JP3123789B2 - 油脂の製造法及びそのための微生物 - Google Patents
油脂の製造法及びそのための微生物Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は発酵法により菌体外培養
液中に油脂を生成蓄積せしめる油脂の製造法に関する。
また本発明は上記製造法において油脂がカカオ脂様油脂
であるか、または構成脂肪酸としてパルミトレイン酸を
高い割合で含有する油脂である油脂の製造法に関する。
また本発明は製油副産物の脂肪酸から油脂を製造する方
法に関する。また本発明は高い油脂生産能力を有する微
生物に関する。
液中に油脂を生成蓄積せしめる油脂の製造法に関する。
また本発明は上記製造法において油脂がカカオ脂様油脂
であるか、または構成脂肪酸としてパルミトレイン酸を
高い割合で含有する油脂である油脂の製造法に関する。
また本発明は製油副産物の脂肪酸から油脂を製造する方
法に関する。また本発明は高い油脂生産能力を有する微
生物に関する。
【0002】
【従来の技術】発酵法による油脂の菌体内製造法として
はオイディウム(Oidium) 属、エンドミセス (Endomyce
s)属、カンディダ (Candida)属、ロドトルラ(Rhodotoru
la) 属、クリプトコッカス (Cryptococcus) 属またはロ
ドスポリディウム (Rhodosporidium) 属に属する微生物
によるカカオバター代用脂の製造法(特開昭51-12386
8); エンドミセス属、ロドトルラ属またはリポミセス
(Lipomyces)属に属する微生物によるカカオバター代用
脂の製造法(特開昭52- 122672) ; サッカロミセス(Sa
ccharomyces)属に属する微生物によるパルミトレイン酸
含有量の高い脂質成分(トリグリセリドを含む) の製造
法(特開昭63- 287491) ; モルティエレラ (Mortierell
a)属に属する微生物によるγ−リノレン酸含有量の高い
脂質(油脂を含む)の製造法(特開昭59-130191) ; 及
びクレッケラ (Kloeckera)属に属する微生物によるパル
ミトレイン酸含有量の高い脂質(中性脂質を含む)の製
造法( 特開平 1-108991)が知られており、またトリコス
ポロン(Trychosporon)属に属する微生物による油脂の製
造が報告されている〔N.J.Moon et al., J.Am. Oil Che
m.Soc., 55, 683-688 (1978)及び H. Kaneko et al.,Li
pids, 11 (No.12), 837-844 (1976)〕。また、サッカロ
ミセス属微生物にるパルミトレイン酸の菌内体製造が知
られている(特開昭62-289191)。
はオイディウム(Oidium) 属、エンドミセス (Endomyce
s)属、カンディダ (Candida)属、ロドトルラ(Rhodotoru
la) 属、クリプトコッカス (Cryptococcus) 属またはロ
ドスポリディウム (Rhodosporidium) 属に属する微生物
によるカカオバター代用脂の製造法(特開昭51-12386
8); エンドミセス属、ロドトルラ属またはリポミセス
(Lipomyces)属に属する微生物によるカカオバター代用
脂の製造法(特開昭52- 122672) ; サッカロミセス(Sa
ccharomyces)属に属する微生物によるパルミトレイン酸
含有量の高い脂質成分(トリグリセリドを含む) の製造
法(特開昭63- 287491) ; モルティエレラ (Mortierell
a)属に属する微生物によるγ−リノレン酸含有量の高い
脂質(油脂を含む)の製造法(特開昭59-130191) ; 及
びクレッケラ (Kloeckera)属に属する微生物によるパル
ミトレイン酸含有量の高い脂質(中性脂質を含む)の製
造法( 特開平 1-108991)が知られており、またトリコス
ポロン(Trychosporon)属に属する微生物による油脂の製
造が報告されている〔N.J.Moon et al., J.Am. Oil Che
m.Soc., 55, 683-688 (1978)及び H. Kaneko et al.,Li
pids, 11 (No.12), 837-844 (1976)〕。また、サッカロ
ミセス属微生物にるパルミトレイン酸の菌内体製造が知
られている(特開昭62-289191)。
【0003】発酵法による脂質の菌体外製造法としては
カビ類または藻類を界面活性剤の存在下に培養する方法
が知られている(特開昭62-3791)。また脂肪酸の菌体外
生産能を有するカンディダ・リポリティカ(lypolytica)
に属する変異株による脂肪酸の菌体外生産についての報
告がある〔T.Miyakawa etal., Agric. Biol. Chem.,48,
499 (1984)〕。パルミトレイン酸は炭素数16のモノ
不飽和脂肪酸の1種であり、ミンク油、マカデミアンナ
ッツ油に15〜20%含まれている。パルミトレイン酸は有
用な薬理作用〔抗腫作用、虫歯抑制作用及び高血圧性疾
患における血管障害の防護作用(特開昭62-289191)等〕
を有し、またパルミトレイン酸を構成成分とする油脂は
皮膚との親和性が良好なため化粧品材料として有用であ
る。カカオ脂はα及びα' 位に主として、飽和脂肪酸基
を有し、β位に主としてモノエン脂肪酸基であるオレイ
ン酸基を有するトリグリセリドを主成分とする。
カビ類または藻類を界面活性剤の存在下に培養する方法
が知られている(特開昭62-3791)。また脂肪酸の菌体外
生産能を有するカンディダ・リポリティカ(lypolytica)
に属する変異株による脂肪酸の菌体外生産についての報
告がある〔T.Miyakawa etal., Agric. Biol. Chem.,48,
499 (1984)〕。パルミトレイン酸は炭素数16のモノ
不飽和脂肪酸の1種であり、ミンク油、マカデミアンナ
ッツ油に15〜20%含まれている。パルミトレイン酸は有
用な薬理作用〔抗腫作用、虫歯抑制作用及び高血圧性疾
患における血管障害の防護作用(特開昭62-289191)等〕
を有し、またパルミトレイン酸を構成成分とする油脂は
皮膚との親和性が良好なため化粧品材料として有用であ
る。カカオ脂はα及びα' 位に主として、飽和脂肪酸基
を有し、β位に主としてモノエン脂肪酸基であるオレイ
ン酸基を有するトリグリセリドを主成分とする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】油脂の菌体内生産の場
合には、油脂の抽出工程が煩雑である。すなわち、まず
菌体を遠心分離または濾過により回収し、ついで湿菌体
を破砕し(コロイドミル、ボールミル、ホモジナイザー
等による機械的破砕、超音波による破砕等)、n-ヘキサ
ン等で油脂を抽出するか、湿菌体を乾燥し(凍結乾燥、
噴霧乾燥等)、クロロホルム:メタノール混合溶媒やn-
ヘキサン:イソプロパノール混合溶媒等で油脂を抽出す
る工程を要する。またカビ類による油脂の生産では、一
般に、培養菌体が塊りとなり易く、そのため菌体が攪拌
羽根に絡み付いたり、それによって破壊されたり、再現
性が十分でないといった問題点が生じやすい。また藻類
による油脂の生産では、一般に、培養時間が1週間〜1
ヵ月と長く、また付帯設備として光照射設備を要する。
また界面活性剤の存在下での油脂の菌体外生産において
は培養終了後、一般に、生成油脂を有機溶媒で抽出する
が、この際界面活性剤の存在のため水相と有機溶媒相と
の分離が十分に行われないという問題が生じやすい。本
発明の目的は酵母を用いて油脂を菌体外に発酵生産せし
めることにより抽出工程を容易にしコスト低減を図る方
法を提供することにある。本発明の別の目的はカビや藻
類による油脂生産の問題点を回避できる油脂の菌体外発
酵生産法を提供することにある。本発明の別の目的は発
酵生産後の油脂の有機溶媒による抽出が、水相と有機溶
媒相との分離が容易に行えるという点で、有利に行える
油脂の菌体外発酵生産法を提供することにある。本発明
のさらなる目的は菌体外にカカオ脂様油脂及び/または
パルミトレイン酸を構成成分とする油脂を発酵生産する
方法を提供することにある。本発明のさらなる目的は上
記方法を行うに際し有用な、高い油脂生産能力を有する
微生物を提供することにある。本発明のさらなる目的は
植物油製造工程で副生する留出油、ソーダ油さい等に含
有され、従来有効に利用されていなかった植物油脂肪酸
を油脂として回収する手段を提供することにある。
合には、油脂の抽出工程が煩雑である。すなわち、まず
菌体を遠心分離または濾過により回収し、ついで湿菌体
を破砕し(コロイドミル、ボールミル、ホモジナイザー
等による機械的破砕、超音波による破砕等)、n-ヘキサ
ン等で油脂を抽出するか、湿菌体を乾燥し(凍結乾燥、
噴霧乾燥等)、クロロホルム:メタノール混合溶媒やn-
ヘキサン:イソプロパノール混合溶媒等で油脂を抽出す
る工程を要する。またカビ類による油脂の生産では、一
般に、培養菌体が塊りとなり易く、そのため菌体が攪拌
羽根に絡み付いたり、それによって破壊されたり、再現
性が十分でないといった問題点が生じやすい。また藻類
による油脂の生産では、一般に、培養時間が1週間〜1
ヵ月と長く、また付帯設備として光照射設備を要する。
また界面活性剤の存在下での油脂の菌体外生産において
は培養終了後、一般に、生成油脂を有機溶媒で抽出する
が、この際界面活性剤の存在のため水相と有機溶媒相と
の分離が十分に行われないという問題が生じやすい。本
発明の目的は酵母を用いて油脂を菌体外に発酵生産せし
めることにより抽出工程を容易にしコスト低減を図る方
法を提供することにある。本発明の別の目的はカビや藻
類による油脂生産の問題点を回避できる油脂の菌体外発
酵生産法を提供することにある。本発明の別の目的は発
酵生産後の油脂の有機溶媒による抽出が、水相と有機溶
媒相との分離が容易に行えるという点で、有利に行える
油脂の菌体外発酵生産法を提供することにある。本発明
のさらなる目的は菌体外にカカオ脂様油脂及び/または
パルミトレイン酸を構成成分とする油脂を発酵生産する
方法を提供することにある。本発明のさらなる目的は上
記方法を行うに際し有用な、高い油脂生産能力を有する
微生物を提供することにある。本発明のさらなる目的は
植物油製造工程で副生する留出油、ソーダ油さい等に含
有され、従来有効に利用されていなかった植物油脂肪酸
を油脂として回収する手段を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは油脂の菌体
外発酵生産を目指して研究を重ねた結果、通常の発酵培
地、例えばグルコースを主炭素源とする発酵培地での培
養では菌体外油脂生産を示さない特定の属の油脂生産性
微生物が、脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸の存在
下での培養によって、油脂を菌体外に著量生成蓄積する
ことを見い出し、本発明に到達した。すなわち、本発明
はいずれも酵母でトリコスポロン属、サッカロマイコプ
シス属、カンディダ属またはクリプトコッカス属に属
し、脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸の存在下に培
養することにより油脂を菌体外に生産する能力を有する
微生物を脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸を含有す
る培地に培養して、培養液中菌体外に油脂を生成蓄積せ
しめ、該培養液から生成蓄積した油脂を採取することを
特徴とする油脂の製造法に関する。
外発酵生産を目指して研究を重ねた結果、通常の発酵培
地、例えばグルコースを主炭素源とする発酵培地での培
養では菌体外油脂生産を示さない特定の属の油脂生産性
微生物が、脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸の存在
下での培養によって、油脂を菌体外に著量生成蓄積する
ことを見い出し、本発明に到達した。すなわち、本発明
はいずれも酵母でトリコスポロン属、サッカロマイコプ
シス属、カンディダ属またはクリプトコッカス属に属
し、脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸の存在下に培
養することにより油脂を菌体外に生産する能力を有する
微生物を脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸を含有す
る培地に培養して、培養液中菌体外に油脂を生成蓄積せ
しめ、該培養液から生成蓄積した油脂を採取することを
特徴とする油脂の製造法に関する。
【0006】本発明に使用する微生物としては、トリコ
スポロン属、サッカロマイコプシス属、カンディダ属ま
たはクリプトコッカス属に属し、脂肪酸アルキルエステ
ルまたは脂肪酸の存在下に培養することにより油脂を菌
体外に生産する能力を有する微生物であればいずれの微
生物でも使用可能である。例えば上記性質を有する微生
物の変異株も上記性質を保持する限り本発明で使用可能
である。このような変異誘導は通常の変異処理、例えば
紫外線、X線等の照射、N−メチル−N’−ニトロ−N
−ニトロソグアニジン等の薬剤処理によって行うことが
できる。使用可能な具体的菌株としては鹿児島市内の土
壌から分離されたトリコスポロン・スピーシーズ(Tric
hosporon sp.) SH45Y(微工研菌寄第12362号)
、及びその変異株であるトリコスポロン・スピーシー
ズSH45Y−E1(微工研菌第12363号)及びト
リコスポロン・スピーシーズSH45Y−E2(微工研
菌第12364号)、サッカロマイコプシス・リポリテ
ィカ(Saccharomycopsis lipolytica) IFO-1659 、カン
ディダ・サイトアナ (Candida saitoana) IFO-0380、カ
ンディダ・トロピカリス (C. tropicalis) IFO-1647 、
及びクリプトコッカス・アルビダス (Cryptococcus alb
idus) IFO-1530が挙げられる。
スポロン属、サッカロマイコプシス属、カンディダ属ま
たはクリプトコッカス属に属し、脂肪酸アルキルエステ
ルまたは脂肪酸の存在下に培養することにより油脂を菌
体外に生産する能力を有する微生物であればいずれの微
生物でも使用可能である。例えば上記性質を有する微生
物の変異株も上記性質を保持する限り本発明で使用可能
である。このような変異誘導は通常の変異処理、例えば
紫外線、X線等の照射、N−メチル−N’−ニトロ−N
−ニトロソグアニジン等の薬剤処理によって行うことが
できる。使用可能な具体的菌株としては鹿児島市内の土
壌から分離されたトリコスポロン・スピーシーズ(Tric
hosporon sp.) SH45Y(微工研菌寄第12362号)
、及びその変異株であるトリコスポロン・スピーシー
ズSH45Y−E1(微工研菌第12363号)及びト
リコスポロン・スピーシーズSH45Y−E2(微工研
菌第12364号)、サッカロマイコプシス・リポリテ
ィカ(Saccharomycopsis lipolytica) IFO-1659 、カン
ディダ・サイトアナ (Candida saitoana) IFO-0380、カ
ンディダ・トロピカリス (C. tropicalis) IFO-1647 、
及びクリプトコッカス・アルビダス (Cryptococcus alb
idus) IFO-1530が挙げられる。
【0007】SH45Y株は次の菌学的性質を有してい
る。 a. 子のう胞子の形成 ゴロドコワ培地、アダムス培地、麦芽培地、V−8培
地、ポテト培地及びYM培地で子のう胞子の形成を認め
ない。 b. 各培地における生育状態(25℃、4日培養) YM液体培地 − 球〜楕円形 2.5 ×2.5 、 2.5×2.5 〜3.5(μ) YM寒天培地 − 球〜楕円形 3.5 ×3.5 、 3.5×6〜9(μ) 偽菌糸形成 (+) 皮膜形成 (−) ポテト抽出液寒天培地 − 分裂子形成 (+) c. 各生理的性質 ビタミン要求性 (−) ( 25℃、4日培養) ビオチン リボフラビン ピリドキシン塩酸塩 イノシトール 葉酸 パントテン酸カルシウム ニコチン酸 チアミン塩酸塩 p−アミノ安息香酸 硝酸塩資化性 (−) 色素の生成 (−) 生育温度 (YM培地、7日培養) 13℃ 18℃ 23℃ 28℃ 33℃ 37℃ − + ++ +++ ++ − 生育pH (25℃、YM培地、10日培養) 3.5 4.0 4.5 6.5 7.5 8.2 9.0 9.5 ± + ++ ++ ++ + + ±
る。 a. 子のう胞子の形成 ゴロドコワ培地、アダムス培地、麦芽培地、V−8培
地、ポテト培地及びYM培地で子のう胞子の形成を認め
ない。 b. 各培地における生育状態(25℃、4日培養) YM液体培地 − 球〜楕円形 2.5 ×2.5 、 2.5×2.5 〜3.5(μ) YM寒天培地 − 球〜楕円形 3.5 ×3.5 、 3.5×6〜9(μ) 偽菌糸形成 (+) 皮膜形成 (−) ポテト抽出液寒天培地 − 分裂子形成 (+) c. 各生理的性質 ビタミン要求性 (−) ( 25℃、4日培養) ビオチン リボフラビン ピリドキシン塩酸塩 イノシトール 葉酸 パントテン酸カルシウム ニコチン酸 チアミン塩酸塩 p−アミノ安息香酸 硝酸塩資化性 (−) 色素の生成 (−) 生育温度 (YM培地、7日培養) 13℃ 18℃ 23℃ 28℃ 33℃ 37℃ − + ++ +++ ++ − 生育pH (25℃、YM培地、10日培養) 3.5 4.0 4.5 6.5 7.5 8.2 9.0 9.5 ± + ++ ++ ++ + + ±
【0008】d. 炭素源の同化性と発酵性 試験方法 PSA寒天培地で25℃、4日間培養した生育菌体を滅
菌水で1回遠沈洗浄した後、105cells/ml になるよう希
釈した。これをイースト・ナイトロジェン・ベース(デ
ィフコ社)に各種炭素源(糖類)を加えた各試験培地5
ml( φ18mm試験管)に0.1ml ずつ植菌し、静置培養し
た。攪拌は1日1回行った。 炭素源の同化性 (25℃、10〜28日培養) D−グルコース (+) エタノール (+) D−ガラクトース (+) マニトール (+) マルトース (+) イノシトール (+) スクロース (+) D−ソルビトール (+) ラクトース (+) グリセロール (+) D−ラフィノース (−) D−マンノース (+) D−キシロース (+) D−フラクトース (+) D−アラビノース (+) 可溶性澱粉 (+) L−アラビノース (+) 乳酸ナトリウム (+) L−ラムノース (+) クエン酸ナトリウム (−) 糖類の発酵性 (25℃、7日培養) D−グルコース (−) ラクトース (−) D−ガラクトース (−) マルトース (−) スクロース (−) D−ラフィノース (−)
菌水で1回遠沈洗浄した後、105cells/ml になるよう希
釈した。これをイースト・ナイトロジェン・ベース(デ
ィフコ社)に各種炭素源(糖類)を加えた各試験培地5
ml( φ18mm試験管)に0.1ml ずつ植菌し、静置培養し
た。攪拌は1日1回行った。 炭素源の同化性 (25℃、10〜28日培養) D−グルコース (+) エタノール (+) D−ガラクトース (+) マニトール (+) マルトース (+) イノシトール (+) スクロース (+) D−ソルビトール (+) ラクトース (+) グリセロール (+) D−ラフィノース (−) D−マンノース (+) D−キシロース (+) D−フラクトース (+) D−アラビノース (+) 可溶性澱粉 (+) L−アラビノース (+) 乳酸ナトリウム (+) L−ラムノース (+) クエン酸ナトリウム (−) 糖類の発酵性 (25℃、7日培養) D−グルコース (−) ラクトース (−) D−ガラクトース (−) マルトース (−) スクロース (−) D−ラフィノース (−)
【0009】以下の菌学的性質をもとにジ・イースツ
(The Yeasts)第3版,N.J.M.Kreger-van Rij 編, Else
vier Science Publishers B.V.出版(1984)に照らしてS
H45Y株をトリコスポロン属に属する菌株と認定し
た。この菌株は前述の如く工業技術院微生物工業技術研
究所に微工研菌寄第12362号として寄託されてい
る。このSH45Y株を常法により変異処理して、後述
の実施例に示すごとくSH45Y株よりトリグリセリド
の生産性及び/またはパルミトレイン酸の生産性の向上
したトリコスポロン・スピーシーズSH45Y−E1及
びSH45Y−E2株を得た。これらは前述の如く工業
技術院微生物工業技術研究所にそれぞれ微工研菌寄第1
2363号及び第12364号として寄託されている。
(The Yeasts)第3版,N.J.M.Kreger-van Rij 編, Else
vier Science Publishers B.V.出版(1984)に照らしてS
H45Y株をトリコスポロン属に属する菌株と認定し
た。この菌株は前述の如く工業技術院微生物工業技術研
究所に微工研菌寄第12362号として寄託されてい
る。このSH45Y株を常法により変異処理して、後述
の実施例に示すごとくSH45Y株よりトリグリセリド
の生産性及び/またはパルミトレイン酸の生産性の向上
したトリコスポロン・スピーシーズSH45Y−E1及
びSH45Y−E2株を得た。これらは前述の如く工業
技術院微生物工業技術研究所にそれぞれ微工研菌寄第1
2363号及び第12364号として寄託されている。
【0010】次に本発明で使用する脂肪酸アルキルエス
テルについて述べる。脂肪酸アルキルエステルを構成す
る酸成分としては通常炭素数8〜22、特に12〜18の飽和
・不飽和の脂肪酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラ
ウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン
酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、
エルカ酸が挙げられる。また脂肪酸アルキルエステルの
アルコール成分としては通常、炭素数1〜6の低級アル
コール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノ
ール、i−プロパノール、n−ブタノール等が挙げられ
るがエタノールが好ましい。脂肪酸アルキルエステルは
各単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いて
もよい。次に本発明で使用する脂肪酸としては通常炭素
数8〜22、特に16〜22の不飽和脂肪酸(例えばパルミト
レイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラ
キドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸)、炭素数
8〜12の中鎖飽和脂肪酸(例えばカプリル酸、カプリン
酸、ラウリン酸)、または上記不飽和脂肪酸もしくは中
鎖飽和脂肪酸と炭素数14〜22、特に14〜20の長鎖飽和脂
肪酸(例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、アラキン酸、ベヘン酸)との混合物が挙げられる。
この不飽和脂肪酸もしくは中鎖飽和脂肪酸と長鎖飽和脂
肪酸の混合物中における不飽和脂肪酸もしくは中鎖飽和
脂肪酸の割合は10重量%以上、好ましくは25重量%以上
である。また、この混合物としては、植物油製造工程で
副生する留出油、ソーダ油さい等に含有され、従来有効
に利用されていなかった植物油脂脂肪酸、例えば大豆脂
肪酸、ナタネ脂肪酸を用いることができる。なお、上記
のごとく不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の混合物を使用する
場合には、不飽和脂肪酸はもとより飽和脂肪酸も本発明
使用酵母によって資化されるが、例えばパルミチン酸ま
たはステアリン酸を単独で用いる場合には、これらは殆
ど資化されない。また、脂肪酸と脂肪酸アルキルエステ
ルとを組み合わせて用いてもよいが、その脂肪酸として
上記長鎖飽和脂肪酸を用いる場合には、その割合は90重
量%未満、好ましくは75重量%未満とする
テルについて述べる。脂肪酸アルキルエステルを構成す
る酸成分としては通常炭素数8〜22、特に12〜18の飽和
・不飽和の脂肪酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラ
ウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン
酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、
エルカ酸が挙げられる。また脂肪酸アルキルエステルの
アルコール成分としては通常、炭素数1〜6の低級アル
コール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノ
ール、i−プロパノール、n−ブタノール等が挙げられ
るがエタノールが好ましい。脂肪酸アルキルエステルは
各単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いて
もよい。次に本発明で使用する脂肪酸としては通常炭素
数8〜22、特に16〜22の不飽和脂肪酸(例えばパルミト
レイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラ
キドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸)、炭素数
8〜12の中鎖飽和脂肪酸(例えばカプリル酸、カプリン
酸、ラウリン酸)、または上記不飽和脂肪酸もしくは中
鎖飽和脂肪酸と炭素数14〜22、特に14〜20の長鎖飽和脂
肪酸(例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、アラキン酸、ベヘン酸)との混合物が挙げられる。
この不飽和脂肪酸もしくは中鎖飽和脂肪酸と長鎖飽和脂
肪酸の混合物中における不飽和脂肪酸もしくは中鎖飽和
脂肪酸の割合は10重量%以上、好ましくは25重量%以上
である。また、この混合物としては、植物油製造工程で
副生する留出油、ソーダ油さい等に含有され、従来有効
に利用されていなかった植物油脂脂肪酸、例えば大豆脂
肪酸、ナタネ脂肪酸を用いることができる。なお、上記
のごとく不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の混合物を使用する
場合には、不飽和脂肪酸はもとより飽和脂肪酸も本発明
使用酵母によって資化されるが、例えばパルミチン酸ま
たはステアリン酸を単独で用いる場合には、これらは殆
ど資化されない。また、脂肪酸と脂肪酸アルキルエステ
ルとを組み合わせて用いてもよいが、その脂肪酸として
上記長鎖飽和脂肪酸を用いる場合には、その割合は90重
量%未満、好ましくは75重量%未満とする
【0011】本発明で使用する酵母を培養するに際し、
培地中に含有せしめる脂肪酸アルキルエステルまたは脂
肪酸の量は全体として通常 0.1〜50g/dl、好ましくは1
〜10g/dlである。脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸
は培養当初から加えてもよいし、菌がかなり生育した培
養中途に加えてもよいし、またその複合した添加型式で
あってもよい。すなわち培養の全期間に亘って上記濃度
が維持される必要はなく、濃度の具体的コントロールは
油脂の菌体外蓄積及びその量との関連で適宜決定すれば
よい。かくして上記濃度範囲での培養により油脂が菌体
外に生成蓄積する。また後述する如く、添加する脂肪酸
アルキルエステルの脂肪酸または添加する脂肪酸の種類
により油脂の構成脂肪酸組成が変化する。
培地中に含有せしめる脂肪酸アルキルエステルまたは脂
肪酸の量は全体として通常 0.1〜50g/dl、好ましくは1
〜10g/dlである。脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸
は培養当初から加えてもよいし、菌がかなり生育した培
養中途に加えてもよいし、またその複合した添加型式で
あってもよい。すなわち培養の全期間に亘って上記濃度
が維持される必要はなく、濃度の具体的コントロールは
油脂の菌体外蓄積及びその量との関連で適宜決定すれば
よい。かくして上記濃度範囲での培養により油脂が菌体
外に生成蓄積する。また後述する如く、添加する脂肪酸
アルキルエステルの脂肪酸または添加する脂肪酸の種類
により油脂の構成脂肪酸組成が変化する。
【0012】本発明方法で使用される培地については、
油脂の発酵生産に通常使われる培地が使用される。すな
わち、実施例に示すごとく、主炭素源のほか窒素源、無
機物その他の栄養素を程よく含有する培地ならば、合成
培地および天然培地のいずれでも使用可能である。炭素
源としては前記脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸を
単独で用いてもよいし、これに少量の例えばこれらの総
量に対し20重量%以下の、好ましくは2重量%以下の
他の炭素源を加えて用いてもよい。かかる他の炭素源と
してはグルコース、スクロース、フラクトース、澱粉、
澱粉加水分解物、廃糖蜜など種々の炭水化物、エタノー
ル、メタノール、グリセロール、ポリアルコールなどの
アルコール、グルタミン酸、アスパラギン酸などのアミ
ノ酸、n−パラフィンなどの炭化水素などが使用菌の資
化性に応じて使用できる。
油脂の発酵生産に通常使われる培地が使用される。すな
わち、実施例に示すごとく、主炭素源のほか窒素源、無
機物その他の栄養素を程よく含有する培地ならば、合成
培地および天然培地のいずれでも使用可能である。炭素
源としては前記脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸を
単独で用いてもよいし、これに少量の例えばこれらの総
量に対し20重量%以下の、好ましくは2重量%以下の
他の炭素源を加えて用いてもよい。かかる他の炭素源と
してはグルコース、スクロース、フラクトース、澱粉、
澱粉加水分解物、廃糖蜜など種々の炭水化物、エタノー
ル、メタノール、グリセロール、ポリアルコールなどの
アルコール、グルタミン酸、アスパラギン酸などのアミ
ノ酸、n−パラフィンなどの炭化水素などが使用菌の資
化性に応じて使用できる。
【0013】窒素源としては、アンモニア、塩化アンモ
ニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸ア
ンモニウム、硝酸ナトリウム、尿素等の無機有機窒素化
合物が使用できる。さらに窒素源としてはまたペプト
ン、肉エキス、酵母エキス、コーン・スチーブ・リカ
ー、カゼイン加水分解物、フイッシュミールもしくはそ
の消化物、脱脂大豆粕もしくはその消化物などの窒素含
有天然物も使用できる。無機物としては、リン酸一カリ
ウム、リン酸二カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナト
リウム、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硫酸マンガン、塩化
カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、ホウ
酸・モリブデン酸アンモニウム、ヨウ化カリウム等が使
用できる。使用する微生物が生育のために特定の栄養素
(例えばビオチン、チアミンなどのビタミン等)を必要
とする場合は、当然その栄養素を適当量培地に加えなけ
ればならない。これらの栄養素が窒素源として用いられ
る窒素含有天然物に含まれて添加される場合はもちろん
別に栄養素を添加する必要はない。
ニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸ア
ンモニウム、硝酸ナトリウム、尿素等の無機有機窒素化
合物が使用できる。さらに窒素源としてはまたペプト
ン、肉エキス、酵母エキス、コーン・スチーブ・リカ
ー、カゼイン加水分解物、フイッシュミールもしくはそ
の消化物、脱脂大豆粕もしくはその消化物などの窒素含
有天然物も使用できる。無機物としては、リン酸一カリ
ウム、リン酸二カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナト
リウム、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硫酸マンガン、塩化
カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、ホウ
酸・モリブデン酸アンモニウム、ヨウ化カリウム等が使
用できる。使用する微生物が生育のために特定の栄養素
(例えばビオチン、チアミンなどのビタミン等)を必要
とする場合は、当然その栄養素を適当量培地に加えなけ
ればならない。これらの栄養素が窒素源として用いられ
る窒素含有天然物に含まれて添加される場合はもちろん
別に栄養素を添加する必要はない。
【0014】培養は振盪培養あるいは深部攪拌培養など
好気的条件下で行う。培養温度は一般には20〜35℃
が好ましいが、菌が生育する温度であれば他の温度条件
でもよい。培養中の培地のpHは、脂肪酸エステルを用
いる場合は 4.5〜 6.0、脂肪酸を用いる場合は 4.5〜
7.2に維持することが高収率を得るために望ましい。培
養開始後通常3〜7日間で菌体外に著量の油脂が生成蓄
積する。
好気的条件下で行う。培養温度は一般には20〜35℃
が好ましいが、菌が生育する温度であれば他の温度条件
でもよい。培養中の培地のpHは、脂肪酸エステルを用
いる場合は 4.5〜 6.0、脂肪酸を用いる場合は 4.5〜
7.2に維持することが高収率を得るために望ましい。培
養開始後通常3〜7日間で菌体外に著量の油脂が生成蓄
積する。
【0015】培養終了後、培養液に抽出溶媒を添加して
油脂を抽出溶媒中に抽出する。油脂の一部は菌体表面に
付着しているので抽出溶媒の添加は、通常、菌体を含む
培養終了液そのものまたはその部分濃縮物に対して行
う。また上記抽出に加え、菌体内に残存した油脂の回収
を常法により行ってもよい。抽出溶媒としては油脂を溶
解し、水との混和性がないか乏しい常温で液状の有機溶
媒、例えばハロゲン化低級アルカン、例えばクロロホル
ム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2-ジロロエタン ;n
−ヘキサン、エチルエーテル;酢酸エチル;芳香族炭化
水素例えばベンゼン、トルエン、キシレン等が好適に用
いられる。抽出溶媒の添加量は培養液中に生成蓄積した
油脂を十分に回収できる量であればよく特に限定されな
いが、一般には培養終了液1Lに対し 50 ml以上、好ま
しくは 100 ml 〜3L、特に好ましくは 100 ml 〜1L
である。
油脂を抽出溶媒中に抽出する。油脂の一部は菌体表面に
付着しているので抽出溶媒の添加は、通常、菌体を含む
培養終了液そのものまたはその部分濃縮物に対して行
う。また上記抽出に加え、菌体内に残存した油脂の回収
を常法により行ってもよい。抽出溶媒としては油脂を溶
解し、水との混和性がないか乏しい常温で液状の有機溶
媒、例えばハロゲン化低級アルカン、例えばクロロホル
ム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2-ジロロエタン ;n
−ヘキサン、エチルエーテル;酢酸エチル;芳香族炭化
水素例えばベンゼン、トルエン、キシレン等が好適に用
いられる。抽出溶媒の添加量は培養液中に生成蓄積した
油脂を十分に回収できる量であればよく特に限定されな
いが、一般には培養終了液1Lに対し 50 ml以上、好ま
しくは 100 ml 〜3L、特に好ましくは 100 ml 〜1L
である。
【0016】なお、抽出溶媒によって抽出される油脂が
菌体外に存在する油脂であることは、菌体内油脂が抽
出される場合に一緒に抽出される、細胞膜を構成してい
るリン脂質が抽出液中に実質上存在しないこと(対照的
に例えば前記特開昭63-287491 の実施例1では菌体を破
壊することなく乾燥菌体からクロロホルム−メタノール
混合物で脂質を抽出しているが、油脂等の単純脂質だけ
でなくリン脂質等の複合脂質も一緒に抽出されてい
る)、抽出操作後に完全な(intact) 菌体が観察され
ること、菌体内生産の場合には通常本法に示すような
単純な操作で油脂が抽出されないこと(例えば従来の技
術の項で示した油脂生産に関する先行技術文献参照)等
から明らかである。
菌体外に存在する油脂であることは、菌体内油脂が抽
出される場合に一緒に抽出される、細胞膜を構成してい
るリン脂質が抽出液中に実質上存在しないこと(対照的
に例えば前記特開昭63-287491 の実施例1では菌体を破
壊することなく乾燥菌体からクロロホルム−メタノール
混合物で脂質を抽出しているが、油脂等の単純脂質だけ
でなくリン脂質等の複合脂質も一緒に抽出されてい
る)、抽出操作後に完全な(intact) 菌体が観察され
ること、菌体内生産の場合には通常本法に示すような
単純な操作で油脂が抽出されないこと(例えば従来の技
術の項で示した油脂生産に関する先行技術文献参照)等
から明らかである。
【0017】抽出溶媒中に抽出された油脂は目的に応
じ、抽出溶媒を蒸発除去してそのまま製品とすることも
できるし、カラムクロマトグラフィー、蒸留、脱酸等に
より原料脂肪酸エステルもしくはその分解物である脂肪
酸または原料脂肪酸をはじめとする混入成分を除去する
ことによって精製することもでき(脂肪酸エステル及び
脂肪酸の除去によりほぼ純粋のトリグリセリドにな
る)、さらに必要に応じ脱色、脱臭等の処理に付すこと
もできる。これらの個々の処理操作は油脂の生産に際し
ての常法(例えば、大豆、とうもろこし、菜種等の植物
からの抽出精製に関しての宮川高明著、「食用油製造の
実際」、幸書房(1988)、発酵生産油脂の精製に関して
の前出の特開昭63-28491、特開昭52-122672 等)及び一
般的な発酵生産物の精製方法に準じて行うことができ
る。
じ、抽出溶媒を蒸発除去してそのまま製品とすることも
できるし、カラムクロマトグラフィー、蒸留、脱酸等に
より原料脂肪酸エステルもしくはその分解物である脂肪
酸または原料脂肪酸をはじめとする混入成分を除去する
ことによって精製することもでき(脂肪酸エステル及び
脂肪酸の除去によりほぼ純粋のトリグリセリドにな
る)、さらに必要に応じ脱色、脱臭等の処理に付すこと
もできる。これらの個々の処理操作は油脂の生産に際し
ての常法(例えば、大豆、とうもろこし、菜種等の植物
からの抽出精製に関しての宮川高明著、「食用油製造の
実際」、幸書房(1988)、発酵生産油脂の精製に関して
の前出の特開昭63-28491、特開昭52-122672 等)及び一
般的な発酵生産物の精製方法に準じて行うことができ
る。
【0018】カカオ脂はα及びα´位に主としてステア
リン酸残基またはパルミチン酸残基を有し、β位に主と
してオレイン酸残基を有するトリグリセリドより主とし
て成る。本発明で、原料脂肪酸アルキルまたは脂肪酸と
して、長鎖飽和脂肪酸(C:16〜20)もしくはそのエス
テルもしくはそれらの混合物を単独で、または長鎖モノ
不飽和脂肪酸飽和脂肪酸(C:16〜20)もしくはそのエ
ステルもしくはそれらの混合物と組み合わせて使用する
場合には、一般にカカオ脂に似た組成を有する油脂、す
なわちα及びα´位に主として長鎖飽和脂肪酸残基
(C:16〜20)を有し、β位に主として長鎖モノ不飽和
脂肪酸残基(C:16〜20)を有するトリグリセリドより
主として成る油脂が得られる。ただし、上記で長鎖モノ
不飽和脂肪酸もしくはそのエステルもしくはそれらの混
合物を併用する場合には、それらの割合は合計で40重量
%以下とする。また、長鎖飽和脂肪酸を用いる場合には
上記にかかわらず上記の他の成分と併用するものとし、
長鎖飽和脂肪酸の使用割合を90重量%未満、好ましくは
75重量%未満にするものとする。
リン酸残基またはパルミチン酸残基を有し、β位に主と
してオレイン酸残基を有するトリグリセリドより主とし
て成る。本発明で、原料脂肪酸アルキルまたは脂肪酸と
して、長鎖飽和脂肪酸(C:16〜20)もしくはそのエス
テルもしくはそれらの混合物を単独で、または長鎖モノ
不飽和脂肪酸飽和脂肪酸(C:16〜20)もしくはそのエ
ステルもしくはそれらの混合物と組み合わせて使用する
場合には、一般にカカオ脂に似た組成を有する油脂、す
なわちα及びα´位に主として長鎖飽和脂肪酸残基
(C:16〜20)を有し、β位に主として長鎖モノ不飽和
脂肪酸残基(C:16〜20)を有するトリグリセリドより
主として成る油脂が得られる。ただし、上記で長鎖モノ
不飽和脂肪酸もしくはそのエステルもしくはそれらの混
合物を併用する場合には、それらの割合は合計で40重量
%以下とする。また、長鎖飽和脂肪酸を用いる場合には
上記にかかわらず上記の他の成分と併用するものとし、
長鎖飽和脂肪酸の使用割合を90重量%未満、好ましくは
75重量%未満にするものとする。
【0019】また生成蓄積する油脂の組成は培地に添加
する脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸の種類によっ
て大きな影響を受ける。すなわち、炭素源として飽和脂
肪酸アルキルまたは飽和脂肪酸を用いる場合には、一般
に、得られる油脂中に占める対応飽和脂肪酸残基及び対
応不飽和脂肪酸(主としてモノ不飽和脂肪酸)残基の割
合が増加する(後記実施例1〜3参照)。また、炭素源
として不飽和脂肪酸アルキルまたは不飽和脂肪酸を用い
る場合には一般に、得られる油脂中に占める対応不飽和
脂肪酸残基の割合が増加する(実施例2及び4参照)。
また炭素源として不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の混合物を
用いる場合には、一般に、得られる油脂中に占める対応
不飽和脂肪酸残基及び対応飽和脂肪酸残基の割合が増加
する。(実施例5参照) 油脂の生産量は使用菌株によって大幅な差があるが、そ
の生産性は本発明の使用菌中トリコスポロン属に属する
菌について特に顕著である(例えば実施例1、2及び4
参照)。また、炭素数16の脂肪酸のアルキルエステル
を炭素源として用いた場合、本発明のいずれの属の使用
菌についても、生成蓄積する油脂中にはパルミトレイン
酸残基が含まれるが、その含有量はトリコスポロン属に
属する菌についてより多く、トリコスポロン・スピーシ
ーズSH45Y−E2でもっとも顕著であった(実施例
1及び2参照)。
する脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸の種類によっ
て大きな影響を受ける。すなわち、炭素源として飽和脂
肪酸アルキルまたは飽和脂肪酸を用いる場合には、一般
に、得られる油脂中に占める対応飽和脂肪酸残基及び対
応不飽和脂肪酸(主としてモノ不飽和脂肪酸)残基の割
合が増加する(後記実施例1〜3参照)。また、炭素源
として不飽和脂肪酸アルキルまたは不飽和脂肪酸を用い
る場合には一般に、得られる油脂中に占める対応不飽和
脂肪酸残基の割合が増加する(実施例2及び4参照)。
また炭素源として不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の混合物を
用いる場合には、一般に、得られる油脂中に占める対応
不飽和脂肪酸残基及び対応飽和脂肪酸残基の割合が増加
する。(実施例5参照) 油脂の生産量は使用菌株によって大幅な差があるが、そ
の生産性は本発明の使用菌中トリコスポロン属に属する
菌について特に顕著である(例えば実施例1、2及び4
参照)。また、炭素数16の脂肪酸のアルキルエステル
を炭素源として用いた場合、本発明のいずれの属の使用
菌についても、生成蓄積する油脂中にはパルミトレイン
酸残基が含まれるが、その含有量はトリコスポロン属に
属する菌についてより多く、トリコスポロン・スピーシ
ーズSH45Y−E2でもっとも顕著であった(実施例
1及び2参照)。
【0020】
【実施例】次に本発明方法を実施例により具体的に説明
する。 実施例1 下記培地100ml ずつ(下記に示すごとく1.0gのパルミチ
ン酸エチルを含有する) に下記表1に示す酵母をそれぞ
れ107 個接種し、28℃で4日間振盪培養した。培養終了
後培養液に15mlのクロロホルムを加え、3回抽出を行っ
た。クロロホルム抽出液は合わせて50mlに定容した。ク
ロロホルム抽出液2mlに内標準物質としてトリヘプタデ
カノインを1.0mg 加え、濃縮後、TLCに塗布した。n
−ヘキサン:ジエチルエーテル:酢酸(80:20:1)で
展開しトリグリセリド画分を回収した。トリグリセリド
画分に10%KOHメタノール溶液0.6ml を加え、80℃で
20分間加熱した。冷却後三フッ化ホウ素−メタノール錯
体メタノール溶液を0.7ml 加え、2.5 分間加熱し、冷却
後n−ヘキサン1.0ml を加え、さらに1.5 分間加熱し
た。再び冷却後塩化ナトリウム飽和水溶液を多量に加
え、上層のヘキサン層を回収した。ヘキサン層は無水硫
酸ナトリウムで脱水後、ガスクロで脂肪酸を定量した。
総脂肪酸量に1.05を乗じ、トリグリセリド量とした。結
果を表1に示す。
する。 実施例1 下記培地100ml ずつ(下記に示すごとく1.0gのパルミチ
ン酸エチルを含有する) に下記表1に示す酵母をそれぞ
れ107 個接種し、28℃で4日間振盪培養した。培養終了
後培養液に15mlのクロロホルムを加え、3回抽出を行っ
た。クロロホルム抽出液は合わせて50mlに定容した。ク
ロロホルム抽出液2mlに内標準物質としてトリヘプタデ
カノインを1.0mg 加え、濃縮後、TLCに塗布した。n
−ヘキサン:ジエチルエーテル:酢酸(80:20:1)で
展開しトリグリセリド画分を回収した。トリグリセリド
画分に10%KOHメタノール溶液0.6ml を加え、80℃で
20分間加熱した。冷却後三フッ化ホウ素−メタノール錯
体メタノール溶液を0.7ml 加え、2.5 分間加熱し、冷却
後n−ヘキサン1.0ml を加え、さらに1.5 分間加熱し
た。再び冷却後塩化ナトリウム飽和水溶液を多量に加
え、上層のヘキサン層を回収した。ヘキサン層は無水硫
酸ナトリウムで脱水後、ガスクロで脂肪酸を定量した。
総脂肪酸量に1.05を乗じ、トリグリセリド量とした。結
果を表1に示す。
【0021】培地 NaNO3 2.0g、 (NH4)SO4 2.0g、 K2HPO4 1.0g、 KH2PO4
7.0g、 MgSO4・7H2O0.3g、 CaCl2・2H2O 0.1g、 NaCl
0.5g、パルミチン酸エチル 10.0g、ビタミン混合水溶液
*1 1ml、ミネラル混合水溶液*2 1ml、1%クロラムフェ
ニコール/エタノール 1ml、蒸留水で1000mlにする。*1. 2 下記に示す ビタミン混合水溶液 ビオチン 2mg、 パントテン酸カルシウム 400mg、 葉
酸 2mg、 イノシトール 2000mg 、 ニコチン酸 400m
g、n−アミノ安息香酸 200mg、 ピリドキシン塩酸塩
400mg、 リボフラビン 200mg、 チアミン塩酸塩 400m
g、 蒸留水で1000mlにする。 ミネラル混合水溶液 Mn SO4 ・ 4〜5H2O 60mg 、 Zn SO4 ・7H2O、 Cu SO4
・5H2O 40mg 、 FeCl2・6H2O 250mg、 H3BO3 60mg 、
(NH4)6Mo7O24 ・4H20 25mg 、 KI 100mg 、蒸留水で100
0mlにする。
7.0g、 MgSO4・7H2O0.3g、 CaCl2・2H2O 0.1g、 NaCl
0.5g、パルミチン酸エチル 10.0g、ビタミン混合水溶液
*1 1ml、ミネラル混合水溶液*2 1ml、1%クロラムフェ
ニコール/エタノール 1ml、蒸留水で1000mlにする。*1. 2 下記に示す ビタミン混合水溶液 ビオチン 2mg、 パントテン酸カルシウム 400mg、 葉
酸 2mg、 イノシトール 2000mg 、 ニコチン酸 400m
g、n−アミノ安息香酸 200mg、 ピリドキシン塩酸塩
400mg、 リボフラビン 200mg、 チアミン塩酸塩 400m
g、 蒸留水で1000mlにする。 ミネラル混合水溶液 Mn SO4 ・ 4〜5H2O 60mg 、 Zn SO4 ・7H2O、 Cu SO4
・5H2O 40mg 、 FeCl2・6H2O 250mg、 H3BO3 60mg 、
(NH4)6Mo7O24 ・4H20 25mg 、 KI 100mg 、蒸留水で100
0mlにする。
【0022】
【表1】 ──────────────────────────────────── 菌 株 トリグリ トリグリセリドの脂肪酸組成 セリド (wt%) (mg) C16 C16:1 C18 C18:1 C18:2 ──────────────────────────────────── トリコスポロン・スピーシーズ 113 63.0 15.9 1.4 16.4 3.3 SH45Y (微工研菌寄第 12362号) サッカロマイコプシス・ 53 66.8 8.2 2.5 19.8 2.7 リポリティカ IFO-1659 カンディダ・サイトアナ 22 64.0 10.3 1.8 21.0 2.9 IFO-0380 カンディダ・トロピカリス 17 61.1 13.4 2.2 21.5 1.8 IF0-1647 クリプトコッカス・ アルビダス IFO-1530 10 62.6 9.5 2.0 23.5 2.4 トリコスポロン・スピーシーズ 130 62.7 26.7 0.6 6.7 3.2 SH45Y-E2 (微工研菌寄第 12364号) ──────────────────────────────────── C16 パルミチン酸、 C16:1 パルミトレイン酸、 C18 ステアリン酸、 C18:1 オレイン酸、 C18:2 リノール酸 なお、パルミチン酸エチルに代えグルコース 2g/dLを含
有する以外上記と同じ培地を用いて、上記と同様に操作
した場合には、いずれの菌株の場合にもトリグリセリド
画分が実質上回収されなかった。
有する以外上記と同じ培地を用いて、上記と同様に操作
した場合には、いずれの菌株の場合にもトリグリセリド
画分が実質上回収されなかった。
【0023】実施例2 実施例1の培地 100ml、及びパルミチン酸エチルに代え
表2に示す炭素源をそれぞれ含有する実施例1の培地各
100ml(表2の炭素源をそれぞれ1.0g含有する)にトリコ
スポロン・スピーシーズSH45Y−E1(微工研菌寄
第12363号)をそれぞれ 107個接種し、その後実施
例1と同様に操作した。結果を表2に示す。
表2に示す炭素源をそれぞれ含有する実施例1の培地各
100ml(表2の炭素源をそれぞれ1.0g含有する)にトリコ
スポロン・スピーシーズSH45Y−E1(微工研菌寄
第12363号)をそれぞれ 107個接種し、その後実施
例1と同様に操作した。結果を表2に示す。
【表2】 ──────────────────────────────────── トリグリ トリグリセリドの脂肪酸組成 セリド(mg) (wt%) 炭 素 源 C16 C16:1 C18 C18:1 C18:2 ──────────────────────────────────── パルミチン酸エチル 174 67.8 19.8 0.7 10.1 1.6 ステアリン酸エチル 12 1.3 − 65.3 28.0 5.4 パルミチン酸エチル及び 54 50.1 − 2.3 45.0 2.3 オレイン酸エチル(1:1) ────────────────────────────────────
【0024】実施例3 5Lのジャーファーメンタ(ミツワ理化製) にパルミチン
酸エチルの含有量が異なる以外実施例1と同じ培地3L
(パルミチン酸エチル 60gを含む) を入れ滅菌した。パ
ルチミン酸エチルに代えグルコースを含有する以外実施
例1と同じ培地200ml(グルコース4.0gを含有する) にト
リコスポロン・スピーシーズSH45Y−E1を植菌
し、28℃で4日間培養した培養液全量を上記ジャーファ
ーメンタ中の培地に植菌し、28℃、250rpm、通気量0.5L
/minの条件で7日間培養した。培養終了後、培養液にn
−ヘキサン(食添用グレード)500mlを加え抽出した。
抽出操作は計3回繰り返し、得た抽出液は合せて濃縮し
た。回収油分はトリグリセリドを精製するため蒸留し
た。KDL1(LEYBOLD社製)を用い0.1mmHg 、140 ℃の
条件下で操作を繰り返し、蒸留残物が薄層クロマトグラ
フィーでトリグリセリドの単一スポットを与えるまで精
製した。12.8g のトリグリセリドが得られた。
酸エチルの含有量が異なる以外実施例1と同じ培地3L
(パルミチン酸エチル 60gを含む) を入れ滅菌した。パ
ルチミン酸エチルに代えグルコースを含有する以外実施
例1と同じ培地200ml(グルコース4.0gを含有する) にト
リコスポロン・スピーシーズSH45Y−E1を植菌
し、28℃で4日間培養した培養液全量を上記ジャーファ
ーメンタ中の培地に植菌し、28℃、250rpm、通気量0.5L
/minの条件で7日間培養した。培養終了後、培養液にn
−ヘキサン(食添用グレード)500mlを加え抽出した。
抽出操作は計3回繰り返し、得た抽出液は合せて濃縮し
た。回収油分はトリグリセリドを精製するため蒸留し
た。KDL1(LEYBOLD社製)を用い0.1mmHg 、140 ℃の
条件下で操作を繰り返し、蒸留残物が薄層クロマトグラ
フィーでトリグリセリドの単一スポットを与えるまで精
製した。12.8g のトリグリセリドが得られた。
【0025】トリグリセリドの分析は実施例1に従い総
脂肪酸組成を分析した他、2位脂肪酸を分析した。2位
脂肪酸はトリグリセリドをパンクレアチンで分解し、薄
層クロマトグラフィー(ホウ酸含浸プレート、溶媒系:
クロロホルム:アセトン=96:4) で2-モノグリセリドを
回収し、以下総脂肪酸と同様に分析した。結果を表3に
示す。
脂肪酸組成を分析した他、2位脂肪酸を分析した。2位
脂肪酸はトリグリセリドをパンクレアチンで分解し、薄
層クロマトグラフィー(ホウ酸含浸プレート、溶媒系:
クロロホルム:アセトン=96:4) で2-モノグリセリドを
回収し、以下総脂肪酸と同様に分析した。結果を表3に
示す。
【表3】 ──────────────────────────────────── トリグリ生産量 脂 肪 酸 組 成 (wt%) (g) C16 C16:1 C18 C18:1 C18:2 ──────────────────────────────────── 12.8 総脂肪酸 63.4 10.4 5.2 18.6 2.4 2位−脂肪酸 12.2 29.5 1.0 50.3 7.0 ──────────────────────────────────── 表3からモノエン脂肪酸のほとんどが2位に存在し飽和
酸が1,3位に存在していることが明らかである。
酸が1,3位に存在していることが明らかである。
【0026】実施例4 下記培地100ml ずつ〔下記に示すごとく1.0gの市販オレ
イン酸(関東化学製、純度76.3%、組成重量% C16 4.
0, C16:1 7.0, C18 1.3, C18:1 76.3, C18:2 7.4 及び
その他4.0 )を含有する〕に下記表4に示す酵母をそれ
ぞれ107 個接種し、28℃で5日間振盪培養した。 培地 NaNO3 2.0g、 (NH4)SO4 2.0g、 K2HPO4 1.0g、 KH2PO4
7.0g、 MgSO4・7H2O0.3g、 CaCl2・2H2O 0.1g、 NaCl
0.5g、市販オレイン酸10.0g、ビタミン混合水溶液*1 1m
l、ミネラル混合水溶液*2 1ml、1%クロラムフェニコ
ール/エタノール 1ml、蒸留水で1000mlにする。*1. 2 実施例1におけると同様 以後、培養終了液を実施例1と同様に処理した。結果を
表4に示す。
イン酸(関東化学製、純度76.3%、組成重量% C16 4.
0, C16:1 7.0, C18 1.3, C18:1 76.3, C18:2 7.4 及び
その他4.0 )を含有する〕に下記表4に示す酵母をそれ
ぞれ107 個接種し、28℃で5日間振盪培養した。 培地 NaNO3 2.0g、 (NH4)SO4 2.0g、 K2HPO4 1.0g、 KH2PO4
7.0g、 MgSO4・7H2O0.3g、 CaCl2・2H2O 0.1g、 NaCl
0.5g、市販オレイン酸10.0g、ビタミン混合水溶液*1 1m
l、ミネラル混合水溶液*2 1ml、1%クロラムフェニコ
ール/エタノール 1ml、蒸留水で1000mlにする。*1. 2 実施例1におけると同様 以後、培養終了液を実施例1と同様に処理した。結果を
表4に示す。
【0027】
【表4】 ──────────────────────────────────── 菌 株 トリグリ トリグリセリドの脂肪酸組成 セリド (wt%) (mg) C16 C16:1 C18 C18:1 C18:2 その他 ──────────────────────────────────── トリコスポロン・ 158 2.6 4.1 2.0 81.0 7.6 2.7 スピーシーズ SH45Y サッカロマイコプシス・ 32 3.1 5.0 2.5 78.4 7.4 3.6 リポリティカ IFO-1659 カンディダ・サイトアナ 36 2.8 4.3 2.3 82.1 7.6 0.9 IFO-0380 カンディダ・トロピカリス 28 2.0 4.4 1.9 80.7 8.0 3.0 IF0-1647 クリプトコッカス・ アルビダス IFO-1530 21 3.4 4.8 1.8 77.5 7.9 4.6 トリコスポロン・ スピーシーズ SH45Y-E1 161 3.2 4.4 1.9 80.5 8.0 2.0 トリコスポロン・ 183 3.8 3.9 2.2 80.4 8.4 1.3 スピーシーズ SH45Y-E2 ────────────────────────────────────
【0028】実施例5 SLのジャーファーメンタ(ミツワ理化製)にソーダ油
さいから回収した大豆脂肪酸(ソーダ油さい(昭和産業
製)を酸で中和した後、n−ヘキサン抽出を行いヘキサ
ン層を水で良く洗浄し、n−ヘキサンを留去することに
よって得られた大豆脂肪酸)〔組成(重量%)C16 10.
5, C16:1 −,C18 4.2, C18:1 23.3, C18:2 53.4 及び
C18:3 8.6 )60g を入れ滅菌した。パルミチン酸エチ
ルに代えグルコースを含有する以外実施例1と同じ培地
200ml(グルコース4.0gを含有する)にトリコスポロン
・スピーシーズSH45Y-E1を植菌し、28℃で4日間培養し
た培養液全量を上記ジャーファーメンタ中の培地に植菌
し、28℃、250rpm. 通気量0.5L/minの条件で7日間培養
した。培養終了後、培養液を実施例3と同様に処理して
23.2g のトリグリセリドを得た。このトリグリセリドの
総脂肪酸組成はC16 7.0, C16:1−,C18 4.6, C18:1 24.
7, C18:2 54.8 及び C18:3 8.9であった。
さいから回収した大豆脂肪酸(ソーダ油さい(昭和産業
製)を酸で中和した後、n−ヘキサン抽出を行いヘキサ
ン層を水で良く洗浄し、n−ヘキサンを留去することに
よって得られた大豆脂肪酸)〔組成(重量%)C16 10.
5, C16:1 −,C18 4.2, C18:1 23.3, C18:2 53.4 及び
C18:3 8.6 )60g を入れ滅菌した。パルミチン酸エチ
ルに代えグルコースを含有する以外実施例1と同じ培地
200ml(グルコース4.0gを含有する)にトリコスポロン
・スピーシーズSH45Y-E1を植菌し、28℃で4日間培養し
た培養液全量を上記ジャーファーメンタ中の培地に植菌
し、28℃、250rpm. 通気量0.5L/minの条件で7日間培養
した。培養終了後、培養液を実施例3と同様に処理して
23.2g のトリグリセリドを得た。このトリグリセリドの
総脂肪酸組成はC16 7.0, C16:1−,C18 4.6, C18:1 24.
7, C18:2 54.8 及び C18:3 8.9であった。
【0029】
【発明の効果】本発明方法によれば、前駆体から油脂を
菌体外に発酵生産させることができる。また本発明方法
によれば前駆体からカカオ脂の代用となり得る油脂を菌
体外に発酵生産させることができる。さらに本発明方法
によれば前駆体からパルミトレイン酸含量の高い油脂を
菌体外に発酵生産させることができる。
菌体外に発酵生産させることができる。また本発明方法
によれば前駆体からカカオ脂の代用となり得る油脂を菌
体外に発酵生産させることができる。さらに本発明方法
によれば前駆体からパルミトレイン酸含量の高い油脂を
菌体外に発酵生産させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:72) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 7/64 C12N 1/20 CA(STN) REGISTRY(STN)
Claims (4)
- 【請求項1】 トリコスポロン属、サッカロマイコプシ
ス属、カンディダ属またはクリプトコッカス属に属し、
脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸の存在下に培養す
ることにより油脂を菌体外に生産する能力を有する微生
物を脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸を含有する培
地に培養して、培養液中菌体外に油脂を生成蓄積せし
め、該培養液から生成蓄積した油脂を採取することを特
徴とする油脂の製造法。 - 【請求項2】 生産される油脂がカカオ脂様油脂である
請求項1の油脂の製造法。 - 【請求項3】 生産される油脂が構成脂肪酸としてパル
ミトレイン酸を含有する請求項1の油脂の製造法。 - 【請求項4】 脂肪酸アルキルエステルまたは脂肪酸の
存在下に培養することにより油脂を菌体外に生産する能
力を有するトリコスポロン・スピーシーズSH45Y
(微工研菌寄第12362号)またはその変異株である
トリコスポロン・スピーシーズSH45Y−E1(微工
研菌寄第12363号)もしくはトリコスポロン・スピ
ーシーズSH45Y−E2(微工研菌寄第12364
号)。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27200391A JP3123789B2 (ja) | 1991-08-02 | 1991-09-24 | 油脂の製造法及びそのための微生物 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3-216426 | 1991-08-02 | ||
JP21642691 | 1991-08-02 | ||
JP27200391A JP3123789B2 (ja) | 1991-08-02 | 1991-09-24 | 油脂の製造法及びそのための微生物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0591889A JPH0591889A (ja) | 1993-04-16 |
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Family
ID=26521423
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27200391A Expired - Fee Related JP3123789B2 (ja) | 1991-08-02 | 1991-09-24 | 油脂の製造法及びそのための微生物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3123789B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001012780A1 (fr) | 1999-08-13 | 2001-02-22 | Suntory Limited | Micro-organisme secretant un lipide et procede de production de ce lipide et de capsules contenant ce lipide au moyen de ce micro-organisme |
JP4088097B2 (ja) | 2002-04-26 | 2008-05-21 | サントリー株式会社 | 高度不飽和脂肪酸含有脂質の製造方法 |
US8076123B2 (en) * | 2007-10-26 | 2011-12-13 | Oilseeds Biorefinery Corporation | Emulsification-free degumming of oil |
US20140194513A1 (en) * | 2011-08-26 | 2014-07-10 | Damy Chemical Co., Ltd. | Fermented vegetable oil and composition including same |
-
1991
- 1991-09-24 JP JP27200391A patent/JP3123789B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH0591889A (ja) | 1993-04-16 |
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