圧ホ―ス25で油圧シ
リンダ24に伝達し、加圧側押えブロック26の貫通穴
17に上下方向に自由に可動し得る状態で挿入されてい
る加圧ロッド15を押圧し適当な加圧力となったところ
で加圧ロッド15に装着してあるロックナット18を加
圧側押えブロック26の方に締付けて加圧ロッド15を
固定しスタック2の弾性的押圧力を維持する。加圧後、
加圧ユニット22は不要なので取外す。
【0030】本発明によれば、スタックが加圧されると
絶縁バンド32全体で引張り力を維持し、弾性的な押圧
力で圧接保持する作用を有することができることは前述
の通りであるが、特に皿バネロッド16に皿バネ12を
通して装着することによりスタック加圧時のすわり(安
定性)を向上している。また加圧ロッド15に外部ら押
圧力を加えて積層体を圧接後、加圧ロッド15のロック
ナット18で加圧保持することができ、加圧ユニット2
2を取付ければどこでも簡単にスタック2の加圧力を解
除し素子交換ができ、再び加圧し弾性的な押圧力の保持
が実現できるという作用がある。
【0031】即ち、図10のモジュ―ルユニットに組込
まれたスタック2をモジュ―ルから取外すこと無くその
ままの状態で手軽に素子交換ができる。つづいて前述の
図1と図2を参照して請求項2に記載の発明について説
明する。 請求項1に記載の発明の絶縁バンドを用いた
平形半導体素子用スタック2において、皿バネロッド1
6にはネジ加工が施され、皿バネ側押えブロック29に
おける絶縁バンド32との接触面と皿バネ12との接触
面との間に皿バネロッド16の可動用貫通穴17と直交
するロックナットスペ―ス31があり、このスペ―ス3
1にて皿バネロッド16のネジ加工部にロックナット3
0を装着する。
【0032】請求項2に記載の発明による素子交換を説
明する。ロックナット30を皿バネ12側に締付け皿バ
ネロッド16を固定してしまうことにより、加圧ロッド
15の加圧を解除しても皿バネ12が変形せずにそのま
まの状態を維持し、素子3やヒ―トシンク7等の積層体
の位置を動かさないようにする作用がある。これにより
ヒ―トシンク7に接続している冷却水用絶縁チュ―ブ9
の変形を防ぐことができ絶縁チュ―ブ9に機械的ストレ
スを加えること無く素子交換が可能となる。
【0033】図4は、請求項3に記載の発明に係る絶縁
バンド32の断面図である。請求項1に記載の発明の絶
縁バンド32を用いた平形半導体素子用スタック2にお
いて、ガラス繊維強化プラスチック絶縁材料による絶縁
バンド32のガラス繊維は、レ―ストラック状の周方向
に多重に巻かれ、隣り合う繊維は平行で交差せず、弛み
の無い伸切った連続ガラス繊維層を構成したガラス繊維
強化プラスチック絶縁材料でその断面は図4に示すよう
にガラス繊維が緻密に並んでいる。この絶縁バンド32
の製造方法の一例としてフィラメントワインディング法
による成型がある。
【0034】引張り強度は樹脂とガラス繊維の含有率に
依存するが常温で1000MPa 程度が期待できる。こ
れはガラスクロスマットFRPの3倍に相当し機械強度
上の信頼性が向上する。またガラス繊維がレ―ストラッ
ク状の周方向に、しかも隣り合う繊維は平行で交差する
こと無く巻かれ、弛み無く伸切った状態となっているの
で引張り荷重が負荷しても伸び歪みが小さい。そのため
皿バネ12によるスタック2の加圧力の荷重変化を小さ
く設計できる等コンパクト化に寄与する作用がある。
【0035】図5は、請求項4に記載の発明に係る絶縁
バンド32の断面図である。ガラス繊維強化プラスチッ
ク絶縁材料による絶縁バンド32のガラス繊維は、レ―
ストラック状の周方向に多重に巻かれ、隣り合う繊維は
平行で交差せず、弛みの無い伸切った連続ガラス繊維層
32Aと、その外側にガラスクロス繊維層32Bを構成
している。
【0036】ガラス繊維が交わること無く一方向に並ぶ
と繊維間強度は樹脂との濡れ性のみに依存し、圧縮荷重
や引き裂き荷重に対しての強度補強が必要な場合があ
る。そのような場合、本発明を用いれば繊維間の剥離強
度が増し、圧縮や引き裂き強度が向上する作用がある。
また、たとえ一方向に並んだ繊維が樹脂と剥離してもこ
れらの一方向繊維束の層をガラスクロ繊維層で構成した
ガラス繊維強化プラスチックが覆っているので中の繊維
が散り乱れる心配がない。
【0037】図6と図7は、請求項5の発明を説明する
ための図で、図1と図2の押えブロック29付近の拡大
図である。請求項1に記載の発明の絶縁バンドを用いた
平形半導体素子用スタック2において、ガラス繊維強化
プラスチック絶縁材料による絶縁バンド32と押えブロ
ック26、29(図では皿バネ側押えブロック29を示
す。)とは、例えばアルミ、銅、高分子材料などの当て
部材34を介して組立構成される。
【0038】このように構成することにより、万一絶縁
バンド32と押えブロック26、29との当り面に偏当
り部があっても当て部材34が変形して緩衝材の役割を
はたし絶縁バンド32に応力集中が発生しないように作
用する。
【0039】図8は、請求項6の発明を説明するための
絶縁バンドを用いた平形半導体素子用スタック2の正面
図である。押えブロック38はスペ―ス31を有してい
るので、押えブロック38そのものがバネ機構を備えた
ものとなり、スタックとしては皿バネ12を無くするこ
とができる。
【0040】押えブロック38にバネ機能を持たせるこ
とで請求項1の発明の絶縁バンド32を用いた平形半導
体素子用スタック2の皿バネを無くすることができ皿バ
ネ分で占めていたスタックの長さを短縮でき、部品点数
低減の観点からもコンパクトで簡素なスタックとなる。
【0041】次に、図2と図7を用いて請求項7の発明
を説明する。請求項1に記載の発明の絶縁バンド32を
用いた平形半導体素子用スタック2において、スタック
2とステ―ジ8との固定は、押えブロック26、29に
例えば免震ゴム等のようなスライドベ―ス33を介して
碍子21にてステ―ジ8と固定する。本図では両方に取
付けているが少くとも片側にスライドベ―ス33が組込
まれていれば良い。
【0042】絶縁バンド32はクリ―プ特性があり長期
間加圧保持するとクリ―プ歪みが増大し、スタック2全
体が伸びる。その結果、スタック2とステ―ジ8を固定
する例えば碍子等から構成される絶縁固定部品(この場
合碍子21)に曲げモ―メントが働く。従って素子3や
ヒ―トシンク7の積層体の積層方向に位置する少くとも
片側にてスタック2の伸び変形量を吸収するスライドベ
―ス33を設けて押えブロック26又は29の位置が可
変となるようにし碍子21に負荷される絶縁バンド32
のクリ―プ変形による曲げモ―メントを回避させる作用
がある。
【0043】以上説明のように請求項1の発明によれ
ば、加圧側押えブロックに着脱可能に取付けられる加圧
ユニットで加圧ロッドに外部から押圧力を加え圧接後、
加圧ロッドのロックナットで加圧保持することができ、
加圧ユニットを取付ければどこでも簡単にスタックの加
圧力を解除し素子交換ができる簡素でコンパクトな絶縁
バンドを用いた平形半導体素子用スタックを提供するこ
とができる。
【0044】又請求項2の発明によれば、素子交換の
際、皿バネロッドに装着されたロックナットを締め付け
て皿バネロッドを固定することにより、加圧ロッドの加
圧を解除しても素子やヒ―トシンク等の積層体の位置を
動くことなく、これによりヒ―トシンクに接続している
冷却水用絶縁チュ―ブの変形を防ぐことができ絶縁チュ
―ブに機械的ストレスを加えること無く素子交換するこ
とができる。
【0045】更に、請求項3の発明によれば、請求項1
に記載の発明の絶縁バンドはガラス繊維をレーストラッ
ク状の周方向に多重に巻回し、隣り合う繊維は平行で交
差せず、弛みの無い伸切った連続ガラス繊維層で構成し
たガラス繊維強化プラスチック絶縁材料とすることによ
り、ガラス繊維は曲げに対しては脆いが、ガラス繊維が
交わること無く一方向に並ぶため純粋な引張りとして使
用する場合は鋼より強いという特徴を利用したものでガ
ラスクロス繊維形の絶縁材料の絶縁バンドに対し引張り
強度が3倍以上向上し強度上の信頼性を向上できる。
【0046】又、請求項4の発明においては、請求項3
の発明のガラス繊維強化プラスチック絶縁材料を、ガラ
スクロス繊維層で構成したガラス繊維強化プラスチック
で覆っているので繊維間の剥離強度が増大し圧縮や引き
裂き強度を向上できる。
【0047】更に、請求項5の発明においては、押えブ
ロックと絶縁バンドとが当て部材を介して組立構成され
るので、万一絶縁バンドと押えブロックとの当り面に偏
当り部があってもアルミ、銅、高分子材料を当て部材と
して使うことにより、この当て部材が変形して緩衝材の
役割を果し絶縁バンドに応力集中の発生を防止できる。
【0048】又、請求項6の発明においては、皿バネ側
押えブロック自体にバネ機構を持たせたため皿バネを省
略することができる。更に、請求項7の発明においては
絶縁バンドを用いた平形半導体素子用スタックをステ―
ジに固定するために、加圧側押えブロック及び皿バネ側
押えブロックとステ―ジ間にそれぞれ設けられる固定部
品の少くとも一方にスライドベ―スを設けたことによ
り、絶縁バンドのクリ―プ変形による固定部品に加わる
曲げモ―メントを回避させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す半導体スタックの構成
図で(a)は正面図、(b)は側面図。
【図2】[図1]のA―A断面図。
【図3】本発明の平形半導体スタックを加圧する加圧ユ
ニットを示す図。
【図4】本発明に適用する絶縁バンドの断面構成を示す
図。
【図5】本発明に適用する絶縁バンドの他の実施例の断
面構成を示す図。
【図6】本発明の平形半導体スタックの部分拡大図。
【図7】本発明の平形半導体スタックの断面の部分拡大
図。
【図8】本発明の他の実施例を示す半導体スタック構成
を示す正面図。
【図9】変換装置を構成するモジュ―ルユニットの回路
図。
【図10】モジュ―ルユニットの鳥瞰図。
【図11】従来の半導体スタックを示す構成図で(a)
は正面図、(b)は側面図。
【図12】従来の平形半導体スタックを加圧する加圧ユ
ニットを示す図。
【図13】従来の平形半導体スタックの絶縁板及び押え
板に負荷される剪断力を説明するための図で、(a)は
絶縁板に負荷される剪断力の図、(b)は押え板に負荷
される剪断力の図。
【符号の説明】
1 …モジュ―ル 2 …スタック 3 …平形半導体素子 4 …分圧抵抗 5 …コンデンサ 6 …リアクトル 7 …ヒ―トシンク 8 …ステ―ジ 9 …絶縁チュ―ブ 10 …押え板 11 …絶縁平板 12 …皿バネ 13 …座 14 …導体 15 …加圧ロッド 16 …皿バネロ
ッド 17 …貫通穴 18 …ロックナ
ット 19 …固定ボルト 20 …サポ―ト 21 …碍子 22 …加圧ユニ
ット 23 …取付治具 24 …油圧シリ
ンダ 25 …油圧ホ―ス 26 …加圧側押
えブロック 27 …治具取付穴 28 …圧接用貫
通穴 29 …皿バネ側押えブロック 30 …皿バネロ
ッド固定ナット 31 …固定ナットスペ―ス 32 …絶縁バン
ド 33 …スラストベ―ス 34 …当て板 35 …閂 36 …プレス用
治具 37 …プレス用治具 38 …押えブロ
ック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小山 充彦 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝 府中工場内 (72)発明者 伊村 正幸 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝 府中工場内 (56)参考文献 特開 昭55−124254(JP,A) 特開 昭64−76749(JP,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数個の平形半導体素子と冷却体とを交互
    に積層した積層体と、この積層体の一方の端部に設けら
    れる加圧側押えブロックと、他方の端部に設けられる皿
    バネ側押えブロックと、前記加圧側押えブロックに装着
    され積層方向に自在に可動し得るネジ加工が施された加
    圧ロッドと、この加圧ロッドに装着されるロックナット
    と、前記皿バネ側押えブロックに装着され積層方向に自
    在に可動し得る皿バネロッドと、この皿バネロッドに装
    着される皿バネと、前記積層体と前記加圧側押えブロッ
    ク及び前記皿バネ側押えブロックを取囲むガラス繊維強
    化プラスチック絶縁材料による絶縁バンド輪を具備し、
    前記加圧側押えブロックに着脱可能に取付けられる加圧
    ユニットで前記積層体に加圧力を加えるようにしたこと
    を特徴とする絶縁バンドを用いた平形半導体素子用スタ
    ック。
  2. 【請求項2】 前記皿バネロッドにはネジ加工が施
    されてロックナットを装着したことを特徴とする請求項
    1の絶縁バンドを用いた平形半導体素子用スタック。
  3. 【請求項3】 前記ガラス繊維強化プラスチック絶
    縁材料による絶縁バンドのガラス繊維は、レ―ストラッ
    ク状の周方向に多重に巻かれ隣合う繊維は平行で交差せ
    ず、弛みのない伸びきった連続ガラス繊維層を構成した
    ガラス繊維強化プラスチック絶縁材料であることを特徴
    とした請求項1の絶縁バンドを用いた平形半導体素子用
    スタック。
  4. 【請求項4】 前記ガラス繊維強化プラスチック絶
    縁材料による絶縁バンドのガラス繊維は、レ―ストラッ
    ク状の周方向に多重に巻かれ隣合う繊維は平行で交差せ
    ず、弛みのない伸びきった連続ガラス繊維層と、その外
    側にガラスクロス繊維層を構成したガラス繊維強化プラ
    スチック絶縁材料であることを特徴とした請求項1の絶
    縁バンドを用いた平形半導体素子用スタック。
  5. 【請求項5】 前記ガラス繊維強化プラスチック絶
    縁材料による絶縁バンドと、加圧側押さえブロック及び
    皿バネ側押さえブロックとは、アルミ、銅、高分子材料
    等の当て部材を介して組立構成されたことを特徴とする
    請求項1の絶縁バンドを用いた平形半導体素子用スタッ
    ク。
  6. 【請求項6】 前記皿バネ側押えブロック自体にバ
    ネ機構を持たせ皿バネを省略したことを特徴とした請求
    項1の絶縁バンドを用いた平形半導体素子用スタック。
  7. 【請求項7】 前記絶縁バンドを用いた平形半導体
    素子用スタックをステ―ジに固定するために、前記加圧
    側押えブロック及び皿バネ側押えブロックと前記ステ―
    ジ間にそれぞれ設けられる固定部品の少くとも一方に前
    記半導体素子用スタックの積層体の積層方向の変形を逃
    すスライドベ―スを設けたことを特徴とする請求項1の
    絶縁バンドを用いた平形半導体素子用スタック。
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