JP3110308B2 - 間仕切り構造体 - Google Patents

間仕切り構造体

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JP3110308B2
JP3110308B2 JP08081581A JP8158196A JP3110308B2 JP 3110308 B2 JP3110308 B2 JP 3110308B2 JP 08081581 A JP08081581 A JP 08081581A JP 8158196 A JP8158196 A JP 8158196A JP 3110308 B2 JP3110308 B2 JP 3110308B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた吸音特性お
よび遮音特性を有し、組み立て・解体も可能で、パーテ
ィション、間仕切り、衝立等に好適に利用可能な間仕切
り構造体の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】オフィスや会議室等で利用されているパ
ーティションや衝立等は、鋼板や樹脂材料等を用いて仕
切りとなる板材を作製し、その表面に布材を貼着するこ
とにより、装飾性を向上させたものが主流である。これ
らのパーティション等は、オフィス内等の静粛性のため
にも吸音効果を有することが望まれる。また、これらの
パーティションには、表面布材が汚れた場合や、オフィ
ス内の雰囲気の向上等のために、表面に貼着されている
布材を容易に変更できることも望まれる。
【0003】一般的な布材は、若干の吸音特性を有する
ことが知られており、板材に布を貼着してなるパーティ
ション等も、若干の吸音効果を発揮する。しかしなが
ら、通常の布材の吸音効果は小さく、また、従来のパー
ティションでは布材が吸音効果を発現するのに必要な背
後空気層も確保できないため、従来のパーティション等
が有する吸音特性は、吸音材として十分といういことは
できない。他方、多孔質材の表面に布材を貼着して、こ
れを筐体に組み込むことにより、多孔質材の背後空気層
を確保した吸音効果を有するパーティションも知られて
いる。ここで、オフィス等に利用されるパーティション
では、これによって仕切られる双方の空間共に良好な吸
音効果を有することが好ましいが、このパーティション
が吸音効果を発現するのは、多孔質焼結材が配置された
面側の空間のみであり、パーティションの両面共に吸音
効果を発揮して、オフィス内等の全体を静粛に保つこと
は困難である。
【0004】また、前記吸音パーティションを含め、従
来のパーティションは、板材(多孔質材)の表面に布材
が貼着されているため、布材の交換を行うことが極めて
困難であり、布材の汚れが甚だしくなった場合や、布材
のみを変えたい場合であっても、パーティション全体を
交換する必要があり、コストの高いものとなってしま
う。しかも、この布材の張り替えも含め、パーティショ
ンの組み立てや解体作業も困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の問題点を解決することにあり、吸音材および
遮音材として優れた特性を有し、しかも、仕切った空間
の双方に対して良好な吸音効果および遮音効果を発現す
なわち良好な両面吸音および遮音特性を有し、かつ、装
飾性等も十分に有する上、表面布材の張り替えも含め組
み立てや解体作業も容易に行うことができ、装飾性にも
優れたパーティション、間仕切り、衝立等を実現できる
間仕切り構造体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、布材と、凹凸を有し前記布材を支持する
支持板と、溝部を有し前記支持板の凹部に固定される固
定部材と、前記固定部材の溝部に嵌合される長尺な弾性
部材とを有し、前記布材で前記支持板の両面を覆い、そ
の布材の上から前記弾性部材を前記固定部材の溝部に嵌
合したことを特徴とする間仕切り構造体を提供する。
【0007】前記布材が、ガラス長繊維に圧縮空気を吹
き付けることにより前記ガラス長繊維を膨らましめた嵩
高加工を施してなる嵩高加工糸を、少なくとも1部に用
いて製織されたものであるのが好ましい。
【0008】また、前記支持板が一方向に延在する長尺
な凹凸が前記延在方向と直交する方向に繰り返し形成さ
れたものであり、前記弾性部材は前記凹凸の延在方向と
同方向に延在して前記固定部材に嵌合され、かつ、固定
部材の表面と支持板の凸部とが同一面上に位置するのが
好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の間仕切り構造体に
ついて、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に
説明する。図1に、本発明の間仕切り構造体の一例の概
略図を示す。なお、図1において、(a)は上面図を、
(b)は正面図を、(c)は側面図(一部分解)をそれ
ぞれ示すものである。
【0010】図1に示される間仕切り構造体10は、2
枚の布材12および12と、各布材12をそれぞれ保持
する2枚の支持板14および14を組み合わせてなる支
持板と、支持板に固定される多数の固定部材16,16
……と、各固定部材16に嵌合される、長尺な棒状の弾
性部材18,18……とを有する。
【0011】図示例の間仕切り構造体10においては、
好ましい態様として、ガラス長繊維に圧縮空気を吹き付
け、ガラス長繊維を膨らました加工、いわゆる嵩高加工
を施してなる嵩高加工糸を材料として少なくとも一部用
い、好ましくは40重量%以上用いて製織してなる布材
12が好適に利用される。この布材12を用いることに
より、優れた吸音特性および遮音特性に加え、優れた不
燃性も有する間仕切り構造体を実現することができる。
なお、本発明の間仕切り構造体10に用いられる布材は
これに限定はされず、通常のパーティションや衝立等に
用いられている各種の合成繊維や天然繊維を縫製してな
る布材や、ガラスクロスやカーボンクロス等、公知の布
材が各種好適に利用可能である。
【0012】本発明において、ガラス長繊維とは、公知
のガラス長繊維を全て含むものであり、具体的には、ガ
ラスフィラメント(単繊維)を集束してなるストラン
ド、前記ストランドに撚りをかけてなるガラスヤーン
(単糸)、前記ストランドを撚りよりをかけずに複数本
引き揃えてなるガラスロービング、複数本の前記単糸を
撚り合わせてなる合撚糸等が例示される。嵩高加工糸と
は、このようなガラス長繊維に圧縮空気を吹き付けるこ
とにより、ガラス長繊維を構成する単繊維をそれぞれ解
繊してガラス長繊維を膨らましめる嵩高加工(バルキー
加工)を行い、必要に応じて、糊付け、乾燥、トラバー
スによる綾掛け等を施してなるものである。なお、以下
の説明では、嵩高加工されたガラス長繊維をバルキー
糸、嵩高加工されない通常のガラス長繊維をストレート
糸とする。
【0013】布材12に用いられるバルキー糸の太さに
は特に限定はなく、間仕切り構造体10の用途や、後述
する布材12の通気度等に応じて適宜選択すればよい
が、通常、70tex 〜1150tex 程度のものが好適に
用いられ、より好ましくは75tex 〜300tex であ
る。なお、tex(番手)とは、1000mあたりの重さ
(g)、すなわちg/1000m である。また、その形成材料
(単繊維材料)にも特に限定はなく、公知のガラスクロ
スに用いられるEガラスやCガラス等の材料が各種利用
可能である。
【0014】さらに、布材12に用いられるバルキー糸
を形成する単繊維(フィラメント)の太さ、すなわちバ
ルキー糸の単繊維呼び径にも特に限定はない。なお、バ
ルキー糸を形成する単繊維が細い方が布材12による吸
音特性が良好になる傾向を有し、また、単繊維呼び径が
大きくなるに応じて、吸音特性のピークが高周波数側に
移行する。従って、布材12に用いるバルキー糸の単繊
維呼び径は、用途や主な吸音目的となる周波数領域に応
じて適宜決定すればよいが、単繊維呼び径は9μm以下
であるのが好ましい。また、単繊維呼び径が太くなる
程、布材12の柔軟性や触感が低下するので、間仕切り
構造体10を、パーティション等のユーザが直接手で触
れる用途に利用する場合には、バルキー糸の単繊維呼び
径を6μm以下とするのが好ましい。逆に、バルキー糸
の単繊維呼び径が細くなるほど生産効率の低下やコスト
アップを招くので、これらが重要な用途においては、バ
ルキー糸の単繊維呼び径を3μm以上とするのが好まし
い。
【0015】この布材12は、すべてバルキー糸を用い
て製織するものに限定はされず、バルキー糸とストレー
ト糸との両者を用いて製織して、布材12としてもよ
い。ここで、バルキー糸の量が多いほうが良好な吸音特
性を得られるのはもちろんであるが、より良好な吸音特
性を得られる等の点でバルキー糸を40重量%以上、特
に、60重量%以上用いるのが好ましい。バルキー糸と
ストレート糸とを併用する場合には、緯糸をバルキー糸
にして経糸をストレート糸にする(あるいはその逆)、
バルキー糸とストレート糸とを2本おき等の所定の間隔
で使用する等、各種の態様が利用可能である。
【0016】布材12の織り方には特に限定はなく、平
織、梨地織、朱子織、摸紗織、綾織、からみ織等、公知
の織り方がすべて利用可能である。同じバルキー糸を用
い、織密度および質量が同じ布材12は、ほぼ同じ吸音
特性を有するので、布材12の織り方は、間仕切り構造
体10の用途に応じて適宜選択すればよい。また、織密
度にも特に限定はなく、布材12の用途や、バルキー糸
の太さ、後述する質量、通気度等に応じて適宜決定すれ
ばよい。
【0017】図2に、平織で製織した布材12の一例の
外観を概念的に示す。図2において、(a)はストレー
ト糸のみを用いた通常の布材、(b)は緯糸にバルキー
糸を用いた布材12、(c)は緯糸および経糸共にバル
キー糸を用いた布材12であり、共に同じ織密度を持
ち、また、バルキー糸は(a)のストレート糸をバルキ
ー加工してなるものである。図2(b)および(c)よ
り明らかなように、バルキー糸を用いた布材12は解繊
された単繊維によって開口(目開き)が塞がれるため、
(a)に示される通常の布材に比して開口が小さく、特
に、バルキー糸のみを用いた(c)では、光を通すと微
細孔が多数あることが確認されるものの、目視では開口
が単繊維によって完全に閉塞されたような状態となって
いる。また、微細孔には、解繊された単繊維が介在して
いる。
【0018】本発明に用いる布材12の質量には特に限
定はないが、好ましくは1m2 当たり250g以上(2
50g/m2以上)、より好ましくは300g/m2以上であ
る。バルキー糸を用いた布材12は、質量が重いほど良
好な吸音特性を発現する傾向にあり、質量を250g/m2
以上とすることにより、良好な吸音特性を得ることがで
き、特に、質量を300g/m2以上、より好ましくは40
0g/m2以上とすることにより、布材12は、より優れた
吸音特性を発揮する。布材12の質量の調整は、布材1
2の用途を考慮した上で、織密度、バルキー糸やストレ
ート糸の太さ、ストレート糸とバルキー糸との比率等を
選択することで適宜調整可能である。
【0019】前述のように、布材12の開口(微細孔)
の状態やバルキー糸の解繊の程度は、吸音特性に影響を
与え、すなわち、通気度が吸音特性に影響を与える。そ
のため、布材12は、通気度を3〜55([cm3/cm2]/se
c; 124.5Pa JIS R 3420に準ずる) の範囲とするのが好
ましい。布材12は、基本的に通気度が低い程良好な吸
音特性を発現し、特に、通気度を55以下とすることに
より、その吸音特性は非常に優れたものとなる。しかし
ながら、通気度を余り低くすると製造コストの向上や生
産性の低下を招くため、その点を考慮すると、通気度は
3〜55の範囲とするのが好ましい。通気度は、より好
ましくは3〜30の範囲、特に5〜20の範囲であり、
この範囲とすることにより、コストと吸音特性とのバラ
ンスの点でより好ましい結果を得る。なお、通気度の調
整は、織密度、バルキー糸の解繊の程度、バルキー糸の
単繊維呼び径、バルキー糸(ストレート糸)の太さ、ス
トレート糸とバルキー糸との比率等を選択することで、
適宜調整可能である。
【0020】本発明の間仕切り構造体10に用いる布材
12は、必要に応じて、目止めや着色(樹脂中に染料や
顔料を溶解あるいは分散する)を目的として、通常のガ
ラスクロスと同様に樹脂を含浸してなるものであっても
よい。用いる樹脂には特に限定はなく、アクリル系樹
脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、塩化ビニル系樹
脂、酢酸ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、これらの樹脂2
種以上を用いた混合樹脂、これらの樹脂を含む共重合樹
脂等、ガラスクロスに含浸される各種の樹脂、特に柔軟
性を要求されるガラスクロスに含浸される各種の樹脂が
利用可能である。
【0021】ただし、樹脂含浸は触感や柔軟性の低下を
招き、また、微細孔の閉塞や解繊された単繊維の接着等
を発生して、布材12の特性を低下することもあるの
で、含浸率をあまり高くするのは好ましくない。そのた
め、樹脂を含浸する際には、含浸率は10%以下とする
必要があり、好ましくは7%以下、特に5%以下とする
のがより好ましい。含浸率を上記範囲とすることによ
り、吸音特性の低下等を十分に小さくして、布材12の
特性を十分に発揮することができる。布材12への樹脂
含浸は、通常のガラスクロスと同様の方法で行えばよ
く、例えば、溶剤に溶解した樹脂を、浸漬塗布やスプレ
ー塗布等の方法で本発明の布材12に塗布し、乾燥、加
熱処理すればよい。なお、本発明に用いる布材12は、
あらかじめ樹脂含浸したバルキー糸やストレート糸を製
織してなるものであってもよい。
【0022】本発明の間仕切り構造体は、各種の布材、
好ましくは、このような優れた吸音特性を有する布材1
2で、凹凸を有する支持板の表面を覆い、この布材を、
支持板の凹部に配置される固定部材と、この固定部材に
嵌合する弾性部材とで固定してなるものである。
【0023】図示例の間仕切り構造体10において、支
持板14は台形の凹凸が形成された板材であって、好ま
しい態様として、図3に示されるように、台形の凹凸
は、一方向に延在する長尺な凹および凸が、この延在方
向と直交する方向に繰り返し形成されており、また、後
述する固定部材16(弾性部材18)は、凹凸の延在方
向と同方向に延在し、かつ、固定部材16と凸部(その
頂部)とが同一平面上に有る。図1に示されるように、
間仕切り構造体10においては、この支持板14を2枚
用い、互いの凹部(固定部材16が配置されている側の
底面)を当接して組み合わせ1枚の板材としている。
【0024】図3(a)に点線で示すように、優れた吸
音材である布材12(前述の布材12よりも小さいが、
通常の布材も吸音効果を有するのは前述のとおりであ
る。)は、支持板14の表面(凸部側)を覆って配置さ
れる。また、支持板14は、金属材料や樹脂材料を加工
して得られた板材であり、遮音材として作用する。従っ
て、支持板14の凹部によって、吸音材である布材12
の背後に矢印aで示される背後空気層(エアギャップ)
が形成された状態となる。そのため、本発明の間仕切り
構造体10は、吸音材と遮音板と背後空気層とが組み合
わされた吸音構造体となり、優れた吸音特性と遮音特性
とを合わせ持つ。しかも、図示例のように、指示板の凹
凸が斜傾した部分を有すると、この部分では布材12に
対する背後空気層が連続的に変化するので、広い周波数
体に渡って良好な吸音特性を発現することができる。さ
らに、凹凸を有する支持板12の両面を布材12で覆う
ことにより、このような吸音構造体が両面に形成された
状態となり、良好な両面吸音および遮音特性を発現す
る。
【0025】本発明の間仕切り構造体10において、支
持板14に形成される凹凸の大きさ、すなわち背後空気
層となる矢印aの長さには限定はなく、間仕切り構造体
10の用途に応じて適宜決定すればよいが、好ましくは
25〜50mm程度である。また、支持板14の形状は、
図示例のような台形の凹凸の繰り返しには限定されず、
三角形、正方形、長方形、円形、楕円形等の凹凸の繰り
返しであってもよく、あるいはハニカム構造や、平面の
板材を基板としてこれに直交あるいは斜めに板材を固定
して凹凸を形成したもの等、凹部に固定部材16が配置
可能で、支持板14を布材12で覆った際に、凸部(そ
の頂部)で布材12を支持できる形状の板状材であれ
ば、各種の構成が利用可能である。なお、凹凸の大きさ
は(頂部の間隔と底部の間隔)、図示例のように互いに
同じであっても、異なるものであってもよく、また、例
えば三角形の凸部と台形の凹部等、凹部と凸部とが異な
る形状を有してもよい。
【0026】このような支持板14の材料には特に限定
はなく、ウレタン樹脂やポリエチレンテレフタレート等
の各種の樹脂材料、鉄鋼、アルミニウム、ステンレス等
の金属材料等、公知の各種の材料が利用可能である。ま
た、支持板14の成形方法にも限定はなく、材料と形状
に応じた方法を適宜選択すればよい。
【0027】支持板14の凹部には、固定部材16が配
置され、この固定部材16には、円柱の棒状体の弾性部
材18が布材12を介して嵌合される。図4(a)に図
1(a)の部分拡大図を、図4(b)に図1(b)の部
分拡大図を、それぞれ示す。
【0028】図示例の間仕切り構造体10において、固
定部材16は四角柱状の棒状体で、支持板14の凹凸と
同方向に延在して、支持板14の凹部に固定されてい
る。なお、固定方法は、ビス止めや接着剤による方法、
互いに係合する溝とレール等、公知の方法によればよ
く、必要に応じて取り外し自在にしてもよい。図3
(b)および図4(a)に示されるように、固定部材1
6には、長方形の断面を有する貫通孔20が、その延在
方向(軸線)と直交する断面の中心部に形成されてい
る。また、固定部材16には、貫通孔20よりも幅狭の
挿入口20aが、貫通孔20を外部(凸部側)に連通し
て、軸線方向に貫通して形成されている。すなわち、固
定部材16には、凸部側に開口する略T字状の貫通孔が
軸線方向に貫通して形成されている。また、図示例にお
いては、好ましい態様として、図1および図4に示され
るように、固定部材16の表面と凸部の頂部とが同一平
面上に位置するように構成される。
【0029】一方、弾性部材18は、前記挿入口20a
の幅、および前記貫通孔20の最狭部(図示例において
は長方形の短手長)よりも大きな直径を有する、略円柱
状の弾性を有する棒状部材である。すなわち、弾性部材
18は、挿入口20aから貫通孔20に嵌入され、貫通
孔20内に固定されて、固定部材16に嵌合される。ま
た、弾性部材18は弾性体であるので、挿入口20aか
ら抜き出すことができる。
【0030】このような本発明の間仕切り構造体10
は、図1および図4に示されるように、支持板14の凸
側表面を前記布材12で覆い、布材12の上から、弾性
部材18を固定部材16の貫通孔20に嵌入することに
より、布材12を噛み込んで、弾性部材18を固定部材
16を嵌合する。これにより、布材12は支持板14の
凸部に支持された状態で、表面を覆って支持板14に固
定される。また、弾性部材18によって貫通孔20内に
噛み込まれて固定されるので、布材12は支持板14の
表面で張力(テンション)を掛けて張られた状態とな
り、美観も良好であり、前述の背後空気層も確実に確保
される。さらに、図示例においては、好ましい態様とし
て、固定部材16の表面と凸部の頂部とが同一平面上に
位置するので、布材12は弾性部材18で固定される部
分を除き1平面となり、より良好な美観を実現できる。
【0031】逆に、図1(c)に示されるように、弾性
部材18を貫通孔20(挿入口20a)引き抜いて取り
外すことで、容易に布材12を支持板14から取り外す
ことができる。すなわち、本発明の間仕切り構造体10
においては、布材12の交換を容易に行うことができ、
また、布材12を取り外して、洗濯や修繕等に供するこ
とも容易に行うことができる。
【0032】本発明の間仕切り構造体10において、固
定部材16の形成材料には特に限定はなく、各種の樹脂
材料や金属材料等、各種の材料が好適に利用可能であ
る。また、固定部材16を若干の弾性を有する材料で形
成することにより、弾性部材18の嵌合・取り外しを容
易に行えるようにしてもよい。他方、弾性部材18の形
成材料にも特に限定はなく、天然ゴムや各種の合成ゴ
ム、弾性を有する天然樹脂や合成樹脂(エラストマ
ー)、金属あるいは樹脂スプリング等、公知の弾性材料
が各種利用可能である。
【0033】また、固定部材16の形状も図示例の四角
柱状に限定はされず、円あるいは楕円柱状、三角柱ある
いは四角以上の多角柱状であってもよく、すなわち、支
持板の凹部に配置・固定可能で、かつ弾性部材の形状に
応じた貫通孔が形成できれば、各種の形状が利用可能で
ある。また、貫通孔の形状(断面)も図示例の略T字状
に限定はされず、略C字状や三角形状等、弾性部材を嵌
入(嵌合)・固定および取り外し自在にできる各種の形
状が利用可能である。また、弾性部材も図示例の円柱状
に限定はされず、貫通孔に応じた各種の形状が利用可能
である。さらに、弾性部材のサイズは、その弾性や貫通
孔(挿入口)の大きさに応じて、容易に嵌入・引き抜き
でき、かつ、貫通孔に布材を噛み込んで固定できるサイ
ズとすればよい。
【0034】図示例の間仕切り構造体10は、2枚の支
持板14を組み合わせて一枚の支持板として構成されて
いるが、本発明はこれに限定はされず、図5(b)に示
されるように、一枚の支持板で間仕切り構造体を構成し
てもよい。なお、後に実施例でも示すが、厚さ(図5の
厚さt)が同じである場合には、一枚の支持板で間仕切
り構造体を作製した場合のほうが、布材に対する背後空
気層が大きくなり、吸音特性が高くなる傾向にある。逆
に、図示例の間仕切り構造体10のように、2枚の支持
板を組み合わせて一枚の支持板を構成した場合の方が、
遮音特性は高くなる。従って、両者は、本発明の間仕切
り構造体の用途に応じて適宜選択すればよい。
【0035】また、本発明の間仕切り構造体において
は、さらに、布材12をテフロン薄膜等の樹脂薄膜で覆
って、布材12と樹脂薄膜の両者を噛み込んで、弾性部
材18を固定部材16に嵌合し、樹脂薄膜を表面として
布材12と共に支持板14で支持してもよい。このよう
な構成とすることにより、本発明の間仕切り構造体を布
材12からの塵や埃や糸屑(ガラスファイバー)の発生
の無い無塵性にすることができ、クリーンルームの吸音
パーティション等として利用することが可能になる。
【0036】以上、本発明の間仕切り構造体について説
明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の
要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更
を行ってもよいのはもちろんである。例えば、通常のパ
ーティション等と同様に、上端辺や下端辺や側辺を覆う
カバーを設けてもよく、また下端部に高さを調整する調
整手段や移動を容易にするためのキャスター等を設けて
もよい。また、本発明の間仕切り構造体同士を複数枚組
み合わせて一枚の板状にできるように、通常のパーティ
ション等に設置される接合手段を有してもよい。さら
に、平面の板状に限定はされず、湾曲したものであって
もよく、屈曲したものであってもよい。
【0037】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をより詳細に説明する。 [実施例1]67.5tex(ECDE 75 1/0)のガラス長繊維
の単糸3本を合撚して、202.5tex のストレート糸
(合撚糸)を得た。このストレート糸をバルキー加工し
て、225tex のバルキー糸を得た。なお、単糸の単繊
維呼び径は、6μm(最大径8.1μm、最小径4.8
μm、平均径6.3μm、標準偏差(σ)0.5)で、
単繊維総本数は2400本である。このバルキー糸を平
織して、図2(c)に示される布材12を作製した。布
材12の諸元は以下のとおりである。なお、通気度はフ
ランジール試験器を用いて測定した(JIS R 3420に準じ
る)。
【0038】 織密度 ;経糸 27.5本/25mm 緯糸 22.5本/25mm 質量 ;445g/m2 厚さ ;0.65mm 通気度 ;28.3〜31.3([cm3/cm2]/sec;124.5Pa)
【0039】この布材12を図5に示されるような2種
類の支持板、すなわち前記図1と同じ2枚の支持板14
を組み合わせてなる支持板、および支持板14bの両面
に張り、図5(a)および(b)に示される(上面図)
ような、本発明の間仕切り構造体を作製した。なお、布
材12の固定方法は、図4に示される例と同様とした。
また、支持板は、共に厚さ2mmのアルミニウムのプレス
加工製で、間仕切り構造体の厚さtは共に50mmであ
る。すなわち、図5(a)に示される例では、背後空気
層は23mm+23mmで、図5(b)に示される例では4
8mmとなる。
【0040】このような図5(a)および(b)に示さ
れる本発明の間仕切り構造体について、JIS A14
09−1967に準拠して残響室法吸音率を測定した。
結果を図6に示すが、両者共に良好な吸音特性を発揮し
ている。
【0041】[実施例2]前記実施例1と同様の支持
板、布材および固定方法で、図5(a)に示される支持
板(a−1)、図5(b)に示される支持板14b(b
−1)、図5(a)に示される支持板の一面に布材12
を張った構造体(a−2)、図5(b)に示される支持
板14bの一面に布材12を張った構造体(b−2)、
図5(a)に示される支持板の両面に布材12を張った
本発明の間仕切り構造体(a−3)、および図5(b)
に示される支持板14bの両面に布材12を張った本発
明の間仕切り構造体(b−3)を作製し、透過損失を測
定した。
【0042】結果を図7に示すが、支持板のみの場合お
よび一面に布材12を張った構造体に比して、本発明の
間仕切り構造体は優れた遮音効果を有する。また、本発
明の間仕切り構造体を比較すると、2枚の支持板14を
組み合わせたaの例の方が、遮音特性は高い。逆に、前
記実施例1に示されるように、1枚の支持板14aを用
いた例の方が吸音特性は良好である。従って、両者の選
択は、本発明の間仕切り構造体の用途に応じて適宜選択
すればよいのは、前述のとおりである。以上の結果よ
り、本発明の効果は明らかである。
【0043】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、吸音材や遮音材として優れた特性を有し、か
つ、装飾性等も十分に有する上、表面布材の張り替え等
の組み立て・分解も容易に行うことができ、優れた吸音
特性を発揮し、装飾性にも優れたパーティションや衝立
等を実現できる間仕切り構造体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の間仕切り構造体の一例の概略
平面図を、(b)はその概略正面図を、(c)は、その
概略側面図(一部分解)を、それぞれ示す。
【図2】(a)は通常のガラスクロスを、(b)はバル
キー糸を用いた布材の一例を、(c)はバルキー糸を用
いた布材の別の例を、それぞれ示す概略平面図である。
【図3】(a)は図1に示される本発明の間仕切り構造
体に用いられる支持板の概略平面図を、(b)は同概略
斜視図を、それぞれ示す。
【図4】(a)は図1(a)の部分拡大図を、(b)は
図1(b)の部分拡大図を、それぞれ示す。
【図5】(a)および(b)は、それぞれ実施例におけ
る本発明の間仕切り構造体の概略平面図である。
【図6】図5に示される間仕切り構造体の残響室法吸音
率を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例における音の透過損失を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
10 間仕切り構造体 12 布材 14 支持板 16 固定部材 18 弾性部材 20 貫通孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI E04C 2/32 E04C 2/32 G Q (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B 2/74 551 B32B 21/10 E04B 1/82 E04B 1/86 E04C 2/32

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】布材と、凹凸を有し前記布材を支持する支
    持板と、溝部を有し前記支持板の凹部に固定される固定
    部材と、前記固定部材の溝部に嵌合される長尺な弾性部
    材とを有し、 前記布材で前記支持板の両面を覆い、その布材の上から
    前記弾性部材を前記固定部材の溝部に嵌合したことを特
    徴とする間仕切り構造体。
  2. 【請求項2】前記布材が、ガラス長繊維に圧縮空気を吹
    き付けることにより前記ガラス長繊維を膨らましめた嵩
    高加工を施してなる嵩高加工糸を、少なくとも1部に用
    いて製織されたものである請求項1に記載の間仕切り構
    造体
  3. 【請求項3】前記支持板が一方向に延在する長尺な凹凸
    が前記延在方向と直交する方向に繰り返し形成されたも
    のであり、前記弾性部材は前記凹凸の延在方向と同方向
    に延在して前記固定部材に嵌合され、かつ、固定部材の
    表面と支持板の凸部とが同一面上に位置する請求項1ま
    たは2に記載の間仕切り構造体。
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