JP3089932B2 - 自動変速機のクリープ制御装置 - Google Patents

自動変速機のクリープ制御装置

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    • F16H61/00Control functions within control units of change-speed- or reversing-gearings for conveying rotary motion ; Control of exclusively fluid gearing, friction gearing, gearings with endless flexible members or other particular types of gearing
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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車に用いられる自
動変速機のクリープ制御装置に係り、詳しくは停車中に
おけるクリープ現象の緩和等を図る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用の自動変速機では、一般にプラ
ネタリギヤによる変速機構が用いられており、油圧式の
湿式多板クラッチや油圧式のバンドブレーキ等の油圧摩
擦係合要素(以下、単に摩擦係合要素と記す)によりサ
ンギヤやプラネタリキャリヤ等のギヤの掴み換えを行っ
て所望の変速段を得るようにしている。
【0003】通常、自動変速機の摩擦係合要素はエンジ
ンにより駆動される油圧ポンプの吐出圧を調圧した、い
わゆるライン圧により係合/解放作動される。電子制御
式のものでは、その制御を電磁式油圧制御弁(以下、電
磁弁と記す)により行っている。すなわち、電磁弁をデ
ューティ制御することにより、供給するライン圧を変更
し油圧クラッチや油圧ブレーキの係合あるいは解放を制
御する。そして、変速は、作動する油圧クラッチや油圧
ブレーキの切り換え、つまり、一方の摩擦係合要素を解
放しながら他方の摩擦係合要素を係合させることにより
行う。
【0004】例えば、2速段から1速段にシフトダウン
させる場合には、2速段を確立させる油圧クラッチ(以
下、解放側クラッチと記す)を解放させると共に、1速
段を確立させる油圧クラッチ(以下、係合側クラッチと
記す)を係合させる。この油圧クラッチの掴み換え操作
により、エンジントルクの伝達経路が切り換えられ、ダ
ウンシフトが完了する。
【0005】また、上述した電子制御式自動変速機で
は、一般に、変速段の選択に図3に示したような車速と
スロットル弁開度とをパラメータとするシフトマップが
用いられ、このシフトマップに基づいて、速度検出値と
スロットル弁開度検出値に対する最適な変速段(目標変
速段)が選択される。例えば、アクセルペダルから足を
放してブレーキによる制動を行った場合、車速が図3中
の3−1ダウンシフト線や2−1ダウンシフト線を横切
った時点で、1速段へのダウンシフト指令が出力され
る。また、一般的に走行レンジでの車両停止中は、次回
の発進に備えるため、常時1速段が確立されている。
尚、図3のシフトマップは走行レンジにおける変速段を
決定するものであり、アップシフト線を実線で示し、ダ
ウンシフト線を一点鎖線で示してある。また、同図に示
したように、スロットル開度θTHが40%以下の領域で
は、3−1ダウンシフト線が2−1ダウンシフト線と一
致しているが、これはシフトショックの回数を低減させ
るためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した如
く、停車中にも1速段が確立されるため、アイドリング
状態で車両が微速前進するいわゆるクリープ現象が発生
し、平坦路においてもブレーキペダルを比較的強く踏ん
でいる必要があった。そこで、このクリープ現象を防止
あるいは緩和させるため、従来より種々の装置が提案さ
れている。
【0007】例えば、特公昭47-35578号公報に記載され
た装置では、車両停止時に二つの変速段を達成する摩擦
係合要素を同時に係合させ、いわゆるインタロック状態
にしてクリープ現象を防止している。また、特公昭63-3
5869号公報に記載された装置では、車両停止時に確立す
る摩擦係合要素への供給油圧を下げることによりスリッ
プさせ、クリープ現象を緩和させている。更に、特公平
3-21789 号公報に記載された装置では、車両停止時に比
較的低い油圧により高速段を確立させてクリープ現象を
緩和させ、発進と同時に低速段に切り換える方法を採っ
ている。
【0008】ところが、特公昭47-35578号公報の装置で
は、車速センサの検出精度等によっては、車両が微速走
行中であるにも拘わらず、停止状態にあると判断してイ
ンタロック状態にしてしまい、車両の急制動が起こる虞
があった。また、特公昭63-35869号公報の装置では、発
進と同時に摩擦係合要素への供給油圧を高めるが、急発
進時等には油圧の供給遅れによるスリップが発生し、ス
ロットルレスポンスが悪化する虞があった。更に、特公
平3-21789 号公報の装置でも、発進の瞬間に変速を行う
ため、急発進時等にはやはりスロットルレスポンスが悪
化する虞があった。
【0009】一方、高速段より低速段のほうが減速比が
高いため、当然のことながら、変速機の出力軸における
駆動トルクは大きくなる。そのため、制動時において車
両停止直前に3速段等から1速段にダウンシフトされた
ような場合には、1速段が達成される瞬間に駆動トルク
の急増による加速ショック(いわゆる突出し感)が生じ
る問題もあった。
【0010】本発明は、上記状況に鑑みてなされたもの
で、スロットルレスポンスの悪化等を伴わずに、停車中
におけるクリープ現象の緩和と、制動時における車両停
止直前の突出し感の防止とを図った自動変速機のクリー
プ制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、こ
の目的を達成するために、複数の変速段とこれらの各変
速段を達成させる複数の油圧摩擦係合要素とを有し、達
成されるべき変速段に対応する各油圧摩擦係合要素に対
して作動油圧を供給して当該各変速段を達成させる自動
変速機において、車速を検出する車速検出手段と、車両
停止時のダウンシフト終了時に達成される第1の変速段
が達成され、且つ前記車速検出手段により検出された車
速が所定値以下である場合、当該第1の変速段の達成に
関与しない所定の油圧摩擦係合要素に所定油圧を供給す
る油圧制御手段とを具えたことを特徴とするクリープ制
御装置を提案するものである。
【0012】
【作用】本発明では、例えば、停車中には1速段を確立
する一方で、2速段や3速段を達成する摩擦係合要素に
所定油圧を供給し、完全にインタロック状態にするので
はなく、その摩擦係合要素を滑らせる。これにより、当
該摩擦係合要素に駆動トルクを吸収させ、駆動輪に伝達
される1速段での駆動トルクを低下させる。また、制動
時のダウンシフトにおいては、1速段が確立される直前
に2速段や3速段を達成する摩擦係合要素に所定油圧を
供給し、車両停止直前における駆動トルクの急増による
突出し感を防止する。
【0013】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の一実施例を
詳細に説明する。図1には、本発明に係る変速制御装置
を適用した乗用車のパワープラントの概略構成を示して
ある。同図において、エンジン1の後端には自動変速機
2が接続されており、エンジン1の出力は自動変速機2
を介して図示しない駆動輪に伝達される。自動変速機2
は、トルクコンバータ3,変速機本体4,油圧コントロ
ーラ5から構成されており、ECU(電子制御ユニッ
ト)6により駆動制御される。変速機本体4は複数組の
プラネタリギヤの他、油圧クラッチや油圧ブレーキ等の
摩擦係合要素を内蔵している。また、油圧コントローラ
5には、一体に形成された油圧回路の他、ECU6によ
ってデューティ駆動される複数の電磁弁(図示せず)が
収納されている。
【0014】一方、ECU6は、図示しない入出力装
置、記憶装置(不揮発性RAM,ROM等)、中央処理
装置(CPU)、タイマカウンタ等を具えており、その
入力側には車両の走行速度Vを検出する車速センサ7,
トルクコンバータ3のタービン回転数(出力軸回転数)
NT を検出するNT センサ8,図示しないスロットル弁
開度θを電圧VTHとして出力する、エンジン負荷検出手
段であるスロットルセンサ9が接続している。尚、EC
U6にはこれらセンサの他、変速段の位置を検出するイ
ンヒビタスイッチ,エンジン回転数NE を検出するNE
センサ等、種々のセンサやスイッチ類が接続されてい
る。
【0015】図2には、変速機本体4内のギヤトレーン
を概略的に示してある。この図において、トルクコンバ
ータ3のタービン10に接続するインプットシャフト1
1には、第1,第2プラネタリギヤ12,13の他、第
1プラネタリギヤ12のサンギヤ14をインプットシャ
フト11に結合する第1クラッチ15,第2プラネタリ
ギヤ13のピニオンキャリア16をインプットシャフト
11に結合する第2クラッチ17,第2プラネタリギヤ
13のサンギヤ18をインプットシャフト11に結合す
る第3クラッチ19が保持されている。また、変速機本
体4のケーシング20には、第1プラネタリギヤ12の
インターナルギヤ21を固定する第1ブレーキ22と、
第2プラネタリギヤ13のサンギヤ18を固定する第2
ブレーキ23とが取り付けられている。インプットシャ
フト11の回転は、両プラネタリギヤ12,13および
ドライブギヤ30を介して、カウンターシャフト24に
設けられたドリブンギヤ26に伝達され、カウンタシャ
フト24から更にデファレンシャルキャリア25に伝達
される。
【0016】本実施例の場合、車速センサ7とNT セン
サ8とは共に近接スイッチであり、それぞれ変速機本体
4のケーシング20に取り付けられている。そして、車
速センサ7はカウンターシャフト24に固着されたトラ
ンスファドライブギヤ26の回転数を検出することによ
り車速Vを求め、NT センサ8は第1クラッチ15およ
びインプットシャフト11を介してタービン回転数NT
を検出する。
【0017】尚、本実施例の自動変速機2では、表1に
示したように、摩擦係合要素である第1〜第3クラッチ
15,17,19および第1,第2ブレーキ22,23
を係合制御して、各変速段を確立する。表1において、
○印は各クラッチあるいはブレーキの係合を示す。
【0018】
【表1】 表1から判るように、3速段を確立するには、第1クラ
ッチ15と第2クラッチ17とを係合させればよく、1
速段を確立するには、第1クラッチ15と第1ブレーキ
22とを係合させればよい。したがって、3速段から1
速段へのダウンシフトでは、第2クラッチ17を解放し
て第1ブレーキ22を係合させることになる。
【0019】以下、実施例ごとに説明する。先ず、第1
実施例では、1速段で車両停止が検出されたときのクリ
ープ制御について説明する。図4に示した停止時クリー
プ制御において、ECU6は先ず、ステップS1で、イ
ンヒビタスイッチおよび車速センサ7からの入力情報に
基づき、1速段で停止中か否かを判定し、この判定が否
定(No )である場合には制御を中止する。一方、ステ
ップS1における判定が肯定(Yes)である場合には、
ECU6はステップS2に進み、スロットルセンサ9か
らの入力情報に基づきスロットルペダルが踏み込まれて
いるか否かを判定する。
【0020】ステップS2の判定がNo である場合、E
CU6は、ステップS3で第2クラッチ17への供給油
圧を制御する電磁弁を所定のデューティ比DERで駆動す
る。これにより、1速段が確立された状態でありなが
ら、第2クラッチ17が所定の係合力でスリップ係合さ
れることになり、その滑りにより駆動トルクが吸収され
る。尚、 クリープ制御用デューティ比DERは、駆動ト
ルクの吸収量が最適な値となるように、実験等により求
められた設定値である。また、駆動トルクはアイドル状
態もしくはその近傍で発生するトルクである。次に、ス
テップS2の判定がNo である場合、ECU6は発進状
態にあると判断し、電磁弁の駆動デューティ比を0%と
する。これにより、第2クラッチ17は解放側に駆動さ
れ、速やかに1速段が達成されて発進可能となる。
【0021】次に、第2実施例における制動時等のダウ
ンシフトに伴う変速制御の手順を、図5〜図12の制御
フローチャートと図13のグラフとを用いて説明する。
図13のグラフは、第2実施例におけるタービン回転数
NT と解放側および係合側の電磁弁の駆動デューティ比
との関係を示したもので、横軸は時間である。3速段で
走行中に運転者がブレーキペダルを踏み込み、図示しな
いアイドルスイッチがON状態となり、且つ車速Vが所
定値(本実施例では、トランスファドライブギヤ26の
回転数が300rpm )以下に低下して図3中のA点で3
−1シフト線を横切ると、所定の制御インターバル(例
えば、10ms)で図5のダウンシフト変速制御が開始
される。制御が開始されると、ECU6は、ステップS
5で図6〜図8の解放側制御サブルーチンを実行し、次
いでステップS6で図9〜図11の係合側制御サブルー
チンを実行する。
【0022】図6の解放側制御サブルーチンにおいて、
ECU6は先ず、ステップS10で制御開始時点(図1
3中のss点)から所定時間t0 が経過したか否かを判
定する。そして、この判定がNo である場合には、EC
U6は、ステップS11でプログラム制御変数IZRを
1に設定し、ステップS12で第2クラッチ17の供給
油圧を制御する電磁弁の駆動デューティ比を0%とす
る。これにより、第2クラッチ17は解放側に駆動さ
れ、第2プラネタリギヤ13のピニオンキャリア16と
インプットシャフト11との係合が弱まる。尚、所定時
間t0 は、第2クラッチ17内のピストンが係合解除直
前の位置に移動するのに要する時間(設定値)である。
【0023】一方、図9の係合側制御サブルーチンにお
いて、ECU6は先ず、ステップS40でプログラム制
御変数IZRが1であるか否かを判定する。そして、こ
の判定がYesである場合には、ステップS41で所定時
間t0 が第1ブレーキ22のがた詰め時間(第1ブレー
キ22を駆動するピストンの無効ストロークを解消し、
インターナルギヤ21を制動できる直前の状態にピスト
ンを移動させるための時間)tF (学習値)より大きい
か否かを判定し、この判定がNo である場合には、ステ
ップS42で100%のデューティ比を出力して第1ブ
レーキ22の供給油圧を制御する電磁弁を駆動する。こ
れにより、第1ブレーキ22は係合側に駆動され、がた
詰めが行われる。
【0024】また、ステップS41での判定がYesであ
る場合には、ステップS43で、制御開始時点から所定
時間t0 とがた詰め時間tF との偏差分(t0 −tF )
経過したか否かを判定する。そして、この判定がNo で
ある間はステップS44で0%のデューティ比を出力
し、YesとなったらステップS42で100%のデュー
ティ比を出力して電磁弁を駆動する。尚、この操作は所
定時間t0 とがた詰め時間tF とを同時に終了させ、摩
擦係合要素の掴み換えによるショックの発生を防止する
ためのものである。
【0025】図6の解放側制御サブルーチンにおいて、
制御開始時点から所定時間t0 経過して(図13中のa
点)、ステップS10の判定がYesとなると、ECU6
はステップS13でタービン回転数NT が3速インギヤ
回転数NTIから変速開始閾値ΔNB 以上に大きくなった
か否かを判定する。そして、この判定がNo である場合
には、ステップS14でプログラム制御変数IZRを2
に設定し、ステップS15で所定のデューティ比DKRを
出力して電磁弁を駆動する。ここで、デューティ比DKR
は後述する解放側フィードバック制御の初期値として適
当な値に設定されており、第2クラッチ17内のピスト
ンが待機状態となる。
【0026】プログラム制御変数IZRが2となると、
図9の係合側制御サブルーチンにおいて、ステップS4
0の判定がNo となり、ECU6は図10のステップS
45に進む。そして、ステップS45での判定がYesと
なるため、ECU6は、ステップS46で図12のター
ビントルク演算サブルーチンによりタービントルクTT
を演算する。
【0027】タービントルク演算サブルーチンが開始さ
れると、ECU6は、先ずステップS80でタービン回
転数NT とエンジン回転数NE とを読み込み、ステップ
S81でこれらの比すなわち回転比eを算出する。尚、
回転比eは1より小さい値であり、NT ≦NE の場合に
はe=NT /NE とし、NT >NE の場合にはe=NE
/NT とする。回転比eの算出を終えると、ECU6
は、ステップS82でトルクコンバータ3のトルク比t
と容量係数Cとを読み込む。尚、トルク比tと容量係数
Cとは、回転比eにより決まる値である。トルク比tと
容量係数Cとを算出すると、ECU6は下式によりター
ビントルクTT を算出する。
【0028】 TT =t・TE …(NT ≦NE の場合) TT =−t・TE …(NT >NE の場合) ここで、TE はエンジントルクであり、エンジン側慣性
モーメントIE とエンジン回転数変化率NE'とを用い
て、下式により算出される。 TE =C・NE2+IE(2πNE') …(NT ≦NE の場合) TE =C・NE2−IE(2πNE') …(NT ≦NE の場合) タービントルクTT の演算を終えると、ECU6は、図
10のステップS47に進み、タービントルクTT に見
合ったデューティ比DT を算出する。すなわち、ECU
6は、トルクデューティ変換係数KをタービントルクT
T に乗じてデューティ比DT (=K・TT )を算出し、
このデューティ比DT を出力して電磁弁を駆動する。こ
れにより、第1ブレーキ22は、図示しないリターンス
プリングに押し戻されて解放側に移動することが防止さ
れ、がた詰め位置で待機することになる。
【0029】一方、図6の解放側制御サブルーチンにお
いて、タービン回転数NT が3速インギヤ回転数NTIか
ら変速開始閾値ΔNB 以上に大きくなると(図13中の
b点)、ステップS13での判定がYesとなり、ECU
6は図7のステップS16に進む。ステップS16にお
いて、ECU6はタービン回転数NT が変速中盤判定閾
値NTCより大きいか否かを判定し、この判定がNo であ
る場合には、ステップS17で後述するフィードバック
制御における第1目標タービン変化率NFR1'を読み込ん
だ後、ステップS18でプログラム制御変数IZRを3
に設定する。尚、第1目標タービン回転数変化率NFR1'
は比較的大きな値に設定されており、変速が迅速に行わ
れるようになっている。
【0030】第1目標タービン回転数変化率NFR1'の読
み込みを終えると、ECU6は、図8のステップS19
に進み、フィードバック制御を開始する。ECU6は先
ず、ステップS19で、実タービン回転数変化率NT'か
ら1速インギヤタービン回転数変化率NTJ' を減じて、
相対タービン回転数変化率Ns'を求める。これは、車速
Vの低下に伴って、1速インギヤタービン回転数NTJも
低下するためである。次に、ECU6は、ステップS2
0で、第1目標タービン回転数変化率NFR1'と相対ター
ビン回転数変化率Ns'の今回値(Ns')n との偏差En
を演算する。
【0031】次に、ECU6はステップS21でnが0
か否か、すなわちフィードバック制御の開始直後である
か否かを判定し、この判定がYesであれば、ステップS
22でフィードバック制御の積分項(Di)nをデューテ
ィ比DKRとしてステップS23に進み、No であればそ
のままステップS23に進む。次いで、ECU6は、ス
テップS23で、デューティ比補正量ΔDと積分項(D
i)nとを下式により算出する。
【0032】 ΔD=KP ・En −KD ・(En −En-1 ) (Di)n=(Di)n-1−KI ・En ここで、KP は比例ゲイン,KD は微分ゲイン,KI は
積分ゲインであり、それぞれ所定の値に設定されてい
る。デューティ比補正量ΔDと積分項(Di)nとを求め
たら、ECU6は、ステップS24で、下式により駆動
デューティ比Dn を演算・出力して電磁弁を駆動した
後、ステップS25でnに1を加算する。
【0033】Dn =(Di)n−ΔD 図10の係合側制御サブルーチンにおいて、プログラム
制御変数IZRが3の場合、ステップS45での判定が
No となり、ECU6はステップS48に進む。ところ
が、ステップS48での判定がYesとなるため、ECU
6はステップS46に進み、プログラム制御変数IZR
が2の場合と同様に、タービントルクTT に基づき電磁
弁の駆動を行う。
【0034】図7の解放側制御サブルーチンにおいて、
タービン回転数NT が変速中盤判定閾値NTCより大きく
なると(図13中のc点)、ステップS16での判定が
Yesとなり、ECU6はステップS26に進む。ECU
6は、ステップS26において、1速インギヤタービン
回転数NTJと実タービン回転数NT との偏差が、同期判
定閾値ΔNF より小さくなったか否かを判定する。そし
て、この判定がNo である場合には、ステップS27で
フィードバック制御における第2目標タービン変化率N
FR2'を読み込んだ後、ステップS28でプログラム制御
変数IZRを4に設定する。尚、第2目標タービン回転
数変化率NFR2'は比較的小さな値に設定されており、急
激な解放によるタービンの吹き上がりが防止される。
【0035】第2目標タービン回転数変化率NFR2'の読
み込みを終えると、ECU6は、図8のステップS19
に進み、第2目標タービン回転数変化率NFR2'に基づき
フィードバック制御を開始する。また、図10の係合側
制御サブルーチンにおいて、プログラム制御変数IZR
が4の場合、ステップS48での判定がNo となり、E
CU6はステップS49に進む。ところが、この場合も
ステップS49での判定がYesとなるため、ECU6は
ステップS46に進み、プログラム制御変数IZRが2
の場合と同様に、タービントルクTT に基づき電磁弁の
駆動を行う。
【0036】図7の解放側制御サブルーチンにおいて、
1速インギヤタービン回転数NTJと実タービン回転数N
T との偏差が、同期判定閾値ΔNF より小さくなると
(同期判定時点…図13中のd点)、ステップS26の
判定がYesとなり、ECU6はステップS29に進む。
ECU6は、ステップS29において、相対タービン回
転数変化率Ns'が所定値−a(aは正の微小値)と等し
くなったか否か、すなわち負に転じたか否かを判定す
る。そして、この判定がNo である場合には、ステップ
S30でフィードバック制御における第3目標タービン
変化率NFR3'を読み込んだ後、ステップS31でプログ
ラム制御変数IZRを5に設定する。尚、第3目標ター
ビン回転数変化率NFR3'は微小な値に設定されており、
タービン回転数NT のオーバシュートが防止される。
【0037】第3目標タービン回転数変化率NFR3'の読
み込みを終えると、ECU6は、図8のステップS19
に進み、第3目標タービン回転数変化率NFR3'に基づき
フィードバック制御を開始する。また、図10の係合側
制御サブルーチンにおいて、プログラム制御変数IZR
が5の場合、ステップS49での判定がNo となり、E
CU6はステップS50に進む。ECU6は、ステップ
S50において、相対タービン回転数変化率Ns'が所定
値−aと等しくなったか否かを判定し、この判定がNo
であるためステップS46に進み、プログラム制御変数
IZRが2の場合と同様に、タービントルクTT に基づ
き電磁弁の駆動を行う。
【0038】図7の解放側制御サブルーチンにおいて、
相対タービン回転数変化率Ns'が所定値−aと等しくな
ると(図13中のe点)、ステップS29の判定がYes
となり、ECU6はステップS32に進む。ECU6
は、ステップS32において、クリープ制御用デューテ
ィ比DERを出力して電磁弁を駆動する。これにより、1
速段が確立された状態でありながら、第2クラッチ17
は完全解放されず、所定の係合力で係合されることにな
り、その滑りにより駆動トルクが吸収されようになる。
これにより、1速インギヤ状態となる際の減速比の上昇
に起因する突出し感が相殺される。尚、前述したよう
に、クリープ制御用デューティ比DERは、駆動トルクの
吸収量が最適な値となるように、実験等により求められ
た設定値である。
【0039】一方、図10の係合側制御サブルーチンに
おいては、相対タービン回転数変化率Ns'が所定値−a
と等しくなると、ステップS50での判定がYesとな
り、ECU6は、ステップS51に進む。ECU6は、
ステップS51において、タービン回転数NT が負に転
じた後、実タービン回転数NT と1速インギヤタービン
回転数NTJとの偏差が同期判定閾値ΔNF より小さくな
った時点(すなわち再同期時点(図13中のf点))か
ら所定時間tE3経過したか否かを判定する。そして、こ
の判定がNo である場合には、ECU6は、図11のス
テップS51〜S58の手順でフィードバック制御を行
う。ここで、所定時間tE3は、タービン回転数NT が再
同期後に1速インギヤタービン回転数NTJに収束するの
に要する時間であり、実験等により決定された設定値で
ある。尚、係合側制御におけるフィードバック制御は、
前述した解放側制御におけるフィードバック制御と略同
様であるため、詳細な手順の説明は省略する。
【0040】図11の係合側制御サブルーチンにおい
て、再同期時点(図13中のf点))から所定時間tE3
経過すると、ステップS51での判定がYesとなり、E
CU6はステップS59に進む。ECU6は、ステップ
S59で、100%のデューティ比を出力して電磁弁を
駆動し、第1ブレーキ22を全圧で係合させた後、ステ
ップS60でシフト終了フラグを出力する。
【0041】解放側制御サブルーチンと係合側制御サブ
ルーチンが終了すると、ECU6は、図5のステップS
7でシフト終了フラグがONとなっているか否かを判定
する。そして、この判定がYesの場合には、ステップS
8で各フラグやプログラム制御変数IZR等を初期化し
た後、変速を終了する。この状態では、第2クラッチ1
7が滑りながら駆動トルクを吸収しているため、クリー
プ力が低減される。また、1速段が完全に確立されてい
るため、運転者がアクセルペダルを踏み込めばタービン
回転数が素早く上昇し、もたつくことなく発進できる。
【0042】このように、本実施例のクリープ制御装置
では、車両停止時において3速段用の第2クラッチ17
に所定の油圧を供給し、その滑りによって駆動トルクを
吸収させるようにしたため、クリープ現象を大幅に緩和
できる。また、制動時においては、ダウンシフト制御に
連続して車両停止直前から駆動トルクの吸収を行うよう
にしたため、シフトダウンに伴う駆動トルクの急増が相
殺され、突出し感を軽減させることもできた。
【0043】本発明の態様は上記実施例に限られるもの
ではない。例えば、上記実施例は3速段から1速段への
減速時におけるものであるが、2速段等からの減速時に
おいても同様の制御を行うことができるし、停止時にお
いては2速段が確立される自動変速機に本発明を適用し
てもよい。また、上記実施例では、所定のギヤ段からの
減速時において、そのギヤ段用の摩擦係合要素を用いて
駆動トルクの吸収を行うようにしたが、他のギヤ段用の
摩擦係合要素を用いるようにしてもよい。更に、上記第
2実施例では、クリープ制御(保持デューティDKRの出
力)をタービン回転数変化率が負に転じた時点(図13
中のe点)から開始するようにしたが、同期判定時点
(図13中のd点)とこの時点(e点)との間の任意の
時点で開始するようにしてもよい。尚、その理由は以下
の通りである。例えば、同期判定時点(d点)以前に保
持デューティDKRの出力を開始した場合には、第2クラ
ッチ17がフィードバック制御されなくなり、タービン
が吹き上がる虞がある。また、逆にタービン回転数変化
率が負に転じた時点(e点)以降に保持デューティDKR
の出力を開始した場合には、既に第1ブレーキ22が係
合し始めているため、駆動トルクの急増による突出し感
を軽減できなくなる。したがって、保持デューティDKR
の出力開始を両時点の間で行えば、弊害がなくかつ効果
的なクリープ制御が可能となるのである。
【0044】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
クリープ制御装置によれば、車両停止時に達成される第
1の変速段が達成され、且つ車速が所定値以下である場
合、第1の変速段に関与しない油圧摩擦係合要素に所定
油圧を供給して駆動トルクを吸収するようにしたため、
停止時のクリープが効果的に緩和される一方、制動時に
おいても、車両停止直前の突出し感を軽減させるこがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る変速制御装置が適用されるパワー
プラントの概略構成図である。
【図2】変速機本体内のギヤトレーンを示したスケルト
ン図である。
【図3】車速とスロットル弁開度とをパラメータとする
シフトマップである。
【図4】第1実施例における停止時クリープ制御の手順
を示したフローチャートである。
【図5】第2実施例における制動時変速制御の手順を示
したフローチャートである。
【図6】第2実施例における解放側制御サブルーチンを
示したフローチャートである。
【図7】第2実施例における解放側制御サブルーチンを
示したフローチャートである。
【図8】第2実施例における解放側制御サブルーチンを
示したフローチャートである。
【図9】第2実施例における係合側制御サブルーチンを
示したフローチャートである。
【図10】第2実施例における係合側制御サブルーチン
を示したフローチャートである。
【図11】第2実施例における係合側制御サブルーチン
を示したフローチャートである。
【図12】第2実施例におけるタービントルク演算サブ
ルーチンを示したフローチャートである。
【図13】第2実施例におけるタービン回転数NT と解
放側および係合側の電磁弁の駆動デューティ比との関係
を示したグラフである。
【符号の説明】
1 エンジン 2 変速機 5 コントローラ 6 ECU 7 車速センサ 8 NT センサ 9 スロットルセンサ 15 第1クラッチ 17 第2クラッチ 22 第1ブレーキ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−109752(JP,A) 実開 平3−123153(JP,U) 特公 昭47−35578(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 59/00 - 61/12 F16H 61/16 - 61/24 F16H 63/40 - 63/48

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の変速段とこれらの各変速段を達成
    させる複数の油圧摩擦係合要素とを有し、達成されるべ
    き変速段に対応する各油圧摩擦係合要素に対して作動油
    圧を供給して当該各変速段を達成させる自動変速機にお
    いて、 車速を検出する車速検出手段と、 車両停止時のダウンシフト終了時に達成される第1の変
    速段が達成され、且つ前記車速検出手段により検出され
    た車速が所定値以下である場合、当該第1の変速段の達
    成に関与しない所定の油圧摩擦係合要素に所定油圧を供
    給する油圧制御手段とを具えたことを特徴とする自動変
    速機のクリープ制御装置。
  2. 【請求項2】 前記所定油圧摩擦係合要素は、前記第1
    の変速段よりも高速段である第2の変速段達成時に係合
    され、前記第1の変速段が達成時に解放される油圧摩擦
    係合要素であり、 前記油圧制御手段は、前記第2の変速段から第1の変速
    段への変速終了時において、前記所定油圧摩擦係合要素
    からの油圧排出を抑制する油圧制御手段を含むことを特
    徴とする請求項1記載の自動変速機のクリープ制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記所定油圧摩擦係合要素への前記所定
    油圧の供給開始時期が、前記第1の変速段の同期判定時
    点から当該変速に伴う入力軸回転数の変化率が負になっ
    た時点までの間にあることを特徴とする請求項2記載の
    自動変速機のクリープ制御装置。
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