JP3109394B2 - 電気制御運動伝達装置 - Google Patents

電気制御運動伝達装置

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JP3109394B2 JP27158194A JP27158194A JP3109394B2 JP 3109394 B2 JP3109394 B2 JP 3109394B2 JP 27158194 A JP27158194 A JP 27158194A JP 27158194 A JP27158194 A JP 27158194A JP 3109394 B2 JP3109394 B2 JP 3109394B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気的信号により回転
運動や往復運動等の運動(応力、変位など)の伝達を容
易に制御できる新規な運動伝達装置に関するものであ
り、より具体的には、クラッチ,ブレーキ,ショックア
ブソーバ,ダンパ,アクチュエータ等への応用が可能で
ある新規な電気制御運動伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明に係わる運動伝達装置に関係する
類似の従来技術として、電気粘性流体を用いるものが知
られている。
【0003】電気粘性流体とは、電圧を印加した際に粘
度が上昇し、大きな剪断応力を誘起する流体であるが、
近年、クラッチ,ブレーキ,ショックアブソーバ,ダン
パ,アクチュエータ等への応用が盛んに試みられてい
る。
【0004】例えば、電気粘性流体を用いた粘性剪断ク
ラッチが、米国特許明細書第2,417,850号およ
び特開昭57−120730号に開示されている。ま
た、電気粘性流体を用いたブレーキ装置が特開平4−6
3752号に開示されている。
【0005】しかしながら、電気粘性流体は、(1)電
圧を印加した際に発生する剪断応力が比較的小さいもの
が多いこと、(2)その際に流れる電流密度が大きく、
したがって、消費電力が大きくなること、(3)分散相
の粒子が凝集沈降すること、(4)分散相の粒子が装置
内のO−リング等を摩耗すること、などといった問題点
があった。
【0006】そこで、このような問題点を解決すべく、
われわれは、少なくとも対向面が導電性を有する駆動体
と従動体の対向面間に繊維集合体を介在させ、対向面間
に印加する電圧を調節して駆動体側から従動体側への運
動の伝達を制御することを特徴とした電気制御運動伝達
装置を先に開発した。
【0007】この新規な電気制御運動伝達装置は、電圧
印加によって大きな誘起剪断応力を発生し、その際の電
流密度および消費電力が小さく、分散相粒子による摩耗
や分散相粒子の沈降などといった問題がなく、長期間優
れた特性を維持でき、電圧のみで運動伝達特性を制御で
きるというきわめて有用な特性を示す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
電気制御運動伝達装置においては、対向面上に固定化さ
れた繊維のケバとケバとの絡み合いが主に応力発生の原
因となっていたため、 (1)電圧を印加しない時も大きな剪断応力を発生する (2)高回転域では誘起剪断応力が減少する という問題点があったことから、この問題点を解決する
ことが課題であった。
【0009】
【発明の目的】本発明は、対向している駆動体と従動体
の対向面間に繊維集合体を介在させた運動伝達装置、特
に、駆動体の対向面と従動体の対向面に繊維集合体が固
定化され、繊維どうしの絡み合いにより剪断応力を発生
する構成とした運動伝達装置が有していた上記の問題点
を解決するためになされたものであって、本発明の目的
は、(1)電圧を印加しない時の剪断応力が小さく、
(2)高回転域でも誘起剪断応力が減少しない、電気制
御運動伝達装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる電気制御
運動伝達装置は、請求項1に記載しているように、少な
くとも対向面が導電性を有する駆動体と従動体の対向面
間に繊維集合体を介在させ、対向面間に印加する電圧を
調節して駆動体側から従動体側への運動を制御する電気
制御運動伝達装置において、繊維集合体は、駆動体およ
び従動体の対向面の少なくとも一方に固定化され、かつ
繊維集合体の一部が該固定化表面から遊離している構成
としたことを特徴としている。
【0011】そして、本発明に係わる電気制御運動伝達
装置の実施態様においては、請求項2に記載しているよ
うに、駆動体の対向面と従動体の対向面との間に媒体が
満たされている構成としたり、請求項3に記載している
ように、前記媒体は気体であるものとしたり、請求項4
に記載しているように、前記媒体は液体であるものとし
たりすることができる。
【0012】同じく本発明に係わる電気制御運動伝達装
置の実施態様においては、請求項5に記載しているよう
に、繊維集合体を駆動体および従動体の対向面の少なく
とも一方に固定化するための手段として、対向面上に設
けられたフック,ピン,ねじ,接着剤のうち少なくとも
1種を用いるようになすことができ、請求項6に記載し
ているように、繊維集合体を構成する繊維が、天然繊維
および合成繊維のうちから選ばれる少なくとも1種であ
るようになすことができ、請求項7に記載しているよう
に、繊維集合体が添毛組織織物およびフロック布のうち
から選ばれる少なくとも1種であるものとしたりするこ
とができる。
【0013】また、請求項8に記載しているように、固
定化のパターンが十字形であり、十字形以外の部分が固
定化表面から遊離しているものとすることができる。
【0014】
【発明の作用】本発明に係わる電気制御運動伝達装置
は、請求項1に記載しているように、少なくとも対向面
が導電性を有する駆動体と従動体の対向面間に繊維集合
体を介在させ、対向面間に印加する電圧を調節して駆動
体側から従動体側への運動を制御する電気制御運動伝達
装置において、繊維集合体は、駆動体の対向面および従
動体の対向面の少なくとも一方に固定化され、かつ繊維
集合体の一部が駆動体の対向面および従動体の対向面の
少なくとも一方の固定化表面から遊離している構成とし
たから、(1)電圧を印加しない時の剪断応力が小さ
く、(2)高回転域でも誘起剪断応力が減少しない、運
動の伝達特性に優れた電気制御運動伝達装置が提供され
ることになるが、次にその作用について説明することと
する。
【0015】ここでは、対向する駆動体と従動体として
一組の対向する円盤電極を用い、繊維集合体として布地
を用い、媒体としてシリコーンオイルを用いた場合を例
に取り、布地は駆動体側の対向面(電極)に固定化され
ているものとして、具体的に説明する。
【0016】まず、駆動体側の対向面に布地を接着剤等
で固定するが、布地の一部のみが対向面と接着されるよ
うに固定化し、他の部分は対向面から遊離しているもの
とする。布地の形は円盤電極面と同じ円形のものが好ま
しく、また、布地の厚さは1mm前後が適当である。
【0017】次に、駆動体と従動体の両方で布地が軽く
押しつけられる程度に対向配置し、駆動体と従動体との
間隔を調節する。駆動体と従動体の周囲を媒体としての
シリコーンオイルで満たした後、駆動体側の円盤電極を
ある回転数で回転させると、布地面と従動体表面との間
に働く摩擦、およびシリコーンオイルの粘性により、両
電極間には比較的小さな剪断応力が発生する。布地面と
従動体表面との間に働く摩擦力は、従動体表面と布地面
との間隔が大きくなるほど小さくなる。従って、ある距
離以上離れると、剪断応力は実質的にシリコーンオイル
の粘性の寄与だけになり、きわめて小さくすることがで
きる。
【0018】次いで、駆動体をある回転数で回転させた
状態で、駆動体と従動体との間に電圧を印加すると、駆
動体と従動体との間に静電引力が発生する。そして、駆
動体表面に固定化された布地は従動体に引き付けられ、
従動体と布地との摩擦力が増大するので、その結果大き
な剪断応力が誘起される。
【0019】このように本発明においては、駆動体表面
に固定化された布地と従動体表面との間の摩擦が主に剪
断応力発生の原因になっている。布地と従動体表面とを
接触させる程度に接近させてもシリコーンオイルの潤滑
作用により、摩擦力はある程度小さくなり、従って、電
圧を印加しない時の剪断応力を小さくすることができ
る。このことは、クラッチ,ブレーキ,ショックアブソ
ーバ,ダンパ,アクチュエータ等への応用を考える場合
極めて重要であり、本発明の特徴である。
【0020】誘起剪断応力の大きさは、駆動体表面に固
定化された布地がどれだけ従動体表面に吸引されるかに
依存する。従って、固定化する布地の一部を駆動体表面
に固定せず、移動できるようにしておくと、より大きな
誘起剪断応力が得られることとなる。
【0021】例えば、図1に示す接着パターンA〜Dの
点々部分に接着剤を塗布し、円形の布地を駆動体表面に
固定化する場合、接着パターンCとDのほうが接着パタ
ーンAやBよりも大きな誘起剪断応力が得られる。すな
わち、駆動体が円形の場合、円の外周部分の布地が自由
に動くことができるように、換言すれば、駆動体表面に
固定化された布地が従動体表面に吸引されるように、布
地の一部を固定化しないようにすることにより、大きな
作用・効果が得られる。
【0022】このように、繊維集合体である布地の一部
を駆動体表面に固定化せずに遊離状態とし、印加電圧に
応じて駆動体と従動体との間で動くことができるように
したことも本発明の特徴である。
【0023】接着部にかかる応力は、本系で得られる最
大の剪断応力、例えば約100gf/cmよりも十分
に大きくなるようにすることが望ましい。また、回転す
る円盤電極に対しては、当然のことながら、中心点にお
いて対称となるような接着パターンにするのがよい。
【0024】繊維集合体である布地を駆動体表面に全く
固定せず自由にする、すなわち、単に駆動体と従動体と
の間に挿入するだけの系では、相応の誘起剪断応力が得
られるものの、駆動体の回転運動等に伴って布地が偏寄
ったり、電極間から逸脱したりするなどの不具合を生じ
ることもある。したがって、繊維集合体は駆動体あるい
は従動体の運動に伴って、しわを生じたり、偏寄った
り、該表面から剥離ないしは逸脱したりすることがない
ように、駆動体表面あるいは従動体表面のどちらか一方
または両方の表面上に固定化することとしているが、請
求項8に記載しているように、図1に示す接着パターン
C(十字形接着パターン)は好結果を与える接着塗布の
パターンの一つである。
【0025】本発明の電気制御運動伝達装置において、
剪断応力発生の原因は駆動体表面および従動体表面上に
固定されている繊維どうしの絡み合いではなく、繊維集
合体の表面と駆動体表面あるいは従動体表面との間に働
く摩擦応力であるため、回転数の増加に従って誘起剪断
応力が減少することはない。上述の例の構成において
は、一般的に回転数が増大するほど剪断応力も増加する
傾向にあり、誘起剪断応力は低速回転域では小さいもの
の、回転数にはあまり依存しない。
【0026】また、剪断応力は駆動体と従動体との間の
距離、あるいは、布地が従動体表面から受ける面圧に依
存する。そして、駆動体と従動体との間の距離が短けれ
ばより大きな剪断応力が発生するが、その場合は電圧を
印加しない時の剪断応力も大きくなってしまう場合もあ
るので好ましくない。
【0027】以上の説明においては、布地の一部を駆動
体表面に固定した場合であるが、従動体表面に布地の一
部を固定した場合や、駆動体表面および従動体表面の両
方に布地の一部を固定した場合や、駆動体表面および従
動体表面のいずれか一方に布地の全面を固定すると共に
いずれか他方に布地の一部を固定した場合などもほぼ同
様の作用・効果を得ることができる。
【0028】本発明において適用される駆動体および従
動体は、それぞれの中心を通る共通の直交軸線のまわり
に回転するように互いに平行配列した円形(平面円形や
円錐面円形等)のものや、あるいは、それぞれの相互の
軸線のまわりに同心円に回転するように配置した円筒形
のものなどを用いることができる。
【0029】また、一組の駆動体および従動体は相対的
に並進運動したり、回転運動したり、その他の運動を行
ったりするものであることが可能であり、特に回転運動
の場合は駆動体から従動体へのトルク伝達が可能とな
る。
【0030】駆動体および従動体の対向面は電極として
の役目もあるため、少なくとも表面で導電性を有するも
のであることが必要であり、それらは一般に金属などの
導電性材料から作製できる。そして、一組の対向する駆
動体表面と従動体表面との間隔は電圧を変えて電場強度
を制御する関係上、一定の間隔に保つことが望ましい。
【0031】本発明において駆動体表面と従動体表面と
の間に設けられる繊維集合体を構成する繊維としては、
請求項6に記載しているように、天然繊維や合成繊維を
使用することができ、一般的に繊維状態をとるすべての
物質とそれから形成される繊維の集合体であるものはす
べて使用することができる。例えば、繊維としては、
綿,毛,絹,麻,ビスコース繊維(レーヨン繊維),銅
アンモニア繊維(レーヨン繊維),アセテート繊維,ポ
リプロミックス系繊維,ポリアミド系繊維(ナイロン繊
維),ポリビニルアルコール系繊維(ビニロン繊維),
ポリ塩化ビニル系繊維,ポリ塩化ビニリデン系繊維(サ
ラン繊維),ポリエステル系繊維(テトロン繊維),ポ
リアクリルニトリル系繊維(オルロン繊維),ポリエチ
レン系繊維,ポリプロピレン系繊維,ポリウレタン系繊
維(パーロン繊維),ポリアルキレンパラオキシベンゾ
エート系繊維,ポリクラール系繊維,芳香族ポリアミド
系繊維(アラミド繊維)、全芳香族ポリエステル繊維,
フッ素系繊維,キチン繊維,アルギン酸繊維,コラーゲ
ン繊維,ガラス繊維,炭素繊維,炭化ケイ素繊維,ボロ
ン繊維,アルミナ繊維などが使用できる。
【0032】繊維の集合体としては、糸,ひも,布地一
般すなわち織物,編物,レース,組物,不織布,皮革,
紙,フェルトなどを用いることができ、また、布地の表
面形態を変える加工を施したものでもよく、フロック加
工(電着加工)布,エンボス加工布,クレープ加工布,
しわ加工布,型付加工布,プリッセ加工布,モアレ加工
布なども用いることができる。
【0033】本発明では、その表面がいわゆる“ケバ立
っている”状態のものが好ましく、請求項7に記載して
いるように、添毛組織とよばれる織物(ベルベットな
ど)やフロック加工(電着加工)布が特に良い結果を与
える。
【0034】本発明において、繊維集合体を駆動体表面
あるいは従動体表面のどちらか一方の表面もしくは両方
の表面に固定化するための手段として、請求項5に記載
しているように、対向面上に設けられたフック,ピン,
ねじ,接着剤等のうちから選ばれる少なくとも1種を用
いることができる。このうち、接着剤を用いて固定化す
る場合は、駆動体と従動体の材質および固定される繊維
あるいは繊維集合体の材質などに応じて適当に取捨選択
することができる。
【0035】本発明においては、請求項2に記載してい
るように、駆動体の対向面と従動体の対向面との間に媒
体が満たされているものとすることができ、請求項3に
記載しているように、媒体は気体であるものとすること
が可能であって、繊維集合体の内部および場合によって
はさらに周囲を満たす気体としては、電気伝導性の小さ
いものであれば使用可能であり、例えば、空気,窒素,
酸素,ヘリウム,ネオン等の気体を用いることができ
る。
【0036】また、請求項4に記載しているように、媒
体は液体であるものとすることが可能であって、この場
合の液体としては電気伝導性が小さく、使用する繊維集
合体を溶解させないものであれば使用可能であり、広く
は、鉱物油,動植物油,合成油などを使用することがで
き、鉱物油系に関してはパラフィン系,ナフテン系,オ
レフィン系などを使用することができ、合成油に関して
は炭化水素,シリコーン油等の液体を使用することがで
きる。
【0037】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】実施例1 この実施例1では、図2に示した基本的構成を有する電
気制御運動伝達装置1を用いて実施した。
【0039】図2に示す電気制御運動伝達装置1は、対
向面に電極2をそなえた駆動体3と、同じく対向面に電
極4をそなえた従動体5を有し、駆動体3側の電極2に
は繊維集合体6が固定化され、この繊維集合体6はその
一部が固定化表面すなわち電極2の表面から遊離したも
のとしてある。
【0040】そして、駆動体3には従動体5を取り囲む
円筒体7が固定してあり、円筒体7の内部にはシリコー
ンオイル8が収容してあって、電極2と電極4との間が
媒体としてのシリコーンオイル8で満たされるものとな
っている。
【0041】また、駆動体3には駆動軸11の一端が固
定してあり、この駆動軸11の途中には電気接続リング
12が設けてあると共に絶縁体13が設けてあり、駆動
体11の他端にはモータ14が接続してある。
【0042】一方、従動体5には従動軸15の一端が固
定してあり、この従動軸15の途中には電気接続リング
16が設けてあると共に絶縁体17が設けてあり、従動
軸15の他端にはトルク検出器18が接続してある。
【0043】さらに、電気接続リング12,16には電
圧制御手段21にそなえた電源22が接続してあって、
電極2,4間での電圧制御を行うことができるようにし
てある。
【0044】さらに詳細に説明すれば、繊維集合体6と
して綿ベルベットを用い、この綿ベルベットよりなる直
径5cmの円形布地(布地厚さ:1.1mm、表面のケ
バ密度:約5万本/cm、ケバ繊維の太さ:約20μ
m)を直径5cmの導電性ステンレス鋼製円形電極(正
極あるいは高圧用電極)2の片面に、接着剤としてエポ
キシ樹脂を用いて図1のCに示したような十字型に塗布
してはりつけた。このとき、ケバを電極面に向けて接着
した。
【0045】一方、負極用導電性ステンレス鋼製円形電
極4を対向させて2つの電極2,4間に繊維集合体6と
しての布地が挿入されるように配置(電極間隔は1.6
mm)して、電極2,4および繊維集合体6の周囲を媒
体8としてのシリコーンオイル(東芝シリコーン製、T
SF451−10)で満たし、モータ14を作動させて
正極用円形電極2を回転させたときに負極用円形電極4
に伝達されるトルクをトルク検出器18で検出すること
により、回転数に対する剪断応力を測定した。なお、布
地は測定前に約2時間、相対湿度80%RHの雰囲気下
で調湿したものを使用した。
【0046】図3に回転数と剪断応力との関係を示す
が、電圧制御手段21をオフ操作して電圧が印加されて
いない場合の剪断応力は、回転数が200rpmの時に
約3gf/cmと小さいものであった。一方、電圧制
御手段21をオン操作して電場強度が3kV/mmとな
る電圧を印加した場合に、回転数が200rpmの時に
約35gf/cmの大きな誘起剪断応力が発生するこ
とがわかった。
【0047】また、この時の電流値は約5μA/cm
と非常に小さいものであった。
【0048】比較例1 図2に示した基本構成を有する電気制御運動伝達装置1
において、繊維集合体6として綿ベルベットの布地(布
地厚さ:1.1mm、表面のケバ密度:約5万本/cm
、ケバ繊維の太さ:約20μm)を用いて直径5cm
の1組のステンレス鋼製円形電極2,4のそれぞれの片
面にエポキシ樹脂で接着し、ケバが相対するように電極
2,4を配置(電極間隔は2.2mm)した以外は実施
例1と同様にして、印加電圧に対する誘起剪断応力の変
化を測定した。
【0049】図4に回転数と剪断応力との関係を示す
が、電圧制御手段21をオフ操作して電圧が印加されて
いない場合の剪断応力は、回転数が200rpmの時に
約40gf/cmと非常に大きいものであった。ま
た、電圧制御手段21をオン操作して電場強度が2.7
kV/mmとなる電圧を印加した場合に、回転数の増加
に伴って剪断応力は減少した。
【0050】実施例2 駆動体3側の電極2の表面に塗布する接着剤のパターン
を変えて、実施例1と同様な測定を行った。このとき用
いた繊維集合体6としての布地は、綿ベルベットの布地
(布地厚さ:1.1mm、表面のケバ密度:約5万本/
cm、ケバ繊維の太さ:約20μm)であり、電極間
隔は1.6mm、回転数は60rpm、印加電圧は4.
8kVの条件とした。
【0051】ここで得られた最大誘起剪断応力と接着剤
のパターンとの関係をまとめた結果を図5に示す。
【0052】図5に示すように、円形電極2の表面にお
いて、円の外周部分の布地が接着固定化されていない接
着パターンのほうがより大きな誘起剪断応力を与えるこ
とが明らかとなった。
【0053】実施例3 回転数を60rpmとした以外は実施例1と同様にし
て、印加電圧に対する誘起剪断応力の変化を測定した。
この結果を図6に示す。図6より明らかなように、誘起
剪断応力は印加電圧に対して単調に増加し、電場強度5
kV/mmの時に45gf/cmという大きな誘起剪
断応力が発生した。そして、印加電圧を変えることによ
り誘起剪断応力を変えることができることがわかった。
【0054】実施例4 繊維集合体6である布地としてレーヨンベルベット(布
地厚さ:1.45mm、表面のケバ密度:約2万本/c
、ケバ繊維の太さ:約20μm)を用いて実施例1
と同様な測定を行った。その結果、回転数が60rpm
の時において電圧を印加しない場合の剪断応力は1gf
/cmであり、1kV/mmの電場を印加した場合の
剪断応力は25gf/cmであった。また、このとき
の電流密度は10μA/cmであった。
【0055】実施例5 高圧電極側には綿ベルベット布地(布地厚さ:1.1m
m、表面のケバ密度:約5万本/cm、ケバ繊維の太
さ:約20μm)を十字形の接着パターン(図1中のパ
ターンC)で接着し、また、接地電極側には綿平織り布
地(布地厚さ:0.3mm、糸使い:タテ36/1、ヨ
コ40/1)を全面形の接着パターン(図1中のパター
ンA)で接着してそれぞれ電極面に設け、実施例1と同
様にして剪断応力を測定した。
【0056】この結果、電極間隔:1.6mm、回転
数:5rpmの場合に、電圧を印加しないときの剪断応
力は2gf/cmと小さく、また、3kV/mmの電
圧を印加したときの剪断応力は70gf/cmと大き
かった。そして、このときの電流値は約5mA/cm
と非常に小さかった。
【0057】実施例6 高圧電極側、接地電極側の両方に綿ベルベット布地(布
地厚さ:1.1mm、表面のケバ密度:約5万本/cm
、ケバ繊維の太さ:約20μm)を円周形の接着パタ
ーン(図1中のパターンB)で接着してそれぞれ電極面
に設け、実施例1と同様にして剪断応力を測定した。
【0058】この結果、電極間隔:3mm、回転数:5
rpmの場合に、電圧を印加しないときの剪断応力は2
gf/cmと小さく、また、2kV/mmの電圧を印
加したときの剪断応力は30gf/cmと大きかっ
た。そして、このときの電流値は約5mA/cmと非
常に小さかった。
【0059】
【発明の効果】本発明に係わる電気制御運動伝達装置
は、請求項1に記載しているように、少なくとも対向面
が導電性を有する駆動体と従動体の対向面間に繊維集合
体を介在させ、対向面間に印加する電圧を調節して駆動
体側から従動体側への運動を制御する電気制御運動伝達
装置において、繊維集合体は、駆動体および従動体の対
向面の少なくとも一方に固定化され、かつ繊維集合体の
一部が該固定化表面から遊離している構成としたから、
(1)電圧を印加しないときの剪断応力が小さく、
(2)高回転域でも誘起剪断応力が減少しないという極
めて有用な特性を示し、電圧を調節するだけで駆動体側
から従動体側への運動(変位,回転等)の伝達を制御す
ることが可能であるという著しく優れた効果がもたらさ
れる。
【0060】また、請求項2に記載しているように、駆
動体の対向面と従動体の対向面との間に媒体が満たされ
ているものとすることによって、運動の伝達制御特性を
より一層向上させることが可能となり、請求項3に記載
しているように、媒体は気体であるものとすることによ
って、比較的簡便な構成で運動の伝達制御を行うことが
可能であり、請求項4に記載しているように、媒体は液
体であるものとすることによって、より優れた運動の伝
達制御を行うことが可能となる。
【0061】さらに、請求項5に記載しているように、
繊維集合体を駆動体および従動体の対向面の少なくとも
一方に固定化するための手段として、対向面上に設けら
れたフック,ピン,ねじ,接着剤のうち少なくとも1種
を用いることによって、簡単な手段によって繊維集合体
の部分的な固定化が可能であり、請求項6に記載してい
るように、繊維集合体を構成する繊維が、天然繊維およ
び合成繊維のうちから選ばれる少なくとも1種であるも
のとすることによって、電圧を印加しないときに大きな
剪断応力を発生することなしに電圧を印加したときには
より大きな誘起剪断応力を発生させることが可能であ
り、請求項7に記載しているように、繊維集合体が添毛
組織織物およびフロック布のうちから選ばれる少なくと
も1種であるものとすることによって、より優れた運動
の伝達制御特性を得ることが可能となり、請求項8に記
載しているように、固定化のパターンが十字形であり、
十字形以外の部分が固定化表面から遊離しているものと
することによって、より大きな運動の伝達力を得ること
が可能になるという優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】繊維集合体の接着パターンの実施態様を示す説
明図である。
【図2】本発明の実施例で用いた電気制御運動伝達装置
の基本構成を示す説明図である。
【図3】実施例1で得た回転数と剪断応力との関係を示
す説明図である。
【図4】比較例1で得た回転数と剪断応力との関係を示
す説明図である。
【図5】実施例2で用いた繊維集合体の接着パターンお
よび発生した誘起剪断応力を示す説明図である。
【図6】実施例3で得た印加電圧と誘起剪断応力との関
係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 電気制御運動伝達装置 2 駆動体側の電極 3 駆動体 4 従動体側の電極 5 従動体 6 繊維集合体 7 円筒体 8 媒体 11 駆動軸 14 モータ 15 従動軸 18 トルク検出器 21 電圧制御手段 22 電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 滝 本 淳 一 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社 内 (72)発明者 祢宜田 啓 史 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社 内 (72)発明者 高 尾 洋 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社 内 (56)参考文献 特開 平4−224316(JP,A) 特開 平3−265720(JP,A) 特開 平5−118344(JP,A) 特開 平4−63752(JP,A) 実開 昭50−156644(JP,U) 実開 平4−126030(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 35/00 C10M 107/50 C10M 171/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも対向面が導電性を有する駆動
    体と従動体の対向面間に繊維集合体を介在させ、対向面
    間に印加する電圧を調節して駆動体側から従動体側への
    運動を制御する電気制御運動伝達装置において、繊維集
    合体は、駆動体および従動体の対向面の少なくとも一方
    に固定化され、かつ繊維集合体の一部が該固定化表面か
    ら遊離していることを特徴とする電気制御運動伝達装
    置。
  2. 【請求項2】 駆動体の対向面と従動体の対向面との間
    に媒体が満たされている請求項1に記載の電気制御運動
    伝達装置。
  3. 【請求項3】 媒体は気体である請求項2に記載の電気
    制御運動伝達装置。
  4. 【請求項4】 媒体は液体である請求項2に記載の電気
    制御運動伝達装置。
  5. 【請求項5】 繊維集合体を駆動体および従動体の対向
    面の少なくとも一方に固定化するための手段として、対
    向面上に設けられたフック,ピン,ねじ,接着剤のうち
    少なくとも1種を用いる請求項1ないし4のいずれかに
    記載の電気制御運動伝達装置。
  6. 【請求項6】 繊維集合体を構成する繊維が、天然繊維
    および合成繊維のうちから選ばれる少なくとも1種であ
    る請求項1ないし5のいずれかに記載の電気制御運動伝
    達装置。
  7. 【請求項7】 繊維集合体が添毛組織織物およびフロッ
    ク布のうちから選ばれる少なくとも1種である請求項1
    ないし6のいずれかに記載の電気制御運動伝達装置。
  8. 【請求項8】 固定化のパターンが十字形であり、十字
    形以外の部分が固定化表面から遊離している請求項1な
    いし7のいずれかに記載の電気制御運動伝達装置。
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