JP3123705U - 鳥の営巣防止構造及びその営巣防止具 - Google Patents

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Abstract

【課題】営巣防止具の脱落の恐れを低減し、門形支持物の鉄柱などの構造物の鉄骨に囲まれた営巣空間への利用を可能として、効果的なカラスの営巣の妨害を図る。
【解決手段】門形支持物の鉄柱又はビームの鉄骨へ取り付けられる取付台1と、当該取付台1を上記鉄骨へ固定するボルト等の第1締付部材2と、鳥が営巣する営巣空間へ突出する営巣妨害棒3と、取付台1に対して営巣妨害棒3を固定する固定部4とを備える。営巣妨害棒3の向きを調整する向き調整機構を有する。向き調整機構は、ボルト等の第2締付部材6とを備え、第2締付部材6を締め付けることにより、営巣妨害棒3を取付台に固定するものであり、第2締付部材6を緩めることにより、営巣妨害棒3の取付台1の取付面に対する、営巣妨害棒3の仰角の変更が行える。
【選択図】図3

Description

本願の考案は、鳥の営巣防止構造及びその営巣防止具の改良に、詳しくは、電気鉄道の軌道に設けられる架線を支持する門形支持物に対する、鳥の営巣防止構造及びその営巣防止具の改良に関する。
実開平3−44822号 実用新案登録第3070808号
鉄道電車線の軌道付近に設けられて架線(トロリ線)を支持する門形支持物の、鉄柱やビーム(軌道の上方に渡された梁)において、毎年3月から5月に渡って、カラスが営巣することが多く、このため電鉄会社では電車線の電流を止めて電車の運行を停止した状況で巣の除去作業を行っている。
しかし、この除去作業については、次のような問題点がある。
第1に、除去作業者にとって、高所での長時間の作業が強いられる。
具体的には、カラスは、門形支持物の鉄柱などの構造物の地上から離れた高所において、鉄柱の鉄骨に囲まれた空間に営巣する習癖がある。このため、このような高所での巣の撤去作業が必要となる。例えば、巣は、地上から5〜30mの高所にある上記の空間に設けられ、このような場所で巣を撤去する作業が必要となる。
第2に、巣を除去しても再び巣を作られるため、巣の除去は一時的な処置に過ぎないものとなっており、営巣防止の十分な対策になっていない。
第3に、巣の除去作業は毎年増える傾向にあり、巣の除去対策にかかる費用も増大しており、安全面とのバランスが困難なものとなってきている。
一方、鉄道の上記門形支持物と分野を異にするが、電力会社などにおいて、従来より、送電線のアークホーンなどの開放された空間に突出する部分において、鳩などの鳥が、止まったり、接触したりして短絡事故の問題が生じる。このため、例えば、足場に障害物なる突起を設けたり(特許文献1)、また、足場となる部分に剣山のように複数の針金を立てた障害物を設けるなど、鳥を忌避する種々の手段が講ぜられている。
しかし、上述の通り、電鉄会社が撤去作業に苦慮する、上記門形支持物の鉄柱やビームなどの構造物の中心部分のような、鉄骨で囲まれた空間においては、カラスの営巣が行いやすく、上記の通り、単に足場となる部位に障害物を設けて、鳥が止まるのを抑制するだけでは、対策が十分でない。
具体的に説明すると、上述の通り、アークホーンなどの開放された空間に突出するものでは、多くの巣材を引っ掛かけることはできず、営巣の危惧はないかも知れない。しかし、鉄柱内の鉄骨で囲まれた部位には、他で拾い集めた巣材を脱落させずに、容易に固定させることができるのである。
また、上記の営巣空間の止まり木となる部位に、上記の障害物を設けても、カラスといった知能の高い鳥では、障害物の上に針金製のハンガーを集積して、足の踏み場を形成して難なくそのような障害物の上に営巣を行う。
従って、送電線のアークホーンのように、オープンスペースに設置されたものでは、鳥の足場を潰しさえすればよいが、鉄道の門形支持物における鉄柱などの構造物の鉄骨で囲まれた部位では、上記の通り、巣材を載置しやすく、営巣妨害のため抜本的な解決にはならないのである。
このような現状から、鉄柱において、営巣空間の一部となる鉄骨の連結部分などに、営巣するのを防止するために、このような部分を覆い隠す手段が提案されつつある(特許文献2)。
しかし、このような特許文献2に見られるものでは、鉄骨間のコーナ部分での局所的な使用に限定されたものであり、そのため覆いとなる部分の角度も固定され、上記鉄骨間の営巣空間の他の部位に十分対応するものではない。
この点について、例えば、前述の特許文献1に示されるものでは、アークホーンを対象とし門形支持物の鉄柱又はビームの営巣空間を対象とするものではない、即ち営巣防止を目的とするものではないが、本願考案者は、敢えて、この特許文献1に示される取り害防止具を、上記の構造物の営巣空間に設けるとした場合、突起部(阻止部)の向きを調整することができるのではないかと考えて見た。
しかし、この特許文献1(第1図、第2図)に示されたアークホーン用の鳥害防止具では、(U字)金具のアークホーンへの取り付けと、当該金具への阻止部の取り付けとは、一本のボルト4にて兼用されている。このように、阻止部と、他(アークホーン)への取れ付け用の(U字)金具の固定とを行うものであるため、阻止部が風や鳥との接触により向きが変わって、当該ボルトが緩めば、直ちに装置全体が脱落するという恐れがある。
そこで、本願考案は、このような向きの調整が可能な阻止部を備えた鳥害防止具を改良してそのような脱落の恐れを低減し、門形支持物の鉄柱などの構造物の鉄骨に囲まれた営巣空間への利用を可能として、効果的なカラスの営巣の妨害を図るものである。
本願第1の考案は、次の構成を採る鳥の営巣防止構造を提供する。
即ち、この鳥の営巣防止構造は、門形支持物の鉄柱又はビームを構成する鉄骨t...tで囲まれた、鳥が営巣する営巣空間Xと、上記鉄骨tへ取り付けられる取付台1と、取付台1を上記鉄骨tへ固定するボルト等の第1締付部材2と、上記営巣空間Sへ突出して当該営巣空間Xへの営巣を制限する営巣妨害棒3と、上記の取付台1に対して上記営巣妨害棒3を固定する固定部4とを備える。上記の固定部4は、上記突出棒の向きを調整する向き調整機構を有する。向き調整機構は、ボルト等の第2締付部材6を備え、上記第2締付部材6を締め付けることにより、営巣妨害棒3を取付台1に固定するものであり、当該第2締付部材6を緩めることにより、営巣妨害棒3の取付台1の取付面に対する、営巣妨害棒3の仰角の変更が行えることを特徴とする。
尚上記の門形支持物とは、線路を横断するビームと線路の両側に建植された柱からなる支持物をいう(JIS E2001:2002 用語番号2308)。
本願第2の考案は、次の構成を備えた鳥の営巣防止具を提供する。
即ちこの鳥の営巣防止具は、門形支持物の鉄柱又はビームを構成する鉄骨tへ取り付けられる取付台1と、当該取付台1を上記鉄骨tへ固定するボルト等の第1締付部材2と、上記鉄柱又はビームの鳥が営巣する営巣空間へ突出して当該営巣空間Sへの営巣を制限する営巣妨害棒3と、上記の取付台1に対して上記営巣妨害棒3を固定する固定部4とを備える。上記の営巣妨害棒3の取付台1から突出する部分の長さは、25〜80cmである。上記の固定部4は、上記営巣妨害棒3の向きを調整する向き調整機構を有する。向き調整機構は、ボルト等の第2締付部材6を備え、上記第2締付部材6を締め付けることにより、営巣妨害棒3を取付台に固定するものであり、当該第2締付部材6を緩めることにより、営巣妨害棒3の取付台1の取付面に対する、営巣妨害棒3の仰角の変更が行えることを特徴とする。
本願第3の考案は、上記本願第2の考案にあって、次の構成を採る鳥の営巣防止具を提供する。
即ち、上記の向き調整機構は、取付台1と別体に形成された保持部材5を備え、上記の第2締付部材6は、当該保持部材5を、上記取付台1へ固着するものである。上記の保持部材5は、上記取付台1に対応する面に、営巣妨害棒3の軸の一区間を受容する溝部を備える。当該溝部の深さは、上記の受容する区間の営巣妨害棒3の径よりも、小さいものであり、上記の第2締付部材6を締め付けることにより、上記保持部材5を取付台に押圧し、営巣妨害棒3の溝部からはみ出した外周面を、取付台1表面へ押圧した状態にして固定するものである。上記の営巣妨害棒3は、当該保持部材5の溝部に受容される部位よりも先端側の部位が当該保持部材5に受容される部位と異なる方向に屈曲或いは湾曲したものであり、当該第2締付部材6を緩めることにより営巣妨害棒3を回動して上記仰角の変更が行えることを特徴とする。
本願第4の考案は、上記本願第3の考案にあって、上記営巣妨害棒3には、磁石が設けられたことを特徴とする鳥の営巣防止具を提供する。
本願第5の考案では、上記本願第3の考案にあって、上記の営巣妨害棒について、その長手方向の、先端から基端の少なくとも何れか一区間が、セラミック等の電気絶縁性を有する素材にて形成されたものである。
ここでいう電気絶縁性を有する素材とは、セラミックの他、プラスチックや、木材を含む。
本願第6の考案では、上記本願第3の考案にあって、上記の営巣妨害棒が、上記屈曲或いは湾曲した部分より先端側において、更に、複数の湾曲区間或いは複数の屈曲区間が設けられ、蛇行しつつ、上記の保持部材に受容される部位と異なる方向に、伸びるものである。
本願の考案にあっては、カラスなどの、門形支持物の鉄柱又はビーム(門形支持物が備える構造物)の、高所に位置する鉄骨に囲まれた空間に営巣する、鳥ついて、単に止まり木となる足場をなくすのではなく、営巣妨害棒を当該営巣空間に突出させることにより営巣空間自体を制限して、営巣を抑制するものである。
特に、取付台を鉄柱やビームといった構造物の鉄骨へ固定する第1締付部材とは別に、営巣妨害棒を取付台へ固定する第2締付部材を備えるものであるため、営巣妨害棒が風や鳥に接触することによって第2締付部材が緩んだとしても、上記第1締付部材に影響を与えるものではなく、直ちに構造物に対する取付台の脱落を生ずるものではない。
また、本願第2の考案にあっては、電鉄会社が鉄道の軌道付近に配備している鉄柱やビームといった構造物へ設けることによって、当該構造物が備える、カラスが営巣の対象とする営巣空間を制限するのに適した営巣妨害具を提供した。
更に、本願第3の考案では、保持部材と取付台の表面とで営巣妨害棒を挟み、第2締付部材の締付により、営巣妨害棒の上記保持部材からはみ出した部分を、取付台表面に押し付ける構造を採ることにより、より強固に営巣妨害棒を取付台に固定することができ、長期に渡って脱落の危惧を低減した。
本願第4の考案では、磁石により、鳥が嫌う磁気を発生させて、より一層営巣を行い難いものとした。
また、上記本願第5の考案では、電気絶縁部材に形成された区間を備えることによって、鳥の羽が、営巣妨害棒と、電線などの電気充電物の、双方に接触しても、営巣妨害棒と当該電気充電物とを電気的に短絡させない(ショートさせない)。従って、このような電気充電物の近傍に、営巣防止具を取り付けることができる。
更に又、上記本願題6の考案では、営巣妨害棒の蛇行によって、営巣妨害棒が営巣空間に真っ直ぐ伸びる場合に比べて、営巣妨害棒の営巣空間中に占める範囲をより大きく確保し、営巣をより確実に制限することができる。
以下、図面に基づき本願考案の実施の形態について説明する。
図1〜図4を用いて、本願考案の一実施の形態を説明する。図1は本願考案の一実施の形態に係る鳥の営巣防止構造の説明図である。図2(A)は図1に示す鳥の営巣防止具の略斜視図であり、図2(B)〜(D)は夫々当該営巣防止具が備える営巣妨害棒の上下の向きを変更した状態を示す斜視図である。図3(A)は上記営巣妨害具について、第1締付部材の取り付け位置を変えた側面図であり、図3(B)はその正面図であり、図3(C)は、その平面図である。図4(A)は、上記営巣防止具の要部略断面図であり、図4(B)は、図4(A)と交差する方向の要部略断面図である。
この鳥の営巣防止構造は、特にカラスの営巣防止に適したものであり、図1に示す通り、鉄道の軌道付近に設けられて架線を支持する門形支持物を構成する鉄柱又は梁(以下必要に応じて構造物Kと総称する。)の営巣空間Xと、営巣防止具Y...Yとにて、構成される。
以下、各部の構成について詳しく説明する。
図1に示す通り、上記の構造物Kの営巣空間Xは、少なくとも左右・前後が鉄骨t...tに囲まれた空間である。この図1は、門形支持物の鉄柱を示す。カラスの営巣を好む場所としては、鉄柱などの地上Gから5m〜30mの高さhの場所であって、上記の通り鉄骨に囲まれた空間である。特に、営巣空間Xとして、巣の底を支えることが可能な水平に伸びる鉄骨t0を備えた部位が好まれる。また、上記の巣を支持する(載せる)のに適した水平に伸びる鉄骨t0の上方に、更に同様に水平に伸びる鉄骨tがある場合、営巣空間Xとして、少なくとも上下鉄骨t,t0間の幅wが25cm以上の空間が好まれる。通常、上記の幅w(床となる部材と天井となる部材の幅)が25cmより小さいと、カラスは、営巣を好まない。また、カラスは、とりわけ営巣場所として、地上から20m前後の高さhを好む。
図1では、営巣妨害具Yは、一箇所の営巣空間Xに対して、1個設けられているが、営巣空間Kの大きさによっては、複数個設けて実施することができる。門形支持物において、鉄柱は、上下に伸びる4本の支柱T…Tを備えている(図1において括弧書きで示す通り、上記の鉄骨t…tのうち上下に伸びるものがここでいう支柱T…Tである)。これらの支柱T…Tは、平面視において、四角形の各頂点をなすものであり、一本の鉄柱の四隅を構成する。当該四角形の各辺(四辺夫々)の幅は、40〜80cmである。鉄柱について、これらの4本の支柱T…Tに囲まれた空間が営巣空間である。
従って、鉄柱において、上記の高さhにあって、(支柱T…Tとなる)鉄骨t…tに囲まれたものであって、前後、左右に夫々40〜80cmの幅を有し、巣を支持する水平の鉄骨t部分を備え、少なくとも当該水平の鉄骨tより上方に25cm以上の高さに障害物となるものがない空間が、営巣空間Xとして最も適した空間である。
上記の営巣防止具Yは、図2(A)へ示す通り、取付台1と、第1締付部材2と、営巣妨害棒3と、固定部4とを備える。
上記の営巣妨害棒3が、上記の営巣空間X内へ後述する仰角θを以って斜めに突出することにより、図1へ示す通り、営巣空間Xにおいて、当該営巣妨害棒3と巣を支持する鉄骨t0と当該営巣妨害棒3との空間(下方空間x0)の上下の高さを、上記の25cm以下に制限して、カラスの営巣を妨害することができる。また、営巣妨害棒3は、後述する仰角θを以って斜めに突出することにより、営巣空間X内の営巣妨害棒3の上方空間x1にてカラスが営巣妨害棒3を止まり木として止まるのを妨害することができる。
上記の取付台1は、上記の構造物Kの鉄骨tへ取り付けられる、断面視コ字状の金属製部材である。即ち、取付台1は、平行に配設された第1と第2の2枚の脚片11,12と、両脚片11,12を連結している連結片13とを備える。上記コの字に、即ち、両脚片11,12間に、構造物Kの鉄骨tを受容する。一般に門形支持物の支柱やビームは、L字型鋼である鉄骨t…tにて構成されており、当該鉄骨tのL字に交差する2片の何れかを、上記の両脚片11,12間が受容する。
この実施の形態において、上記の連結片13に、上記の第1締付部材2を取り付ける第1取付部14が設けられている(図3)。この実施の形態において、上記第1締付部材2は、ボルトであり、上記の第1取付部14は、このボルトと螺合する雌ネジが切られた貫通孔である。第1取付部14である貫通孔に第1締付部材2であるボルトを通して、ボルトを締付け、当該ボルト先端にて、両脚片11間に位置する上記の鉄骨tをクランプする。このようにして、構造物Kの、他から営巣空間Sを画する鉄骨tに、取付台1を取り付けることができる。
上記の営巣妨害棒3は、取付台1より突出するものであり、図2(A)に示す通り、取付面10から脚片11,12と反対側の上方に突出するよう取付台1へ取り付けることができる。営巣妨害棒3は、この他、図2(B)へ示す通り、取付面10から脚片11,12と反対側の下方に突出するよう取付台1へ取り付けることができ、更には図2(C)へ示すように取付面10から脚片11,12の一方に沿って下方に、また、図2(D)へ示すように取付面10から脚片11,12の一方に沿って上方に突出するように、取付台1へ取り付けることもできる。このように、取り付ける鉄骨tの向きや配置によって、取付台1に対する営巣妨害棒3の配置を選択すればよい。
更にまた、営巣妨害棒3を、取付面10から脚片11,12と反対側の上方に突出するよう取付台1へ取り付ける場合において、図2(A)へ示す通り、上下に配置された脚片11,12のうち下方に位置するものに、第1締付部材2を取り付けて鉄骨tをクランプするものとしてもよいが、この他図3へ示す通り、上下に配置された脚片11,12のうち上方に位置するものに、第1締付部材2を取り付けて鉄骨tをクランプするものとしてもよい。
上記の図2及び図3における営巣妨害棒3の配置や、取付台1のクランプの位置の選択が可能であることによって、例えば、図1の鉄骨t0に限らず、支柱T…T(となる鉄骨t…t)や、或いは、鉄骨t0の上方に位置する鉄骨tに、この営巣妨害具Yを取り付けることができ、取り付け場所を広範に選択し得る。
以下、上記の営巣妨害棒3と、当該営巣妨害棒3の取付台1への固定手段を具体的に説明する。
図3(A)へ示す通り、取付台1は、上記の第1取付部14とは別に第2取付部15を備える。この実施の形態において、第2取付部15は、貫通孔である。また、この実施の形態において、第2取付部15は、上記の脚片11,12の少なくと何れか一方と、連結片13とに設けられている。
上記の営巣妨害棒3は、上記構造物Kの鳥が営巣する営巣空間Xへ突出して当該営巣空間Sへの営巣を制限する。即ち、営巣妨害棒3は、上記営巣空間X内に突出して、当該営巣空間X内の営巣可能なスペースを潰す。上記の営巣妨害棒3の取付台1(の取付面10)から突出する部分の長さは、25〜80cmである。この実施の形態では40cmである。営巣妨害棒3は、自立性を有し、少なくとも鳥が乗ったり鳥と接触しても、変形しない程度の剛性を有するものを採用する。このような営巣妨害棒3としては、金属製の棒を採用することができる。
図4(A)(B)を用いて、上記の営巣妨害棒3の取り付け方法についてより具体的に説明する。尚、この図4(A)(B)は、図3(A)に示す取付面10(連結片13)を、脚片11,13よりも上方に位置し且つ水平となるように描いてある。
営巣妨害棒3は、(軸が「く」の字に)屈曲しており、当該屈曲部分より先端側の長さが上記の突出する部分の長さである。この実施の形態において、屈曲角度θ1は、45度である(ここでは、鋭角を以って示すが、135度も45度と同義である)。従って、40cmの突出部分の突出高さの最大は、40cm×sin 45°=28cmである。但し、このような角度に限定するものではなく、上記の屈曲角度θ1は、他の値にて実施することが可能である。屈曲角度は、30〜90度の範囲の何れかとするのが好ましい。
例えば営巣妨害棒3を、取付台1が取り付けられた鉄骨tに対して、上記屈曲角度θ1を、取付面10に対して営巣妨害棒3の突出部分(先端側)がなす角度即ち仰角θと一致させない場合(屈曲部から先を斜めに倒した場合)であっても、上記の範囲における突出高さを確保する範囲の角度に制限するのが好ましい。営巣が可能なスペースが生じるのを避けるためである。
上記の固定部4は、上記の取付台1に対して上記営巣妨害棒3を固定する手段であり、更に、固定部4は、上記営巣妨害棒3の向きを調整する向き調整機構を構成する。固定部4は、具体的には、図3及び図4へ示す通り、保持部材5と、ボルト等の第2締付部材6を備える。上記の第2締付部材6は、当該保持部材5を、上記取付台1へ固着するものである。即ち保持部材5は、第2締付部材6を取り付けるための取付部52を備える。この実施の形態において、保持部材5は、板状体であり、取付部52は、当該板状体の表裏に貫通する貫通孔である。また、第2締付部材6は、ナットを備えたボルトである。
上記の保持部材5は、上記取付台1に対応する面に、営巣妨害棒3の軸の一区間30を受容する溝部51を備える。当該溝部51の深さは、営巣妨害棒3の上記の受容する区間30(以下被受容区間30と呼ぶ。)の営巣妨害棒3の径よりも、小さい。営巣妨害棒3の上記被受容区間は、上記屈曲部分よりも、営巣妨害棒3の後端側に位置する。
図4(A)(B)へ示す通り、営巣妨害棒3の被受容区間30を、上記の通り溝部51に受容させた状態で、保持部材5の当該溝部51が設けられた面を、取付台1の取付面10に向け、上記のボルトである第2締付部材6を取付台1の第2取付部15と、保持部材5の上記取付部52とに通して、当該ボルトが備えるナットを、締め付ける。
このようにして、上記被受容区間30を、取付台1の取付面10と保持部材5の溝部52との間に挟んで、第2締付部材6を締付けることにより、営巣妨害棒3を、取付台1へ取り付けることができる。
上記の通り、溝部51の深さは、営巣妨害棒3の上記被受容区間30の径よりも小さいものであり、第2締付部材6を締め付けることにより、当該区間30における溝部51からはみ出した部分が、上記保持部材5を取付台に押圧され、営巣妨害棒3を取付台1に対して強固に固定することができる。
一方、当該第2締付部材6を緩めることにより、取付台1の営巣妨害棒3の取付面10に対する、営巣妨害棒3の角度θ(仰角θ)の変更が行える。即ち、上記の営巣妨害棒3は、上記被受容区間30よりも先端側の部位が、前述の通り当該保持部材5に受容される部位と異なる方向に屈曲したものであり、当該第2締付部材6を緩めることにより営巣妨害棒3を回動して上記仰角θの変更が行えるのである。当該変更後再び、第2締付部材6を締付けることにより、固定をし直せばよい。
上記において、営巣妨害棒3は、屈曲するものとした。この他、曲線的に湾曲(カーブ)するものであっても実施可能である。
上記にて、営巣妨害棒3を回動する角度をθ2(回動角θ2)として、図4(A)(B)を用いて、より具体的に説明する。この回動角θ2は、上記営巣妨害棒3先端側の、(取付台1の)取付面10に対する突出高さが最大となる位置(屈曲角θ1が仰角θと一致する位置)を0度として、この位置に対して回動した角度を示すものである(従って、回動角θ2については、0≦θ2≦90の範囲を採ることが可能である。ここで、回転の向き即ち角度の正負は問わず、角度の絶対値にて説明する。また、鋭角を以って代表的に表現するので、例えば、120度(鈍角)は、この説明における60度と同じである)。
上記の営巣妨害棒3の取付面10に対する突出高さは、営巣妨害妨害棒の突出部分の長さをaとすると、asin θ1sin θ2である(即ち、営巣妨害棒3の取付面10に対する突出高さ=営巣妨害妨害棒の突出部分の長さ×sin θ1sin θ2)。
従って、25cm≦asin θ1sin θ2≦80cmとなるように、屈曲角度θ1及び回転角θ2を決定するのが好ましい。
尚、上記の仰角θと他の角度については、sin θ=1/(sin θ1sin θ2)の関係を有する。
取付面10は、取付台1が取り付けられる鉄骨t(t0)の長手方向と平行な面であり、図1に示す場合、水平な面である。従って、この場合、仰角θは、水平面に対して、営巣妨害棒3の突出部分がなす角度である。
また、上記の固定部4の保持部材5を緩め或いは外すことにより、前述の図2(A)〜(D)の夫々に示す、営巣妨害棒3の取付台1に対する配置の変更も行うことができる。
前述の構造物Kには、上記の鉄柱の他、軌道の上方に設けられたビーム(梁)も含まれる。即ち、上記の実施の形態において、営巣空間Xは、門形支持物の鉄柱に設けられたものを示したが、この他、門形支持物の梁(ビーム)に設けられたものであってもよい。図示はしないが、軌道上に渡される門形支持物の梁(ビーム)についても、上記4本の支柱T…Tが水平となるように配置されたものであり、支柱間の間隔は、上記の通りである。但しビームの場合、水平に伸びる支柱T…Tは、4本に限らず、3本のものもあり、このようなものも営巣空間Xとして含まれる(この場合、ビームをその長手方向に横断する面によって切れば、各支柱T…Tが三角形の頂点をなす)。
上記の実施の形態において、営巣妨害棒3は、その全体が金属製のものを採用した。この他、電気充電物とを電気的に短絡を避けつつ当該電気充物近傍への設置を可能とするために、営巣妨害棒3が、上記被受容区間30より先端側の部位において、他の金属製の部分と異なるセラミックにて形成され区間を有するものとしても実施可能である。この場合、図5(A)へ示す通り、営巣妨害棒3の先端部分31として、営巣妨害棒3の他の部位(基部側部分32)と別体のセラミック製の棒を採用し、筒状の管を接続具33として、当該セラミック棒を営巣妨害棒3の基部側部分32に接続して、1本の営巣妨害棒3を形成することができる。上記において、セラミック以外の電気絶縁性を有する素材を採用することが可能であり、例えばプラスチックや木材を採用することができる。この場合も、特に明示した以外の事項については、上記図1〜図4へ示す実施の形態と同様である。
また、図5(B)へ示す通り、営巣妨害棒3の、上記被受容区間30より先端側の部位において、前述の屈曲部分とは別に、複数の湾曲部分m…mが設けられて、湾曲区間が営巣妨害棒3に形成されたものであっても実施可能である。また、図5(C)へ示す通り、複数の屈曲部分n…nが設けられて屈曲区間が形成されても実施可能である。この場合であっても、営巣妨害棒3の上記被受容区間30より先端側の部位全体の、上記被受容区間30に対する向き(仰角θ)については、図1〜図4へ示す実施の形態と同様である。
上記の各実施の形態において、営巣妨害棒3及びその固定部4は、取付台1の連結片13に設けられたものを示した。この他、図6(A)へ示す通り、固定部4は、取付台1の脚片11,12の何れかに設けるものとしても実施可能である。また、この図6(A)へ示す通り、営巣妨害棒3に磁石7を設けて実施することも可能である。この磁石7は、図1〜図5へ示す営巣防止具の営巣妨害棒3に設けて実施することも可能である。
営巣妨害棒3の上記被受容区間30の断面は円形即ち、営巣妨害棒3は、少なくとも上記の区間が丸棒としても実施可能であるが、必要に応じて、取付面10との当接部位について面取りをすれば、固定がより安定したものとなる(図示せず)。また、図6(B)へ示す通り、多角形の角棒とすれば、選択した位置での固定がより確実に行える。
具体的には、上記被受容区間30において営巣妨害棒3の軸方向と横断する断面の形状を多角形とする(この図6(B)に示す実施の形態では、六角形であるが、他の多角形に変更可能である。)。この場合、取付台1(の取付面10)と当接する当該多角形の面を選択することにより、段階的(例えば三段階)に、上記営巣妨害棒3の仰角を調整することができる。
本願考案の一実施の形態に係る鳥の営巣防止構造の説明図である。 (A)は図1に示す鳥の営巣防止具の略斜視図であり、(B)〜(D)は夫々当該営巣防止具が備える営巣妨害棒の上下の向きを変更した状態を示す略斜視図である。 (A)は上記営巣妨害具の第1締付部材2の取り付け位置を変えた側面図であり、(B)はその正面図であり、(C)は、その平面図である。 (A)は図3に示す鳥の営巣防止具の要部断面図であり、(B)は(A)と交差する方向の要部拡大略断面図である。 (A)は上記の営巣防止具の他の実施の形態を示す略斜視図であり、(B)は上記営巣防止具のまた他の実施の形態を示す略斜視図であり、(C)は営巣防止具の更に他の実施の形態の略斜視図である。 (A)は上記営巣妨害具の他の実施の形態を示す斜視図であり、(B)は営巣妨害棒の固定部の他の実施の形態を示す略縦断面図ある。
符号の説明
1 取付台
2 第1締付部材
3 営巣妨害棒
4 固定部
5 保持部材
6 第2締付部
7 磁石
X 営巣空間
Y 営巣防止具

Claims (6)

  1. 門形支持物の鉄柱又はビームを構成する鉄骨で囲まれた、鳥が営巣する営巣空間と、上記鉄骨へ取り付けられる取付台と、取付台を上記鉄骨へ固定するボルト等の第1締付部材と、上記営巣空間へ突出して当該営巣空間への営巣を制限する営巣妨害棒と、上記の取付台に対して上記営巣妨害棒を固定する固定部とを備え、
    上記の固定部は、上記営巣妨害棒の向きを調整する向き調整機構を有し、
    向き調整機構は、ボルト等の第2締付部材を備え、
    上記第2締付部材を締め付けることにより、営巣妨害棒を取付台に固定するものであり、当該第2締付部材を緩めることにより、取付台の営巣妨害棒の取付面に対する、営巣妨害棒の仰角の変更が行えることを特徴とする鳥の営巣防止構造。
  2. 門形支持物の鉄柱又はビームを構成する鉄骨へ取り付けられる取付台と、取付台を上記鉄骨へ固定するボルト等の第1締付部材と、上記鉄柱又はビームの鳥が営巣する営巣空間へ突出して当該営巣空間への営巣を制限する営巣妨害棒と、上記の取付台に対して上記営巣妨害棒を固定する固定部とを備え、
    上記の営巣妨害棒の取付台から突出する部分の長さは、25〜80cmであり、
    上記の固定部は、上記突出棒の向きを調整する向き調整機構を有し、
    向き調整機構は、ボルト等の第2締付部材を備え、
    上記第2締付部材を締め付けることにより、営巣妨害棒を取付台に固定するものであり、当該第2締付部材を緩めることにより、営巣妨害棒の取付台の取付面に対する、営巣妨害棒の仰角の変更が行えることを特徴とする鳥の営巣防止具。
  3. 上記の向き調整機構は、取付台と別体に形成された保持部材を備え、上記の第2締付部材は、当該保持部材を、上記取付台へ固着するものであり、
    上記の保持部材は、上記取付台に対応する面に、営巣妨害棒の軸の一区間を受容する溝部を備え、
    当該溝部の深さは、上記の受容する区間の営巣妨害棒の径よりも、小さいものであり、
    上記の第2締付部材を締め付けることにより、上記保持部材を取付台に押圧し、営巣妨害棒の溝部からはみ出した外周面を、取付台表面へ押圧した状態にして固定するものであり、
    上記の営巣妨害棒は、当該保持部材の溝部に受容される部位よりも先端側の部位が当該保持部材に受容される部位と異なる方向に屈曲或いは湾曲したものであり、
    当該第2締付部材を緩めることにより営巣妨害棒を回動して上記仰角の変更が行えるものであることを特徴とする請求項2記載の営巣防止具。
  4. 上記営巣妨害棒に、磁石が設けられたことを特徴とする請求項3記載の鳥の営巣防止具。
  5. 上記の営巣妨害棒について、その長手方向の、先端から基端の少なくとも何れか一区間が、セラミック等の電気絶縁性を有する素材にて形成されたものであることを特徴とする請求項3記載の営巣防止具。
  6. 上記の営巣妨害棒は、上記屈曲或いは湾曲した部分より先端側において、更に、複数の湾曲区間或いは複数の屈曲区間が設けられ、蛇行しつつ、上記の保持部材に受容される部位と異なる方向に、伸びるものであることを特徴とする請求項3記載の営巣防止具。
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