JP3126049U - 冷凍装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被冷凍物の解凍後に解凍前の鮮度を損なうことがなく、かつ特に被冷凍物が肉や魚などの生鮮品の場合に、解凍後の血合いの色彩がよい冷凍装置を提供する。
【解決手段】被冷凍物を前処理する前処理ユニットおよび被冷凍物を冷凍する冷凍ユニットを含む冷凍装置において、前処理ユニットを、脱酸素材とともに被冷凍物を含む真空パックを製造する真空パック製造装置および脱酸素材を加熱する加熱装置で構成し、冷凍ユニットを、真空パックに含まれた被冷凍物を冷凍する冷凍庫、冷凍庫内において真空パックに静磁場を印加する静磁場発生装置、および冷凍庫内において真空パックに静磁場の方向に対して略直交する方向に電波を供給する電波供給装置で構成する。
【選択図】図1

Description

本考案は、被冷凍物の解凍後に解凍前の鮮度を損なうことのない冷凍装置に関する。
従来から、魚や野菜などの生鮮品などを含む食材や食品および生体や生体試料などをはじめとする被冷凍物について、その鮮度を長期にわたって維持しつつ保存する方法として冷凍保存が行われているが、被冷凍物の色調の変化、味覚の劣化およびドリップ (解凍時における被冷凍物内からの液体の流出)などにより、品質および鮮度の低下を完全に防止することができないのが実情である。
上記のような被冷凍物は、それらを構成する蛋白質などの分子に拘束された結合水、および上記分子に拘束されずに被冷凍物内を自由に移動し得る自由水を含む多量の水分を有している。冷凍時には、上記自由水が凍結して氷の結晶が生成および成長して粗大化し、被冷凍物に含まれる細胞などの構造が破壊されてしまう。そのため、被冷凍物の解凍時には上記破壊された構造に起因してドリップが発生し、被冷凍物を冷凍前の新鮮な状態に復元することが困難となる。
一般的に、上記のような氷の結晶の粗大化は、冷凍時に氷結晶生成温度域を通過する時間が長い場合に起こる。この点に鑑みて、解凍後に解凍前の鮮度を損なうことのないような冷凍装置および冷凍方法が種々提案されている。例えば、被冷凍物を液体冷媒に浸漬したり、または被冷凍物に液体冷媒を散布して、かかる氷結晶生成温度域を速やかに通過させるべく急速冷却し、氷の結晶の粗大化を抑制する方法が考えられる。
ところが、被冷凍物を液体冷媒に浸漬したり被冷凍物に液体冷媒を散布したりする方法では、被冷凍物の表層を急速に冷却することが可能であるものの、表層のみに凍結層が形成される傾向にある。そして、被冷凍物の内部の冷却は、表面からの熱伝達により律速されるが、表層の凍結層の存在により熱伝達が阻害されるために遅れ、被冷凍物の内部では氷の結晶の粗大化を有効に防止できないという問題がある。
このような問題に対し、例えば国際公開第01/24647号パンフレットにおいては、収容されている被冷凍物の周囲温度を−30〜−100℃に冷却可能な冷凍庫と、冷凍庫内の被冷凍物に一方向のゆらぎ変動する磁場を作用させる静磁場発生手段と動磁場発生手段を含む磁場発生手段と、を有する超急速冷凍装置が提案されている。
また、例えば特開2003−139460号公報においては、上記国際公開第第01/24647号パンフレットにおける問題、すなわち変動磁場が均一さに欠けて被冷凍物に変動磁場の効果が均一に発揮されずその一部の品質に劣化が認められるという問題、を解決すべく、被冷凍物に均一な変動磁場を印加することが提案されている。
しかしながら、上記のような従来技術においても、被冷凍物の周囲に存在する酸素を完全に排除することはできず、特に被冷凍物が肉や魚などの生鮮品の場合には、冷凍および解凍を経て血液成分に含まれるヘモグロビンやミオグロビンなどがメト化し、特に解凍後の血合いの色彩がよくないという問題がある。
そこで、本考案の目的は、被冷凍物の解凍後に解凍前の鮮度を損なうことがなく、かつ特に被冷凍物が肉や魚などの生鮮品の場合に、解凍後の血合いの色彩などを良好に維持することが可能な冷凍装置を提供することを目的とする。
上記のような課題を解決すべく、特に本考案者らが、冷凍前後のブリ、ハマチ、マグロおよびカツオなどの生鮮品について、血合いの色彩の劣化、取り扱い時の衝撃による劣化、および長期保存による劣化を抑制すべく鋭意検討した結果、本考案に係る冷凍装置を用いて冷凍すれば、自然解凍や冷蔵庫内における解凍などによっても、冷凍前の新鮮さの喪失を最大限に保持することができることを見出した。
すなわち、本考案は、
被冷凍物を前処理する前処理ユニットおよび前記被冷凍物を冷凍する冷凍ユニットを含む冷凍装置であって、
前記前処理ユニットが、
脱酸素材とともに前記被冷凍物を含む真空パックを製造する真空パック製造装置、および前記真空パックに含まれる前記脱酸素材を加熱する加熱装置、を少なくとも含み、
前記冷凍ユニットが、
前記真空パックに含まれた前記被冷凍物を冷凍する冷凍庫、前記冷凍庫内において前記被冷凍物に静磁場を印加する静磁場発生装置、および前記冷凍庫内において前記被冷凍物に前記静磁場の方向に対して略直交する方向に電波を供給する電波供給装置、を少なくとも含むこと、を特徴とする冷凍装置を提供する。
上記のような構成によれば、真空パックを用いることにより周囲雰囲気に含まれる酸素などによる被冷凍物の劣化を抑制することができるとともに、あらかじめ加熱して活性化させた脱酸素材を用いることにより真空パックに不可避的に含まれる酸素に起因する被冷凍物の劣化を、冷凍時低温領域においても十分に抑制することができる。
さらに、被冷凍物に静磁場および電波を所定の方向に照射しながら冷凍することから、特に静磁場によって自由水(水分子)を一定の方向に配列させ、かつ特に電波によって上記水分子に一定の揺らぎを持たせたまま冷凍することができるため、冷凍時の氷の結晶の粗大化を有効に抑制するこことができ、よって解凍後の被冷凍物の鮮度をより確実に維持することができるものと考えられる。
上記被冷凍物は、例えば生魚(切り身を含む)、生肉、生野菜(切断物を含む)および生米などの生鮮品、これらに火を通したもの(炊いた米など)、これらを組み合わせたもの(寿司など)、ならびに、従来から冷凍に供される種々の被冷凍物(例えばハンバーグ、うどん、チャーハン、お好み焼きおよびたこ焼きなど)が含まれる。特に上記被冷凍物が生鮮品である場合に、上記本考案の冷凍装置はその機能をより効果的かつ十分に発揮することができる。
また、上記脱酸素材としては、鉄粉およびアスコルビン酸のうちの少なくとも一方を含むものを好適に用いることができる。鉄粉が酸化して錆びる際およびアスコルビン酸が酸化する際に周囲の酸素を吸収することができ、両者を併用することによってより確実に酸素を吸収することができるからである。
さらに、上記加熱装置としては、例えば輻射熱を用いたヒーターを用いるのが好ましい。例えばセラミックヒーターは、遠赤外線による輻射熱が脱酸素材に放射され、これによって鉄粉がより効果的に活性化されて冷凍時低温領域においてもより酸化し易くなり、当該酸化の際に周囲の酸素をより確実に吸収することができる。また、シート状であることにより、ベルトコンベアなどの搬送装置上に設置することができ、また、当該ベルトコンベアから上記セラミックヒーター上に被冷凍物または真空パックをより容易に供給することができる。
上記本考案の冷凍装置は、さらに上記被冷凍物および脱酸素材を含む真空パックのうちの特に脱酸素材の温度を検知するための温度検知器、ならびに上記脱酸素材の加熱時間を制御するための計時装置を含むこと、が好ましい。
上記加熱装置が前記脱酸素材を30〜40℃の温度で1〜5分間加熱することができる構成を有するのが好ましい。上記脱酸素材を活性化することができ好ましい。このような温度範囲および加熱時間であれば、被冷凍物4を熱で劣化させることを抑制しつつ脱酸素材6の活性化をより確実に行うことができ好ましい。
また、上記冷凍庫がさらにファンなどの冷風循環装置22を含むことが好ましい。上記冷凍庫内において冷風を循環させることができれば、上記冷凍庫内において温度分布が形成されることを抑制することができ、被冷凍物の冷凍状態にムラができにくいためである。
また、上記静磁場発生装置は、上記冷凍庫内において上記真空パックに対して略鉛直方向に略均等な静磁場を発生させることができる構成を有するのが好ましい。被冷凍物内に含まれる水分子をより確実に一定の方向に配列させることができ、冷凍による細胞などの構造の破壊や解凍によるドリップなどをより効果的に抑制することができるからである。
さらに本考案は、上記本考案の冷凍装置を用いた冷凍方法にも関する。すなわち、本考案の方法は、
(1)脱酸素材を供給する工程、
(2)前記脱酸素材とともに被冷凍物を含む真空パックを製造する工程、
(3)前記真空パックを加熱する工程、
(4)前記真空パックに含まれた前記被冷凍物を、前記真空パックに対して略鉛直方向に静磁場を供給するとともに略水平方向に電波を供給しながら、冷凍する工程、を少なくとも含むこと、
を特徴とする冷凍方法に関する。
前記工程(3)においては、前記真空パックに含まれる前記脱酸素材を輻射熱を用いたヒーターで加熱すること、が好ましい。
また、前記工程(3)においては、前記真空パックに含まれる前記脱酸素材の温度を検知しかつ前記脱酸素材の加熱時間を制御すること、が好ましい。
さらに、前記工程(3)においては、前記脱酸素材を30〜40℃の温度で1〜5分間加熱すること、が好ましい。
前記工程(4)においては、前記冷凍庫内に冷風を循環させること、が好ましい。
また、前記工程(4)においては、前記被冷凍物に対して略鉛直方向に略均等な静磁場を供給すること、が好ましい。
上記本考案の方法は、前記工程(4)の後に、前記真空パックを加熱して前記被冷凍物を解凍する工程(5)を含むこと、が好ましい。前記工程(5)においては、前記脱酸素材を上記ヒーターで加熱することもできる。
本考案によれば、被冷凍物の解凍後に解凍前の鮮度を損なうことがなく、特に被冷凍物が肉や魚などの生鮮品の場合に、脱酸素材によって解凍後の血合いの色彩が良好な状態を維持することができる冷凍装置を提供することができる。
以下、図面を参照しながら本考案の好適な実施の形態について説明する。ただし、下記の実施の形態は代表的なものであるに過ぎず、本考案はこれらのみに限定されるものではない。図1は本考案の冷凍装置の構成を示す一部を透明にした斜視図である。図1に示すように本実施の形態の冷凍装置1は前処理ユニット2および冷凍ユニット3を具備する。
まず、前処理ユニット2の構成要素について説明する。
前処理ユニット2は、搬送装置2aの上において、被冷凍物(例えば魚)4の上に脱酸素材6を供給するための脱酸素材供給装置8、脱酸素材6とともに被冷凍物4を含む真空パック12を製造する真空パック製造装置10、および脱酸素材6を加熱する加熱装置であるシート状のセラミックヒーター14、を少なくとも含む。
前処理ユニット2における搬送装置2aには、例えばベルトコンベア装置を用いることができ、被冷凍物4を前処理ユニット2内を搬送して各処理を行うことを可能とするものであれば種々のものを用いることができる。もちろん、本考案においては搬送装置2aがなくても、例えば手作業で被冷凍物4を平面台などの上を移動させて作業しても構わない。
脱酸素材供給装置8としては、脱酸素材6を個々の被冷凍物4の近傍に供給することができる機能を有するものであれば、特に限定されることなく用いることができる。例えば三菱ガス化学(株)製のエージレス自動投入機などを用いることも可能である。
また、脱酸素材6としては、脱酸素性能に優れかつ安価で衛生および安全に優れるという観点から、脱酸素剤として鉄およびアスコルビン酸を含むものを用いるのが好ましい。
脱酸素材6は、包装体と当該包装体に含まれた鉄粉およびアスコルビン酸のうちの少なくとも一方とで構成することができ、より具体的には、例えば鉄粉、アスコルビン酸および熱可塑性樹脂を混合して得られる混合物を成形して得られる成形物を、一部または全面に通気性を有する包装材によって包装ないし被覆することによって構成される。通気性を有することにより、周囲の酸素を吸収して被冷凍物4の鮮度を維持することができる。
鉄粉としては、例えば還元鉄、酸化第一鉄、炭化鉄および水酸化鉄などのうちのすくなくとも1種を用いることができる。
また、アスコルビン酸としては、L−アスコルビン酸などのアスコルビン酸およびその塩のうちの少なくとも1種を用いることができ、当該塩としては例えばナトリウム塩を用いることができる。例えばL−アスコルビン酸ナトリウムおよびD−iso−アスコルビン酸ナトリウムなどが挙げられる。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体およびポリメチルペンテンなどのオレフィン系樹脂が挙げられる。
なお、必要に応じて、ハロゲン化金属などの電解質、活性炭、ゼオライトおよびケイソウ土などを混合してもよい。
また、脱酸素材6に含まれる上記成形物の形状は、例えばシート状およびビーズ状など、特に制限されるものではないが、所望する脱酸素材6の形状および寸法に合わせて適宜選択すればよい。
脱酸素材6は、上記成形物を通気性を有する包装体により包装することにより得ることができる。かかる包装体としては、例えば和紙、洋紙およびレーヨン紙などの紙、パルプ、セルロースおよび合成樹脂などで構成された繊維で形成された不織紙、各種熱可塑性樹脂フィルムならびにその穿孔物などを用いることができる。
ここで、脱酸素材6の脱酸素能(脱酸素吸収量)は、被冷凍物4の種類、寸法、体積および重量などに応じて当業者であれば適宜選択することができる。例えば、脱酸素材6に含まれる鉄粉やアスコルビン酸の量を調整したり、用いる脱酸素材6の数や寸法を、被冷凍物4の種類、寸法、体積および重量などに応じて調整したりすればよい。例えば生魚であれば、ロイン300g当たりに30ccの脱酸素吸収量を有する脱酸素材6を用いるのが好ましい。
また、耐水性および耐油性を持たせるために紙や不織布などに耐水剤や耐油剤を塗布して用いてもよく、さらに、耐破損性を向上させるためにワリフなどの補強材を用いたものなども用いることができる。もちろん、複数の包装体を積層して用いることも可能である。
なお、脱酸素材6としては、三菱ガス化学(株)製のエージレス(登録商標)などを好適に用いることができる。
上記のような脱酸素材6とともに被冷凍物4は、真空パック製造装置10によって真空に引きながら包装されて真空パックが形成される。真空パック製造装置10としては、従来公知のものを用いることができる。真空パックの包装材としては、例えば脱酸素材6の包装体として上述した熱可塑性樹脂を用いることができる。
本考案においては、ここで加熱装置14を用いて真空パック14のうちの特に脱酸素材6を加熱する。従来では、脱酸素材を被冷凍物とともに冷凍すると、脱酸素材が低温領域に曝されることになってなかなか活性化せず、十分な脱酸素能を発揮させるためには長時間を必要とし、被冷凍物が劣化してしまうという問題があった。これに対し、本考案においては、冷凍前にあらかじめ脱酸素材6を加熱して活性化しておくことにより、冷凍時低温領域においてもその脱酸素能をより確実に発揮させることができる。
加熱装置14としては、種々のヒーターを用いることができるが、輻射熱を用いたヒーターを用いることが好ましい。例えばシート状のセラミックヒーターを用いるのが好ましい。セラミックヒーターからは遠赤外線による輻射熱が脱酸素材6に放射され、これによって鉄粉が活性化されて冷凍時低温領域においてもより酸化し易くなり、当該酸化の際に周囲の酸素をより確実に吸収することができる。また、シート状であることにより、ベルトコンベアなどの搬送装置2a上に設置することができ、また、当該ベルトコンベアから上記セラミックヒーター上に被冷凍物4または真空パック12をより容易に供給することができる。
ここで、本考案の冷凍装置1または前処理ユニット2には、図示していないが、特に加熱装置14によって加熱される脱酸素材6の温度を検知するための温度検知器、および脱酸素材6の加熱時間を制御するための計時装置を含むことが好ましい。もちろん、本考案の冷凍装置1は、すべての構成要素を制御するための制御装置を具備していることが好ましい。
次に、冷凍ユニット3の構成要素について説明する。
冷凍ユニット3は、真空パック12に含まれた被冷凍物4を冷凍する冷凍庫16、冷凍庫16内において真空パック12(すなわち被冷凍物4)に対して略鉛直方向(すなわち、図1において矢印Xで示される方向)に静磁場を発生させる静磁場発生装置18、および冷凍庫16内において真空パック12(すなわち被冷凍物4)に対して略水平方向(すなわち、図1において矢印Yで示される方向)に電波を供給する電波供給装置20、を少なくとも含む。
冷凍ユニット3に含まれる冷凍庫16は、本実施の形態においては、冷凍ユニット3の内部空間を構成するとともに、冷凍機能を有するものである。なお、図1における冷凍庫16はラック型バッチ式であるが、その他トンネル型およびスパイラル型などのいずれであってもよく、それぞれの場合に本考案を適宜設計変更して実施することができる。
冷凍庫16は冷凍手段を含み、冷蔵手段および冷凍冷蔵保管手段のうちの少なくとも1つを含んでいてもよく、本考案における冷凍ユニット3は、冷凍庫16と、冷凍庫16の内部閉空間に収容されて真空パック12(特に被冷凍物4)に静磁場を印加する静磁場発生装置18とを有する。
上記冷凍手段としては、図示しないが、例えば圧縮機、凝縮器、膨張弁および冷却パイプ(蒸発器)などを具備し、冷媒を循環させる通常公知の急速冷凍サイクル装置などを用いることができる。なお、膨張弁および冷却パイプ(蒸発器)は冷凍庫16の内部空間に設置され、冷気の発生に寄与する。
そして、冷凍ユニット3には、冷凍庫16内において真空パック12(特に被冷凍物4)に対して略鉛直方向(すなわち、図1において矢印Xで示される方向)に静磁場を発生させる静磁場発生装置18が設けられている。この静磁場発生装置18は、略水平方向に並行に対向して設置された板状の上部磁気部材18aおよび下部磁気部材18b、ならびに上部磁気部材18aおよび下部磁気部材18bを支持する支持体18cを含む。
より具体的には、上部磁気部材18aおよび下部磁気部材18bにはそれぞれ板状の永久磁石が含まれており、静磁場発生手段18が上記のような構造を有することにより、上部磁気部材18aと下部磁気部材18bとの間に真空パック12が保持されることにより、支持体18cによって両者の間に一定の空間を介して略鉛直方向に一方向性でかつ略均等な静磁場が形成、供給される。すなわち、上部磁気部材18aと下部磁気部材18bとの間において、真空パック12は一方向性でかつ略均等な静磁場に曝される。
上部磁気部材18aおよび下部磁気部材18bそのものが永久磁石で構成されていてもよく、また、例えば金属製または木製などの板状部材に永久磁石を埋め込めたり接着したりすることにより配設して構成されていてもよい。
上記永久磁石としては、例えばフェライト磁石を用いるのが好ましく、上部磁気部材18aと下部磁気部材18bとの間には、例えば10〜2000ガウス、好ましくは50〜1000ガウス、さらに好ましくは100〜150ガウスの静磁場を発生させれば本考案の効果をより確実に得ることができる。
したがって、上部磁気部材18aおよび下部磁気部材18bとの組み合わせとしては、板状の永久磁石を含む市販のヨークユニットを用いることができる。例えば、日立金属(株)製のヨークユニットや名古屋磁石(株)製のフェライト焼結ヨーク付などを好適に用いることができる。
上部磁気部材18aと下部磁気部材18bとの間隔、上部磁気部材18aおよび下部磁気部材18bに含まれる永久磁石のスペック、枚数および間隔、永久磁石を保持するために用いる保持具の構成などは、所望する静磁場の強度や均一性などに応じて、略鉛直方向(すなわち、図1において矢印Xで示される方向)に静磁場を発生させることを条件として、当業者であれば適宜選択することができる。
なお、図1においては、下部磁気部材18b上に直接真空パック12を保持した状態を示したが、例えば上部磁気部材18aと下部磁気部材18bとの間に、真空パック12を搭載することのできる保持具を設置してもよい。
そして、本考案の冷凍ユニット3には、冷凍庫16内において真空パック12に対して略水平方向(すなわち、図1において矢印Yで示される方向)に電波を供給する電波供給装置20が設けられている。
電波供給装置20は、電波発信機20aと電波受信機(アンテナ)20bと増幅器(図示せず)とで構成されており、例えば約300kHz〜約2MHz、好ましくは約300kHz〜約600kKHzの周波数を有するラジオ波の領域に含まれる電波を供給するものである。このような波長の長い電波を真空パック16内の被冷凍物4に供給することにより、被冷凍物4に含まれる水分子(プロトン)の位置を大きく変えることなく揺り動かすことができ、上記静磁場と相俟って冷凍時における水分子の配列をより確実に実現することができる。
上記のような電波発信器20a、電波受信機20bおよび増幅器としては、従来公知のものを用いることができる。
また、冷凍ユニット3には、冷凍庫16および静磁場発生装置18以外に、冷凍庫16の内部空間に収容されている真空パック16を冷却する冷風(冷気)を循環させる冷風循環装置12を設けることが好ましい。かかる冷風循環装置12があれば、冷気が冷凍庫16内に偏在することを防止することができ、真空パック16に含まれる個々の被冷凍物4を均一に冷凍することが可能になるからである。
さらに、真空パック12内の被冷凍物4の急速な温度低下を促進させるために、冷凍庫16の内壁面を、断熱材や遠赤外放射吸収能を有する部材で構成してもよい。内壁面に遠赤外放射吸収能を有する材料を内壁面にコーティングしてもよく、また、内壁面にプレート状の遠赤外放射吸収能を有する部材を配設してもよい。これにより、被冷凍物4から放射される輻射熱(遠赤外線)を速やかに吸収することができ、被冷凍物4の温度低下を速やかに実現することが可能となる。
以上のような構成を有する本考案の冷凍装置1によれば、被冷凍物4をその鮮度を維持したまま冷凍することができ、かつ解凍後にもその鮮度が損なわれることをより確実に抑制することができる。そこで、以下に、上記のような冷凍装置1を用いた冷凍方法について、図2を参照しながら説明する。図2は、本考案の冷凍方法の工程図である。
本考案に基づく冷凍方法の代表的な実施の形態は、被冷凍物4の近傍に脱酸素材6を供給する工程(1)と、脱酸素材6とともに被冷凍物4を含む真空パック16を製造する工程(2)と、脱酸素材6を加熱する工程(3)と、真空パック16に含まれた被冷凍物4を、真空パック16に対して略鉛直方向(すなわち、図1において矢印Xで示される方向)に静磁場を発生させるとともに略水平方向(すなわち、図1において矢印Yで示される方向)に電波を供給しながら、冷凍する工程(4)と、を少なくとも含む。
上記工程(1)においては、被冷凍物4の近傍に脱酸素材6を供給すればよいが、「近傍」とは、続く工程(2)においてより確実に脱酸素材6とともに被冷凍物4を含む真空パック16を製造することができる範囲であればよい。好ましくは、被冷凍物4の上に脱酸素材6を載せたり、被冷凍物4に接触する位置に脱酸素材6を供給すればよい。
上記工程(2)においては、被冷凍物4と脱酸素材6とを含む真空パック16を製造する。このときの真空パック製造工程は従来公知の方法によって行えばよく、例えば熱可塑性樹脂製のシートやポーチなどで被冷凍物4を包装し、真空に引きながら密封することにより、真空パック16を製造することができる。
ついで、上記工程(3)において、脱酸素材6をシート状のセラミックヒーター14で加熱する。このように加熱することにより、続く工程(4)における冷凍時の低温雰囲気においても、脱酸素材6が活性化してより確実に真空パック16内の酸素を吸収し、被冷凍物4の劣化を抑制することができる。ただし、図1に示すように、真空パック16を裏返して、脱酸素材6がセラミックヒーター14に面するようにして加熱することが好ましい。このように裏返さなければ、被冷凍物4もがセラミックヒーター14によって余計に加熱されるおそれがあるからである。
このとき、真空パック16の温度を温度検知器(図示せず)で検知しかつ真空パック16の加熱時間を計時装置(図示せず)で制御することが好ましい。具体的には脱酸素材6の脱酸素能に応じて適宜選択すればよいが、例えば真空パック16を30〜40℃の温度で1〜5分間加熱することが好ましい。このような温度範囲および加熱時間であれば、被冷凍物4を熱で劣化させることを抑制しつつ脱酸素材6の活性化をより確実に行うことができ好ましい。
そして、上記工程(4)において、真空パック16に含まれた被冷凍物4を、真空パック16に対して略鉛直方向(すなわち、図1において矢印Xで示される方向)に静磁場を発生させるとともに略水平方向(すなわち、図1において矢印Yで示される方向)に電波を供給しながら、冷凍する。
上述のように、例えば100〜150ガウスの略均等で一方向性を有する静磁場と、例えば約300〜600kHzの周波数を有するラジオ波の領域に含まれる電波と、を真空パック16(被冷凍物4)に印加ないしは照射し、このとき、上記静磁場の方向と、上記電波の進行方向と、が略直交している。
ここで、「略均等で一方向性を有する静磁場」とは、上記静磁場が発生している面(図1においては矢印Yで示される方向を含む水平面)内において当該静磁場の磁束密度がほぼ一定であるとともに、当該静磁場が発生している空間(図1においては上部磁気部材18aと下部磁気部材18bとの間において矢印Xで示される略鉛直方向)において磁力線がほぼ直線状に走っていることを意味する。
また、上記工程(4)における冷凍は、いわゆる急速冷凍であるのが好ましい。例えば冷凍庫16内の温度を−25〜−45℃に制御し、数分〜数十分で被冷凍物4を冷凍するのが、解凍後の被冷凍物の鮮度を解凍前と同等に維持するという観点からも好ましい。
以上のようにして本考案においては被冷凍物4および真空パック16を冷凍することができるが、解凍は種々の方法で行うことができる。例えば自然解凍でもよくデフリザーを用いた解凍であってもよい。いずれの方法で解凍したとしても、本考案の冷凍装置1を用いて冷凍した被冷凍物4は、解凍後に解凍前の鮮度を著しく良好に維持することができる。
なお、解凍の際には、真空パック16をそのまま解凍工程に供してもよく、真空パック16を開封して被冷凍物4のみを解凍工程に供してもよい(工程(5))。また、例えばシート状のセラミックヒーターを用いて解凍を行ってもよく、この場合には、上記工程(3)で用いたセラミックヒーターを利用することも可能である。したがって、上記冷凍装置1においては、冷凍ユニット3において冷凍した真空パック16を、再度前処理ユニット2に戻し、加熱装置14で解凍を行うこともできる。
以上、本考案の代表的な実施の形態について説明したが、本考案はこれらのみに限定されるものではない。
例えば、真空パックには1個だけでなく、複数個の被冷凍物が含まれていてもよい。
また、上記実施の形態においては、被冷凍物4と脱酸素材6とを重ねて含む真空パック12について説明したが、同じ真空パック内に含まれるのであれば被冷凍物と脱酸素材とは並列に含まれていてもよい。この場合、搬送装置2a上において被冷凍物4と脱酸素材6とを並列に配置してそのまま真空パックすればよい。更にこの場合、脱酸素材6の下にのみ加熱装置(例えばシート状セラミックヒーター)14を配置し、脱酸素材6のみを過熱することができ、被冷凍物4が加熱によって劣化することをより確実に抑制することができる。
また、冷凍庫がラック型バッチ式の場合には、図1に示すような構成を採用すればよいが、冷凍庫がトンネル型で、冷凍庫の内部閉空間に被冷凍物をネットコンベアベルトにより連続的に収容、冷凍する場合には、真空パックを保持する保持具としてのベルトコンベアを、静磁場発生装置の上部磁場部材と下部磁場部材との間を走らせる構成をとることもできる。
冷凍庫が、スパイラル型で、冷凍庫の内部閉空間に真空パックがベルトコンベアにより連続的にスパイラル状に収容され、下側から上側に移動する間に冷凍される場合には、真空パックを保持する保持具であるベルトコンベアを静磁場発生装置の上部磁場部材と下部磁場部材とで挟むような構成をとればよい。
さらに、上記実施の形態においては、静磁場の発生方向が略鉛直方向であり、電波の供給方向が略水平方向である場合について説明したが、両者の方向が略直交するのであれば個々の方向が特に制限されなくてもよい。
本考案によれば、被冷凍物の解凍後に解凍前の鮮度を損なうことがなく、特に被冷凍物が肉や魚などの生鮮品の場合に、脱酸素材によって解凍後の血合いの色彩が良好な状態を維持することができる冷凍装置を提供することができる。したがって、本考案に係る冷凍装置は、レストラン、すし屋、居酒屋および割烹料理屋などを含む食品業界において好適に用いることができる。
さらに、本考案は、例えば生体試料を保存・分析したり、これを用いて臨床試験を行ったり、培養皮膚を作製したりする薬品業界、医療機器および医療業界などにおける利用も考えられる。
本考案の冷凍装置の構成を示す斜視図である。 本考案の冷凍方法の工程図である。
符号の説明
1・・・冷凍装置
2・・・前処理ユニット
3・・・冷凍ユニット
4・・・被冷凍物
6・・・脱酸素材
8・・・脱酸素材供給装置
10・・・真空パック製造装置
12・・・真空パック
14・・・加熱装置
16・・・冷凍庫
18・・・静磁場発生装置
18a・・・上部磁気部材
18b・・・下部磁気部材
20・・・電波供給装置
20a・・・電波発生装置
20b・・・電波受信装置
22・・・冷風循環装置

Claims (8)

  1. 被冷凍物を前処理する前処理ユニットおよび前記被冷凍物を冷凍する冷凍ユニットを含む冷凍装置であって、
    前記前処理ユニットが、
    脱酸素材とともに前記被冷凍物を含む真空パックを製造する真空パック製造装置、および前記真空パックに含まれる前記脱酸素材を加熱する加熱装置、を少なくとも含み、
    前記冷凍ユニットが、
    前記真空パックに含まれた前記被冷凍物を冷凍する冷凍庫、前記冷凍庫内において前記被冷凍物に静磁場を供給する静磁場発生装置、および前記冷凍庫内において前記被冷凍物に前記静磁場の方向に対して略直交する方向に電波を供給する電波供給装置、を少なくとも含むこと、
    を特徴とする冷凍装置。
  2. 前記被冷凍物が生鮮品であること、を特徴とする請求項1に記載の冷凍装置。
  3. 前記脱酸素材が鉄粉およびアスコルビン酸のうちの少なくとも一方を含むこと、を特徴とする請求項1または2に記載の冷凍装置。
  4. 前記加熱装置が輻射熱を用いたヒーターであること、を特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載の冷凍装置。
  5. さらに前記脱酸素材の温度を検知するための温度検知器および前記脱酸素材の加熱時間を制御するための計時装置を含むこと、を特徴とする請求項1〜4のうちのいずれかに記載の冷凍装置。
  6. 前記加熱装置が前記脱酸素材を30〜40℃の温度で1〜5分間加熱すること、を特徴とする請求項1〜5のうちのいずれかに記載の冷凍装置。
  7. 前記冷凍庫がさらに冷風循環装置を含むこと、を特徴とする請求項1〜6のうちのいずれかに記載の冷凍装置。
  8. 前記静磁場発生装置が、前記冷凍庫内において前記脱酸素材に対して略鉛直方向に略均等な静磁場を発生させること、を特徴とする請求項1〜7のうちのいずれかに記載の冷凍装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016129859A1 (ko) * 2015-02-09 2016-08-18 삼성전자주식회사 진공단열재, 진공단열재의 제조방법 및 진공단열재를 포함하는 냉장고
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