JP3263346B2 - 液体の流動性を制御する方法およびこの方法に用いる流体流動制御装置 - Google Patents

液体の流動性を制御する方法およびこの方法に用いる流体流動制御装置

Info

Publication number
JP3263346B2
JP3263346B2 JP25555797A JP25555797A JP3263346B2 JP 3263346 B2 JP3263346 B2 JP 3263346B2 JP 25555797 A JP25555797 A JP 25555797A JP 25555797 A JP25555797 A JP 25555797A JP 3263346 B2 JP3263346 B2 JP 3263346B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
fluid
electrodes
voltage
flocked
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP25555797A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1190215A (ja
Inventor
坪 泰 文 大
村 一 弥 枝
Original Assignee
有限会社新技術マネイジメント
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 有限会社新技術マネイジメント filed Critical 有限会社新技術マネイジメント
Priority to JP25555797A priority Critical patent/JP3263346B2/ja
Priority to EP19980300914 priority patent/EP0867622B1/en
Priority to DE69825345T priority patent/DE69825345D1/de
Priority to US09/020,725 priority patent/US6116257A/en
Publication of JPH1190215A publication Critical patent/JPH1190215A/ja
Priority to US09/460,681 priority patent/US6260579B1/en
Priority to US09/873,204 priority patent/US6530217B1/en
Application granted granted Critical
Publication of JP3263346B2 publication Critical patent/JP3263346B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
  • Control Of Non-Electrical Variables (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、実質的に絶縁性を有する
流体の流動性を、電圧を印加することにより制御する方
法およびこの方法の実施に好適な流動制御装置に関す
る。
【0002】
【発明の技術的背景】ER流体(Electro-Rheological F
luid)は、電圧を印加することによって、この印加電圧
に応じて、その粘度などの力学的性質が高速で可逆的に
大きく変化する流体である。このような性質を示す流体
は、不均一系(粒子分散系)と均一系とに大別される。
不均一系のER流体としては、シリカゲル等の微粒子を
絶縁油に分散させたものなどが知られている。しかしな
がら、こうした不均一系のER流体では、粒子と媒体と
の比重差から、粒子の沈降あるいは浮遊が起こるという
問題がある。また、室温では同比重であっても、低温時
あるいは高温時には粒子比重と媒体比重の温度依存性が
同一ではないことから、やはり時間の経過と共に粒子沈
降あるいは浮遊といった問題が生ずる。また、こうした
不均一系のER流体では、電圧を印加すると分散してい
る粒子が鎖状構造を形成することにより、その力学的な
性質が変動するのであるが、こうした鎖状構造を形成す
ることに伴い粘度の増加だけでなく、弾性も発現して固
体状態に近似した力学的応答性を示すようになる。この
ためこうした不均一系ER流体は、線形制御が難しく、
多くの場合、フィードバック制御等複雑な制御機構を利
用しなければならない。
【0003】一方、均一系のER流体においては、弾性
の発現がないER流体としては液晶が知られている。こ
うした均一系では、電圧の印加によってもER流体の弾
性は発現しないため、制御が容易であり、また均一系で
あることから粒子の沈降等の問題はない。しかしなが
ら、液晶に代表されるように、こうした均一系のER流
体は非常に高価であることから、表示装置のような非常
に付加価値の高い製品にしか利用されていないのが現状
である。また、均一系のER流体である液晶は、液晶状
態を示す温度範囲でなければ駆動させることができず、
従ってER流体として使用する可能な温度領域は著しく
狭い。たとえば、ER流体が使用されることが予測され
る温度は、約−30〜120℃であると考えられるが、
こうした広範な温度範囲において液晶を駆動させること
は不可能である。
【0004】このように従来から知られているER流体
において、制御の面からすれば均一系ER流体が好まし
いが、こうした均一系のER流体は著しく高価であり、
かつその使用可能な温度範囲も狭い。また、不均一系の
ER流体は、比較的安価であるが、制御が困難であり、
また粒子の沈降・浮遊を生じやすいという流体の安定性
に問題がある。
【0005】ところで、第8回「電磁力関連のダイナミ
ック」シンポジウム講演論文集No.96-252第437〜438頁
には、「静電デバイスの研究(繊維を用いた新規な応力
伝達系)」についての記載がある。この静電デバイス
は、粒子を分散した不均一系ER流体に電圧を印加する
と粒子が静電電圧によって鎖状になることを応用して、
粒子の代わりに電極面に布地繊維を貼着固定した電極を
用いてこの布地繊維を電極として用いて電圧を印加する
ことにより、粒子を含有する不均一系ER流体における
鎖状に連接された粒子の鎖と同等の構造を布地繊維によ
って形成してER流体の力学的性質を発現させようとす
るものである。すなわち、粒子を含有するER流体を使
用するかわりに、沈殿・浮遊の虞のない布地繊維を電極
に貼着固定しこの布地繊維を電極として使用して電圧を
印加することにより、電圧印加によって布地繊維を電極
に対して起立させて、この起立した布地繊維による動抵
抗を発現させて流体の制御を行うものである。さらに、
第39回自動車制御連合講演会(1996年10月16,17,18日)
の予稿集第203〜206頁には「繊維を用いた新規なトルク
伝達系」が開示されており、円板に布地繊維を貼着固定
し、ここに電場をかけながら回転することにより剪断応
力が上昇することが記載されている。
【0006】しかしながら、これらの方法では、電圧を
印加することより布地繊維が剛直な構造をとって電場方
向に配向して剪断応力が増加すると説明されている。従
って、ここでは、電圧を印加しない状態では流体にたな
びく布地繊維を、電圧を印加して流体と電極との相対的
な移動に抗し得るように剛直にして配向させることによ
り、電圧印加時における剪断応力の増加をはかっている
のである。従って、ここでは作動油などはER流体とし
ては機能していない。
【0007】また、これらの方法では、布地繊維を電極
に貼付固定することから、導電電極部位の露出はなく、
電極は一様に布地繊維に被覆された状態である。さらに
移動流発現の観察報告もなく、用いた布地繊維が無電界
時には剪断速度に応じてなびいている等の説明から、本
発明者らの主張する移動流発生による剪断応力発現とは
流動制御機構が異なる。また、本発明にて発現する剪断
応力には力学的連続性があり、固体化を示す降状応力は
なく、制御容易な性質を示すが、布地繊維貼付固定の電
極にあっては、このような特性はない。
【0008】
【発明の目的】本発明は、粒子等の沈殿・浮遊のない均
一系流体において、制御が容易であり、しかも電圧を印
加することによって流体の流動特性を制御することがで
きる方法を提供することを目的としている。
【0009】さらに本発明は、絶縁性液体を用いてその
流動性を広い温度範囲において容易に制御することので
きる方法を提供することを目的としている。また本発明
は、上記のような流体の流動性の制御を行うのに適した
制御装置を提供することを目的としている。
【0010】
【発明の概要】本発明は、流体中に、非一様電界を形成
し得る少なくとも一対の不均一面電極を配置し、該電極
間に電圧を印加して該電極間に該流体の移動流を形成
し、該移動流によって該流体の流動性を制御する方法で
ある。尚、本発明で言う一対の不均一面電極とは、少な
くとも一方が表面が平滑でない電極を意味し、本発明で
はこのような不均一面電極を用いることにより、非一様
電界を形成することを特徴とする。
【0011】また、本発明の流体流動制御装置は、流体
中に、非一様電界を形成し得る少なくとも一対の不均一
電極を有し、該少なくとも一対の不均一面電極に電圧
が印加可能にされており、該少なくとも一対の不均一面
電極は、液体が挟持される間隙を形成して配置されてい
ることを特徴としている。
【0012】ここで流体に非一様電界を形成し得る一対
の電極を形成する一方の電極は、表面が平滑でない不均
一面電極、特に植毛状電極であることが好ましい。ま
た、該植毛状電極は、電極上に明らかに導電体面と、そ
れより延植された繊維状物質からなる不導電体面から形
成されており、導電性物質表面の延植された繊維状物質
の断面積は、通常は2〜75%である。
【0013】流体中に、この流体に非一様電界を形成し
得る一対の電極を配置し、この電極間に電圧を印加する
と電極間に、例えば循環流のような流体の新たな移動流
が形成される。こうして形成された液体の移動流は、剪
断方向がこの移動流と直角な場合には、剪断方向の液体
の相対的な移動に抗する力、すなわち剪断応力の増加と
なると考えられる。
【0014】
【発明の具体的説明】次に本発明の相対的流体流動制御
方法およびこの方法で使用される装置について具体的に
説明する。
【0015】図1に本発明の方法で使用することができ
る流動制御装置の一例を模式的に示す。本発明で用いる
制御装置10は、少なくとも一対の電極12,14を有
している。この一対の電極を形成する電極12,14
は、流体16に非一様電界を形成することができるよう
にされている。例えば、表面が平滑な一対の電極を用い
て流体に電圧を印加すると流体に均一な電界が形成さ
れ、こうした電極を用いたのでは、流体の移動流を形成
することは難しい。本発明では、対峙する一対の電極1
2,14のうち、少なくとも一方の電極の表面は平滑に
はされておらず、表面が平滑でない不均一面電極であ
る。図1において、上部の電極12の表面には繊維状物
質18が植設されており不均一電極を形成している。こ
のような不均一電極としては、上記のような植毛電極の
他、例えば、多数の金属柱が電極基板表面から延出され
た電極、表面が例えばエンボス加工されることにより凹
凸が形成された電極、印刷技術等を利用して電極基板上
に凹凸を形成した電極、海島構造で、海部が凸凹の時、
島部が凹凸である構造の電極、ハニカム状の電極等を挙
げることができる。これらの中でも植毛電極が好まし
い。以下、本発明において、こうした流体に非一様電界
を形成し得る電極を総称して「植毛状電極」と記載する
こともある。この植毛状電極においては、延植された繊
維状物質は剪断速度板での流れに対してたなびくことは
なく、よって本発明にて発現する剪断応力には力学的連
続性があり、固体化を示す降状応力はなく、制御容易な
性質を示す。
【0016】図1には、直径35mmの一対の円板12,
14を有し、上部円板12の下部円板に対面する面に合
成繊維18が植設された電極を用いた電極の例が示され
ている。そして、この上部円板12は、下部円板14に
対して回動自在に配置されている。付番22は、この上
部電極12を回転させるためのモータである。上部円板
12と下部円板14とは、1.5mmの間隙を形成して配
置されており、植毛繊維状物質18の長さは1mmである
から、植設された繊維状物質18の先端と下部円板14
との間に0.5mmの間隙が形成されるように配置されて
いる。このような上部円板12と下部円板14とは電気
的に絶縁されている。図1において、モータ22の回転
軸26には、回転接点が設けられており、上部円板12
と下部円板14との間に電圧を印加することができるよ
うにされている。印加電圧は、コントローラー24によ
って制御される。
【0017】また、上部円板12は、駆動装置であるモ
ータ22に回転軸26により連結されており、この回転
軸26には、回転の際の剪断応力を測定するための測定
装置(図示なし)が備えられている。
【0018】本発明において、不均一面電極として好適
に使用される植毛電極は、金属基板表面に繊維状物質が
植設された電極である。ここで図1に示すような上部円
板の下端面に植設される繊維状物質としては、有機繊維
状物質、無機繊維状物質または金属繊維状物質を用いる
ことができる。ここで使用することができる有機繊維状
物質の例としては、ポリアミド繊維(ナイロン繊維)、
ポリエステル繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、アセ
テート繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ
塩化ビニル繊維等の化学繊維や、綿、麻、羊毛等の天然
繊維や、有機物質のウイスカー等を挙げることができ
る。また、無機繊維状物質としては、ガラス繊維、アス
ベスト繊維や、無機物のウイスカー等を挙げることがで
きる。さらに金属繊維状物質としては、ステンレス繊
維、銅繊維、ニッケル繊維、金属ウイスカーや、金属酸
化物、金属窒化物、金属炭化物などの金属化合物や金属
誘導体等のウイスカーを挙げることができる。このよう
な繊維状物質は、単独であるいは組み合わせて使用する
ことができる。
【0019】このような繊維状物質18の長さは、電極
間距離により適宜設定することができるが、繊維状物質
の長さは、通常は、通常の電極板間距離の1/100〜
95/100程度、好ましくは1/100〜80/10
0程度に設定される。例えば図1に示す装置10におい
て上部円板12と下部円板14との円板間距離は1.5m
mであり、この例では、植設されている繊維状物質18
の長さは、1.0mmである。また、この繊維状物質18
の太さは、通常は0.5〜15デニール、好ましくは1.
0〜5.0デニールの範囲内にある。繊維状物質の太さ
が上記範囲を大きく逸脱すると電極面への繊維状物質の
均一な植設が困難となり、得られる植毛電極が示す剪断
応力にバラツキが発生する。また、植設密度にもよる
が、密となった箇所は、電圧印加しない場合の流体の流
動性抵抗が大きく、必然的に電圧印加時との差が小さく
なり、バラツキの要因ともなる。
【0020】こうした繊維状物質の植設密度は、制御し
ようとする流体の流動性を考慮して適宜設定することが
できるが、通常は1000〜50000本/cm2、好ま
しくは3000〜30000本/cm2の範囲内にあり、
繊維状物質の断面積は、被植設電極面積の、通常は2〜
75%であり、好ましくは5〜35%である。本発明の
方法において流体の移動流は、植設された繊維状物質1
8の先端(植毛状電極の先端)と、他方の電極14との
間に形成されるため、繊維状物質の植設密度が低いと形
成される流体の移動流の規模が少なく、従って、繊維状
物質の植設密度が低いと電圧印加により形成される移動
流が小さく、充分な流体流動制御ができないことがあ
り、また上記範囲を超える本数の植毛は工業的には実質
的にできない。
【0021】上記のような繊維状物質を電極材に植設す
る方法に特に制限はないが、例えば電極材である金属な
どの表面に形成された接着剤(植毛糊)層28により電
極材と繊維状物質の端部とを接着する方法あるいは接着
剤を用いることなく繊維状物質端部を電極材表面に融着
する方法など挙げることができる。また、繊維状物質が
金属あるいは無機材料などである場合には電極材表面に
繊維状に金属あるいは無機材料を成長させてもよい。
【0022】上記のように繊維状物質18が植設された
植毛電極に対峙する他方の電極14は、電極間に電圧を
印加することができるものであればよく、種々の材料で
形成することができる。例えばこの他方の電極14は、
金属、グラファイト等の炭素材料、導電性の金属酸化物
や、導電層を形成する塗材の塗布や、導電性フィルム等
で形成することができる。また、これらの電極形成材料
の表面が布等で表面被覆されていてもよい。図1におい
て、他方の電極14は金属で形成してある。
【0023】上記のような植毛状電極12と他方の電極
14の間には、その使用温度において実質的に絶縁性の
流体16が挟持されている。図1において、植毛状電極
12と他方の電極14とは、流体を充填した容器30内
に浸漬された態様が示されており、上記のような植毛状
電極12と他方の電極14とを流体16が充填された容
器30内に浸漬することにより、植毛状電極12と他方
の電極14との間隙に流体16が供給される。
【0024】上記のようにして植毛状電極12と他方の
電極間14に供給される流体16は、その使用温度にお
いて流動性を示す液体であればよい。本発明においては
この流体16として、その使用温度において実質的に絶
縁性を有する流体を使用することが好ましい。本発明に
おいて「流体が実質的に絶縁性である」とは、この流体
の導電率(σ)が通常5×10-6S・m-1以下、好ましく
は2.5×10-6S・m-1以下であることを意味する。この
ような流体の例としては、シリコーン油、油圧作動油、
機械作動油、トランス油、潤滑油、鉱油、切削油、軸受
油を挙げることができる。
【0025】上記のような実質的に絶縁性の流体16を
挟持する植毛状電極12と他方の電極14間に電圧を印
加する。ここで印加電圧は、例えば、矩形波、パルス
波、連続波などとして印加することができる。印加電圧
は、通常は10V〜10KV、好ましくは50V〜6KV
である。こうした電圧が印加される流体が実質的に絶縁
性を示す流体であっても、上記のようにして電圧を印加
すると非常に微量であるけれども電量が流れる。このと
きに流れる電流量は、流体の種類、植毛状電極、電極間
距離などによって異なるが、通常は0.001〜100
μA/cm2、多くの場合0.05〜20μA/cm2の範囲
内にある。
【0026】上記のようにして電極間に電圧を印加する
と、不均一面電極である植毛状電極12の繊維状物質1
8先端と他方の電極14との間に流体の移動流が形成さ
れる。すなわち、不均一面電極を用いることにより、電
極間に挟持されている流体に非一様の電界が形成され、
この非一様電界により流体の移動流が形成される。この
移動流は、例えば植毛状電極を用いた場合には、ほぼそ
れぞれの繊維状物質の先端と他方の電極との間に形成さ
れ、多くの場合流体の循環流となる。例えば図1におい
ては、植毛状電極12と他方の電極14の間に縦方向に
複数の循環流が形成される。この循環流は、電極間を横
方向に流れる流体の移動に対してほぼ直角の方向に形成
されることから、電極間を横方向に移動する流体に対し
て剪断応力として機能する。そして、この循環流の量
(あるいは流れの強さ)は、植毛状電極と他方の電極間
に印加される電圧の強さによって制御することができる
ので、図1においては横方向に移動する流体の流動性
を、植毛状電極12と他方の電極間14に印加される電
圧を変えることにより制御することができる。
【0027】図2に植毛電極の繊維状物質の先端と他方
の電極との間を0.5mmにし、この間隙に電気絶縁性を
有することが知られているシリコーン油を挟持させて
0.25〜2KVの直流電圧を印加し、上部円板を回転し
たときの作動油の粘度を示す。比較のために電圧を印加
しないときの作動油の粘度も併記する。
【0028】一般に流体に電圧を印加した時に流体が粘
度変化することは電気レオロジー効果として知られてい
るが、これは流体が電界によって状態変化することに起
因している。すなわち、例えば粒子分散系電気レオロジ
ー流体は電界によって粒子が誘電分極して電極間に鎖状
構造を形成することにより剪断応力が増加し、流体粘度
が増加するものと理解されている。また、均一電気レオ
ロジー流体である液晶は、電界により電極間の液晶物質
が一方方向に配向し、剪断応力が増加し、流体粘度が増
加するものと理解されている。
【0029】しかしながら、本発明の制御方法の例で用
いたシリコーン油は、電気的に安定であり、上記のよう
な粒子分散系流体あるいは液晶のような配向性は有して
いない。従って、粒子が不均一系流体のように鎖状構造
を形成することはあり得ず、また、液晶のように配向す
ることもあり得ない。シリコーン油は、電界において安
定な物質状態を示すことが知られており、それが故に、
現在優れた電気絶縁性流体として広く使用されているの
である。
【0030】このような電気的に安定な物質であるシリ
コーン油を用いても、本発明で規定するように植毛状電
極と他方の電極との間に電圧を印加すれば、植毛状電極
である繊維状物質の先端と他方の電極間との間に流体の
移動流、多くの場合循環流が観察され、この移動流の形
成によってシリコーン油の剪断応力が増加し、このシリ
コーン油の流動性は、電極間に印加される電圧によって
制御することができる。上記のような流体の挙動は、シ
リコーン油に限られるものではなく、通常の作動油など
も同様の挙動を示す。
【0031】こうして形成された流体の移動流、特に循
環流は、電界印加方向に直交する流体の移動に対して剪
断応力として機能する。従って、本発明によれば、植毛
状電極に対する流体の流動性を、電極に電圧を印加する
ことによって容易に制御することができる。しかも、本
発明による制御は、電極間に印加する電圧を調整するこ
とによって極めて精度良く制御することができる。
【0032】そして、本発明の方法では、流体に粒子な
どを配合することなく、通常使用されている絶縁性流体
をそのまま使用して、既存の装置に電極を配置すること
により流体の制御を行うことができるので、設備の大規
模な変更を必要としない。さらに、図1に示すように、
電極を移動することもできるし、電極を固定して、この
固定電極間に流体を流動させ、固定電極に電圧を印加し
てこの固定電極間を通過する流体の流動性を制御するこ
とができる。即ち、本発明の方法では、電極に対する流
体の相対的な流動特性を制御することができる。
【0033】本発明の制御方法は、広く産業応用が可能
であり、通常の油圧油を用いる油圧機構において摺動部
がなく電圧により制御可能な油圧バルブとして利用する
ことができる。さらに、本発明の方法は、クラッチ、シ
ョックアブゾーバーのような自動車部品、産業機械部
品、制振機構等として応用することができる。
【0034】本発明の流体の流動性の制御方法は、上記
詳述したように、不均一面電極を用いて、絶縁性流体に
電圧を印加して流体の流動特性を制御するものである
が、本発明はさらに種々に改変することが可能である。
【0035】例えば、本発明で用いられる流体には、特
に他の成分を配合する必要はないが、例えば酸化防止
剤、安定剤、着色剤、防錆剤、粘度調整剤、防腐剤、防
黴剤、各種溶剤、流動性調整剤、界面活性剤等の添加剤
を配合することもできる。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、植毛状電極を用いるこ
とにより実質的に絶縁性を示す流体の流動性を制御する
ことができる。殊に本発明で用いることができる流体中
に粒子等を充填することを要しないので、粒子等の沈殿
・浮遊等が生ずることがない。さらに、本発明では通常
使用されている絶縁性液体を用いることができるので非
常に経済的である。
【0037】しかも、本発明によれば発現する剪断応力
には力学的連続性があり、固体化を示す降状応力はなく
制御容易な性質を示し、制御装置等が簡素化される。
【0038】
【実施例】次に本発明の実施例を示してさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
【実施例1】直径35mmの円形金属平板上に、植毛糊を
厚さ0.1mm塗布した後、長さ1.0mm、太さ3デニール
のレーヨン繊維(大和紡(株)製、商品名:コロナ)
を、30000Vの電界下で静電植毛法を用いて植毛処
理を行い、レーヨン植毛電極板を得た。
【0040】容器内に上記のようにして得られたレーヨ
ン植毛電極板を平行平板型測定センサーの上部円板とし
て配置した。この植毛状電極の下方には、植設された繊
維状物質の先端から0.5mmの間隙を形成して下部電極
が配置されている。この容器内に、室温における粘度が
0.1Pasのシリコン油を充填した。
【0041】上記のように配置された上部電極(植毛状
電極)を回転させることで剪断速度を与え、植毛状電極
を正極とし、下部電極板を負極として直流電圧を印加し
たときの各剪断速度における粘度および流れる電流値を
測定した。結果を表1および図2に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【実施例2】実施例1において、長さ1.0mm,太さ3デ
ニールのレーヨン繊維の代わりに長さ1.0mm、太さ2
デニールのナイロン繊維(東レ(株)製、商品名;東レ
ナイロン)を用いた以外は同様にしてシリコン油の粘度
および流れた電流値を測定した。結果を表2および図3
に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
【実施例3】実施例1において、長さ1.0mm,太さ3デ
ニールのレーヨン繊維の代わりに長さ1.0mm、太さ2
デニールのアクリル繊維(鐘淵化学工業(株)製、商品
名:カネカロン)を用いた以外は同様にしてシリコン油
の粘度および流れた電流値を測定した。結果を表3およ
び図4に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
【実施例4〜9】実施例1において、シリコーン油の代
わりに、ISO粘度グレード32の油圧作動油(出光興産
株式会社製、商品名:ダフニースーパーハイドロウリッ
クフルイド32)を用い、長さ1.0mm、太さ3デニー
ルのレーヨン繊維(大和紡(株)製、商品名:コロナ)
(実施例4,図5)、このときの印加電圧を0、1.0K
V,2.0KV,3.0KVに変化させた。(実施例4、図5) 長さ1.0mm、太さ2デニールのナイロン繊維(東レ
(株)製、商品名;東レナイロン)(実施例5、図
6)、長さ1.0mm、太さ2デニールのアクリル繊維
(鐘淵化学工業(株)製、商品名:カネカロン)(実施
例6、図7)、長さ0.3mm、太さ1.5デニールのレー
ヨン繊維(大和紡(株)製、商品名:コロナ)(実施例
7,図8)、長さ0.4mm、太さ1.5デニールのビニロ
ン繊維((株)クラレ製、クラレビニロン)(実施例
8、図9)、長さ0.2mm、太さ1.5デニールのビニロ
ン繊維((株)クラレ製、クラレビニロン)(実施例
9、図10)、を用いた以外は同様にして、油圧作動油
の粘度および流れた電流値を測定した。結果を表4およ
び図5〜図10に示す。
【0048】
【表4】
【0049】
【実施例10、11】実施例1において、シリコーン油
の代わりに、ISO粘度グレード100の作動油(出光
興産(株)製、商品名;ダフニースーパーハイドロウリ
ックフルイド100、実施例10、図11)または、I
SO粘度グレード22の作動油(出光興産(株)製、商
品名;ダフニースーパーハイドロウリックフルイド2
2、実施例11、図12)を用いた以外は同様にして、
粘度および電流値を測定した。結果を表5および図1
1、12に示す。
【0050】
【表5】
【0051】
【実施例12】実施例4において、上部電極(植毛状電
極)を負極とし、下部電極板を正極とした以外は同様に
して、粘度および電流値を測定した。
【0052】結果を表6および図13に示す。
【0053】
【表6】
【0054】
【実施例13】実施例4において、レーヨン繊維を植毛
処理した植毛状電極の代わりに、図15に示すような、
厚さ0.5mmのハニカム構造をした電極板を上部電極と
して用いた以外は同様にして粘度および電流値を測定し
た。
【0055】結果を表7および図14に示す。このハニ
カム構造金属電極における単位当たりの導電体部分の面
積は、33%であり、孔部の面積は67%であり、孔部
は不導体である。
【0056】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明で好適に使用される制御装置の
例を模式的に示す模式図である。
【図2】図2は、実施例1における各剪断速度における
流体の粘度を示すグラフである。
【図3】図3は、実施例2における各剪断速度における
流体の粘度を示すグラフである。
【図4】図4は、実施例3における各剪断速度における
流体の粘度を示すグラフである。
【図5】図5は、実施例4における各剪断速度における
流体の粘度を示すグラフである。
【図6】図6は、実施例5における各剪断速度における
流体の粘度を示すグラフである。
【図7】図7は、実施例6における各剪断速度における
流体の粘度を示すグラフである。
【図8】図8は、実施例7における各剪断速度における
流体の粘度を示すグラフである。
【図9】図9は、実施例8における各剪断速度における
流体の粘度を示すグラフである。
【図10】図10は、実施例9における各剪断速度にお
ける流体の粘度を示すグラフである。
【図11】図11は、実施例10における各剪断速度に
おける流体の粘度を示すグラフである。
【図12】図12は、実施例11における各剪断速度に
おける流体の粘度を示すグラフである。
【図13】図13は、実施例12における各剪断速度に
おける流体の粘度を示すグラフである。
【図14】図14は、実施例13における各剪断速度に
おける流体の粘度を示すグラフである。
【図15】図15は、実施例13で用いたハニカム電極
の表面を拡大して示す模式図である。
【符号の説明】
10…制御装置 12,14…電極(円板) 16…流体 18…繊維状物質 22…モータ 26…回転軸 28…接着剤(植毛糊)層 30…容器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 19/00 - 19/32 G05D 24/02 F03G 7/00 F16D 25/14 - 25/14 680

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体中に、非一様電界を形成し得る少な
    くとも一対の不均一面電極を配置し、該電極間に電圧を
    印加して該電極間に該流体の移動流を形成し、該移動流
    によって該流体の流動性を制御する方法。
  2. 【請求項2】 上記非一様電界を形成し得る一対の不均
    一面電極の少なくとも一方の電極面が、平滑でない表面
    を有し、該平滑でない電極表面と他方の電極との最短電
    極間距離が5mm〜20μmの範囲内にあることを特徴と
    する請求項第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】 不均一面電極が、表面から多数の繊維状
    物質が延設された植毛状電極であることを特徴とする請
    求項第1項乃至第2項のいずれかの項記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記植毛状電極が、導電性物質表面に、
    有機繊維状物質、無機繊維状物質および金属繊維状物質
    よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の繊維状物質
    を植設した植毛電極であり、かつ前記他の電極が導電性
    物質電極であることを特徴とする請求項第3項記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 前記植毛状電極を形成する繊維の平均長
    さが10mm〜50μmの範囲内にあり、該繊維の太さが
    0.1〜10デニールの範囲内にあり、かつ該繊維が1c
    m 2 あたり1000〜50000本植設されていることを
    特徴とする請求項第3項または第4項記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記一対の電極間に10V〜10KVの直
    流電圧または10V〜10KVのパルス状電圧を印加する
    ことを特徴とする請求項第1項乃至第5項のいずれかの
    項記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記流体の使用温度における導電率が、
    5×10 -6 -1 以下であることを特徴とする請求項
    第1項乃至第6項のいずれかの項記載の方法。
  8. 【請求項8】 流体中に、非一様電界を形成し得る少な
    くとも一対の不均一面電極を有し、該少なくとも一対の
    不均一面電極に電圧が印加可能にされており、該少なく
    とも一対の不均一面電極は、液体が挟持される間隙を形
    成して配置されていることを特徴とする流体流動制御装
    置。
  9. 【請求項9】 前記流体に非一様電界を形成し得る一対
    の不均一面電極の一方の電極が、表面から繊維状物質が
    延設された植毛状電極であることを特徴とする請求項第
    8項記載の流体流動制御装置。
  10. 【請求項10】 前記植毛状電極と他の電極との相対的
    位置関係が固定されており、該電極間を流体が流動する
    ことを特徴とする請求項第9項記載の流体流動制御装
    置。
JP25555797A 1997-03-28 1997-09-19 液体の流動性を制御する方法およびこの方法に用いる流体流動制御装置 Expired - Fee Related JP3263346B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25555797A JP3263346B2 (ja) 1997-09-19 1997-09-19 液体の流動性を制御する方法およびこの方法に用いる流体流動制御装置
EP19980300914 EP0867622B1 (en) 1997-03-28 1998-02-09 Micromotors, linear motors, micropumps, methods of using the same, microactuators, methods of controlling flow properties of fluids, and apparatuses for controlling flow properties of fluids
DE69825345T DE69825345D1 (de) 1997-03-28 1998-02-09 Mikromotore, lineare Motore, Mikropumpe, Verfahren zur Anwendung derselben, Mikrobetätigungselemente, Geräte und Verfahren zur Steuerung von Flüssigkeitseigenschaften
US09/020,725 US6116257A (en) 1997-03-28 1998-02-09 Micromotors, linear motors, micropumps, methods of using the same, microactuators, methods of controlling flow properties of fluids, and apparatuses for controlling flow properties of fluids
US09/460,681 US6260579B1 (en) 1997-03-28 1999-12-14 Micropump and method of using a micropump for moving an electro-sensitive fluid
US09/873,204 US6530217B1 (en) 1997-03-28 2001-06-04 Micromotors, linear motors and microactuators for controlling flow properties of fluids

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25555797A JP3263346B2 (ja) 1997-09-19 1997-09-19 液体の流動性を制御する方法およびこの方法に用いる流体流動制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1190215A JPH1190215A (ja) 1999-04-06
JP3263346B2 true JP3263346B2 (ja) 2002-03-04

Family

ID=17280386

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25555797A Expired - Fee Related JP3263346B2 (ja) 1997-03-28 1997-09-19 液体の流動性を制御する方法およびこの方法に用いる流体流動制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3263346B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6006984B2 (ja) * 2012-05-30 2016-10-12 学校法人慶應義塾 電気粘着素子及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1190215A (ja) 1999-04-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5354488A (en) Fluid responsive to a magnetic field
Parthasarathy et al. Electrorheology: mechanisms and models
Carlson et al. MR fluid, foam and elastomer devices
Gast et al. Electrorheological fluids as colloidal suspensions
Sprecher et al. Electrorheology at small strains and strain rates of suspensions of silica particles in silicone oil
Ginder et al. The effect of electrical transients on the shear stresses in electrorheological fluids
DE19735897A1 (de) Kupplung
Klingenberg et al. Stress-transfer mechanisms in electrorheological suspensions
Starkweather et al. An experimental study of the change in the contact angle of an oil on a solid surface
JP3263346B2 (ja) 液体の流動性を制御する方法およびこの方法に用いる流体流動制御装置
Stangroom Basic considerations in flowing electrorheological fluids
Goldstein Electrorheological fluids: applications begin to gel
Guzel et al. Polyindene/organo‐montmorillonite conducting nanocomposites. II. electrorheological properties
Kakinuma et al. Basic properties of gel-structured electro-rheological fluids
Nava et al. Response time and viscosity of electrorheological fluids
Otsubo et al. Electrorheology of dilute suspensions induced by hydrodynamic instability
JP2000220610A (ja) 流体の流動性制御方法、流動性制御装置および植毛バルブ機構
Seed et al. Tribotronic and electrochemical properties of platinum–nanofluid interfaces formed by aqueous suspensions of 5 and 40 nm tio2 nanoparticles
Espin et al. Effect of additives and measurement procedure on the electrorheology of hematite/silicone oil suspensions
US20020094373A1 (en) Method to use a magneto-rheological or electro-rheological substance by using a continuous minimal low threshold power supply
Agrawal et al. An overview of magneto-and electro-rheological fluids and their applications in fluid power systems
Kollias et al. Properties of zeolite-and cornstarch-based electrorheological fluids at high shear strain rates
Acharya et al. Tuning friction at material-nanoparticle-liquid interfaces with an external electric field
JP5158349B2 (ja) Er流体の制御方法
See et al. Relationship between electric current and matrix modulus in electrorheological elastomers

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071221

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081221

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091221

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101221

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees