JP3127237U - 海水こし器 - Google Patents

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Abstract

【課題】異物(特に、魚のウロコ等の薄状物)の除去清掃を安全にかつ簡単に行なうことができる構造を有する海水こし器を提供する。
【解決手段】上部蓋103に設けられた海水導入管104から内部に取り入れられた海水は、その側面にフィルタ部材を有する筒型バケットフィルタ200の上部開口からフィルタ内に導入され、側面のフィルタ部材を通過して、筒状本体101を構成する筒状容器下部101aの側部下方領域に設けられた海水排出管102から外部に排出される。これにより、海水導入管104から内部に導入された海水に含まれる異物は、筒型バケットフィルタ200の側面のフィルタ部材により濾し取られ、筒型バケットフィルタ200内部に蓄積される。
【選択図】図1

Description

本考案は、海水を冷却水等として用いる舶用機器用の海水こし器、特に舶用エンジン冷却用の海水こし器に関する。
海水こし器の一例として、下記特許文献1(登録実用新案公報第3054467号)に開示されるものが挙げられる。この海水こし器350は、図5に示すように、舶用機器の冷却等に用いられるもので、舶用の海水取水口351とエンジン352の間に取り付けられる。
この海水こし器350の構造を図6に示す。筒状容器下部301はドレイン309を備え、海水入口307から海水を導入する。また、海水出口308から海水を排出する。筒状容器1の一部は外筒305を有し、筒状容器下部301とともに筒状容器を形成している。
筒状容器下部301および外筒305の内部には、筒状容器の横断面でV字形の面状固体フィルタ304が配設されている。上部および底部は開放されている。面状固体フィルタ304は、海水を通過させるための複数の孔が形成され、開口部側が、海水入口307に面するように位置決めされている。筒状容器下部301の内底部には、直立した棒302が設けられ、その上端部には、防食金属303が螺合貫通されている。外筒305の上部開口部は、上蓋306により閉じられている。上蓋306の固定は、上蓋306に設けられた貫通孔312を棒302が貫通し、その貫通した部分が、シールワッシャ311および袋ナット310により封じられている。
海水入口307から取り入れられた海水は、筒状容器下部301および外筒305の内部に設けられた面状固体フィルタ304の孔を通過することで異物が濾過され、海水出口308から排出されて、その後、エンジンの冷却に用いられる。
上述したように、この海水こし器の目的は、生物、無生物、または無機物、有機物とを問わず、ゴミ、雑物を取除いてエンジン内の冷却パイプ等の目詰まりをなくすことである。したがって、海水こし器の容器内には、フィルタが備えられる。海水こし器において、ゴミ、雑物等がフィルタ内に溜まれば、定期的に海水こし器の上蓋を取外し、筒状容器下部の内部、外筒の内部、および、フィルタのゴミ等を除去清掃する。これは、フィルタ内の目詰まりを無くし、海水の濾過を容易にして、エンジンの冷却効果を下げることなく維持するためである。
登録実用新案公報第3054467号
しかしながら、上記海水こし器においては、以下に示すような問題が挙げられる。上述したように、海水こし器は、ゴミ、雑物等がフィルタ内に溜まれば定期的に、フィルタに付着したゴミ等を除去するために清掃を行なう。特に養殖関係の現場、漁業に従事する船舶(舶用機器)用海水こし器に関しては、ゴミとして魚のウロコ等がよく溜まり掃除、除去が手間取り、この掃除、除去作業の煩わしさが問題となっている。
これは、フィルタの形状が面状固体フィルタであることから、フィルタによって濾し取られた魚のウロコ等の異物が海水の流れによりフィルタに貼付き、目詰まりを起こし易いと考えられる。また、清掃時には容器からフィルタを取り外すこととなるが、その際にウロコ等の異物が、容器内部や、海水こし器の周辺に落下し、除去、清掃に余計な手間が発生するためである。
したがって、この考案が解決しようとする課題は、異物(特に、魚のウロコ等の薄状物)の除去清掃を安全にかつ簡単に行なうことができる構造を有する海水こし器を提供することにある。
この考案に基づいた海水こし器においては、上部が開口する有底の筒状本体と、上記筒状本体の上部開口を開閉可能なように、上記筒状本体の上部に連結される上部蓋と、上記上部蓋に連結され、上記筒状本体内部に海水を導入するための海水導入管と、上記筒状本体の側部下方領域に連結され、上記筒状本体内部から海水を排出するための海水排出管と、上記筒状本体に収容され、上部が開口する有底の筒形状を有し、上記海水導入管から内部に導入された海水から異物を回収するため、その側面にフィルタ部材を有する筒型バケットフィルタと、を備えている。
この考案に基づいた海水こし器によれば、上部蓋に設けられた海水導入管から内部に取り入れられた海水は、その側面にフィルタ部材を有する筒型バケットフィルタの上部開口からフィルタ内に導入され、側面のフィルタ部材を通過して、筒状本体の側部下方領域に設けられた海水排出管から外部に排出される。その結果、海水導入管から内部に導入された海水に含まれる異物は、筒型バケットフィルタの側面のフィルタ部材により濾し取られ、筒型バケットフィルタ内部に蓄積されることとなる。
その結果、筒型バケットフィルタ内部に溜まったゴミ、雑物魚のウロコ等の異物除去清掃作業においては、筒状本体から上部蓋を外し、筒型バケットフィルタを筒状本体内部から取り外すことのみで、異物の除去清掃作業を完了させることができる。
また、筒型バケットフィルタは、有底の筒形状を有していることから、海水こし器の筒状本体内部から筒型バケットフィルタを取り外した場合でも、筒型バケットフィルタの内部から異物が外部に拡散することはない。筒型バケットフィルタ内に蓄積された異物は、筒型バケットフィルタを反転させることで、周囲を汚すことなく容易に回収することができる。その結果、異物の除去清掃を安全にかつ簡単に行なうことが可能となる。
以下、本考案に基づいた実施の形態における海水こし器の構造について、図1から図4を参照しながら説明する。なお、本実施の形態における海水こし器100は、一例として、舶用機器の冷却等に用いられるものを示しているが、舶用機器の冷却に限定されるものではなく、海水こし器として全般に広く適用することが可能である。なお、図1は、本実施の形態における海水こし器100の全体構成を示す分解斜視図であり、図2は、本実施の形態における海水こし器100の構造を示す部分縦断面図である。また、図3は、本実施の形態における海水こし器100の構造を示す平面図であり、図4は、本実施の形態における海水こし器100の構造を示す側面部分断面図である。
(海水こし器100の構造)
本実施の形態における海水こし器100は、上部が開口する有底の筒状本体101を有している。この筒状本体101は、有底の筒状容器下部101aと外筒101bとから構成される。外筒101bは、内部の視認性を確保するために透明部材を採用しているが、必ずしも透明部材により構成する必要ない。筒状容器下部101aと外筒101bとは一体になって全体的な筒状本体101を形成する。筒状容器下部101aの上端面には、外周面の全周にわたって立壁101pが設けられ、さらに、その内周面側に、全周にわたって溝101mが設けられる。この溝101m内に、OリングL2を配設し、このOリングL2と外筒101bの下端とを密着させることで、水密性を確保する(図2参照)。
筒状容器下部101aの側部下方領域には、筒状本体101の内部から海水を排出するための海水排出管102が設けられている。また、海水排出管102の反対側側面の最下端部には、ドレンプラグ109aが設けられている(図2参照)。
筒状本体101の上部には、この筒状本体101の上部開口を開閉可能なように、筒状本体101の上部に連結される上部蓋103が配設されている。上部蓋103の内面側の、外筒101bの上端部との当接部には、外周面の全周にわたって立壁103pが設けられ、さらに、その内周面側に、全周にわたって溝103mが設けられる。この溝103m内には、OリングL1を配設し、このOリングL1と外筒101bの上端とを密着させることで、水密性を確保する(図2参照)。上部蓋103の筒状本体101への固定は、図1および図4に良く表れるように、筒状容器下部101aとの間において行なわれ、固定ボルト106を用いて、シールワッシャ105、袋ナット107により締結される。また、図1においては、構造の理解を容易にするため、筒状本体101から、上部蓋103を取り外した状態を示している。
上部蓋103の略中央領域には、筒状本体101の内部に海水を導入するための海水導入管104が、ねじ止め構造により、上部蓋103に対して着脱可能に連結されている。本実施の形態においては、外部ホースとの着脱容易性の観点から、海水導入管としてL型ホースジョイント104が用いられている。具体的には、図1に示すように、このL型ホースジョイント104は、L字本体管104aと、外部ホース300を連結する連結管104bと、L字本体管104aと連結管104bとを着脱可能に連結するロックナット104cとを備えている。通常、船舶のエンジン室周りにおいてはスペースの余裕がないため、外部ホース300が連結されたまま海水こし器100を分解し、筒型バケットフィルタ200を取出すことは困難である。しかし、L型ホースジョイント104を用いることで、外部ホース300を連結管104bに連結したまま、L字本体管104aから外部ホース300を容易に取外すことが可能となり、限られたスペース内であっても容易に上部蓋103の開放して、筒型バケットフィルタ200を取出すことが可能となる。なお、海水導入管の形式は、用途に応じて適宜変更することが可能である。また、上部蓋103には、エアー抜き用の開閉プラグ109bが設けられている。
(筒型バケットフィルタ200の構造)
筒状本体101の内部には、筒状本体101に収容され、上部が開口する有底の円筒形状を有し、海水導入管104から内部に導入された海水から異物を回収するため、その側面にフィルタ部材を有する筒型バケットフィルタ200が配置されている。この筒型バケットフィルタ200は、側面全面に海水を通過させるための複数の孔が形成され、海水が通過することで、この筒型バケットフィルタ200により海水から異物が濾過される。
本筒型バケットフィルタ200は、その側面全面に複数の孔を有するフィルタ部材を配置しているが、求められる濾過性能に応じては、選択的にフィルタ部材を配置することも可能である。なお、この筒型バケットフィルタ200の底部に設けられる底には、筒状容器下部101aの内部底面に載置されることから孔は形成されていない。また、筒状本体101からの出し入れを容易にするために、筒型バケットフィルタ200の上端部に取手や把持部を設けることも可能である。また、円筒形状にかかわらず、筒型形状であれば、その横断面形状は、八角形、六角形等の形状でも構わない。
図2に示すように、筒型バケットフィルタ200の筒状本体101の載置に際しては、筒型バケットフィルタ200の位置決めを行なうため、筒状容器下部101aの内部底面に、位置決め用の突起108aが複数設けられている。本実施の形態においては、筒状容器下部101aの中心と筒型バケットフィルタ200の中心とが一致するように、突起108aが設けられている。
また、筒型バケットフィルタ200の高さは、筒状本体101に上部蓋103を取り付けた際に、筒型バケットフィルタ200の上端部が、上部蓋103の内面に当接する高さに設定されている。また、上部蓋103の内面にも、筒状容器下部101aと同様に、筒型バケットフィルタ200の位置決めのための位置決め用の突起103aが複数設けられている。
また、筒型バケットフィルタ200の内部には、防食金属(防食亜鉛)250が載置されている。防食対象の金属は、通常、鋼である場合が多いので、防食金属に亜鉛やアルミニウムを用いる場合が多い。しかし、防食金属の材質は、防食対象の金属よりも溶出しやすい卑な金属でありさえすればよく、特に限定することはない。なお、防食金属250の外部への流出を防止する観点から、筒型バケットフィルタ200の内部に防食金属盤250を載置する場合を図示したが、外部への流出が問題とならない場合には、筒状本体101内部の他の領域に載置することも可能である。
(作用・効果)
上記構成からなる海水こし器100によれば、上部蓋103に設けられた海水導入管104から内部に取り入れられた海水は、その側面にフィルタ部材を有する筒型バケットフィルタ200の上部開口からフィルタ内に導入され、側面のフィルタ部材を通過して、筒状本体101を構成する筒状容器下部101aの側部下方領域に設けられた海水排出管102から外部に排出される。これにより、海水導入管104から内部に導入された海水に含まれる異物は、筒型バケットフィルタ200の側面のフィルタ部材により濾し取られ、筒型バケットフィルタ200内部に蓄積されることとなる。
その結果、筒型バケットフィルタ200の内部に溜まったゴミ、雑物魚のウロコ等の異物除去清掃作業においては、筒状本体101から上部蓋103を外し、筒型バケットフィルタ200を筒状本体101内部から取り外すことのみで、除去清掃作業を完了させることができる。
また、筒型バケットフィルタ200は、有底の筒形状を有していることから、海水こし器100の筒状本体101の内部から筒型バケットフィルタ200を取り外した場合でも、筒型バケットフィルタ200の内部から異物が外部に拡散することはない。筒型バケットフィルタ200内に蓄積された異物は、筒型バケットフィルタ200を反転させることで、周囲を汚すことなく容易に回収することができる。その結果、異物の除去清掃を安全にかつ簡単に行なうことが可能となる。また、筒型バケットフィルタ200の取出し時には、蓄積された異物が拡散しないため、筒状本体101内部の清掃を、筒型バケットフィルタ200を取り外す毎に実施する必要がない。
また、本考案においては、筒型バケットフィルタ200を採用したことから、この筒型バケットフィルタ200内部に防食金属250を載置することが可能となり、部品点数を増やすことなく防食金属250の外部への流出を防止している。さらに、海水こし器100の構成も簡素であることから、消耗品の取り替え等も容易に行なうことが可能となる。
以上、本考案に基づく実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本考案の範囲は実用新案登録請求の範囲によって示され、実用新案登録請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
この考案に基づいた実施の形態における海水こし器の全体構成を示す分解斜視図である。 この考案に基づいた実施の形態における海水こし器の構造を示す部分縦断面図である。 この考案に基づいた実施の形態における海水こし器の構造を示す平面図である。 この考案に基づいた実施の形態における海水こし器の構造を示す側面部分断面図である。 船用エンジン用の海水こし器の配置を示す概念図である。 背景技術における海水こし器の全体構造を示す斜視図である。
符号の説明
100 海水こし器、101 筒状本体、101a 筒状容器下部、101b 外筒、101m,103m 溝、101p,103p 立壁、102 海水排出管、103 上部蓋、103a,108a 突起、104 L型ホースジョイント(海水導入管)、104a L字本体管、104b 連結管、104c ロックナット、105 シールワッシャ、106 固定ボルト、107 袋ナット、109a ドレンプラグ、109b 開閉プラグ、200 筒型バケットフィルタ、250 防食金属(防食亜鉛)盤、300 外部ホース。

Claims (5)

  1. 上部が開口する有底の筒状本体(101)と、
    前記筒状本体(101)の上部開口を開閉可能なように、前記筒状本体(101)の上部に連結される上部蓋(103)と、
    前記上部蓋(103)に連結され、前記筒状本体(101)内部に海水を導入するための海水導入管(104)と、
    前記筒状本体(101)の側部下方領域に連結され、前記筒状本体(101)内部から海水を排出するための海水排出管(102)と、
    前記筒状本体(101)に収容され、上部が開口する有底の筒形状を有し、前記海水導入管(104)から内部に導入された海水から異物を回収するため、その側面にフィルタ部材を有する筒型バケットフィルタ(200)と、を備える海水こし器。
  2. 前記筒型バケットフィルタ(200)は、側部全面がフィルタ部材により構成される、請求項1に記載の海水こし器。
  3. 前記筒状本体(101)の内部に、防食金属(250)が配設される、請求項1または2に記載の海水こし器。
  4. 前記防食金属(250)は、前記前記筒型バケットフィルタ(200)の内部に配設される、請求項3に記載の海水こし器。
  5. 前記海水導入管にL型ホースジョイント(104)が用いられる、請求項1から4のいずれかに記載の海水こし器。
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