以下に、本考案の各実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
以下に、本考案の第1の実施形態に係る体操用具について、図1(a) 及び(b) を参照しながら説明する。
図1(a) 及び(b) は、本考案の第1の実施形態に係る体操用具の構造を示す斜視図である。
本考案に係る体操用具は、熱可塑性ポリウレタンが材料として用いられており、図1(a) 及び(b) に示すように、その形状は、テープ状である。また、その長さa1及びb1は約4mであると共に、その厚さa2及びb2は約0.2mmである。さらに、その幅a3(図1(a) 参照)は約2cmであり、その幅b3(図1(b) 参照)は約3cmである。
以下に、本考案に係る体操用具の構造について詳細に説明する。
まず、本考案の第1の実施形態に係る体操用具の材料及び形状について具体的に説明する。
本考案に係る体操用具は、熱可塑性ポリウレタン材料よりなる。このように、熱可塑性ポリウレタンよりなる弾性体(エラストマー)が材料として用いられているので、塩化ビニル材料よりなる従来の体操用具と比べて、適度な弾性を有している。
これにより、本考案に係る体操用具は適度な伸縮性を実現できる。このため、運動を行なう者は、運動を行なう際に、各個人の身体能力に応じた力で体操用具を適度な長さに伸ばすことができるので、体操用具によって筋肉に過度の負担を与えることなく、適度の負荷を与えることができる。したがって、運動を滑らかに継続させることができるので、筋肉を充分に伸ばして、より効果的に運動を行なうことができる。このように、運動を行なう際に、運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を筋肉に与えることができることにより、体操用具を用いた運動を行なう全ての人が、心地良く且つ円滑に運動を継続させることができると共に、身体機能の成長促進、維持、向上、及び回復を実現することができる。
また、本考案に係る体操用具は適度な伸縮性を有するので、従来の体操用具を用いた運動に比べて、運動を行なう際に、各個人の身体能力に応じた適度な負荷をアウターマッスルだけでなく、インナーマッスルに対してもより効果的に与えることができる。このため、アウターマッスルとインナーマッスルとを同時にバランスよく鍛えることができる。したがって、例えば、肉離れ及び腱鞘炎等のけがの原因を防止することができる。尚、以降で説明する各実施形態に係る運動においても、同様の効果が得られることができる。
また、本考案に係る体操用具は、図1(a) 及び(b) に示すように、 形状がテープ状であって且つ熱可塑性ポリウレタンが材料として用いられているので、扁平な紐状の塩化ビニル材料よりなる従来の体操用具に比べて、容易に且つコンパクトに体操用具を巻き取ることができると共に軽量である。このため、本考案に係る体操用具は、運動を行なう全ての人とって携帯性に優れ且つ便利である。
また、本考案に係る体操用具は、適度な伸縮性を有することにより、従来の体操用具を用いた運動に比べて、運動を行なう際に、各個人の身体能力に応じた適度な負荷を効果的に筋肉に与えて特定部位の筋肉を圧迫することができる。このため、本考案に係る体操用具を用いることにより、運動時に圧迫された特定部位の筋肉が反発する力(筋出力)をより効果的に引き出すことができる。
次に、本考案の第1の実施形態に係る体操用具の長さについて具体的に説明する。
図1(a) 及び(b) に示すように、本考案に係る体操用具の長さa1及びb1は、約4mである。ここで、約4mとは、3.5m以上であって、且つ4.5m以下であることを意味する。すなわち、本考案に係る体操用具の長さa1及びb1は4mに限定されるものではなく、必要に応じて3.5m以上であって且つ4.5m以下の範囲の長さであってもよい。このように、本考案に係る体操用具の長さを約4mを有する長さとしたのは、人間の平均身長を約2倍にした長さであれば、運動を行なう際に体操用具として適当な長さとなるからである。
このように体操用具の長さa1及びb1が約4mであると、運動を行なう際に、体操用具を折り曲げない状態、又は体操用具を2つ折りにした状態での使用だけでなく、体操用具を体に巻き付けた状態、又は体操用具の両端を互いに結んだリング状態等の様々な状態での使用も可能にする。このため、従来の体操用具を用いて行なうことが可能な運動の種類と比べて、運動の種類を拡大することができる。これにより、運動を行なう際に、運動を行なう者の身体能力に応じたより適度な負荷を筋肉に与えることができるので、体操用具を用いた運動を行なう全ての人が、より快適に且つより円滑に運動を継続させることができると共に、身体機能の成長促進、維持、向上、及び回復をより実現することができる。
次に、本考案の第1の実施形態に係る体操用具の厚さについて具体的に説明する。
図1(a) 及び(b) に示すように、本考案に係る体操用具の厚さa2及びb2は、約0.2mmである。ここで、約0.2mmとは、0.15mm以上であって、且つ0.25mm以下であることを意味する。すなわち、本考案に係る体操用具の厚さa2及びb2は0.2mmに限定されるものではなく、必要に応じて0.15mm以上であって且つ0.25mm以下の範囲の厚さであってもよい。
ここで、体操用具の厚さa2及びb2を約0.2mmとした理由は以下の通りである。
すなわち、運動を行なう際に、体操用具の厚さが約0.2mmよりも小さい厚さを有する体操用具を用いた場合、体操用具の厚さが薄すぎるので、運動を行なう者は、わずかな力で、体操用具を必要な長さにまで容易に伸ばすことができる。このため、運動を行なう際に、体操用具によって筋肉にかかる負荷が小さくなりすぎて、運動が求める効果や目的が果たされず、また、運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を筋肉に与えることができない。また、運動を行なう際に、余分に大きな力が体操用具に加えられてしまうと、体操用具が破損される恐れがある。
また、運動を行なう際に、体操用具の厚さが約0.2mmよりも大きい厚さを有する体操用具を用いた場合、体操用具の厚さが厚すぎるので、運動を行なう者は、大きな力で、体操用具を必要な長さにまで伸ばさなければならない。このため、運動を行なう際に、体操用具によって筋肉にかかる負荷が大きくなりすぎて、運動が求める効果や目的が果たされず、また、運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷以上の負荷を筋肉に与えるので、例えば、余分に筋肉にかかる負荷分を関節で支えなければならず、関節に大きな負担がかかる等の問題が生じる。また、運動を行なう者は、大きな力で、体操用具を伸ばさなければならないので、体操用具を必要な長さにまで伸ばすことができない。このため、運動を行なう際に、運動が滑らかに継続されず、筋肉を充分に伸ばすことができないので、運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を筋肉に与えることができない。
以上のような理由から体操用具の厚さa2及びb2が約0.2mmである体操用具を用いることにより、運動に必要な適度な弾力性及び伸縮性を体操用具に持たせることができる。このため、運動を行なう者は、適度な力で体操用具を必要な長さにまで伸ばすことができるので、運動を行なう際に、より適度な負荷を筋肉に与えることができる。特に、身体能力に乏しい幼児及び子供、又は身体機能が低下している高齢者及び身体障害者等の場合、運動を行なう際に、体操用具によって筋肉にかかる負荷の大きさを各個人の身体能力に応じて調整することにより、前記の効果をより一層期待することができる。
次に、本考案の第1の実施形態に係る体操用具の幅について具体的に説明する。
図1(a) に示すように、本考案に係る体操用具の幅a3は、約2cmである。ここで、約2cmとは、1.5cm以上であって、且つ2.5cm以下であることを意味する。すなわち、本考案に係る体操用具の幅a3は2cmに限定されるものではなく、必要に応じて1.5cm以上であって且つ2.5cm以下の範囲の幅であってもよい。また、図1(b) に示すように、本考案に係る体操用具の幅b3は、約3cmである。ここで、約3cmとは、2.5cm以上であって、且つ3.5cm以下であることを意味する。すなわち、本考案に係る体操用具の幅b3は3cmに限定されるものではなく、必要に応じて2.5cm以上であって且つ3.5cm以下の範囲の幅であってもよい。
ここで、体操用具の幅a3(又はb3)を約2cm(又は約3cm)とした理由は以下の通りである。
すなわち、運動を行なう際に、体操用具の幅が約2cmよりも小さい幅を有する体操用具を用いた場合、体操用具の幅が狭すぎるので、運動を行なう者は、わずかな力で、体操用具を必要な長さにまで容易に伸ばすことができる。このため、運動を行なう際に、体操用具によって筋肉にかかる負荷が小さくなりすぎて、運動が求める効果や目的が果たされず、また、運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を筋肉に与えることができない。また、運動を行なう際に、余分に大きな力が体操用具に加えられてしまうと、体操用具が破損される恐れがある。さらに、体操用具の幅が狭すぎるので、運動を行なう者は体操用具をしっかりと持ったり、手首に巻き付けたりして固定することができないため、運動を行なう際に安定感を得ることができないので、充分に効果的な運動を行なうことができない。
また、運動を行なう際に、体操用具の幅が約3cmよりも大きい幅を有する体操用具を用いた場合、体操用具の幅が広すぎるので、運動を行なう者は、大きな力で、体操用具を必要な長さにまで伸ばさなければならない。このため、運動を行なう際に、体操用具によって筋肉にかかる負荷が大きくなりすぎて、運動が求める効果や目的が果たされず、また、運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷以上の負荷を筋肉に与えるので、例えば、余分に筋肉にかかる負荷分を関節で支えなければならず、関節に大きな負担がかかる等の問題が生じる。また、運動を行なう者は、大きな力で体操用具を伸ばさなければならないので、体操用具を必要な長さにまで伸ばすことができない。このため、運動を行なう際に、運動が滑らかに継続されず、筋肉を充分に伸ばすことができないので、運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を筋肉に与えることができない。さらに、体操用具の幅が広すぎるので、運動を行なう者は体操用具をしっかりと持ったり、手首に巻き付けたりして固定することができないため、運動を行なう際に安定感を得ることができないので、充分に効果的な運動を行なうことができない。
以上のような理由から体操用具の幅a3(又はb3)が約2cm(又は約3cm)である体操用具を用いることにより、運動に必要な適度な伸縮性を体操用具に持たせることができると共に、運動を行なう者は、体操用具をしっかりと持ったり、手首に巻き付けたりして固定することができるので、安定感を得ることができる。このため、運動を行なう者は、適度な力で体操用具を必要な長さにまで伸ばすことができるので、運動を行なう際に、より適度な負荷を筋肉に与えることができる。特に、身体能力に乏しい幼児及び子供、又は身体機能が低下している高齢者及び身体障害者等の場合、運動を行なう際に、体操用具によって筋肉にかかる負荷の大きさを各個人の身体能力に応じて調整することにより、前記の効果をより一層期待することができる。
以上のように、本考案の第1の実施形態に係る体操用具によると、運動を行なう際に用いる体操用具に適度な伸縮性を持たせて、運動を行なう際に、運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を筋肉に与えることにより、体操用具を用いた運動を行なう全ての人が、心地良く且つ円滑に運動を継続させることができると共に、身体機能の成長促進、維持、向上、及び回復を実現することができる。
(第2の実施形態)
以下に、本考案に係る体操用具について、具体的な運動を例にして、図2(a) 〜(e) 、図3(a) 〜(e) 、及び図4(a) 〜(f) を参照しながら説明する。
図2(a) 〜(e) は、本考案に係る体操用具を用いて行なう第1の運動(前回し運動)の流れを示す動作図である。
第1の運動において、運動を行なう者は、前述の図1(a) 及び(b) に示したように、体操用具の幅a3(又はb3)が約2cm(又は約3cm)である体操用具を折り曲げない状態、又は2つ折りにした状態で使用する。このとき、使用する体操用具の幅を適宜選択したり、使用する体操用具の状態を適宜変更したりすることで、第1の運動を行なう際に、体操用具により筋肉に与える負荷の大きさを身体能力に応じて調整する。
最初に、図2(a) に示すように、腕をハの字型にして上方に伸ばした状態で直立し、体操用具を親指と他の4指にはさんで持つ。このとき、体操用具を持つ手の間隔は肩の柔軟度に応じて調整する。
次に、腕をハの字型に伸ばした状態で、腰を徐々に後方へ引きながら上体を前傾して両腕を頭の前方へ下ろし、図2(b) に示すように、両腕を水平になるまで下ろしながら、上体を水平になるまで前傾する。その後、大腿部を充分に後ろに引いて伸ばすことで背筋を伸ばす。
次に、図2(c) に示すように、さらに両手を下ろしながら上体を下ろし、上体と両腕を脱力する。その後、踵が地面に触れた状態で足先を上げて、体操用具をくぐらせる。次に、地面を見ながら踵を上げ、掌を下向きにしながら体操用具を後方へくぐらせる。
次に、図2(d) に示すように、くぐらせた体操用具を後ろ手に親指と他の4指にはさんで持ち、両腕を上方へ上げながら直立直角に体を折り曲げた状態になるまで上体を起こし、腕をハの字型にして水平且つ頭の後方へ伸ばす。その後、直立直角に体を折り曲げた状態で、手首を内側に回しながら掌を下向きにする。
最後に、図2(e) に示すように、両腕を上方へ上げながら直立姿勢になるまで上体を起こし、腕をハの字型にして上方に伸ばす。
このような第1の運動において、熱可塑性ポリウレタンよりなる弾性体(エラストマー)を材料とした本考案に係る体操用具を用いることにより、塩化ビニル材料よりなる従来の体操用具と比べて、熱可塑性ポリウレタン材料は適度な弾性を有しているので、本考案に係る体操用具は適度な伸縮性を実現できる。このため、第1の運動において、各個人の身体能力に応じた適度な負荷を足の後面に位置する筋肉及び背面に位置する筋肉に与えることができる。
具体的には、例えば、第1の運動における大腿部を充分に後ろに引いて伸ばす動作では、本考案に係る体操用具を用いると、第1の運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を主に、大殿筋及びハムストリング(半膜様筋、大腿二頭筋、及び半腱様筋)に与えることができる。このため、本考案に係る体操用具を用いて第1の運動を行なうと、足の後面に位置する筋肉を伸展することで、この筋肉の機能維持、向上、及び回復を図ることができる。
また、第1の運動における背筋を伸ばす動作では、本考案に係る体操用具を用いると、第1の運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を脊柱起立筋群(広背筋及び僧帽筋等)に与えることができる。このため、本考案に係る体操用具を用いて第1の運動を行なうと、背面に位置する筋肉を伸展することで、この筋肉の機能維持、向上、及び回復を図ることができる。
次に、図3(a) 〜(e) は、本考案に係る体操用具を用いて行なう第2の運動(後ろ回し運動)の流れを示す動作図である。
第2の運動において、運動を行なう者は、前述の図1(a) 及び(b) に示したように、体操用具の幅a3(又はb3)が約2cm(又は約3cm)である体操用具を折り曲げない状態、又は2つ折りにした状態で使用する。このとき、使用する体操用具の幅を適宜選択したり、使用する体操用具の状態を適宜変更したりすることで、第2の運動を行なう際に、体操用具により筋肉に与える負荷の大きさを身体能力に応じて調整する。
最初に、図3(a) に示すように、腕をハの字型にして上方に伸ばした状態で直立し、体操用具を親指と他の4指にはさんで持つ。このとき、体操用具を持つ手の間隔は肩の柔軟度に応じて調整する。
次に、腕をハの字型に伸ばした状態で、腰を徐々に後方へ引きながら上体を前傾して両腕を頭の後方へ下ろし、図3(b) に示すように、大腿部を充分に後ろに引いた状態で両腕を水平になるまで下ろしながら、上体を水平になるまで前傾する。その後、直立直角に体を折り曲げた状態で、手首を内側に回しながら掌を上向きにする。
次に、図3(c) に示すように、さらに両手を下ろしながら上体を下ろし、上体と両腕を脱力する。その後、足先が地面に触れた状態で踵を上げて、体操用具をくぐらせる。次に、地面を見ながら足先を上げ、掌を下向きにしながら体操用具を前方へくぐらせる。
最後に、図3(e) に示すように、くぐらせた体操用具を親指と他の4指にはさんで持ち、両腕を上方へ上げながら上体を起こして(図3(d) 参照)、さらに直立姿勢になるまで上体を起こし、腕をハの字型にして上方に伸ばす。
このような第2の運動において、熱可塑性ポリウレタンよりなる弾性体(エラストマー)を材料とした本考案に係る体操用具を用いることにより、塩化ビニル材料よりなる従来の体操用具と比べて、熱可塑性ポリウレタン材料は適度な弾性を有しているので、本考案に係る体操用具は適度な伸縮性を実現できる。このため、第2の運動において、各個人の身体能力に応じた適度な負荷を足の後面に位置する筋肉及び背面に位置する筋肉に与えることができる。
また、適度な伸縮性を有することにより、従来の体操用具を用いた運動に比べて、第2の運動の際に、各個人の身体能力に応じた適度な負荷を筋肉に対して効果的に与えることができる。このため、第2の運動の際に、足の後面及び上体背面に位置する筋肉をバランスよく鍛えることができる。
具体的には、例えば、第2の運動における大腿部を充分に後ろに引いて伸ばす動作では、本考案に係る体操用具を用いると、第2の運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を主に、大殿筋及びハムストリング(半膜様筋、大腿二頭筋、及び半腱様筋)に与えることができる。このため、本考案に係る体操用具を用いて第2の運動を行なうと、足の後面に位置する筋肉を伸展することで、この筋肉の機能維持、向上、及び回復を図ることができる。
また、第2の運動における背筋を伸ばす動作では、本考案に係る体操用具を用いると、第2の運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を脊柱起立筋群(広背筋及び僧帽筋等)に与えることができる。このため、本考案に係る体操用具を用いて第2の運動を行なうと、背面に位置する筋肉を伸展することで、この筋肉の機能維持、向上、及び回復を図ることができる。
次に、図4(a) 〜(f) は、本考案に係る体操用具を用いて行なう第3の運動(捻り運動)の流れを示す動作図である。
第3の運動において、運動を行なう者は、前述の図1(a) 及び(b) に示したように、体操用具の幅a3(又はb3)が約2cm(又は約3cm)である体操用具を折り曲げない状態、又は2つ折りにした状態で使用する。このとき、使用する体操用具の幅を適宜選択したり、使用する体操用具の状態を適宜変更したりすることで、第3の運動を行なう際に、体操用具により筋肉に与える負荷の大きさを身体能力に応じて調整する。
最初に、図4(a) に示すように、腕をハの字型にして上方に伸ばした状態で直立し、体操用具を親指と他の4指にはさんで持つ。このとき、体操用具を持つ手の間隔は肩の柔軟度に応じて調整する。
次に、腕をハの字型に伸ばした状態で、右足を重心にして左足を左横に出し、足巾を広げる。このとき、足巾は後の動作において腰を捻り易いように足巾を調整する。
次に、適度な足巾を保った状態で左踵を下ろしながら背筋を伸ばし、図4(b) に示すように、肩の高さまで腕をハの字型にして水平且つ頭の後方へ下ろす。
次に、図4(c) に示すように、視線を正面に向けたまま、腕をハの字型にした状態で両腕を上方へ上げることで胸と肩を軽く緩めながら腰を右に捻る。その後、図4(d) に示すように、腰を右に捻った状態で、肩の高さまで腕をハの字型にして水平且つ頭の後方へ下ろす。
次に、図4(e) に示すように、視線を正面に向けたまま、腕をハの字型にした状態で両腕を上方へ上げることで胸と肩を軽く緩めながら腰を正面に戻す。その後、図4(f) に示すように、腰を正面に戻した状態で、肩の高さまで腕をハの字型にして水平且つ頭の後方へ下ろす。
次に、視線を正面に向けたまま、腕をハの字型にした状態で両腕を上方へ上げることで胸と肩を軽く緩めながら腰を左に捻る。その後、腰を左に捻った状態で、肩の高さまで腕をハの字型にして水平且つ頭の後方へ下ろす。
最後に、視線を正面に向けたまま、腕をハの字型にした状態で両腕を上方へ上げることで胸と肩を軽く緩めながら腰を正面に戻す。
このような第3の運動において、熱可塑性ポリウレタンよりなる弾性体(エラストマー)を材料とした本考案に係る体操用具を用いることにより、塩化ビニル材料よりなる従来の体操用具と比べて、熱可塑性ポリウレタン材料は適度な弾性を有しているので、本考案に係る体操用具は適度な伸縮性を実現できる。このため、第3の運動において、各個人の身体能力に応じた適度な負荷を肩から胸にかけて位置する筋肉及び肩から腕にかけて位置する筋肉に与えることができる。
具体的には、例えば、第3の運動における腰を正面に戻した状態で両腕を頭の後方へ下ろす動作では、本考案に係る体操用具を用いると、第3の運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を筋肉に均等に与えることができる。主に、大胸筋、上腕二頭筋、及び上腕三頭筋に対して、適度な負荷を与え伸展させることができると共に、僧帽筋に対して、適度な負荷を与え収縮させることができる。このため、本考案に係る体操用具を用いて第3の運動を行なうと、肩から胸にかけて位置する筋肉及び肩から腕にかけて位置する筋肉の機能維持、向上、及び回復を図ることができる。
また、第3の運動における腰を右又は左に捻った状態で両腕を頭の後方へ下ろす動作では、本考案に係る体操用具を用いると、第3の運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を腰を捻る方向に沿って筋肉に与えることができる。主に、大胸筋、上腕二頭筋、及び上腕三頭筋に対して、適度な負荷を与え伸展させることができると共に、僧帽筋に対して、適度な負荷を与え収縮させることができる。このため、本考案に係る体操用具を用いて第3の運動を行なうと、肩から胸にかけて位置する筋肉及び肩から腕にかけて位置する筋肉の機能維持、向上、及び回復を図ることができる。
以上のように、本考案の第2の実施形態に係る体操用具を用いて第1〜第3の運動を行なうと、第1〜第3の運動を行なう際に用いる体操用具は適度な伸縮性を有するので、第1〜第3の運動を行なう際に、運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を筋肉に与えることにより、体操用具を用いた運動を行なう全ての人が、心地良く且つ円滑に運動を継続させることができると共に、身体機能の成長促進、維持、向上、及び回復を実現することができる。
(第3の実施形態)
以下に、本考案に係る体操用具について、具体的な運動を例にして、図5(a) 及び(b) 、図6(a) 及び(b) 、図7(a) 〜(c) 、図8(a) 及び(b) 、及び図9(a) 〜(c) を参照しながら説明する。
図5(a) 及び(b) は、本考案に係る体操用具を用いて行なう第4の運動の流れを示す動作図である。
第4の運動において、運動を行なう者は、前述の図1(a) 及び(b) に示したように、体操用具の幅a3(又はb3)が約2cm(又は約3cm)である体操用具を折り曲げない状態、又は2つ折りにした状態で使用する。このとき、使用する体操用具の幅を適宜選択したり、使用する体操用具の状態を適宜変更したりすることで、第4の運動を行なう際に、体操用具により筋肉に与える負荷の大きさを身体能力に応じて調整する。
最初に、図5(a) に示すように、体操用具を背中に巻いた状態で、背面の適度な部位に体操用具を当てて固定する。このとき、両手に持つ体操用具の長さは、後の運動を行なう際に、体操用具により肩から背面にかけて位置する筋肉に与える負荷の大きさが、第4の運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷となるように調整する。
次に、図5(b) に示すように、背面及び腰を丸く(後傾)して足を開いた状態で、体操用具をしっかりと持ったり、手首に巻き付けたりすることで背面の適度な部位に体操用具を固定しながら、体操用具を両手で徐々に体の前方へ引く。ここで、背面及び腰を丸くした状態を維持すると共に、腹部に力を入れた状態を維持することにより、特に、身体能力に乏しい幼児及び子供、又は身体機能が低下している高齢者及び身体障害者等にとって、第4の運動による効果をより一層期待することができる。
このような第4の運動において、熱可塑性ポリウレタンよりなる弾性体(エラストマー)を材料とした本考案に係る体操用具を用いることにより、塩化ビニル材料よりなる従来の体操用具と比べて、熱可塑性ポリウレタン材料は適度な弾性を有しているので、本考案に係る体操用具は適度な伸縮性を実現できる。このため、第4の運動において、各個人の身体能力に応じた適度な負荷を肩から背面及び腹部にかけて位置する筋肉に与えることができる。
また、適度な伸縮性を有することにより、従来の体操用具を用いた運動に比べて、第4の運動の際に、各個人の身体能力に応じた適度な負荷を筋肉に対して効果的に与えることができる。このため、第4の運動の際に、肩から背面及び腹部にかけて位置する筋肉をバランスよく鍛えることができる。
具体的には、例えば、第4の運動における体操用具を両手で体の前方へ引く動作では、本考案に係る体操用具を用いると、第4の運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を脊柱起立筋群(広背筋及び僧帽筋等)に与え伸展させることができる。このため、本考案に係る体操用具を用いて第4の運動を行なうと、肩から背面及び腹部にかけて位置する筋肉の機能維持、向上、及び回復による背筋力の強化を図ることができる。
また、第4の運動における背面及び腰を丸くする動作では、本考案に係る体操用具を用いると、第4の運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を主に腹筋(上腹筋及び下腹筋)に与えることができる。このため、本考案に係る体操用具を用いて第4の運動を行なうと、腹部に位置する筋肉の機能維持、向上、及び回復による腹筋力の強化を図ることができる。
次に、図6(a) 及び(b) は、本考案に係る体操用具を用いて行なう第5の運動の流れを示す動作図である。
第5の運動において、運動を行なう者は、前述の図1(a) 及び(b) に示したように、体操用具の幅a3(又はb3)が約2cm(又は約3cm)である体操用具を折り曲げない状態、又は2つ折りにした状態で使用する。このとき、使用する体操用具の幅を適宜選択したり、使用する体操用具の状態を適宜変更したりすることで、第5の運動を行なう際に、体操用具により筋肉に与える負荷の大きさを身体能力に応じて調整する。
最初に、図6(a) に示すように、足を開いた自然な状態で、体操用具を頭の後ろに回して首に体操用具を引っ掛ける。
次に、図6(b) に示すように、頭を後傾することで視線を前方且つ斜め上の方向へ向けた状態で、両腕を前方且つ斜め上の方向へ伸ばしながら、首の後面に固定した体操用具を徐々に上方へ引っ張る。
このような第5の運動において、熱可塑性ポリウレタンよりなる弾性体(エラストマー)を材料とした本考案に係る体操用具を用いることにより、塩化ビニル材料よりなる従来の体操用具と比べて、熱可塑性ポリウレタン材料は適度な弾性を有しているので、本考案に係る体操用具は適度な伸縮性を実現できる。
また、適度な伸縮性を有することにより、従来の体操用具を用いた運動に比べて、第5の運動の際に、各個人の身体能力に応じた適度な負荷を筋肉に対して効果的に与えることができる。
具体的には、例えば、第5の運動における両腕を前方且つ斜め上の方向へ伸ばしながら体操用具を上方へ引っ張る動作では、本考案に係る体操用具を用いると、第5の運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を胸鎖乳突筋、後頸部にある頭半棘筋及び頭板状筋、及び広頸筋に与えストレッチを行なうことができる。また、各個人の身体能力に応じた適度な負荷を首の後面に位置する筋肉又は後頭部下辺のツボに与えることができるので、指圧的な圧迫効果が得られる。このため、本考案に係る体操用具を用いて第5の運動を行なうと、首の後面に位置する筋肉の機能維持、向上、及び回復を図ることができる。
次に、図7(a) 〜(c) は、本考案に係る体操用具を用いて行なう第6の運動の流れを示す動作図である。
第6の運動において、運動を行なう者は、前述の図1(a) 及び(b) に示したように、体操用具の幅a3(又はb3)が約2cm(又は約3cm)である体操用具を折り曲げない状態で使用する。このとき、使用する体操用具の幅を適宜選択することで、第6の運動を行なう際に、体操用具により筋肉に与える負荷の大きさを身体能力に応じて調整する。
最初に、図7(a) に示すように、仰臥で片足を上げた状態で、足を上げた方の足の裏に体操用具を引っ掛けてしっかりと持ったり、手首に巻き付けたりすることで、体操用具を足の裏に位置するように固定する。このとき、後の運動を行なう際に、体操用具が緩まないように体操用具を持つ両手の位置を調整することで体操用具をV字型に張る。
次に、体操用具で固定した足の裏を体操用具を用いて両手で支えながら、腰を捻ることで体操用具で固定した足を徐々に体の内側へ倒す。図7(b) 及び(c) に示すように、倒した足と地面との成す角度cが約45°になるまで腰の部分から捻って足を内側へ倒して、この状態をしばらくの間維持する。このとき、体操用具で固定した足と地面との成す角度cが約45°に調整されることで、後の運動を行なう際に、第6の運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を大殿筋下部及び中殿筋下部に位置するインナーマッスルに与えることができる。ここで、図7(b) は、第6の運動の流れについて仰臥状態を真横から見た動作図であり、図7(c) は、第6の運動の流れについて仰臥状態を頭の後方から見た動作図である。
このような第6の運動において、熱可塑性ポリウレタンよりなる弾性体(エラストマー)を材料とした本考案に係る体操用具を用いることにより、塩化ビニル材料よりなる従来の体操用具と比べて、熱可塑性ポリウレタン材料は適度な弾性を有しているので、本考案に係る体操用具は適度な伸縮性を実現できる。このため、第6の運動において、各個人の身体能力に応じた適度な負荷を大殿筋下部及び中殿筋下部に位置する筋肉に与えることができる。
また、適度な伸縮性を有することにより、従来の体操用具を用いた運動に比べて、第6の運動の際に、各個人の身体能力に応じた適度な負荷をアウターマッスルだけでなく、インナーマッスルに対してもより効果的に与えることができる。このため、第6の運動の際に、大殿筋下部及び中殿筋下部に位置するアウターマッスルとインナーマッスルとを同時にバランスよく鍛えることができる。
具体的には、例えば、第6の運動における腰を捻ることで体操用具で固定した足を体の内側へ倒す動作では、本考案に係る体操用具を用いると、第6の運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷をアウターマッスル、特に、大殿筋及び中殿筋に与え伸展させることができると共に、第6の運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷をインナーマッスル、特に、内閉鎖筋、双子筋、及び梨状筋に与え捻転及び伸展させることができる。このため、本考案に係る体操用具を用いて第6の運動を行なうと、大殿筋下部及び中殿筋下部に位置する筋肉の機能維持、向上、及び回復を図ることができる。
次に、図8(a) 及び(b) は、本考案に係る体操用具を用いて行なう第7の運動の流れを示す動作図である。
第7の運動において、運動を行なう者は、前述の図1(a) 及び(b) に示したように、体操用具の幅a3(又はb3)が約2cm(又は約3cm)である体操用具を体に巻き付けた状態で使用する。このとき、使用する体操用具の幅を適宜選択することで、第7の運動を行なう際に、体操用具により筋肉に与える負荷の大きさを身体能力に応じて調整する。
最初に、図8(a) に示すように、2つ折りにした体操用具を腰の周囲に一周させて作ったわさの中に体操用具の両端部を通して固定した後、さらに片足を通せるだけのリングを作り、背筋を伸ばして足を開いた状態で、体操用具(リング)を踏み、足を引っ掛けることで固定する。
次に、図8(b) に示すように、背筋を伸ばして足を開いた状態で、膝を曲げないように注意を払いながらリングに足を通した側と反対方向へ上体を横に倒す。
このような第7の運動において、熱可塑性ポリウレタンよりなる弾性体(エラストマー)を材料とした本考案に係る体操用具を用いることにより、塩化ビニル材料よりなる従来の体操用具と比べて、熱可塑性ポリウレタン材料は適度な弾性を有しているので、本考案に係る体操用具は適度な伸縮性を実現できる。このため、第7の運動において、各個人の身体能力に応じた適度な負荷を脇に位置する筋肉及び腰回りに位置する筋肉に与えることができる。
具体的には、例えば、第7の運動における上体を横に倒す動作では、本考案に係る体操用具を用いると、第7の運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を上体を倒した側に沿って脇に位置する筋肉及び腰回りに位置する筋肉に同時に与えることができる。このため、本考案に係る体操用具を用いて第7の運動を行なうと、上体を倒した側に沿って脇に位置する筋肉及び腰回りに位置する筋肉の機能維持、向上、及び回復を図ることができる。
また、腰の周囲に一周させて作ったわさに通したリング(体操用具)を足で踏んで固定することで、上体を倒した側に沿って脇に位置する筋肉及び腰回りに位置する筋肉に対して伸縮性を有する体操用具による負荷を与えることができる。したがって、体操用具による負荷を上体を倒した側に沿って脇に位置する筋肉及び腰回りに位置する筋肉に与え圧迫することができるので、脇に位置する筋肉及び腰回りに位置する筋肉において、圧迫された筋肉が反発する力(筋出力)を引き出すことができる。
次に、図9(a) 〜(c) は、本考案に係る体操用具を用いて行なう第8の運動の流れを示す動作図である。
第8の運動において、運動を行なう者は、前述の図1(a) 及び(b) に示したように、体操用具の幅a3(又はb3)が約2cm(又は約3cm)である体操用具の両端を互いに結んだリング状態で使用する。このとき、使用する体操用具の幅を適宜選択することで、第8の運動を行なう際に、体操用具により筋肉に与える負荷の大きさを身体能力に応じて調整する。
最初に、図9(a) に示すように、仰臥で足をクの字に曲げた状態(図9(c) 参照)で、リング状の体操用具を腰の下から回しながら小さな輪d1及び大きな輪d2を形成して、図9(b) 及び(c) に示すように、 小さい輪d1に対して、左右両方の足先を通して足を引っ掛けると共に、大きい輪d2の各々に対して、足をクの字に曲げた状態を維持しながら両膝を片膝ずつ通す。ここで、図9(b) は、第8の運動の流れについて仰臥状態を頭の後方から見た動作図であり、図9(c) は、第8の運動の流れについて仰臥状態を真横から見た動作図である。
次に、図9(c) に示すように、小さい輪d1に通した左右両方の足先を前に突き出すと共に、腹部に力を入れることでお尻を少し地面から離し、この状態をしばらくの間維持する。
このような第8の運動において、熱可塑性ポリウレタンよりなる弾性体(エラストマー)を材料とした本考案に係る体操用具を用いることにより、塩化ビニル材料よりなる従来の体操用具と比べて、熱可塑性ポリウレタン材料は適度な弾性を有しているので、本考案に係る体操用具は適度な伸縮性を実現できる。このため、第8の運動において、各個人の身体能力に応じた適度な負荷を腹部に位置する筋肉に与えることができる。
具体的には、例えば、第8の運動における足先と共にお尻を上げる動作では、本考案に係る体操用具を用いると、第8の運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を主に下腹筋に与えることができる。このため、本考案に係る体操用具を用いて第8の運動を行なうと、腹部に位置する筋肉の機能維持、向上、及び回復による下腹筋の筋力の強化を図ることができる。
以上のように、本考案の第3の実施形態に係る体操用具を用いて第4〜第8の運動を行なうと、第4〜第8の運動を行なう際に用いる体操用具は適度な伸縮性を有するので、第4〜第8の運動を行なう際に、運動を行なう者の身体能力に応じた適度な負荷を筋肉に与えることにより、体操用具を用いた運動を行なう全ての人が、心地良く且つ円滑に運動を継続させることができると共に、身体機能の成長促進、維持、向上、及び回復を実現することができる。