JP3094798B2 - 抄紙機の抄替時の製品水分の制御方法およびその装置 - Google Patents

抄紙機の抄替時の製品水分の制御方法およびその装置

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JP3094798B2
JP3094798B2 JP06192556A JP19255694A JP3094798B2 JP 3094798 B2 JP3094798 B2 JP 3094798B2 JP 06192556 A JP06192556 A JP 06192556A JP 19255694 A JP19255694 A JP 19255694A JP 3094798 B2 JP3094798 B2 JP 3094798B2
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    • D21GCALENDERS; ACCESSORIES FOR PAPER-MAKING MACHINES
    • D21G9/00Other accessories for paper-making machines
    • D21G9/0009Paper-making control systems
    • D21G9/0036Paper-making control systems controlling the press or drying section
    • DTEXTILES; PAPER
    • D21PAPER-MAKING; PRODUCTION OF CELLULOSE
    • D21FPAPER-MAKING MACHINES; METHODS OF PRODUCING PAPER THEREON
    • D21F5/00Dryer section of machines for making continuous webs of paper
    • DTEXTILES; PAPER
    • D21PAPER-MAKING; PRODUCTION OF CELLULOSE
    • D21FPAPER-MAKING MACHINES; METHODS OF PRODUCING PAPER THEREON
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は蒸気ドライヤの蒸気ドラ
ムにキャンバスと共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥
させる抄紙機で該ウエブの水分率をシミュレーションす
るための定常状態シミュレーション方法およびその装置
に関し、また本発明は蒸気ドラムにキャンバスと共にウ
エブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機で該蒸気ド
ラムへの蒸気圧力を変動させた際の該ウエブの水分率を
シミュレーションするための非定常状態シミュレーショ
ン方法およびその装置に関し、更に本発明は蒸気ドラム
にキャンバスと共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥さ
せる抄紙機で抄替時に該ウエブの水分率を所定の目標値
に向かって推移させる抄替時ウエブ水分率制御方法およ
びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、抄紙機の代表的な構成例
を挙げれば、かかる抄紙機はワイヤ・パート、プレス・
パート、プレドライヤ・パート、サイズ・パート、アフ
タドライヤ・パートから構成される。ワイヤ・パートは
エンドレスに回転するワイヤからなり、その前方にはス
トック・インレットが設けられる。ストック・インレッ
トからはパルプ原料がワイヤ・パート上に吐出させら
れ、パルプ原料は該ワイヤ・パート上で濾水されて紙匹
いわゆるウエブが形成される。ワイヤ・パートを経たウ
エブはプレス・パートで更に搾水された後にプレドライ
ヤ・パートに導かれる。プレドライヤ・パートには多数
の蒸気ドラムが配列され、これら蒸気ドラムはその中に
導入される蒸気によって加熱される。ウエブはプレドラ
イヤ・パートの各蒸気ドラムに巻き付いて順次送られ、
その間に所定の水分率まで乾燥を受ける。次いで、ウエ
ブはサイズ・パートに送られ、そこでサイズ処理を受け
た後にアフタドライヤ・パートに導かれる。アフタドラ
イヤ・パートはプレドライヤ・パートと実質的に同じ構
成とされ、ウエブはそこを通過する間に所定の水分率ま
で乾燥を受ける。アフタドライヤ・パートを経たウエブ
は紙匹製品としてロール状に巻き取られる。
【0003】以上で述べたような抄紙機において、均質
な紙匹製品を得るためには、プレドライヤ・パートおよ
びアフタドライヤ・パートの直後でのウエブの坪量、水
分率等を検出し、その検出データに基づいてワイヤ・パ
ートへのパルプ原料の吐出量、蒸気ドラムの蒸気圧力等
をコントロールしなければならない。このようなコント
ロールは抄紙機に組み込まれたBM計システムにより行
われている。BM計システムの検出部はプレドライヤ・
パートおよびアフタドライヤ・パートのそれぞれの直後
に配置され、各検出部からの検出データを処理する制御
部とからなる。要するに、各検出部で検出された検出デ
ータ(ウエブの坪量、水分率および抄速等)に基づいて
ワイヤ・パートへのパルプ原料の吐出量、蒸気ドラムへ
の蒸気の供給圧力等をコントロールすることにより、紙
匹製品に均質性が与えられる。
【0004】上述したBM計システムのコントロール機
能の1つとして、抄替制御機能も組み込まれている。こ
れは、例えば、所定坪量の紙匹製品の製造が終了した後
に別の坪量の紙匹製品を製造するような場合(いわゆる
抄替)、抄紙機は停止することなくワイヤ・パートへの
パルプ原料の吐出量や蒸気圧力を変更することにより抄
替が行われる。このような抄替時には、蒸気ドラムの蒸
気圧力、抄速等も大巾に変わることになるが、過去の実
績値に基づいた簡単な予測式を用いて、蒸気ドラムの蒸
気圧力等を予測して制御することにより新たな抄物へ移
行させるコントロールを行っている。すなわち、プレド
ライヤ・パートに含まれる蒸気ドラムの蒸気圧力を適宜
調節することにより、新たな坪量のウエブの水分率が該
プレドライヤ・パートの直後で所定の目標値となるよう
に、またアフタドライヤ・パートに含まれる蒸気ドラム
の蒸気圧力を適宜調節することにより新たな坪量のウエ
ブの水分率が該アフタドライヤ・パートの直後で所定の
目標値となるように抄替制御が行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、抄替時間
中、すなわち新たな品質の抄物に移行していく迄の時間
中に得られる製品は規格外の損紙となるので、抄紙機の
作動効率を高めるためには、かかる抄替時間をできる限
り短縮することが必要である。しかし、従来のBM計シ
ステムによる抄替制御は全ての抄替のケースに対して良
好な水分コントロールが行われていないのが実態であ
る。この理由として、従来のBM計システムでは、その
抄替制御は経験的に得られた予測式に基づいて行われて
いるが、その予測式には理論的な裏付けが無いことや、
抄替時間途中のコントロール法が確立されていないこと
が挙げられる。つまり、現状では、抄替制御が首尾よく
短時間で完了する場合もあるが、多くの場合は抄替制御
に手間取るというのが実情である。
【0006】一方、プレドライヤ・パートおよびアフタ
ドライヤ・パートでウエブが各蒸気ドラムを通過する際
にウエブがどのように乾燥するかについては適当な乾燥
モデルを用いてシミュレーション計算することが可能で
あり、これにより抄替時に新たな坪量のウエブの水分率
を目標値とするために必要とされる蒸気ドラムへの蒸気
の圧力を予測して算出することができる。例えば、かか
るシミュレーション計算の従来例として、以下の文献を
挙げることができる。 1. John A. Depoy氏の"Analog computer simulation of
paper dryinga workable model (PULP AND PEPER OF C
ANADA, vol. 73, No. 5, p67,May, 1972)" 2. Jeffery A. Hinds 氏等の"The dynamic computer si
mulation of papermachine dryer (Tappi Journal, vo
l. 66, No. 6, p79, June, 1983)" 3. A. H. Nissan 氏等の"Heat transfer and water rem
oval in cylinderdrying (Tappi Journal, vol. 43, N
o. 9, Sep. 1960)"等がある。 しかし、従来の乾燥モデルを利用したシミュレーション
計算では、蒸気ドラムの温度を求める際に繰り返し行わ
れる収束計算が伴い、このため高速コンピュータ(EW
S等)を用いたとしても蒸気ドラムの温度の算出だけに
数分以上掛かるので、従来のシミュレーション計算に基
づいてプロセス状態を推定計算したり抄替制御したりす
ることは実用的とは言い難い。
【0007】したがって、本発明の目的は抄替時間を可
及的に短縮化し得る信頼性の高い抄替時の水分制御方法
およびその装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、蒸気ドライヤの蒸気ドラムにキャンバスと共にウェ
ブを巻き付けてウェブを乾燥させる抄紙機で、該ウェブ
の水分率を定常状態でコンピュータを使用してオンライ
ンでシミュレーションし出力するための定常状態シミュ
レーション方法であって、前記蒸気ドライヤの各蒸気ド
ラムの円周方向の温度は一定であると仮定して前記蒸気
ドラム、前記キャンバスおよび前記ウェブの相互間に熱
平衡式を導入して該熱平衡式を差分方程式に書き直すこ
とと、検出器により、少なくともドライヤ蒸気圧力、ウ
ェブ坪量、抄速、最終ウェブ水分率(ドライヤパート出
口のウェブ水分率)の各値を取り込むことと、前記差分
方程式に適当な初期値を与えると共に所定の時間間隔で
該差分方程式を繰り返し解くことにより、前記ウェブの
移動方向に沿って前記各蒸気ドラムの温度、前記キャン
バスの温度および前記ウェブの温度を算出して前記ウェ
ブのドライヤパート内の移動方向に沿うウェブ水分率推
移パターンを求めることと、前記水分率推移パターンか
ら得られる最終水分率値を検出器により取り込んだ実際
の測定値と比較することと、前記水分値が前記測定値に
対して所定の許容範囲内にあるか否かを判断すること
と、前記判断によって前記最終水分率値が所定の許容範
囲内から外れると判断された際にウェブの乾燥速度係数
を補正してウェブ水分率推移パターンを再度求め、これ
を最終水分率値が測定値に所定の許容範囲内で一致する
まで繰り返すことにより、定常状態ウェブ水分率推移パ
ターンを求めることと、該定常状態ウェブ水分率推移パ
ターンを出力することとからなるコンピュータを使用し
たオンラインでのウェブ水分率の定常状態シミュレーシ
ョン方法を要旨とする。請求項2に記載の本発明は、蒸
気ドラムにキャンバスと共にウエブを巻き付けてウエブ
を乾燥させる抄紙機で該ウエブの水分率を定常状態でシ
ミュレーションするための定常状態シミュレーション装
置であって、前記蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの円周方
向の温度は一定であると仮定して前記蒸気ドラム、前記
キャンバスおよび前記ウエブの相互間に導入された熱平
衡式を差分方程式として記憶する記憶手段と、前記記憶
手段に記憶された差分方程式に適当な初期値を与えると
共に所定の時間間隔で該差分方程式を繰り返し解くこと
により、前記ウエブの移動方向に沿って前記各蒸気ドラ
ムの温度、前記キャンバスの温度および前記ウエブの温
度を算出して前記ウエブの移動方向に沿うウエブ水分率
推移パターンを求める計算手段と、前記水分率推移パタ
ーンから得られる最終水分値を実際の測定値と比較する
比較手段と、前記最終水分値が前記測定値に対して所定
の許容範囲内にあるか否かを判断する判断手段とよりな
り、前記判断手段によって前記最終水分値が所定の許容
範囲内から外れると判断された際にウエブの乾燥速度係
数を補正してウエブ水分率推移パターンを再度求め、こ
れを水分値が測定値に所定の許容範囲内で一致するまで
繰り返す手段とからなる定常状態シミュレーション装置
を要旨とする。
【0009】請求項3に記載の本発明は、蒸気ドライヤ
の蒸気ドラムにキャンバスと共にウェブを巻き付けてウ
ェブを乾燥させる抄紙機で、該蒸気ドラムへの蒸気圧力
を変動させた際の該ウェブの水分率を非定常状態でコン
ピュータを使用してオンラインでシミュレーションし出
力するための非定常状態シミュレーション方法であっ
て、前記蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの円周方向の温度
は一定であると仮定して前記蒸気ドラム、前記キャンバ
スおよび前記ウェブの相互間に熱平衡式を導入して該熱
平衡式を差分方程式に書き直すことと、前記仮定による
誤差を修正するために前記蒸気ドラムへの蒸気圧力を変
動させた際に該蒸気ドラムの温度応答遅れを導入しつ
つ、検出器により、少なくともドライヤ蒸気圧力、ウェ
ブ坪量、抄速、最終ウェブ水分率値の各値を取り込み、
前記差分方程式に基づいて前記ウェブのドライヤパート
内の移動方向に沿う該ウェブの時間経過に伴う水分率推
移パターンを所定の時間間隔で繰り返し求め出力するこ
ととからなるコンピュータを使用したオンラインでのウ
ェブ水分率の非定常状態シミュレーション方法を要旨と
する。請求項4に記載の本発明は、蒸気ドラムにキャン
バスと共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙
機で該蒸気ドラムへの蒸気圧力を変動させた際の該ウエ
ブの水分率をシミュレーションするための非定常状態シ
ミュレーション装置であって、前記蒸気ドライヤの各蒸
気ドラムの円周方向の温度は一定であると仮定して前記
蒸気ドラム、前記キャンバスおよび前記ウエブの相互間
に導入された熱平衡式を差分方程式として記憶する記憶
手段と、前記仮定による誤差を修正するために前記蒸気
ドラムへの蒸気圧力を変動させた際に該蒸気ドラムの温
度応答遅れを導入しつつ、前記ウエブの移動方向に沿う
該ウエブの時間経過に伴う水分率推移パターンを所定の
時間間隔で繰り返し求める計算手段とからなる非定常状
態シミュレーション装置を要旨とする。
【0010】請求項5に記載の本発明は、蒸気ドライヤ
の蒸気ドラムにキャンバスと共にウエブを巻き付けてウ
エブを乾燥させる抄紙機で抄替時に該蒸気ドラムへの蒸
気圧力の時間的推移をコントロールすることにより該ウ
エブの水分率を所定の目標値に向かって推移させる抄替
時ウエブ水分率制御方法であって、前記蒸気ドライヤの
各蒸気ドラムの円周方向の温度は一定であると仮定して
前記蒸気ドラム、前記キャンバスおよび前記ウエブの相
互間に熱平衡式を導入して該熱平衡式を差分方程式に書
き直すことと、前記差分方程式に適当な初期値を与えて
前記ウエブの移動方向に沿うウエブ水分率推移パターン
を求めることと、前記ウエブ水分率推移パターンに対す
るウエブ水分率目標パターンを設定することと、前記ウ
エブ水分率推移パターンを前記ウエブ水分率目標パター
ンに実質的に一致させるべく前記蒸気ドラムへの蒸気圧
力を所定の時間間隔で変動させつつ、しかも該蒸気ドラ
ムの温度応答遅れを仮定的に導入しながら、該ウエブ水
分率推移パターンを繰り返し求めて時間的な蒸気圧力推
移パターンを作成することとからなり、実際の抄替時に
前記蒸気圧力推移パターンに従って前記蒸気ドラムへの
蒸気圧力を調節することを特徴とする抄替時ウエブ水分
率制御方法を要旨とする。請求項6に記載の本発明は、
蒸気ドライヤの蒸気ドラムにキャンバスと共にウエブを
巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機で抄替時に該蒸気
ドラムへの蒸気圧力の時間的推移をコントロールするこ
とにより該ウエブの水分率を所定の目標値に向かって推
移させる抄替時ウエブ水分率制御装置であって、前記蒸
気ドライヤの各蒸気ドラムの円周方向の温度は一定であ
ると仮定して前記蒸気ドラム、前記キャンバスおよび前
記ウエブの相互間に導入された熱平衡式を差分方程式と
して記憶する記憶手段と、前記差分方程式に適当な初期
値を与えて前記ウエブの移動方向に沿うウエブ水分率推
移パターンを求める計算手段と、前記ウエブ水分率推移
パターンに対するウエブ水分率目標パターンを設定する
設定手段と、前記ウエブ水分率推移パターンを前記ウエ
ブ水分率目標パターンに実質的に一致させるべく前記蒸
気ドラムへの蒸気圧力を所定の時間間隔で変動させつ
つ、しかも該蒸気ドラムの温度応答遅れを仮定的に導入
しながら、該ウエブ水分率推移パターンを繰り返し求め
て時間的な蒸気圧力推移パターンを作成する作成手段と
からなり、実際の抄替時に前記蒸気圧力推移パターンに
従って前記蒸気ドラムへの蒸気圧力を調節することを特
徴とする抄替時ウエブ水分率制御装置を要旨とする。
【0011】
【作用】以上の記載から明らかなように、本発明によれ
ば、近似的に抄紙機の各々の蒸気ドラム円周まわりの温
度が一定、つまり各蒸気ドラムの周囲に沿う温度差を零
と仮定して蒸気ドラム、キャンバスおよびウエブの相互
間に導入された熱平衡式に基づいてドラム温度を計算す
るので、その計算を高速に行うことが可能である。
【0012】
【実施例】次に、添付図面を参照して、本発明による抄
替制御装置の一実施例について説明する。先ず、図1に
抄紙機の代表的な構成例を示し、この抄紙機に本発明に
よる抄替制御装置を実施化した際のブロック図を図2に
示す。なお、図3および図4は図2に示したブロック図
の部分拡大図であり、図3には図2の分割線D−Dに対
して左半分が図示され、図4には該分割線D−Dに対し
て右半分が図示されている。図1および図2に示すよう
に、抄紙機にはワイヤ・パート10と、プレス・パート
12と、プレドライヤ・パート14と、サイズ・パート
16と、アフタドライヤ・パート18とが設けられる。
【0013】ワイヤ・パート10はエンドレスに回転す
るワイヤ10aからなり、このワイヤ10aは駆動ロー
ル10bと、この駆動ロール10bに対して適宜配置さ
れた多数のガイドロール10cとに掛け渡され、駆動ロ
ール10bはワイヤ10aの上側走行部を矢印A(図
1、図2および図3)の方向に移動させるように適当な
駆動モータ(図示されない)によって回転される。ワイ
ヤ10aの上流側の端にはストック・インレット20が
配置され、このストック・インレット20からはパルプ
原料が該上側走行部上に吐出させられる。パルプ原料は
ワイヤ10aの上側走行部上で濾水され、これにより該
上側走行部上には紙匹いわゆるウエブWE(図1、図2
および図3)が形成される。ウエブWEの形成時に濾水
された水は白水と呼ばれ、低濃度のパルプを含む。その
白水はワイヤ・パート10の下側に配置されたトラフ2
2(図2および図3)を介して白水ピット24に集めら
れる。白水ピット24は配管26によってストック・イ
ンレット20に接続され、該配管26には適当なポンプ
28が設けられる。パルプ供給配管30が配管32を介
して白水ピット24とポンプ28との間で配管26に接
続され、該配管32には適当なバルブ34が組み込まれ
る。ポンプ28の作動中にバルブ34の開度を調節する
ことにより、ストック・インレット20へ送液されるパ
ルプ濃度が調節される。
【0014】ワイヤ・パート10を経たウエブWEはプ
レス・パート12で更に搾水され、このときウエブWE
の水分率は60%程度である。その後、ウエブWEはプレ
ドライヤ・パート14に導かれる。プレドライヤ・パー
ト14には多数の蒸気ドラム14aが配列され、これら
蒸気ドラム14aはその中に導入される蒸気によって加
熱される。ウエブWEはプレドライヤ・パート14の蒸
気ドラム14aに巻き付いて順次送られ、その間に該ウ
エブWEは所定の水分率まで乾燥される。次いで、ウエ
ブWEはサイズ・パート16に送られ、そこでサイズ処
理を受けた後にアフタドライヤ・パート18に導かれ
る。アフタドライヤ・パート18はプレドライヤ・パー
ト16と実質的に同じ構成とされ、ウエブWEはそこを
通過する間に所定の水分率まで乾燥される。その後、ア
フタドライヤ・パート18を経たウエブWEは参照符号
36で示すように製品としてロール状に巻き取られる。
【0015】ドライヤ・パート14(18)について更
に詳しく説明すると、図5に示すように、蒸気ドラム1
4a(18a)にはエンドレスのキャンバス14b(1
8b)が巻き付けられ、ウエブWEは該キャンバス14
b(18b)と共に蒸気ドラム14a(18a)間を通
過する。図5に示す例では、ドライヤ・パート14(1
8)にはシングル・キャンバス・ドライヤ構造(図5の
左側)とダブル・キャンバス・ドライヤ構造(図5の右
側)との双方が設けられる。なお、図5において、各蒸
気ドラム14a(18a)に書き込まれた矢印は各ドラ
ムの回転方向を示す。
【0016】図1では、図示の便宜上、プレドライヤ・
パート14に配列された蒸気ドラム14aの本数は20本
としているが、それ以上の本数の蒸気ドラム14aを配
列してもよい。例えば、本実施例では、図2、図3およ
び図4のように、蒸気ドラム群14aは第1のセクショ
ン141 、第2のセクション142 および第3のセクシ
ョン143 に分割している。第1のセクション141
含まれる蒸気ドラム14aには共通の蒸気供給ヘッダー
381 と共通の蒸気ドレン排出ヘッダー401とが設け
られ、同様に第2および第3のセクション142 および
143 のそれぞれに含まれる蒸気ドラム14にも共通の
蒸気供給ヘッダー382 および383 と共通の蒸気ドレ
ン排出ヘッダー402 および403 とが設けられる。一
方、アフタドライヤ・パート18に配列された蒸気ドラ
ム群18aは第1のセクション181 および第2のセク
ション182 に分割されている。第1のセクション18
1に含まれる蒸気ドラム18aには共通の蒸気供給ヘッ
ダー421 と共通の蒸気ドレン排出ヘッダー441 とが
設けられ、同様に第2のセクション182 に含まれる蒸
気ドラム18aには共通の蒸気供給ヘッダー422 と共
通の蒸気ドレン排出ヘッダー442 とが設けられてい
る。
【0017】図3および図4に最もよく示すように、蒸
気供給ヘッダー381 、382 および383 のそれぞれ
からは配管461 、462 および463 が延び、これら
配管461 、462 および463 は共通の主蒸気管48
を介して蒸気発生源(図示されない)に接続される。配
管461 、462 および463 のそれぞれにはバルブ4
1 、482 および483 が設けられ、これらバルブ4
1 、482 および483 のそれぞれにはバルブ・コン
トローラ501 、502 および503 が組み込まれる。
蒸気供給ヘッダー381 と蒸気供給ヘッダー382 との
間にはその間の蒸気圧の差を検出する差圧センサ52が
設けられ、この差圧センサ52はバルブ・コントローラ
501 に接続され、同様に蒸気供給ヘッダー382 と蒸
気供給ヘッダー383 との間にはその間の蒸気圧の差を
検出する差圧センサ54が設けられ、この差圧センサ5
4はバルブ・コントローラ502 に接続される。また、
蒸気供給ヘッダー383 にはその蒸気圧を検出する圧力
センサ56が設けられ、この圧力センサ56はバルブ・
コントローラ503 に接続される。一方、蒸気供給ヘッ
ダー421 および422 のそれぞれからは配管581
よび582 が延び、これら配管581 および582 は共
通の主蒸気管60を介して蒸気発生源(図示されない)
に接続される。配管581 および582 のそれぞれには
バルブ621および622 が設けられ、これらバルブ6
1 および622 のそれぞれにはバルブ・コントローラ
641 および642 が組み込まれる。蒸気供給ヘッダー
421と蒸気供給ヘッダー422 との間にはその間の蒸
気圧の差を検出する差圧センサ66が設けられ、この差
圧センサ66はバルブ・コントローラ641 に接続され
る。また、蒸気供給ヘッダー422 にはその蒸気圧を検
出する圧力センサ68が設けられ、この圧力センサ68
はバルブ・コントローラ642 に接続される。
【0018】蒸気ドレン排出ヘッダー401 からは配管
701 が延び、この配管701 はフラッシュ・タンク7
1 に接続され、同様に蒸気ドレン排出ヘッダー402
および403 のそれぞれからは配管702 および703
が延び、これら配管702 および703 はそれぞれフラ
ッシュ・タンク722 および723 に接続される。図3
および図4に最もよく図示するように、フラッシュ・タ
ンク701 、702 および703 は配管74および76
を介して互いに直列に接続される。フラッシュ・タンク
701 は配管78によってドレイン・ポンプ80に接続
される。フラッシュ・タンク702 は配管82を介して
蒸気供給ヘッダー381 に接続され、同様にフラッシュ
・タンク3 は配管84を介して蒸気供給ヘッダー382
に接続される。一方、蒸気ドレン排出ヘッダー441
らは配管86が延び、この配管86はフラッシュ・タン
ク723 に接続される。また、蒸気排出ドレンヘッダー
442 からは配管88が延び、この配管88はフラッシ
ュ・タンク90に接続される。フラッシュ・タンク90
は配管92を介して蒸気供給ヘッダー421 に接続され
る。
【0019】以上で述べたような抄紙機において、均質
な紙匹製品を得るためには、プレドライヤ・パートおよ
びアフタドライヤ・パートの直後でウエブの坪量、水分
率等を検出し、その検出データに基づいてワイヤ・パー
トへのパルプ原料の吐出量、蒸気ドラムへの蒸気の圧力
および抄速を制御しなけらばならい。このような制御自
体は先に述べたように周知のBM計システムを抄紙機に
組み込むことにより行うことが可能である。BM計シス
テムはプレドライヤ・パート14の直後に設けられた第
1の検出部94と、アフタドライヤ・パート18の直後
に設けられた第2の検出部96と、これら検出部94お
よび96から検出された検出データを処理して抄紙機の
作動を制御するBM計制御部98とからなる。
【0020】第1の検出部94はプレドライヤ・パート
14を経た直後のウエブWEの坪量、水分率等を検出
し、また第2の検出部96はアフタドライヤ・パート1
8を経た直後のウエブWEの坪量、水分率等を検出す
る。図3および図4から明らかなように、BM計制御部
98にはパルプ供給配管30に対して設けられたバルブ
34が接続され、該BM計制御部98からの制御信号に
よりバルブ34の開度が調節され、これによりストック
・インレット20へのパルプ原料のパルプ濃度が制御さ
れる。すなわち、BM計制御部98はバルブ34の開度
を調節することによりウエブWEの坪量を制御する。ま
た、BM計制御部98はワイヤ・パート10でワイヤ1
0aを駆動する駆動ロール10bの駆動モータにも制御
信号を送り、これにより抄速が制御される。更に、BM
計制御部98には、プレドライヤ・パート14の第1、
第2および第3のセクション141 、142 および14
3 のそれぞれに設けられたコントローラ501 、502
および503 と、アフタドライヤ・パート18の第1お
よび第2のセクション181 および182 のそれぞれに
設けられたコントローラ641 および642 とが接続さ
れ、該BM計制御部98からは各コントローラ501
502 、503 、641 、642 に制御信号を送り、こ
れにより各セクション141 、142 、143 、1
1 、182 の蒸気ドラム14a、18aへの蒸気圧力
がバルブの開閉により制御される。なお、各コントロー
ラ501 、502 、503 、641 、642 の制御はそ
の該当センサ52、54、56、66、68から検出さ
れる蒸気圧力データに基づいて行われる。
【0021】要するに、第1および第2の検出部94お
よび96で検出された検出データ((ウエブの坪量、水
分率等)をBM計制御部98で処理し、それに基づいて
ワイヤ・パート10へのパルプ原料の吐出量、各セクシ
ョン141 、142 、143、181 、182 の蒸気ド
ラム14a、18aへの蒸気供給圧力および抄速をコン
トロールすることにより、所定の製品を製造できる。
【0022】以上で述べた抄紙機およびその作動制御自
体は周知であり、本発明はそのような抄紙機で抄替制御
を速やかにかつ短時間で行い得る抄替制御装置に向けら
れている。本発明による抄替制御装置では、図6に示す
ようなアイロン・モデルに基づいて抄替制御が行われ
る。図6のアイロン・モデルは図5に示したドライヤ構
造と等価なものである。すなわち、図5では、ウエブW
Eはキャンバス14b(18b)と共に蒸気ドラム14
a(18a)に巻き付いて通過する間に該蒸気ドラム1
4a(18a)から熱を受けて乾燥されるが、これは図
6に示すように所定の間隔で固定配置されたアイロン1
4a′(18a′)と、それらアイロン14a′(18
a′)上に適宜組み込まれたキャンバス部14b′(1
8b′)とによって形成される通路にウエブWEを通過
させて該ウエブWEを乾燥させる場合と等価である。要
するに、図5でウエブWEが蒸気ドラム14a(18
a)からキャンバス14b(18b)を介して熱を受け
る区間は、図6ではウエブWEがアイロン14a′(1
8a′)からキャンバス部14b′(18b′)を介し
て熱を受ける区間に対応し、また図5でウエブWEが蒸
気ドラム14a(18a)から直接的に熱を受ける区間
は、図6ではウエブWEがアイロン14a′(18
a′)から直接的に熱を受ける区間に対応する。何れの
アイロン14a′(18a′)からも熱を受けない区間
はフリーランと呼ばれ、この例では、ウエブWEがキャ
ンバス部14b′(18b′)と接触した区間と、ウエ
ブWEが単独になる区間とがある。なお、図6におい
て、ウエブWEからの水分が蒸発していく状態を多数の
矢印で示している。
【0023】図6に示したアイロン・モデルに基づい
て、蒸気ドラム14a′(18a′)と、キャンバス
4b′(18b′)と、ウエブWEとの各要素について
熱バランス式の一例を示すと以下のようになる。
【0024】
【数1】
【0025】上記式中のパラメータは以下の通りであ
る。 LD : ドラム厚さ (m) LW : ウエブ厚さ (m) LF : キャンバス厚さ (m) TS : ドラム内蒸気温度 (℃) Ta : 外気温度 (℃) T1 : ドラム代表温度 (℃) T2 : ウエブ代表温度 (℃) T3 : キャンバス代表温度 (℃) CD : ドラムの比熱 (kcal/kg ・ ℃) CW : ウエブの比熱 (kcal/kg ・ ℃) CF : キャンバスの比熱 (kcal/kg ・ ℃) ρD : ドラムの密度 (kg/m 3 ) ρW : ウエブの密度 (kg/m 3 ) ρF : キャンバスの密度 (kg/m 3 ) hS : ドラム内蒸気とドラム内表面との間の熱伝達率 (kcal/m2 ・ sec ・ ℃) hDW: ドラム外表面とウエブ面との間の熱伝達率 (kcal/m2 ・ sec ・ ℃) hWF: ウエブ表面とキャンバスとの間の熱伝達率 (kcal/m2 ・ sec ・ ℃) ha : キャンバスと外気との間の熱伝達率 (kcal/m2 ・ sec ・ ℃) V : 水分蒸発係数 (--) (なお、水分蒸発関数とは、恒率乾燥、減率乾燥といったウエブ水分率に より変化する水分蒸発強度を表す係数) K : ウエブから雰囲気への水分乾燥速度係数 (H2O kg/kg ・ Hr.) PW : ウエブ温度での水の飽和蒸気圧力 (kg/m2) Pad: 外気湿球温度での水の飽和蒸気圧力 (kg/m2) H : 水の気化熱 (kcal/H2O kg) 式(1) はドラム材料の蓄熱量の時間に対する変化率はド
ラム内蒸気からドラム材料に流入する熱とドラム材料か
ら流出する熱との差に等しいということに基づくもので
あり、式(2) および式(3) についても同様である。
【0026】ところで、蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの
円周まわりの任意箇所における温度変化に注目すると、
その箇所の温度はウエブとの接触により低下し、ウエブ
からの離脱により上昇することになる。従来、ドラムの
温度をシミュレーション計算によって求める場合、かか
る任意箇所に適当な初期値を与え、次いで任意箇所の温
度変化を所定の時間間隔で算出し、蒸気ドラムが丁度一
回転した際の算出温度を初期値と比較し、次にその算出
温度を初期値として再び同様な計算を繰り返し、算出値
が初期値と一致した時点でドラム温度が求められたもの
としていた。このような収束計算は先に述べたように非
常に時間がかり、このため高速コンピュータ(EWS
等)を用いたとしても全蒸気ドラムの温度の算出には数
分以上の時間がかかり、従来のシミュレーション計算の
方法に基づいてウエブ水分率の状態を推定したり抄替制
御をオンラインで行うことは難しかった。
【0027】本発明による水分のシミュレーション計算
およびそれを応用した抄替制御は蒸気ドラムの円周まわ
りの温度変化については実質的に無視し得るという仮定
に基づくものである。すなわち、本発明によれば、蒸気
ドラム自体はかなり高速な速度で連続的に回転している
ので、たとえ蒸気ドラム表面がウエブの接触区域とウエ
ブの非接触区域とに分けられるにしても、定常の運転状
態では、その温度変化はきわめて小さなものであるとい
うことを前提としている。従来の蒸気ドラム温度のシミ
ュレーション計算結果でも温度差は1℃程度以下であ
り、蒸気ドラムの同一円周上の温度差は殆ど見られな
い。すなわち、本発明によるウエブ水分のシミュレーシ
ョン計算およびそれを応用した抄替制御では、以下の仮
定が導入される。
【0028】
【数2】
【0029】本発明では、上述したように、dT1/dt = 0
であると仮定してるために、式(1) 中でドラムの熱容
量の効果を表す項、すなわち(LD ・ ρD ・ C D ) が無視
されることになる。定常状態の計算では、これは余り問
題にはならないが、抄替時にドラムの蒸気圧が変更され
た際や抄速が変更された際のドラム温度の経時的な遅れ
といった非定常時の動的シミュレーションを行う場合、
上述のモデルだけではドラム温度の変化現象を表現する
ことができない。この効果は無視し得ないので、以下の
ような一次遅れ関数のモデルを人工的に組み込み、これ
により非定常状態のシミュレーション計算時には蒸気圧
の変更に対して、その応答圧力が時間遅れを伴って漸近
的に変化するように考慮して蒸気温度を計算していくこ
とでかかる問題を解決する。
【0030】
【数3】
【0031】また、本発明によるモデルでは、ウエブか
ら蒸発する水分量は以下の式に示すようにウエブと外気
との両温度での水の飽和蒸気圧の差に比例すると近似的
に仮定したが、更に精密なモデル式を導入してもよい。
例えば、正確には、ウエブから蒸発水分量はウエブ温度
と外気温度とでの水蒸気の濃度差により決まるので、こ
れに基づいてウエブの水分率を計算してもよい。
【0032】
【数4】
【0033】本実施例にあっては、図3および図4に示
すように、本発明による抄紙制御装置は従来のBM計シ
ステムの制御部98に接続された高速マイクロコンピュ
ータ100からなり、このマイクロコピュータ100
は手動入力手段例えばキーボード102および適当な表
示装置例えばCRT(図示されない)等を含む。
【0034】本発明によれば、抄紙機の定常状態シミュ
レーションは図7に示すように行われる。先ず、ステッ
プ701では、マイクロコピュータ100は操業中の
抄紙機のBM計システムから抄速、坪量、最終ウエブ水
分(即ち、検出部94および96でのウエブ水分検出デ
ータ)、各ドライヤ・セクション141 、142 、14
3、181 、182 での蒸気圧力、その他のセンサ(図
示されない)から各ドライヤ・パート14の導入部での
ウエブ水分、各ドライヤ・パート14、18での空気温
度等のプロセス値を取り込む。次いで、ステップ702
では、ウエブWEの水分乾燥速度係数Kを任意に設定
し、またステップ703では各ドライヤ・セクション1
1 、142 、143 、181 、182 での蒸気圧力を
蒸気温度に換算する。
【0035】ステップ704、705および706のそ
れぞれでは、各ドライヤ・セクション141 、142
143 、181 、182 の各部所で上記式(5) 、式(6)
および式(4) に基づいてウエブWE温度、キャンバス1
4b、18bの温度および蒸気ドラム14a、18aの
温度を計算する。次いで、ステップ707では、それら
計算温度から上記式(8) に基づいてウエブWEからの蒸
発量を計算し、続いてステップ708では、上記式(9)
に基づいてウエブWEの水分率を計算する。
【0036】ステップ709では、各ドライヤ・セクシ
ョン141 、142 、143 、18 1 、182 で所定の
時間間隔で全ドライヤ・パートでのウエブWEの水分率
が計算されたか否かが判断される。詳述すると、図8に
示すように、図6のモデルを用いて、適当な微小な時間
幅Δt(例えば20mm秒程度)毎にウエブWEの水分率が
計算される。このような時間幅Δt毎の計算が全てのド
ライヤ・セクション141 、142 、143 、181
182 について行われると、ウエブ水分率の推移パター
ンは図9に示すようなものとなる。
【0037】ステップ710では、上述のように計算さ
れたウエブ水分率パターンのうちの2つの水分率データ
が測定値と比較される。即ち、プレドライヤ・パート1
4を経た直後のウエブ水分率PM(図8)はBM計シス
テムの検出部94で実測されたウエブ水分値と比較さ
れ、またアフタドライヤ・パート18を経た直後のウエ
ブ水分率AM(図8)はBM計システムの検出部96で
実測されたウエブ水分値と比較される。その差が許容範
囲から外れるとき、ステップ711に進み、そこで水分
乾燥速度係数Kが補正され、再び図6のモデルに基づい
てシミュレーション計算が再び行われる。ステップ71
0でウエブ水分率の計算値が測定値と許容範囲内で一致
すると、ステップ712に進み、そこでシミュレーショ
ンの計算結果がマイクロコピュータ100のCRT上に
表示される。
【0038】なお、従来の収束計算の伴う定常状態シミ
ュレーションでは、高速なEWSを用いても通常5分程
度の時間が必要とされたが、本発明によれば、1ないし
2秒程度で定常状態シミュレーションを完了することが
可能である。
【0039】本発明によれば、非定常状態シミュレーシ
ョン、例えば抄紙機の抄替(坪量・抄速変更)時でのシ
ミュレーションは図10に示すように行われる。このよ
うな非定常状態シミュレーションは、例えば図11に示
すように、抄紙機の或る時点で上述の定常状態シミュレ
ーション計算を行った際のウエブ水分率推移パターンが
図11で参照符号MP1 によって示されるものであると
き、そのウエブ水分率推移パターンMP1 を参照符号M
2 で示すウエブ水分率推移パターンに変更する場合に
相当する。
【0040】先ず、ステップ1001では、各ドライヤ
・セクション141 、142 、14 3 、181 、182
での蒸気圧力、抄速、坪量等の操業プロセス値の変更軌
跡を決定する。これら変更軌跡は坪量や抄速の変更量に
応じて適宜選択される。
【0041】ステップ1002では、抄速、坪量、最終
ウエブ水分(即ち、検出部94および96でのウエブ水
分検出データ)、各ドライヤ・セクション141 、14
2 、143 、181 、182 での蒸気圧力、ドライヤ・
パート14の導入部でのウエブ水分、各ドライヤ・パー
ト14、18での空気温度等の計算時間に見合った値を
取り込む。次いで、ステップ1003では、各ドライヤ
・セクション141 、142 、143 、181 、182
での蒸気圧力を蒸気温度に換算する際に上記式(7) に基
づいて各ドライヤ・セクションで蒸気温度の応答遅れを
導入する。
【0042】ステップ1004では、図7で示した同様
な定常状態シミュレーション計算が行われ、次いでステ
ップ1005に進み、そこでは全シミュレーション時間
に亙って計算が終了したか否かが判断される。計算が終
了していなとき、ステップ1006で所定の計算時間
間隔をΔT(図11)だけ進めて、シミュレーション計
算を繰り返す。具体的に言うと、例えば、図12に示す
ように、ある時点すなわちT=Tの時点で、ドライヤ・
パートでの蒸気ドラム温度の分布がTd1 およびTd2
であり、キャンバスの温度分布が…Tc1 〜Tc6 …で
あり、ウエブの温度分布および水分分布がそれぞれ…T
1 〜Tw6 …および…M1 〜M6 …であるとすると、
これらデータを初期値として非定常状態シミュレーショ
ン計算を行うと、蒸気ドラム温度の分布はTd1 および
Td2 からTd1 ′およびTd2′に推移し、キャンバ
スの温度分布は…Tc1 〜Tc6 …から…Tc1 ′〜T
6 ′…に推移し、ウエブの温度分布および水分分布は
それぞれ…Tw1 〜Tw6…および…M1 〜M6 …から
…Tw1 ′〜Tw6 ′…および…M1 ′〜M6 ′…に推
移したものとなる。次いで、蒸気ドラム温度の分布Td
1 ′およびTd2 ′に対して、キャンバスの温度分布…
Tc1 ′〜Tc7 ′…、ウエブの温度分布…Tw1 〜T
7 …およびウエブの水分分布…Tw1 ′〜Tw7 ′…
および…M1′〜M7 ′…をそれぞれ一データ分だけず
らすと共にこれらデータを初期値として非定常状態シミ
ュレーション計算を再び行うと、蒸気ドラム温度の分布
はTd1 ′およびTd2 ′からTd1 ″およびTd2
に推移し、キャンバスの温度分布は…Tc1 ′〜T
7 ′…から…Tc1 ″〜Tc7 ″…に推移し、ウエブ
の温度分布および水分分布はそれぞれ…Tw1 ′〜Tw
7 ′…および…M1 ′〜M7′…から…Tw1 ″〜Tw
7 ″…および…M1 ″〜M7 ″…に推移したものとな
る。このようにして、各ドライヤ・セクションでのウエ
ブ水分率推移パターンMP1 はΔTの時間刻みでウエブ
水分率推移パターンMP2 に向けてシミュレート計算さ
れる。
【0043】なお、従来の収束計算の伴う非定常状態シ
ミュレーション方法では、EWSを用いても1ないし2
時間程度が必要とされたが、本発明によれば、1ないし
2分程度で非定常状態シミュレーションを完了すること
が可能である。
【0044】上述した定常状態シミュレーションおよび
非定常状態シミュレーションに基づき、図13のフロー
チャートを参照して、本発明による抄替時のウエブ水分
コントロールについて説明する。
【0045】先ず、ステップ1301では、マイクロコ
ピュータ100側から抄替条件、即ち抄替後の坪量、
抄速、ウエブ最終水分等を設定する。ステップ1302
では、BM計システムから抄紙機の現操業時での操業プ
ロセス値を取り込み、次いでステップ1303では、そ
れら操業プロセス値に基づいて定常状態シミュレーショ
ン(図7)を行って、ウエブWEの水分乾燥速度係数K
を決定する。
【0046】ステップ1304では、抄替後の操業プロ
セス値例えばグレードNo. 、抄速、坪量、ウエブ水分値
等を取り込み、次いでステップ1305では、抄替条件
に基づいて、抄替時間長を決定する。すなわち、抄速、
坪量等の操業プロセス値の時間的な変化軌跡を抄替条件
に基づいて決定する。
【0047】ステップ1307では、各ドライヤ・セク
ション141 、142 、143 、181 、182 の出口
側でのウエブWEの抄替後の水分ターゲット値が決定さ
れ、それら水分ターゲット値は例えば図11で参照符号
PTe 1 、PTe 2 、PTe 3 、ATe 1 およ
びATe 2 で示されるものである。次いで、ステップ
1308では、各ドライヤ・セクション141 、1
2 、143 、181 、182 でのウエブWEの抄替途
中の水分ターゲット値の推移プロフィールが決定され、
それら推移プロフィールは図11で参照符号ptm1
ptm2 、ptm3、atm1 およびatm2 で示され
るものである。続いて、ステップ1309では、上述の
水分ターゲット値からウエブ水分の許容誤差を適宜決定
しておく。
【0048】ステップ1310では、各ドライヤ・セク
ション141 、142 、143 、181 、182 の蒸気
圧力が設定され、この蒸気圧は初期値としてステップ1
301で取り込まれた蒸気圧力、即ち現操業での蒸気圧
力としておくのが好ましい。次いで、ステップ1311
では、各ドライヤ・セクション毎に、抄替シミュレーシ
ョン時間長に亘って、非定常状態シミュレーション(図
10)が順次行われ、各ドライヤ・セクションの出口側
でのウエブ水分率推移パターンが求められる。続いて、
ステップ1312では、該ウエブ水分率推移パターンか
ら得られるウエブ水分率がそれぞれの水分ターゲット値
と比較され、その差が許容範囲から外れるとき、ステッ
プ1313に進み、そこで該当ドライヤ・セクションの
蒸気圧力が微調整され、再び非定常状態シミュレーショ
ン計算が繰り返される。
【0049】ステップ1313での蒸気圧力の微調整法
について述べると、ウエブの或る部位の水分値が目標値
を越えたときには、蒸気圧力が低すぎたことを意味する
ので、この場合には予め定めておいた蒸気圧力補正量Δ
pを現在の蒸気圧力設定値に加算してシミュレーション
計算を繰り返す。その結果、ウエブの同じ部位の水分値
が目標値に届かなかったときには、前回の蒸気圧力補正
量Δpが大きすぎたことになるので、このとき蒸気圧力
補正量の半分すなわちΔp/2を今回の蒸気圧力設定値
から減じてシミュレーション計算を繰り返す。このよう
に目標値からの誤差方向が逆転した場合には、蒸気圧力
補正量を半分ずつ小さくしながら、計算結果を目標水分
値の許容範囲内にたたみ込み、これにより適切な蒸気圧
力を効率よく求めることができる。
【0050】ステップ1312でウエブ水分率がそれぞ
れの水分ターゲット値と許容範囲内で一致すると、ステ
ップ1314に進み、そこで全てのドライヤ・セクショ
ン141 、142 、143 、181 および182 でのシ
ミュレーション計算が完了したか否かが判断される。即
ち、抄替シミュレーション時間長に亙って、各ドライヤ
・セクションのシミュレーション計算がΔT(図11)
の時間刻み幅で繰り返し行われる。
【0051】全てのシミュレーション計算が完了する
と、ステップ1214に進み、そこでその計算結果の一
部、即ち各ドライヤ・セクション141 、142 、14
3 、181 、182 での蒸気圧力の推移パターンが蒸気
圧力コントロール・パターンとしてマイクロコピュー
タ100のメモリ内に格納される。
【0052】図15には、上述のシミュレーション計算
の主要なプロセス値のコントロール状態のタイムチャー
トを例示する。図15中段に示すように、この例では、
抄速が上昇させられて坪量を小さくする場合が示され、
また図15下段には、上述のシミュレーションによって
得られるウエブ水分率推移パターン(斜線領域は許容誤
差範囲)と蒸気圧力のコントロール・パターンを模式的
に図示する。なお、図15では、アフタドライヤ・パー
ト18のドライヤ・セクションについては省略されてい
る。
【0053】ステップ1316では、抄替開始が指令さ
れたか否かが判断される。これはマイクロコピュータ
100の入力手段例えばキーボード102等でオペレー
タが操作することにより行われる。抄替指令がオペレー
タによって発せられたとき、ステップ1317に進み、
そこで各ドライヤ・セクション141 、142 、1
3 、181 、182 の蒸気圧力が別に定められた所定
のコントロール時間間隔で蒸気圧力のコントロール・パ
ターンに従って制御され、これにより抄替時のウエブ水
分コントロールが実際に行われることになる。
【0054】なお、図11から明らかなように、抄替シ
ミュレーション時間長は抄替開始時と抄替終了時との
間、すなわちウエブ水分率推移パターンMP1 およびM
1 間の距離に対応するものであるが、しかし上述した
ようにウエブ最終水分を目標値に収斂させるための時間
を見込むことが必要であるので、実際の抄替コントロー
ル時間長は図15に示すようにかかる抄替シミュレーシ
ョン時間長よりも幾分長めに設定することが好ましい。
【0055】要するに、本発明では、実際に抄替が行わ
れる前に抄替時での蒸気圧力推移コントロールパターン
をシミュレーションして予め計算しておき、実際の抄替
時にその蒸気圧力コントロールパターンに従って各ドラ
イヤ・セクションへの蒸気圧力を時間に沿ってコントロ
ールすることにより、ウエブ水分率が所望の態様で制御
される。
【0056】
【発明の効果】以上の記載から明らかなように、本発明
によれば、従来の場合に比べて、抄紙機操業状態を速や
かにシミュレーションすることが可能であり、これによ
り抄替時の製品の最終水分(各ドライヤ・セクションの
出口水分を含め)を短時間で目標値に近づけることが可
能となる。すなわち、本発明によれば、抄替時間を短縮
し得ると共に抄替時に発生する不良製品である損紙を減
少することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する抄紙機の概略斜視図である。
【図2】本発明を実施した抄紙機のブロック図である。
【図3】図2のD−D分割線の左半分を拡大して示す部
分ブロック図である。
【図4】図2のD−D分割線の右半分を拡大して示す部
分ブロック図である。
【図5】抄紙機のドライ・パートの一構成例を部分的に
示す側面図である。
【図6】図5のドライ・パートと等価なアイロン・モデ
ルを示す模式図である。
【図7】本発明による定常状態シミュレーションを示す
フローチャートである。
【図8】図7のフローチャートを説明するための説明図
である。
【図9】図7の定常状態シミュレーションにより得られ
るウエブ水分率推移パターンを示すグラフである。
【図10】本発明による非定常状態シミュレーションを
示すフローチャートである。
【図11】本発明による非定常状態シミュレーションの
推移を例示的に示す三次元グラフである。
【図12】本発明による非定常状態シミュレーション計
算方法を図解して示す説明図である。
【図13】本発明による抄替時ウエブ水分制御を示すフ
ローチャートの一部である。
【図14】図13のフローチャートのその他の部分であ
る。
【図15】図13および図14のフローチャートを説明
するためのタイムチャートである。
【符号の説明】 10…ワイヤ・パート 12…プレス・パート 14…プレドライヤ・パート 141 …第1のセクション 142 …第2のセクション 143 …第3のセクション 14a…蒸気ドラム 16…サイズ・パート 18…アフタドライヤ・パート 181 …第1のセクション 182 …第2のセクション 20…ストック・インレット

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸気ドライヤの蒸気ドラムにキャンバス
    と共にウェブを巻き付けてウェブを乾燥させる抄紙機
    該ウェブの水分率を定常状態でコンピュータを使用
    してオンラインでシミュレーションし出力するための定
    常状態シミュレーション方法であって、 前記蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの円周方向の温度は一
    定であると仮定して前記蒸気ドラム、前記キャンバスお
    よび前記ウェブの相互間に熱平衡式を導入して該熱平衡
    式を差分方程式に書き直すことと、検出器により、少なくともドライヤ蒸気圧力、ウェブ坪
    量、抄速、最終ウェブ水分率値の各値を取り込むこと
    と、 前記差分方程式に適当な初期値を与えると共に所定の時
    間間隔で該差分方程式を繰り返し解くことにより、前記
    ウェブの移動方向に沿って前記各蒸気ドラムの温度、前
    記キャンバスの温度および前記ウェブの温度を算出して
    前記ウェブのドライヤパート内の移動方向に沿うウェブ
    水分率推移パターンを求めることと、 前記水分率推移パターンから得られる最終水分値を
    出器により取り込んだ実際の測定値と比較することと、 前記水分値が前記測定値に対して所定の許容範囲内にあ
    るか否かを判断することと、 前記判断によって前記最終水分値が所定の許容範囲内
    から外れると判断された際にウェブの乾燥速度係数を補
    正してウェブ水分率推移パターンを再度求め、これを最
    終水分値が測定値に所定の許容範囲内で一致するまで
    繰り返すことにより、定常状態ウェブ水分率推移パター
    ンを求めることと、 該定常状態ウェブ水分率推移パターンを出力すること
    からなるコンピュータを使用したオンラインでのウェブ
    水分率の定常状態シミュレーション方法。
  2. 【請求項2】 蒸気ドラムにキャンバスと共にウエブを
    巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機で該ウエブの水分
    率を定常状態でシミュレーションするための定常状態シ
    ミュレーション装置であって、 前記蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの円周方向の温度は一
    定であると仮定して前記蒸気ドラム、前記キャンバスお
    よび前記ウエブの相互間に導入された熱平衡式を差分方
    程式として記憶する記憶手段と、 前記記憶手段に記憶された差分方程式に適当な初期値を
    与えると共に所定の時間間隔で該差分方程式を繰り返し
    解くことにより、前記ウエブの移動方向に沿って前記各
    蒸気ドラムの温度、前記キャンバスの温度および前記ウ
    エブの温度を算出して前記ウエブの移動方向に沿うウエ
    ブ水分率推移パターンを求める計算手段と、 前記水分率推移パターンから得られる最終水分値を実際
    の測定値と比較する比較手段と、 前記最終水分値が前記測定値に対して所定の許容範囲内
    にあるか否かを判断する判断手段とよりなり、 前記判断手段によって前記最終水分値が所定の許容範囲
    内から外れると判断された際にウエブの乾燥速度係数を
    補正してウエブ水分率推移パターンを再度求め、これを
    水分値が測定値に所定の許容範囲内で一致するまで繰り
    返す手段とからなる定常状態シミュレーション装置。
  3. 【請求項3】 蒸気ドライヤの蒸気ドラムにキャンバス
    と共にウェブを巻き付けてウェブを乾燥させる抄紙機
    該蒸気ドラムへの蒸気圧力を変動させた際の該ウェ
    ブの水分率を非定常状態でコンピュータを使用してオン
    ラインでシミュレーションし出力するための非定常状態
    シミュレーション方法であって、 前記蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの円周方向の温度は一
    定であると仮定して前記蒸気ドラム、前記キャンバスお
    よび前記ウェブの相互間に熱平衡式を導入して該熱平衡
    式を差分方程式に書き直すことと、 前記仮定による誤差を修正するために前記蒸気ドラムへ
    の蒸気圧力を変動させた際に該蒸気ドラムの温度応答遅
    れを導入しつつ、検出器により、少なくともドライヤ蒸
    気圧力、ウェブ坪量、抄速、最終ウェブ水分率値の各値
    を取り込み、前記差分方程式に基づいて前記ウェブの
    ライヤパート内の移動方向沿う該ウェブの時間経過に伴
    う水分率推移パターンを所定の時間間隔で繰り返し求め
    出力することとからなるコンピュータを使用したオンラ
    インでのウェブ水分率の非定常状態シミュレーション方
    法。
  4. 【請求項4】 蒸気ドラムにキャンバスと共にウエブを
    巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機で該蒸気ドラムへ
    の蒸気圧力を変動させた際の該ウエブの水分率をシミュ
    レーションするための非定常状態シミュレーション装置
    であって、 前記蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの円周方向の温度は一
    定であると仮定して前記蒸気ドラム、前記キャンバスお
    よび前記ウエブの相互間に導入された熱平衡式を差分方
    程式として記憶する記憶手段と、 前記仮定による誤差を修正するために前記蒸気ドラムへ
    の蒸気圧力を変動させた際に該蒸気ドラムの温度応答遅
    れを導入しつつ、前記ウエブの移動方向に沿う該ウエブ
    の時間経過に伴う水分率推移パターンを所定の時間間隔
    で繰り返し求める計算手段とからなる非定常状態シミュ
    レーション装置。
  5. 【請求項5】 蒸気ドライヤの蒸気ドラムにキャンバス
    と共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機で
    抄替時に該蒸気ドラムへの蒸気圧力の時間的推移をコン
    トロールすることにより該ウエブの水分率を所定の目標
    値に向かって推移させる抄替時ウエブ水分率制御方法で
    あって、 前記蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの円周方向の温度は一
    定であると仮定して前記蒸気ドラム、前記キャンバスお
    よび前記ウエブの相互間に熱平衡式を導入して該熱平衡
    式を差分方程式に書き直すことと、 前記差分方程式に適当な初期値を与えて前記ウエブの移
    動方向に沿うウエブ水分率推移パターンを求めること
    と、 前記ウエブ水分率推移パターンに対するウエブ水分率目
    標パターンを設定することと、 前記ウエブ水分率推移パターンを前記ウエブ水分率目標
    パターンに実質的に一致させるべく前記蒸気ドラムへの
    蒸気圧力を所定の時間間隔で変動させつつ、しかも該蒸
    気ドラムの温度応答遅れを仮定的に導入しながら、該ウ
    エブ水分率推移パターンを繰り返し求めて時間的な蒸気
    圧力推移パターンを作成することとからなり、 実際の抄替時に前記蒸気圧力推移パターンに従って前記
    蒸気ドラムへの蒸気圧力を調節することを特徴とする抄
    替時ウエブ水分率制御方法。
  6. 【請求項6】 蒸気ドライヤの蒸気ドラムにキャンバス
    と共にウエブを巻き付けてウエブを乾燥させる抄紙機で
    抄替時に該蒸気ドラムへの蒸気圧力の時間的推移をコン
    トロールすることにより該ウエブの水分率を所定の目標
    値に向かって推移させる抄替時ウエブ水分率制御装置で
    あって、 前記蒸気ドライヤの各蒸気ドラムの円周方向の温度は一
    定であると仮定して前記蒸気ドラム、前記キャンバスお
    よび前記ウエブの相互間に導入された熱平衡式を差分方
    程式として記憶する記憶手段と、 前記差分方程式に適当な初期値を与えて前記ウエブの移
    動方向に沿うウエブ水分率推移パターンを求める計算手
    段と、 前記ウエブ水分率推移パターンに対するウエブ水分率目
    標パターンを設定する設定手段と、 前記ウエブ水分率推移パターンを前記ウエブ水分率目標
    パターンに実質的に一致させるべく前記蒸気ドラムへの
    蒸気圧力を所定の時間間隔で変動させつつ、しかも該蒸
    気ドラムの温度応答遅れを仮定的に導入しながら、該ウ
    エブ水分率推移パターンを繰り返し求めて時間的な蒸気
    圧力推移パターンを作成する作成手段とからなり、 実際の抄替時に前記蒸気圧力推移パターンに従って前記
    蒸気ドラムへの蒸気圧力を調節することを特徴とする抄
    替時ウエブ水分率制御装置。
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