JP3105563B2 - 多年生雄不稔性イネ植物を使用した雑種イネの製造 - Google Patents

多年生雄不稔性イネ植物を使用した雑種イネの製造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、商業的規模で経済的に
実施することのできる、F雑種イネ(Oryzasa
tiva)、即ち雑種第一代の雑種イネの改良製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】イネは世界の多くの地域における重要な
食用植物として認識されている。しかしながら、これま
で米の生産は、異なる親系を交配した場合のヘテローシ
スまたは雑種成長力をかなりの程度まで有利に利用する
に至っていない。主としてイネの固有の形態に係わるい
くつかの理由のために、商業的規模でイネの制御された
交配を達成することは困難であった。
【0003】雑種イネについて論じている代表的な論文
は以下の通りである。(1)“雑種イネ−−問題と可能
性(Hybrid Rice−−Problems a
nd Potentials)”,J.W.スタンセル
(Stansel) & J.P.クレイグマイルズ
(Craigmiles),Rice Journa
l,1966,69−No.5,pp.14〜15 お
よび46;(2)“米国における雑種イネの展望(Ou
tlook for HybridRice in t
he USA)”H.L.カルナハン(Carnaha
n),J.R.エリクソン(Erikson),S.
T.ツエン(Tseng)&J.N.ルツガー(Rut
ger),Rice Breeding,Intern
ational Rice Research Ins
titute,フィリピン国,ラグナ,1972,p
p.603−607;(3)“インドにおける雑種イネ
の展望(Outlook for Hybrid Ri
ce in India)”,M.S.スワミナーサン
(Swaminathan),E.A.シディグ(Si
ddig)& S.D.シャルマ(Sharma),R
ice Breeding,Internationa
l Rice Research Institut
e,フィリピン国,ラグナ,1972,pp.609−
613;(4)“雑種イネおよび小麦の育種の現状と今
後の展望(Current Status and F
uture Prospects for Breed
ing Hybrid Rice and Whea
t)”,S.S.ビルマニ(Virmani)&ジャン
B.エドワーズ(Jan B.Edwards),作物
栽培学の進歩(Advances in Agrono
my),1983,36,pp.145−214;
(5)“雑種イネの初歩(A Concise Cou
rse in Hybrid Rice),ロンP.ユ
アン(Long P.Yuan),HunanScie
nce and Technology Publis
hers,中国フナン,1985,pp.1−168;
(6)“雑種イネの研究および開発の現状(Curre
nt Status of Hybrid Rice
Research and Developmen
t),L.P.ユアン(L.P.Yuan)& S.
S.ビルマニ(Virmani),Internati
onal Symposium on Hybrid
Rice,チャングシャ(Changsha),中国フ
ナン,1986,pp.1−16および表。
【0004】ロンP.ユアン(Long P.Yua
n)の米国特許第4,305,225号には、雑種イネ
の生産を補助する技術が開示されている。例えば、雄不
稔性種親植物に成長ホルモン(例えば、ジベレリン)を
撒布して、より十分な花弁を有する円錐花序をイネ葉鞘
から裸出させている。裸出されていない円錐花序の任意
の部分は花粉親からの花粉を受け取ることができず、そ
のためにF雑種イネを形成し得る種子の収率が減少し
てしまう。成長ホルモンの使用は全工程の著しい高経費
化を招く。
【0005】J.ネイルルツガー(Neil Rutg
er)等の米国特許第4,351,130号には、イネ
の交雑法が開示されており、そこでは雄性受粉植物は劣
勢遺伝性の背の高い植物である。ゾルタンバラバス(Z
oltan Barabas)による米国特許第3,8
42,538号は交雑種子の生成法を開示し、そこでは
雑種穀粒と純穀粒とをそれらの色にもとずいて選別して
いる。小麦およびこれと類似の穀粒とは違って、イネの
穀粒は外皮を有し、これを除去した場合には栽培上その
生存率は一般に減じられてしまう。
【0006】これまで、雑種イネの製造は、著しい労力
を要する技術により中華人民共和国で実施されており、
そこではまず雄性および雌性イネの親を異なる苗床に異
なる時点において別々に播種し、別の隣接地に移植し、
一週間毎に葉の数を数えることにより成長を監視し、成
長速度を施水および施肥管理により調節し、成長ホルモ
ン、例えばジベレリンを播種親植物に適用して、円錐花
序を葉鞘からより一層十分に裸出させ、播種親植物の止
め葉を摘み取り、風が不十分であれば栽培域を横切るよ
うにロープを移動させることにより、手作業で花粉を移
動させ、かつF雑種イネを形成し得る種子を選択的に
収穫している。
【0007】アルフォンソG.カルブ(Alfonso
G.Calub)の米国特許第4,764,643号
(特開昭64−10933号公報)は、改良された経済
的に実施可能なイネの生成法を開示している。そこで
は、必要な親植物がある特定の性質の新規な組み合わせ
を有している。このような方法は3種の異なる植物系
統、即ち(1)細胞質的に雄不稔性のイネ植物、(2)
該細胞質的に雄不稔性の植物の増加を可能とする維持系
統および(3)得られるFイネ植物に雄稔性を付与す
るための稔性回復系統植物の使用を必要とする。該維持
系統植物の使用および2種の親植物の毎年の植えつけに
かかる経費が該雑種イネ植物生成物の全体としての経費
に加算される。本発明はこのような技術の改良に該当す
る。
【0008】また、この5年間に、中国の科学者は雑種
イネ生産の付随的な方法を開発したが、この方法は一般
に「2系統システム(two−line syste
m)」と呼ばれている。このシステムでは、感光性の遺
伝的に雄不稔性のイネ植物が稔性回復系統イネ植物と共
に使用されている。日照時間が約14時間未満となった
場合、該感光性のイネ植物は維持系統植物として挙動
し、かつ日照時間が一日当たり略14時間を越える場合
には、該感光性のイネ植物は雄不稔性を呈する。従っ
て、理論的には、該感光性のイネ植物は秋期に自家受粉
を通して結実することができ、この植物は春期に雄不稔
性イネ植物を生成するために植えつけることができる。
かくして、維持系統と隣接して均一な密度での雄不稔性
植物の面倒なかつ時間のかかる植えつけ、並びに該雄不
稔性植物に形成された種子を選択的に収穫することによ
り、該雄不稔性植物を増やす必要性を回避することが可
能となる。しかしながら、このような技術は、この段階
において、日照時間の長さに依存するばかりでなく、制
御不可能な温度の変動に著しく影響されることが理解さ
れる。従って、この2系統システムの信頼性には依然と
して大きな問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的の一つ
は、工業的規模で容易に実施し得る、継続的に雄稔性F
雑種イネ植物を形成することのできる種子の改良製造
方法を提供することにある。本発明の目的は、更に雄不
稔性イネ親植物を植え付けするのに必要な種子を増やす
のにかかる毎年の経費を節約することのできる、継続的
に雄稔性F雑種イネ植物を生成することのできる種子
の改良製造方法を提供することにある。
【0010】本発明の目的は、更に必要な雄不稔性イネ
親植物の供給が著しく効率のよい方法で取り扱える、継
続的に雄稔性F雑種イネ植物を生成することのできる
種子の改良製造方法を提供することにある。本発明の目
的は、更に雄不稔性イネ親植物の植え付けを各育成期間
毎に開始する必要がない、継続的に雄稔性F雑種イネ
植物を生成することのできる種子の改良製造方法を提供
することにある。
【0011】本発明の目的は、更に労力を著しく減じる
ことのできる、継続的に雄稔性F雑種イネ植物を生成
することのできる種子の改良製造方法を提供することに
ある。本発明の目的は、更に信頼性よく、かつ経済的に
有利に実施できかつ製造コストを大幅に軽減し得る、継
続的に雄稔性F雑種イネ植物を生成する改良製造方法
を提供することにある。
【0012】本発明の目的は、更にF雑種種子の生産
に利用し得る雄不稔性親植物の確立に有用な、新規な改
良イネ種子生成物を提供することにある。本発明の目的
は、更にF雑種種子の生産に有用な、新規な改良され
た雄不稔性イネ植物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】これらのおよび他の目的
並びに本発明の特許請求の範囲、特徴および有用性は、
以下の記載および上記の特許請求の範囲から当業者には
明らかであろう。本発明は継続的に一年生雄稔性F
種イネ植物を生成することのできる種子の改良製造方法
に係わり、該方法は以下の諸工程を含む。
【0014】(a)(i)一群の多年生の雌稔性で雄不
稔性のイネ植物、および(ii)一群の一年生の雌稔性
で雄稔性のイネ植物を栽培地で育成する工程、但し該一
年生雌稔性で雄稔性のイネ植物は該群(i)を該群(i
i)で受粉することにより得られる次の世代に雄稔性を
保存できる、 (b)該群(i)を該群(ii)由来の花粉で受粉し
て、該群(i)の植物に種子を形成させ、ここで該種子
は一年生雄稔性F雑種イネ植物を形成でき、かつ自家
受粉の結果として該群(ii)の植物上に種子を形成さ
せる工程、 (c)該群(i)および(ii)の植物に形成された種
子を収穫する工程、 (d)該群(i)の植物を実質的に生存性を保持する周
囲条件下にて、実質的に灌水のない条件下で翌冬季の間
維持し、かつ該群(ii)の植物を上記の条件下に暴露
するにとにより殺す工程、 (e)該栽培地に、次の生育期の間、(ii)追加群の
一年生雌稔性で雄稔性のイネ植物を植える工程、但し該
追加群(ii)は生存している該群(i)の植物を該追
加群(ii)により受粉することにより得られる植物に
雄稔性を保存することを可能とする、 (f)該生存している群(i)の植物を該追加群(i
i)の植物由来の花粉で受粉して、該生存している群
(i)の植物に種子を形成させる工程、ここで該種子は
一年生雄稔性F雑種イネ植物を形成できる、および (g)該生存している群(i)の植物および該追加群
(ii)の植物に形成された種子を収穫する工程。
【0015】イネ種子生成物が提供され、該種子生成物
は実質的に均一な種子の集合からなり、この種子は栽培
した際に、実質的に十分に露出した柱頭と、止め葉とを
有し、また優勢遺伝性の遺伝子マーカーと結合した種子
を形成する能力を有する多年生の雌稔性で細胞質的に雄
不稔性のイネ植物を与え、該止め葉は切除しなくとも一
般に円錐花序の先端よりも低い最大高さで上向きに伸び
ており、該円錐花序の先端下部の該止め葉の分布は劣勢
遺伝子によるものであることを特徴とする。
【0016】二元性のイネ種子生成物が提供され、該二
元性の種子生成物は栽培した際に、一方では(1)実質
的に十分に露出した柱頭と、止め葉とを有し、また優勢
遺伝性の遺伝子マーカーと結合した種子を形成する能力
を有する多年生の雌稔性で遺伝子的に雄不稔性のイネ植
物を与え、該止め葉は切除しなくとも一般に円錐花序の
先端よりも低い最大高さで上向きに伸びていて、該円錐
花序の先端下部の該止め葉の分布は劣勢遺伝子によるも
のであり、また他方では(2)該植物(1)の多年生の
維持系統植物を与える種子からなることを特徴とする。
【0017】イネ植物が提供され、該植物は多年生の生
育習性、雄不稔性、実質的に十分に露出した柱頭、およ
び切除しなくとも一般に円錐花序の先端よりも低い最大
高さで上向きに伸びていて、該円錐花序の先端下部にお
ける分布が劣勢遺伝子によるものである止め葉を有し、
また優勢遺伝性の遺伝子マーカーと結合した種子を形成
する能力を有することを特徴とする。
【0018】これまで、インド型であれ、日本型であ
れ、イネは一年生の作物であって、冬季には死滅し、各
栽培期の開始時点で再度植えつけなければならないもの
と認識されてきた。逆に、本発明の概念に従って使用す
る新規な雌稔性で雄不稔性のイネ植物は多年生であり、
実質的に灌水のない状態にある栽培域で一般の冬季条件
下に置かれても生存し続けることのできるものである。
このような多年生イネ植物はインド型および日本型の何
れかでありえ、かつ生存性を失うことなしに冬季期間中
休眠している未発育の芽をもつ生きた稈を信頼性よく、
かつ安定に形成する能力を有する。従って、春期には該
芽は、一年生のイネ植物を形成することのできる種子を
毎年播種した際に見られるのと同様な新たなイネ植物に
発育かつ成長する。この新たな成長は、一般に春期に該
稈から生ずる。このような多年生の植物は、以下に記載
するように、最初に植えつけた後、一般に7年以上、好
ましくは10年以上(例えば、約10〜15年間)に渡
り各春期に葉を付け、かつ開花し得る。通常、本発明の
多年生雌稔性で雄不稔性のイネ植物は最も寒冷の冬季の
一箇月中の平均温度少なくとも約9℃および好ましくは
少なくとも約5℃に耐えることができる。日本型のイネ
植物は、一般にインド型のイネ植物よりも低い温度に耐
えることができる。
【0019】本発明で使用する多年生形質は、一連の量
的に優勢の遺伝子(すなわち、3個以上の遺伝子対の追
加的な作用)により制御されること、そしてこの優勢の
遣伝子(3個以上の遺伝子対)が存在すると、該多年生
の表現型が発現されることが分かった。該多年生形質の
優勢遺伝子対の数が少なくなると、これまでのイネ植物
で表現されてきている、一年生形質が表現される。
【0020】経験的な研究により、多年生形質に必要な
量的に優勢な遺伝子(3個以上の遺伝子対)は、乾季の
長い休眠中にも普通に生存する能力を有する、西アフリ
カで生育している種のような、或る種の野性のイネから
誘導することができることが明らかとなった。該多年生
形質の適当な祖先はオリザ ロンジスタミナータ (O
ryza longistaminata)およびオリ
ザ ルフィポゴン (Oryza rufipogo
n)であり、後者がとくに好ましい起原である。多年生
形質に必要な量的に優勢な遺伝子(3個以上の遺伝子
対)は、必要な種間転移をもたらすように工夫された少
なくとも1回の交雑を含む、制御された育種プログラム
により、あるいは植物技術の当業者には公知の他の利用
可能な転移技術を利用してイネに転移することができ
る。このような技術には、組織培養(ソマクローナル、
細胞、葯)、遺伝子工学、原形質融合、エンブリオレス
キュー(embryo rescue)等がある。
【0021】本発明の概念に従って使用する重要な多年
生雌稔性で雄不稔性のイネ植物は、特性上細胞質性また
は遺伝性の雄不稔性を有している。このような細胞質的
雄不稔性の起原は細胞質的−遺伝子的因子にあり、かつ
雑種イネ生産の公知技術に馴染みのある者には周知であ
る。逆に、遺伝性の雄不稔性の起原は単に核遺伝子にあ
り、かつ雑種イネ生産の公知技術に馴染みのある者には
周知である。本発明の多年生の細胞質的に雄不稔性のイ
ネ植物の好ましい細胞質は一年生のインド型を使用し
た、例えばWA〔野性不稔型(wild aborti
ve)、Gam〔ガンビアカ(Gambiaca)〕、
DW〔不稔性花粉をもつ矮性野性イネ(dwarf w
ild rice with aborted pol
len)〕、ARC(IRRI系)、L〔重質イネ(l
ead rice)〕、オリザ グラベリマ (Ory
za glaberrima:OG)、矮性不稔型(d
warf abortive)、ビルコ(Birco:
BC)、オリザニバラ (Oryza nivara
OV)、などの胞子体系から、あるいは日本型起原から
の配偶子系、例えばBT〔チンスラ−ボロII(Chi
nsurah BorroII)〕テイチュンI〔Te
ichung I(TN1)〕、オリザ ルフィポゴン
Oryza rufipogon(rfp)〕など
から誘導できる。このような一般に入手し得る一年生細
胞質性雄不稔性イネ植物の適当な起原はL301A、9
7A、レモント(Lemont)A、D297A、ゼン
シャン (Zhen Shan)97A、II32A、
キシュウリン(Xiu Lin)A、08A、09A、
PMS1、PMS2、PMS3、PMS4、PMS5、
PMS6、PMS7、PMS8、PMS9、PMS1
0、リュウキアンキシン(Liu Qian Xin)
A、ダンクシュアンワン(Dang Xuan Wa
n)2A、IR45752A、IR46826A、IR
46430A、シジン(Shi Jin)Aなどを包含
する。
【0022】本発明の好ましい遺伝的に雄不稔性の植物
は、入手可能な一年生の遺伝的に雄不稔性のイネ植物か
ら誘導できる。これらの植物は雄不稔性に対する一対の
劣勢msms遺伝子を有している。遺伝的に雄不稔性を
有する特定の一般に入手し得る一年生イネ植物はIR3
6ms、3024A、926A、等である。このような
遺伝的不稔性並びにそれに対する適当な維持系統植物
は、IRRI(フィリピン)、およびザクロップサイエ
ンスインスチチュート、シチュアンアカデミーオブアグ
リカルチュラルサイエンス、チェングドゥ、シチュアン
〔the Crop Science Institu
te,Sichuan Academyof Agri
cultural Science,Chengdu,
Sichuan(中華人民共和国)〕等から得ることが
できる。
【0023】本発明で使用するために選択された稔性回
復系統植物は一年生であり、かつ周囲条件下に置かれた
場合、栽培地における環境条件に耐え得ない。このよう
な稔性回復系統植物は花粉を供給し、かつ次に続く世代
におけるこの雑種植物に稔性を回復することを可能と
し、該花粉は該多年生雌稔性で雄不稔性のイネ植物を受
粉する。細胞質的雄不稔性が使用された場合、このよう
な植物は正常な細胞質を有し(即ち、N細胞質)、また
遺伝的雄不稔性が利用された場合には、かかる植物は一
対の優勢MsMs遺伝子を有し、該遺伝子は該雌親の雄
不稔性を克服する。得られる子孫は一年生雄稔性F
種イネ植物であり、該植物は耐冬性をもたず、冬季中に
死滅する。従って、このような稔性回復系統植物はま
た、該雌親の多年生形質のための量的に優勢な遺伝子
(追加の3個以上の遺伝子対)の追加の効果を、F
孫が最早多年生形質を示さなくなる程度まで阻害する能
力を有する遺伝子を与える。従って、イネの栽培者は、
該栽培者に馴染みの深い一年生のイネ植物を生育し得る
種子を入手する必要がある。
【0024】本発明の方法で使用する親植物は、少なく
とも開花の全体的同調が起こるように選択されなければ
ならない。かくして、該稔性回復系統植物からの花粉
が、種子親植物の小花が受粉に適した際に存在すること
になる。また、該親植物は比較的平滑な葉の表面を有す
ることが好ましく、該表面はこれと接触する該花粉を実
質的に保持し得ないものである。従って、該稔性回復系
統植物から遊離した花粉は該種子親植物の小花に到達す
るより大きな可能性をもつことになる。
【0025】好ましい態様においては、少なくとも一方
の親植物が、より多くの親を用いてより広範な交雑を可
能とする広い和合性遺伝子(compatibilit
ygene)を有する。該広い和合性遺伝子の適当な一
般に入手し得る起原は中華人民共和国からのP186
8、インドからのCP−SL017およびCP−SL0
19、IRRIからのナリン(Narin)、BPI−
176、N22、モロベレカン(Morobereka
n)、デュラー(Dular)、PBMN1,パラワン
(Palawan)、およびフッサ(Fussa)、お
よび日本からのカロトク(Calotoc)、ケタン
(Ketan)、ナングバ(Nangba)およびネッ
ケン(Nekken)1等を包含する。従って、親の一
方はインド型であり、他方が日本型であって、結果とし
て高いヘテローシスを与えるものであることが好まし
い。
【0026】本発明の方法に従えば、多年生の雌稔性で
雄不稔性の植物と、一年生の雌稔性で雄稔性のイネ植物
を、受粉の観点から、各親の実質的に無秩序の集団ある
いは実質的に均一な集団の何れかとして、栽培地内で同
時に育成する。これらの植物は、一般に公知のイネ植物
の植えつけ法を使用して、列状に植えつけられる。好ま
しい態様において、該植物は各植物間の間隔約6〜7イ
ンチおよび各列間の間隔約7〜8インチで列状に植えつ
けられる。また、親植物が実質的に均一な密度で植えつ
けられる場合、該植物は各親の一列以上からなる、かつ
該多年生の雌稔性で雄不稔性の植物の方が数の上で多く
なるような交互のブロックを含む配列であることが好ま
しい。例えば、該種子親の4〜10列を2〜5列の該雄
稔性回復系統親と交互に配列することができる。図1
6、17および図19の代表的な好ましい植えつけパタ
ーンを参照されたい。ここでは、4列の種子親と2列の
雄稔性回復系統親とが交互に配列されている。また、親
植物が実質的に無秩序の密度で育成される場合、一般に
は該栽培地中の植物の約70〜95%が多年生の雌稔性
で雄不稔性の植物であり、かつ該栽培地中の植物の約5
〜30%が稔性回復系統植物である。該親植物が実質的
に無秩序の密度で育成される場合、多年生の雌稔性で雄
不稔性の植物の割合は、必要ならば最大とすることがで
きる。
【0027】図16、17および図19は代表的な好ま
しい植えつけパターンを示し、図16のパターンによ
り、本発明の多年生の雌稔性で細胞質的に雄不稔性のイ
ネ植物を形成し得る種子を高い収量で形成し得る。4列
の多年生の雌稔性で細胞質的に雄不稔性のイネ植物15
0(CPALと呼ぶ)が2列の多年生で雄稔性の維持系
統植物152(NPBLと呼ぶ)と交互に配列されてい
る。植物152からの花粉で植物150を受粉し、植物
150上に形成される種子を選択的に収穫し、特許請求
した方法を実施する際の後の栽培に供する。以下に議論
するように、他の植えつけパターンおよび比率を使用す
ることもできる。
【0028】図17のパターンによれば、一年生雄稔性
のF雑種イネ植物を形成することのできる種子が本発
明の概念に従って形成される。4列の多年生雌稔性の細
胞質的に雄不捻性のイネ植物160(CPALと表示)
が該植物160に対する2列の一年生の雄稔性稔性回復
系統植物162(ARと表示)に対して交互に配列され
ている。植物162からの花粉で植物160を受粉し、
得られる一年生雄稔性のF雑種イネ植物を形成するこ
とのできる種子は植物160から選択的に収穫される。
次期栽培季に植物162は再度植えつけられ、かつこれ
らの工程は繰り返される。以下で議論されるように、他
の植えつけパターンおよび比を使用することも可能であ
る。
【0029】図19は、本発明に従って、一年生雄稔性
のF雑種イネ植物を育成することのできる種子を形成
するための同様な好ましい植えつけパターンを示し、こ
こでは図18に関連して以下に述べるようにして生成し
た雌稔性の遺伝的に雄不稔性のイネ植物180の隔置さ
れた実質的に均一な集団を使用した。2列の雄稔性の稔
性回復系統植物182(ARと表示)が該多年生雄不稔
性植物180に関して交互ブロックとして植えられてい
る。植物182上に形成された花粉で植物180を受粉
する。また植物180上に形成される、一年生雄稔性の
雑種イネ植物を育成することのできる種子が好まし
くは選択的に収穫される。以下で議論されるように、他
の植えつけパターンおよび比を使用することも可能であ
る。
【0030】図18は、多年生の雌稔性の遣伝的に雄不
稔性のイネ植物を構築するのに好ましい植えつけパター
ンを示し、該植物は次期栽培季に本発明に従ってF
種植物を形成するのに使用することができる。本発明に
よる二元性の種子ブレンド由来の各4列からなる植物1
70のブロック(GPAL+GPBLと表記)が隔置さ
れた配置で植えられている。このような植物は、遺伝子
msmsを有する多年生の雌稔性の遺伝的に雄不稔性
のイネ植物(GPAL)と、これに対する遺伝子型Ms
msを有する多年生維持系統植物(GPBL)との混合
物を構成する。開花の後、該維持系統植物(GPBL)
は、一種以上の遺伝子マーカーを基準として刈り取る
か、もしくは畑から抜き取ることができる(例えば、G
PAL上の逆下垂型の止め葉およびより短い節間距離と
比較したGPBL上の直立止め葉および著しく長い節間
距離)。かくして、多年生の雌稔性の遺伝的に雄不稔性
のイネ植物(GPAL)の実質的に均一な集団を残す。
該植物から収穫した種子を、同様な手順に従って別の栽
培地を設定するのに使用する。また、同じ年に、開花前
に該多年生のGPBL植物を除去し、該多年生の雌稔性
の遺伝的に雄不稔性のイネ植物を樹立し、かつ植えつけ
の第一年目にF雑種イネ植物を生育し得る種子を形成
することができる。
【0031】本発明の方法の実施の際に、該多年生の雌
稔性で雄不稔性のイネ植物は該一年生の雌稔性で雄稔性
の稔性回復系統植物からの花粉で受粉され、該稔性回復
系統植物は自家受粉する。該稔性回復系統植物と該多年
生雄不稔性植物との間の花粉の輸送は一般に風による輸
送により達成される。しかしながら、他の花粉を移動し
得る手段を選択することも可能である。
【0032】次いで、該多年生の雄不稔性植物および該
稔性回復系統植物上に形成される種子をその成熟の適当
な時期に収穫する。このような収穫は公知のイネコンバ
インを使用して効果的に実施することができる。該親植
物を実質的に均一な密度で育成する場合には、該親植物
上に形成される種子を各親植物から選択的に収穫するこ
とができる。また、これら両親植物上に形成された種子
は選別することなく一緒に収穫することも可能である。
該種子を一緒に収穫する場合には、以下に記載するよう
に、後に必要に応じて遺伝子マーカーにもとずいて分離
することができる。
【0033】次の冬季中、該稔性回復系統植物は遭遇す
る寒冷な周囲温度の作用により死ぬが、該多年生の雌稔
性で雄不稔性の植物は休眠状態に維持されたまま、生存
状態を維持する。該栽培地は冬季中実質的に灌漑のない
状態に維持されて、腐食を促進する恐れのある有害な条
件のない状態の下で休眠を促進するようにすべきことは
当然である。
【0034】次期栽培季の適当な時点で、該栽培地で、
付随的な一年生の雌稔性で雄稔性のイネ稔性回復系統植
物を植えつける。これにより該生存している多年生の雌
稔性で雄不稔性のイネ植物の受粉の結果得られるF
種植物に雄稔性を復元し得る。次期栽培季に使用する植
えつけパターンは前の栽培季に選ばれた元のパターンに
影響される。例えば、稔性回復系統植物が元々実質的に
均一な密度で植えつけられた場合には、次期栽培季にも
実質的に同一の植えつけパターンが使用される。該稔性
回復系統植物が元々実質的に無秩序の密度で存在する場
合には、該植えつけパターンは、好ましくは次期栽培季
にも繰り返される。無秩序な植えつけパターンを使用し
た場合に最良の結果を得るためには、該休眠多年生雌稔
性雄不稔性イネ植物の再現に先立って、該栽培地全体を
10〜15cm程度の浅さに耕作する。このような耕作
はトゥースハロー(tooth harrow)、耕作
およびドリル型でないプランタの円板または犁刀の刃部
分、例えばザタイカンパニーオブロックニー(The
Tye Company of Lockney;テキ
サス79241米国)、ジョンディーレ&コ(John
Deere &Co.)、ケースインターナショナル
ハーベスター(Case International
Harvester)、マッシー・ファーガソン社
(Massey・Ferguson,Inc.)等によ
り製作されているものを使用して実施できる。このよう
な軽い耕作は、該多年生の雌稔性で雄不稔性の親植物の
稈の基部での新たな成長を更に促進することが分かっ
た。
【0035】生成する親植物は次期栽培季に、該多年生
の雌稔性で雄不稔性のイネ植物に花粉を供給する該新規
に植えつけられた稔性回復系統植物と受粉され、かつ該
稔性回復系統植物は自家受粉する。生成する種子は前に
述べたようにして収穫する。このような工程を少なくと
も一度の追加の栽培季(例えば、1〜10回あるいはそ
れ以上の栽培季)に渡り、該多年生雌親植物を再度植え
つけし、および再度樹立することなしに、繰り返すこと
ができる。このことはかなりの経費を節減することを可
能とする。
【0036】特許請求した発明の好ましい態様によれ
ば、本発明で使用される該多年生の種子親植物および稔
性回復系統イネ植物は、米国特許第4,764,643
号に記載のように、更に改良されてハイブリタイゼーシ
ョンの様々な局面を改良し、かつ効率の良い種子の選別
の可能性を与えるべく付随的な諸性質が付与される。こ
れまで一般に入手し得る一年生のインド型細胞質的に雄
不稔性のイネ植物は、葉鞘内に挿入された花穂の部分を
有する図1に示されたような望ましからぬ形質を有して
いた。日本型の細胞質的に雄不稔性のイネ植物はこの望
ましからぬ形質を有していない。従って、インド型のイ
ネ植物の円錐花序の該挿入部分に存在する小花は、他家
受粉を達成するのに必要な花粉の伝達の機会が与えられ
ず、その結果F雑種イネ植物を生成し得る種子の収率
は減少する。この欠陥を取り扱うために、公知技術では
しばしばジベレリン等の成長ホルモンを投与して、高い
花柄の成長および該花穂の十分な裸出を生ぜしめてい
る。
【0037】図1は、公知技術において一般に見られる
インド型の代表的な一年生の細胞質的に雄不稔性のイネ
植物の一部を示し、そこでは開花期における止め葉1
は、切除されない場合、花穂2の先端よりも大きな最大
高さまで上方に伸び、かつ該円錐花序の約10〜25%
あるいはそれ以上が裸出せず、しかも葉鞘3により包囲
されている。止め葉1の下方の葉4も直立している。
【0038】本発明の好ましい態様によれば、(例え
ば、図3、4、5、6および7に示したような)場合に
より細胞質的に雄不稔性を有する多年生の雌稔性で雄不
稔性のイネ植物が与えられ、該イネ植物は円錐花序を有
し、該花序は開花期には、最も好ましくは成長ホルモン
の適用なしに、ここで述べる他の本質的な特徴との組み
合わせで実質的に十分に該葉鞘から裸出する。従って、
該円錐花序の全長に渡る小花が花粉と遭遇する機会をも
つ。このインド型の細胞質的に雄不稔性の植物における
かかる実質的に十分な円錐花序の裸出は、交雑種ベルパ
トナ(BellePatna)/ゼニス(Zenit
h)/ベルパトナ/MOR 500、サターン(Sat
urn)、ゼニス、AS2004、エウイエウイ(eu
ieui)生殖質(カリフォルニアのデービス(Dav
is)のJ.ネイルルトゥガー(Neil Rutge
r)から入手し得る長い上方節間−遺伝的に高い劣勢系
80−14549)、IR50エウイ(eui)(IR
RI)、およびゼンシェン(Zhen Shen)97
−エウイ(eui)A(中華人民共和国)からの純系選
択種等、適当な起原からの形質を導入することにより達
成される。
【0039】ここで、図3は本発明の好ましい態様で使
用するのに適した、代表的な多年生の細胞質的にまたは
遺伝的に雄不稔性のイネ植物の一部を示し、該図におい
て止め葉20は開花期には劣勢遺伝子に起因する実質的
に水平の形状をとる。開花期における該止め葉20は上
方に花穂21の先端よりも低い最大高さまで伸びる。ま
た、花穂21は、成長ホルモンを適用しなくとも、実質
的に十分に葉鞘22から裸出する。止め葉20の下部の
葉23は直立しているが、場合によっては別の形状を想
定することも可能である。好ましい態様においては、実
質的に白色の葉耳24の形状にある成長性のマーカーお
よび実質的に白色の頚領25も存在する。
【0040】図4は本発明の好ましい態様で使用するの
に適した、もうひとつの代表的な多年生の細胞質的にま
たは遺伝的に雄不稔性のイネ植物の一部を示し、該図に
おいて止め葉30は開花期には劣勢遺伝子に起因する実
質的に偃臥状の形状をとる。開花期における該止め葉3
0は上方に花穂31の先端よりも低い最大高さまで伸び
る。また、花穂31は、成長ホルモンを適用しなくと
も、実質的に十分に葉鞘32から裸出する。止め葉20
の下部の葉33は直立しているが、場合によっては別の
形状を想定することも可能である。好ましい態様におい
ては、実質的に白色の葉耳34の形状にある成長性のマ
ーカーおよび実質的に白色の頚領35も存在する。
【0041】図5は本発明の好ましい態様で使用するの
に適した、もうひとつの代表的な多年生の細胞質的にま
たは遺伝的に雄不稔性のイネ植物の一部を示し、該図に
おいて止め葉40は開花期には劣勢遺伝子に起因する下
方に湾曲した形状をとる。開花期における該止め葉40
は上方に花穂41の先端よりも低い最大高さまで伸び
る。また、花穂41は、成長ホルモンの適用がなくと
も、実質的に十分に葉鞘42から裸出する。止め葉40
の下部の葉43および44の形状は変えることが可能で
ある。好ましい態様においては、実質的に白色の葉耳4
5の形状にある成長性のマーカーおよび実質的に白色の
頚領46も存在する。
【0042】図6は本発明の好ましい態様で使用するの
に適した、更に別の代表的な多年生の細胞質的にまたは
遺伝的に雄不稔性のイネ植物の一部を示し、該図におい
て止め葉50は開花期には劣勢遺伝子に起因して短くか
つ実質的に直立している。開花期における該止め葉50
は上方に花穂51の先端よりも低い最大高さまで伸び
る。また、花穂51は、成長ホルモンの適用がなくと
も、実質的に十分に葉鞘52から裸出する。止め葉50
の下部の葉53の形状は直立しているが、場合によって
は別の形状を想定することも可能である。好ましい態様
においては、実質的に白色の葉耳54の形状にある成長
性のマーカーおよび実質的に白色の頚領55も存在す
る。
【0043】図7は本発明の好ましい態様で使用するの
に適した、更に別の代表的な多年生の細胞質的にまたは
遺伝的に雄不稔性のイネ植物の一部を示し、該図におい
て止め葉60は開花期には劣勢遺伝子ddに起因する逆
下垂形状を呈している。開花期における該止め葉60は
花穂61の先端下方に下向きに著しく下垂している。該
遺伝子ddは、該下垂型形状に著しい影響を与える通常
の葉の中茎(midstem)の欠失に導く。このよう
な下垂形状は、該止め葉が遺伝的に該葉の末端において
上向きと言うよりも幾分下方に向いた葉の上面を持つ捩
じられた形状が想定されると言う意味から、“逆”であ
ると考えられる。また、このような植物は3−葉段階
(three−leaf stage)から花穂開始点
まで円形の茎を呈する傾向があり、一方で通常のイネは
該領域において幾分平たい茎をもつ傾向がある。また、
花穂61は、成長ホルモンの適用がなくとも、実質的に
十分に葉鞘62から裸出する。止め葉60の下部の葉6
4の形状も逆下垂形状を呈しているが、場合によっては
別の形状を想定することも可能である。好ましい態様に
おいては、実質的に白色の葉耳66の形状にある成長性
のマーカーおよび実質的に白色の頚領68も存在する。
【0044】また、これまでに報告された一年生の細胞
質的に雄不稔性のイネ植物は図2に示されたような通常
のイネ柱頭配列を有する。更に詳しく言えば、該柱頭は
与えられた小花のえい(即ち、外花えいおよび内えい)
内にうまく配置され、かつ該小花が開く比較的短い期間
(例えば、約30〜120分)においてのみ花粉を受け
取ることができる傾向にある。また、図2に示したよう
に、開花中該小花の該外花えいおよび内えいは一般に約
10〜25゜の角度で開く。
【0045】ここで、図2は、図1に示したような公知
技術において一般に見られるような一年生の細胞質的に
雄不稔性のイネ植物の花穂由来の小花の代表的な開花を
模式的に示した図である。外花えい10および内えい1
1は僅かに約10〜25゜の角度で一度だけ開き、かつ
比較的短い花柱上に生ずる一対の柱頭12および13は
裸出されず、しかも外花えい10および内えい11が恒
久的に閉じた状態に戻される際に封じ込められてしま
う。代表的なおしべは葯14および花糸15からなる。
生きた花粉は形成されない。
【0046】本発明の好ましい態様に従えば、(例え
ば、図8に示されているような)場合により細胞質的に
雄不稔性を有する多年生の雌稔性で雄不稔性のイネ植物
が提供され、このものは開花期において十分に裸出され
る柱頭を有する。このような柱頭は該外花えいおよび内
えいが閉じた後においてさえ、十分に裸出された状態に
維持され、その結果受粉の可能な期間を2時間から約4
〜5日間にまで実質的に延長する。このような柱頭の裸
出は、該柱頭を担持する花柱の長さおよび/または該柱
頭の長さによるものであると考えることができる。ま
た、図8に示したような好ましい態様においては、該外
花えいおよび内えいは通常イネの小花に見られるよりも
大きな角度で開き、このことは更に該柱頭が該外花えい
および内えいの外部に配置することを助ける。特に好ま
しい態様においては、該外花えいおよび内えいは約30
〜45゜まで開く。また、好ましい態様においては、多
年生の雌稔性で雄不稔性のイネ植物が選択され、該植物
は小花当たりの通常の柱頭の数2よりも多くの、即ち3
〜5個もしくはそれ以上の柱頭を有する。該多年生の雌
稔性で雄不稔性のイネ植物におけるこのような十分な柱
頭の裸出の達成は、例えばオリザ ルフィポゴン(Or
yzrufipogon)および/またはオリザ
ロンジスタミナータ(Oryz longistam
inata)をイネと交雑し、5〜6世代につき選別を
行い、良好な実用形質を有する変種と交雑し、5〜6世
代につき選別を行い、多年生の雌稔性で雄不稔性の系統
と交雑し、5〜6世代につき戻し交雑を行い、および所
定の実質的に十分に裸出した柱頭をもつ多年生の雌稔性
で雄不稔性の植物を選別することにより可能となる。過
去において、このような裸出柱頭特性は、一般に日本型
のイネ植物については報告されていない。多重雌花化し
たイネ植物は日本型栽培品種wx 154(イエンガン
(Yeungan)大学、ゲオングサ(Gyeongs
a)、韓国および中華人民共和国のシチュアンアカデミ
ーオブアグリカルチュラルサイエンス(Sichuan
Academy of Agricultural
Science)から入手し得る)あるいはインド、ク
ッタク(Cuttack)のCRRIからのラトナxラ
ジャイ(Ratna x Rajai)の選別種等によ
り得られる。
【0047】図8は、本発明の図3、4、5、6および
7に示した如き多年生の細胞質的にまたは遺伝的に雄不
稔性のイネ植物の花穂からの、代表的な開放した小花の
拡大模式図である。外花えい70および内えい71は最
大角度で約45゜開くが、この開放角は場合により、比
較的長い花柱74および75上に担持された該柱頭72
および73が実質的に十分に裸出しており、かつ該外花
えい70および内えい71が永続的にその閉鎖位置に戻
された時点でさえも実質的に露出したままであれば、こ
れよりも小さくともよい。小花当たりの正確な柱頭の数
は変えることができる。代表的なおしべは葯76と、花
糸77とからなっている。生きた花粉は形成されない。
【0048】これまで、図1に示されたように、変更さ
れないままであれば、多くの雑種イネ製造に使用される
雄不稔性のイネ植物は、一般に花穂の先端よりも大きな
最大高さまで上方に伸びた止め葉を有していた。このよ
うな止め葉の形状は遺伝的に制御され、かつ米国特許第
4,764,643号に記載のように、他家受粉に必要
な花粉の受理に対する部分的な障害として作用すること
が立証された。以前に中華人民共和国で行われていたイ
ネのハイブリタイゼーションにおいて、かかる止め葉の
上部部分は、一般に他家受粉に対するこの障害を排除す
べく、労力をかけて切断により除いていた。このような
切除は著しく時間を必要とし、極めて経費がかかり花穂
に付随的に損傷を与えずには正確に達成することは困難
である。好ましくは、該多年生の雌稔性で雄不稔性のイ
ネ植物は、切除なしに開花期に一般に該花穂の先端より
も低い最大高さまで上向きに伸びた非定型の止め葉を組
み込むように改良される。このような止め葉の低い配置
は劣勢遺伝子(即ち、単一対の劣勢遺伝子)によるもの
である。止め葉の下方の葉の配置は場合により該止め葉
の配置とは独立であり得、しかも別々に制御し得る。ま
た、好ましい態様においては、開花期における全花穂の
高さの少なくとも50%は、一般に該多年生の雌稔性で
雄不稔性のイネ植物の止め葉の最大高さよりも上方に伸
びる。高度の他家受粉が該止め葉の実質的な障害なしに
可能となる。
【0049】本発明の好ましい態様においては、開花期
の該多年生の雌稔性で雄不稔性のイネ植物は止め葉を有
していて、該止め葉は図3に示したように、実質的に水
平な配置に置かれるが、これは劣勢遺伝子によるもので
ある。このような態様における成熟止め葉は、一般にイ
ネの柄から約85〜95゜の角度で伸びている。該角度
は該イネの柄と、付着部分における該止め葉の下面との
間で測定した値である。該止め葉の実質的に水平な特徴
はボネットベル(Bonnet Bell)、ラベルメ
ルローズ(Labelle/Melrose)、CI9
363、Ci9373、CI9386、CI9406、
CI9408、CI9414等からの純系選別種との交
雑により該雄不稔性の種子親植物に導入できる。
【0050】もう一つの本発明の好ましい態様によれ
ば、開花期の該多年生の雌稔性で雄不稔性のイネ植物
は、図4に示したように、偃臥状の形状で配置されてい
る(即ち、一般に約80゜程度のイネ柄に対する角度で
生えている)止め葉を有する。これは、劣勢遺伝子によ
るものである。一般に、この偃臥状の止め葉は該イネ柄
に対して約40〜80゜の角度で生えている。この止め
葉の偃臥状の特徴は、ラベル、CI9157/G63
0、CI1658、CI8993、PI229266等
からの選別種との交雑により、該多年生の雌稔性で雄不
稔性の種子親植物に導入できる。
【0051】更に別の好ましい態様においては、開花時
期における多年生の雌稔性で雄不稔性のイネ植物は、図
5に示したような、下方に湾曲した形状に配置された止
め葉を有するが、これは劣勢遺伝子によるものである。
この止め葉の下方に湾曲下特徴はレボネット(Lebo
nnet)、ブラゾス(Brazos)、CI1201
9、CI2971、CI3336、CI4285、CI
4286等との交雑により、該多年生の雌稔性で雄不稔
性の種子親植物に導入できる。
【0052】本発明の更に別の好ましい態様によれば、
開花時期の該多年生の雌稔性で雄不稔性のイネ植物は、
図6に示したような、短い実質的に直立した形状で配置
された止め葉を有しており、これは劣勢遺伝子によるも
のである。このような態様において、該成熟止め葉が、
その立ちあがったかつ一般には直立の配置をもつにもか
かわらず、該花穂の先端までには伸びないという意味
で、該成熟止め葉は短小である。この止め葉の短小な直
立した特徴は、ブラキチックナト(Brachytic
Nato)、ブラキチックナト/C57、PI321
216、PI321217、PI373832、CI9
002等からの選別種との交雑により該多年生の雌稔性
で雄不稔性の種子親植物に導入できる。
【0053】他の穂の好ましい態様によれば、開花時期
の該多年生の雌稔性で雄不稔性のイネ植物は、図7に示
したような、逆下垂形状で配置された止め葉を有してお
り、これは劣勢遺伝子ddによるものである。この止め
葉の逆下垂形状の特徴は公にIRRI(フィリピン)か
ら入手できるRGS20との交雑により、該多年生の雌
稔性で雄不稔性の種子親に導入できる。この止め葉の逆
下垂形状の特徴は、遺伝的に雄不稔性を有する多年生の
雌稔性で雄不稔性のイネ植物に対して使用するのに特に
適している。というのは、このような形質がこのような
雄不稔性と密接に結合し得ることが分かっており、かつ
以下で議論するように、このような雄不稔性の植物の初
期構築中にマーカーとしても利用できるからである。
【0054】最後に、穂の多年生の雌稔性で雄不稔性の
植物は優先的に遺伝される遺伝子マーカーと結合した種
子の形成能を有することが好ましい。かかるマーカーは
米の籾殻上またはその近傍の何れにあってもよい。以下
に述べるように、かかる遺伝子マーカーは、該植物上に
形成された雄稔性のF雑種イネ植物を育成し得る種子
を、自家受粉の結果として雄親稔性回復系統上に形成さ
れた種子から選別することを可能とする。イネ種子自体
上のマーカーは本発明で使用するには有効ではない。と
いうのは、イネ種子は保護用の籾内にあるからである。
このような籾が除去されて該種子が露出した場合には、
該イネ種子のイネ植物を生成する可能性は大幅に減じら
れてしまう。
【0055】好ましい態様において、該種子に組み入れ
られたこのような優先的に遺伝される遺伝子マーカーは
図11に示されたような麦藁色の籾殻である。この麦藁
色の籾なる特徴はイネ植物では一般的であり、かつラベ
ル、レボネット、ニューレックス(Newrex)、デ
ラ(Della)、スターボネット(Starbonn
et)、ボネット73、レモント(Lemont)、ベ
レモント(Bellemont)、ナト(Nato)、
ビスタ(Vista)、サターン(Saturn)、ブ
ラゾス(Brazos)、ノバ(Nova)76、マル
ス(Mars)、M201、S201、L301、カテ
ィー(Katy)、レックスモント(Rexmon
t)、等との交雑により、該雄不稔性の種子親植物に導
入することができる。
【0056】ここで、図11は、本発明の方法に従って
生成し得る一年生の雄稔性のF雑種イネ植物を育成す
ることのできる、籾殻を有する好ましいイネ穀物粒の拡
大模式図である。該籾は外花えい100および内えい1
01からなり、かつ支配的遺伝形質の結果として麦藁色
を有している。他の態様において、支配的に遺伝し得
る、図13に示したような、該種子に組み込まれた遺伝
子マーカーは、外花えいおよび内えい120および12
1上の明確な暗褐色の縦長の縦溝122、123、12
4、125、副護えい126および127、紫色の鋭突
頭(apiculus)128またはこれらの2種以上
の組み合わせからなる。該特徴、即ち暗褐色の縦長の縦
溝はイカムポドチー(Ikam Podchee)との
交雑により、該多年生の雌稔性で雄不稔性の種子親植物
に導入できる。場合により、該副護えいははっきりとし
た色をもつことができ、かつノルタイ(Norta
i)、PI408449、CI5309、紫スターボネ
ット等との交雑により該多年生の雄不稔性の種子おや植
物に導入できる。該紫色の鋭突頭はノルタイ(Nort
ai)、ボネット73、PI408449、PI321
158、PI321161、PI321185、CI9
864、CI9865、CI9866、等との交雑によ
り該細胞質的に雄不稔性の種子親植物に導入できる。
【0057】ここで図13は、本発明の方法に従って生
成し得る、籾殻を有する好ましいイネ穀物粒の拡大模式
図である。該籾は外花えい120および内えい121か
らなり、かつはっきりした暗褐色の縦長の縦溝122、
123、124、125、副護えい126および12
7、紫色の鋭突頭(apiculus)128を有して
いる。これらの特徴の各々は支配的に遺伝され、かつ別
々にあるいはその2以上の組み合わせとして存在し得
る。単独のあるいは組み合わせとしての該特徴は、本発
明の方法における種子の分離の基準として利用できる。
【0058】場合により、本発明の多年生の雄不稔性の
植物の種子に組み込む事のできるその他の代表的な優勢
遺伝子マーカーは紫色の籾、白色の籾、荒い/毛じ籾表
面、および抑制された内えいである。該荒い/毛じ籾表
面は、カルローズ(Calrose)76、アーリロー
ズ(Earlirose)、コルサ(Colusa)、
カロロ(Caloro)、ヨンクワン(Yong Kw
ang)、PI321213、PI321216等との
交雑により該多年生の雌稔性で雄不稔性の種子親植物に
導入することができる。該抑制された内えいはECCA
−90との交雑により、該細胞質的に雄不稔性の種子親
植物に導入することができる。
【0059】本発明の多年生の雌稔性で雄不稔性のイネ
植物は、また少なくとも一つの付随的なマーカーを含
み、該マーカーは植物体中で発現して、該種子親植物を
容易に該雄稔性の稔性回復系統植物から識別することを
可能とする。かかるマーカーは該雄不稔性の植物の存在
を容易に確認することを可能とし、かつ更に与えられた
イネ植物集合における、該植物の適当な密度を決定する
ための手段をも与える。従って、このようなマーカー
は、雄稔性のF雑種イネ植物を生成し得る種子を製造
しようとする者に、本発明の方法で使用する前に、ある
いはその間に該必要な種子親植物を十分に監視する手段
を提供する。正確な操作を該雑種種子の製造の初期にお
いてとり得ることが要求される。適当なマーカー又はそ
の組み合わせがない場合には、望ましくない植物を該栽
培地から抜き取ることができる。
【0060】本発明の多年生の雌稔性で雄不稔性の植物
に対して使用するのに好ましい生きたマーカーは淡色
(例えば、白、オフホワイト、淡緑、黄色、淡褐色)の
葉耳および頚領である。かかる葉耳は、葉鞘と葉身との
接合部の葉の頚領に隣接して位置し、かま型の形状をと
る傾向のある小さな毛髪状の付属器である。これらの葉
耳および葉の頚領は、図3、4、5、6および7では、
単一の葉に隣接するものとして示されているが、実際に
はかかる葉耳および葉の頚領は、一般に各葉に伴って何
度も繰り返し現れる。特に好ましい態様においては、該
淡色の葉耳および頚領は、多くのイネ変種に共通の如く
実質的に白である。また、暗色(例えば、紫、赤等)の
葉耳および頚領は余り好ましくない態様として選ぶこと
ができる。このような紫の葉耳および頚領はアルボリオ
(Arborio)および交雑種A8/VEC/G63
0からの選別種から誘導できる。劣勢遺伝性の緑の葉
鞘、緑の花柄、および/または緑の葉縁、または優勢遺
伝性の紫の葉鞘、紫の花柄、および/または紫の葉縁を
選択することができる。該緑の葉鞘、緑の花柄、および
/または緑の葉縁は多くのイネの変種に共通である。該
紫の葉鞘、紫の花柄、および/または紫の葉縁はPI4
08449、CI5309、交雑種ラベル/メルローズ
/G630、紫スターボネット等から誘導できる。柱頭
の色(例えば、紫または赤い柱頭等の暗色の柱頭対白い
柱頭)を生きたマーカーとして使用することも可能であ
る。紫の柱頭はノルタイ、V41A、V20A、ボネッ
ト73、CI5309、紫スターボネットPI4084
49、等から誘導できる。赤い柱頭はレモント、レア
(Leah)、等から誘導できる。白色の柱頭はフィガ
イ(Phi−Gai)、ニューレックス、IR24、R
29,CI4285、CI9107、CI9297等か
ら誘導できる。また、葉の毛じの有無も生きたマーカー
として利用でき、同様に逆下垂葉の有無も該マーカーと
して利用できる。
【0061】本発明の方法を実施する場合、一年生の雌
稔性で雄稔性のイネ植物が使用され、これは該多年生の
雌稔性で雄不稔性のイネ植物のF子孫に雄稔性を回復
し得、また該F子孫に一年生の特性を付与する能力を
包含するここで引用した他の必要な特徴を回復すること
のできるものである。図9に示したように、このような
雄親稔性回復系統植物は、優勢遺伝子に起因する一般に
長く直立した止め葉を有しており、該止め葉は一般に円
錐花序の先端の高さよりも高い最大高さまで上方に伸び
ている。このような雄親は、また植物育種または、以下
に述べるように、該種子と結合する劣勢遺伝性の遺伝子
マーカーを組み込むための他の手段により改良された公
知のイネの品種から誘導することができる。優勢遺伝性
の長く直立した止め葉を有する代表的な市販品として入
手し得るイネの品種はルモント、ブルーベル(Blue
belle)、ボネット73、ベルモント、IR24、
IR36、IR54、G630、交雑IR24/ユアン
シン(Yuang Hsing)からの選別種(sel
ections)、交雑LM/G630からの選別種ガ
ルフモント(Gulfmont)、PI160832、
PI321215等を包含する。
【0062】ここで、図9は本発明の好ましい態様にお
いて使用するのに適した代表的な一年生の雌稔性で雄稔
性の稔性回復系統イネ植物の一部を示すものである。開
花時期における止め葉80は長くかつ直立しており、花
穂81の先端よりも高い最大高さまで上方に伸びてい
る。開花時期における止め葉80の形状は優勢遺伝子に
よるものである。該花穂81は成長ホルモンの投与なし
に、葉鞘82から実質的に十分に裸出しているが、該花
穂が図示のように実質的に十分に裸出していることは本
質的ではない。止め葉80の下方の葉83の形状も直立
しているが、場合によっては異なる形状を想定すること
もできる。この好ましい態様においては、実質的に紫色
の葉耳85および実質的に紫色の頚領86としての生き
たマーカーが存在する。
【0063】該稔性回復系統イネ植物は、好ましくは該
多年生の雌稔性で雄不稔性の種子親イネ植物内に存在す
るのと同様な、種子に組み込まれた遺伝子マーカーを有
する。但し、該マーカーは該稔性回復系統植物内ではホ
モ接合の劣勢型として存在し、一方で該種子親植物内で
はホモ接合の優勢型として存在する。例えば、該種子親
が図11に示されたように、麦藁色の籾殻を有している
場合には、該稔性回復系統植物は図12に示したよう
に、金色の籾を有することができる。このような金色の
籾は、金色の籾を有する品種を麦藁色の籾を有する稔性
回復系統品種と交雑し、F世代における金色の籾を有
する植物を選択し、4〜6回戻し交雑し、次いで最終的
に選別を行うことにより、該稔性回復系統植物に導入し
得る。金色の籾を有するイネ植物はブルーベル、ダウン
(Dawn)、ゴールドナトー(gold Nat
o)、カー(Kar)398、デュラーゴールド(Du
largold)、ペコス(Pecos)、カーガット
(Kargat)184、CI9002、CI900
3、CI9063、CI9122、CI9123等から
誘導できる。該種子親が図13に示したように、副護え
いを有する場合、該稔性回復系統植物は図14に示した
ように、長い空えいあるいは色の異なる副護えいを有す
ることができる。該稔性回復系統植物における該長い空
えいの存在は、クローリーライスイクスペリメントステ
ーション(Crowley Rice Experim
ent Station)、クローリー、LA、U.
S.A.から入手し得る83N1223から誘導するこ
とができる。該種子親が紫色の鋭突頭を有する場合に
は、該稔性回復系統植物はレボネット、ベルモント、ニ
ューレックス、スターボネット、ブラゾス、サターン、
マルス等との交雑により該稔性回復系統植物に導入でき
る。該種子親が該籾殻に暗褐色の縦長の縦溝を有する場
合には、該稔性回復系統植物はこのような暗褐色でない
籾、例えば麦藁色の籾を有することができる。このよう
に、暗褐色の籾の色のない該稔性回復系統植物は、多く
のイネ品種において容易に入手できる。
【0064】ここで図12は、本発明の工程中に一年生
の雌稔性で雄稔性の稔性回復系統イネ植物の自家受粉の
結果として得ることのできる、籾を有する好ましいイネ
穀粒の拡大模式図である。該籾は外花えい110および
内えい111からなり、かつ劣勢遺伝形質の結果として
金色を有している。この図12に示した金色の籾は機械
的な種子選別装置を使用して、容易に図11の麦藁色の
籾から分離できる。
【0065】また、図14は、本発明の工程中に一年生
の雌稔性で雄稔性の稔性回復系統イネ植物の自家受粉の
結果として得ることのできる、籾を有する好ましいイネ
穀粒の拡大模式図である。該籾は外花えい130および
内えい131からなり、かつ比較的滑らかであって、暗
褐色の縦長の縦溝をもたない。大きな空えい132およ
び133を有し、かつ紫色の鋭突頭をもたない。これら
特徴の各々は劣勢遺伝性のいものであり、かつ別々にあ
るいは2以上の組み合わせとして存在し得る。これら特
徴の単独あるいはその組み合わせを本発明の方法におけ
る種子の分離の基準として利用し得る。
【0066】好ましい態様において、稔性回復系統とし
て機能する一年生の雌稔性で雄稔性のイネ植物はまた、
少なくとも一つの追加のマーカーを有し、該マーカーは
それ自体成長中に出現し、結果として該稔性回復系統植
物を該多年生の雌稔性で雄不稔性の植物からたやすく分
離することを可能とする。このような例において、該稔
性回復系統イネ植物は、該雄不稔性の種子親植物中に存
在する成長するマーカーと同一のマーカーを有すること
ができるが、相反状態で存在している(即ち、該種子親
中における存在がホモ接合の優勢型である場合には、該
稔性回復系統親における存在はホモ接合の劣勢型であ
り、また該種子親中における存在がホモ接合の劣勢型で
ある場合には、該稔性回復系統親における存在はホモ接
合の優勢型である)。例えば図9に示した好ましい態様
では、該稔性回復系統植物は優勢的に遺伝される紫色の
葉耳および紫色の頚領を有するであろう。図9において
は、葉耳および頚領は単一の葉に隣接して示されている
が、実際に該葉耳および頚領は、各葉と関連して各イネ
植物において何度も繰り返し出現するはずである。
【0067】図10に示したように、好ましい態様にお
ける該一年生の雌稔性で雄稔性の稔性回復系統イネ植物
は、更に花粉を分散し得る十分に突出した葯を有する。
かかる葯は、これらが外花えいおよび内えいが開いた際
に外側に突出するという意味から突出していると言う。
このような葯が突出しているという特徴は、オリザロン
ジスタミナータおよび/またはオリザ ルフィポゴンと
交雑し、次いで戻し交雑し、かつ選別することにより該
稔性回復系統植物に導入することができる。該稔性回復
系統植物の柱頭は他配の可能性を最小化するために、非
−裸出型であることが好ましい。また、花粉は長い期間
に渡り十分な量で該稔性回復系統植物上に形成され、か
つ容易に分散し得るために、計量かつ浮揚性であること
が好ましい。このような花粉の分散はまた、該稔性回復
系統植物が一般に該種子親植物と同等もしくはこれより
も大きい場合には、助長される。また、該稔性回復系統
植物が比較的長い稔性期間の花粉を形成するものである
ことが好ましい。
【0068】ここで図10は本発明の方法で使用するの
に特に適した、図9の好ましい一年生の雌稔性で雄稔性
の稔性回復系統イネ植物の花穂からの代表的な開いた小
花を拡大して示した模式図である。外花えい90および
内えい91は約30〜45゜の角度で開いているが、こ
の開放角は場合によってはこれよりも小さくてもよい。
代表的なおしべは葯92および花柱93からなってい
る。該葯は好ましくは突出していて、該外花えい90お
よび内えい91が恒久的にその閉じた位置に戻った際に
も外部に残されている。該葯は生きた花粉を分散し、該
花粉は好ましくは比較的長い稔性期間を有する。柱頭9
4および95の配置は、本発明の方法の操作にとっては
あまり重要でない。
【0069】一年生で雄稔性のF雑種イネ植物を形成
することのできる種子の選択的収穫を行わない本発明の
これら態様においては、F雑種イネ植物を生育するこ
とができ、多年生の雌稔性で雄不稔性のイネ植物上に形
成された該種子は、好ましくは該稔性回復系統植物上に
形成された種子から、該種子に組み込まれた遺伝子マー
カーを基にして分離される。このような分離は好ましく
は機械的な選別機を使用して実施される。例えば、光電
種子選別機、ベルベットロール、種子のサイズおよび/
または形状に応答し得る機械的種子選別機、例えばカー
ターディスク(Carter disks)等を使用す
ることができる。特に好ましい態様において、F雑種
イネ植物を生育することができる該種子は麦藁色の籾殼
を有し、かつ該稔性回復系統植物上に形成される種子は
金色の籾を有する。金色の籾を有する種子は、ESMイ
ンターナショナル社(ESM Internation
al Inc.:米国テキサス州77036,ヒュース
トン、スート300、ハーウィンドライブ)から入手し
得る光電種子選別機を使用して高速で分離できる。この
麦藁色の籾殻を有する種子は、雑種成長力を通して更に
収量を上げたい人に販売することができる。該稔性回復
系統植物上に形成された金色の籾を有する種子は、従来
のイネ用途として販売することができ、あるいは他の世
代における稔性回復系統として植えつけるために保存す
ることができる。
【0070】図15に示したように、多年生の種子親と
は違い、本発明の方法により可能となった代表的な一年
生の雄稔性のF雑種イネ植物は、花穂の先端の高さよ
りも高い最大高さまで上方に伸びた止め葉を有する。従
って、F世代における光合成は効率よく進行し、米の
収量は更に増大される。図15は、穂の方法により形成
された種子から得た一年生の雄稔性のF雑種イネ植物
の代表的部分を示す図である。図3、4、5、6および
7に示した種子親植物とは違い、開花時期の止め葉14
0は円錐花序141の先端よりも高い最大高さまで上向
きに伸びており、その結果効率のよい光合成を達成し得
る。しかしながら、このF雑種イネ植物の止め葉14
0は、一般に図9の一年生の雌稔性で雄稔性の稔性回復
系統イネ植物の止め葉80よりも低い位置まで上向きに
伸びていることに注目すべきである。これは、止め葉の
優勢遺伝子形質が一般に部分的にのみ該F世代で表現
されるに過ぎないからである。好ましい態様において
は、実質的に紫色の葉耳142および実質的に紫色の頚
領143としての成長性のマーカーも存在する。
【0071】本発明の更に好ましい態様においては、所
定の種子生成物の純度が、最初に工程(a)の植物
(i)を形成するのに使用した種子が、該工程(a)で
該植物(i)を形成するのに使用する栽培用の種子の形
成中に、近接する維持系統植物上に形成された種子によ
り誤って汚染されたか否かを測定することにより監視さ
れる。これは、該多年生の種子親植物(i)に劣勢遺伝
性の淡色の(例えば、実質的に白色の)葉耳および頚領
を与え、かつ該稔性回復系統植物(ii)に暗色の(例
えば、実質的に紫色の)葉耳および頚領を与え、雄稔性
のF雑種イネ植物を形成するための該種子(即ち、代
表的なサンプル)の少なくとも一部を育成し、該維持系
統の植物の自家受粉により形成された淡色の葉耳および
頚領を有する植物からの望ましからぬ種子と比較して、
暗色の葉耳および頚領を有する一年生の雄稔性のF
種イネ植物を形成することのできる種子の適当な割合を
決定することにより、有利に実施することができる。従
って、F雑種イネ植物の形成のために本発明の方法に
従って形成された種子は、その純度に関して正確に表示
することができる。
【0072】図18および19との関連で既に述べたよ
うに、初期における栽培地での該多年生の雌稔性で遺伝
的に雄不稔性の親植物の構築は、同時に生産される目的
に違う植物を除去する工程を必要とする。なぜならば、
一般に純粋な形でこのような種子おや植物に必要な栽培
種子を供給することは不可能であるからである。このよ
うな植物除去の必要性は、所定の多年生の雌稔性で遺伝
的に雄不稔性の親植物を包含する子孫植物を与える分離
に由来するものと考えられる。この遺伝的に雄不燃性の
種子親植物はmsms遺伝子型を有し、かつ同一のms
ms遺伝子型を有する種子親植物とMsms遺伝子型を
有する花粉媒介植物との交雑により形成される。このよ
うな交雑はまた同時に、Msms遺伝子型を有する十分
に稔性の植物をも生成する。このようなMsms遺伝子
型を有する植物は、F雑種イネ種子生産に利用される
開花の前に該栽培地から実質的に除去されなければなら
ない。適当なマーカー遺伝子を該msmsおよびMsm
植物に組み込んで、これらを相互に識別することを可
能とし、かつ該Msms遺伝子型を有する十分に稔性の
植物を抜き取るか、あるいは他の手段により除去するこ
とができる。好ましい態様においては、このようなマー
カーは、遺伝的に雄不稔性と組み合わせた劣勢遺伝子
に起因する図7の逆下垂型の止め葉および劣勢遺伝子
DDに起因する長い最上方の節間の長さ並びにこれらに
対する優勢遺伝子DDに起因する直立の止め葉および劣
勢遺伝子euieuiに起因する長い最上方の節間の長
さである。この特徴、即ち逆下垂型の止め葉は遺伝的に
雄不稔性形質と密に結合される傾向にあることが分かっ
た。この特徴、即ち逆下垂型の止め葉はイネ植物では一
般に第3番目の葉から始まることが分かった。これによ
りこの形質を持たないMsms維持系統の植物の抜き取
りまたはその除去が容易なものとなる。また、遺伝子
uieuiは該遺伝的に雄不稔性の植物(msms)
よび雄稔性植物(Msms)両者に存在するが、該最上
方の節間の長さの程度に関連するその表現は各例におい
て異なっていることも分かった。より詳しくいえば、該
遺伝的に雄不稔性の植物(msms)では、該遺伝子
uieuiは円錐花序の裸出を起こし、該止め葉の鞘の
外部にまで該花序を伸ばす。該遺伝子euieuiがな
いと、該花序の約1/4〜1/3が該葉鞘内に留まるこ
とになってしまう。しかしながら、該雄稔性植物(Ms
ms)では、該遺伝子euieuiはその花序を止め葉
の鞘を約15〜20cmあるいはそれ以上越えて突出さ
せる。従って、該雄稔性植物(Msms)の全植物長さ
はしばしば該所定の不稔性の植物よりも20〜40cm
高くなる。何れの形質(即ち、逆下垂型止め葉および該
遺伝子euieuiの十分でない表現)も、手作業によ
る抜き取りまたは他の植物除去作業を実施する際の植物
の保存の基礎となる。該雄稔性植物(Msms)は丈が
高いので、これらは手作業による抜き取りのために見分
けるのに有利であり、また該丈の高い植物のみをウィッ
ク(wick)除草剤アプリケータで除草剤と接触させ
ることによりこれらを除去できる。この方法は、本発明
の方法に従って第1年目のFイネの生産のための遺伝
的に雄不稔性のイネ植物を樹立するのに利用することが
できる。同様に、該雄稔性植物(Msms)は丈が高い
ので、場合によっては機械的な切断機械で開花直後に効
率的に除去できる。かくして、該維持系統植物上に形成
される雄稔性の種子の存在のために不当に汚染されるこ
となく該ms msA系統上に形成される種子の量を増大
せしめることができる。
【0073】本発明は、価値あるヘテローシスを呈す
る、継続的に一年生の雄稔性のF雑種イネ植物を育成
することのできる種子の生産に対する著しく効率のよい
改良された方法を提供する。得られるF雑種イネ植物
は、選択された特定の親植物の組み合わされた能力に応
じて10〜40%あるいはそれ以上の米生産率の増加を
可能とする。前に述べたように、該親植物の一方がイン
ド型であり、かつ他方が日本型である場合に、より高い
ヘテローシスが示される。
【0074】
【実施例】以下の実施例は特許請求した本発明の特定の
例を示すために与えられる。しかしながら、本発明は該
実施例に与えられた特定の記載により何等制限されるも
のではない。 実施例1 オリザ グラベリマ(Oryza glaberrim
a)のニゲリア(Nigeria)31品種を生殖質源
として使用した。これは、1974年以前に、栽培の目
的で西アフリカから中華人民共和国のシチュアン(Si
chuan)に導入された一年生の十分に稔性の栽培さ
れた野性型のイネ品種であった。細胞質的に雄不稔性の
変異株をこの品種内で選択し、日本型の一年生の十分に
稔性のイネTY29からの花粉で交雑して、一年生の細
胞質的に雄不稔性の子孫を生成した。これらの子孫をT
Y29と命名された反復親で戻し交雑し、雄不稔性につ
き選別した。この選別種をTY29で戻し交雑し、該B
をグァンケン(Guang Keng)Aと命名し
た。適当な橋渡し親として機能する該グァンケンA植物
を、次に野性型の多年生の十分に稔性のオリザ ルフィ
ポゴンからの花粉で交雑し、G1−1と命名した植物を
形成した。このような多年生のオリザ リフポゴン親は
根茎に乏しく、かついくらかの望ましくない形質、例え
ば脱粒傾向、感光性、高い丈、赤みがかった穀粒、長い
ぼう、短縮された稔性、長い葉、および幾分貧弱な穀粒
性能等と共に十分に裸出した柱頭を有する。この稔性の
G1−1子孫は、次いで野性型の多年生オリザ ロンジ
スタミナータからの花粉で交雑して、4020−1と命
名された十分に稔性の多年生F植物を生成した。該オ
リザ ロンジスタミナータ親はオリザ ルフィポゴンと
同様に、長い柱頭および同様な望ましくない形質を有し
ていた。該4020−1子孫は−8℃までの耐寒性を呈
し、また確立された、V20Bと命名された維持系統植
物と手作業で交雑して、F植物を形成した。この植物
は後にF世代にまで自家受粉させ、選別を行いこれを
C205と命名した。花粉媒介体として使用されるこの
C205系統は更に2597B(即ち、4020−1F
由来のF選別体)と手作業で交雑して、長い柱頭と
大きな花序とを有する7B67と命名された多年生の半
−矮性の植物を形成した。7B67のF選別体を雌と
して使用し、かつ系統29218と交雑して、4312
と命名されたF植物を形成した。該系統29218
は、遺伝子ddに起因する逆下垂型の止め葉を有するR
GS20×C205由来のF選別体であった。431
2と命名された該F植物は図7に示したような逆下垂
型の止め葉を有する細胞質的に雄不稔性に対する多年生
の維持系統であった。この4312植物は、次いでD2
97Bと命名された細胞質的に雄不稔性に対する樹立さ
れた維持系統(これは良好な特性の稲穀粒を高い収量で
生成することを可能とする)と交雑して、412Bと命
名された植物を生成した。P1686、即ち広い和合性
の遺伝子を含む一年生の日本型の品種を、610Aと命
名した植物(即ち、F4020−1由来の日本型の細
胞質的に雄不稔性の植物のF誘導体である)と交雑し
て、32114と命名した多年生の日本型育種系統を得
た。この多年生の32114植物を421Bと交雑し
て、9005−9と命名したF植物を得た。この花粉
媒介体としても使用される9005−9植物をWA細胞
質を有する系統D297Aと交雑し、そのFを前の反
復親9005−9に戻し交雑して、安定な細胞質的に雄
不稔性の9005−9系統を得た。この反復戻し交雑を
実施すると、該9005−9は同形接合性に関して進ん
だ世代にまで自家受粉した。従来、9005−9B(N
msms)はF世代にあり、かつ9005−9A(W
A細胞質を有するSmsms雄不稔性)はBC世代に
ある。これら両者はいずれも安定化されており、かつ多
年生であり、図7に示したような逆下垂型の葉、十分に
裸出した柱頭、半透明な穀粒、高収率、3℃までの耐寒
性及び他の改良された実用形質、例えば脱粒性のない穀
粒、ぼうの欠如、根茎の欠如、感光性の欠如、せいぜい
中程度までの植物丈、高い稔性、良好な分げつ、短い
葉、根茎の欠如、十分に裸出した花序等をもたらす。ま
た、米粒は、優勢遺伝する遺伝子マーカーとして機能し
得る麦藁色の籾を有する。
【0075】9009Aと命名された、多年生の雌稔性
で参謀質的に雄不稔性のイネ植物および9005−9B
と命名された多年生の雌稔性で雄稔性の維持系統植物を
形成することのできる種子は、ブダペスト条約にもとず
き、それぞれ承認番号40918および40919の下
で、アメリカンタイプカルチャーコレクション(Ame
rical Type Culture Collec
tion)米国、メリーランド州、ロックビル、パーク
ローンビルドライブ12301に寄託している。これら
の寄託された種子は本件特許出願が特許として許された
時点において入手可能となる。しかしながら、これらの
種子が入手可能となることは、特許法および育苗法の下
で許可された権利に違反して、本発明を自由に実施でき
ることを意味するものではない。
【0076】この9005−9A植物は、ここに記載す
るような本発明の方法を実施する際に使用することがで
きる。かかる多年生の雌稔性で細胞質的に雄不稔性のイ
ネ植物と共に使用する公に入手し得る好ましい稔性回復
系統は、中華人民共和国からのミンヒュイ(Min H
ui)、R29およびR594並びにフィリピンからの
RI24およびRI26である。R594は劣勢遺伝性
の遺伝子マーカーとして機能し得る金色の籾を有してい
る。しかしながら、ここに示した要件を満足する付随的
な親植物を別々に準備し、かつ利用して、同様に良好な
結果を得ることも可能である。 実施例II (実施例Iに関連して議論した)植物4020−1をイ
ネの一年生のケノン(Kennong)品種と交雑し
た。そのF分離系統6015−2を多年生の形質にも
とずいて選別し、インド型のIR24と交雑した。次い
で、得られたF植物をIR36MSおよび926Aの
両者と交雑し、両方の交雑から得られたF植物をF
世代まで進め、両交雑種のこの世代から選択した系統を
更に相互に交雑して、F植物を生成し,これをそのF
世代まで進行させた。各世代において、選別はインド
型、5℃までの耐寒性により立証された多年生形質、根
茎の欠如、脱粒性のない穀粒特性、完全な稔性、ぼうの
欠如、長い柱頭、白い穀粒、感光応答の欠如、中程度の
植物丈、および短い葉等にもとずいて行った。このF
世代の選別体を、DY−1、即ち高い耐寒性と高い収量
とを有する日本型の品種と交雑して、267と命名した
多年生のF植物を得た。生成した267植物をP18
68、即ち広い和合性遺伝子と高い収量とを有する日本
型の品種と交雑して、8267と命名した多年生の稔性
植物を得た。この8267植物を、図7に示したような
逆下垂型の止め葉特性を有するRGS20×297B由
来の、d2と命名された雌稔性で遺伝的に雄不稔性の植
物と交雑して、d28267と命名された植物を得、こ
れをF世代まで自家受粉した。得られるF植物は逆
下垂型の止め葉を有する遺伝的に雄不稔性のもの(ms
msdd)と、直立した止め葉を有する雄稔性のもの
(MsmsDd)とに分離されることが分かった。逆下
垂型の止め葉および標準的な最上位節間長さを有する雌
稔性で遺伝的に雄不稔性のF植物(msmsddEu
iEui)を、直立した止め葉および長い最上位節間長
を有する十分に捻性のRI50−eui品種(Msms
DdEuieui)と交雑した。得られたF植物をF
世代まで自家受粉して、植物を(1)GPALまたは
9005−8717Aと命名された遺伝的に雄不稔性
で、多年生の形質をもち、図7に示したような逆下垂型
の止め葉および長い最上位節間長(msmsddEui
Eui)を有するものにつき、および(2)GPBLま
たは9005−8717Bと命名された十分に稔性で、
多年生の形質をもち、直立の止め葉、および長い花柄
(MsmsDdeuieui)を有するものにつき選別
を行った。該deuieui遺伝子は雄稔性植物におい
て高度に表現されることが認識されたが、これはこの遺
伝子の表現が該雄稔性因子と密接に結合することが分か
ったからである。これらの遺伝子型はF世代において
存在することが立証され、両親交配が可能であり、そこ
ではGPBLまたは9005−8717BがGPALま
たは9005−8717Aの維持系統として機能する。
このGPAL植物は十分に裸出した柱頭、図7の逆下垂
型形状の止め葉および優勢遺伝性の遺伝子マーカーとし
て機能し得る麦藁色の籾を有する米粒を形成する能力を
有している。
【0077】9005−8717Aと名付けた多年生の
雌稔性で遣伝的に雄不稔性のイネ植物を形成し得る、お
よび9005−8717B名付けた多年生の雌稔性で雄
稔性の維持系統植物を形成し得る種子は、二元種子配合
物として、ブダペスト条約にもとずき、承認番号409
20の下で、アメリカンタイプカルチャーコレクション
(Americal Type Culture Co
llection)に寄託している。これらの寄託され
た種子は本件特許出願が特許として許された時点におい
て入手となる。しかしながら、これらの種子が入手可能
となることは、特許法および育苗法の下で許可された権
利に違反して、本発明を自由に実施できることを意味す
るものではない。
【0078】この9005−8717A植物は、図18
および19に関連してここに記載したような本発明の方
法を実施する際に使用することができる。かかる多年生
の雌稔性で遺伝子的に雄不稔性のイネ植物と共に使用す
る公に入手し得る好ましい稔性回復系統は、フィリピ
ン、中華人民共和国および米国から入手し得るRI2
4、RI26、IR50、97BおよびD297Bであ
る。殆どのインド型の捻性回復系統系統および多くの米
国のイネ品種も同様に選択し得る。品種、例えばブルー
ベル、ダウン(Dawn)およびペコス(Pecos)
は金色の籾を有し、これは劣勢遺伝型の遺伝子マーカー
として利用できる。ここに示した要件を満足する付随的
な親植物を別々に準備し、かつ利用して、同様に良好な
結果を得ることも可能である。
【0079】かくして、本発明を好ましい態様にもとず
いて記載してきたが、当業者には明らかなように、様々
な変更並びに改良が可能であるものと理解すべきであ
る。かかる変更並びに改良は上記の本発明の特許請求の
範囲内に入るものと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】公知技術において一般に見られるインド型の代
表的な一年生の細胞質的に雄不稔性のイネ植物の一部分
を示す図である。
【図2】図1に示したような、公知技術において一般に
見られる一年生の細胞質的に雄不稔性のイネ植物の花穂
由来の代表的な開いた小花を拡大して模式的に示した図
である。
【図3】本発明の好ましい態様において使用するのに適
した代表的な多年生の細胞質的にまたは遺伝的に雄不稔
性のイネ植物の一部分を示した図である。
【図4】本発明の好ましい態様において使用するのに適
したもう一つの代表的な多年生の細胞質的にまたは遺伝
的に雄不稔性のイネ植物の一部分を示した図である。
【図5】本発明の好ましい態様において使用するのに適
したもう一つの代表的な多年生の細胞質的にまたは遺伝
的に雄不稔性のイネ植物の一部分を示した図である。
【図6】本発明の好ましい態様において使用するのに適
したもう一つの代表的な多年生の細胞質的にまたは遺伝
的に雄不稔性のイネ植物の一部分を示した図である。
【図7】本発明の好ましい態様において使用するのに適
したもう一つの代表的な多年生の細胞質的にまたは遺伝
的に雄不稔性のイネ植物の一部分を示した図である。
【図8】本発明の図3、4、5、6および7に示した多
年生の細胞質的にまたは遺伝的に雄不稔性のイネ植物の
花穂由来の代表的な開いた小花を拡大して模式的に示し
た図である。
【図9】本発明の好ましい態様において使用するのに適
した代表的な一年生の雌稔性で雄稔性の稔性回復系統イ
ネ植物の一部分を示した図である。
【図10】本発明の方法において使用するのに適した図
9の好ましい一年生の雌稔性で雄稔性の稔性回復系統イ
ネ植物の花穂由来の代表的な開いた小花を拡大して模式
的に示した図である。
【図11】本発明の方法に従って形成し得る一年生で雄
稔性のF雑種イネ植物を生育することのできる、籾殻
を有する好ましいイネ穀粒を拡大して模式的に示した図
である。
【図12】本発明の方法の実施中に、一年生の雌稔性で
雄稔性の稔性回復系統イネ植物の自家受粉により形成し
得る、籾殻を有する好ましいイネ穀粒を拡大して模式的
に示した図である。
【図13】本発明の方法に従って形成し得る、籾殻を有
する好ましいイネ穀粒を拡大して模式的に示した図であ
る。
【図14】本発明の方法の実施中に、一年生の雌稔性で
雄稔性の稔性回復系統イネ植物の自家受粉により形成し
得る、籾殼を有する好ましいイネ穀粒を拡大して模式的
に示した図である。
【図15】本発明の方法に従って形成される種子由来
の、一年生で雄稔性のF雑種イネ植物の代表的な部分
を示す図である。
【図16】好ましい栽培パターンを示す図であり、これ
により本発明の多年生の雌稔性で細胞質的に雄不稔性の
イネ植物を形成し得る種子を、大量に形成することがで
きる。
【図17】好ましい栽培パターンを示す図であり、これ
により一年生で雄稔性のF雑種イネ植物を形成し得る
種子が本発明の概念に従って形成される。
【図18】多年生の雌稔性で遺伝的に雄不稔性のイネ植
物を樹立するための好ましい栽培パターンを示す図であ
り、該植物は次期栽培季に、本発明に従ってF雑種植
物形成のために利用できる。
【図19】本発明に従って、一年生で雄稔性のF雑種
イネ植物を形成し得る種子を形成するための好ましい栽
培パターンを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 リ キンキシュ アメリカ合衆国 テキサス州 77435 イースト バーナード ピーオーボック ス 810 (72)発明者 アルフォンソ ジー カルブ アメリカ合衆国 テキサス州 77435 イースト バーナード ピーオーボック ス 810 (56)参考文献 特開 昭64−10933(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01H 1/00 - 17/00 BIOSIS(DIALOG)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)(i)一群の多年生の雌稔性で雄
    不稔性のイネ植物、および(ii)一群の一年生の雌稔
    性で雄稔性のイネ植物を栽培地で育成し、但し該一年生
    雌稔性で雄稔性のイネ植物は該群(i)を該群(ii)
    で受粉することにより得られる次の世代に雄稔性を保存
    でき、 (b)該群(i)を該群(ii)由来の花粉で受粉し
    て、該群(i)の植物に一年生雄稔性F雑種イネ植物
    を形成できる種子を形成させ、かつ自家受粉の結果とし
    て該群(ii)の植物上に種子を形成させ、 (c)該群(i)および(ii)の植物に形成された種
    子を収穫し、 (d)該群(i)の植物を実質的に生存性を保持する周
    囲条件下にて、実質的に灌水のない条件下で翌冬季の間
    維持し、かつ該群(ii)の植物を上記の条件下に暴露
    することにより殺し、 (e)該栽培地に、次の生育期の間、(ii)追加群の
    一年生雌稔性で雄稔性のイネ植物を植え、但し該追加群
    (ii)は生存している群(i)の植物を該追加群(i
    i)により受粉することにより得られる植物に雄稔性を
    保存することを可能とする、 (f)該生存している群(i)の植物を該追加群(i
    i)の植物由来の花粉で受粉して、該生存している群
    (i)の植物に種子を形成させ、ここで該種子は一年生
    雄稔性F雑種イネ植物を形成でき、および (g)該生存している群(i)の植物および該追加群
    (ii)の植物に形成された種子を収穫することを含
    む、 継続的に一年生雄稔性F雑種イネ植物を生育させるこ
    とのできる種子の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記の工程(a)および(e)における
    該植物群(i)および(ii)の一方がインド型であ
    り、かつ他方が日本型であり、かくして高いヘテロ−シ
    スが与えられる請求項1記載の継続的に一年生雄稔性F
    雑種イネ植物を生育させることのできる種子の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 (a)(i)一群の多年生の雌稔性で雄
    不稔性のイネ植物、および(ii)一群の一年生の雌稔
    性で雄稔性のイネ植物を栽培地で育成し、但し該多年生
    の雌稔性で雄不稔性のイネ植物は実質的に十分に裸出し
    た柱頭と、実質的に十分に裸出した円錐花序と、切除し
    なくとも一般に該円錐花序の先端よりも低い最大高さま
    で上向きに伸び、その結果該円錐花序が隣接植物からの
    花粉を受け取るのに都合よく配置され、かつ該円錐花序
    の先端下部の配置が劣勢遺伝子によるものである止め葉
    とを有し、また該一年生雌稔性で雄稔性のイネ植物は該
    群(i)を該群(ii)で受粉することにより得られる
    次の世代に雄稔性を保存でき、一般に優勢遺伝子に起因
    する長い直立の止め葉を有し、該止め葉は一般に該円錐
    花序の先端よりも高い最大高さまで上向きに伸びる、 (b)該群(i)を該群(ii)由来の花粉で受粉し
    て、該群(i)の植物に、種子を形成させ、ここで該種
    子は一年生雄稔性F雑種イネ植物を形成でき、該イネ
    植物は一般に該円錐花序の先端よりも高い最大高さまで
    上向きに伸びた長い止め葉を有していて、効果的な光合
    成を行うことができ、かつ自家受粉の結果として該群
    (ii)の植物上に種子を形成させ、 (c)該群(i)および(ii)の植物に形成された種
    子を収穫し、 (d)該群(i)の植物を実質的に生存性を保持する周
    囲条件下にて、実質的に灌水のない条件下で翌冬季の間
    維持し、かつ該群(ii)の植物を上記の条件下に暴露
    することにより殺し、 (e)該栽培地に、次の生育期の間、(ii)追加群の
    一年生雌稔性で雄稔性のイネ植物を植え、但し該追加群
    (ii)は生存している群(i)の植物を該追加群(i
    i)により受粉することにより得られる植物に雄稔性を
    保存することを可能とし、該追加群(ii)は一般に優
    勢遺伝子に起因する長い直立の止め葉を有し、該止め葉
    は一般に該円錐花序の先端よりも高い最大高さまで上向
    きに伸びており、 (f)該生存している群(i)の植物を該追加群(i
    i)の植物由来の花粉で受粉して、該生存している群
    (i)の植物に種子を形成させ、ここで該種子は一年生
    雄稔性F雑種イネ植物を形成でき、該イネ植物は一般
    に該円錐花序の先端よりも高い最大高さまで上向きに伸
    びた長い止め葉を有していて、効果的な光合成を行うこ
    とができ、および (g)該生存している群(i)の植物および該追加群
    (ii)の植物に形成された種子を収穫することを含
    む、 継続的に一年生雄稔性F雑種イネ植物を生育させるこ
    とのできる種子の製造方法。
  4. 【請求項4】 該多年生の雌稔性で雄不稔性のイネ植物
    (i)の該止め葉が劣勢遺伝子に起因する逆下垂形状で
    配置されている請求項3記載の継続的に一年生雄稔性F
    雑種イネ植物を生育させることのできる種子の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 上記の工程(a)および(e)における
    該植物群(i)および(ii)の一方がインド型であ
    り、かつ他方が日本型であり、かくして高いヘテローシ
    スが与えられる請求項3記載の継続的に一年生雄稔性F
    雑種イネ植物を生育させることのできる種子の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 該多年生の雌稔性で雄不稔性のイネ植物
    (i)が更に優勢遺伝性の遺伝子マーカーと結合した種
    子を形成する能力をも有し、該一年生の雌稔性で雄稔性
    のイネ植物(ii)が、自家受粉した際に劣勢遺伝性の
    遺伝子マーカーと結合した種子を形成する能力をも有
    し、上記の工程(c)および(g)において該種子形成
    群(i)および(ii)が大量に収穫され、かつ該工程
    (c)および(g)の直後に該遺伝子マーカーを基にし
    て、該植物(i)に形成された一年生雄稔性F雑種イ
    ネ植物を生育し得る種子を、自家受粉の結果として該植
    物(ii)に形成される種子から実質的に選別する追加
    の工程を実施する、請求項3記載の継続的に一年生雄稔
    性F雑種イネ植物を生育させることのできる種子の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 該種子の選別を光電種子選別機を使用し
    て実施する、請求項6記載の継続的に一年生雄稔性F
    雑種イネ植物を生育させることのできる種子の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 該多年生の雌稔性で雄不稔性のイネ植物
    (i)が劣勢遺伝性の淡色の葉耳および頚領を有し、か
    つ該一年生の雌稔性で雄稔性のイネ植物(ii)が、目
    視観察による親植物の同定を補助する優勢遺伝性の黒色
    の葉耳および頚領を有する、請求項3記載の継続的に一
    年生雄稔性F雑種イネ植物を生育させることのできる
    種子の製造方法。
  9. 【請求項9】 実質的に均一な種子の集合からなるイネ
    種子生成物であって、栽培した際に、実質的に十分に露
    出した柱頭と、止め葉とを有し、また優勢遺伝性の遺伝
    子マーカーと結合した種子を形成する能力を有する多年
    生の雌稔性で細胞質的に雄不稔性のイネ植物を与え、該
    止め葉は切除しなくとも一般に円錐花序の先端よりも低
    い最大高さで上向きに伸びていて、該円錐花序の先端下
    部の該止め葉の分布は劣勢遺伝子によるものであること
    を特徴とする上記の実質的に均一な種子の集合からなる
    イネ種子生成物。
  10. 【請求項10】 多年生の生育習性、雄不稔性、実質的
    に十分に露出した柱頭、および切除しなくとも一般に円
    錐花序の先端よりも低い最大高さで上向きに伸びてい
    て、該円錐花序の先端下部における分布が劣勢遺伝子に
    よるものである止め葉を有し、また優勢遺伝性の遺伝子
    マーカーと結合した種子を形成する能力を有する、イネ
    植物。
  11. 【請求項11】 該雄不捻性が細胞質性である請求項1
    0記載のイネ植物。
  12. 【請求項12】 該止め葉が劣勢遺伝子に起因する逆下
    垂形状を呈する請求項11記載のイネ植物。
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