JP3114380B2 - Se化合物中の窒素の定量分析方法 - Google Patents
Se化合物中の窒素の定量分析方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明方法は、二次イオン質量分
析を用いZnSe膜等のSe化合物中の低濃度の窒素
(N)を深さ方向定量分析するための分析方法に関す
る。
析を用いZnSe膜等のSe化合物中の低濃度の窒素
(N)を深さ方向定量分析するための分析方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ZnSeは青色半導体レーザー用材料
(300Kにおける波長が400〜550nm)として
使用されているザーズ族化合物で、近年研究開発が著し
い。このZnSeを用いたレーザーのP型ドーパントと
しては、Li,O、N等が、N型ドーパントとしてはC
l,Gaが用いられている。これらのドーパント濃度や
PN接合を評価する方法として、フォトルミネッセンス
法や二次イオン質量分析法(Secondary Io
n Mass Spectrometry:SIMS)
が用いられている。
(300Kにおける波長が400〜550nm)として
使用されているザーズ族化合物で、近年研究開発が著し
い。このZnSeを用いたレーザーのP型ドーパントと
しては、Li,O、N等が、N型ドーパントとしてはC
l,Gaが用いられている。これらのドーパント濃度や
PN接合を評価する方法として、フォトルミネッセンス
法や二次イオン質量分析法(Secondary Io
n Mass Spectrometry:SIMS)
が用いられている。
【0003】SIMSは固体材料中の微量不純物を最も
高感度に分析できる方法として従来から、半導体をはじ
めとする種々の電子材料や上記ザーズ族化合物の評価に
多用されている方法である。この方法は水素を含む全元
素の深さ方向分析ができる有効な方法であるが、元素間
や材料によって二次イオン化率が大きく異なり、感度差
の著しいことが欠点である。特にNは元素の中でもイオ
ン化率が極めて低いために高感度分析が難しい。一般的
にNを高感度分析する方法として、一次イオンにCs+
を用い、二次イオンとしてマトリックスイオンとNが結
合した分子イオンが用いられている。Si中のNを分析
する場合は、SiN-イオンを測定する方法が最も高感
度に分析できる。
高感度に分析できる方法として従来から、半導体をはじ
めとする種々の電子材料や上記ザーズ族化合物の評価に
多用されている方法である。この方法は水素を含む全元
素の深さ方向分析ができる有効な方法であるが、元素間
や材料によって二次イオン化率が大きく異なり、感度差
の著しいことが欠点である。特にNは元素の中でもイオ
ン化率が極めて低いために高感度分析が難しい。一般的
にNを高感度分析する方法として、一次イオンにCs+
を用い、二次イオンとしてマトリックスイオンとNが結
合した分子イオンが用いられている。Si中のNを分析
する場合は、SiN-イオンを測定する方法が最も高感
度に分析できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ZnSe膜中のNを分
析する場合は、Siの場合と同様に一次イオンとしてC
s+を用い、二次イオンとしてマトリックスイオンとN
結合した分子イオンSeN-を用いると最も高感度分析
が可能となる。しかし、本発明者らは、ZnSe膜中の
Nの分析を検討しているうちに、以下のことを見いだし
た。
析する場合は、Siの場合と同様に一次イオンとしてC
s+を用い、二次イオンとしてマトリックスイオンとN
結合した分子イオンSeN-を用いると最も高感度分析
が可能となる。しかし、本発明者らは、ZnSe膜中の
Nの分析を検討しているうちに、以下のことを見いだし
た。
【0005】Nの質量が14,15でさらにSeには、
質量が74,76,77,78,80,82と同位体が
多く存在するため、その分子イオンであるSeN-は質
量88〜97範囲に広く分布することになる。一方、S
eC-,SeO-の質量が86〜101の範囲で介在する
ため、すべてのSeN-の質量にSeC-,SeO-の質
量が重なることになる。このため、ZnSe膜中およ
び、界面に存在する炭素(C)、酸素(O)により質量
干渉を受けて、Nのプロファイルを正確に測定すること
が困難で、かつ測定精度の低下や検出下限が高くなるこ
とにより、低濃度レベルの評価を困難にしているのが現
状である。表1に代表的なSeN-についての質量分解
能(M/ΔM)を示す。
質量が74,76,77,78,80,82と同位体が
多く存在するため、その分子イオンであるSeN-は質
量88〜97範囲に広く分布することになる。一方、S
eC-,SeO-の質量が86〜101の範囲で介在する
ため、すべてのSeN-の質量にSeC-,SeO-の質
量が重なることになる。このため、ZnSe膜中およ
び、界面に存在する炭素(C)、酸素(O)により質量
干渉を受けて、Nのプロファイルを正確に測定すること
が困難で、かつ測定精度の低下や検出下限が高くなるこ
とにより、低濃度レベルの評価を困難にしているのが現
状である。表1に代表的なSeN-についての質量分解
能(M/ΔM)を示す。
【0006】
【表1】 M/ΔM値が大きくなるほど質量分離が困難であること
を示す。一般的な二重収束型SIMS装置で得られる最
高質量分解能はM/ΔM〜10000程度であること、
また、質量分析の原理上、分解能の上昇とともに得られ
る二次イオン強度が低下することを考慮すると、SeN
-によるN分析には限界がある。図5にSeN-を用いて
測定したZnSe膜中にNをイオン注入した標準試料
(注入エネルギー:40keV,注入ドーズ量:1E1
6ions/cm2)のデプスプロファイルを示す。この
結果、SeN-によって得られている検出下限は〜8E
17atoms/ccである。
を示す。一般的な二重収束型SIMS装置で得られる最
高質量分解能はM/ΔM〜10000程度であること、
また、質量分析の原理上、分解能の上昇とともに得られ
る二次イオン強度が低下することを考慮すると、SeN
-によるN分析には限界がある。図5にSeN-を用いて
測定したZnSe膜中にNをイオン注入した標準試料
(注入エネルギー:40keV,注入ドーズ量:1E1
6ions/cm2)のデプスプロファイルを示す。この
結果、SeN-によって得られている検出下限は〜8E
17atoms/ccである。
【0007】さらに、青色ダイオードや青色レーザーに
用いられるNドープP型ZnSe試料を作製する場合、
膜中にドープするN量を過剰にすると不活性センターが
発生し、P型の伝導性が得られない。図2にドープした
N量と得られるフォトルミ強度との関係を示すが、不活
性センターを抑制するためにはNドープ量としては<3
E18atoms/ccと低濃度にする必要がある。(大
川和宏:“分子線エピタキシー法により成長した不純物
添加ZnSe薄膜のフォトルミネッセンス特性と電気特
性に関する研究”,(1991))したがって、従来ま
でのSeN-を検出する方法では、青色ダイオード,青
色レーザーのNドープP型ZnSe試料の評価には不十
分である。さらに、Oについては、Nと同様にP型ドー
パントになりうるので、NドープP型ZnSe試料の評
価をおこなう上でNとOの分離は必要不可欠になる。
用いられるNドープP型ZnSe試料を作製する場合、
膜中にドープするN量を過剰にすると不活性センターが
発生し、P型の伝導性が得られない。図2にドープした
N量と得られるフォトルミ強度との関係を示すが、不活
性センターを抑制するためにはNドープ量としては<3
E18atoms/ccと低濃度にする必要がある。(大
川和宏:“分子線エピタキシー法により成長した不純物
添加ZnSe薄膜のフォトルミネッセンス特性と電気特
性に関する研究”,(1991))したがって、従来ま
でのSeN-を検出する方法では、青色ダイオード,青
色レーザーのNドープP型ZnSe試料の評価には不十
分である。さらに、Oについては、Nと同様にP型ドー
パントになりうるので、NドープP型ZnSe試料の評
価をおこなう上でNとOの分離は必要不可欠になる。
【0008】この発明はOの干渉のないNのみの二次イ
オンを解析でき、しかも、従来得られている検出下限を
さらに下げることを目的とする。
オンを解析でき、しかも、従来得られている検出下限を
さらに下げることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】ZnSe膜等のSe化合
物中のNの測定方法として、本発明はCsN+に着目し
たもので、一次イオンとしてCs+を用い、二次イオン
としてCsN+として147(133Cs+14N)+を用いる。
物中のNの測定方法として、本発明はCsN+に着目し
たもので、一次イオンとしてCs+を用い、二次イオン
としてCsN+として147(133Cs+14N)+を用いる。
【0010】
【作用】CsN+の場合は、感度はSeN-に比較して悪
いが、C,O等による質量干渉はなく、Nを単独に解析
できる可能性をもつ。しかし、質量147のCsN+の
場合にもマトリックス成分であるZn.Seに147(Z
n+Se)+が存在するため質量干渉が起こる。その質
量分解能(M/ΔM)を表2に示す。
いが、C,O等による質量干渉はなく、Nを単独に解析
できる可能性をもつ。しかし、質量147のCsN+の
場合にもマトリックス成分であるZn.Seに147(Z
n+Se)+が存在するため質量干渉が起こる。その質
量分解能(M/ΔM)を表2に示す。
【0011】
【表2】 通常、二重収束型SIMS装置でCsN+を測定する場
合の質量分析能はM/ΔM〜700程度であるが、表2
より、ZnSe+とCsN+を分離するために必要な質量
分解能はM/ΔM〜2300あり、また、一般的な二重
収束型SIMS装置で得られる最高質量分解能は〜10
000程度であることから分離可能であることがわか
る。
合の質量分析能はM/ΔM〜700程度であるが、表2
より、ZnSe+とCsN+を分離するために必要な質量
分解能はM/ΔM〜2300あり、また、一般的な二重
収束型SIMS装置で得られる最高質量分解能は〜10
000程度であることから分離可能であることがわか
る。
【0012】超高真空分析室内における残留ガスは主
に、H2O、ハイドロカーボンであること、また、測定
時におけるバックグランドは主に真空分析室内からの吸
着が原因であることを考慮すると、Oの質量干渉のある
SeN-より、CsN+の方が有効であると考えられる。
さらに、CsN+を用いることにより、上記したように
検出下限向上と、深さ方向分解能向上が得られる。
に、H2O、ハイドロカーボンであること、また、測定
時におけるバックグランドは主に真空分析室内からの吸
着が原因であることを考慮すると、Oの質量干渉のある
SeN-より、CsN+の方が有効であると考えられる。
さらに、CsN+を用いることにより、上記したように
検出下限向上と、深さ方向分解能向上が得られる。
【0013】
【実施例】図3に(Zn+Se)+とCsN+のマススペ
クトルを示す。質量分解能M/ΔM〜2500で高分解
能測定をおこなったものである。完全に(Zn+Se)
+とCsN+のピークが分離できているのがわかる。検出
下限を調べるために、ZnSe中にNをイオン注入した
標準試料を測定した結果を図1に示す。一次イオンとし
てCs+をZnSe膜に入射させ、発生する二次イオ
ン、CsN+を質量高分解能M/ΔM〜2500で高分
解能測定をおこなったプロファイルである。イオン注入
条件は注入エネルギー100keV,注入ドーズ量1E
15ions/cm2である。検出下限として〜3E16
atoms/ccが得られており、SeN-で得られた検
出下限〜8E17atoms/ccよりも約1.5ケタ検
出下限が向上しているのがわかる。さらに、検出下限を
向上させる目的で一次イオン電流量を上げた条件におい
て、〜5E15atoms/ccが得られた。この結果
は、SeN-に比較して約2.5ケタ向上している。
クトルを示す。質量分解能M/ΔM〜2500で高分解
能測定をおこなったものである。完全に(Zn+Se)
+とCsN+のピークが分離できているのがわかる。検出
下限を調べるために、ZnSe中にNをイオン注入した
標準試料を測定した結果を図1に示す。一次イオンとし
てCs+をZnSe膜に入射させ、発生する二次イオ
ン、CsN+を質量高分解能M/ΔM〜2500で高分
解能測定をおこなったプロファイルである。イオン注入
条件は注入エネルギー100keV,注入ドーズ量1E
15ions/cm2である。検出下限として〜3E16
atoms/ccが得られており、SeN-で得られた検
出下限〜8E17atoms/ccよりも約1.5ケタ検
出下限が向上しているのがわかる。さらに、検出下限を
向上させる目的で一次イオン電流量を上げた条件におい
て、〜5E15atoms/ccが得られた。この結果
は、SeN-に比較して約2.5ケタ向上している。
【0014】次に、実際の試料を解析した実施例を示
す。図4に試料構成図を示す。試料は青色レーザーのP
型層として用いられているNドープP型試料で、GaA
s基板1上にMBE(Molecular Beam
Epitaxy)法を用いノンドープZnSe膜2を
1.2μm作製した。そのZnSe膜2上にラジカルド
ープ法を用いNドープZnSe層3(3.2μm)を作
製したである。図4に示すが、試料に一次イオン(Cs
+)を入射させると、CsN+,N+,SeN-等の二次イ
オンが発生する。SIMSは発生した二次イオンを質量
分析することにより深さ方向の元素分析をおこなう方法
である。まず、図4試料中のNを、一次イオンにCs+
を用い、二次イオンSeN-で測定した結果を図6に示
す。SeN-を用い測定する場合、一次イオンCs+の衝
撃エネルギーは測定条件上14.5keVとなる。また
Nとして高感度に分析するために同位体比率の高い94S
eN-を用いる。しかし、この質量にはSeO-が重なっ
てしまう。Oの影響を見るために、98SeO-を同時に
モニタしているが、SeN-のプロファイルと、SeO-
のプロファイルを比較することにより、一定程度Nの評
価は可能であることがわかる。しかし、ZnSe/Ga
As界面のようにOが高濃度存在するところでは、94S
eN-のプロファイルや定量値が明らかにSeO-影響を
受けており、得られた結果を不明瞭なものにしている。
一方、図7に同じ上記図4試料に本発明のごとく、一次
イオンにCs+を用い二次イオンCsN+で測定した結果
を示す。質量高分解能モードであるため、質量分析計の
安定上、1元素のみの測定になってしまうが、2ケタの
ダイナミックレンジが得られている。CsN+を用い測
定する場合の一次イオンCs+の衝撃エネルギーは測定
条件上5.5keVとなる。わずかではあるが、Nドー
プZnSe−ノンドープZnSe/GaAs界面に見ら
れるNも検出されているのがわかる。CsN+によって
求められたNの定量値とSeN-によって求められた定
量値を比較するとSeN-の方が、約2倍程度高い結果
となっている。これは、Sen-にSeO-,SeC-の
シグナルが重なって定量されているためと考えられる。
したがって、CsN+を用いることによりO,Cの影響
が少なくなるため、定量の正確さの上昇がはかれる。
す。図4に試料構成図を示す。試料は青色レーザーのP
型層として用いられているNドープP型試料で、GaA
s基板1上にMBE(Molecular Beam
Epitaxy)法を用いノンドープZnSe膜2を
1.2μm作製した。そのZnSe膜2上にラジカルド
ープ法を用いNドープZnSe層3(3.2μm)を作
製したである。図4に示すが、試料に一次イオン(Cs
+)を入射させると、CsN+,N+,SeN-等の二次イ
オンが発生する。SIMSは発生した二次イオンを質量
分析することにより深さ方向の元素分析をおこなう方法
である。まず、図4試料中のNを、一次イオンにCs+
を用い、二次イオンSeN-で測定した結果を図6に示
す。SeN-を用い測定する場合、一次イオンCs+の衝
撃エネルギーは測定条件上14.5keVとなる。また
Nとして高感度に分析するために同位体比率の高い94S
eN-を用いる。しかし、この質量にはSeO-が重なっ
てしまう。Oの影響を見るために、98SeO-を同時に
モニタしているが、SeN-のプロファイルと、SeO-
のプロファイルを比較することにより、一定程度Nの評
価は可能であることがわかる。しかし、ZnSe/Ga
As界面のようにOが高濃度存在するところでは、94S
eN-のプロファイルや定量値が明らかにSeO-影響を
受けており、得られた結果を不明瞭なものにしている。
一方、図7に同じ上記図4試料に本発明のごとく、一次
イオンにCs+を用い二次イオンCsN+で測定した結果
を示す。質量高分解能モードであるため、質量分析計の
安定上、1元素のみの測定になってしまうが、2ケタの
ダイナミックレンジが得られている。CsN+を用い測
定する場合の一次イオンCs+の衝撃エネルギーは測定
条件上5.5keVとなる。わずかではあるが、Nドー
プZnSe−ノンドープZnSe/GaAs界面に見ら
れるNも検出されているのがわかる。CsN+によって
求められたNの定量値とSeN-によって求められた定
量値を比較するとSeN-の方が、約2倍程度高い結果
となっている。これは、Sen-にSeO-,SeC-の
シグナルが重なって定量されているためと考えられる。
したがって、CsN+を用いることによりO,Cの影響
が少なくなるため、定量の正確さの上昇がはかれる。
【0015】このように本発明による方法は、Nをドー
パントに用いた青色ダイオード,青色レーザー等の評価
に有効な方法である。
パントに用いた青色ダイオード,青色レーザー等の評価
に有効な方法である。
【0016】また、SIMSは不純物の深さ方向分析を
高感度におこなえることから、界面における不純物の拡
散についての情報も得られる方法である。しかし、SI
MSは原理的にスパッタリングを用いた方法であるの
で、試料の表面凹凸や、一次イオンによるノックオンの
効果、スパッタにより誘起される凹凸により、深さ方向
分解能が悪くなる。これらの影響は、基本的に逃れるこ
とはできない。SeN-を用いた測定の場合、一次イオ
ン衝撃エネルギーは通常14.5keVで、CsN+を
用いた場合の一次イオン衝撃エネルギーは5.5keV
である。それぞれの条件における試料4のスパッタ後の
表面を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す。図8
が、CsN+によるスパッタ後の表面で、深さは6.0
μm,図9が、SeN-によるスパッタ後の表面で、深
さは5.3μmである。明らかにSeN-測定の方がス
パッタによる表面凹凸が激しく、そのために深さ方向の
分解能が低下してしまう。この原因は明かではないが、
一次イオン衝撃エネルギーがスパッタに伴う結晶表面の
凹凸の成長に影響を与えていると推測される。
高感度におこなえることから、界面における不純物の拡
散についての情報も得られる方法である。しかし、SI
MSは原理的にスパッタリングを用いた方法であるの
で、試料の表面凹凸や、一次イオンによるノックオンの
効果、スパッタにより誘起される凹凸により、深さ方向
分解能が悪くなる。これらの影響は、基本的に逃れるこ
とはできない。SeN-を用いた測定の場合、一次イオ
ン衝撃エネルギーは通常14.5keVで、CsN+を
用いた場合の一次イオン衝撃エネルギーは5.5keV
である。それぞれの条件における試料4のスパッタ後の
表面を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す。図8
が、CsN+によるスパッタ後の表面で、深さは6.0
μm,図9が、SeN-によるスパッタ後の表面で、深
さは5.3μmである。明らかにSeN-測定の方がス
パッタによる表面凹凸が激しく、そのために深さ方向の
分解能が低下してしまう。この原因は明かではないが、
一次イオン衝撃エネルギーがスパッタに伴う結晶表面の
凹凸の成長に影響を与えていると推測される。
【0017】
【発明の効果】この発明により、ZnSe膜中の低濃度
Nの分析が可能となり、青色ダイオード,青色レーザー
のPN接合の解析が可能となった。この方法はZnSe
試料だけでなく、広くSe化合物に応用できる方法であ
る。また、一般的にN分析法として利用できる方法であ
る。
Nの分析が可能となり、青色ダイオード,青色レーザー
のPN接合の解析が可能となった。この方法はZnSe
試料だけでなく、広くSe化合物に応用できる方法であ
る。また、一般的にN分析法として利用できる方法であ
る。
【0018】さらに、CsN+を用いると一次イオンの
スパッタリングによる表面凹凸の成長が抑えられるた
め、深さ方向分解能が向上し、界面における不純物の拡
散状態の評価が高精度におこなうことができる。
スパッタリングによる表面凹凸の成長が抑えられるた
め、深さ方向分解能が向上し、界面における不純物の拡
散状態の評価が高精度におこなうことができる。
【図1】ZnSe膜中にNを注入した標準試料(注入エ
ネルギー:100keV,注入ドーズ量:1E15io
ns/cm2)のCsN+を用い測定したデプスプロファイ
ル
ネルギー:100keV,注入ドーズ量:1E15io
ns/cm2)のCsN+を用い測定したデプスプロファイ
ル
【図2】ドープしたN量と得られるキャリア濃度との関
係図
係図
【図3】ZnSe+とCsN+のマススペクトル
【図4】NドープP型ZnSe(3.2μm)/ノンド
ープZnSe(1.2μm)/GaAs基本試料の構成
図
ープZnSe(1.2μm)/GaAs基本試料の構成
図
【図5】ZnSe膜中にNを注入した標準試料(注入エ
ネルギー:40keV,注入ドーズ量:1E16ion
s/cm2)のSeN-を用い測定したデプスプロファイル
ネルギー:40keV,注入ドーズ量:1E16ion
s/cm2)のSeN-を用い測定したデプスプロファイル
【図6】NドープP型ZnSe(3.2μm)/ノンド
ープZnSe(1.2μm)/GaAs基板試料のSe
N-を用いて測定したデプスプロファイル
ープZnSe(1.2μm)/GaAs基板試料のSe
N-を用いて測定したデプスプロファイル
【図7】NドープP型ZnSe(3.2μm)/ノンド
ープZnSe(1.2μm)/GaAs基板試料のCs
N+を用いて測定したデプスプロファイル
ープZnSe(1.2μm)/GaAs基板試料のCs
N+を用いて測定したデプスプロファイル
【図8】CsN+によるスパッタ後ZnSe試料結晶表
面の走査型電子顕微鏡写真(深さ:6.0μm)
面の走査型電子顕微鏡写真(深さ:6.0μm)
【図9】SeN-によるスパッタ後ZnSe試料結晶表
面の走査型電子顕微鏡写真(深さ:5.3μm)
面の走査型電子顕微鏡写真(深さ:5.3μm)
1 GaAs基板 2 ZnSe(1.2μm)(ノンドープ) 3 P型ZnSe(3.2μm)(Nドープ)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−223549(JP,A) 特公 平1−26021(JP,B2) 鈴木麻里、吉岡芳明、「SIMSによ る微量元素の定量分析について」、地質 ニュース,(1992年2月1日発行),N o.450,p28−35 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 23/225 JICSTファイル(JOIS)
Claims (1)
- 【請求項1】 二次イオン質量分析法によってSe化合
物中の窒素の定量分析をおこなうに際し、一次イオンと
してCs+を前記化合物に入射させ、前記化合物から発
生する二次イオンのCsN+を質量高分解能法を用いて
検出することを特徴とするSe化合物中の窒素の定量分
析方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04218391A JP3114380B2 (ja) | 1992-07-23 | 1992-07-23 | Se化合物中の窒素の定量分析方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04218391A JP3114380B2 (ja) | 1992-07-23 | 1992-07-23 | Se化合物中の窒素の定量分析方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0643123A JPH0643123A (ja) | 1994-02-18 |
JP3114380B2 true JP3114380B2 (ja) | 2000-12-04 |
Family
ID=16719175
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04218391A Expired - Fee Related JP3114380B2 (ja) | 1992-07-23 | 1992-07-23 | Se化合物中の窒素の定量分析方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3114380B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11953822B2 (en) | 2021-02-16 | 2024-04-09 | AGC Inc. | Reflective mask blank for EUV lithography, reflective mask for EUV lithography, and method for manufacturing same |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5225207B2 (ja) * | 2009-06-05 | 2013-07-03 | 住友金属テクノロジー株式会社 | 金属試料の窒素濃度分析方法および窒素濃度分析装置 |
-
1992
- 1992-07-23 JP JP04218391A patent/JP3114380B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
鈴木麻里、吉岡芳明、「SIMSによる微量元素の定量分析について」、地質ニュース,(1992年2月1日発行),No.450,p28−35 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11953822B2 (en) | 2021-02-16 | 2024-04-09 | AGC Inc. | Reflective mask blank for EUV lithography, reflective mask for EUV lithography, and method for manufacturing same |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0643123A (ja) | 1994-02-18 |
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