JP2003144186A - ヒドロキシ脂肪酸およびγ−ラクトンの製造方法 - Google Patents

ヒドロキシ脂肪酸およびγ−ラクトンの製造方法

Info

Publication number
JP2003144186A
JP2003144186A JP2001350686A JP2001350686A JP2003144186A JP 2003144186 A JP2003144186 A JP 2003144186A JP 2001350686 A JP2001350686 A JP 2001350686A JP 2001350686 A JP2001350686 A JP 2001350686A JP 2003144186 A JP2003144186 A JP 2003144186A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fatty acid
acid
hydroxy fatty
empedobacter
lactone
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001350686A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4045403B2 (ja
Inventor
Hisashi Tanaka
久志 田中
Kenichi Shiei
健一 市榮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
San Ei Gen FFI Inc
Original Assignee
San Ei Gen FFI Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by San Ei Gen FFI Inc filed Critical San Ei Gen FFI Inc
Priority to JP2001350686A priority Critical patent/JP4045403B2/ja
Publication of JP2003144186A publication Critical patent/JP2003144186A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4045403B2 publication Critical patent/JP4045403B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】不飽和脂肪酸をヒドロキシ脂肪酸に変換する能
力を持つ微生物を用いたヒドロキシ脂肪酸の製造方法を
提供する。また、得られたヒドロキシ脂肪酸を用いてγ
−ラクトンを製造する方法を提供する。 【解決手段】エンペドバクター(Empedobacter)に属す
る微生物、特にエンペドバクター(Empedobacter)RD
-294菌株若しくはその変異株、またはエンペドバクター
・ブレビス(Empedobacter brevis)を不飽和脂肪酸また
はその誘導体を含有する培地中で培養し、培養物中に生
成したヒドロキシ脂肪酸を回収する。さらに得られたヒ
ドロキシ脂肪酸をβ酸化し、環化することによって、γ
−ラクトンを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物を利用して
不飽和脂肪酸からヒドロキシ脂肪酸を製造する方法、並
びにかかる方法で得られたヒドロキシ脂肪酸を原料とし
てγ−ラクトンを製造する方法に関する。さらに本発明
は、不飽和脂肪酸をヒドロキシ脂肪酸に変換する能力を
有する新規微生物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、微生物を利用して不飽和脂肪
酸からヒドロキシ脂肪酸を産生する方法が種々試みられ
ている。例えば、ヨーロッパ特許公開公報(No.0 57838
8 A2)には、シュードモナス属の亜種(Pseudomonas sp.
NRRL B-2994)を利用して、オレイン酸、リノール酸、
α−リノレン酸などといった不飽和脂肪酸から各々10−
ヒドロキシ脂肪酸を産生すること;特開平5-140544号公
報には、同じくシュードモナス属の亜種(Pseudomonas
sp.)NRRL B-3266, B-2994、並びにノカルディアアウラ
ンティア(Nocardia aurantia)NRRL B3287、及びロード
コッカス ロードクラウス(Rhodococcus rhodochrou
s)ATCC12674を利用して不飽和脂肪酸および/またはそ
のグリセリドからヒドロキシ脂肪酸および/またはケト
脂肪酸を産生すること;Advances in Applied Microbio
logy,41巻,1〜23頁には、シュードモナス アエルギノ
サ(Pseudomonas aeruginosa) PR3株を利用してオレイン
酸から7,10-ジヒドロキシ-8-オクタデセン酸(7,10-dih
ydoxy-8-octadecenoic acid)を産生すること、並びに
フラボバクテリウム属の亜種(Flavobacterium sp.)DS
5を利用して不飽和脂肪酸から10-ヒドロキシ脂肪酸を産
生することが、記載されている。
【0003】ヒドロキシ脂肪酸は、例えばリシノール酸
(12−ヒドロキシ−9−オクタデセン酸)のように各種有
機化学合成品の原料や潤滑油、乳化剤または廃油処理剤
としてさまざまな分野で広く利用される他、ラクトン等
の製造原料として有用である。特にγ-ラクトンは、天
然界、特に果物などの植物中に広く存在する芳香性の化
合物であり、香料原料として大変重要な物質である。
【0004】例えば、上記のヨーロッパ特許公開公報
(No.0 578388 A2)には、上記の方法で得られたヒドロ
キシ脂肪酸を原料として更にキャンディダ(Candida)属
やヤロウィア(Yarrowia)属の微生物を利用してγ-ラク
トンを産生すること;特開昭59−82090号公報には、ひ
まし油(カスターオイル)を含む培地でアスペルギルス
・オリゼー(Aspergillus orizae)等の微生物を培養し
てγ−ヒドロキシデカン酸を産生し、さらにこれを酸性
条件下で加熱してγ−デカラクトンを製造すること;特
開昭63−56295号公報、特開平2−174685号公報にはスポ
ロボロミセス・オドラス(Sporobolomyces odorus)、
ロドトルラ・グルチニス(Rhodotoula glutinis)、ア
スペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)等の微生
物を用いて、リシノール酸やひまし油等のリシノール酸
源からγ−ヒドロキシデカン酸を産生し、さらにこれを
酸性条件下で加熱することによりγ−デカラクトンを産
生する方法が開示されている。
【0005】また、微生物を利用して脂肪酸(飽和脂肪
酸、不飽和脂肪酸)からラクトンを産生する方法とし
て、ひまし油からサッカロミセス・セレビシエ(Saccha
romyces cerevisiae)等の酵母を利用してγ−デカラク
トンを産生する方法(特開昭60−66991号公報、特開昭6
0-100508号公報、特開昭61-238708号公報)、10−オキ
システアリン酸を、β−酸化能を有する微生物で酸化し
てγ−ドデカラクトンを製造する方法(特開平3−19878
7号公報)、ヒドロキシ脂肪酸存在下でγ−またはδ−
ラクトンを代謝しない微生物を培養することによりγ−
またはδ−ラクトンを製造する方法(特開平3−117494
号公報、特開平3−219886号公報)、及びリノール酸、
リノレン酸、オレイン酸の水酸化物またはヒドロペルオ
キシドを、β−酸化能を有する微生物で酸化してγ−、
δ−ラクトンを製造する方法(特開平3−187387号公
報)が知られている。しかし、これらの方法によるヒド
ロキシ脂肪酸やラクトンの生産性は概して低く、工業的
な見地から未だ満足できるものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来の問題点を解決することであり、工業的な生産が
可能な、微生物を利用したヒドロキシ脂肪酸の製造方法
を提供することである。さらに本発明の目的は、かかる
方法によって得られたヒドロキシ脂肪酸を原料としてラ
クトンを製造する方法を提供するものである。
【0007】また本発明の目的は、不飽和脂肪酸をヒド
ロキシ脂肪酸に効率よく変換する能力を有する新規な微
生物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
の解決を目指して鋭意努力したところ、エンペドバクタ
ー(Empedobacter)に属する微生物に不飽和脂肪酸をヒド
ロキシ脂肪酸に変換する能力があることを見出し、この
微生物を用いることによって香料成分として有用なγ−
ラクトンの前駆体となるヒドロキシ脂肪酸を効率よく生
産することができることを見出した。本発明はかかる知
見に基づいて完成したものである。
【0009】すなわち、本発明は下記項1〜4に掲げる
ヒドロキシ脂肪酸の製造方法である。 項1.不飽和脂肪酸をヒドロキシ脂肪酸に変換する能力
を有するエンペドバクター(Empedobacter)属に属する
微生物を用いて不飽和脂肪酸をヒドロキシ脂肪酸に変換
することを特徴とする、ヒドロキシ脂肪酸の製造方法。 項2.エンペドバクター(Empedobacter)属に属する微
生物として、エンペドバクター・ブレビス(Empedobacte
r brevis)、エンペドバクター(Empedobacter)RD-29
4菌株およびその変異株よりなる群から選択される少な
くとも1種を用いることを特徴とする項1記載のヒドロ
キシ脂肪酸の製造方法。 項3.不飽和脂肪酸をヒドロキシ脂肪酸に変換する能力
を有するエンペドバクター(Empedobacter)属に属する
微生物を不飽和脂肪酸またはその誘導体を含有する培地
中で培養し、培養物中に生成したヒドロキシ脂肪酸を回
収することを特徴とする、項1記載のヒドロキシ脂肪酸
の製造方法。 項4.エンペドバクター(Empedobacter)属に属する微
生物として、エンペドバクター・ブレビス(Empedobacte
r brevis)、エンペドバクター(Empedobacter)RD-29
4菌株およびその変異株よりなる群から選択される少な
くとも1種を用いることを特徴とする項3記載のヒドロ
キシ脂肪酸の製造方法。
【0010】また、本発明は上記項1〜4のいずれかの
製造方法により得られるヒドロキシ脂肪酸をβ酸化して
環化する工程を有する、γ-ラクトンの製造方法であ
る。
【0011】さらに、本発明は上記ヒドロキシ脂肪酸の
製造に有用な新規微生物、すなわち、不飽和脂肪酸をヒ
ドロキシ脂肪酸に変換する能力を有するエンペドバクタ
ー(Empedobacter)RD-294菌株(受託番号「FERM
P−18559」)またはその変異株である。
【0012】
【発明の実施の形態】(1)ヒドロキシ脂肪酸の製造方
法 本発明は、不飽和脂肪酸をヒドロキシ脂肪酸に変換する
能力を有する微生物(ヒドロキシ脂肪酸変換微生物)を
利用して、不飽和脂肪酸からヒドロキシ脂肪酸を製造す
る方法に関する。
【0013】本発明で用いられる微生物としては、具体
的にはエンペドバクター(Empedobacter)属に属する微
生物を挙げることができる。当該微生物は上記能力を有
するエンペドバクター(Empedobacter)属に属する菌で
あれば特に制限されないが、好ましくはエンペドバクタ
ー・ブレビス(Empedobacter brevis)、エンペドバク
ター(Empedobacter)RD-294菌株またはその変異株を
例示することができる。
【0014】ここで、エンペドバクター・ブレビスは、
財団法人発酵研究所にIFO14943として保存されている商
業的に入手可能な微生物である。
【0015】一方、エンペドバクター(Empedobacter
RD-294菌株は、本発明者らが大阪府豊中市の土壌より
新たに分離したエンペドバクター属に属する新規菌株で
あり、茨城県つくば市東1−1−1中央第6に住所を有
する独立行政法人産業技術総合研究所内、特許生物寄託
センターに、2001年10月10日付けで微生物の表示、(寄
託者が付した識別のための表示)「Empedobacter RD-29
4」、受託番号「FERMP-18559」として寄託されている。
【0016】エンペドバクター RD-294菌株につい
て、バージーズ・マニュアル・オブ・システマチック・
バクテリオロジー(Bergey's Manual of Systematic Ba
cteriology)およびインターナショナル・ジャーナル・
オブ・システマティック・バクテリオロジー(Internat
ional Journal of Systematic Bacteriology)第44巻82
7-831頁に記載の方法に準じて検討した菌学的性質は次
の通りである。
【0017】 <エンペドバクター RD-294菌株の菌学的性質> (a)形態学的性質 トリプトソイ寒天培地(ペプトン1.5%、大豆ペプトン
0.5%、塩化ナトリウム0.5%、寒天1.5%)にて25℃で
2日間培養し、観察した結果を以下に示す。
【0018】 形 状 桿菌 大きさ 0.6×2.0-2.5μm、伸長型あり 胞子 形成しない グラム染色 陰性 運動性 なし コロニー 円形、全縁滑らか、低い凸状、光沢ある黄色。
【0019】 (b)生理学的性質 カタラーゼ + オキシダーゼ + 硝酸塩還元 − インドール産生 + アルギニンジヒドロラーゼ − ウレアーゼ − ゼラチン分解 + エスクリン分解 − β-ガラクトシダーゼ − リジンデカルボキシラーゼ − オルニチンデカルボキシダーゼ − 硫化水素産生 −。
【0020】 (c)基質資化能 ブドウ糖 +(30℃) ショ糖 − マルトース +(30℃) D−マンニトール − イノシット − D−ソルビトール − L−ラムノース − D−メリビオース − D−アミグダリン − D−アラビノース − N−アセチル−D−グルコサミン − グルコン酸カリウム − n−カプリン酸 − アジピン酸 − dl−リンゴ酸 − 酢酸フェニル − 本菌株は30℃培養においてブドウ糖とマルトースを分解
し、マッコンキー寒天培地ではやや遅い傾向があるが、
発育が認められた。
【0021】以上の菌学的性質から、Bergey's Manual
of Systematic BacteriologyおよびInternational Jour
nal of Systematic Bacteriology第44巻827-831頁を参
考にして、本菌株をエンペドバクター(Empedobacter)属
に属する菌株、より具体的にはエンペドバクター・ブレ
ビス(Empedobacter brevis)に属する菌株であると同定
した。さらに、本菌株について、後述するように、その
ヒドロキシ脂肪酸生産能をエンペドバクター ブレビス
のタイプカルチャー菌(IFO14943)と比較したところ、
本菌株のヒドロキシ脂肪酸生産能はタイプカルチャー菌
のそれをはるかに上回っていた。このことから本菌株を
新規なものと考え、エンペドバクターRD-294(Empedo
bacter RD-294)菌株と名付けた。
【0022】本発明の製造方法は、上記の微生物(ヒド
ロキシ脂肪酸変換微生物)を利用して不飽和脂肪酸から
ヒドロキシ脂肪酸を製造するものである。なお、ここで
微生物には、上記のものに加えて、不飽和脂肪酸をヒド
ロキシ脂肪酸に変換する能力を有することを限度とし
て、エンペドバクターRD-294菌株の変異株も含まれ
る。
【0023】ここで微生物の利用とは、不飽和脂肪酸を
原料としたヒドロキシ脂肪酸の製造に微生物を直接また
は間接的に使用することを広く意味するものであり、例
えばその具体的態様には、不飽和脂肪酸を含む反応系
に、単離された微生物、粗精製の微生物(例えば微生物
を培養し増殖させた培養物やその粗精製物)、微生物処
理物(微生物の培養物を除菌処理したもの,微生物破砕
物,培養物や微生物破砕物から不飽和脂肪酸をヒドロキ
シ脂肪酸に変換する酵素を抽出したもの)などを配合し
て、該反応系内にヒドロキシ脂肪酸を生成する方法、並
びに微生物や微生物処理物をアクリルアミド、グルタル
アルデヒド、イオン交換樹脂、光硬化性樹脂、アルギン
酸や寒天等のゲル化剤、その他のものを担体として固定
化し、固定化微生物や固定化酵素として使用して不飽和
脂肪酸をヒドロキシ脂肪酸に変換する方法が包含され
る。
【0024】本発明のヒドロキシ脂肪酸の製造方法は、
より好ましくは不飽和脂肪酸をヒドロキシ脂肪酸に変換
する能力を有するエンペドバクター属に属する微生物を
不飽和脂肪酸またはその誘導体を含有する培地中で培養
し、培養物中に生成したヒドロキシ脂肪酸を回収するこ
とによって実施することができる。ここでエンペドバク
ター属に属する微生物としては、好適にはエンペドバク
ター・ブレビス、エンペドバクターRD-294菌株若しく
はその変異株を例示することができる。なお、この際、
不飽和脂肪酸またはその誘導体を添加する時期や方法に
ついては特に制限されるものではないが、不飽和脂肪酸
またはその誘導体が微生物の増殖を抑制する場合がある
ので、上記微生物は予め好気的条件下で前培養して増殖
させておき、増殖後、不飽和脂肪酸またはその誘導体を
添加するほうが、効率的にヒドロキシ脂肪酸を生成する
上で望ましい。また不飽和脂肪酸またはその誘導体を添
加する方法についても特に制限されず、全量を一気に添
加してもよいし、培養中徐々に連続的もしくは間欠的に
添加することによって行っても良い。
【0025】本発明で用いられる不飽和脂肪酸は、分子
中にカルボキシル基を1個、炭素の二重結合を1個以
上、具体的には通常1〜6個、好ましくは1〜3個有す
る、炭素数4〜30までの鎖式化合物である。例えばデセ
ン酸(C10)、ウンデセン酸(C11)、ドデセン酸(C
12)、テトラデセン酸(ミリストレイン酸等)
(C14)、ヘキサデセン酸(パルミトレイン酸等)(C
16)、オクタデセン酸(オレイン酸、エライジン酸、リ
シノール酸等)(C18)、エイコセン酸(C20)、ドコ
セン酸(エルカ酸等)(C22)、テトラコセン酸
(C24)、ヘキサコセン酸(C26)、トリアコンテン酸
(C30)、及びその他のモノエン不飽和脂肪酸;デカジ
エン酸(C10)、オクタデカジエン酸(リノール酸、共
役リノール酸等)(C18)、エイコサジエン酸
(C20)、及びその他のジエン不飽和脂肪酸;ヘキサデ
カトリエン酸(ヒラゴ酸等)(C16)、オクタデカトリ
エン酸(エレオステアリン酸、プニカ酸、リノレン酸、
γ−リノレン酸等)(C18)、エイコサトリエン酸(C
20)、ドコサトリエン酸(C22)、及びその他のトリエ
ン不飽和脂肪酸;ヘキサデカテトラエン酸(C16)、オ
クタデカテトラエン酸(C18)、エイコサテトラエン酸
(アラキドン酸等)(C20)、ドコサテトラエン酸(C
22)、及びその他のテトラエン不飽和脂肪酸;エイコサ
ペンタエン酸(EPA)(C20)、ドコサペンタエン酸
(イワシ酸等)(C22)、及びその他のペンタエン不飽
和脂肪酸;ドコサヘキサエン酸(DHA)(C22)、テト
ラコヘキサエン酸(ニシン酸等)(C24)、及びその他
のヘキサエン不飽和脂肪酸;並びにその他のポリエン不
飽和脂肪酸等を挙げることができる。
【0026】これらの不飽和脂肪酸は、遊離の形態であ
ってもまたその塩の形態であってもよい。また、本発明
の方法は上記不飽和脂肪酸に代えて(若しくは上記不飽
和脂肪酸とともに)、その誘導体を用いることもでき
る。かかる誘導体は、エンペドバクター属に属する微生
物、好ましくはエンペドバクターRD-294もしくはその
変異株、またはエンペドバクター・ブレビスを介してヒ
ドロキシ脂肪酸を生成するものであれば、その構造には
特に制限されないが、例えば脂肪酸アミド等のような含
窒素誘導体や、油脂のようにグリセリン等のアルコール
と上記脂肪酸とのエステルが包含される。かかる油脂と
しては、例えば大豆油、菜種油、綿実油、ひまわり油、
ごま油、コーン油、米油、落花生油、紅花油、椿油、オ
リーブ油、亜麻仁油、桐油、ひまし油、パーム油、パー
ム核油、やし油、シソ油、ブドウ種子油、ホホバ油、及
びその他の植物性油脂;及び鯨油、魚油、豚脂、牛脂、
チキンオイル、乳脂、及びその他の動物性油脂が含まれ
るが、さらにこれらの油脂を例えばリパーゼ等の酵素を
用いて加水分解し、遊離の脂肪酸給源として用いること
もできる。
【0027】前述するヒドロキシ脂肪酸変換微生物の培
養は、上記不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む培地を
用いて実施される。培養に使用される培地並びに培養条
件は、特に制限されず、使用する微生物の種類やその性
質に応じて適宜選択することができる。具体的には、培
地は、上記不飽和脂肪酸またはその誘導体以外に、エン
ペドバクター属に属する微生物、好ましくはエンペドバ
クターRD-294若しくはその変異株、またはエンペドバ
クター・ブレビスが利用できる栄養源を含有する培地で
あればよく、各種の合成培地、天然培地のいずれも用い
ることができる。通常、一般に使用される炭素源、窒素
源又は/及び無機塩類、ビタミン類を適宜に組み合わせ
たものを用いることができ、例えば炭素源としてはグル
コース、シュクロース、フラクトース、マルトース、グ
リセリン、デキストリン、オリゴ糖、デンプン、糖蜜、
コーンスティープリカー、麦芽エキス、有機酸等の単独
または二種以上の組合せ;窒素源としてはファーマメデ
ィア、ペプトン、大豆粉、酵母エキス、肉エキス、ふす
まエキス、コーンスティープリカー、カゼイン、アミノ
酸、尿素等の有機窒素源、硝酸塩、アンモニウム塩など
の無機窒素源等の単独または二種以上の組合せ;また無
機塩類としてはリン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム
塩、カリウム塩、その他の金属塩類の単独または二種以
上の組合せ;またビタミン類としてはリボフラビン、ニ
コチンアミド、塩酸ピリドキシン、塩酸チアミン,ビオ
チン等の単独または二種以上の組合せを挙げることがで
きる。
【0028】培養は、固体培養または液体培養のいずれ
でもよく、一般の微生物の培養に準じて行うことができ
る。通常液体培養を用いることが好ましい。この場合、
振盪培養、通気攪拌培養、若しくは好気的表面培養など
の好気条件下での培養、または深部静置培養などの嫌気
条件下での培養のいずれでもよいが、菌数増殖期には好
気的な条件での培養が好ましく、また不飽和脂肪酸から
ヒドロキシ脂肪酸への変換時には微生物や微生物処理物
と不飽和脂肪酸をよく接触させるよう攪拌等を行うこと
が必要であるが、嫌気的な条件での培養が望ましい。ま
た培養方式としては回分培養、半回分培養(流加培
養)、連続培養のいずれの方式でも行うことができる。
培養温度は、エンペドバクター属に属する微生物、好ま
しくはエンペドバクターRD-294若しくはその変異株、
またはエンペドバクター・ブレビスが良好に生育または
増殖する温度であれば特に制限されないが、通常20〜
45℃、好ましくは25〜35℃付近の温度で培養する
のが望ましい。培地の液性も上記限度において特に制限
されないが、通常中性から弱アルカリ性、具体的にはp
H5〜10、好ましくはpH6〜9の範囲を例示するこ
とができる。また、培養時間も制限されないが、通常2
日〜15日の範囲を挙げることができる。なお、これら
の培養条件は、使用する微生物の種類や特性及び外部条
件などに応じて適宜変更することができ、これにより最
適条件を選択調節して採用することができる。
【0029】培養後、生成したヒドロキシ脂肪酸を培養
物から抽出、分離、精製する方法としても特別な方法に
限定されるものではなく、発酵生産物を採取回収する一
般的な方法に準じて行うことができる。具体的には、例
えば、得られた培養物をデカンテーション、遠心分離ま
たはろ過することによってヒドロキシ脂肪酸含有培養液
を回収し、該培養液を溶媒抽出、各種の樹脂(例えば、
イオン交換、吸着、分子篩等)処理や、膜(例えばメン
ブレンフィルター、限外ろ過、精密ろ過、逆浸透等)処
理、活性炭処理、超臨界流体抽出処理、蒸留処理、晶
析、またはその他の処理を単独または二種以上任意の順
序で適宜組み合わせて行う方法を例示することができ
る。より具体的には、得られた培養液は一旦pHを2前
後まで下げ、静置後浮遊してくる油層部を分液ロートや
遠心分離等を用いて回収することによって、ヒドロキシ
脂肪酸を含む粗精製物を得ることができる。
【0030】さらにこの粗精製物は必要に応じて精製さ
れてもよい。具体的には該粗精製物をアセトニトリル、
アセトン、エタノール、メタノール、酢酸エチル、ジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、ヘキサン等の有機
溶媒を単独または二種以上組合せて使用して抽出、精
製、分画を行なったり、合成吸着剤(三菱化学株式会社
製商品名ダイアイオンHP20等)に吸着させ、アルコ
ール等によりヒドロキシ脂肪酸含有画分を溶離させて精
製することもでき、さらにシリカゲルクロマトグラフィ
ーを利用することによりヒドロキシ脂肪酸をより高純度
まで精製することもできる。
【0031】なお、精製工程中並びに最終的に得られた
ヒドロキシ脂肪酸の確認(定性、定量)は、薄層クロマ
トグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、質量
分析計(MS)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)等を
用いて、例えば既知のヒドロキシ脂肪酸(標準品)と対
比することによって行うことができる。
【0032】斯くして得られるヒドロキシ脂肪酸は、そ
れ自体界面活性剤や油脂固化剤等として有用であるだけ
でなく、ヒドロキシ脂肪酸が保有するヒドロキシル基、
カルボキシル基、二重結合を利用して多くの化学反応を
行わせることができるため、各種化成品原料としても有
用である。またラクトンの製造原料として有効に用いる
ことができる。特に10位にヒドロキシル基をもち、不
飽和結合を10位よりω側(例えば12位や15位等)にも
つヒドロキシ脂肪酸は、不飽和のラクトン製造の良い前
駆体となり工業的に大変有用である。
【0033】(2)γ−ラクトンの製造方法 本発明はまた、上記方法で得られたヒドロキシ脂肪酸を
用いてγ−ラクトンを製造する方法を提供する。
【0034】本発明のγ−ラクトンの製造方法は、上記
方法で得られたヒドロキシ脂肪酸を原料として用いるこ
とを特徴とするものであり、その限りにおいて、ヒドロ
キシ脂肪酸からγ−ラクトンを生成する従来公知または
将来開発される化学合成法や生物学的合成法のいずれを
も採用することができる。好ましくは生物学的合成法で
ある。
【0035】ヒドロキシ脂肪酸からγ−ラクトンを合成
する従来公知の生物学的合成法としては、ヒドロキシ脂
肪酸をγ−ラクトンに変換する能力を有する微生物(ラ
クトン変換微生物)を用いた発酵法または微生物変換法
を例示することができる。
【0036】ここで用いられるラクトン変換微生物は、
1種単独でヒドロキシ脂肪酸をβ酸化、環化してγ−ラ
クトンに変換する能力を有するものであっても、また2
種以上を組み合わせることによってヒドロキシ脂肪酸を
β酸化、環化してγ−ラクトンに変換することのできる
微生物群であってもよい。
【0037】具体的には、キャンディダ(Candida)属
やヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica
等の微生物を用いる方法(ヨーロッパ特許公開公報No.0
578388 A2)、スポロボロミセス・オドラス(Sporobol
omyces odorus)やロドトルラ・グルチニス(Rhodotoul
a glutinis)等の微生物を用いる方法(特開昭63−5629
5号公報)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus nig
er)等の微生物を用いる方法(特開平2−174685号公
報)、10−オキシステアリン酸をサッカロミセス・セレ
ビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等のβ−酸化能を
有する微生物で酸化してγ−ドデカラクトンを製造する
方法(特開平3−198787号公報)、ひまし油(カスター
オイル)を含む培地でアスペルギルス・オリゼー(Aspe
rgillus or izae)等の微生物を培養してγ−ヒドロキシ
デカン酸を産生し、さらにこれを酸性条件下で加熱して
γ−デカラクトンを製造する方法(特開昭59−82090号
公報)、ヒドロキシ脂肪酸存在下でγ−またはδ−ラク
トンを代謝しない微生物を培養することによりγ−また
はδ−ラクトンを製造する方法(特開平3−117494号公
報、特開平3−219886号公報)、及びリノール酸、リノ
レン酸、オレイン酸の水酸化物またはヒドロペルオキシ
ドを、β−酸化能を有する微生物で酸化してγ−、δ−
ラクトンを製造する方法(特開平3−187387号公報)等
を例示することができる。
【0038】これらの方法によれば、ヒドロキシ脂肪酸
をβ酸化し環化することによってγ−ラクトンを生成す
ることができる。この場合、原料として用いるヒドロキ
シ脂肪酸は、精製・粗精製の別を問わず、前述する方法
で得られたヒドロキシ脂肪酸を含む培養液またはその抽
出物をそのまま使用することもできる。
【0039】また、γ−ラクトン変換能を有する微生物
の生育、増殖またはそのγ−ラクトン変換能が妨げられ
ないことを限度として、前述のヒドロキシ脂肪酸の製造
に用いられる微生物の培養系(培地や培養条件など)が
そのまま使用できる。この場合、ヒドロキシ脂肪酸を生
成した培養物に上記γ−ラクトン変換能を有する微生物
(ラクトン変換微生物)を添加し、必要に応じて培地に
栄養源を補充して、培養を継続してもよいし、また前記
ヒドロキシ脂肪酸の製造に際して、培地にヒドロキシ脂
肪酸変換微生物であるエンペドバクター属に属する微生
物(例えば、エンペドバクターRD-294若しくはその変
異株、エンペドバクター・ブレビス)に加えて、予め上
記ラクトン変換微生物を配合しておいてもよい。
【0040】ラクトン変換能を有する微生物を用いたγ
−ラクトンの製造は、前述するヒドロキシ脂肪酸の製造
と同様に、基本的には一般の微生物の培養方法に準じて
行うことができるが、使用する微生物の種類やその特性
に応じて、当業者の日常的な設計変更の下で調節設定さ
れるγ−ラクトン生成の最適条件を用いることができ
る。また、培養後、生成したγ−ラクトンを培養物から
抽出、分離、精製する方法としても特別な方法に限定さ
れるものではなく、発酵生産物を採取回収する一般的な
方法に準じて行うことができる。なお、精製工程中並び
に最終的に得られたγ−ラクトンの確認(定性、定量)
は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスク
ロマトグラフィー質量分析計(GC−MS)、核磁気共
鳴スペクトル(NMR)等を用いて、例えば既知のγ−
ラクトンと対比することによって、好適に行うことがで
きる。
【0041】斯くして得られるγ−ラクトンは、例えば
香料原料として有用である。
【0042】(3)新規微生物 本発明はまた、新規微生物、エンペドバクター RD-29
4菌株を提供する。かかる微生物はエンペドバクター属
に属する新規菌株であり、不飽和脂肪酸をヒドロキシ脂
肪酸に変換する能力を有することを特徴とするものであ
る。より詳細には、当該微生物は、分子中にカルボキシ
ル基を1個、炭素の二重結合を1個以上、具体的には通
常1〜6個、好ましくは1〜3個有する、炭素数4〜30
の不飽和脂肪酸をヒドロキシ脂肪酸に変換する能力を有
するものである。また、本発明の微生物は、オレイン
酸、リノール酸、リノレン酸等の、炭素数10〜30の不飽
和脂肪酸の10位に選択的にヒドロキシル基を導入する特
性を備えており、かかる特性は、工業的に、10位以外に
不飽和結合を有する不飽和脂肪酸から該不飽和結合をそ
のまま温存した状態でヒドロキシ脂肪酸を製造するのに
有利に用いることができ、またこのヒドロキシ脂肪酸を
原料とすることによってγ-ラクトンの製造を工業的に
実施することが可能である。
【0043】なお、当該微生物の取得方法、その菌学的
性質、並びに入手方法については前述の通りである。
【0044】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明及びその効果
を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何等制
限されるものではない。なお、下記の実施例において、
特に言及しないかぎり、%は重量%を意味するものとす
る。
【0045】実施例1 微生物を用いたヒドロキシ脂肪酸の製造 (1)微生物の前培養 1000ml容坂口フラスコに下記処方からなる液体培地を
400ml入れ、121℃で15分間殺菌し、冷却後、エンペド
バクター RD-294(受託番号:FERM P-18559)を植菌
し、25℃にて120rpmで往復振盪培養を48時間行った。
【0046】<培地処方> ブドウ糖 0.2 % 酵母エキス 0.5 % KH2PO4 0.16 % MgSO4 0.02 % ツイーン80 0.01 % オレイン酸 0.1 % NaOH pH7.0に調整水 残 部 合 計 100.00 %。
【0047】(2)ヒドロキシ脂肪酸の製造 培養48時間後、微生物がよく増殖した培養物中(菌数4
×106/ml)に、無菌的に混合不飽和脂肪酸(オレイン
酸とリノール酸の等量混合物:いずれも和光純薬工業
製)4gを添加して、さらに往復振盪培養を7日間つづ
けた。培養終了後、培養物を遠心分離して菌体を除去
し、得られた培養液を等量のエチルエーテルにて抽出処
理し、エーテル層を無水硫酸ナトリウムにて脱水した
後、減圧下エバポレーターにてエーテルを除去し、ヒド
ロキシ脂肪酸含有画分3.5gを得た。
【0048】(3)ヒドロキシ脂肪酸含有画分の分析 上記で得られたヒドロキシ脂肪酸含有画分をジアゾメタ
ンにて定法に従ってメチルエステル化し、ガスクロマト
グラフィー・質量分析計(GC/MS)を用いて、下記の条
件で定性・定量分析を行った。 <GC/MS分析条件> 装置GC :HP 5890 MSD: HP5973 カラム :J&W DB-WAX(60m×0.25mm) 温度条件 :50(2分)-220℃(3℃/分)。
【0049】(4)結果 ガスクロマトグラフィー・質量(GC/MS)分析の結果、
培養物に添加した不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール
酸)のメチルエステル化物(オレイン酸メチル、リノー
ル酸メチル)のピークより、保持時間の長いピークが2
つ検出され、その他の夾雑物の混在はほとんどなかっ
た。この保持時間の長い成分はそのマススペクトルにお
いて169と201に大きなピークを持つことから、それぞれ
の不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸)の10位がヒ
ドロキシル化された10-ヒドロキシ脂肪酸と同定され
た。すなわち、オレイン酸を基質とした場合の主要変換
物は10−ヒドロキシステアリン酸(10-hydroxy stearic
acid)〔10-ヒドロキシオクタデカン酸(10-hydoroxy
octadecanoic acid)〕であり、リノール酸を基質とし
た主要変換物は、10−ヒドロキシ−12−オクタデセン酸
(10-hydroxy-12-octadecenoic acid)であった。
【0050】このときの各不飽和脂肪酸からヒドロキシ
脂肪酸への変換率を、ガスクロマトグラフィー(GC)の
ピーク面積より下式(1)及び(2)に従って求めた。
【0051】
【数1】
【0052】
【数2】
【0053】その結果、オレイン酸からヒドロキシ脂肪
酸(10−ヒドロキシステアリン酸)への変換率は43.
5%、リノール酸からヒドロキシ脂肪酸(10−ヒドロキ
シ−12−オクタデセン酸)への変換率は39.0%であ
った。
【0054】実施例2 ヒドロキシ脂肪酸からのγ−
ラクトンの製造 実施例1で調製されたヒドロキシ脂肪酸を利用して、生
物学的合成法によりγ−ラクトンを製造した。
【0055】具体的には、下記の処方からなる液体培地
150mlを500ml容の坂口フラスコに入れ、121℃で15
分間殺菌し冷却した後、実施例1で得られたヒドロキシ
脂肪酸含有画分1.5gを無菌的に添加し、次いでこれに
予め前培養して調製しておいたスポリディオボラス・サ
ーモニカラー(Sporidiobolus salmonicolor)(IFO103
5)菌株の培養液(菌数5.2×108/ml)を接種した。な
お、スポリディオボラス・サーモニカラー(旧名スポロ
ボロミセス・オドラス:Sporobolomyces odorus)は、
ヒドロキシ脂肪酸からγ−ラクトンに変換する能力を有
する公知の菌である。当該菌は、特に本発明の製造系に
おいて、γ−ラクトン変換能力が高く、不要な副生成物
をほとんど生産しないため、ラクトン変換微生物として
好適に使用することができる。
【0056】<培地処方> ブドウ糖 3 % 酵母エキス 1 % KH2PO4 0.1 % MgSO4 0.01% NaOH pH5.5に調整水 残 部 合 計 100.00 %。
【0057】これを25℃で往復振盪にて7日間培養し、
培養終了後、希硫酸にてpHを2にした後、菌体を遠心
分離にて除去して培養液を回収した。これを等量のエチ
ルエーテルにて抽出処理して、得られたエーテル層を無
水硫酸ナトリウムにて脱水後、減圧下エバポレーターに
てエーテルを除去して、γ−ラクトン含有画分を1.2
g得た。
【0058】このγ−ラクトン含有画分についてガスク
ロマトグラフィー・質量分析計(GC-MS)にて定性・定
量分析を行ったところ、10−ヒドロキシステアリン酸の
γ-ラクトン変換物であるγ-Dodecalactoneが6.3%、10
−ヒドロキシ−12−オクタデセン酸のγ-ラクトン変換
物である6-Dodecen-4-olide(4-Hydroxy-6-dodecenoica
cid lactone)が4.9%の割合で生成されていることが確
認された。
【0059】実施例3 微生物を用いたヒドロキシ脂肪酸の製造 実施例1と同じ組成からなる培地を100ml入れた500m
l容の三角フラスコを20本用意し、これを121℃で15分
間殺菌し、冷却した後、エンペドバクターRD-294(受
託番号:FERM P-18559)またはエンペドバクター・ブレ
ビス(IFO 14943)の前培養冷凍保存種菌液の解凍物を1
0本ずつ植菌し、往復振盪培養(180rpm、25℃)を行っ
た。24時間後、予め滅菌済みの1000ml容の三角フラス
コ2本にそれぞれの微生物の培養液を無菌的に集め、さ
らに各フラスコに不飽和脂肪酸(商品名:エクストラ
リノレイック 90(日本油脂株式会社製)、成分:リノ
ール酸92.2%、オレイン酸7.7%)を無菌的に30mlず
つ添加し、密栓し、マグネティックスターラにて7日間
攪拌した。7日後、得られた培養液を実施例1と同様に
してエチルエーテルで抽出処理を行って、ヒドロキシ脂
肪酸含有画分を取得した。
【0060】このヒドロキシ脂肪酸含有画分を、実施例
1と同様にメチルエステル化し、ガスクロマトグラフィ
ー・質量分析計(GC/MS)にかけ、その結果に基づいて
上記式(1)及び(2)からそれぞれオレイン酸から10
−ヒドロキシステアリン酸への変換率(%)およびリノ
ール酸からの10−ヒドロキシ−12−オクタデセン酸への
変換率(%)を求めると、表1に示す結果が得られた。
【0061】
【表1】
【0062】また、エンペドバクターRD-294菌株の培
養で得られたヒドロキシ脂肪酸含有画分を3gとり、シ
リカゲルクロマトグラフィーに供し、ジクロロメタン:
メタノールの97:3の溶媒により展開し分画した。得
られた各分画液について10−ヒドロキシ−12−オクタデ
セン酸の含有量を調べるために、該分画液を示差屈折率
検出器を装着した高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)にかけた。HPLCの結果から10−ヒドロキシ−12
−オクタデセン酸を高い割合で含む画分を混合して、再
度シリカゲルクロマトグラフィーを行って、純度95%以
上の10−ヒドロキシ−12−オクタデセン酸を1.5g得
た。
【0063】実施例4 ファーメンターを用いたヒド
ロキシ脂肪酸の製造 10L容ジャーファーメンターに、実施例1と同じ組成
からなる培地を7L用意し、これを121℃で15分間殺菌
し、冷却した後、これにエンペドバクター RD-294
(受託番号:FERM P-18559)の前培養菌液を2%量の割
合となるように植菌し、350rpm、3L/分の通気条件
下、27℃にて培養を行った。24時間後、予め滅菌した不
飽和脂肪酸(商品名:エクストラ リノレイック 90
(日本油脂株式会社製)、成分:リノール酸92.2%、オ
レイン酸7.7%)を無菌的に210ml添加し、通気をスト
ップして4日間攪拌した。4日後、得られた培養液を実
施例1と同様にしてエチルエーテル抽出処理して、ヒド
ロキシ脂肪酸含有画分を172g得た。このヒドロキシ脂
肪酸含有画分を、実施例1と同様にメチルエステル化
し、ガスクロマトグラフィー・質量分析計(GC/MS)に
かけ、その結果に基づいて上記式(1)及び(2)から
それぞれオレイン酸から10−ヒドロキシステアリン酸へ
の変換率(%)およびリノール酸からの10−ヒドロキシ
−12−オクタデセン酸への変換率(%)を求めると、オ
レイン酸からの変換率は67.5%、リノール酸からの変換
率は82.7%であった。
【0064】実施例5 ファーメンターを用いたヒドロ
キシ脂肪酸の製造 実施例4と同様にしてエンペドバクターRD-294(受託
番号:FERM P-18559)を10L容ジャーファーメンター
にて培養した後、該培養物に不飽和脂肪酸含有物(商品
名:エクストラ・リノレニック・70(日本油脂株式会社
製)、成分:α-リノレン酸73.9%、リノール酸20.3
%、オレイン酸5.7%)を無菌的に210ml添加し、通気
をストップして4日間攪拌した。次いで培地のpHを2
に下げて静置し、浮遊してきた油層画分300mlを集め
た。この油層画分のうち30mlを実施例1と同様にエチ
ルエーテルで抽出処理しヒドロキシ脂肪酸含有画分16.3
gを得た。
【0065】このヒドロキシ脂肪酸含有画分を、実施例
1と同様にメチルエステル化し、ガスクロマトグラフィ
ー・質量分析計(GC/MS)にかけ、その結果に基づいて
上記式(1)及び(2)からそれぞれオレイン酸から10
−ヒドロキシステアリン酸への変換率(%)およびリノ
ール酸からの10−ヒドロキシ−12−オクタデセン酸への
変換率(%)を求めると、オレイン酸からの変換率は5
5.2%、リノール酸からの変換率は81.1%であった。ま
た、α-リノレン酸から変換される10−ヒドロキシ−12,
15−オクタデカジエン酸についても同様にして変換率を
求めたところ、48.4%であった。
【0066】実施例6 ファーメンターを用いたラクトンの製造 10L容ジャーファーメンター中で、ポテトデキストロ
−スブロス(Difco)培地168gを7Lの水に溶解し、121
℃で15分間殺菌し冷却した後、実施例4で得られたヒド
ロキシ脂肪酸含有画分70gを無菌的に添加し、これに予
め前培養して調製しておいたラクトン変換微生物である
スポリディオボラス・サーモニカラー(Sporidiobolus
salmonicolor)(IFO 1035)菌株の前培養菌液を2%量
の割合で植菌し、250rpm、1.5L/分の通気条件下、27
℃にて7日間培養を行った。この培養液50mlをサンプ
リングし、エーテル抽出し、γ−ドデカラクトン(東京
化成製)を標準品として、培養液中に生成したラクトン
を定量したところ、培養液1Lあたり、γ-Dodecalacto
neを0.15g、6-Dodecen-4-olideを1.79gの割合で含ん
でいることがわかった。
【0067】該培養液を実施例2と同様の操作でエチル
エーテル抽出処理して、ラクトン含有画分51gを得た。
このラクトン含有画分を減圧蒸留し、真空度67Paで沸点
120〜130℃の留分を集め純度97.0%(GCによる)のラ
クトン精製物10.1gを得た。当該ラクトン精製物のラク
トン組成及びその割合は以下の通りであった: γ-Dodecalactone : 7.6% 6-Dodecen-4-olide: 89.4%。
【0068】実施例7 ファーメンターを用いたラクトンの製造 10L容ジャーファーメンターに実施例2と同じ組成か
らなる培地6Lと実施例5で得られた油層画分160ml
(ヒドロキシ脂肪酸含有画分87g相当)を入れ、121℃
で15分間殺菌し、冷却した後、予め前培養して調製して
おいたラクトン変換微生物:スポリディオボラス・サー
モニカラー(Sporidiobolus salmonicolor)(IFO 103
5)菌株の前培養菌液を2%量の割合で植菌し、350rp
m、2L/分の通気条件下、27℃にて7日間培養を行っ
た。この培養液50mlを用い、ラクトン含量を実施例6
と同様にして測定したところ、培養液1Lあたり、γ-D
odecalactone 0.02g、6-Dodecen-4-olide 0.22g、及
び6,9-Dodecadien-4-olide0.67gの割合で含んでいるこ
とがわかった。
【0069】次いで、該培養液を実施例2と同様の操作
でエチルエーテル抽出処理してラクトン含有画分65gを
得た。このラクトン含有画分を減圧蒸留し、真空度67Pa
で沸点120〜130℃の留分を集め、純度81.8 %(GCに
よる)のラクトン精製物4.2gを得た。当該ラクトン精
製物のラクトン組成及びその割合は以下の通りであっ
た: γ-Dodecalactone : 1.7% 6-Dodecen-4-olide :19.7% 6,9-Dodecadien-4-olide :60.4%。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、ヒドロキシ脂肪酸及び
γ-ラクトンの工業的生産に有用な、微生物、特にエン
ペドバクター(Empedobacter)属に属する微生物を用い
ることによるヒドロキシ脂肪酸の製造方法を提供するこ
とができる。さらに本発明によれば不飽和脂肪酸をヒド
ロキシ脂肪酸に変換する能力を持つ新規微生物、具体的
にはエンペドバクター(Empedobacter)属に属する新規
微生物を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B064 AD32 AE45 CA02 CB17 CC03 CD07 DA16 4B065 AA01X AC12 AC14 AC20 BA22 BB08 CA05 CA10 4H059 BA27 BB03 CA99

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不飽和脂肪酸をヒドロキシ脂肪酸に変換す
    る能力を有するエンペドバクター(Empedobacter)属に
    属する微生物を用いて不飽和脂肪酸をヒドロキシ脂肪酸
    に変換することを特徴とする、ヒドロキシ脂肪酸の製造
    方法。
  2. 【請求項2】エンペドバクター(Empedobacter)属に属
    する微生物として、エンペドバクター・ブレビス(Emped
    obacter brevis)、エンペドバクター(Empedobacter
    RD-294菌株およびその変異株よりなる群から選択され
    る少なくとも1種を用いることを特徴とする請求項1記
    載のヒドロキシ脂肪酸の製造方法。
  3. 【請求項3】不飽和脂肪酸をヒドロキシ脂肪酸に変換す
    る能力を有するエンペドバクター(Empedobacter)属に
    属する微生物を不飽和脂肪酸またはその誘導体を含有す
    る培地中で培養し、培養物中に生成したヒドロキシ脂肪
    酸を回収することを特徴とする、請求項1記載のヒドロ
    キシ脂肪酸の製造方法。
  4. 【請求項4】エンペドバクター(Empedobacter)属に属
    する微生物として、エンペドバクター・ブレビス(Emped
    obacter brevis)、エンペドバクター(Empedobacter
    RD-294菌株およびその変異株よりなる群から選択され
    る少なくとも1種を用いることを特徴とする請求項3記
    載のヒドロキシ脂肪酸の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4のいずれかの方法により得
    られるヒドロキシ脂肪酸をβ酸化し環化することを特徴
    とする、γ-ラクトンの製造方法。
  6. 【請求項6】不飽和脂肪酸をヒドロキシ脂肪酸に変換す
    る能力を有するエンペドバクター(Empedobacter)RD
    -294菌株(受託番号「FERM P−18559」)ま
    たはその変異株。
JP2001350686A 2001-11-15 2001-11-15 ヒドロキシ脂肪酸およびγ−ラクトンの製造方法 Expired - Fee Related JP4045403B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001350686A JP4045403B2 (ja) 2001-11-15 2001-11-15 ヒドロキシ脂肪酸およびγ−ラクトンの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001350686A JP4045403B2 (ja) 2001-11-15 2001-11-15 ヒドロキシ脂肪酸およびγ−ラクトンの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003144186A true JP2003144186A (ja) 2003-05-20
JP4045403B2 JP4045403B2 (ja) 2008-02-13

Family

ID=19163134

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001350686A Expired - Fee Related JP4045403B2 (ja) 2001-11-15 2001-11-15 ヒドロキシ脂肪酸およびγ−ラクトンの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4045403B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100720658B1 (ko) 2006-01-04 2007-05-21 경북대학교 산학협력단 슈도모나스 에어루지노사에 의한 팔미토레산으로부터하이드록시 지방산의 제조방법
JP2022526296A (ja) * 2019-03-21 2022-05-24 コナゲン インコーポレイテッド 末端近傍ヒドロキシラーゼ活性を有するシトクロムp450酵素を使用したガンマラクトンおよびデルタラクトンの生合成生産
CN114574399A (zh) * 2022-04-01 2022-06-03 山东省农业科学院 短稳杆菌ly-5角蛋白酶在洗涤产品中的应用

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100720658B1 (ko) 2006-01-04 2007-05-21 경북대학교 산학협력단 슈도모나스 에어루지노사에 의한 팔미토레산으로부터하이드록시 지방산의 제조방법
JP2022526296A (ja) * 2019-03-21 2022-05-24 コナゲン インコーポレイテッド 末端近傍ヒドロキシラーゼ活性を有するシトクロムp450酵素を使用したガンマラクトンおよびデルタラクトンの生合成生産
JP7475706B2 (ja) 2019-03-21 2024-04-30 コナゲン インコーポレイテッド 末端近傍ヒドロキシラーゼ活性を有するシトクロムp450酵素を使用したガンマラクトンおよびデルタラクトンの生合成生産
CN114574399A (zh) * 2022-04-01 2022-06-03 山东省农业科学院 短稳杆菌ly-5角蛋白酶在洗涤产品中的应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP4045403B2 (ja) 2008-02-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA1321767C (en) Process for production of eicosapentaenoic acid
US5246841A (en) Microbial process for production of eicosapentaenoic acid
US5093249A (en) Process for production of dihomo-γ-linolenic acid and inhibitor for unsaturation reaction at Δ5-position of fatty acid
EP0624202B1 (en) Method to produce single cell oil containing gamma-linolenic acid
US6777211B1 (en) Process for producing hydroxylated fatty acid and delta-lactone
EP1035211B1 (en) PROCESS FOR PRODUCING ARACHIDONIC ACID-CONTAINING LIPID AND DIHOMO-gamma-LINOLENIC ACID-CONTAINING LIPID
AU743992B2 (en) Process for producing omega-9 highly unsaturated fatty acid and lipid containing the same
JP4045403B2 (ja) ヒドロキシ脂肪酸およびγ−ラクトンの製造方法
EP0332423B1 (en) Progress for production of highly unsaturated fatty acid having odd number of carbon atoms
EP0355972B1 (en) Process for production of fatty acids having high degree of unsaturation
JPH01199588A (ja) 糸状菌による高度不飽和脂肪酸の製造法
EP0822259B1 (en) Process for the production of delta-decalactone
US5026644A (en) Process for preparing a lipid composition having a high γ-linolenic acid content
JPH01304892A (ja) 高度不飽和脂肪酸強化油脂の製造方法
JPH03272692A (ja) 新規高度不飽和脂肪酸並びに該脂肪酸又はこれを含有する脂質の製造方法
JP3123789B2 (ja) 油脂の製造法及びそのための微生物
US5468627A (en) Process of preparing butyric acid or 2- or 3-methylbutyric acid by oxidizing the corresponding butanols with gluconobacter roseus IAM 1841 or IFO 3990
JP2566377B2 (ja) ドコサヘキサエン酸高含有油脂の製造方法
JP2000014392A (ja) 高度不飽和脂肪酸含有グリセリドの製造方法
EP1375639B1 (en) Selection media for beauveriolide i or beauveriolide iii and process for selectively producing these substances
JPH0965871A (ja) 海洋性微細藻類の培養方法
JPH0349688A (ja) ジホモ―γ―リノレン酸の製造法および脂肪酸の△5位不飽和化反応抑制剤
JPH06245759A (ja) 油脂生産能力を有する微生物及び油脂の製造法
US5646022A (en) Process for the production of gamma nonalactones in natural form
KOTULA et al. Optimization of conditions for the production of eicosapentaenoic acid by Mortierella

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070411

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070518

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070627

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070827

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070828

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071017

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071106

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101130

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101130

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111130

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111130

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121130

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121130

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131130

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees