JP3098796U - 核分割コブラシャフトスパーテル - Google Patents

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吉富 文昭
福山 誠
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吉富 文昭
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Abstract

【課題】核分割スパーテルによって分割された核片を角膜内皮に衝突しないようにコントロールして、超音波乳化吸引装置の吸引チューブの吸引孔に誘導することができる核分割スパーテルを提供する。
【解決手段】把持部と、該把持部の一方の端部に連結した先細のシャフト部と、該シャフト部の先端部とからなる核分割スパーテルにおいて、該先端部に、2本の細線6からなる円形若しくは楕円形状の空間5が形成された部分を有していることを特徴とする核分割スパーテル。
【選択図】図2

Description

【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、核分割スパーテルに関し、さらに詳しくは白内障の手術に際し、水晶体核片が角膜内皮を傷つけることなく、核化水晶体を超音波吸引することができる核分割スパーテルに関する。
【0002】
【従来の技術】
白内障は水晶体が濁り、視力が低下するという老人性の疾患である。白内障患者は加齢とともに増大し、60才代で70%、70才代で90%の人に白内障の障害を生じると言われている。白内障は放置することにより進行し、薬剤によってその進行を遅らせることができるが、根治できず、手術によって濁った水晶体を除去し、人工水晶体(眼内レンズ)を挿入する以外に治療法はない。従って高齢化社会においては益々白内障の問題が大きくなっている。
【0003】
白内障手術において、濁った水晶体を除去する方法としては、超音波乳化吸引方式が有効であり広く使用されている(特許文献1)。この超音波乳化吸引方式は、水晶体の前嚢を除去した後、灌流液を供給しながら超音波で水晶体を破砕または乳化しつつ吸引除去する方法であるが、吸引チューブの先端による超音波では破砕または乳化が困難な硬化した水晶体核部分を核分割スパーテルと称される補助器具を用いて小片に分割して吸引チューブにより吸引除去している。
【0004】
上記超音波乳化吸引方式において、超音波振動による水晶体核の破砕または乳化に際し、灌流液が流動するが、その際破砕された核片が、再生不能な角膜内皮を損傷しないことが必須である。従って、前記核分割スパーテルによって核を分割するとともに、分割された核片が角膜内皮方向に流動しないように、上記スパーテルによって超音波吸引チューブの吸引孔に核片を誘導する必要がある。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−153499公報
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
前記核分割スパーテルは、株式会社イナミの眼科手術機械に関するカタログの68〜71頁に種々の形状のものが記載されているが、何れも把持部の一方の単に先細の金属製シャフトを備え、該シャフトの先端に各種形状、例えば、ヘラ状の頭部を有している。前記超音波乳化吸引方式により白内障の手術をする際には、このような核分割スパーテルを併用し、超音波では破砕または乳化されない核片を破砕分割して、吸引チューブによって吸引除去している。
【0007】
しかしながら、上記従来の核分割スパーテルの場合には、ヘラ状の頭部により、分割された核片を制御することが困難であり、灌流によって、核片が角膜の内皮に衝突し、上記内皮を傷つけるという危険性があった。
従って本考案の目的は、核分割スパーテルによって分割された核片を角膜内皮に衝突しないようにコントロールして、超音波乳化吸引装置の吸引チューブの吸引孔に誘導することができる核分割スパーテルを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本考案によって達成される。すなわち、本考案は、把持部と、該把持部の一方の端部に連結した先細のシャフト部と、該シャフト部の先端部とからなる核分割スパーテルにおいて、該先端部に、2本の細線からなる円形若しくは楕円形状の空間(以下単に「リング」という)が形成された部分を有していることを特徴とする核分割スパーテルを提供する。
【0009】
上記本考案においては、リングを形成する細線の太さが、0.2〜0.3mmであり、リングの内周の長径が1.8〜2.2mmであり、短径が0.5〜0.9mmであること、およびリングの先端に細線を介してヘラ状の頭部が形成されていることが好ましい。
【0010】
【考案の実施の形態】
次に図面に示す好ましい実施の形態を挙げて本考案をさらに詳しく説明する。本考案の核分割スパーテルは、図1およびその部分拡大図である図2に示すように、把持部1と、該把持部1の一方の端部に連結した先細のシャフト部2と、該シャフト部2の先端部3とからなる核分割スパーテルにおいて、該先端部3が、2本の細線4,4’からなるリング5を有していることを特徴としている。
【0011】
上記本考案の核分割スパーテルにおける把持部1は、従来公知の核分割スパーテルの把持部と同様であり、白内障手術に際して指で保持して、先端部の細かい動きを制御し得るように、適当な太さで、かつその表面は適当な滑り止め加工が施されている。シャフト部2の構成も従来公知の核分割スパーテルのシャフト部と同様に先細の金属細線からなり、作業がし易いようにその中心付近において適当な角度に曲げられている。これらの曲げ角度も従来公知の核分割スパーテルと同様である。
【0012】
本考案の核分割スパーテルの特徴は、図1および図2に示すように、先端部3の形状に特徴を有する。すなわち、先端部3は、シャフト部2の端部に近い部分が2本の細線4,4’に分割されて一定の長さ延長され、リング5を形成し、該細線4,4’はその先で合流し、その最先端部にヘラ状の頭部7が形成されている。
【0013】
本考案の核分割スパーテルにおいては、上記先端部3の構成が最も重要であり、リング5を形成する細線4,4’の太さが、0.2〜0.3mmであり、リング5の内周の長径が1.8〜2.2mmであり、短径が0.5〜0.9mmであることが特に好ましい。リングの形状が大き過ぎると、水晶体内に先端部3を有するシャフト部2を挿入する際の切開部が大きくなり、灌流液の流出が増大し、分割された小さな核片を制御することができない。また、上記のリングが小さ過ぎると、本考案者の経験によれば、分割した核片の灌流液内での流動を抑えることが不安定になり、核片が灌流とともに移動し、角膜内皮を傷つける可能性が高まる。また、リングを形成する細線の太さが細過ぎても太過ぎても手術の際の作業が不安定となり、また、適当な形状のリングを形成することが困難になる。
【0014】
また、本考案の核分割スパーテルにおいては、リングの先端に細線6を介してヘラ状の頭部7が形成されていることが好ましい。この頭部7の形状は従来技術の核分割スパーテルのヘラ状頭部と同様であり、このヘラ状頭部によって、超音波乳化吸引装置において、破砕若しくは乳化されない、若しくは困難である硬化水晶体の核片を分割して小片とし、超音波乳化吸引装置によって吸引されるようにする。上記ヘラ状頭部は太さ0.2〜0.3mmおよび長さ1.3〜1.7mmの細線6を介して結合しており、頭部7の最大幅は0.5〜0.7mm程度が好適である。
【0015】
次に本考案の核分割スパーテルの使用方法を簡便に説明する。先ず白内障患者の目の角膜周辺を2個所切開し、手術顕微鏡で観察しながら、一方の切開孔から適当な器具を挿入し水晶体の前嚢を切開および剥離除去する。次いで一方の切開孔から公知の超音波乳化吸引装置の吸引チューブを挿入する。他方の切開孔から本考案の核分割スパーテルの先端部とシャフト部の一部を挿入する。超音波乳化吸引装置の吸引チューブを水晶体核に接触させ、超音波により破砕または乳化して吸引を行う。この際超音波により破砕または乳化できない硬化部分を前記核分割スパーテルの頭部を用いて小片に分割する。
【0016】
分割によって小片となった核片は超音波乳化吸引装置の吸引チューブによって吸引されるが、上記処置中に灌流液が流動しており、かつ水晶体の前嚢が除去されている状態であるから、小核片が移動して角膜内皮に衝突する危険がある。本考案の核分割スパーテルを用いることによって、上記小核片を核分割スパーテルの先端部に形成されたリングにより捕捉し、超音波乳化吸引装置の吸引チューブの吸引孔に誘導し、小核片を自由に移動させることなく吸引除去することができる。
【0017】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案によれば、核分割スパーテルによって分割された核片を角膜内皮に衝突しないようにコントロールして、超音波乳化吸引装置の吸引チューブの吸引孔に誘導することができる核分割スパーテルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の核分割スパーテルの全体斜視図。
【図2】図1の部分拡大図。
【符号の説明】
1:把持部
2:シャフト部
3:先端部
4,4’:細線
5:リング(円形若しくは楕円形状の空間)
6:細線
7:頭部

Claims (3)

  1. 把持部と、該把持部の一方の端部に連結した先細のシャフト部と、該シャフト部の先端部とからなる核分割スパーテルにおいて、該先端部に、2本の細線からなる円形若しくは楕円形状の空間が形成された部分を有していることを特徴とする核分割スパーテル。
  2. 上記空間を形成する細線の太さが、0.2〜0.3mmであり、上記空間の内周の長径が1.8〜2.2mmであり、短径が0.5〜0.9mmである請求項1に記載の核分割スパーテル。
  3. 上記空間の先端に細線を介してヘラ状の頭部が形成されている請求項1に記載の核分割スパーテル。
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