JP3100404B2 - 反射型偏向板 - Google Patents

反射型偏向板

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JP3100404B2 JP2775991A JP2775991A JP3100404B2 JP 3100404 B2 JP3100404 B2 JP 3100404B2 JP 2775991 A JP2775991 A JP 2775991A JP 2775991 A JP2775991 A JP 2775991A JP 3100404 B2 JP3100404 B2 JP 3100404B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザービームプリン
タ、スキャナ等の走査光学系において使用される偏向素
子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、レーザービームプリンタ、スキャ
ナ等の走査光学系において使用されている偏向素子とし
ては、反射鏡への入射角度を変化させる方式が採用され
ている。この方式は、反射鏡面へ光源からの入射角度を
変化させるため、固定した反射鏡に対して移動する光源
位置からの光を照射する形式と、移動させる反射鏡に対
して固定した光源位置からの光を照射する形式とがあ
る。
【0003】後者の形式として、ポリゴン多面鏡、ガル
バノメータが代表的であり、走査光学系において広く用
いられている。この場合、ポリゴン多面鏡の回転速度
は、空気軸受の採用により、30000rpm以上の高速性が得
られており、書込みの高速化に対応している。また、書
込みの高速化のため、一個の光源の代わりに、光源を複
数設けることも、採用されている。
【0004】現実には、ポリゴン多面鏡の高速回転によ
って、スキャニングの高速化が図られている。このスキ
ャニングの高速化と共に、軸受部を含む偏向器の小型化
は、書込みユニットの小型・軽量化に追従していく上で
必要である。また、ポリゴン多面鏡の面は、回転速度が
剛性の限界を越えると、表面が歪み、これに伴い発生す
る収差の補正が必要となり、結像光学系のレンズ枚数の
低減を困難にする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、反射面の表
面そのものに偏向機能を与えた、新規な反射型偏向板を
提供し、回転多面鏡の回転数を上げることなく、軽量・
小型で偏向特性を向上しうる偏向素子を提供することを
目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するために、少なくとも一面を平面とした基板1と、
前記基板1の平面上に形成された反射面2と、前記反射
面2上に形成された所定の厚さの屈折率分布層3とから
なり、前記屈折率分布層3は一軸方向に屈折率が変化す
る屈折率分布を形成していることを特徴とするものであ
り、また、前記屈折率分布の変化が連続的又は不連続的
に増減を繰り返す屈折率分布層であることを特徴とする
ものである。
【0007】
【作用】本発明の構成により、屈折率分布が一軸方向に
変化している屈折率分布層を反射面上に形成し、その反
射面を屈折率分布の変化の方向に回動又は摺動すると、
屈折率分布層の各位置に入射するビームは偏向角を付与
され、走査速度の高速化が図られる。そして、屈折率分
布の変化に周期性を与えることにより、屈折率分布方向
に摺動させて偏向作用を得ることができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0009】第1図には、本発明の反射型偏向板の基本
的な構成を示す。その反射型偏向板の基本的な構成は、
基板1の一方の平坦な面上に、反射層2を形成し、該反
射層2の上にはX軸方向に屈折率が変化する一方向屈折
率分布層3を設けている。
【0010】前記の一方向屈折率分布層3の形成手段と
して、例えば、イオン交換法,プロトン交換法等の公知
の手段がある。
【0011】イオン交換法を用いる場合、屈折率分布層
3の材料にソーダガラスを用い、ビーム入射面側の表面
へAl薄膜を真空蒸着し、その上にレジストを塗布しフ
ォトリソを用いてパターンニングする。その後、例え
ば、H3 PO4 +CH3 COOH+HNO3 混合液に
て、Al膜をウェットエッチングし、窓あけを行う。次
に、KNO3 溶液中に浸し、イオン交換を行い、窓あけ
された部分を選択的にイオン交換する。イオン交換後、
Al膜はすべて除去する。
【0012】プロトン交換法による場合、マスク材料と
してCr,Ti等が用いられる。Tiの場合、ソーダガ
ラスの代わりにLiNbO3 結晶が用いられ、結晶表面
に、Tiをスパッタし、フォトレジストで縞状のパター
ンニングを行い、ウェットエッチングでTi膜の窓を作
る。プロトン交換後、Ti膜はすべて除去し、アニーリ
ングする。
【0013】前記の如き方法により、反射層2上に形成
された屈折率分布層3を有する反射型偏向板は、その屈
折率分布層3が変化するX軸方向に摺動させることによ
り、所定の入射角度で向かってきた入射ビームNBを異
なる角度で射出する射出ビームSBとし、偏向機能を発
揮する。この偏向機能について、第2図を用いて説明す
る。第2図は、第1図の反射型偏向板をy方向から見た
図面であり、入射ビームNB、射出ビームSBの断面位
置を拡大したものである。
【0014】第2図において、反射型偏向板はx軸方向
に移動可能に設置されている。先ず、反射型偏向板が第
一の位置、すなわち、反射型偏向板の屈折率分布層3の
点Aに入射ビームNBaが入射する位置と、次に、反射
型偏向板がx軸方向に−xだけ移動した第二の位置、す
なわち、反射型偏向板の屈折率分布層3の点Bに入射ビ
ームNBbが入射する位置とに別けて説明する。
【0015】反射型偏向板の移動前の上記第一の位置に
おいて、入射ビームNBaは、屈折率分布層3の表面の
入射点Aに対して、入射角ψ1 にて入射する。この時の
入射ψ1 のy成分は90度である。また、入射点Aに
おける屈折率分布層3の屈折率をNaとし、屈折率分布
層の上側、すなわち空気層の屈折率を1とすると、屈折
率分布層への初期入射角ψ2 は、次のように表される。
【数1】 ψ2 =arcsin(1/Na・sinψ1 ) …
【0016】また、屈折率分布層3における屈折率分布
について見ると、x軸方向の任意の位置の屈折率Nx
は、
【数2】 N2 (x)=N2 (o)〔1−(gx)2 〕 … gは集束定数。
【0017】図2のz方向(負)に進む光線の位置座標
xは、
【数3】 d2 x/dz2 =1/2A1 ・∂/∂x・N2 (x)
… ここで、定数A1 は、入射点Aにおける光線位置座標x
A 、方向余弦ψ2 より、
【数4】 A1 =N2 (xA )・cos2 ψ2
【0018】式、式より、
【数5】 d2 x/dz2 =−1/A1 ・g2・N2 (o)・x
【0019】次に、偏向板移動後の光線入射位置Bへの
初期入射角φ1 は、入射点Aに対する入射角ψ1 に等し
い(入射角のy成分は90度である)。
【0020】入射点Bの屈折率をNb(Nb≠Na)と
すると、屈折率分布層への初期入射角φ2 は、次のよう
に表される。
【数6】 φ2 =arcsin(1/Nb・sinφ1 ) …
【0021】屈折率分布層3の入射点A、Bにおける二
つの入射角ψ2 とφ2 とは等しくない。
【0022】また、入射点Bにおける入射光線の、z方
向(負)の進行に伴う位置座標xは、次の通りとなる。
【数7】 d2 x/dz2 =1/2A2 ・∂/∂x・N2 (x)
【0023】ここで、定数A2 は、入射点Bにおける光
線位置座標xB 、方向余弦φ2 より、
【数8】 A2 =N2 (xB )・cos2 φ2
【0024】式、式より、
【数9】 d2 x/dz2 =−1/A2 ・g2・N2 (o)・x
【0025】式、式の比較により、屈折率分布層3
上の2点の入射点A、Bへの入射光線は、屈折率分布層
3内の光路を夫々異にし、夫々の最終射出角ψ6 、φ6
が異なることになる。
【0026】屈折率分布層における屈折率変化に周期性
を与えることにより、屈折率分布層のx方向への一回の
摺動に対して、複数回の走査回数を得ることができる。
【0027】屈折率分布層に周期性を与える手段とし
て、高周波振動を用いることができ、その方法として、
例えば、PZTによる振動付与手段が使用できる。
【0028】また、図9に示すように、ポリゴン多面鏡
5の反射層5a表面に、本発明における屈折率が変化す
る一方向屈折率分布層3Gを形成することができる。こ
の場合、ポリゴン多面鏡5の回転方向と一致する方向
に、屈折率分布が変化するように屈折率分布層3Gを設
けている。通常、ポリゴン多面鏡の回転に伴い、入射面
位置が変化し、入射角に応じて反射角が変化するとい
う、ミラー反射系と異なり、本発明の場合、各々の入射
面位置での屈折率が異なっているため、屈折率分布層の
内部に入って、反射層で反射し、再び、屈折率分布層内
を経由して射出されるビームの各射出角は、反射面上の
屈折率分布層における屈折率の相違により制御できる。
すなわち、反射面上の屈折率分布層である媒質に、屈折
率分布を与えることにより、偏向反射角の制御をするこ
とができる。
【0029】図3の実施例の反射型偏向板4Aは、その
摺動順方向に対して屈折率の勾配が正となる構成の屈折
率分布層3Aを有している。この反射型偏向板4Aの順
方向の摺動に対して、走査方向は反転する。
【0030】また、図4の実施例の反射型偏向板4B
は、その摺動順方向に対して屈折率の勾配が負となる構
成の屈折率分布層3Bを有している。この反射型偏向板
4Bの順方向の摺動に対して、走査方向はその摺動方向
と同一の方向をとる。
【0031】図5には、屈折率分布層3Cの屈折率勾配
が反射型偏向板4Cの摺動順方向に対して、負から正へ
と反転する構成の反射型偏向板である。この反射型偏向
板の順方向の摺動に対して、走査方向は順方向に始ま
り、屈折率最小地点3c1 を通過の後、逆方向に走査方
向が反転する。図6の反射型偏向板4Dの屈折率分布層
3Dは、その屈折率勾配が反射型偏向板4Dの摺動順方
向に対して、正から負へと反転する構成を有している。
この構成の反射型偏向板4Dでは、その順方向の摺動に
対して、走査方向は逆方向に始まり、屈折率最大地点4
1 を通過の後、順方向に走査方向が反転する。図3〜
図6の各反射型偏向板4A〜4Dにおいて、摺動方向を
逆にしても、偏向作用が得られることは当然である。
【0032】図7の反射型偏向板4Eは、屈折率分布層
3Eの屈折率勾配が反射型偏向板3Eの摺動方向に対し
て連続的に増減する周期性を付与された構成のものであ
る。このような屈折率分布層3Eの屈折率分布により、
走査方向は順逆の繰り返しとなる。
【0033】更に、図8の反射型偏向板4Fは、屈折率
分布層3Fの屈折率勾配が反射型偏向板4Fの摺動方向
に対して不連続でかつ周期性を付与された構成のもので
ある。このような屈折率分布層3Fの屈折率分布によ
り、反射型偏向板4Fの1回の摺動に対し、走査方向が
順方向で複数回の走査が得られる。
【0034】
【発明の効果】本発明の構成では、反射型偏向板に形成
した屈折率分布層の屈折率分布方向と一致させる方向に
おいて、反射型偏向板と入射ビームとを相対的に変位す
ることにより、簡単な機構で入射ビームの偏向が可能で
あり、走査速度の高速化を図ることができ、例えば、ポ
リゴン多面鏡と組み合わせると、偏向角をより広げるこ
とができ、一層の走査の高速化を達成できる。また、屈
折率分布層に周期性を与えると、反射型偏向板の1回の
直線的摺動により、複数回の走査が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射型偏向板とビームの関連を示す全
体斜視図である。
【図2】図1の反射型偏向板において屈折率分布層上の
A点、B点への入射ビームが夫々射出する状態を示す原
理構成を説明する断面図である。
【図3】本発明の反射型偏向板において屈折率分布層が
順方向の摺動に対して屈折率勾配を正とした実施例の説
明図である。
【図4】本発明の反射型偏向板において屈折率分布層が
順方向の摺動に対して屈折率勾配を負とした実施例の説
明図である。
【図5】本発明の反射型偏向板において屈折率分布層が
順方向の摺動に対して屈折率勾配を負から正へ反転する
実施例の説明図である。
【図6】本発明の反射型偏向板において屈折率分布層が
順方向の摺動に対して屈折率勾配を正から負へ反転する
実施例の説明図である。
【図7】本発明の反射型偏向板において屈折率分布層が
順方向の摺動に対して屈折率勾配を連続的に周期性を持
たせた実施例の説明図である。
【図8】本発明の反射型偏向板において屈折率分布層が
順方向の摺動に対して屈折率勾配を不連続的に周期性を
持たせた実施例の説明図である。
【図9】ポリゴン多面鏡の反射面に本発明の一方向屈折
率分布層を形成した斜視図である。
【符号の説明】
1 基板 2 反射層 3,3A〜3G 屈折率分布層 4,4A〜4F 反射型偏向板 NB 入射ビーム SB 射出ビーム

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一面を平面とした基板1と、
    前記基板1の平面上に形成された反射面2と、前記反射
    面2上に形成された所定の厚さの屈折率分布層3とから
    なり、前記屈折率分布層3は一軸方向に屈折率が変化す
    る屈折率分布を形成していることを特徴とする反射型偏
    向板。
  2. 【請求項2】 前記屈折率分布の変化が連続的に増減を
    繰り返す屈折率分布層であることを特徴とする請求項1
    記載の反射型偏向板。
  3. 【請求項3】 前記屈折率分布の変化が不連続的に増減
    を繰り返す屈折率分布層であることを特徴とする請求項
    1記載の反射型偏向板。
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