JP3203715U - モルタル外壁の壁構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたひび割れ防止効果を得ることのできるモルタル外壁の壁構造。【解決手段】木基材30の外面に防水シート41を介してメタルラス42を取り付けてこのメタルラスを埋設するように形成されたモルタルの下塗り層43と、下塗り層43の外面のうちの少なくともひび割れの発生し易い部位Cに補強用メタルラス44をそのメッシュ部分の長手方向がひび割れ予想線に対して90±10度の範囲で交差するように配置して取り付けてこの補強用メタルラスを埋設するように形成されたモルタルの上塗り層45とを有する。【選択図】図1

Description

本考案は、木造の建築物に形成されたモルタル外壁の壁構造に係り、特に、壁面の窓枠などが配置される矩形状に形成された開口部の隅部の外側部分、入り隅部および出隅部などにひび割れが発生するのを防止するのに好適なモルタル外壁の壁構造に関する。
従来から、木造軸組工法などにより建築された木造の建築物の外壁として、モルタルでメタルラスを埋設した耐火性を具備するモルタル外壁が広く用いられている。
このような従来のモルタル外壁においては、壁面のうち窓枠や戸枠などの矩形状の開口部の隅部の外側部分、入り隅部および出隅部などにおいて、経時変化や地震などの外力による建築物の変形に起因するひび割れが発生し易いことが知られている。
そこで、ひび割れを防止する方法の1つとして、開口部の隅部の外側部分、入り隅部および出隅部などのひび割れの発生し易い部位において、メタルラスに補強用メタルラスを取り付けて補強することにより、応力を分散させてひび割れを防止する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
ここで、従来のひび割れを防止することのできるモルタル外壁の一例について図16および図17により説明する。
図16および図17に示すように、従来の施工方法により形成されたモルタル外壁100は、木基材としての構造用合板110上にアスファルトフェルトなどの防水シート120と、メタルラスとしての波形ラス130(日本工業規格A5505 波形ラス1号)とをこの順に図示しないステープルにより取り付け、さらに、ひび割れが発生しやすい部位である易ひび割れ部C、例えば窓枠が配置される矩形状に形成された開口部140の隅部140aの外側部分において、波形ラス130上に所定の大きさの矩形状をなす補強用メタルラスとしての平ラス160をステープルで図17に示すように斜めに取り付けて補強(二重張り)し、この上からモルタルとしての既調合軽量セメントモルタル(軽量モルタル)の下塗り層170を形成して波形ラス130および平ラス160を下塗り層170により埋設し、この下塗り層170の上に、さらにモルタルの上塗り層180を積層して構成されている。なお、平ラス160の配置としては、図18に示す開口部140の外側を四角枠状に取り囲む配置や、図19に示す開口部140の隅部140aの外側をL字状(直角)に囲う配置もある。
特開平8−246603号公報
しかしながら、従来のモルタル外壁の施工方法では、十分なひび割れ防止効果を得ることができるとは限らなかった。
例えば、従来のモルタル外壁の施工方法において、補強用メタルラスの質量や配置の違いによるひび割れ防止効果については明確にされていないのが現状である。
そこで、優れたひび割れ防止効果を得ることのできるモルタル外壁の壁構造が求められている。
本考案はこのような点に鑑みてなされたものであり、優れたひび割れ防止効果を得ることのできるモルタル外壁の壁構造を提供することを目的とする。
本考案者らは、前記目的を達成するために優れたひび割れ防止効果を得ることのできるモルタル外壁の壁構造の研究を鋭意行った。
本考案は、上記研究の結果なされたもので、木基材の外面に防水シートを介してメタルラスを取り付けてこのメタルラスを埋設するように形成されたモルタルの下塗り層と、前記下塗り層の外面のうちの少なくともひび割れの発生し易い部位に補強用メタルラスをその菱形をなすメッシュ部分の長手方向がひび割れ予想線に対して90±10度の範囲で交差するように配置して取り付けてこの補強用メタルラスを埋設するように形成したモルタルの上塗り層とを有することを特徴とするモルタル外壁の壁構造を提供する。これにより、ひび割れを防止するのに最適な補強用ラスの配置を得ることができる。
本考案のモルタル外壁の壁構造によれば、モルタルの上塗り層の外面に補強用メタルラスを近付けて配置することができるので、モルタル外壁の外面の強度を従来より強くすることができる。その結果、優れたひび割れ防止効果を容易かつ確実に得ることができるなどの優れた効果を奏する。
本考案に係るモルタル外壁の壁構造の第1実施形態の要部を上方から見て示す模式的断面図 本考案に係るモルタル外壁の壁構造の第2実施形態の要部を上方から見て示す模式的断面図 本考案に係るモルタル外壁の壁構造の第3実施形態の要部を上方から見て示す模式的断面図 本考案に係るモルタル外壁の壁構造の施工方法の実施形態の要部を示すブロック図 本考案に係るモルタル外壁の壁構造の施工方法の実施形態における施工状態を工程順に説明する説明図であり、(a)はラス張り工程を終了した状態、(b)は第1塗り工程を終了した状態、(c)は補強ラス張り工程を終了した状態、(d)は第2塗り工程を終了した状態 図5の補強ラス張り工程における補強用メタルラスの配置の一例を示す説明図であり、(a)は開口部の隅部の外側部分における配置、(b)は出隅部における配置 耐圧試験に用いた試験体の形状と大きさを示す説明図 耐圧試験の概略を示す説明図 水平加力試験機を用いた柱脚固定式面内せん断試験に供した試験用構造躯体を示す説明図 図9の試験用構造躯体に木基材を取り付けた状態を示す説明図 水平加力試験機の構成の概略を示す説明図 柱脚固定式面内せん断試験に用いた試料2、4における補強用メタルラスおよびπ型変位計の配置を示す説明図 柱脚固定式面内せん断試験に用いた試料3、5における補強用メタルラスおよびπ型変位計の配置を示す説明図 柱脚固定式面内せん断試験によるひび割れ幅と変位角との関係を示す線図 柱脚固定式面内せん断試験によるひび割れの発生状態を示すスケッチ図であり、(a)は試料1、(b)は試料2、(c)は試料3、(d)は試料4、(e)は試料5 従来のモルタル外壁の施工方法により形成されるモルタル外壁の壁構造の一例の要部を上方から見て示す模式的断面図 図16の壁構造における補強用メタルラスの配置を示す説明図 図16の壁構造における補強用メタルラスの他の配置を示す説明図 図16の壁構造における補強用メタルラスのさらに他の配置を示す説明図
以下、本考案を図面に示す実施形態により説明する。
まず、モルタル外壁の施工方法により形成される本考案のモルタル外壁の壁構造について説明する。
(壁構造の第1実施形態)
図1はモルタル外壁の施工方法により形成される本考案に係るモルタル外壁の壁構造の第1実施形態の要部を示す模式的横断面図である。
本実施形態のモルタル外壁の壁構造10(以下、単に、壁構造と記す。)は、木造軸組方法による建築物にモルタル外壁40を直張り工法により形成したものである。
すなわち、図1に示すように、本実施形態の壁構造10は、柱材(間柱)21や図示しない梁などの構造躯体20と、この構造躯体20の室外側の面である外面に取り付けられた木基材30としての例えば厚さ9mmの構造用合板30aと、この構造用合板30aの外面に設けられたモルタル外壁40とにより構成されている。また、モルタル外壁40は、構造用合板30aの外面に防水シート41を介して取り付けられたメタルラス42(以下、下地用ラスと記す。)と、この下地用ラス42を埋設するように設けられたモルタルの下塗り層43と、この下塗り層43の外面のうち少なくとも壁面のモルタルにひび割れが発生し易い部位C(以下、易ひび割れ部と記す。)に取り付けられた補強用メタルラス44(以下、補強用ラスと記す。)と、この補強用ラス44を埋設するように設けられたモルタルの上塗り層45とにより構成されている。
前記防水シート41としては、アスファルトフェルトが用いられ、下地用ラス42としては、モルタルの保持性に優れた波形ラス、より詳しくは波形ラス1号(日本工業規格A5505)が用いられ、補強用ラス44としては、平ラス、より好ましくは質量の大きい平ラス4号(日本工業規格A5505)が用いられ、モルタルとしては、既調合軽量セメントモルタル(軽量モルタル:JASS15)が用いられている。なお、補強用ラス44の材料としては、ステンレス鋼板(SUS304等)や亜鉛メッキ鋼板を挙げることができる。また、下塗り層43の厚さは10mm程度とされ、上塗り層45の厚さは5mm程度とされ、モルタル外壁40の総厚が15mm程度とされている。さらに、易ひび割れ部Cとしては、窓枠や戸枠などが配置される矩形状に形成された開口部140の隅部140aの外側部分(図6参照)や、図示しない入り隅部および出隅部を挙げることができる。なお、補強用ラス44の配設位置としては、設計コンセプトなどの必要に応じて、下塗り層43の外面の全面に配置してもよい。また、防水シート41、下地用ラス42および補強用ラス44の取り付けには、ステープルが用いられている。さらに、易ひび割れ部Cとしての開口部140の隅部140aの外側部分における補強用ラス44の配置については後述する。さらにまた、入り隅部および出隅部に設ける補強用ラス44は、2つの補強用ラス44を隅で突き合わせるように配置してもよいし、折り曲げた一体のものを配置してもよい。
(壁構造の第2実施形態)
図2はモルタル外壁の施工方法により形成される本考案に係るモルタル外壁の壁構造の第2実施形態の要部を示す模式的横断面図である。
本実施形態の壁構造50は、木造軸組方法による建築物に、モルタル外壁40を通気工法により形成したものである。
すなわち、図2に示すように、本実施形態の壁構造50は、柱材(間柱)21や図示しない梁などの構造躯体20と、この構造躯体20の外面に取り付けられた野地板22と、この野地板22の外面に取り付けられた透湿防水シート23と、この透湿防水シート23の外面に取り付けられた胴縁24と、この胴縁24の外面に取り付けられた木基材30としての厚さ9mmの構造用合板30aと、この構造用合板30aの外面に設けられたモルタル外壁40とにより構成されており、構造躯体20とモルタル外壁40との間には通気層25が設けられている。なお、モルタル外壁40の構成については、前述した第1実施形態の壁構造10におけるモルタル外壁40と同一とされているので、図面中に同一の符号を付し、その詳しい説明については省略する。
(壁構造の第3実施形態)
図3はモルタル外壁の施工方法により形成される本考案に係るモルタル外壁の壁構造の第3実施形態の要部を示す模式的横断面図である。
本実施形態の壁構造60は、木造軸組方法による建築物に、モルタル外壁40を前述した第2実施形態の壁構造50とは異なる通気工法により形成したものである。
すなわち、図3に示すように、本実施形態の壁構造60は、柱材(間柱)21や図示しない梁などの構造躯体20と、この構造躯体20の外面に取り付けられた野地板22と、この野地板22の外面に取り付けられた透湿防水シート23と、この透湿防水シート23の外面に取り付けられた木基材30としての胴縁30bと、この胴縁30bの外面に設けられたモルタル外壁(外装材)40とにより構成されており、構造躯体20とモルタル外壁40との間には通気層25aが設けられている。なお、モルタル外壁40の構成については、前述した第1および第2実施形態の壁構造10、50におけるモルタル外壁40と同一とされているので、図面中に同一の符号を付し、その詳しい説明については省略する。但し、下地用ラス42としては、片面に防水シート41が貼着された防水シート付きのものものが、防水シート41および下地用ラス42を一度に取り付けることができるので、作業者による使い勝手がよいという理由で広く用いられている。
つぎに、本実施形態のモルタル外壁40の壁構造の施工方法について説明する。
図4は本考案に係るモルタル外壁の壁構造の施工方法の実施形態の要部を示すブロック図である。また、図5は本考案に係るモルタル外壁の施工方法の実施形態における施工状態を工程順に説明する説明図である。
本実施形態のモルタル外壁の壁構造の施工方法(以下、単に、施工方法と記す。)は、図4に示すように、下塗り工程70と、上塗り工程80とをこの順に行うようになっている。なお、本実施形態の施工方法は、外壁の一面毎に行うとよい。また、本実施形態の施工方法は、前述した本実施形態の壁構造10、50、60における木基材30の外面に設けるモルタル外壁40の形成に用いられる。
前記下塗り工程70は、木基材30の外面に防水シート41を介して下地用ラス42を取り付けて、この下地用ラス42を埋設するようにモルタルの下塗り層43を形成するものである。
具体的には、木基材30(前述した第1および第2実施形態の壁構造10、50の場合には構造用合板30a、前述した第3実施形態の壁構造60の場合には胴縁30b)の外面に防水シート41を介して下地用ラス42をステープルにより取り付けるラス張り工程71と、取り付けた下地用ラス42を埋設するように、予め設定した厚さ、例えば厚さ10mm程度の軽量モルタルの下塗り層43を形成する第1塗り工程72とをこの順に行うことにより、従来と同様の下塗り層43を得る。ここで、ラス張り工程71を終了した状態を図5(a)、第1塗り工程72を終了した状態を図5(b)に示す。
前記上塗り工程80は、下塗り層43の外面のうち、少なくともひび割れの発生し易い部位Cに補強用ラス44を取り付けて、この補強用ラス44を埋設するようにモルタルの上塗り層45を形成するものである。
具体的には、図6(a)に示すように、下塗り層43の外面のうちの易ひび割れ部Cとしての窓枠や戸枠が配置される矩形状に形成された開口部140の隅部140aの外側部分に、補強用ラス44の菱形をなすメッシュ部分の長手方向Rをひび割れ予想線Lに対して直交(90度)するように配置してステープルにより取り付ける補強ラス張り工程81と、取り付けた補強用ラス44を埋設するように、予め設定した厚さ、例えば厚さ5mm程度の軽量モルタルの上塗り層45を形成する第2塗り工程82とをこの順に行うことにより、従来と異なり、軽量モルタルの上塗り層45の外面に補強用ラス44を近付けて配置する。なお、補強ラス張り工程81を終了した状態を図5(c)、第2塗り工程82を終了した状態を図5(d)に示す。また、上塗り工程80を終了したら、モルタルを予め設定された期間養生する養生工程90を実施することになる。ここで、補強用ラス44のメッシュ部分の長手方向Rは、ひび割れ予想線Lに対して90±10度の範囲、最も好ましくは90度で交差するように配置すればよい。ひび割れ予想線Lとは、壁面に発生する可能性が最も高いひび割れを示すものである。易ひび割れ部Cを開口部140の隅部140aの外側部分とした場合には、図6(a)に示すように、ひび割れ予想線Lは隅部140aの角度の二等分線に沿うものであり、易ひび割れ部Cを出隅部(入り隅部)とした場合には、図6(b)に示すように、ひび割れ予想線Lは2つの壁面が出会った隅部上あるいは隅部に近接して隅部に沿うものである。なお、補強用ラス44のメッシュ部分の長手方向Rは、易ひび割れ部Cを開口部140の隅部140aの外側部分とした場合には水平方向に対して45度となり、易ひび割れ部Cを出隅部(入り隅部)とした場合には水平方向と平行になる。
ここで、本実施形態の施工方法において、補強用ラス44を下塗り層43の外面に設けることが肝要である。このことは、耐圧試験により確認することができた。
なお、耐圧試験に用いた試験体の形状と大きさを図7に示す。この試験体は、図7に示すように、縦横がそれぞれ300mmの正方形の左下角部に、矩形状の開口部140としての縦横がそれぞれ70mmの切り欠きを形成し、この切り欠きの隅部140aとしてのコーナー部の外側部分を易ひび割れ部Cとした。また、試験体は、図1および図2に示すモルタル外壁40の構造を用いた。すなわち、木基材30としての厚さ9mmの構造用合板30aの一面に防水シート41を介して下地用ラス42としての波形ラス1号をステープルにより取り付けてから、この波形ラス1号を埋設するように軽量モルタルをコテにより厚さ10mmで下塗りして下塗り層43を形成し、ついで、下塗り層43の表面のうちの易ひび割れ部Cに、補強用ラス44としての幅100mm、長さ150mmの平ラス4号を、そのメッシュ部分の長手方向Rが隅部140aの角度の二等分線に沿うひび割れ予想線Lと直交するように(90度で交差するように)配置してステープルにより取り付け、その後、平ラス4号を埋設するように軽量モルタルをコテにより厚さ5mmで上塗りして上塗り層45を形成してモルタルの総厚15mmのモルタル外壁40(補強用ラス44の伏せ込み深さ5mm)を形成し、その後9日間養生したものを耐圧試験に供した。なお、伏せ込み深さとは、補強用ラス44のモルタル表面(上塗り層45の外面)からの位置である。
耐圧試験は、図8に示すように、図示しない圧縮試験機により、曲げスパンを200mmとし、荷重付与点の大きさを縦横40mmの正方形とし、荷重の付与速度を1.0mm/minとし、モルタル外壁40の易ひび割れ部Cにおけるひび割れの発生の有無を目視で観察し、ひび割れが発生したときの荷重と、そのときの試験体のたわみ量を計測した。試験体にひび割れが発生したときの荷重は941N(96kgf)であり、たわみ量は2.5mmであった。なお、波形ラス1号に平ラス4号をステープルで留め付けた構成のモルタル外壁100(図16)を比較例(補強用ラス160の伏せ込み深さ8mm)として同様に評価した。比較例にひび割れが発生したときの荷重は392N(40kgf)であり、たわみ量は0.9mmであった。したがって、本実施形態の施工方法は、従来の施工方法に比較して、2倍以上の耐ひび割れ性を備えていることが判明した。
このように、本実施形態の施工方法によれば、木基材30の外面に防水シート41を介して下地用ラス42を取り付けてこの下地用ラス42を埋設するようにモルタルの下塗り層43を予め設定した厚さに設ける下塗り工程70と、下塗り層43の外面のうちの少なくとも易ひび割れ部Cに補強用ラス44を取り付けてこの補強用ラス44を埋設するようにモルタルの上塗り層45を予め設定した厚さに設ける上塗り工程80とをこの順に続けて行う構成とされているから、モルタルの上塗り層45の外面に補強用ラス44を近付けて配置することができるので、モルタル外壁40の外面の強度を従来より強くすることができる。その結果、優れたひび割れ防止効果を容易かつ確実に得ることができる。
また、本実施形態の施工方法において、補強用ラス44を質量の大きい平ラス4号とし、易ひび割れ部Cが矩形状の開口部140の隅部140aの外側部分であり、補強用ラス44のメッシュ部分の長手方向Rが隅部140aの角度の二等分線に沿うひび割れ予想線Lと90度±10度の範囲、好ましくは直交するように(90度で交差するように)配置されていることが、地震などによる構造躯体20のひずみ、詳しくは壁面に沿った水平方向の歪みによる変形に起因するひび割れの発生を防止するうえで肝要である。このことは、水平加力試験機を用いた柱脚固定式面内せん断試験(以下、面内せん断試験と記す。)により確認することができた。なお、面内せん断試験には、図9に示す試験用構造躯体(軸組構造躯体)に、図10に示す木基材30としての厚さ9mmの構造用合板30aをステープル(N50針(@150mm))で取り付けるとともに、中央部分に縦780mm、横865mmの矩形状の開口部140を設け、この上にモルタル外壁40(図1−図3参照)を形成した試料を用いた。すなわち、試料は、開口部140の4つの隅部140aのそれぞれの外側に易ひび割れ部Cが形成されるものである。また、水平加力試験機の構成の概略を図12に示す。
ここで、試料として、構造用合板30の上に防水シート41および下地用ラス42としての波形ラス1号をステープル(719M:100本/m)により取り付けてから、下地用ラス42を埋設するようにモルタルとしての軽量モルタル(JASS15)をコテにより厚さ10mmで下塗りして下塗り層43を形成し、ついで、下塗り層43の表面に軽量モルタルをコテにより厚さ5mmで上塗りして上塗り層45を形成し(補強用ラス44なし:モルタルの総厚15mm)、その後28日間養生したものを試験に供した(試料1)。
また、下塗り層43の表面のうちの矩形状の開口部140の4つの隅部140aの外側のそれぞれに、補強用ラス44として幅300mm、長さ450mmの平ラス1号を、そのメッシュ部分の長手方向Rをひび割れ予想線Lと直交するように(90度で交差するように)配置し、その後、平ラス1号を埋設するように軽量モルタルをコテにより厚さ5mmで上塗りして上塗り層45を形成し(補強用ラス44の伏せ込み深さ5mm:モルタルの総厚15mm)、その後28日間養生したものを試験に供した(試料2)。なお、この試料の補強用ラス44の配置を図12に示す。
さらに、下塗り層43の表面のうちの開口部140の周囲に、補強用ラス44として幅300mmの平ラス1号を四角枠状に配置(メッシュ部分の長手方向Rが鉛直方向に平行または水平方向に平行な配置)し、その後、平ラス1号を埋設するように軽量モルタルをコテにより厚さ5mmで上塗りして上塗り層45を形成し(補強用ラス44の伏せ込み深さ5mm:モルタルの総厚15mm)を形成し、その後28日間養生したものを試験に供した(試料3)。なお、この試料の補強用ラス44の配置を図13に示す。
さらにまた、下塗り層43の表面のうちの矩形状の開口部140の4つの隅部140aの外側のそれぞれに、補強用ラス44として幅300mm、長さ450mmの平ラス4号を、そのメッシュ部分の長手方向Rをひび割れ予想線Lと直交するように(90度で交差するように)配置(図12)し、その後、平ラス4号を埋設するように軽量モルタルをコテにより厚さ5mmで上塗りして上塗り層45を形成し(補強用ラス44の伏せ込み深さ5mm:モルタルの総厚15mm)、その後28日間養生したものを試験に供した(試料4)。
またさらに、下塗り層43の表面のうちの開口部140の周囲に、補強用ラス44として幅300mmの平ラス4号を四角枠状に配置(図13)し、その後、平ラス4号を埋設するように軽量モルタルをコテにより厚さ5mmで上塗りして上塗り層45を形成し(補強用ラス44の伏せ込み深さ5mm:モルタルの総厚15mm)、その後28日間養生したものを試験に供した(試料5)。
(加力方法および計測内容)
面内せん断試験における加力方法は、みかけのせん断変形角が1/960、1/600、1/450、1/300、1/200、1/150,1/120radとなるように、正負(引き押し)変形繰り返しを各3回行った後、変位0状態としたときのひび割れ幅と、ひび割れの発生状態と、易ひび割れ部Cの変位とを計測した。なお、1/120radのみかけのせん断変形角は、中地震程度を想定したものである。
ひび割れ幅(mm)は、クラックスケールによる最大の測定値であり、易ひび割れ部C4箇所の平均値である。ひび割れの発生状態は、幅0.1mm以上のひび割れを目視して1マス50mmの観察シート(総マス数1639マス)にスケッチすることで行った。なお、本試験では、易ひび割れ部C(開口部140の隅部140a)からのひび割れ以外に、試料の外周からのひび割れと、せん断ひび割れが発生したが、本試験の比較要素から除外した。
易ひび割れ部Cの変位は、図12および図13に示す開口部140の4つの隅部140aの外側にπ型変位計(150mm)Sを補強用ラス44のメッシュ部分の長手方向Rに沿って隅部140aから10mmの位置に設置して計測した。変位の計測値は、正負各1/120rad変形時に引張り力を受けた易ひび割れ部C4箇所の平均値である。なお、試料1におけるπ型変位計Sの配置も、試料2−5と同じである。
(試験結果)
ひび割れ幅と変位角との関係を図14に示す。また、ひび割れの発生状態のスケッチ図を図15に示す。ここで、ひび割れの入ったマスの数は、試料1においては117マス(7.10%)、試料2においては12マス(0.70%)、試料3においては4マス(0.20%)、試料4においては2マス(0.10%)、試料5においては1マス(0.06%)であった。さらに、120radでの易ひび割れ部Cの変位(μm/150mm)およびそのときの荷重(kN)は、試料1においては変位1611、荷重18.3、試料2においては変位829、荷重20.3、試料3においては変位1032、荷重19.9、試料4においては変位359、荷重17.6、試料5においては変位545、荷重17.1であった。
図14のひび割れ幅と変位角との関係を示す線図からも明らかなように、平ラスからなる補強用ラス44を用いることで、ひび割れを低減することができるし、より質量の大きい平ラス4号を用いた試料4、5ではひび割れ幅を0.1mm以下に抑えることができることが判明した。
図15のひび割れスケッチ図からも明らかなように、補強用ラス44の配置として、開口部140の周辺に四角枠状に配置する方法(試料3、5)は、ひび割れ幅が太く短い傾向があり、補強用ラス44のメッシュ部分の長手方向Rをひび割れ予想線Lと直交するように配置する方法(試料2、4)は、ひび割れ幅が小さく比較的長い傾向があることが判明した。これは、補強用ラス44の伏せ込み位置が従来より壁面の外面に近いこと、および、補強用ラス44のメッシュ部分の長手方向Rがひび割れによる壁面の拡開を防止する方向に配置されていることによるものと推考できる。また、120radでの荷重は、各試料間で差はあるものの、補強用ラス44の影響は見られなかった。
このように、本考案の壁構造を得るための本実施形態の施工方法によれば、木基材30の外面に防水シート41を介して下地用ラス42を取り付けてこの下地用ラス42を埋設するようにモルタルの下塗り層43を(予め設定した厚さに)設ける下塗り工程70と、下塗り層43の外面のうちの少なくとも易ひび割れ部Cに補強用ラス44を取り付けてこの補強用ラス44を埋設するようにモルタルの上塗り層45を(予め設定した厚さに)設ける上塗り工程80とをこの順に続けて行う構成とされているから、モルタルの上塗り層45の外面に補強用ラス44を近付けて配置することができるので、モルタル外壁40の外面の強度を従来より強くすることができる。その結果、優れたひび割れ防止効果を容易かつ確実に得ることができる。
また、本考案の壁構造を得るための本実施形態の施工方法によれば、下地用ラス42が波形ラスであり、補強用ラス44が平ラスであるから、モルタルの保持力を大きくすることができるので、モルタルの強度を強くすることができる。
さらに、本考案の壁構造を得るための本実施形態の施工方法によれば、補強用ラス44としての平ラスが平ラス4号であるから、平ラスの質量を容易に大きくすることができる。そして、平ラスの質量を大きくすることにより、耐ひび割れ性を向上できる。
さらにまた、本考案の壁構造を得るための本実施形態の施工方法によれば、補強用ラス44のメッシュ部分の長手方向Rがひび割れ予想線Lに対して90±10度の範囲で交差するように配置されているから、ひび割れを防止するのに最適な補強用ラス44の配置を得ることができる。
なお、本考案は、前述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変
更が可能である。
10、50、60 壁構造
20 構造躯体
21 柱材
22 野地板
23 透湿防水シート
24 胴縁
25、25a 通気層
30 木基材
30a 構造用合板
30b 胴縁
40 モルタル外壁
41 防水シート
42 下地用ラス(メタルラス)
44 補強用ラス(補強用メタルラス)
45 上塗り層
70 下塗り工程
71 ラス張り工程
72 第1塗り工程
80 上塗り工程
81 補強ラス張り工程
82 第2塗り工程
90 養生工程
140 開口部
140a 隅部
C 易ひび割れ部(ひび割れのし易い部位:開口部の隅部の外側部分)
L ひび割れ予想線
R (補強用ラスのメッシュ部分の)長手方向

Claims (1)

  1. 木基材の外面に防水シートを介してメタルラスを取り付けてこのメタルラスを埋設するように形成されたモルタルの下塗り層と、前記下塗り層の外面のうちの少なくともひび割れの発生し易い部位に補強用メタルラスをその菱形をなすメッシュ部分の長手方向がひび割れ予想線に対して90±10度の範囲で交差するように配置して取り付けてこの補強用メタルラスを埋設するように形成されたモルタルの上塗り層とを有することを特徴とするモルタル外壁の壁構造。
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