JP3098091U - ユニット天井ボード - Google Patents
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Abstract
【課題】機能性や意匠性等に優れるとともに強度が向上したユニット天井ボードを提供する。
【解決手段】枠体11に組付され建築物のシステム天井を構成するユニット天井ボードを、多孔性の低密度材よりなりシステム天井の室内側に配置される板状の低密度部材2と、低密度部材よりも高密度の高密度材よりなり低密度部材の室外側に積層一体化されその周縁部のうち少なくとも一部が低密度部材の外縁よりさらに周方向に突出して枠体と係止する係止端7を形成している板状の高密度部材3と、を有するものとする。低密度部材によって防音性や断熱性等の機能性が発揮され、高密度部材によって強度が確保される。
【選択図】図2
【解決手段】枠体11に組付され建築物のシステム天井を構成するユニット天井ボードを、多孔性の低密度材よりなりシステム天井の室内側に配置される板状の低密度部材2と、低密度部材よりも高密度の高密度材よりなり低密度部材の室外側に積層一体化されその周縁部のうち少なくとも一部が低密度部材の外縁よりさらに周方向に突出して枠体と係止する係止端7を形成している板状の高密度部材3と、を有するものとする。低密度部材によって防音性や断熱性等の機能性が発揮され、高密度部材によって強度が確保される。
【選択図】図2
Description
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は天井構造に関するものであり、詳しくは、システム天井を構成し、ユニット天井の枠体に係止によって組付されるユニット天井ボードに関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物の天井構造のうち、システム天井としては、例えば図10に示すものが知られている。このシステム天井100は、長尺板状の枠体板101を縦横に組付して格子状の枠体102とし、この枠体102の格子目103に略平板状のユニット天井ボード105や図示しない照明装置や空調装置等の各種設備要素を落とし込んで組付し、天井面を構成するものである。この枠体102はハンガー106を介して図示しない上階床に固定される。
【0003】
このようなシステム天井によると、枠体にユニット天井ボード等を組み付けする際に螺合等の煩雑な工程を必要としないことから施工性が向上する。また、照明や空調設備等の種々の設備要素をこの枠体の格子目に応じた一定の配列で一括して配設することができ、この点でも施工性が向上するとともに、施工精度を向上させることもできる。このようなシステム天井において、ユニット天井ボードの枠体への取付は、一般に、ユニット天井ボードの周縁部を枠体に係止させることでおこなわれる(例えば、特許文献1)。図11に従来のユニット天井ボードと枠体との組付部分を表す模式断面図を示す。
【0004】
図11に示すように、枠体102の下側には断面略倒立T字状となるように突出した取付部107が設けられる。この取付部107に、ユニット天井ボード105の周縁部108が係止することでユニット天井ボード105の枠体102への取付がおこなわれる。ここで、図11に示す従来の場合では、ユニット天井ボード105の室内側面110と枠体102の室内側面111との間に段差112が生じ、システム天井の意匠性が低下する場合がある。この段差112を解消するためには、図12に示すように、ユニット天井ボード105の室内側部分110を格子目103の内周形状に対応した形状に形成するとともに、室外側113の周縁部に周方向に突出した係止端115を設けることがなされている。すなわち、ユニット天井ボード105のうち室内側部分110を枠体102の格子目内部116に落とし込むとともに係止端115を枠体102の取付部107に係止させることで、ユニット天井ボード105を枠体102に段差なく取付することが可能となる。
【0005】
ここで、係止端115は枠体102に係止されることで、ユニット天井ボード105を枢支する部分となる。したがって、係止端115はユニット天井ボード105を長期間枢支するのに充分な程度に高強度に形成される必要がある。しかしこの場合、係止端115は薄肉となりその強度が低下するため、例えば長期間の使用時にはユニット天井ボード105の自重によって係止端115に破損や破断が生じる場合がある。この場合、破損や破断の程度によっては係止端115でユニット天井ボード105を枢支することができなくなり、ユニット天井ボード105が室内方向に浮き出し、システム天井の意匠性が著しく低下する場合がある。
【0006】
また、システム天井の意匠性や遮蔽性、防音性、吸音性、断熱性等を充分なものとするためには、室内側部分110と枠体102の格子目内周117との間に大きな隙間が生じないように、ユニット天井ボード105の室内側部分110を精度良く成形する必要がある。通常、ユニット天井ボード105は板状の多孔材より切り出し加工によって成形されるが、係止端115を設けたユニット天井ボードは凹凸をもった形状となるため、精度良く製造することが困難である問題もあった。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−022099号公報
【0008】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、上記事情に鑑みてなされたものであり、機能性や意匠性等に優れるとともに強度が向上したユニット天井ボードを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本考案のユニット天井ボードは、枠体に組付され建築物のシステム天井を構成するユニット天井ボードであって、多孔性の低密度材よりなり、上記システム天井の室内側に配置される板状の低密度部材と、該低密度部材よりも高密度の高密度材よりなり、該低密度部材の室外側に積層一体化されその周縁部のうち少なくとも一部が該低密度部材の外縁よりさらに周方向に突出して上記枠体と係止する係止端を形成している板状の高密度部材と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、上記低密度部材と上記高密度部材とは接着されて一体化されているものとすることができる。
【0011】
上記低密度材は、その密度が80〜200kg/m3の範囲であることが好ましく、上記高密度材は、その密度が200〜500kg/m3の範囲であることが好ましい。
【0012】
上記低密度部材は、その肉厚が7〜15mmの範囲であることが好ましく、上記高密度部材は、その肉厚が2〜10mmの範囲であることが好ましい。本考案のユニット天井ボードは、さらに、箔状の金属部材が一体的に積層されているものとすることができる。
【0013】
上記金属部材は、上記低密度部材と上記高密度部材との間に積層されるとともに上記係止端の少なくとも一部を被覆しているものとすることができる。
【0014】
上記低密度部材の室内側には、さらに被覆部材が積層されているものとすることができる。この被覆部材は、布、不織布、樹脂フィルム、樹脂シートから選ばれる少なくとも一種よりなることが好ましい。
【0015】
上記低密度材および/または上記高密度材は繊維基材と結合材とを含む繊維成形板とすることができる。この繊維基材は、グラスウール、ロックウール、天然植物繊維から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、上記結合材は、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、無機結合材から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0016】
上記低密度材および/または上記高密度材は発泡体とすることができる。この発泡体は、発泡樹脂、発泡ガラスから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0017】
【考案の実施の形態】
本考案のユニット天井ボードは、枠体に組み付けされシステム天井を構成するものであり、上述したように、所謂ボード落とし込み工法によって枠体に組付されるものである。
【0018】
本考案のユニット天井ボードは低密度部材と低密度部材に積層一体化されている高密度部材をを有するものであり、係止端が強度の高い高密度部材からなることで、ユニット天井ボードの自重が長期間かかる場合にも係止端が破損することはなく、ユニット天井ボードの強度や意匠性、機能性は長期間の使用に際しても維持されることとなる。
【0019】
このうち低密度部材は、その内部および/または表面に多数の細孔をもつ多孔性の低密度材からなるものである。低密度材はその細孔によって室内外の防音性、吸音性および断熱性を担う役割を持つ。低密度部材を構成する低密度材は、多孔性の既知の材料を用いることができるが、防音性、吸音性および断熱性をよりよく発揮するためには、その密度が80〜200kg/m3の範囲であることが好ましい。これよりも密度が高くなると、細孔の数や大きさ等が充分でなくなり、充分な防音性や吸音性、断熱性が発揮されない。また、これよりも密度が低くなると、強度が小さくなりすぎる場合がある。低密度材のより好ましい密度の範囲は80〜150kg/m3の範囲である。
【0020】
高密度部材は、高密度材からなり、室内外を区画するとともにユニット天井ボードのうちシステム天井の枠体と係止する係止端として働く。また、高密度材は低密度材よりも密度が高いことから強度も高くなっており、ユニット天井ボードの自重による変形等を防止する基体としての役割も担っている。さらに、高密度部材は低密度部材よりも密度が高いことから、遮音性を発揮する。例えば天井裏から室内へ侵入する音を遮音することや、室内から室外に漏出する音を遮音することができ、特に、低周波音の遮音効果に優れる。このような高密度材としては低密度材と同様に既知の材料からなるものを用いることができ、例えば、細孔を持たないような材料を用いることもできるが、その密度が200〜500kg/m3の範囲である材料を用いることが好ましい。これよりも密度が低くなると、細孔の数や大きさが大きくなりすぎて強度が充分ではなくなる場合がある。また、高密度材を細孔を有するものとする場合には、高密度部材によっても防音性や吸音性、断熱性が発揮されるため、防音性や吸音性、断熱性を向上させるためにはより好ましく用いることができる。
【0021】
低密度部材は、遮蔽性や防音性、吸音性、断熱性等を発揮するために、枠体の格子目内部に落とし込みされて、ユニット天井ボードのうちシステム天井の室内側に配置される。また、高密度部材は枠体と係止する係止端として機能するために低密度部材よりも室外側に配置される。このような低密度部材と高密度部材とは、接着や接合等の既知の積層方法によって積層されて一体化される。
【0022】
上述したように、低密度部材で防音性、吸音性および断熱性が良好に発揮され、高密度部材で強度や遮音性が良好に発揮される。このため、低密度部材と高密度部材とを積層一体化することで、ユニット天井ボードを多種の機能を有するものとすることができる。
【0023】
この積層は、接着によっておこなわれることが望ましい。接着により積層する場合には、例えば螺合のように接合に別部材を必要としないことから、ユニット天井ボードの重量を軽量なものとすることができ、枠体への組付をより容易におこなうことが可能となる。さらに、例えば災害時にユニット天井ボードが落下した場合にも、被害を小さいものとすることができる。また、溶着等のように積層時に低密度部材や高密度部材の細孔が潰れることが低減されるため、上述した防音性や吸音性、断熱性等の機能性がより高いものとなる。
【0024】
低密度部材および高密度部材は、積層されてユニット天井ボードを構成するため、板状の形状を有するものである。なお、ここでいう板状とは平板に限らず、所望するシステム天井の意匠に応じて例えば凹凸等の意匠を設けたものであっても良い。
【0025】
高密度部材は、低密度部材よりも高密度の高密度材よりなり、低密度部材の室外側に積層一体化されその周縁部のうち少なくとも一部が低密度部材の外縁よりさらに周方向に突出して枠体と係止する係止端を形成している。この係止端は、ユニット天井ボードの外縁全周に突出するものであっても良いし、一部にのみ突出するようなものであっても良く、ユニット天井ボードが組付される枠体の形状に応じて適宜設定することができる。
【0026】
高密度部材は、その肉厚が2〜10mmの範囲とすることができる。高密度部材の肉厚がこれよりも大きくなると、重量が大きくなりすぎるため、枠体に対する組付および取り外しの操作が困難になるとともに、上述した不慮の落下時に生じる被害を小さいものとすることが困難になる。また、高密度部材の肉厚がこれよりも小さくなると、充分な強度が発揮されず、枠体との係止が良好におこなわれない場合がある。低密度部材は、その肉厚が7〜15mmの範囲とすることができる。低密度部材の肉厚がこれよりも大きくなると、ユニット天井ボードの重量が大きくなり、高密度部材の一部よりなる係止端でユニット天井ボードを枢支することが困難となる。また、低密度部材の肉厚がこれよりも小さくなると、低密度部材に由来する細孔が低減し充分な防音性や吸音性、断熱性等を充分に発揮することが困難となる場合がある。
【0027】
本考案のユニット天井ボードは、さらに、箔状の金属部材が一体的に積層されているものとすることができる。この場合、金属部材によってユニット天井ボードの強度がさらに向上するとともに、ユニット天井ボードに電磁波の遮断能を付与することができる。このため、例えばユニット天井ボードを電算室等の大きな電磁波が発生する施設に配設する場合等には、電磁波の室外への漏出を防止することができる。また、同様に、無線LAN等による電波の室外への漏出や侵入等を防止することもできる。これらのことにより、ユニット天井ボードの機能性がより向上される。
【0028】
金属部材は、導電性の材料からなることが好ましく、アルミニウム、銅、カーボン繊維、ニッケル、銀等からなるものを好ましく用いることができる。これらの材料は質量が小さいことから好ましく使用される。このうち、材料のコストを低減するためには、アルミニウムを用いることがより好ましい。さらに、金属部材として箔状のものを用いることから、金属部材を積層してもユニット天井の重量を大きく増大させることはない。また、この金属部材は樹脂等でコーティングしたものを用いることもできる。この場合、金属部材の強度はより向上する。
【0029】
この金属部材は、低密度部材と高密度部材との間に積層されるとともに係止端の少なくとも一部を被覆していることが好ましい。この場合、高密度部材の係止端が金属部材で補強されることとなり、係止端の強度はより向上する。
【0030】
本考案のユニット天井ボードにおいて、低密度部材の室内側には、さらに被覆部材を積層することができる。ユニット天井ボードを構成する低密度材および高密度材の種類によっては、塵がユニット天井ボード外部、すなわち室内に落下する場合がある。例えば、繊維材料を基材として形成された低密度部材や高密度部材からは繊維屑が生じる。この繊維屑が室内に落下すると、室内の環境が悪化する場合があるとともに、ユニット天井ボードから繊維屑が垂れ下がる等、ユニット天井ボードの意匠性が低下する場合がある。
【0031】
ユニット天井ボードの最も室内側、すなわち低密度部材の室内側にさらに被覆部材を積層することで、これらの塵が室内に落下することを防止することができるとともに、ユニット天井ボードの意匠性を向上させることができる。また、被覆部材をさらに積層することで、ユニット天井ボードの強度をさらに向上させる効果も生じる。
【0032】
この被覆部材は布、不織布、樹脂フィルム、樹脂シートから選ばれる少なくとも一種よりなることが好ましい。また、これらのうち布、不織布、あるいは発泡樹脂材等の細孔を有する状態の材料で被覆部材を構成する場合には、被覆部材の細孔によっても防音性や吸音性、断熱性が発揮されるため、ユニット天井ボードの防音性や吸音性、断熱性がより向上する。被覆部材の材料としては種々のものを用いることができ、例えば、ガラスとポリエステルとの混合材料を用いてガラスペーパーとし、このガラスペーパーを被覆部材とすることもできる。あるいは、シリカゾルを材料として用いて形成した被膜を被覆部材とすることもできる。塩化ビニルを材料とした塩化ビニルシートを被覆部材とすることもできる。その他、例えば、植物由来の繊維等を材料とした和紙等を被覆部材とすることもできる。何れの場合も、上述した、布、不織布、樹脂フィルム、樹脂シートから選ばれる少なくとも一種の状態として用いることが好ましい。また、熱硬化性樹脂は難燃性が高いため、被覆部材の材料として特に好ましく用いられる。
【0033】
また、低密度部材のうち室内に表出する面に、さらに、意匠を表示するための意匠材を積層することでユニット天井ボードの意匠性をさらに向上させることもできる。この表出材としては、例えば種々の色彩や模様が印刷されたもの、あるいは、表出面に種々の凹凸形状が形成されたもの等のシート状のものや、各種塗料等が好ましく用いられる。この意匠材は、低密度部材に被覆部材を積層した上で、被覆部材のさらに室内側に積層することが好ましい。被覆部材の積層によってユニット天井ボードの室内側面が平滑化されるため、積層や塗装がおこないやすくなるからである。
【0034】
本考案のユニット天井ボードにおいて、低密度材および/または高密度材は繊維基材と結合材とを含む繊維成形板とすることができる。この場合、繊維基材同士の間隙が細孔となる。また、繊維基材同士を結合材で連結することで、低密度材や高密度材を所定形状のものとすることができる。
【0035】
繊維基材としては、グラスウール、ロックウール、天然植物繊維から選ばれる少なくとも1種が好ましく使用される。これらの繊維は重量が比較的軽量であることから、ユニット天井ボードを軽量のものとすることができ、枠体による枢支を良好におこなうことができるとともに、落下時の被害を低減することができる。また、このうちグラスウールやロックウールは難燃性であるため、建築物の一部を構成するシステム天井を構成する繊維基材として好ましく用いることができる。さらに、天然植物繊維としては亜麻繊維、パーム繊維、ケナフ繊維等のものが好ましく用いられるが、これらの繊維は比較的安価であるため、ユニット天井ボードを製造コストが低減されたものとすることができる。
【0036】
繊維基材を連結する結合材としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂無機結合材から選ばれる少なくとも1種を好ましく用いることができる。無機希有合剤としては、例えば水ガラスやシリカゾル等のものを用いることができる。また、その他でんぷん等の植物由来の材料を結合材として用いることもできる。なお、このうちフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂は、耐熱性に優れることから火災等が生じた場合にも溶融あるいは燃焼することが防止されるため、システム天井を構成する結合材として好ましく使用することができる。また、これに限らず、例えば石膏ボード等のものを低密度部材や高密度部材とすることもできる。この場合には、原料の配合等を適宜設定することでその密度を種々に設定して低密度部材や高密度部材とすることができる。
【0037】
本考案のユニット天井ボードにおいて、低密度材および/または高密度材は発泡体とすることができる。発泡体としては、発泡樹脂、発泡ガラス等から選ばれる少なくとも1種をもちいることができる。このうち、発泡ガラスは難燃性であることから上述と同様により好ましく使用することができる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本考案を図面を基に説明する。
【0039】
(実施例)
本実施例のユニット天井ボードは、低密度部材と高密度部材とが接着材によって積層一体化されたものであり、低密度部材と高密度部材との間に箔状の金属部材が積層されたものである。本実施例のユニット天井ボードを表す模式斜視図を図1に示し、枠体に組付した際の要部拡大模式断面図を図2に示す。
【0040】
本実施例のユニット天井ボード1において、低密度部材2は厚さ8mm、密度150kg/m3の低密度材よりなる。この低密度材は繊維成形板であり、繊維基材としてのロックウールを含み、結合材としてのフェノール樹脂を含むものである。
【0041】
高密度部材3は、厚さ3mm、密度300kg/m3の高密度材よりなる。この高密度材は繊維成形板であり、繊維基材としてのロックウールを含み、結合材としてフェノール樹脂を含むものである。
【0042】
低密度部材2と高密度部材3とはホットメルト接着材により積層一体化されている。高密度部材3は低密度部材2よりも幅が大きく、その周縁部5の全周が低密度部材2の外縁6よりさらに周方向に突出している。この突出した部分が係止端7となる。低密度部材2と高密度部材3との間には、さらに、肉厚50μmのアルミニウム箔からなる金属部材8が積層されている。この金属部材8は係止端7のうち室内側面の全面を覆っている。さらに、低密度部材2の室内側面にはガラスペーパー製、密度50g/m3の不織布からなる被覆部材10が積層されている。金属部材8および被覆部材10もまたホットメルト接着材によって積層されている。
【0043】
本実施例のユニット天井ボード1を枠体に組付した場合、図2に示すように、係止端7が枠体11の保持部12に係止するとともに低密度部材2が枠体11の格子目内部13に落とし込みされる。この低密度部材2は密度が低く多孔性の低密度材よりなるものであるため、その細孔によって防音性や吸音性、断熱性等の機能性が充分に発揮される。
【0044】
また、係止端7は低密度部材2よりも密度の高い高密度材からなるものであるため、強度高く形成されている。したがって、長期間安定してユニット天井ボード1を枢支することができる。
【0045】
また、高密度部材3は繊維成形板からなり細孔を持つものであるため、この高密度部材3によっても上述した機能性が発揮されて、ユニット天井ボード1の機能性はさらに向上する。
【0046】
そして、低密度部材2と高密度部材3との間には金属部材8が積層されているため、係止端7およびユニット天井ボード1全体の強度はさらに向上するとともに、電磁波遮断能が発揮されて機能性がより向上する。
【0047】
さらに、低密度部材2の室内側面には、被覆部材10が積層されていることから、低密度部材2および高密度部材3を繊維成形板からなるものとしても、繊維屑が室内に落下することはなくなるとともに、意匠性が向上する。なお、この被覆部材10も細孔を持つものであるため、防音性や吸音性、断熱性等の機能性はさらに向上する。
【0048】
また、係止端7が形成され、低密度材が枠体11の格子目内部13に落とし込まれる構造であるため、ユニット天井ボード1の室内側面15と枠体11の室内側面16とは略同一面となり、ユニット天井ボード1の室内側面15と枠体11の室内側面16との間に段差が生じることが防止され意匠性が向上する。なお、本実施例においては低密度部材2と高密度部材3との間に金属部材8を積層したが、例えば図3に示すように、低密度部材2と高密度部材3とを直接積層することもできる。さらに、本実施例においては低密度部材2のさらに室内側に被覆部材10を積層したが、例えば、低密度材として発泡体を用いる場合等は、図4に示すように被覆部材10を積層せず、低密度部材2の室内側面をユニット天井ボード1の表出面とすることもできる。
【0049】
【考案の効果】
本考案のユニット天井ボードによると、係止端が強度の高い高密度部材からなることで、ユニット天井ボードの強度が向上し、長期間の使用に際しても係止端が破損等することが防止される。また、防音性や吸音性、断熱性等のユニット天井ボードの機能性は主に多孔性の低密度部材によって発揮されるため、係止端を含む高密度部材を高密度の材料から形成してもユニット天井ボードは機能性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例のユニット天井ボードを表す模式斜視図である。
【図2】本考案の実施例のユニット天井ボードを枠体に組付した際の要部拡大模式断面図である。
【図3】本考案の実施例のユニット天井ボードの他の例を表す要部拡大模式断面図である。
【図4】本考案の実施例のユニット天井ボードの他の例を表す要部拡大模式断面図である。
【図5】従来のシステム天井を表す模式分解斜視図である。
【図6】従来のユニット天井ボードと枠体との組付部分を表す模式断面図である。
【図7】従来のユニット天井ボードと枠体との組付部分を表す模式断面図である。
【符号の説明】
1:ユニット天井ボード 2:低密度部材 3:高密度部材 5:周縁部 6:低密度部材の外縁 7:係止端 8:金属部材 10:被覆部材 11:枠体
12:保持部 13:格子目内部
100:システム天井 101:枠体板 102:枠体 103:格子目 105:ユニット天井ボード 106:ハンガー 107:取付部 115:係止端
【考案の属する技術分野】
本考案は天井構造に関するものであり、詳しくは、システム天井を構成し、ユニット天井の枠体に係止によって組付されるユニット天井ボードに関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物の天井構造のうち、システム天井としては、例えば図10に示すものが知られている。このシステム天井100は、長尺板状の枠体板101を縦横に組付して格子状の枠体102とし、この枠体102の格子目103に略平板状のユニット天井ボード105や図示しない照明装置や空調装置等の各種設備要素を落とし込んで組付し、天井面を構成するものである。この枠体102はハンガー106を介して図示しない上階床に固定される。
【0003】
このようなシステム天井によると、枠体にユニット天井ボード等を組み付けする際に螺合等の煩雑な工程を必要としないことから施工性が向上する。また、照明や空調設備等の種々の設備要素をこの枠体の格子目に応じた一定の配列で一括して配設することができ、この点でも施工性が向上するとともに、施工精度を向上させることもできる。このようなシステム天井において、ユニット天井ボードの枠体への取付は、一般に、ユニット天井ボードの周縁部を枠体に係止させることでおこなわれる(例えば、特許文献1)。図11に従来のユニット天井ボードと枠体との組付部分を表す模式断面図を示す。
【0004】
図11に示すように、枠体102の下側には断面略倒立T字状となるように突出した取付部107が設けられる。この取付部107に、ユニット天井ボード105の周縁部108が係止することでユニット天井ボード105の枠体102への取付がおこなわれる。ここで、図11に示す従来の場合では、ユニット天井ボード105の室内側面110と枠体102の室内側面111との間に段差112が生じ、システム天井の意匠性が低下する場合がある。この段差112を解消するためには、図12に示すように、ユニット天井ボード105の室内側部分110を格子目103の内周形状に対応した形状に形成するとともに、室外側113の周縁部に周方向に突出した係止端115を設けることがなされている。すなわち、ユニット天井ボード105のうち室内側部分110を枠体102の格子目内部116に落とし込むとともに係止端115を枠体102の取付部107に係止させることで、ユニット天井ボード105を枠体102に段差なく取付することが可能となる。
【0005】
ここで、係止端115は枠体102に係止されることで、ユニット天井ボード105を枢支する部分となる。したがって、係止端115はユニット天井ボード105を長期間枢支するのに充分な程度に高強度に形成される必要がある。しかしこの場合、係止端115は薄肉となりその強度が低下するため、例えば長期間の使用時にはユニット天井ボード105の自重によって係止端115に破損や破断が生じる場合がある。この場合、破損や破断の程度によっては係止端115でユニット天井ボード105を枢支することができなくなり、ユニット天井ボード105が室内方向に浮き出し、システム天井の意匠性が著しく低下する場合がある。
【0006】
また、システム天井の意匠性や遮蔽性、防音性、吸音性、断熱性等を充分なものとするためには、室内側部分110と枠体102の格子目内周117との間に大きな隙間が生じないように、ユニット天井ボード105の室内側部分110を精度良く成形する必要がある。通常、ユニット天井ボード105は板状の多孔材より切り出し加工によって成形されるが、係止端115を設けたユニット天井ボードは凹凸をもった形状となるため、精度良く製造することが困難である問題もあった。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−022099号公報
【0008】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、上記事情に鑑みてなされたものであり、機能性や意匠性等に優れるとともに強度が向上したユニット天井ボードを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本考案のユニット天井ボードは、枠体に組付され建築物のシステム天井を構成するユニット天井ボードであって、多孔性の低密度材よりなり、上記システム天井の室内側に配置される板状の低密度部材と、該低密度部材よりも高密度の高密度材よりなり、該低密度部材の室外側に積層一体化されその周縁部のうち少なくとも一部が該低密度部材の外縁よりさらに周方向に突出して上記枠体と係止する係止端を形成している板状の高密度部材と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、上記低密度部材と上記高密度部材とは接着されて一体化されているものとすることができる。
【0011】
上記低密度材は、その密度が80〜200kg/m3の範囲であることが好ましく、上記高密度材は、その密度が200〜500kg/m3の範囲であることが好ましい。
【0012】
上記低密度部材は、その肉厚が7〜15mmの範囲であることが好ましく、上記高密度部材は、その肉厚が2〜10mmの範囲であることが好ましい。本考案のユニット天井ボードは、さらに、箔状の金属部材が一体的に積層されているものとすることができる。
【0013】
上記金属部材は、上記低密度部材と上記高密度部材との間に積層されるとともに上記係止端の少なくとも一部を被覆しているものとすることができる。
【0014】
上記低密度部材の室内側には、さらに被覆部材が積層されているものとすることができる。この被覆部材は、布、不織布、樹脂フィルム、樹脂シートから選ばれる少なくとも一種よりなることが好ましい。
【0015】
上記低密度材および/または上記高密度材は繊維基材と結合材とを含む繊維成形板とすることができる。この繊維基材は、グラスウール、ロックウール、天然植物繊維から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、上記結合材は、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、無機結合材から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0016】
上記低密度材および/または上記高密度材は発泡体とすることができる。この発泡体は、発泡樹脂、発泡ガラスから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0017】
【考案の実施の形態】
本考案のユニット天井ボードは、枠体に組み付けされシステム天井を構成するものであり、上述したように、所謂ボード落とし込み工法によって枠体に組付されるものである。
【0018】
本考案のユニット天井ボードは低密度部材と低密度部材に積層一体化されている高密度部材をを有するものであり、係止端が強度の高い高密度部材からなることで、ユニット天井ボードの自重が長期間かかる場合にも係止端が破損することはなく、ユニット天井ボードの強度や意匠性、機能性は長期間の使用に際しても維持されることとなる。
【0019】
このうち低密度部材は、その内部および/または表面に多数の細孔をもつ多孔性の低密度材からなるものである。低密度材はその細孔によって室内外の防音性、吸音性および断熱性を担う役割を持つ。低密度部材を構成する低密度材は、多孔性の既知の材料を用いることができるが、防音性、吸音性および断熱性をよりよく発揮するためには、その密度が80〜200kg/m3の範囲であることが好ましい。これよりも密度が高くなると、細孔の数や大きさ等が充分でなくなり、充分な防音性や吸音性、断熱性が発揮されない。また、これよりも密度が低くなると、強度が小さくなりすぎる場合がある。低密度材のより好ましい密度の範囲は80〜150kg/m3の範囲である。
【0020】
高密度部材は、高密度材からなり、室内外を区画するとともにユニット天井ボードのうちシステム天井の枠体と係止する係止端として働く。また、高密度材は低密度材よりも密度が高いことから強度も高くなっており、ユニット天井ボードの自重による変形等を防止する基体としての役割も担っている。さらに、高密度部材は低密度部材よりも密度が高いことから、遮音性を発揮する。例えば天井裏から室内へ侵入する音を遮音することや、室内から室外に漏出する音を遮音することができ、特に、低周波音の遮音効果に優れる。このような高密度材としては低密度材と同様に既知の材料からなるものを用いることができ、例えば、細孔を持たないような材料を用いることもできるが、その密度が200〜500kg/m3の範囲である材料を用いることが好ましい。これよりも密度が低くなると、細孔の数や大きさが大きくなりすぎて強度が充分ではなくなる場合がある。また、高密度材を細孔を有するものとする場合には、高密度部材によっても防音性や吸音性、断熱性が発揮されるため、防音性や吸音性、断熱性を向上させるためにはより好ましく用いることができる。
【0021】
低密度部材は、遮蔽性や防音性、吸音性、断熱性等を発揮するために、枠体の格子目内部に落とし込みされて、ユニット天井ボードのうちシステム天井の室内側に配置される。また、高密度部材は枠体と係止する係止端として機能するために低密度部材よりも室外側に配置される。このような低密度部材と高密度部材とは、接着や接合等の既知の積層方法によって積層されて一体化される。
【0022】
上述したように、低密度部材で防音性、吸音性および断熱性が良好に発揮され、高密度部材で強度や遮音性が良好に発揮される。このため、低密度部材と高密度部材とを積層一体化することで、ユニット天井ボードを多種の機能を有するものとすることができる。
【0023】
この積層は、接着によっておこなわれることが望ましい。接着により積層する場合には、例えば螺合のように接合に別部材を必要としないことから、ユニット天井ボードの重量を軽量なものとすることができ、枠体への組付をより容易におこなうことが可能となる。さらに、例えば災害時にユニット天井ボードが落下した場合にも、被害を小さいものとすることができる。また、溶着等のように積層時に低密度部材や高密度部材の細孔が潰れることが低減されるため、上述した防音性や吸音性、断熱性等の機能性がより高いものとなる。
【0024】
低密度部材および高密度部材は、積層されてユニット天井ボードを構成するため、板状の形状を有するものである。なお、ここでいう板状とは平板に限らず、所望するシステム天井の意匠に応じて例えば凹凸等の意匠を設けたものであっても良い。
【0025】
高密度部材は、低密度部材よりも高密度の高密度材よりなり、低密度部材の室外側に積層一体化されその周縁部のうち少なくとも一部が低密度部材の外縁よりさらに周方向に突出して枠体と係止する係止端を形成している。この係止端は、ユニット天井ボードの外縁全周に突出するものであっても良いし、一部にのみ突出するようなものであっても良く、ユニット天井ボードが組付される枠体の形状に応じて適宜設定することができる。
【0026】
高密度部材は、その肉厚が2〜10mmの範囲とすることができる。高密度部材の肉厚がこれよりも大きくなると、重量が大きくなりすぎるため、枠体に対する組付および取り外しの操作が困難になるとともに、上述した不慮の落下時に生じる被害を小さいものとすることが困難になる。また、高密度部材の肉厚がこれよりも小さくなると、充分な強度が発揮されず、枠体との係止が良好におこなわれない場合がある。低密度部材は、その肉厚が7〜15mmの範囲とすることができる。低密度部材の肉厚がこれよりも大きくなると、ユニット天井ボードの重量が大きくなり、高密度部材の一部よりなる係止端でユニット天井ボードを枢支することが困難となる。また、低密度部材の肉厚がこれよりも小さくなると、低密度部材に由来する細孔が低減し充分な防音性や吸音性、断熱性等を充分に発揮することが困難となる場合がある。
【0027】
本考案のユニット天井ボードは、さらに、箔状の金属部材が一体的に積層されているものとすることができる。この場合、金属部材によってユニット天井ボードの強度がさらに向上するとともに、ユニット天井ボードに電磁波の遮断能を付与することができる。このため、例えばユニット天井ボードを電算室等の大きな電磁波が発生する施設に配設する場合等には、電磁波の室外への漏出を防止することができる。また、同様に、無線LAN等による電波の室外への漏出や侵入等を防止することもできる。これらのことにより、ユニット天井ボードの機能性がより向上される。
【0028】
金属部材は、導電性の材料からなることが好ましく、アルミニウム、銅、カーボン繊維、ニッケル、銀等からなるものを好ましく用いることができる。これらの材料は質量が小さいことから好ましく使用される。このうち、材料のコストを低減するためには、アルミニウムを用いることがより好ましい。さらに、金属部材として箔状のものを用いることから、金属部材を積層してもユニット天井の重量を大きく増大させることはない。また、この金属部材は樹脂等でコーティングしたものを用いることもできる。この場合、金属部材の強度はより向上する。
【0029】
この金属部材は、低密度部材と高密度部材との間に積層されるとともに係止端の少なくとも一部を被覆していることが好ましい。この場合、高密度部材の係止端が金属部材で補強されることとなり、係止端の強度はより向上する。
【0030】
本考案のユニット天井ボードにおいて、低密度部材の室内側には、さらに被覆部材を積層することができる。ユニット天井ボードを構成する低密度材および高密度材の種類によっては、塵がユニット天井ボード外部、すなわち室内に落下する場合がある。例えば、繊維材料を基材として形成された低密度部材や高密度部材からは繊維屑が生じる。この繊維屑が室内に落下すると、室内の環境が悪化する場合があるとともに、ユニット天井ボードから繊維屑が垂れ下がる等、ユニット天井ボードの意匠性が低下する場合がある。
【0031】
ユニット天井ボードの最も室内側、すなわち低密度部材の室内側にさらに被覆部材を積層することで、これらの塵が室内に落下することを防止することができるとともに、ユニット天井ボードの意匠性を向上させることができる。また、被覆部材をさらに積層することで、ユニット天井ボードの強度をさらに向上させる効果も生じる。
【0032】
この被覆部材は布、不織布、樹脂フィルム、樹脂シートから選ばれる少なくとも一種よりなることが好ましい。また、これらのうち布、不織布、あるいは発泡樹脂材等の細孔を有する状態の材料で被覆部材を構成する場合には、被覆部材の細孔によっても防音性や吸音性、断熱性が発揮されるため、ユニット天井ボードの防音性や吸音性、断熱性がより向上する。被覆部材の材料としては種々のものを用いることができ、例えば、ガラスとポリエステルとの混合材料を用いてガラスペーパーとし、このガラスペーパーを被覆部材とすることもできる。あるいは、シリカゾルを材料として用いて形成した被膜を被覆部材とすることもできる。塩化ビニルを材料とした塩化ビニルシートを被覆部材とすることもできる。その他、例えば、植物由来の繊維等を材料とした和紙等を被覆部材とすることもできる。何れの場合も、上述した、布、不織布、樹脂フィルム、樹脂シートから選ばれる少なくとも一種の状態として用いることが好ましい。また、熱硬化性樹脂は難燃性が高いため、被覆部材の材料として特に好ましく用いられる。
【0033】
また、低密度部材のうち室内に表出する面に、さらに、意匠を表示するための意匠材を積層することでユニット天井ボードの意匠性をさらに向上させることもできる。この表出材としては、例えば種々の色彩や模様が印刷されたもの、あるいは、表出面に種々の凹凸形状が形成されたもの等のシート状のものや、各種塗料等が好ましく用いられる。この意匠材は、低密度部材に被覆部材を積層した上で、被覆部材のさらに室内側に積層することが好ましい。被覆部材の積層によってユニット天井ボードの室内側面が平滑化されるため、積層や塗装がおこないやすくなるからである。
【0034】
本考案のユニット天井ボードにおいて、低密度材および/または高密度材は繊維基材と結合材とを含む繊維成形板とすることができる。この場合、繊維基材同士の間隙が細孔となる。また、繊維基材同士を結合材で連結することで、低密度材や高密度材を所定形状のものとすることができる。
【0035】
繊維基材としては、グラスウール、ロックウール、天然植物繊維から選ばれる少なくとも1種が好ましく使用される。これらの繊維は重量が比較的軽量であることから、ユニット天井ボードを軽量のものとすることができ、枠体による枢支を良好におこなうことができるとともに、落下時の被害を低減することができる。また、このうちグラスウールやロックウールは難燃性であるため、建築物の一部を構成するシステム天井を構成する繊維基材として好ましく用いることができる。さらに、天然植物繊維としては亜麻繊維、パーム繊維、ケナフ繊維等のものが好ましく用いられるが、これらの繊維は比較的安価であるため、ユニット天井ボードを製造コストが低減されたものとすることができる。
【0036】
繊維基材を連結する結合材としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂無機結合材から選ばれる少なくとも1種を好ましく用いることができる。無機希有合剤としては、例えば水ガラスやシリカゾル等のものを用いることができる。また、その他でんぷん等の植物由来の材料を結合材として用いることもできる。なお、このうちフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂は、耐熱性に優れることから火災等が生じた場合にも溶融あるいは燃焼することが防止されるため、システム天井を構成する結合材として好ましく使用することができる。また、これに限らず、例えば石膏ボード等のものを低密度部材や高密度部材とすることもできる。この場合には、原料の配合等を適宜設定することでその密度を種々に設定して低密度部材や高密度部材とすることができる。
【0037】
本考案のユニット天井ボードにおいて、低密度材および/または高密度材は発泡体とすることができる。発泡体としては、発泡樹脂、発泡ガラス等から選ばれる少なくとも1種をもちいることができる。このうち、発泡ガラスは難燃性であることから上述と同様により好ましく使用することができる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本考案を図面を基に説明する。
【0039】
(実施例)
本実施例のユニット天井ボードは、低密度部材と高密度部材とが接着材によって積層一体化されたものであり、低密度部材と高密度部材との間に箔状の金属部材が積層されたものである。本実施例のユニット天井ボードを表す模式斜視図を図1に示し、枠体に組付した際の要部拡大模式断面図を図2に示す。
【0040】
本実施例のユニット天井ボード1において、低密度部材2は厚さ8mm、密度150kg/m3の低密度材よりなる。この低密度材は繊維成形板であり、繊維基材としてのロックウールを含み、結合材としてのフェノール樹脂を含むものである。
【0041】
高密度部材3は、厚さ3mm、密度300kg/m3の高密度材よりなる。この高密度材は繊維成形板であり、繊維基材としてのロックウールを含み、結合材としてフェノール樹脂を含むものである。
【0042】
低密度部材2と高密度部材3とはホットメルト接着材により積層一体化されている。高密度部材3は低密度部材2よりも幅が大きく、その周縁部5の全周が低密度部材2の外縁6よりさらに周方向に突出している。この突出した部分が係止端7となる。低密度部材2と高密度部材3との間には、さらに、肉厚50μmのアルミニウム箔からなる金属部材8が積層されている。この金属部材8は係止端7のうち室内側面の全面を覆っている。さらに、低密度部材2の室内側面にはガラスペーパー製、密度50g/m3の不織布からなる被覆部材10が積層されている。金属部材8および被覆部材10もまたホットメルト接着材によって積層されている。
【0043】
本実施例のユニット天井ボード1を枠体に組付した場合、図2に示すように、係止端7が枠体11の保持部12に係止するとともに低密度部材2が枠体11の格子目内部13に落とし込みされる。この低密度部材2は密度が低く多孔性の低密度材よりなるものであるため、その細孔によって防音性や吸音性、断熱性等の機能性が充分に発揮される。
【0044】
また、係止端7は低密度部材2よりも密度の高い高密度材からなるものであるため、強度高く形成されている。したがって、長期間安定してユニット天井ボード1を枢支することができる。
【0045】
また、高密度部材3は繊維成形板からなり細孔を持つものであるため、この高密度部材3によっても上述した機能性が発揮されて、ユニット天井ボード1の機能性はさらに向上する。
【0046】
そして、低密度部材2と高密度部材3との間には金属部材8が積層されているため、係止端7およびユニット天井ボード1全体の強度はさらに向上するとともに、電磁波遮断能が発揮されて機能性がより向上する。
【0047】
さらに、低密度部材2の室内側面には、被覆部材10が積層されていることから、低密度部材2および高密度部材3を繊維成形板からなるものとしても、繊維屑が室内に落下することはなくなるとともに、意匠性が向上する。なお、この被覆部材10も細孔を持つものであるため、防音性や吸音性、断熱性等の機能性はさらに向上する。
【0048】
また、係止端7が形成され、低密度材が枠体11の格子目内部13に落とし込まれる構造であるため、ユニット天井ボード1の室内側面15と枠体11の室内側面16とは略同一面となり、ユニット天井ボード1の室内側面15と枠体11の室内側面16との間に段差が生じることが防止され意匠性が向上する。なお、本実施例においては低密度部材2と高密度部材3との間に金属部材8を積層したが、例えば図3に示すように、低密度部材2と高密度部材3とを直接積層することもできる。さらに、本実施例においては低密度部材2のさらに室内側に被覆部材10を積層したが、例えば、低密度材として発泡体を用いる場合等は、図4に示すように被覆部材10を積層せず、低密度部材2の室内側面をユニット天井ボード1の表出面とすることもできる。
【0049】
【考案の効果】
本考案のユニット天井ボードによると、係止端が強度の高い高密度部材からなることで、ユニット天井ボードの強度が向上し、長期間の使用に際しても係止端が破損等することが防止される。また、防音性や吸音性、断熱性等のユニット天井ボードの機能性は主に多孔性の低密度部材によって発揮されるため、係止端を含む高密度部材を高密度の材料から形成してもユニット天井ボードは機能性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例のユニット天井ボードを表す模式斜視図である。
【図2】本考案の実施例のユニット天井ボードを枠体に組付した際の要部拡大模式断面図である。
【図3】本考案の実施例のユニット天井ボードの他の例を表す要部拡大模式断面図である。
【図4】本考案の実施例のユニット天井ボードの他の例を表す要部拡大模式断面図である。
【図5】従来のシステム天井を表す模式分解斜視図である。
【図6】従来のユニット天井ボードと枠体との組付部分を表す模式断面図である。
【図7】従来のユニット天井ボードと枠体との組付部分を表す模式断面図である。
【符号の説明】
1:ユニット天井ボード 2:低密度部材 3:高密度部材 5:周縁部 6:低密度部材の外縁 7:係止端 8:金属部材 10:被覆部材 11:枠体
12:保持部 13:格子目内部
100:システム天井 101:枠体板 102:枠体 103:格子目 105:ユニット天井ボード 106:ハンガー 107:取付部 115:係止端
Claims (15)
- 枠体に組付され建築物のシステム天井を構成するユニット天井ボードであって、
多孔性の低密度材よりなり、前記システム天井の室内側に配置される板状の低密度部材と、
該低密度部材よりも高密度の高密度材よりなり、該低密度部材の室外側に積層一体化されその周縁部のうち少なくとも一部が該低密度部材の外縁よりさらに周方向に突出して前記枠体と係止する係止端を形成している板状の高密度部材と、を有することを特徴とするユニット天井ボード。 - 前記低密度部材と前記高密度部材とは接着されて一体化されている請求項1に記載のユニット天井ボード。
- 前記低密度材は、その密度が80〜200kg/m3の範囲である請求項1または請求項2に記載のユニット天井ボード。
- 前記高密度材は、その密度が200〜500kg/m3の範囲である請求項1から請求項3の何れかに記載のユニット天井ボード。
- 前記低密度部材は、その肉厚が7〜15mmの範囲である請求項1から請求項4の何れかに記載のユニット天井ボード。
- 前記高密度部材は、その肉厚が2〜10mmの範囲である請求項1から請求項5の何れかに記載のユニット天井ボード。
- さらに、箔状の金属部材が一体的に積層されている請求項1から請求項6の何れかに記載のユニット天井ボード。
- 前記金属部材は、前記低密度部材と前記高密度部材との間に積層されるとともに前記係止端の少なくとも一部を被覆している請求項7に記載のユニット天井ボード。
- 前記低密度部材の室内側には、さらに被覆部材が積層されている請求項1から請求項8の何れかに記載のユニット天井ボード。
- 前記被覆部材は布、不織布、樹脂フィルム、樹脂シートから選ばれる少なくとも一種よりなる請求項9に記載のユニット天井ボード。
- 前記低密度材および/または前記高密度材は繊維基材と結合材とを含む繊維成形板である請求項1から請求項10の何れかに記載のユニット天井ボード。
- 前記繊維基材は、グラスウール、ロックウール、天然植物繊維から選ばれる少なくとも1種である請求項11に記載のユニット天井ボード。
- 前記結合材は、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、無機結合材から選ばれる少なくとも1種である請求項11または請求項12に記載のユニット天井ボード。
- 前記低密度材および/または前記高密度材は発泡体である請求項1から請求項13の何れかに記載のユニット天井ボード。
- 前記発泡体は、発泡樹脂、発泡ガラスから選ばれる少なくとも1種である請求項14に記載のユニット天井ボード。
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JP2003003029U JP3098091U (ja) | 2003-05-27 | 2003-05-27 | ユニット天井ボード |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008029462A1 (fr) * | 2006-09-06 | 2008-03-13 | Daiwa House Industry Co., Ltd. | Corps de mur extérieur |
JP5479640B1 (ja) * | 2013-06-25 | 2014-04-23 | 光正 馬場 | 建築物 |
-
2003
- 2003-05-27 JP JP2003003029U patent/JP3098091U/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2008029462A1 (fr) * | 2006-09-06 | 2008-03-13 | Daiwa House Industry Co., Ltd. | Corps de mur extérieur |
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