JP3122326U - 吸音パネル - Google Patents

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Abstract

【課題】 スギ、ヒノキの間伐材を使用した木質系吸音パネルの提供。
【解決手段】 スギ、ヒノキの間伐材から製作した台形材3を有する台形集成材2と、台形集成材2の裏面にグラスウールなどの吸音材6を充填して固定した発泡スチロール製外囲材5を備える吸音パネル1で、台形集成材2の表面を木目や節などで意匠性の良いものにして、この表面を露呈させて体育館などの壁や天井に施工する。台形集成材2の吸音材6を充填する領域に、必要に応じて複数の吸音孔を形成する。
【選択図】図1

Description

本考案は、壁や天井の下地材、表面材に使用される木質系の吸音パネルに関する。
音楽室や体育館、多目的ホールなどの壁や天井に施工される吸音パネルは、合板ボードや不燃ボードの有孔ボードの裏面に吸音材を配置し、この吸音材を箱形の発泡スチロール製外囲材で囲ったものがある(例えば、本出願人の特許文献1参照)。この吸音パネルは、矩形の有孔ボードの裏面にグラスウールなどの吸音材を収容した発泡スチロール製外囲材を接着剤で接着している。有孔ボードは矩形の合板ボードで、4辺の周縁部を除く中央部に多数の吸音孔を有する。合板ボードは、シナやカラマツ、エゾマツ、ブナなどの国産材、また、ベイマツ、ラワンなどの外材の原木をスライスした薄い単板を接着剤を介してホットプレスなどで積層接合した構造用合板などである。
登録実用新案第2574448号公報(図2)
合板ボードの多くは、ベイスギ(米杉)やカラマツの原木をスライスしたものが使用され、希にスギやヒノキの間伐材を使用したものがある。しかし、間伐材は細くて、幅の小さい単板しか得られず、広い面積で吸音が要求される吸音パネルの合板ボードとして使用することは、実用的でなくてほとんど行われいない。そのため、スギやヒノキの間伐材の需要が延びず、近年の日本のスギとヒノキの人工林の荒廃が目立っている。この荒廃の原因は、工業材料による建材、外材製品の普及と、木材価格の低迷にもある。また、人工林の荒廃抑制のためのスギやヒノキの除伐、間伐、枝打ちなどが推進されているが、未だ不十分である。
本考案は、スギやヒノキの間伐材を大量消費できる実用的な吸音パネルを提供することを目的とする。
本考案は上記目的を達成するため、矩形の台形集成材の裏面に、扁平な箱形発泡スチロール製外囲材を、台形集成材との間に吸音材を充填して固定した。また、台形集成材に、板厚方向に貫通させて複数の吸音孔を形成することができる。
ここで、台形集成材は、スギまたはヒノキの間伐材で形成したもので、表面に木目、節を積極的に、意匠性よく表出させることができ、内装材としても優れたものにできる。台形集成材の板厚は、強度と音響調整を考慮して設定し、例えば6mm、8mm、12mmと段階的に設定することができる。合成集成材と発泡スチロール製外囲材の間に充填する吸音材は、グラスウールが吸音効果に優れ、経済的である。台形集成材は、吸音孔を形成することで吸音効果が上がるが、用途によっては吸音孔を形成せずに裏面側に充填した吸音材と台形集成材自体で吸音効果を設計することもできる。吸音孔を形成しない台形集成材は、吸音孔を形成した台形集成材に比べ強度に優れ、加工コストが低減できる。
本考案の吸音パネルによれば、スギまたはヒノキの間伐材から製作が容易な台形集成材を使用したので、スギやヒノキの間伐材の大量需要を図ることができ、日本国内において大部分を占めるスギやヒノキの人工林の強力な間伐推進、荒廃抑制が可能となり、森林の復活が大いに期待できる。また、台形集成材の表面の木目や節を積極的に表出させることで、意匠性に優れた吸音パネルが提供できる。
図1に吸音パネル1の平面図を、図2に側面図を示す。吸音パネル1は、矩形の台形集成材2と、台形集成材2の裏面側に接着剤で固定した矩形箱形の発泡スチロール製外囲材5と、台形集成材2と外囲材5の間に充填したグラスウールなどの吸音材6を備える。台形集成材2は、スギやヒノキの複数の台形材3を平板状に集成一体化した合成ボードである。この台形集成材10の製作は、例えば次の公知の各工程で行えばよい。
スギまたはヒノキの間伐材の原木を定尺カットし、背面加工して半割加工する。含水率10%以下に乾燥して厚み修正し、両側面を60°程度の斜面に斜面カットして台形材を得る。複数の台形材を木表と木裏が交互に張り合わされるように組み合せ、台形材の斜面に糊付けし、複数の台形材を接着する。接着後、横幅割りして集成材を製作する。また、製作された複数の集成材を縦方向にフィンガージョイント方式で連結し、フィンガージョイントされた集成材を積層して集成材ブロックを製作し、この集成材ブロックをスライスして、所定の厚さの台形集成材を得る。
台形集成材2の複数の各台形材3は、全てをスギ材またはヒノキ材の間伐材から製作することができる。この場合、複数の台形材3の保守管理が便利になり、製作コストを低減させることができる。また、複数の台形材3を、スギ材とヒノキ材の二種類、あるいは、他の種類の木材を混合させて組み合わせることもできる。このような台形材3の表面は、特有の木肌の中に形状がさまざまな木目や節があり、この木肌、木目、節の紋様が台形集成材2の表面を意匠性に優れたものにする。台形集成材2の表面を、例えばウレタンクリアー塗装すれば、表面の意匠性が尚一層に良くなる。矩形の台形集成材2の裏面に、台形集成材2より一回り小さい矩形の発泡スチロール製外囲材5を、台形集成材2との間に吸音材6を充填して固定する。外囲材5は、厚さ20.0〜25.0mm、底板の厚さ5mm程度の有底箱形で、その開口端面を台形集成材2の裏面に接着剤で固定する。
図1は、正方形の吸音パネル1を示すが、形状は縦長あるいは横長の長方形と任意である。体育館などの壁や天井に複数の吸音パネル1が、台形集成材2を表に出し、外囲材5を裏向けにして施工される。隣接する各吸音パネル1における台形集成材表面の台形材3の方向性を揃えたり、直交させることで、吸音パネル施工面全体の外観が様々に選択でき、意匠性に優れた内装が選択できる。
図3及び図4に示す吸音パネル1は、台形集成材2に板厚方向に貫通させて複数の吸音孔7を形成している。台形集成材2の裏面の吸音材6に面する領域にのみ碁盤の目状に複数の吸音孔7を形成する。複数全ての吸音孔7の孔径は同一、または、段階的に相違させることができる。台形集成材2に吸音孔7を形成することで、吸音パネル1の吸音性能、音響調整性能が増し、かつ、吸音孔7の数、配列、孔径を選択することで吸音性能、音響調整性能が多種多様に選択できる。
実施の形態を示す吸音パネルの正面図である。 図1の吸音パネルの側面図である。 他の実施の形態を示す吸音パネルの正面図である。 図3の吸音パネルの側面図である。
符号の説明
1 吸音パネル
2 台形集成材
3 台形材
5 発泡スチロール製外囲材
6 吸音材

Claims (2)

  1. 矩形の台形集成材の裏面に、扁平な箱形発泡スチロール製外囲材を、前記台形集成材との間に吸音材を充填して固定したことを特徴とする吸音パネル。
  2. 前記台形集成材に、板厚方向に貫通させて複数の吸音孔を形成したことを特徴とする請求項1に記載の吸音パネル。
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