JP3107608B2 - ポリエーテルの製造方法 - Google Patents

ポリエーテルの製造方法

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JP3107608B2 JP03257653A JP25765391A JP3107608B2 JP 3107608 B2 JP3107608 B2 JP 3107608B2 JP 03257653 A JP03257653 A JP 03257653A JP 25765391 A JP25765391 A JP 25765391A JP 3107608 B2 JP3107608 B2 JP 3107608B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はロケットモーター用コン
ポジット系固体推進薬に使用される燃料結合剤に用いら
れるポリエーテル及びその製造方法に関する。更に詳し
くは、酸化剤、粘結剤、助燃剤、燃焼触媒等から成るコ
ンポジット系固体推進薬において、その粘結剤の主成分
である燃料結合剤として用いられるポリエーテル及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンポジット系固体推進薬の燃焼
特性を改善するために燃料結合剤としてアジド基を有す
るポリエーテルを使用する方法が注目されている。この
種のポリエーテルとしては一般式(II)
【0003】
【化3】
【0004】(式中、q は正数を表す。)で示されるア
ジドメチル基を側鎖にもつポリエーテルが有望視されて
おり(USP.4,268,450)、前記一般式(II)で示される
ポリエーテルは、燃料結合剤として用いた場合、燃焼特
性等に於いて優れた特徴を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に、水酸基とイソ
シアネートとの反応において、水酸基が2級である場合
には、水酸基が1級である場合と比較して、その反応速
度が1/2〜1/10と非常に遅いことが知られている。
現在、燃料結合剤として広く使用されている末端水酸基
ポリブタジエンの水酸基は全て1級であるの比較し、前
記一般式(II)で示されるポリエーテルは、1級水酸基
と2級水酸基が混在しており、しかも一般には、そのほ
とんどが2級水酸基である。そのため、前記一般式(I
I)で示されるポリエーテルを用いて推進薬を製造する
場合には従来よりも長い硬化時間を必要とし、製造性に
劣るという問題点を有している。また、硬化時間を短縮
するためには、スズ系化合物等のウレタン硬化触媒を多
量に添加する必要があり、この場合には耐老化性が著し
く低下するという致命的な問題点がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】以上の問題点を解決する
ため、本発明者は一般式(II)で示されるポリエーテル
のイソシアネートに対する反応性を改良する、即ち、末
端2級水酸基を1級水酸基に変性することを目的とし、
鋭意検討を行った結果、一般式(II)で示されるポリエ
ーテルと環状エーテル化合物を反応させることにより一
般式(I)で示される、末端水酸基が全て1級水酸基で
あるポリエーテルが得られ、またかかるポリエーテル
は、溶媒中にて、一般式(II)で表されるポリエーテル
と環状エーテル化合物とを反応させることにより得られ
ることを見出し、本発明を完成するに到った。即ち、本
発明は、一般式(I)
【0007】
【化4】
【0008】(式中、q は正数、p, rは1以上3以下の
整数、Rは−CH2CH2−,−CH2CH2CH2−及び−CH2CH2CH2C
H2−からなる群から選ばれるアルキレン基を表す。)で
表される末端変性ポリエーテルであって、該ポリエーテ
ルの数平均分子量が500〜6000であることを特徴とする
ポリエーテル、及び、溶媒中に、一般式(II)
【0009】
【化5】
【0010】(式中、q は正数を表す。)で表されるポ
リエーテル、反応開始剤として三フッ化ホウ素エチルエ
ーテル錯体(BF3O(C2H5)2)、及びエチレンオキサイド、
オキセタン及びテトラヒドロフランからなる群から選ば
れる環状エーテル化合物を一括に仕込み、反応させるこ
とを特徴とする前記一般式(I)で表されるポリエーテ
ルの製造方法を提供するものである。
【0011】一般式(I)において、p 及びr の値は1
〜3の整数であり、p 及びr の値が1未満となるとポリ
エーテルのイソシアネートに対する反応性が低下し、3
を超えると推進薬とした場合に燃焼特性、特に比推力が
低下する。また、一般式(I)で表されるポリエーテル
の数平均分子量は 500〜6000であり、特に1000〜3000の
範囲にあることが好ましい。数平均分子量が 500未満で
あると推進薬とした場合に機械的強度が低下し、また60
00を超えると、ポリエーテルの粘度が極端に高くなるこ
とから推進薬の製造性が悪くなる。
【0012】本発明のポリエーテルは、溶媒中に、一般
式(II)で表されるポリエーテル、反応開始剤として三
フッ化ホウ素エチルエーテル錯体(BF3O(C2H5)2)、及び
環状エーテル化合物を一括に仕込み反応させることによ
り得られる。反応温度は−30〜40℃、特に−20〜30℃の
範囲にあることが好ましい。反応温度が−30℃未満であ
ると反応がほとんど進行しないために実用的でない。ま
た反応温度が40℃を超えると副反応が起きるために好ま
しくない。本発明に用いられる溶媒としては、トルエ
ン、ベンゼン、クロルベンゼン、塩化メチレン、四塩化
炭素、ニトロメタン、ニトロベンゼン等が挙げられる。
溶媒の使用量は特に限定されないが、反応原料に対し、
0.5〜10重量倍使用するのが好ましい。また、本発明に
用いられる環状エーテル化合物は、エチレンオキサイ
ド、オキセタン及びテトラヒドロフランからなる群から
選ばれるものであればよいが、取扱作業性等の面から、
特にオキセタン及びテトラヒドロフランが好ましい。環
状エーテル化合物の使用量は、一般式(II)で表される
原料ポリエーテルの水酸基に対して 1.0〜2.0 倍モル、
特に 1.1〜1.5 倍モル使用するのが好ましい。
【0013】更に、本発明のポリエーテルの製造に用い
られる溶媒、反応開始剤、一般式(II)で表される原料
ポリエーテル及び環状エーテル化合物に含まれる水分は
1000ppm 以下、特に500ppm以下であることが好ましい。
また、反応開始剤として用いられる三フッ化ホウ素エチ
ルエーテル錯体の添加量は原料ポリエーテルに対して
0.5〜4倍モル、特に1〜2倍モルの範囲が好ましい。
添加量が 0.5倍モル未満になると反応が完結せず、ま
た、4倍モルを超えると副反応が起こるために好ましく
ない。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0015】実施例1 <原料ポリエーテルの合成>市販のポリエピクロルヒド
リン(分子量2500) 100gを窒素吹き込み管を有するガ
ラス製セパラブルフラスコにとり、ジメチルホルムアミ
ド1kg及びアジ化ソーダ80.22 gを加え、室温にてよく
混合した。次に上記混合液をゆっくりと85℃に加温し
た。温度を引き続き85℃に保ち、撹拌しながら8時間反
応を行い、原料ポリエーテルを合成した。反応終了後、
混合液の温度を室温まで下げ、塩化メチレン 0.6リット
ル及び水0.6リットルを加え、十分混合した後、分液ロ
ートにて分液した。分液後下層液(塩化メチレン溶液)
を分取した。更に分液ロートを用いて、分取した塩化メ
チレン溶液を水 0.6リットルで2〜3回水洗し、最後に
分取した下層液中に溶け込んでいる水分を無水硫酸ナト
リウムを加えて脱水した。その後、この溶液を濾過し、
ロータリーエバポレーターにて塩化メチレンを除去し
た。更に、圧力1mmHg、温度80℃の条件にて減圧精製
し、淡黄白色の粘調なポリエーテル 102gを得た。この
ものを赤外吸光分析及び元素分析を行った結果、ポリエ
ピクロルヒドリン中のクロルメチル基は全てアジドメチ
ル基となっていた。また、水酸基価から求めた分子量は
2680、官能基数は2.0 であり、一般式(II)で示される
q=27であるポリエーテルであることを確認した。更に
NMR分析を行った結果、末端水酸基の約90%が2級水酸
基であった。
【0016】<原料ポリエーテルの末端変性>常法に従
って脱水精製した塩化メチレン30g、反応開始剤である
三フッ化ホウ素エチルエーテル錯体1.06g及び前記原料
ポリエーテル10gを予め窒素置換したフラスコに入れ、
十分混合した。更に0℃にてオキセタン0.477 gを添加
し、温度を0℃に保ちながら2時間反応を継続した。そ
の後、蒸留水を添加して反応を停止した後、飽和重曹水
を添加して三フッ化ホウ素エチルエーテル錯体を中和し
た。更に蒸留水 500ミリリットルを加え、十分に混合し
た後、分液ロートにて分液し、下層液(塩化メチレン溶
液)を分取した。更に、分液ロートを用い、分取した塩
化メチレン溶液を蒸留水 500ミリリットルで2〜3回水
洗し、反応開始剤を十分に除去した。その後、ロータリ
ーエバポレーターにて塩化メチレンを除去し、更に圧力
1mmHg、温度80℃の条件にて減圧精製し、淡黄白色の粘
調なポリエーテル10gを得た。このものの分子量は280
0、官能基数は2.0 であった。またNMR 分析を行った結
果、得られたポリエーテルは、一般式(I)で示される
ポリエーテルであり、水酸基は全て1級水酸基であっ
た。
【0017】
【発明の効果】本発明により、一般式(II)で示される
ポリエーテルの末端水酸基を全て1級水酸基に変性し
た、一般式(I)で示されるポリエーテルを得ることが
可能となり、また、本発明の末端変性ポリエーテルを用
いることにより、推進薬製造時間の短縮及び耐老化性の
より優れた推進薬を得ることが期待できる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶媒中に、一般式(II) 【化1】 (式中、q は正数を表す。)で表されるポリエーテル、
    反応開始剤として三フッ化ホウ素エチルエーテル錯体
    (BF3O(C2H5)2)、及びエチレンオキサイド、オキセタン
    及びテトラヒドロフランからなる群から選ばれる環状エ
    ーテル化合物を一括に仕込み、反応させることを特徴と
    する、一般式(I)で表される末端変性ポリエーテルで
    あって、該ポリエーテルの数平均分子量が500 〜6000で
    あるポリエーテルの製造方法。【化2】 (式中、q は正数、p, rは1以上3以下の整数、Rは−C
    H 2 CH 2 −,−CH 2 CH 2 CH 2 −及び−CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 −からなる
    群から選ばれるアルキレン基を表す。)
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