JP3129745U - 窯業系サイディングおよび該窯業系サイディングを使用した建築物の耐震補強構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】左右に対向配置された一対の柱7と各柱7に接合された上段横架材1と下段横架材2からなる構造躯体において、所定の寸法の窯業系サイディング9が当接され、所定の間隔で釘4またはビスで留め付けることによって、建築物の耐震性や壁倍率を向上させる。この窯業系サイディング9は、部分的に塗装されている塗装部分11と非塗装部分12とを有しており、透湿性能を改善する。
【選択図】図2
Description
この面材3は、前面の表面全面に、塗装されている。(塗装部分10)
なお、壁倍率とは、建築基準法において、耐力壁の強さを表す数値であり、壁倍率1.0とは、耐力壁の長さ1m当たりの基準耐力が1.96kNであることをいう。なお、上記告示に規定された構造用面材以外の面材を用いて壁倍率を有する耐力壁とする場合には、国土交通大臣の大臣認定を取得する必要がある。
耐力壁構造にすると、水蒸気が壁体内に滞留し、構造材が腐朽しやすくなるという欠点があった。
左右に対向配置された一対の柱と各柱に接合された上段横架材と下段横架材からなる構造躯体において、上段横架材または下段横架材と、各柱との接合部またはそれら部材間が接合金物または補強金物で結合され、かつ、当接される前記窯業系サイディングと干渉しない位置に該接合金物または補強金物が結合されているか、または、該接合金物または補強金物が前記窯業系サイディングと干渉しないようにするために、上段横架材または下段横架材、各柱に該接合金物または補強金物の形状および厚さに相当する部分が座掘りされており、該座掘り部分に接合金物または補強金物が埋め込まれて結合されている構造躯体に、窯業系サイディングが当接され、
上段横架材と下段横架材さらに各柱の前面に、30mm以上200mm以下の所定の間隔でその当接部分に釘またはビスで固定されている、
ことを特徴とする建築物の耐震補強構造により、さらにより効果的に達成される。
したがって、本考案にかかる窯業系サイディングおよび該窯業系サイディングを使用した建築物の耐震補強構造によれば、構造用面材の透湿性能を高めることができ、かつ壁体内の結露の防止、耐震性、防火性、耐久性(耐腐朽性)に優れるため、その有用性はきわめて高い。
図1、および、図4から図13は、本考案の実施の形態にかかる窯業系サイディングを、図2および図3は、この窯業系サイディングを使用した建築物の耐震補強構造を、それぞれ示す。
図14は、従来の耐力壁(比較例)を示す。
本考案の実施例1は、図1に示すように、前面に、部分的に塗装が施された、建築用面材である窯業系サイディング9(以下、板9)で構成される。部分的に塗装されている塗装部分11の釘打ち箇所95に限って、釘4が打ち付けられる。(後述する)また、部分的に塗装されている塗装部分11以外の前面には、非塗装部分12を設けている。
本考案の実施例2は、図4に示すように、前面に、第1の塗布量からなる第1の塗装部分13と第1の塗布量よりも少ない塗布量からなる第2の塗装部分14とを設けた、板9で構成される。第1の塗布量からなる第1の塗装部分13に限って、釘4が打ち付けられる。その他は、実施例1と同様とした。
また、本考案の実施例3は、図5に示すように、釘打ち箇所95に、円状に、部分的に塗装されている塗装部分11を設け、それ以外の前面の範囲に、非塗装部分12を設けた例である。
この場合も、各板9の釘4の位置は実施例1、実施例2と同様としているが(図示せず)、実施例1と比べて全体として塗装される部分の面積が小さくなるため、より透湿抵抗は小さくなる(透湿性能が上がる)傾向にある。とりもなおさず、実施例3は、比較例に比べ、透湿抵抗が小さくなる(透湿性能が上がる)傾向にある。
また、本考案の実施例4は、図6に示すように、釘打ち箇所95に、円状に、第1の塗布量からなる第1の塗装部分13を設け、それ以外の前面の範囲に、第1の塗布量よりも少ない塗布量からなる第2の塗装部分14を設けた例である。この実施例4では、実施例3で示した非塗装部分12の範囲に、第1の塗布量よりも少ない塗布量からなる第2の塗装部分14を設けている。第1の塗布量からなる第1の塗装部分13の範囲は、実施例3の部分的に塗装されている塗装部分11と同一としている。
この場合も、各板9の釘4の位置は実施例1、実施例2と同様としているが(図示せず)、実施例2の部分的に塗装されている塗装部分11に比べて第1の塗布量からなる第1の塗装部分13の面積が小さくなるため、より透湿抵抗は小さくなる(透湿性能が上がる)傾向にある。とりもなおさず、実施例4は、比較例に比べ、透湿抵抗が小さくなる(透湿性能が上がる)傾向にある。
本考案の実施例5は、図7(a)〜(c)に示すように、実施例1と比較して、部分的に塗装されている塗装部分11の範囲を大きくし、非塗装部分12の範囲を小さくしたものである。実施例5は、実施例1と比較して透湿抵抗が大きくなる傾向があるものの、実施例1と同様の改善効果が得られる。
また、本考案の実施例6は、図8(a)〜(c)に示すように、実施例2と比較して、第1の塗布量からなる第1の塗装部分13の範囲を大きくし、第1の塗布量よりも少ない塗布量からなる第2の塗装部分14の範囲を小さくしたものである。実施例6は、実施例2と比較して透湿抵抗が大きくなる傾向があるものの、実施例2と同様の改善効果が得られる。
また、本考案の実施例7ならびに実施例8は、図9(a)・(b)に示すように、実施例1、実施例2に比べ、部分的に塗装されている塗装部分11および第1の塗布量からなる第1の塗装部分13を板9の上端部93、板9の下端部94において板9の長辺方向にそれぞれ拡大している。これらは、建築工事現場において、上段横架材1と下段横架材2との間隔にあわせた板9の切断・留め付けを考慮し、釘打ち箇所95が部分的に塗装されている塗装部分11および第1の塗布量からなる第1の塗装部分13に確実にあたるように、部分的に塗装されている塗装部分11および第1の塗布量からなる第1の塗装部分13の面積を拡大したものである。実施例7および実施例8は、それぞれ実施例1、実施例2と同様の透湿性能の改善効果があり、かつまた、施工部位や間隔に応じた板の切断を任意位置でできる施工柔軟性があり、部分的に塗装されている塗装部分11および第1の塗布量からなる第1の塗装部分13以外の部分へ釘打ちされるといった施工不良を低減させる効果がある。
本考案の実施例9は、図10(a)〜(d)に示すように、板の表面に多数の凹部20を設け、さらに、表面に部分的に塗装されている塗装部分11を設けるとともに、凹部20の底面22および側面(斜面)23に非塗装部分12を設ける。板の留め付け方法は実施例1と同様としている(図示せず)。この凹部20を設けることにより、側面(斜面)23に非塗装部分12が増え、透湿性能が向上する。
本考案の実施例10は、図11(a)〜(d)に示すように、板の表面に実施例9と同様の多数の凹部20を設け、さらに、表面に第1の塗布量からなる第1の塗装部分13を設けるとともに、凹部20の底面22および側面(斜面)23に、第1の塗布量よりも少ない塗布量からなる第2の塗装部分14を設ける。板の留め付け方法は実施例2と同様としている(図示せず)。この凹部20を設けることにより、側面(斜面)23に第1の塗布量よりも少ない塗布量からなる第2の塗装部分14が増え、透湿性能が向上する。
本考案の実施例11は、図12(a)〜(d)に示すように、板の表面に多数の凸部21を設け、さらに、凸部21の上面に部分的に塗装されている塗装部分11を設けるとともに、凸部21の上面以外は非塗装部分12を設ける。板の留め付け方法は実施例1と同様としている(図示せず)。この凸部21を設けることにより、側面(斜面)23に非塗装部分12が増え、透湿性能が向上する。
本考案の実施例12は、図13(a)〜(d)に示すように、板の表面に多数の凸部21を設け、さらに、凸部21の上面に第1の塗布量からなる第1の塗装部分13を設けとともに、凸部21の上面以外は第1の塗布量よりも少ない塗布量からなる第2の塗装部分14を設ける。板の留め付け方法は実施例2と同様としている(図示せず)。この凸部21を設けることにより、側面(斜面)23に第1の塗布量よりも少ない塗布量からなる第2の塗装部分14が増え、透湿性能が向上する。
日本工業規格 JIS A 1324 建築材料の透湿性測定方法に記載されるカップ法に準じた試験方法による。なお、透湿性能に関する試験は、壁構造の実大試験ではなく、試料片による。
建築基準法第77条の56および建築基準法に基づく指定資格検定機関等に関する省令第71条の2に定める指定性能評価機関が公表する『木造耐力壁及びその倍率の試験・評価業務方法書』に記される建築基準法施行令第46条第4項表1の(八)項の規定に基づく認定に係(かか)わる試験方法を基本にした試験方法による。
透湿性能の比較試験結果より、実施例1、実施例2は比較例と比べ、透湿性能が改善されている。また、耐力壁の耐力に関する試験結果より、実施例1、実施例2と比較例の耐力は同等であり、実施例1のように非塗装部分があっても、また、実施例2のように塗料の塗布量が少ない塗装部分があっても、充分な耐力が得られる。
同様に、第1の塗布量からなる第1の塗装部分と第1の塗布量よりも少ない塗布量からなる第2の塗装部分の二つを設けても、実施例2は、優れた耐震性能を有しながら透湿性能を向上させる窯業系サイディングおよび該窯業系サイディングを使用した建築物の耐震補強構造を実現できる。
たとえば、尺モデュールの場合、幅が1820mm、高さが2727mmの軸組構造に、横幅910mm・縦幅3030mmの板を張設するとき、縦幅2727mmに切断した2枚の板を使用すればよい。
同様に、メーターモデュールの場合、幅が2000mm、高さが3000mmの軸組構造に、たとえば、横幅1000mm・縦幅3030mmの板を張設するとき、縦幅3000mmに切断した板を使用すればよい。
なお、板の厚さは9mm以上が望ましいが、厚さが9mm未満であっても要求される耐力壁の耐力に応じて厚さを設定することができる。
さらに、第1の塗布量よりも少ない塗布量からなる第2の塗装部分の透湿抵抗値は、第1の塗布量からなる第1の塗装部分の透湿抵抗値よりも小さいことが望ましいが、第1の塗布量よりも少ない塗布量からなる第2の塗装部分の透湿抵抗値が小さいほど、透湿性能を改善する効果が高いため、第1の塗布量よりも少ない塗布量からなる第2の塗装部分の透湿抵抗値と第1の塗布量からなる第1の塗装部分のそれとの差を大きく設定することがより望ましい。
この半径30mmの円は、釘・ビスなどのファスナーが板に伝達する応力の影響範囲を示している。かりに、部分的に塗装されている塗装部分および第1の塗布量からなる第1の塗装部分が、この半径30mmより小さい範囲だと、板の釘打ち箇所・ビス留め箇所の耐力が減少する傾向にあるため、半径30mm以上が望ましい。さらに、耐力壁の耐力をより向上させる場合には、この半径30mmを、より大きな数値にすることが望ましい。なお、逆に、要求される耐力壁の性能が高くない設計目標の場合には、この半径30mmをこれより小さくすることもできる。
さらに、第1の塗布量よりも少ない塗布量からなる第2の塗装部分は、通常の塗装面に対してサンドブラスト処理などによって微細な無塗装部分をつくることにより、第1の塗布量よりも少ない塗布量からなる第2の塗装部分と同等の透湿抵抗値を有するの塗装表面を得たものであってもよい。
2 下段横架材
3 面材(従来の窯業系サイディング)
4 釘
5 軸組構造
6 耐力壁
7 柱
8 間柱
9 板(窯業系サイディング)
91 板9の左端部
92 板9の右端部
93 板9の上端部
94 板9の下端部
95 板の釘打ち箇所
10 塗装部分
11 部分的に塗装されている塗装部分
12 非塗装部分
13 第1の塗布量からなる第1の塗装部分
14 第1の塗布量よりも少ない塗布量からなる第2の塗装部分
20 凹部
21 凸部
22 底面
23 側面(斜面)
Claims (11)
- 建築物の壁部に使用される窯業系サイディングであって、該窯業系サイディングは、表面に、部分的に塗装されている塗装部分と非塗装部分とを有し、該塗装部分は、少なくとも釘打ち箇所またはビス留め箇所を中心とする所定領域面を含んでいることを特徴とする窯業系サイディング。
- 建築物の壁部に使用される窯業系サイディングであって、該窯業系サイディングは、表面に、第1の塗布量からなる第1の塗装部分と、前記第1の塗布量よりも少ない塗布量からなる第2の塗装部分とが、部分的に塗装されており、該第1の塗装部分は、少なくとも釘打ち箇所またはビス留め箇所を中心とする所定領域面を含んでいることを特徴とする窯業系サイディング。
- 請求項1に記載の窯業系サイディングであって、さらに、前記窯業系サイディングの表面に凹部が形成されており、該凹部の底面に、前記非塗装部分が形成されていることを特徴とする窯業系サイディング。
- 請求項2に記載の窯業系サイディングであって、さらに、前記窯業系サイディングの表面に凹部が形成されており、該凹部の底面に、前記第2の塗装部分が形成されていることを特徴とする窯業系サイディング。
- 請求項1に記載の窯業系サイディングであって、さらに、前記窯業系サイディングの表面に凸部と凹部が部分的に形成されており、前記凸部および凹部の側面を形成する側面部分に、前記非塗装部分が形成されていることを特徴とする窯業系サイディング。
- 請求項2に記載の窯業系サイディングであって、さらに、前記窯業系サイディングの表面に凸部と凹部が部分的に形成されており、前記凸部および凹部の側面を形成する側面部分に、前記第2の塗装部分が形成されていることを特徴とする窯業系サイディング。
- 請求項1または請求項3または請求項5に記載の窯業系サイディングであって、前記塗装部分の透湿抵抗値は、2.67 m2・h・kPa/g 〜 6.67 m2・h・kPa/g であることを特徴とする窯業系サイディング。
- 請求項2または請求項4または請求項6に記載の窯業系サイディングであって、前記第1の塗装部分の透湿抵抗値は、2.67 m2・h・kPa/g 〜 6.67 m2・h・kPa/g であり、前記第2の塗装部分の透湿抵抗値が、第1の塗装部分のそれよりも低いことを特徴とする窯業系サイディング。
- 前記窯業系サイディングは、縦幅2727mm以上3030mm以下、横幅910mm以上2000mm以下の寸法であることを特徴とする請求項1から請求項8に記載の窯業系サイディング。
- 左右に対向配置された一対の柱と各柱に接合された上段横架材と下段横架材からなる構造躯体の、上段横架材と下段横架材さらに各柱の前面に、請求項1から請求項9記載の窯業系サイディングが当接され、上段横架材と下段横架材さらに各柱の前面に、30mm以上200mm以下の所定の間隔でその当接部分に釘またはビスで固定されていることを特徴とする建築物の耐震補強構造。
- 左右に対向配置された一対の柱と各柱に接合された上段横架材と下段横架材からなる構造躯体において、上段横架材または下段横架材と、各柱との接合部またはそれら部材間が接合金物または補強金物で結合され、かつ、当接される前記窯業系サイディングと干渉しない位置に該接合金物または補強金物が結合されているか、または、該接合金物または補強金物が前記窯業系サイディングと干渉しないようにするために、上段横架材または下段横架材、各柱に該接合金物または補強金物の形状および厚さに相当する部分が座掘りされており、該座掘り部分に接合金物または補強金物が埋め込まれて結合されている構造躯体に、請求項1から請求項9記載の窯業系サイディングが当接され、
上段横架材と下段横架材さらに各柱の前面に、30mm以上200mm以下の所定の間隔でその当接部分に釘またはビスで固定されている、
ことを特徴とする建築物の耐震補強構造。
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