JP3115729B2 - 難燃性通信ケーブル - Google Patents

難燃性通信ケーブル

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JP3115729B2 JP05069172A JP6917293A JP3115729B2 JP 3115729 B2 JP3115729 B2 JP 3115729B2 JP 05069172 A JP05069172 A JP 05069172A JP 6917293 A JP6917293 A JP 6917293A JP 3115729 B2 JP3115729 B2 JP 3115729B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は火炎の拡散と煙の発生を
抑えるのに適した難燃性通信ケーブルに関する。
【０００２】
【従来の技術】ビル内に配置される難燃性通信ケーブル
は、ナショナルエレクトリクコード（ＮＥＣ）による規
格を満足しなければならないかあるいはアンダーライタ
ーラバラトリ（ＵＬ）の試験をパスしなければならな
い。従来の火炎拡散防止と発煙防止用のケーブルには、
図３に示すように、皮殻層が含まれている。この従来の
ケーブルはコアを包囲する多孔性の無機物質製皮殻層
と、シームを形成する軸方向端部を有する金属（製）皮
殻層を有している。熱を遮閉するための金属皮殻層は約
０．０３９〜０．０５７の範囲の放射率を有している。
この金属皮殻層は半透明で、低い熱拡散性能を有する内
部テープでカバーされている。このようなケーブルの例
として米国特許第４２８４８４２号に開示されたものが
ある。
【０００３】エチレン共重合体を有するバリア材料に関
しては、ヨーロッパ特許出願第０２４８４０４号を参照
のこと。高周波数と高いビットレートが使用される通信
ケーブルにおいては、比較的低い誘電特性が好ましい。
しかし、従来の絶縁材料、例えば、ポリエチレンのよう
なものは誘電率は比較的低いが、難燃性の問題は解決で
きていない。電気的特性の観点から望ましい有機レジン
を使用する従来の解決方法としては、火炎の発生を抑え
る添加物を使用することである。しかし、この方法にも
限界があり、この難燃性添加物は火炎の発生を遅らせる
のみで、一旦臨界温度に達するとその機能はすぐに損な
われてしまう。またハロゲン化物に隣接する難燃性材料
は煙を発生させ浸食性ガスを生成してしまう。さらに、
低重量のハロゲン化物と隣化物とを添加することによ
り、得られた材料の機械的特性に影響するようなプラス
チックを生成することもできる。このように相反する電
気的特性（低誘電率対難燃性と火炎拡散と発煙防止）等
を同時に満たすような通信ケーブルは従来存在しなかっ
た。熱遮閉材料としてハロゲンプラスチック材料を用い
ることも考えられるが、例えば、ポリ塩化ビニル（ＰＶ
Ｃ）は難燃性の点については満足するが、誘電率が高い
点で不利である。しかし、近年光ファイバケーブルが使
用されるようになり、前記の誘電特性の問題にはあまり
関心が払われずに、非ハロゲン材料による浸食性の問題
に関心があ払われるようになっている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低誘電特性
と高難燃特性（火炎拡散と発煙防止）の両方を満足する
ケーブルを提供することである。しかも、さらに製造し
やすいケーブルを提供することである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明の難燃性通信ケー
ブルは、請求項１に記載した構造を有する。
【０００６】
【実施例】図１において、光ファイバケーブル２０は、
図２に示すビルディングのプレナム２１のような顧客の
構内において使用される。この光ファイバケーブル２０
はビルディングの立ち上がり部（図示せず）にも使用さ
れる。図１に示すように光ファイバケーブル２０はコア
２２を有し、このコア２２は絶縁被覆金属導体２６−２
６または光ファイバ（図示せず）の導体対２４−２４の
ような信号伝送媒体を含む。コア２２の外周上に難燃性
プラスチック材料製のジャケット２９が配置される。
【０００７】絶縁被覆金属導体２６は、軸方向に伸びる
金属導体３２と絶縁カバー３４とを有する（図３）。好
ましくは、絶縁カバー３４はポリエチレン材料製で誘電
係数εの低いものが好ましい。絶縁カバー３４として使
用しやすい材料は、ポリエチレンまたはその共重合材料
である。光ファイバケーブルへの応用例には、エンジニ
アリング熱可塑性材料のような機械的特性のよいものが
好ましい。
【０００８】周知のようにポリエチレン材料は難燃特性
が良好ではない。誘電特性は良好だが難燃特性は良好で
はないという二律背反の為、この二つの特性に関しては
妥協せざるをえないことになる。本発明のケーブルはこ
の二律背反する特性の両方を満足させるものである。こ
のように二律背反の関係にある特性を得るために、本発
明のケーブルは、火元とプラスチック絶縁物との間に皮
殻層を形成するバリア材料を挿入する。図１の実施例の
バリア材料はジャケット２９内に含まれる。
【０００９】本発明のバリア材料は、有機ベースレジン
と添加物とからなる。この有機ベースレジンは、ポリマ
材料とポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）またはゴムを含む。こ
のポリマ材料は、ポリエチレンあるいはエチレンと、プ
ロピレン、プチレン、ペンテン、ヘキセン、Ｃ1からＣ6
のアルキルアクリレートあるいはアルキルメタクリレー
ト、アクリル酸、メタクリ酸、ビニルアセテートからな
るグループから選択されたコモノマとの共重合体材料で
ある。
【００１０】この添加物は、少なくとも低溶融点の第１
無機酸化物成分と高溶融点の第２無機酸化物成分とから
なる。この第１無機酸化物成分は、３５０℃から４５０
℃の温度で溶融を開始する。これは一般的にガラスの溶
融温度より低い温度である（英国特許第２２２０２０８
号を参照のこと）。これらの無機酸化物成分は、フリッ
トと称する。この実施例において、この成分はガラス材
料とセラミック材料の混合物を含む。
【００１１】この添加物の第１無機酸化物成分として使
用されるガラスは、燐酸塩ガラス例えば無機酸化物ガラ
スで以下のモル％の材料を含む。すなわち、１．２〜
３．５モル％のＢ2Ｏ3と、５０〜７５モル％のＰ2Ｏ
5と、０〜３０モル％のＰｂＯと、０〜５モル％の次の
元素Ｃｕ、Ａｇ、Ａｕ、Ｓｃ、Ｙ、Ｌａ、Ｔｉ、Ｚｒ、
Ｈｆ、Ｖ、Ｎｂ、Ｔａ、Ｃｒ、Ｍｏ、Ｗ、Ｍｎ、Ｔｃ、
Ｒｅ、Ｆｅ、Ｃｏ、Ｎｉ、Ｒｕ、Ｒｈ、Ｐｄ、Ｏｓ、Ｉ
ｒ、Ｐｔ、Ｃｅ、Ｐｒ、Ｎｄ、Ｐｍ、Ｓｍ、Ｅｕ、Ｇ
ｄ、Ｔｂ、Ｄｙ、Ｈｏ、Ｅｒ、Ｔｍ、Ｙｂ、Ｌｕ、Ｔ
ｈ、Ｕの酸化物から選択された酸化物を含み、更に、ア
ルカリ金属酸化物から選択された酸化物と、アルカリ土
金属酸化物と酸化塩から選択された酸化物とを含む。し
かし特に鉛酸化物（ＰｂＯ）が１０〜３０モル％で、Ｐ
2Ｏ5が５０〜５８モル％のときに好ましいガラス成分と
なる（米国特許第４０７９０２２号を参照のこと）。
【００１２】６５０℃から１０００℃の間の温度では、
高固溶点の第２無機酸化物成分は、結晶化している（す
なわちガラス状態から結晶状態にある）フリットであ
り、ケーブルの内部部分をシールする皮殻層を形成す
る。第２無機酸化物成分は１１００℃の温度まで硬いま
までいるのが望ましい。この第２無機酸化物成分は、セ
ラミックファイバ及び／またはバサルト（玄武岩）ファ
イバを細かくしたものである。好ましいセラミックファ
イバは、多結晶ムライトファイバ（Ａｌ2Ｏ3／Ｓｉ
Ｏ2）である（英国特許第２２２０２０８号参照のこ
と）。
【００１３】ガラス材料とセラミック材料の混合物とし
て市販されているものは、ＩＣＩ社のＣｅｅｐｒｅｅフ
ァイババリア充填材である。この添加物は、他の成分を
含んでもよい。この他の成分の例は、水和物成分または
水酸化物成分あるいは二価または三価金属の炭酸塩であ
る。この成分は、分解時吸熱しながら、水蒸気または二
酸化炭素を発散し火炎の拡散を防止し機材を冷却し可燃
性ガスを拡散することによって火炎の広がりを遅延させ
る。また無機燐酸塩あるいは有機燐酸塩も添加可能で、
これにより炭化形成を速める。この燐酸塩は、爆発剤を
含むことによる炭化により膨張する。添加物に含める他
の成分としては、亜鉛ホウ酸塩があり、これは水蒸気を
発生し発煙を減少させながら、バリア形成用皮殻材とし
て機能する。また添加物に含める他の成分としてのマイ
カは、水和物金属成分とともに難燃性の相互作用を提供
し、熱バリアを提供する。他の成分としては高温高熱に
曝されたときに分解して多孔性のセラミックの灰の泡を
形成する。このセルが熱の移動に対してバリアとなる。
【００１４】本発明のケーブルの第１無機酸化物成分で
あるガラスフィラメントまたはガラス粒子は、３５０℃
以内のある温度になると溶け始める。これは、１５００
℃の範囲内で溶けるガラス成分のバラツキの範囲内であ
る。この溶融により、燃焼中のベースレジンの周囲にガ
ラス材料が流れることになる。この燃焼中のレジン、ま
たは分解していないその一部は、ガラス材料により覆わ
れる。このガラス材料により皮殻層が形成されることに
よりコアが酸素に触れることができず、炭素質の分解生
成物からの発煙が阻止される。これにより、非常に安定
した炭化構造が生成されて、煙の発生が抑えられる。第
１無機酸化物成分は、皮殻層を形成し爆発材料とともに
溶融し炭化しファイバ及び他の充填材を強化する。
【００１５】約６５０℃以上の温度で高融点の第２無機
酸化物成分は、ガラス状から結晶状態に変化する。その
結果、添加物の粘性が増加し、成分は固化して固体状に
なる。この第２のフリットである第２無機酸化物成分が
固化する際に、有機ベースレジンからの炭素を保持す
る。その結果硬い保護皮殻層が形成される。この皮殻層
は煙有毒ガスの通過を阻止する。かくして、この皮殻層
はその下の材料を覆い、爆発材料とともに溶融し炭化し
ファイバと充填材を強化する。この得られた結晶構造に
より１１００℃の温度まで熱的保護を提供する。
【００１６】ガラス材料とセラミック材料の混合物は発
火を遅らせるものではないが、ベースレジンとともに熱
エネルギーが通過するのを阻止し、ケーブルの完全性を
維持する。発火の遅れは、前記の炭化添加物と水和物と
によって行われる。ガラスセラミック混合物は、様々な
方法で光ファイバケーブル２０内に実現できる。例え
ば、ガラスフィラメントまたはガラス粒子をケーブルに
使用される他のプラスチック材料とともに引き抜くより
形成することもできる。光ファイバケーブルにおいて
は、このガラスを光ファイバのコアを包囲する通常プラ
スチック部材を含むコアチューブとともに引き抜くこと
により形成することもできる。
【００１７】図３において、従来のケーブル４０は、コ
ア４２を有し、このコア４２は、複数の対の絶縁被覆金
属導体２６−２６を有する。この絶縁被覆金属導体２６
は、金属導体３２と絶縁カバー３４とを含む。このコア
４２は、その周囲に螺旋状また軸方向（図示せず）に卷
回され軸方向継ぎ目４６を形成するテープ４４を有し、
このテープ４４をジャケット４８が包囲する。ジャケッ
ト４８は、難燃性ポリエチレンまたはその共重合体また
はポリ塩化ビニル製である。
【００１８】従来技術においては、このテープ４４が皮
殻層を提供し、爆発性のガス煙の通行を阻止する。この
テープ４４は、熱硬化性ポリエチレン、またはその共重
合体、あるいはポリ塩化ビニル、またはエポキシのよう
な固化システムのようなベースレジンと添加物とを含
む。この添加物には、低融点フリット例えば３５０℃で
溶解を開始するようなガラスと、高融点不透過フリット
で結晶化し皮殻層を提供するようなものが含まれる。
【００１９】図４において、本発明のケーブル５０は、
コア５２を含み、このコア５２は絶縁被覆金属導体２６
−２６、あるいは光ファイバ（図示せず）からなる導体
対２４−２４を含む。このコア５２の上にジャケット５
４が配置され、このジャケット５４は、ポリエチレンま
たはその共重合体あるいはポリ塩化ビニルあるいはＥＰ
ＤＭラバーとのプラスチック材料製である。ジャケット
５４の周囲にバリア（皮殻）層５６が配置され、このバ
リア（皮殻）層５６は、３５０℃以上の温度に曝される
と、皮殻層を形成する。このバリア（皮殻）層５６は、
ジャケット５４とともに引き抜くことにより形成され
る。特殊な応用においては、図５において、本発明のケ
ーブル６０は、コア６２とジャケット６４とを含み、ジ
ャケット５４の内表面と係合するバリア（皮殻）層６６
を含むこともできる。
【００２０】図１の実施例において、ジャケットは、１
０〜５０重量％のポリマベース材料と５〜６０％の無機
酸化物成分の添加物と５〜４０％の無機酸化物成分とを
含む。図４、５に示される共引き抜き層が使用される場
合には、各成分は、ケーブルの特性例えば機械的特性に
依存する。共引き抜き皮殻層の典型的な成分は、１０〜
５０％のポリマベース材料と５〜７０％の無機酸化物成
分の添加物システムと５〜６０％の無機酸化物成分とか
らなる。
【００２１】
【発明の効果】本発明のバリアシステムをケーブル材料
のコアに使用すると、好ましい誘電体特性と比較的安価
で、難燃性、例えば、ＴＥＦＬＯＮプラスチックのよう
な難燃性特性が得られる。本発明のバリアシステムによ
れば、好ましい誘電体材料としてコア内で使用でき、ジ
ャケットまたはテープとしてはコアをシールし、火炎の
拡散を防ぎ発煙を防止する。本発明のケーブルの皮殻層
の機能は難燃性添加物のそれとは異なる。本発明の皮殻
層は着火を遅らせるだけでなく、火が拡散することを防
止し、煙の発生を押え、ケーブルの通信機能の損傷を最
小限にし、さらに、機械的特性を維持する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のケーブルの断面図である。
【図２】本発明のケーブルが用いられる使用状況を示す
ビルディングの一部を示す図である。
【図３】従来のケーブルの断面図である。
【図４】本発明の他の実施例を示すケーブルの断面図で
ある。
【図５】本発明の他の実施例のケーブルを示す断面図で
ある。
【符号の説明】
２０ 光ファイバケーブル ２２ コア ２４ 導体対 ２６ 絶縁被覆金属導体 ２９ ジャケット ３２ 金属導体 ３４ 絶縁カバー ４０ 本発明のケーブル ４２ コア ４４ テープ ４６ 軸方向継ぎ目 ４８ ジャケット ５０ 本発明のケーブル ５２ コア ５４ ジャケット ５６ バリア（皮殻）層 ６０ 本発明のケーブル ６２ コア ６４ ジャケット ６６ バリア（皮殻）層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平２−209947（ＪＰ，Ａ) 特開 昭53−13641（ＪＰ，Ａ) 特開 昭58−175209（ＪＰ，Ａ) 実開 昭62−37114（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) H01B 7/295 H01B 11/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 通信媒体（２４）を含むコア（２２）
    と、 前記コア（２２）を包囲し難燃性手段を含むジャケット
    （２９）とを有する難燃性通信ケーブルにおいて、 前記ジャケット（２９）は、引き抜きプロセスで前記難
    燃性手段と一体に形成され、 前記難燃性手段は、 約３５０℃の温度で溶融する第１無機酸化物成分と、 約６５０℃の温度で結晶化する第２無機酸化物成分と、 有機プラスチックベースレジンと、 からなり、 前記難燃性手段は、約３５０℃から約１０００℃の範囲
    の温度で、前記コア（２２）を熱エネルギーから絶縁し
    可燃性ガス及び煙の発生を最小にする皮殻層を形成し、 前記有機プラスチックベースレジンは、ポリ塩化ビニル
    と、ポリオレフィンと、ポリウレタンと、それらの共重
    合体とからなるグループから選択されることを特徴とす
    る難燃性通信ケーブル。
  2. 【請求項２】 前記ポリオレフィンは、ポリエチレンと
    ポリプロピレンとからなるグループから選択されること
    を特徴とする請求項１のケーブル。
  3. 【請求項３】 前記共重合体は、プロピレンと、ブチレ
    ンと、ペンテンと、ヘッキセンと、Ｃ1からＣ6のアルキ
    ルアクリレートと、Ｃ1からＣ6のアルキルメタクリレー
    トと、アクリル酸と、メタアクリル酸と、ビニルアセテ
    ートとからなるグループから選択された共重合体を含む
    ことを特徴とする請求項１のケーブル。
  4. 【請求項４】 前記難燃性手段は、水和金属成分と、二
    価または三価金属の水酸化物と、二価または三価金属の
    炭酸塩と、無機燐酸塩と、有機燐酸塩と、亜鉛ホウ酸塩
    と、マイカと、遷移金属コンプレックスと からなるグ
    ループから選択された添加物を含むことを特徴とする請
    求項１のケーブル。
  5. 【請求項５】 前記第１無機酸化物成分は、 Ｂ2Ｏ3を約１．２〜３．５％、 Ｐ2Ｏ5を５０〜７２％、 ＰｂＯを３０％以下、 Ｃｕ、Ａｇ、Ａｕ、Ｓｃ、Ｙ、Ｌａ、Ｔｉ、Ｚｒ、Ｈ
    ｆ、Ｖ、Ｎｂ、Ｔａ、Ｃｒ、Ｍｏ、Ｗ、Ｍｎ、Ｔｃ、Ｒ
    ｅ、Ｆｅ、Ｃｏ、Ｎｉ、Ｒｕ、Ｒｈ、Ｐｄ、Ｏｓ、Ｉ
    ｒ、Ｐｔ、Ｃｅ、Ｐｒ、Ｎｄ、Ｐｍ、Ｓｍ、Ｅｕ、Ｇ
    ｄ、Ｔｂ、Ｄｙ、Ｈｏ、Ｅｒ、Ｔｍ、Ｙｂ、Ｌｕ、Ｔ
    ｈ、Ｕからなるグループから選択された元素との酸化物
    を５％以下含むことを特徴とする請求項１のケーブル。
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