JP3098898B2 - 管 球 - Google Patents

管 球

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JP3098898B2
JP3098898B2 JP05266280A JP26628093A JP3098898B2 JP 3098898 B2 JP3098898 B2 JP 3098898B2 JP 05266280 A JP05266280 A JP 05266280A JP 26628093 A JP26628093 A JP 26628093A JP 3098898 B2 JP3098898 B2 JP 3098898B2
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浩 杉本
和男 前田
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松下電子工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラスバルブの端部に
圧潰封止部を有するハロゲン電球や高圧放電灯等の管球
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、家庭用や店舗用等に使用されるハ
ロゲン電球は、図2に示すように内部にアルゴンやクリ
プトン等の不活性ガスと共にハロゲンが封入された石英
製バルブ1と、バルブ1の圧潰封止部2に埋設された一
対の外部導入線3,4と、一端に外部導入線3,4を接
続した導入箔5,6と、導入箔5,6の他端に接続した
内部導入線7,8と、両端が内部導入線7,8で架張さ
れ、一端をガラスロッド10に埋設したアンカー11の
他端によって中間部が支持されたタングステンからなる
フィラメント9と、圧潰封止部2の端面から外部導入線
3,4の一部を覆ったフリット15とで構成されてい
る。なお外部導電線3,4の線径は、特に照明器具から
の着脱時の摩耗を配慮した太さ(例えば定格電圧12V
・出力100Wの場合は線径1.5mm程度)としてお
り、これより細くすることが難しい。
【0003】このようなハロゲン電球の製造方法は、ま
ず導入箔5,6の両端に内部導入線7,8と外部導入線
3,4とを溶接し、次に一対の内部導入線7,8の間に
フィラメント9を架張してマウント体12を形成する。
しかるのちマウント体12をバルブ1内に設け、導入箔
5,6が位置したバルブ1の部分を加熱し圧潰して圧潰
封止部2に導入箔5,6等を埋設する。次にバルブ1を
十分に冷却したのちバルブ1内を排気し、この中に不活
性ガスとハロゲンを充填する。この時、圧潰封止部2に
おいて、バルブ1と外部導入線3,4との間にその両者
の熱膨張率の差により微小な空隙13,14が発生す
る。そして、空隙13,14を埋めるため、バルブ1の
石英より10倍程度の熱膨張率で400℃〜500℃程
度の融点を有する低融点フリット15を圧潰封止部2の
端面から外部導入線3,4の一部を覆うよう塗布し焼成
させて電球を完成させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来のハロゲン電球では、外部導入線3,4の線径が外部
から圧潰封止部2内まで同一であり、かつ細くできない
ため、圧潰封止部2の気密性を向上させることが困難で
あった。またハロゲン電球を照明器具に取付け点灯した
時、外部導入線3,4の温度が350℃を越えることが
ある。このような場合、外気側の低融点フリット15の
塗布のない外部導入線3,4部の酸化がまず起こり、こ
の酸化がフリット15と外部導入線3,4との境界面を
通り圧潰封止部2の外部導入線3,4部分を経て導入箔
5,6へと酸化経路が進行する。そのため圧潰封止部2
においては、外部導入線3,4および導入箔5,6の表
面上に成長した凸状の酸化物により応力が加えられ、ク
ラックが発生することがあった。また、前記酸化経路が
内部導入線7,8まで達した時には、この酸化経路の周
辺に外気侵入可能な通路が形成されリークしていた。そ
の結果、ハロゲン電球の寿命が短くなるという問題点が
あった。
【0005】本発明は、導入箔や外部導入線等の酸化を
防止し、また圧潰封止部の気密性を向上して長寿命の管
球を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の管球は、ガラス
バルブの少なくとも一端部に圧潰封止部を形成し、この
圧潰封止部に導入箔とこの導入箔を介して接続した内部
導入線および外部導入線とを埋設し、前記外部導入線の
先端耐酸化性導電体前記圧潰封止部の端面で接続
し、さらに前記圧潰封止部の端面から外部に導出された
前記耐酸化性導電体をフリットによって覆い、前記外部
導入線の線径を前記耐酸化性導電体の線径より細くした
ものである。
【0007】
【作用】この構成により、外部導入線の線径を耐酸化性
導電体の線径より細くすることにより、ガラスバルブと
外部導入線との熱膨張率の差により発生する外部導入線
の外周部分の空隙が小さくなり、かつ外部導入線と耐酸
化性導電体との接続部の直径の変化部において屈曲した
外気侵入通路が形成され、圧潰封止部の気密性が向上す
る。また、圧潰封止部の端面から外部に導出された耐酸
化性導電体をフリットによって覆ったことで、前記空隙
および外気侵入通路はフリットより埋められ圧潰封止部
が密閉される。さらに外気に触れる部分を耐酸化性導電
体にしたことで酸化を防止することができる。このこと
から、内部導入線,導入箔および外部導入線は外気と遮
断され、空気中の酸素に侵されない。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例について、図面を用
いて説明する。
【0009】図1は本発明の一実施例である一端圧潰封
止形ハロゲン電球を示す正面図である。
【0010】図1に示すように、一端部に圧潰封止部2
を有する石英製バルブ1の内部には、クリプトンに微量
の臭素を加えたガスが0.3MPaの圧力で封入されて
いる。一対の導入線は、2000℃以上の高耐熱性のあ
る金属、例えばモリブデンやタングステン材料からなる
外部導入線16,17と、酸化しにくい金属、例えばニ
ッケル材料からなる耐酸化性導電体18,19とを溶着
接続したものからなる。外部導入線16,17の線径
は、バルブ1内の気密性を向上させるために耐酸化性導
電体18,19の線径より細い。また、外部導入線1
6,17の先端と耐酸化性導電体18,19とは圧潰封
止部2の端面で接続されている。なお、耐酸化性導電体
18,19の線径は、照明器具への着脱時の摩耗等を配
慮した太さ(従来の外部導入線の線径と同じ)になって
いる。圧潰封止部2には、導入箔5,6とこの導入箔
5,6を介して接続した内部導入線7,8および外部導
入線16,17とが埋設されている。タングステンから
なるフィラメント9は、その両端が内部導入線7,8で
架張され、一端をガラスロッド10に埋設したアンカー
11の他端によって中間部が支持されている。低融点フ
リット15は、ニトロセルロースおよび酢酸イソアミル
のバインダー液に混合してペースト状にし、圧潰封止部
2の端面から耐酸化性導電体18,19の一部を覆うよ
う塗布し、炉にて焼成したものである。
【0011】以上のように構成されたハロゲン電球につ
いて、その作用効果を説明する。ハロゲン電球の製造工
程において、圧潰封止部2に埋設された外部導入線1
6,17外周部分には、バルブ1の一端を加熱し圧潰し
た後の冷却過程でバルブ1と外部導入線16,17との
間にその両者の熱膨張率の差により微小の空隙20,2
1が発生する。その後、塗布した低融点フリット15
は、560℃の炉にて5分間焼成工程を経るとその空隙
20,21を埋めるよう硬化する。その結果、圧潰封止
部2内に埋設された外部導入線16,17と導入箔5,
6と内部導入線7,8を外気から遮断でき、かつ外気に
触れる部分を耐酸化性導電体18,19にしたことで、
導入箔5,6、内部導入線7,8、外部導入線16,1
7、耐酸化性導電体18,19は空気中の酸素に侵され
ることがない。したがって管球の長寿命化につながる。
また外部導入線16,17の線径を耐酸化性導電体1
8,19の線径より細くしたことで、外部導入線16,
17の外周部分に発生する空隙20,21が小さくな
り、かつ外部導入線16,17と耐酸化性導電体18,
19との接続部の直径の変化部において屈曲した外気侵
入通路が形成され、圧潰封止部2の気密性が向上する。
したがって、さらに管球の長寿命化につながる。
【0012】次に、本発明の効果を確認した実験例につ
いて説明する。図1に示す構成を有する本発明実施例の
ハロゲン電球は、定格電圧12V,出力100W,効率
24lm/w,定格寿命2000時間であり、また外部
導入線16,17として線径1.0mmのモリブデン材
料、耐酸化性導電体18,19として線径1.5mmのニ
ッケル材料、低融点フリット15として熱膨張率67×
10-7(耐熱性ガラスの10倍程度),融点550℃の
低融点材料をそれぞれ用いた。
【0013】これと比較するために、耐酸化性導電体を
用いず、また外部導入線3,4として線径1.5mmのモ
リブデン材料を用いた図2に示す構成を有する上記と同
一仕様の従来のハロゲン電球も製作した。
【0014】まず、外部導入線の外周部に発生する空隙
部の気密性について調べたところ、次のような結果が得
られた。気密性はフリット塗布前の製造過程において、
圧潰封止部端面の外部導電線部に水性インクをスポイド
で一滴垂らし、前記空隙部へのインクの浸透状態を観察
し判断した。
【0015】従来のハロゲン電球は空隙部を通り導入箔
までインクが浸透したのに対し、本発明実施例のハロゲ
ン電球は空隙部へのインクの浸透がなかった。この結果
から、外部導入線の線径を耐酸化性導電体の線径より細
くすることにより、気密性の向上が図れることが確認で
きた。
【0016】次に、封止部温度470℃の雰囲気中で点
灯実験を行い、酸化状態とそれに伴う弊害について調べ
たところ、次のような結果が得られた。
【0017】従来のハロゲン電球は、500時間経過時
に外部導入線の外周に微小空隙部分が発生し、外部導入
線および導入箔の酸化がみられた。さらに910時間経
過時においては、フィラメントに異常はなかったが、全
数不点灯となっていた。そこで圧潰封止部を観察したと
ころ、導入箔の90%部分が黒く変色し、外部導入線も
黒く変色しやせ細り、ガラスクラックも併発していた。
明らかに圧潰封止部内部の気密が失われた結果である。
これに対し、本発明実施例のハロゲン電球は、2000
時間経過しても外部導入線や導入箔や内部導入線には酸
化によるクラックの発生等の異常が認められなかった。
この結果から、外気に触れる部分を耐酸化性導電体にな
るようフリットで覆うことにより、内部導入線,導入箔
および外部導入線の酸化を防止することが確認できた。
【0018】また、上記耐酸化性導電体の材質をニッケ
ルに代えて、クロム、金、ベリリウム、コバルト、白
金、パラジウム、トリウム、チタン、亜鉛、アルミニウ
ム、タンタルを用いた場合にも、上記と同様の結果を得
ることができた。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、ガラス
バルブの少なくとも一端部に圧潰封止部を形成し、この
圧潰封止部に導入箔とこの導入箔を介して接続した内部
導入線および外部導入線とを埋設し、前記外部導入線の
先端耐酸化性導電体前記圧潰封止部の端面で接続
し、さらに前記圧潰封止部の端面から外部に導出された
前記耐酸化性導電体をフリットによって覆い、前記外部
導入線の線径を前記耐酸化性導電体の線径より細くする
ことにより、圧潰封止部の気密性を向上することがで
き、かつ内部導入線導入箔および外部導入線の酸化を
防止することができ、長寿命の優れた管球を提供するこ
とができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である一端圧潰封止形ハロゲ
ン電球の正面図
【図2】従来の一端圧潰封止形ハロゲン電球の正面図
【符号の説明】
1 バルブ 2 圧潰封止部 5,6 導入箔 7,8 内部導入線 15 低融点フリット 16,17 外部導入線 18,19 耐酸化性導電体 20,21 空隙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭63−43351(JP,U) 実開 昭55−64268(JP,U) 実開 昭50−15781(JP,U) 実開 昭49−119075(JP,U) 実開 昭63−8565(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01K 1/38 H01K 1/40 H01J 61/36

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラスバルブの少なくとも一端部に圧潰
    封止部を形成し、この圧潰封止部に導入箔とこの導入箔
    を介して接続した内部導入線および外部導入線とを埋設
    し、前記外部導入線の先端耐酸化性導電体前記圧
    潰封止部の端面で接続し、さらに前記圧潰封止部の端面
    から外部に導出された前記耐酸化性導電体をフリットに
    よって覆い、前記外部導入線の線径を前記耐酸化性導電
    体の線径より細くしたことを特徴とする管球。
  2. 【請求項2】 耐酸化性導電体が、ニッケル、クロム、
    金、ベリリウム、コバルト、パラジウム、白金、トリウ
    ム、チタン、バラジウム、亜鉛、アルミニウムおよびタ
    ンタルの少なくとも一種からなることを特徴とする請求
    項1記載の管球。
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