JP3117752B2 - 帯電粒子ビーム装置 - Google Patents

帯電粒子ビーム装置

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JP3117752B2
JP3117752B2 JP03221144A JP22114491A JP3117752B2 JP 3117752 B2 JP3117752 B2 JP 3117752B2 JP 03221144 A JP03221144 A JP 03221144A JP 22114491 A JP22114491 A JP 22114491A JP 3117752 B2 JP3117752 B2 JP 3117752B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、帯電粒子ビームを放出
する帯電粒子源と、カラムジャケットにより包囲され、
帯電粒子ビームを加速及び集束させるように作用する粒
子−光学系素子が設けられているカラムとを具え、前記
帯電粒子源が、環状電極系に固定されているエミッタ室
内に収納されているエミッタを有し、前記環状電極系
が、前記カラムに対して同軸状に配置されると共に前記
カラムジャケットに連結されている帯電粒子ビーム装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上述した型式の帯電粒子ビーム装置は19
68年に発行されたフィリップス テクニカル レビュー
第29巻, 第370 頁〜386 頁に開示されている“ザ フィ
リップス エレクトロン マイクロスコープ イーエム
300 (The philips elctronmicroscope EM300) ”シ
ー.ジェー.レイケルス(C.J. Rakels), ジェー.シ
ー.ティメジャ(J.C. Timeijer)及びケイ.ダビリュ
ウィテェビーン(K.W. Witteveen)著から既知である。
【0003】上記文献には、エミッタ室内に収納されて
いる点状エミッタ及びウェーネルトシリンダを有する電
子源が、カラムから離れた側でカラムジャケットに支持
されている電子顕微鏡が開示されている。
【0004】この電子顕微鏡は、電子源が、カラムジャ
ケットを経て伝達され電子源をカラムに対して偏位させ
る振動に対して敏感になり過ぎる欠点がある。別の外乱
要因として電磁場の影響がある。電子源は例えば軟鉄か
ら成るカラムジャケットによってシールドされているに
もかかわらず、電子源からの電子放出が電磁場によって
乱されるおそれがあり、結像作用に悪影響を及ぼすおそ
れもある。別の外乱要因として、電子源に高電圧を印加
するための給電リード部がある。すなわち、電子源から
の電子放射の安定性を害する寄生信号が給電リード部に
生ずるおそれもある。
【0005】例えばW又はLaB6から或るエミッタを有す
る熱電子源を用いる場合、電子ビームのクロスオーバは
10〜20μm 径になる。この結果、このような電子源は、
例えば数nm径の仮想電子源を有する冷電界放出や熱電界
放出(ショットキ電界放出)のような電界放射源よりも
振動の影響を受けにくい。また、電界放出源は熱電子源
よりも高い真空度例えば10-9〜10-10 トールの真空度が
必要になるため、より大きなポンプ容量が必要であり、
この結果、より大きな機械振動や電磁振動が生じてしま
う。従って、本発明の目的は、帯電粒子源が機械的外乱
及び電磁的外乱の影響を受けにくい帯電粒子ビーム装置
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】上記目的を達成
するため、本発明による帯電粒子ビーム装置は、前記エ
ミッタ室のカラムとは反対側に、前記エミッタ室と協働
するポンプ装置を固定し、このポンプ装置をカラムの延
長線上に位置することを特徴とする。
【0007】エミッタ室を環状電極系を介してカラムに
連結すると、強固な連結構造が得られ、この結果帯電粒
子源のカラムに対する移動を低減することができる。こ
の電極系は帯電粒子ビームを例えば20〜300KeVの範囲で
調整されたエネルギーレベルに加速する。例えば、ショ
ットキーモードの3電極静電レンズを有する熱電界放出
装置のような帯電粒子源と組み合せれば、この電極系に
より帯電粒子ビームの仮想源の安定した拡大像が電極系
の出射部に形成される。
【0008】本発明による帯電粒子ビーム装置の実施例
は、前記環状電極系がフランジ部を有し、このフランジ
部が前記カラムジャケットのフランジ部に支持されてい
ることを特徴とする。
【0009】フランジ部を介することにより電極系がカ
ラムに強固に連結されると共に、保守のためにカラムを
電極系から取りはずすことも可能になる。
【0010】本発明による帯電粒子ビーム装置の別の実
施例は、帯電粒子ビームを放出する帯電粒子源と、カラ
ムジャケットにより包囲され、帯電粒子ビームを加速及
び集束させるように作用する粒子−光学系が設けられて
いるカラムと、エミッタ室内に収納されているエミッタ
を有する帯電粒子源とを具える帯電粒子ビーム装置にお
いて、前記エミッタ室のカラムから離れた側に前記エミ
ッタ室と協働するポンプ装置を固定し、このポンプ装置
をカラムの延長線上に位置させたことを特徴とする。
【0011】ポンプ装置をカラムの延長線上に配置する
ことにより、真空にすべき容積が減少する。この理由
は、接続リードを不要にできるからである。さらに、ポ
ンプからカラムへの機械的振動の伝播も減少する。ポン
プ装置がイオン化ポンプで構成される場合、カラムの延
長線上にポンプを配置することは極めて有益である。こ
の場合は、イオン化ポンプに生ずる磁場のカラムの中心
軸線に対する対称性により、帯電粒子源に作用する磁界
の効果が極めて小さくなる。
【0012】本発明による帯電粒子ビーム装置の別の実
施例は、前記ポンプ装置を前記エミッタ室に連結したシ
ールド電極によって包囲し、前記シールド電極をカラム
ジャケットに強固に連結した容器内に配置したことを特
徴とする。
【0013】シールド電極はシャープな角部や縁部がな
いため、例えば200KV 程度の電位差のあるポンプ装置と
容器間の放電が防止される。このシールド電極はイオン
化装置の磁界をシールドする作用も果たす。
【0014】本発明による帯電ビーム装置の別の実施例
は、帯電粒子ビームを放出する帯電粒子源と、カラムジ
ャケットにより包囲され、帯電粒子ビームを加速及び集
束させるように作用する粒子−光学系が設けられている
カラムと、エミッタ室内に収納されているエミッタを有
する帯電粒子源とを具える帯電粒子ビーム装置におい
て、電力供給ユニットを有し、この電力供給ユニット
を、カラムの中心軸線の側方に前記エミッタ室とほぼ同
一の高さで配置すると共に、前記帯電粒子源に電気的に
接続したことを特徴とする。
【0015】電力供給源を、帯電粒子源及び帯電粒子を
加速すると共にビーム電流を調整する電極系に接続す
る。この電力供給ユニットを帯電粒子源及び電極系に隣
接して配置すると、電力供給ユニットと帯電粒子源及び
電極系との間を接続する高圧ケーブルを不要にすること
ができ、この結果高圧ケーブルを介して誘導される寄生
有害信号が減少する。さらに、極めて高価な多重コア高
圧ケーブル(例えば、5コアケーブル)が不要になるた
め、製造コストの面からも高めて有益である。
【0016】本発明による帯電粒子ビーム装置の別の実
施例は、電力供給ユニットを弾性接点を介して帯電粒子
源に電気的に接続したことを特徴とする。
【0017】弾性接点を用いることにより、電力供給ユ
ニットを介して帯電粒子源を変位させる機械的な振動を
生ずることなく、電力供給ユニットを帯電粒子源に対し
て相対移動させることができる。
【0018】本発明による帯電粒子装置の別の実施例
は、制御ユニットを有し、この制御ユニットを、光ファ
イバを介して前記電力供給ユニットに接続して印加電圧
値及び供給電流値を調整するように構成したことを特徴
とする。
【0019】このように構成すれば、低電圧で作動する
制御信号が高電圧で作動する電力供給ユニットに光ファ
イバを介して供給されるので、電圧差が電流導体を介し
て橋落される不都合が解消される。この結果、例えば、
コンピュータにより電力供給ユニットを自動制御するこ
とが可能になる。
【0020】本発明による帯電粒子ビーム装置の別の実
施例は、電力供給ユニットを、前記容器によって同様に
包囲すると共に、この容器の壁部に固定したことを特徴
とする。
【0021】電力供給ユニットを容器内に収納し、この
容器により電力供給ユニットを外部から絶縁すると共に
衝撃から保護し、さらにこの電力供給ユニットから生じ
た電磁場をシールドすることが好ましい。容器によって
封止された空間内に例えばSF6 のようなガスを介在させ
ることにより、電力供給ユニットで生じた熱を外部に放
出させることができる。以下、図面に基いて本発明によ
る帯電粒子ビーム装置を詳細に説明する。
【0022】
【実施例】図1は電子顕微鏡1の形態の帯電粒子ビーム
装置の構成を示す。電子顕微鏡1はカラム3を具え、こ
のカラムに沿って粒子−光学素子、特に電子レンズ5及
び7を配置する。電子源9は熱陰極11の形態のエミッタ
を具え、この熱陰極11は例えばW又はLaB6のニールド及
びウェーネル電極12を有している。電子源9から電子ビ
ームを放出する。この電子ビームは数nA程度の調整可能
なビーム電流を形成すると共に例えば10μm 径のクロス
オーバを有している。ビーム電流はウェーネル電極に印
加される電圧を変えることにより調整することができ
る。陽極系13により陰極11から放出された電子を例えば
数100KeVのエネルギーまで加速する。尚、陽極13に印加
される電圧は、図示しない電力供給源を介して20KVのス
テップで200 〜300KV まで増大される。カラム3を経て
電子ビームは電子レンズによって試料室21内に配置した
物体上に結像する。電子レンズはレンズ5及び7によっ
て線図的に図示したが、デュアルコンデンサ系、対物レ
ンズ、回折レンズ、中間レンズ及び放射系を有すること
ができる。これらの素子を経た後、物体から放出された
電子は、例えば写真プレートのような結像面15上に入射
し、物体は例えば800,000 倍の倍率で撮像される。走査
電子顕微鏡(SEM) を利用した別の方法においては、電子
ビームは試料室21内に配置した物体上に点状に集束し物
体に沿ってラスタ偏向される。物体の照射点から発生し
た電子は検出され、検出信号が物体を走査する電子ビー
ムと同期してテレビジョンモニタ上に表示される。イオ
ン化ポンプ17を介して、エミッタ室19内の圧力を10-7
ールに等しくする。オイル拡散ポンプ23により、結像面
15の空間を10-4トール程度の真空にする。
【0023】物体を正確に結像するためには、電子レン
ズを安定にする必要があるだけでなく、電子源9も機械
的な振動、電磁場及び供給電圧の変動から乱されないよ
うにする必要があり、特に熱放射によるエミッタを用い
る場合これらの外乱の影響を受けないようにする必要が
ある。この理由は、エミッタ室19はカラム3から離れた
側においてカラムジャケットに強固に連結されず、カラ
ム3に対してエミッタ室19が変位する可能性があるため
であり、エミッタ室が変位すると結像作用が乱され易く
なってしまう。さらに、隣接する電子回路からの電磁場
により電子源9の作用も乱され易い。さらに、電子源用
の高電圧を供給する給電リード部を介して入力する干渉
作用も電子ビームの安定性に悪影響を及ぼすおそれがあ
る。図2は本発明による電子粒子ビーム装置の以下の部
分を示す。エミッタ室19は例えばフィールド放射型のエ
ミッタ11を有し、環状電極系25を介してカラムジャケッ
ト10に強固に連結する。電極系25は引き出し陽極12、集
束電極及び電子ビームを加速するための別の電極27を具
える。電極系25はフランジ33を有し、このフランジ33は
カラムジャケットのフランジ35に支持され、この結果エ
ミッタ室19及び電極系25はカラム3に対して固定される
と共に保守のため比較的容易に取りはずすことができ
る。
【0024】エミッタ室19のカラム3から離れた側37に
ポンプ装置39を固定し、このポンプ装置によりエミッタ
室19の真空度を10-9トールから10-10 トールまで上昇さ
せる。エミッタ室19とポンプ装置39との間の距離が短い
ため、ポンプ装置とエミッタ室との間の給電ラインを短
くすることができ、真空にすべき空間を減少させること
ができる。ポンプ装置39が図示のようなイオン化ポンプ
で構成される場合、カラム3の延長上にポンプ装置を配
置することは極めて有益である。この理由、イオン化ポ
ンプによって発生した磁場がカラム3の長手軸線に対し
て対称的に形成されるのでエミッタ11に作用する外乱作
用が減少するためである。イオン化ポンプ39は、エミッ
タ室19に連結されているシールド電極41により封止す
る。シールド電極41は、ポンプ装置39と容器43との間の
放電を阻止するように作用する。長手軸線40と直交する
方向に電力供給ユニット47を配置し、この電力供給ユニ
ットは弾性コンタクト49を介して電子源9に接続する。
電力供給ユニット47は電圧源47a と、エミッタに電流を
供給する電流源47b と、引出陽極12に引出電圧を印加す
ると共にビームブランキング電圧を印加する電圧源47c
及び47d と、イオン化ポンプ39に接続されている電圧源
とを具える。電圧源47a は図示しない集束電極に接続
し、この集束電極はエミッタ11の近傍に配置する。これ
ら電圧源及び電流源47a 〜47eは制御ユニット50により
制御する。弾性接点49は、エミッタ11に電流を供給し、
陽極に引出電圧を印加し、エミッタ11の近傍に位置し電
子ビームを集束させる別の電極に電圧を印加し、ポンプ
装置39に電圧を印加するように作用する。尚、ポンプ装
置39はイオン化ポンプとすることが好ましい。制御ユニ
ット50は光ファイバ系51の形態の光伝送体を介して例え
ばコンピュータのような制御ユニット(図示せず)に接
続する。制御ユニットは電子源19のビーム電流及び電極
25の高電圧用の調整値を光信号の形態で制御ユニット50
に供給する。電力供給ユニットが電子源9の近傍に配置
されているから、電子源及び電力供給ユニットを接続す
る高電圧ケーブルを省くことができる。この結果、高圧
ケーブルを介して電子源に悪影響を及ぼすおそれが低減
されると共に電子顕微鏡の周囲の有用な空間が増大す
る。電力供給ユニットも外部電磁場をシールドする容器
により包囲する。好ましくは、高いブレークダウン電圧
を有し熱伝導性ガス例えばSF6を容器43内に封入する。
【0025】本発明は走査型又は透過型の電子顕微鏡だ
けに限定されず、半導体回路を検査するための電子ビー
ム検査装置、及び例えばイオン注入装置やイオンビーム
リソグラフィ装置のようなイオンビーム装置にも同様に
適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は既知の帯電粒子ビーム装置の構成を示す
線図である。
【図2】図2は本発明による帯電粒子ビーム装置のエミ
ッタ室、ポンプ装置及び電力供給ユニットの配置構成を
示す縦方向断面図である。
【符号の説明】
3 カラム 5,7 電子レンズ 9 電子源 10 カラムジャケット 11 エミッタ 19 エミッタ室 39 ポンプ装置 43 容器 47 電力供給ユニット 50 制御ユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 590000248 Groenewoudseweg 1, 5621 BA Eindhoven, T he Netherlands (56)参考文献 特開 昭58−128646(JP,A) 実開 昭55−76000(JP,U) 実開 昭57−199945(JP,U) 実開 昭50−130258(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 37/06 H01J 37/16 H01J 37/18 H01J 37/248

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯電粒子ビームを放出する帯電粒子源
    と、カラムジャケットにより包囲され、帯電粒子ビーム
    を加速及び集束させるように作用する粒子−光学系素子
    が設けられているカラムとを具え、前記帯電粒子源が、
    環状電極系に固定されているエミッタ室内に収納されて
    いるエミッタを有し、前記環状電極系が、前記カラムに
    対して同軸状に配置されると共に前記カラムジャケット
    に連結されている帯電粒子ビーム装置において、 前記エミッタ室のカラムとは反対側に、前記エミッタ室
    と協働するポンプ装置を固定し、このポンプ装置をカラ
    ムの延長線上に位置することを特徴とする帯電粒子ビー
    ム装置。
  2. 【請求項2】 前記環状電極系がフランジ部を有し、こ
    のフランジ部が前記カラムジャケットのフランジ部に支
    持されていることを特徴とする請求項1に記載の帯電粒
    子ビーム装置。
  3. 【請求項3】 前記ポンプ装置をイオン化ポンプで構成
    したことを特徴とする請求項1又は2に記載の帯電粒子
    ビーム装置。
  4. 【請求項4】 前記ポンプ装置を前記エミッタ室に連結
    したシールド電極によって包囲し、前記シールド電極を
    カラムジャケットに強固に連結した容器内に配置したこ
    とを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記
    載の帯電粒子ビーム装置。
  5. 【請求項5】 電力供給ユニットを有し、この電力供給
    ユニットを、前記エミッタ室とほぼ同一の高さであって
    カラムの中心軸線の側方に配置すると共に、前記帯電粒
    子源に電気的に接続したことを特徴とする請求項1から
    3までのいずれか1項に記載の帯電粒子ビーム装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の帯電粒子ビーム装置に
    おいて、前記電力供給ユニットを、前記シールド電極の
    開口部を経て弾性接点により前記帯電粒子源に電気的に
    接続したことを特徴とする帯電粒子ビーム装置。
  7. 【請求項7】 制御ユニットを有し、この制御ユニット
    を、光ファイバを介して前記電力供給ユニットに接続し
    て印加電圧値及び供給電流値を調整するように構成した
    ことを特徴とする請求項5又は6に記載の帯電粒子ビー
    ム装置。
  8. 【請求項8】 前記ポンプ装置を前記エミッタ室に連結
    したシールド電極によって包囲し、前記シールド電極を
    カラムジャケットに強固に連結した容器内に配置し、前
    記電力供給ユニットを、前記容器によって同様に包囲す
    ると共にこの容器の壁部に固定したことを特徴とする請
    求項5、6又は7に記載の帯電粒子装置。
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