JP3123765B2 - 合焦位置検出装置 - Google Patents

合焦位置検出装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、暗視野、位相差、微分
干渉、偏光、蛍光などの顕微鏡特殊検鏡法(以後、単に
特殊検鏡法と呼ぶ)にも対応可能な合焦位置検出装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来の光路差方式のコントラスト検出型
合焦位置検出装置は、図5(a)に示すように、被写体
像を結像させる光学系Lの結像面位置Fを挟む光軸方向
の前後に、受光素子列SA、およびSBを、同じ距離隔て
かつその素子列を光軸に対して垂直になるように配置し
ている。この受光素子列SAおよびSBからの出力信号は
所定の評価関数で評価値に変換され、その評価値に基づ
いて合焦判定を行っている。
【0003】合焦位置は、図5(b)に示すように、受
光素子列SA から出力される出力信号の評価値VA と、
受光素子列SB から出力される出力信号の評価値VB と
の差ΔVが0となる位置である。そこで、従来の装置
は、評価値VA と評価値VB を比較してVA <VBであ
れば後ピン状態を、VA >VB であれば前ピン状態を、
VA =VB であれば合焦状態をそれぞれ検知していた。
【0004】特公昭61−60413号は、上記の装置
を顕微鏡に応用したものであり、被写体像が最もコント
ラストがよく結像する位置において、この結像面の前方
の所定の距離だけ離れた位置に形成される光像と前記結
像面の後方の所定の距離だけ離れた位置に形成される光
像との夫々を光電検出するイメージセンサと両光像の光
強度に応じた電気信号の差信号が所定値になるように間
隔調整する手段と、倍率切り替えにともない前記所定の
結像面と前記イメージセンサとの間の光路長を可変にす
る手段を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たような従来技術は、多種の検鏡法に対して対応でき得
るものでなかった。
【0006】すなわち、上記のような検出方法における
顕微鏡について、明視野で最適な差信号が得られるよう
に受光素子列SA,SBを最適位置に固定した状態で特殊
検鏡法に変更すると、正しい合焦判定が困難になってし
まう。
【0007】なぜなら、特殊検鏡法は、明視野で見にく
い標本を観察するための検鏡法であり、標本の低周波成
分が多くなる。そのため受光素子列SA,SBから出力さ
れる出力信号の曲線が図6(a)のようにゆるくなって
しまい評価値VA,VBの差ΔVが小さくなり、ピントず
れの方向を判断するのが困難になる。
【0008】また逆に、特殊検鏡法に合わせて結像面F
と受光素子列SA ,SB の間隔を設定した状態で明視野
検鏡に戻した場合、受光素子列SA ,SB から出力され
る出力信号の曲線は図6(b)のように交わらなくなっ
てしまい、結像面位置Fでの評価値が小さくなる。しか
も結像面F近傍では連続的にΔV=0となる領域(デッ
ドゾーン)が生じるため、合焦位置判定が不可能にな
る。
【0009】本発明はこのような課題に着目してなされ
たもので、その目的とするところは、特殊検鏡の切り替
え時に、結像位置と受光素子列SA ,SB との距離(光
路長)を可変するような手段を設けることによって、正
確な合焦位置を検出することが可能な合焦位置検出装置
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】被写体像を結像させる光
学系の結像面あるいはその結像面と共役な像面を挾み光
軸方向の前後に所定距離隔てた位置に一対の受光素子列
を配置し、これら一対の受光素子列の各々から出力され
る出力信号を所定の評価関数にしたがって演算し、この
演算によって各々得られたお互いの評価値の差に基づい
て合焦位置を検出する顕微鏡等の合焦位置検出装置にお
いて、顕微鏡特殊検鏡法の切り替え時に受光素子列と結
像面との間の光路長を可変にする手段を有する。
【0011】
【作用】すなわち、本発明においては、顕微鏡特殊検鏡
法の切り替え時に受光素子列と結像面との間の光路長を
可変にすることによって合焦検出が高精度になる。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の第1の実施例
について説明する。
【0013】図1は本発明の合焦位置検出装置の構成を
示す図である。本実施例は、被写体像を観察者の瞳位置
に結像される観察光学系と、この観察光学系から取出さ
れた光束によって被写体像を再結像させる再結像光学系
と、この再結像光学系によって再結像された被写体像か
ら合焦位置を検出する信号処理系と、検出された合焦位
置に基づいて観察光学系を合焦駆動する駆動系とからな
る。
【0014】図1において、1は観察光学系の対物レン
ズであって標本からの光束が入射する。この対物レンズ
1の射出側には特殊検鏡ユニット2およびハーフミラー
3が配置されている。ハーフミラー3を透過した光は観
察光学系の接眼レンズ4を介して観察者の眼5、あるい
は不図示のTVカメラなどに導かれる。一方ハーフミラ
ー3の反射側にはレンズ6が配置されており、このレン
ズ6により標本像はF1に結像される。レンズ6の射出
側光軸上には、その光路上にミラー7が配置されてい
て、このミラー7で反射された光はレンズ8を通りハー
フミラー9に入射される。ハーフミラー9の透過側の光
軸上であって、レンズ8の結像面F2より手前の所定距
離離れた位置にCCD11が配置されている。またハー
フミラー9の反射側にはミラー10が配置されている。
このミラー10の反射光軸上であって、レンズ8の結像
面F2’より後側の所定距離隔てた位置にCCD12が
配置されている。レンズ8の結像面F2およびF2’が
対物レンズ1による標本像の再結像面となる。
【0015】ここでCCD11,12と対応する各結像
面との距離は、顕微鏡明視野検鏡測定の時に、後述する
評価値を使用して良好に合焦位置を検出できる距離に設
定される。
【0016】信号処理系では、CPU21からCCD1
1,12の画素出力を時系列で読み出すためにタイミン
グ回路22a,22bへ指令信号が与えられる。各タイ
ミング回路22a,22bは、各CCD11,12に対
応して設けられた撮像素子ドライバ23a,23bに対
してタイミング信号を出力する。各CCD11,12
は、撮像素子ドライバ23a,23bによってドライブ
され、前記CCDに蓄積された電荷は映像信号として読
出される。各CCD11,12から読出された映像信号
は、各々対応するプリアンプ24a,24bに入力さ
れ、そこで増幅された後、対応するA/D変換器25
a,25bに入力される。A/D変換器25a,25b
の各々の出力はCPU21に入力される。このCPU2
1には、さらに顕微鏡検鏡法を検知する検鏡法検知装置
28より現在使用している顕微鏡検鏡法データが入力さ
れる。
【0017】CPU21は、上記入力データに基づいて
次のような処理を行う。即ち検鏡法データに基づいて駆
動信号を生成して光路長可変手段26に出力する。この
駆動信号は、CCD11,12を、結像面からCCD1
1,12への光路長を後述する評価値を用いた良好な合
焦位置を検出できる距離に光軸上に沿って移動させるた
めのものである。また、A/D変換器25a、25bよ
り入力される信号を所定の評価関数に従って演算して前
述した評価値に変換する。CPU21はさらに、この評
価値と検鏡法データとから対物レンズ1のデフォーカス
量を算出し、この算出結果に基づいて対物レンズ1をそ
の合焦位置へ移動させる駆動信号を作成してレンズ駆動
装置27へ出力する。ここで、結像面からCCD11,
12への光路長の最適位置条件について図2(a),
(b)を参照して説明する。
【0018】顕微鏡明視野検鏡法の場合のCCD11,
12からの出力信号によるコントラストなどの評価値V
A ,VB (以降、添字A,BはCCD11,12にそれ
ぞれ対応するものとする。)は、図2(a)に実線で示
されるような曲線となる。両評価値VA ,VB の差をと
ると図2(b)の実線で示す曲線のようになる。この状
態が正確な合焦位置を検出しやすい。
【0019】ここで、特殊検鏡法に切り替えた場合、像
情報の低周波成分が多くなるため評価値VA,VBは、光
路長可変を行わない場合には、図2(a)の線で示さ
れるような曲線となる。合焦位置を検出するために、両
評価値の差をとると、その曲線は、図2(b)の波線に
示すように、値そのものが小さくなると共に合焦位置近
傍での勾配が小さくなるために、正確な合焦位置を検出
することは困難である。
【0020】そこで本実施例では、特殊検鏡法の切り替
え時に、予め、明視野検鏡に設定した再結像面F2,F
2′と2つのCCD11,12との距離を可変とする事
により各検鏡法について最適な位置にCCDを持ってく
る事ができ、正確な合焦位置検出ができる。この場合の
評価値VA ,VB は図3(a)のように示され、差分信
号は図3(b)のようになる。次に、図4を参照して本
発明の第2の実施例を説明する。本実施例は第1の実施
例の説明はほとんど同じなので、異なる点のみを以下に
述べる。
【0021】第2の実施例においては、CCD11,1
2への投影光路中のいずれか一方にガラス板を光軸と垂
直に配置し、2種類の光路差を実現できるようにしたも
のである。
【0022】すなわち、通常の明視野観察においては、
CCD12(後ピン位置)にガラス板29を挿入してお
き、CPU21が検鏡法データを基にしてこのガラス板
の移動をCCD12からCCD11の前へ行うことによ
り結像位置とCCDの光路長を2段階に切り換えること
を特徴とする。
【0023】この場合、ガラス板29がCCD12の前
(後ピン位置)から移動する事により第2結像面F2′
が手前になるため、結像面とCCD12の距離は伸びる
方向へ行く。よって後ピン距離が大きくなる。また、ガ
ラス板29がCCD11(前ピン位置)に来ることによ
り第2結像面F2が後方に伸びるので、結像面F2とC
CD11の距離は伸びる方向に行く。よって前ピン距離
が大きくなる。
【0024】当発明者の実験によれば、2段階光路差切
り替えですべての検鏡法についてかなりの対応ができる
ので、本実施例の構成は非常に簡単となるとともに実施
効果は大である。なお、以上の実施例では、対物レンズ
を動かして合焦動作を行ったが、標本を載置するステ−
ジを駆動しても可能であることは言うまでもない。
【0025】
【発明の効果】以上詳記したように本発明によれば、観
察光学系の顕微鏡特殊検鏡法の切り替えに影響される事
なく合焦位置を高精度に検出できる合焦位置検出装置を
提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る合焦位置検出装置
の構成図。
【図2】図2(a)、(b)は特殊検鏡法の切り替え条
件を説明するための図。
【図3】図3(a)、(b)は特殊検鏡法の切り替え条
件を説明するための図。
【図4】本発明の第2の実施例に係る合焦位置検出装置
の構成図。
【図5】図5(a)、(b)は従来の合焦位置検出方法
を説明するための図。
【図6】図6(a)、(b)は従来の合焦位置検出方法
を説明するための図。
【符号の説明】
1…対物レンズ、2…特殊検鏡ユニット、3,9…ハー
フミラー、7,10…反射ミラー、6,8…レンズ、1
1,12…CCD、21…CPU、26…光路長可変手
段、27…レンズ駆動装置、28…検鏡法検知装置、2
9…ガラス板。
フロントページの続き (72)発明者 高濱 康輝 東京都渋谷区幡ケ谷2丁目43番2号 オ リンパス光学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−143709(JP,A) 特開 昭63−133115(JP,A) 特開 昭61−235808(JP,A) 特開 平2−190808(JP,A) 特開 昭53−50851(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 7/28 - 7/40 G02B 19/00 - 21/00 G02B 21/06 - 21/36

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被写体像を結像させる光学系の結像面あ
    るいはその結像面と共役な像面を挾み光軸方向の前後に
    所定距離隔てた位置に一対の受光素子列を配置し、これ
    ら一対の受光素子列の各々から出力される出力信号を所
    定の評価関数にしたがって演算し、この演算によって各
    々得られたお互いの評価値の差に基づいて合焦位置を検
    出する顕微鏡等の合焦位置検出装置において、顕微鏡特
    殊検鏡法の切り替え時に前記の受光素子列と結像面との
    間の光路長を可変にする手段を用いたことを特徴とする
    合焦位置検出装置。
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