JP3116578B2 - 耐熱合金の高温摺動部表面処理法 - Google Patents

耐熱合金の高温摺動部表面処理法

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JP3116578B2
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博 服部
正昭 堀内
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石川島播磨重工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐摩耗性の向上、固着防
止を図ることができる耐熱合金の高温摺動部表面処理法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ボイラ配管のスライドステーやガ
スタービン翼のねじり角度可変支持機構のような摺動部
材は、高温雰囲気下における機械的性質や耐食性が優れ
ているNi基或いはCO基の耐熱合金、或いはこれらの
耐熱合金に酸化処理を施したものが用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た表面が未処理の耐熱合金、又は表面に酸化処理を施し
た耐熱合金は高温雰囲気下で使用すると摺動面となる表
面は時間的な経過にともなって耐摩耗性が低下し固着す
る等の問題を有していた。
【0004】本発明の目的は、上記従来の問題点に鑑み
てなしたもので、耐摩耗性の向上、固着防止を図ること
ができる耐熱合金の高温摺動部表面処理法を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本手段のうち第1の手段
は、Ni基或いはCO基の耐熱合金より構成された摺動
表面をクロム粉末で覆ったうえクロマイズ・コーテング
処理をしてクロム富化層を形成し、1000〜1100
℃の近傍の大気中で加熱して表面部に高温酸化膜を形成
させるとともに、該高温酸化膜の直下に内部酸化により
生成されたクロム酸化物粒子を微細に分散させ、その後
切削、研磨等により前記高温酸化膜を除去するものであ
り、又第2の手段はNi基或いはCO基の耐熱合金より
構成された摺動表面をアルミニウム粉末で覆ったうえア
ルミナイズ・コーテング処理をしてアルミニウム富化層
を形成し、1000〜1100℃の近傍の大気中で加熱
して表面部に高温酸化膜を形成させるとともに、該高温
酸化膜の直下に内部酸化により生成されたアルミニウム
酸化物粒子を微細に分散させ、その後切削、研磨等によ
り前記高温酸化物膜を除去するものである。
【0006】
【作用】何れの手段においても、耐熱合金の高温摺動部
表面の耐摩耗性は向上し、固着防止が図られる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。
【0008】図1及び図2は本発明の一実施例を示す。
【0009】図1において、Ni基或いはCO基の耐熱
合金1で構成される部材の摺動面の表面をクロム粉末で
覆ったうえクロマイズ・コーテング処理をしてクロム富
化層2を形成し、1000〜1100℃の近傍の大気中
で加熱して表面部に高温酸化膜を形成するとともに、該
高温酸化膜の直下に内部酸化により生成されたクロム酸
化物(Cr23)粒子3を微細に分散させ、その後切
削、研磨等により前記高温酸化膜を除去することにより
本発明のものが得られる。
【0010】図2は、表面未処理シャフト及び表面処理
シャフトの高温摺動部表面における時間の経過に伴なう
摩耗量の比較結果を示す。
【0011】すなわち、材質としてNi基の耐熱合金イ
ンコネル713Cで作られたシャフト4(図3参照)の
表面を(A)未処理のもの、(B)高温加熱して酸化皮
膜を生成したもの、(C)クロマイズ・コーテング処理
をしてクロム富化層を形成し、高温加熱して表面直下に
クロム酸化物粒子を微細に分散させた本発明のものを9
00℃で20Kgf負荷にて夫々図3に示すセラミック
(Si34)製スリーブ5に対して嵌合させて摺動表面
における時間の経過に伴うシャフトの摩耗量の変化を示
している。ここで、インコネルは登録商標である。
【0012】図2で明らかなように本発明の(C)は他
のものの(A)及び(B)と比較して優れた耐摩耗性を
有していることが判る。又、摩擦係数が小さいため固着
防止の効果が達成できる。
【0013】図4は本発明の他の実施例を示す。
【0014】耐熱合金1で構成される部材の摺動面の表
面をアルミニウム粉末で覆ったうえアルミナイズ・コー
テング処理してアルミニウム富化層6を形成し、100
0〜1100℃の近傍の大気中で加熱して表面部に高温
酸化膜を形成するとともに、該高温酸化膜の直下に内部
酸化により、生成されたアルミニウム酸化物(Al
23)粒子7を微細に分散させ、その後切削、研磨等に
よって前記高温酸化物を除去して本発明のものが得ら
れ、その結果、上記の実施例と同様に優れた耐摩耗性を
有し、固着防止の効果が達成できる。
【0015】
【発明の効果】上記した本発明の耐熱合金の高温摺動部
表面処理法によれば高温域における耐摩耗性が向上し固
着を防止することができる優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐熱合金の高温摺動部表面処理法の一
実施例を示す縦断面図である。
【図2】表面未処理シャフト及び表面処理シャフトの高
温摺動部表面における時間経過に伴なう摩耗量の比較を
示すものである。
【図3】スリーブに対しシャフトを摺動させた状態を示
すものである。
【図4】本発明の耐熱合金の高温摺動部表面処理法の他
の実施例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 耐熱合金 2 クロム富化層 3 クロム酸化物粒子 4 シャフト 5 スリーブ 6 アルミニウム富化層 7 アルミニウム酸化物粒子

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni基或いはCO基の耐熱合金より構成
    された摺動表面をクロム粉末で覆ったうえクロマイズ・
    コーテング処理をしてクロム富化層を形成し、1000
    〜1100℃の近傍の大気中で加熱して表面部に高温酸
    化膜を形成させるとともに、該高温酸化膜の直下に内部
    酸化により生成されたクロム酸化物粒子を微細に分散さ
    せ、その後切削、研磨等により前記高温酸化膜を除去す
    ることを特徴とする耐熱合金の高温摺動部表面処理法。
  2. 【請求項2】 Ni基或いはCO基の耐熱合金より構成
    された摺動表面をアルミニウム粉末で覆ったうえアルミ
    ナイズ・コーテング処理をしてアルミニウム富化層を形
    成し、1000〜1100℃の近傍の大気中で加熱して
    表面部に高温酸化膜を形成させるとともに、該高温酸化
    膜の直下に内部酸化により生成されたアルミニウム酸化
    物粒子を微細に分散させ、その後切削、研磨等により前
    記高温酸化物膜を除去することを特徴とする耐熱合金の
    高温摺動部表面処理法。
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