JP3124977B2 - 燃料電池 - Google Patents

燃料電池

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  • Fuel Cell (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気化学的な反応を利
用して発電する例えば電気自動車等で使用される燃料電
池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、電解質を介して一対の電極
を接触させ、この一方の電極に燃料を、他方の電極に酸
化剤を供給し、燃料の酸化を電池内で電気化学的に反応
させることにより化学エネルギーを直接電気エネルギー
に変換する装置である。このような燃料電池には、電解
質によりいくつかの型があるが、近来比較的高性能な燃
料電池として、電解質体に固体高分子や水酸化カリウム
溶液を用いたものが注目されている。例えば、プロトン
導電性の固体高分子を電解質体に用いた燃料電池におい
ては、燃料電極に水素ガスを、酸化剤電極に酸素ガスを
供給し、外部回路より電流を取り出す。このとき、下記
のような反応が生じる。 陰極反応:H2→2H++2e- (1) 陽極反応:2H++2e-+1/2O2→H2O (2)
【0003】このときアノード電極上で水素はプロトン
となり、水を伴って電解質体中をカソード電極上まで移
動し、カソード電極上で酸素と反応して水を生ずる。従
って、上記のような燃料電池の運転には、反応ガスの供
給と排出、電流の取り出しが必要となる。
【0004】従って、燃料電池から電流を取り出すとと
もに、ガスと水を効率よく流通させる流体流動板が、例
えば特開平3−205763号公報に示されている。図
9はこの従来の燃料電池の単位電池の概念的な構成を説
明するための断面図であり、図10は流体流動板の上面
図である。図において、1、2は導電性の流体流動板、
3はカソード電極、4はアノード電極、5は例えばプロ
トン導電性の固体高分子を用いた電解質体であり、カソ
ードおよびアノード電極3、4とともに単電池を構成す
る。10は流体流動板1の一方面に溝状に形成され、上
記カソード電極3に酸化剤ガスである例えば酸素ガスを
供給する酸化剤ガス流路、11は流体流動板2の背面に
溝状に形成され、上記アノード電極4に燃料ガスである
例えば水素ガスを供給する燃料ガス流路である。20は
流体流動板1の主表面、21は流体流動板1、2におけ
る電極3、4を支持する電極支持部分、22は流体流動
板1に形成され流体を供給される流体供給口、23は流
体流路10の一端に形成された流体入口、24は流体流
路10の他端に形成された流体出口、25は流体出口2
4からの流体を排出するための流体排出口である。な
お、上記流体流動板1、2においては、主表面20を削
って形成された溝と電極3、4に囲まれた空間によって
流体流路10、11は構成されている。
【0005】以下、上記燃料電池の動作について説明す
る。流体流動板1の流体供給口22より供給された酸素
ガスは、流体入口23より流体流路10を通ってカソー
ド電極3に供給され、一方、水を含んだ水素ガスは上記
酸化剤ガスと同様に、流体流路11よりアノード電極4
に供給される。このとき、カソード電極3とアノード電
極4は電気的に外部で接続されているので、カソード電
極3側では(2)の反応が生じ、流体流路10を通って
未反応ガスと水が、流体出口24より流体排出口25に
排出される。また、このときアノード電極4側では
(1)の反応が生じ、未反応ガスは同様に流体流路11
を通じて流体排出口より排出されることとなる。この反
応によって得られた電子は電極3、4から電極支持部分
21を経由して流体流動板1、2を通って流れる。
【0006】代表的な高分子電解質型燃料電池では電極
面積あたり1A/cm2 以上の高電流を取り出すことが
でき、例えば電極面積が100cm2 程度の燃料電池で
は単セルを流れる電流は実に100A以上となる。電流
を流す際の抵抗ロスを少なくするのは、断面積を広く長
さを短くすることが基本である。燃料電池の積層体の単
セルの厚みは1cm以下であり、抵抗ロスの少ない効率
的な電流の経路をとると、導体でできた流体流動板を経
由することになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の説明の通り、従
来の流体流動板は導電性の材料である例えば炭素で形成
されていたが振動に弱く、強度に問題があった。また流
体流動板を金属等で形成すると強度は上がるものの重量
が重くなり軽量化を図ることは困難であった。
【0008】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、軽量で機械的な強度を保ちなが
ら大量生産が可能な流体流動板を有する燃料電池を得る
ことを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に係る燃料電池
は、電解質体を挟む1対の電極部からなり、燃料及び酸
化剤が供給されて電気化学反応を起こす複数の単電池、
これらの単電池間に挟まれ、一方の単電池の電極部に供
給される燃料と、他方の単電池の電極部に供給される酸
化剤とを分離させる隔壁、およびこの隔壁を貫通し、こ
隔壁により分離された酸化剤又は燃料が供給される2
電極部間を電気的に接続させる導電部を備え、複数の上
記単電池を積層方向において上記導電部により直列に接
続させ、かつ、上記積層されたそれぞれの層に電気的に
独立させた複数の上記単電池を備え、上記層内に設けら
れた電解質体を一体的にして共通化したものである。
た、上記第1の発明の燃料電池の、層内に複数設けられ
た単電池を構成する電極を電気絶縁材料からなる分離部
で分離し、上記分離部を隔壁と一体化して層内に一体的
に形成したものである。 また、上記第1の発明の燃料電
池の、層内に複数設けられた単電池を、それぞれ積層方
向において直列に接続してセルユニットを形成し、かつ
上記複数設けられたセルユニットを直列に接続したもの
である。
【0010】
【0011】
【作用】この発明における分離部および導電部は各単電
池に必要なガスや水の供給・排出ができるとともに大量
生産により安価で軽量・強靱なものとすることができ、
さらに導電部により各単電池間の導通も可能である。
【0012】さらに、分離部は電気絶縁性であるので
一層内に一体的に複数の分離部を電気的に独立して並べ
ることができ、電解質体も一体的にすることが可能で、
同一層内に並べられた単電池と交互に積層して各電池間
を直列に接続すればコンパクトな積層体で高電圧が容易
に得られる。
【0013】
【実施例】実施例1. 以下、この発明の一実施例を図について説明する。図1
はこの発明の実施例1による燃料電池の要部を示す概念
的な断面図であり、図において、31は電気絶縁材料か
らなり、一方の単電池の電極部に供給される燃料と、他
方の単電池の電極部に供給される酸化剤とを分離させる
分離部、32は導電材料からなる導電部、33は分離部
31の一部を構成し燃料と酸化剤ガスを仕切る隔壁、4
0は主表面である。図2は図1で示す分離部および導電
部の概念的な平面図であり、図において、34、35は
燃料の供給口と排出口である。なお、本実施例では1つ
の単電池とこれに対応して設けられた分離部31および
導電部32の基本構成についてまず説明する。分離部3
1の電気絶縁材料としては耐熱ABS樹脂やガラス繊維
を充填したポリエステルのような熱変形温度(ASTM
D−648)が燃料電池の運転温度よりも高い80℃以
上の強度をもったプラスチックが好ましい。また、導電
部32の導電性材料としては、ニオブ、SUS等の金属
・合金あるいは炭素等が考えられる。
【0014】さて、従来の流体流動板1、2では流路1
0、11を製作する場合、材料が金属や炭素であるため
にかなりの時間をかけて切削作業をする必要があった。
しかしながら本発明による分離部31では上記のような
プラスチック材料を用いているので、金型を用いるなど
公知の一体成型技術によって複雑な形状も容易に製作す
ることができる。また導電部32を埋め込む手法として
は一体成型の際に同時に埋め込む場合であっても予め導
32を埋め込む穴を開けておいて後でかしめたり、
または接着しても良い。なお、導電部32を埋め込むに
あたっては電極3、4と導電部32との接触を保つため
に電極支持部21の面内において絶縁材料で構成した面
よりも出張った状態に調節することも可能である。
【0015】尚、図1では燃料側10の流路と酸化剤側
の流路11が並行するように示しているが直交する状態
やさらに複雑な曲線を多用した形状を用いても良い。但
し、高電流密度の電流が流れるので、電流が電極面内の
特定部分に集中しないように導部32を埋め込む位置
は電極支持部分21面内に均一に分布させることが望ま
しい。
【0016】次に動作について説明する。流体供給口2
2よりガスを供給すると供給されたガスは主表面20と
電解質体5により空間を囲まれるので流体入口23より
電極部に入る。ここではガスの主流は電極3と電極支持
部21に誘導されてガス流路10に沿って流れ、電極3
の各部分で消費されなかったガス及び発生したガスが出
口24を経て排出口25より排出される。ここで酸素ガ
スを流体供給口22より供給して流路10に流通させ
て、同様にアノード側も水を含んだ水素を流体入口34
よりガス流路11に流通させ、導電部32を経由して電
気的な回路を外部で接続したならば、カソード上では式
(2)の反応が起こり未反応ガスと水が流体出口24を
経て流体排出口25から排出される。アノードでも同様
に未反応ガスが排出される。このとき電子は電極3、4
から導電部32を通って流れる。このとき従来の流体流
動板1、2では流動板全体が導電性を持っているため積
層体の側壁までもそれぞれのセルに応じた電圧を持って
いる。これら流動板は小型化のために積層体中では1m
m以下の距離しか離れていないので、セル内にガスが残
留している場合には室温であっても時計や指輪等の導電
材料が電圧のある流動板1、2にまたがって触れるだけ
で大きな電流が流れる危険があったが、本発明では流体
流動板すなわち分離部31自体は絶縁性なので、金属等
で流動板31にまたがって触れても感電する危険がなく
なる。またこのような分離部31および導電部32を使
用して積層体を形成する場合においても、端板に関して
は全電流を容易に取り出すために電気導電性の材料で平
面を構成させることは可能である。
【0017】実施例2.以下、2番目の実施例ついて説
明する。この実施例2においては、分離部31はポリカ
ーボネイト等の透明材料によって形成されている。図3
はこの実施例2による燃料電池を側面から見たときの図
である。図において、36は燃料側の流体出口である。
【0018】次に動作について説明する。この実施例2
による燃料電池を運転して、ある面から見た場合には図
3のように各単電池内のガス流路10、11や単電池へ
の酸化剤ガス供給口25や燃料ガス出口36および排出
口35を肉眼で見ることができる。よって、この電池内
の流路に閉塞を起こした場合には、水滴の動きからどの
セルへのガス供給が止まってしまったか確認することが
でき、その時には目で確認しながら例えばガス供給口2
2、34に先の曲がった細いノズルを突っ込み閉塞のあ
ったセルのガス入口に圧縮ガスの注入あるいは吸引を行
うことにより閉塞を防止することができる。
【0019】実施例3.以下、3番目の実施例ついて説
明する。図4はこの発明の実施例3による燃料電池の要
部を拡大して示す平面図であり、図において、41は気
密保持のために主表面20より飛び出させた凸部であ
る。なお、この凸部41は明確のためにハッチングで示
している。また、図5は図4に示した部分の裏側を示す
平面図で、積層体に組み立てる際に凸部41と重なる部
分が凸部42であり、組み立てた状態の断面図を図6に
示す。なお。凸部41あるいは42は主表面20あるい
は40より20μm以上飛び出すことが望ましい。また
凸部41、42の幅は、重なり合う部分において、一方
が0.5mm〜2mmの比較的狭い幅をとり、相対する
部分は前者より1mm以上広くとることが望ましい。こ
れはシール効果を保つのにその凸部41、42に面圧を
集中させるために一方は狭くして、他方は組み立てたと
きの寸法のずれを補うために広く取ったものであり、加
工・組立精度の向上により適宜変更しても差し仕えは無
い。
【0020】次に動作について説明する。流体供給口2
2よりガスを供給すると供給されたガスは凸部41と、
凸部42によって支えられた電解質体5により空間を囲
まれるので流体入口23より酸化剤側電極部に入る。ま
た、もう一方の流体供給口34よりガスを供給すると供
給されたガスは凸部41によって支えられた電解質5と
凸部42によって空間を囲まれるので燃料側電極部に入
る。電極部のガスも電解質体5を凸部41、42がしっ
かりと抑えているので周囲へ漏れることなく排出口2
5、35より出ていく。
【0021】実施例4. 以下、4番目の実施例ついて説明する。分離部31は電
気絶縁性であるので同一層内に複数の分離部31を電気
的に独立して一体的に並べることができ、同一層内に並
べられた単電池と交互に積層して各電池間を直列に接続
すればコンパクトな積層体で高電圧が容易に得られる。
図7はこの発明の実施例4による燃料電池の分離部を示
す平面図であり、図中、各番号にA,B,C,Dとつけ
ているのは平面内に並べた電気的には独立した4つの単
電池の区別のためである。また明確のためにガス流路1
0A〜10Dをハッチングで示している。図8は図7に
示す分離部と組み合わせる電解質体と電極の構成を示す
平面図である。
【0022】なお、この図では平面内に電気的に独立し
た電池を4つ並べたが、並べる数は適宜増減してよい。
また流路構成において、各セルへの供給を独立した入口
・出口を用いた構成であっても、全てのセルに直列に流
す形態をとっても一向に差し仕えは無い。要するに本発
明の層内に電気的に独立した複数のセルを並べるという
精神を満足させれば、形態は何であっても良い。
【0023】次に動作について説明する。 流体供給口
22よりガスを供給すると供給されたガスは凸部41
と、凸部42(図示せず)によって支えられた電解質体
5により密封されるのでガス入口23Aおよび23Cに
分かれて酸化剤側電極部のガス流路10A、10Cに入
る。電極部の出口24A,24Cより出たガスは各々流
体入口23B、23Dを経由して電極部のガス流路10
B、10Dに供給され流体出口24B、24Dを経てガ
ス排出口25より排出される。A〜Dの各電池は同様に
燃料側にもガスが供給され反応(1)、(2)により、
発電を行なうが各々の電池は電子電導性の材料ではつな
がっていないので、電気的には独立している。従ってこ
の発明にかかる燃料電池の積層体では、4つの電圧を独
立して取り出せるので、この電圧を直列につなげば、電
動機や変換機を効率よく動かせる高電圧が高く積層しな
くてもよくコンパクトで容易に得られ、例えば電気自動
車等に用いるのに都合がよい。また、電解質体5は、層
内に一体的に設けられているので、容易にコンパクトな
積層構造を形成することができる。
【0024】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、電解
質体を挟む1対の電極部からなり、燃料及び酸化剤が供
給されて電気化学反応を起こす複数の単電池、これらの
単電池間に挟まれ、一方の単電池の電極部に供給される
燃料と、他方の単電池の電極部に供給される酸化剤とを
分離させる隔壁、およびこの隔壁を貫通し、この隔壁
より分離された酸化剤又は燃料が供給される2電極部間
を電気的に接続させる導電部を備え、複数の上記単電池
を積層方向において上記導電部により直列に接続させ、
かつ、上記積層されたそれぞれの層に電気的に独立させ
た複数の上記単電池を備え、上記層内に設けられた電解
質体を一体的に設けるようにしたので、軽量で機械的な
強度を保ちながら大量生産が可能な燃料電池を得ること
ができる。また、層内に複数設けられた単電池を構成す
る電極を電気絶縁材料からなる分離部で分離し、上記分
離部を隔壁と一体化して層内に一体的に形成したのでコ
ンパクトな積層体が得られる。さらに、層内に複数設け
られた単電池を、それぞれ積層方向において直列に接続
してセルユニットを形成し、かつ上記複数設けられたセ
ルユニットは直列に接続されているので、コンパクトな
積層体で高電圧が容易に得られる。
【0025】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1による燃料電池の要部を示
す断面図である。
【図2】図1で示す分離部および導電部の概念的な平面
図である。
【図3】この発明の実施例2による燃料電池の要部を示
す側面図である。
【図4】この発明の実施例3による燃料電池の要部を拡
大して示す平面図である。
【図5】図4に示した部分の裏側を示す平面図である。
【図6】図4と図5のものを組み立てた状態を示す断面
図である。
【図7】この発明の実施例4による燃料電池の分離部を
示す平面図である。
【図8】図7の分離部と組み合わせる電解質体と電極の
構成を示す平面図である。
【図9】従来の燃料電池の一部を示す断面図である。
【図10】従来の流体流動板を示す平面図である。
【符号の説明】
3 カソード電極(+極) 4 アノード電極(−極) 5 電解質体 10、11 ガス流路 31 分離部 32 導電部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−161266(JP,A) 実開 昭59−177172(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 8/00 - 8/24

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解質体を挟む1対の電極部からなり、
    燃料及び酸化剤が供給されて電気化学反応を起こす複数
    の単電池、これらの単電池間に挟まれ、一方の単電池の
    電極部に供給される燃料と、他方の単電池の電極部に供
    給される酸化剤とを分離させる隔壁、およびこの隔壁
    貫通し、この隔壁により分離された酸化剤又は燃料が供
    給される2電極部間を電気的に接続させる導電部を備
    え、複数の上記単電池は積層方向において上記導電部に
    より直列に接続され、かつ、上記積層されたそれぞれの
    層に電気的に独立させた複数の上記単電池を備え、上記
    層内に設けられた電解質体は一体的に設けられているこ
    とを特徴とする燃料電池。
  2. 【請求項2】 層内に複数設けられた単電池を構成する
    電極は電気絶縁材料からなる分離部で分離されており、
    上記分離部は隔壁と一体化して層内に一体的に形成され
    ていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  3. 【請求項3】 層内に複数設けられた単電池を、それぞ
    れ積層方向において直列に接続してセルユニットを形成
    し、かつ上記複数設けられたセルユニットは直列に接続
    されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
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