JP3088529B2 - 金属検出装置 - Google Patents

金属検出装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属検出装置に関し、
特に、発振コイルと、差動的に接続された二個の受信コ
イルとから成る検出部からの信号を処理して、被検査物
内に混入する金属を検出する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の金属検出装置として図2
の構成ブロック図に示すものがある。図において、検出
部1は、交番磁界を発生するための発振コイルL1 と、
該磁界の磁束を鎖交するように配設された二個の受信コ
イルL2 ,L3 から成り、金属検出の対象となる被検査
物を、この発振コイルL1 と受信コイルL2 ,L3 との
間を矢印A方向に通過させる。
【0003】前記発振コイルL1 は、例えば100kH
zの発振回路2により励磁され、高周波磁束を発生す
る。前記受信コイルL2 ,L3 は、この磁束の一部を等
量に鎖交するように配置されている。そして、該受信コ
イルL2 ,L3 の一端は互いに逆極性に、すなわち差動
的に直列接続され、かつ他方の一端は互いに可変抵抗器
3の両端に接続され、各受信コイルL2 ,L3 の平衡を
とるとともに、その出力端4から差電圧信号が得られる
ようになっている。
【0004】次に信号処理系として、5は一段目の増幅
回路、6は前記発振回路2の出力周波数と同一の中心周
波数をもつ帯域フィルタ、7は二段目の増幅回路、8,
9はそれぞれ磁性及び非磁性金属検出信号を復調する同
期検波回路、10,11は金属検出信号と同一の中心周
波数をもつアナログフィルタ、12,13はそれぞれ磁
性、非磁性金属用の電圧比較回路である。
【0005】なお、14,15は前記同期検波回路8,
9に供給する同期信号の位相を変化させる第一,第二の
移相回路で、該第一,第二の移相回路14,15により
磁性及び非磁性金属の検出に適した位相の同期信号を形
成する。16は同期信号発生回路を示し、この同期信号
の周波数は前記発振回路2の出力周波数と同一で、かつ
同期がとられている。
【0006】このような構成からなる金属検出装置で
は、前記発振コイルL1と受信コイルL2,L3との間
を矢印A方向に被検査物を通過させ、金属検出を行う。
該被検査物に金属が混入していると、受信信号には前記
発振コイルL1を励磁する周波数と同一の周波数で変調
された金属検出信号(変調信号)が含まれる。ただし、
その信号には周波数が異なる多くの不要な信号が含まれ
るため、該励磁周波数付近の信号のみを通過させる帯域
フィルタ6によりこれら不要な信号を除去する。
【0007】この変調信号から金属検出信号を抽出する
ために、同期検波回路8,9において、前記励磁周波数
と同一の周波数で、かつ互いに位相の異なる同期信号に
より同期検波を行ない、金属検出信号を復調する。次い
でアナログフィルタ10,11により金属検出信号のみ
通過させ、電圧比較回路12,13により磁性又は非磁
性金属の検出結果を出力する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、被検査
物中の金属混入の有無を検査する場合、被検査物に適し
た励磁周波数で行なう必要がある。そのため該励磁周波
数を変更するとき、従来の前記金属検出装置では、帯域
フィルタ6の中心周波数を決定する回路定数の変更、同
期検波用の同期信号の周波数変更を行なわなければなら
なかった。また、同期信号を形成する移相回路14,1
5が抵抗器、コンデンサ、コイル等による構成の場合、
周波数によって移相角度が変わるので、移相回路を構成
する回路定数も変更しなければならないという問題点が
あった。
【0009】このように金属検出装置の励磁周波数を変
更するときは、そのつど信号処理系を構成する各回路の
素子等を変更して対応していた。そのため、素子の交換
及び調整等に時間がかかり、又多くの種類の値の素子を
用意しておかなければならなかった。
【0010】本発明はかかる点に鑑みなされたもので、
その目的は前記問題点を解消し、被検査物に適する励磁
周波数に変更する場合でも、帯域フィルタ等の信号処理
系を構成する各回路の素子を変更することなく、即時に
対応できるような金属検出装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明の構成は、発振器により発振コイルを励磁して
交番磁界を発生させ、該磁界に磁束と鎖交する二個の受
信コイルから得られる差信号を、互いに位相の異なる同
期信号により検波し、それぞれの出力信号から、前記発
振コイルと前記受信コイルとの間を通過する金属を検出
する装置において、前記差信号の周波数を、周波数変換
手段により前記周波数と異なる他の一定周波数に変換し
後、帯域フィルタを通し、その後、前記同期信号によ
り検波して、前記金属を検出する装置である
【0012】
【作用】本発明は以上説明したように構成されているの
で、受信コイルから出力される受信信号の周波数を周波
数変換することにより、従来装置の一定の周波数で信号
処理できるようになり、帯域フィルタ等信号処理系を構
成する各回路の素子を取り換えなくて済む。
【0013】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の好適な実施例
を例示的に詳しく説明する。図1は本発明の金属検出装
置の一実施例を示す構成ブロック図で、図2と同一のも
のには同一符号を付して説明を省略する。図1におい
て、20は周波数変換用信号発生回路、21は受信信号
を他の周波数に変換する周波数変換回路である。
【0014】発振コイルL1と受信コイルL2,L3と
の間を被検査物が矢印A方向に通過するとき、受信コイ
ルL2,L3からの受信信号は、金属検出信号が励磁周
波数と同一周波数(発信回路2の出力周波数)の搬送信
で変調された形で出力される(変調信号)。ここでf
dを金属検出信号の周波数、fgを金属検出装置の搬送
信号用の励磁周波数とする。まず前記変調信号は一段目
の増幅回路5により増幅される。
【0015】この信号に、周波数変換回路21により、
周波数変換用信号発生回路20からのft +fg もしく
はft −fg の周波数の信号を掛け合わせ、他の周波数
t に変換する。周波数変換された受信信号は、金属検
出信号で周波数変換後の搬送用の周波数ft の信号が変
調された形となる。ここで周波数変換回路21は二つの
信号を混合する回路であり、例えば信号ミキサ回路、乗
算回路、平衡変調回路、電圧制御増幅回路等がある。
【0016】今、励磁周波数fg を周波数fg1に変更し
た場合は、受信信号の搬送信号成分の周波数もfg1に変
わるが、周波数変換回路21によりft +fg1か、ft
−fg1を掛け合わせれば、変換後の受信信号の搬送信号
成分の周波数はft となり、励磁周波数を変更しても、
周波数変換後では、搬送信号成分の周波数ft を一定に
保つことができる。
【0017】帯域フィルタ6は必要な周波数の信号のみ
を通過させ不必要な周波数の信号を除去する効果があ
り、帯域フィルタ6の中心周波数を受信信号の周波数に
合わせる必要がある。しかし、本実施例では前記受信信
号は一定の周波数ft に変換されているので、帯域フィ
ルタ6は変換後の周波数ftに中心周波数を固定するこ
とができる。
【0018】帯域フィルタ6を通過させた後、二段目の
増幅回路7により増幅される。次に増幅後の信号を同期
検波回路8,9により検波し、金属検出信号を復調す
る。同期検波するための同期信号は、被検波信号の搬送
信号成分と同じ周波数でなければならないが、受信信号
は前記周波数変換回路21により周波数変換されている
ので、周波数変換後の周波数ft の同期信号で同期検波
することができ、同期検波の周波数を前記励磁周波数f
g1に合せて変更する必要がない。
【0019】なお、必要により前記増幅回路7からの出
力の一部を、同期をとるため同期信号発生回路16に加
えてもよい。また、同期信号の周波数が変わらないの
で、同期信号の位相を変える移相回路14,15の回路
素子を変更する必要もない。
【0020】同期検波された信号は、従来の金属検出装
置と同様に、アナログフィルタ10,11により金属検
出信号のみ通過され、電圧比較回路12,13により磁
性、又は非磁性金属の検出結果を出力する。
【0021】以上本実施例の金属検出装置は、受信信号
を他の周波数に変換する周波数変換回路と、変換後の周
波数を中心周波数とする帯域フィルタと、周波数変換さ
れた受信信号から金属検出信号を復調するために変換後
の周波数で検波する同期検波回路とを金属検出装置に具
備せしめたもので、金属検出装置の励磁周波数の変更に
対し、信号処理系を構成する各回路の素子の交換等をせ
ず、即時に対応できる。
【0022】なお、本発明の技術は前記実施例における
技術に限定されるものではなく、同様な機能を果す他の
態様の手段によってもよく、また本発明の技術は前記構
成の範囲内において種々の変更、付加が可能である。
【0023】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明の
金属検出装置によれば、検出部の受信コイルから出力さ
れる受信信号の周波数を周波数変換手段により、前記周
波数と異なる他の一定の周波数に変換したので、前記検
出部において被検査物に適する励磁周波数に変更する場
合でも、前記受信信号を処理する信号処理系を構成する
各回路の素子を変更することなく、即時に対応できる優
れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属検出装置の一実施例を示す構成ブ
ロック図である。
【図2】従来の金属検出装置の構成ブロック図である。
【符号の説明】
1 発振コイル L2 ,L3 受信コイル 20 周波数変換用信号発生回路 21 周波数変換回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01V 3/10 G01N 27/72

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発振器により発振コイルを励磁して交番
    磁界を発生させ、該磁界磁束と鎖交する二個の受信コ
    イルから得られる差信号を、互いに位相の異なる同期信
    号により検波し、それぞれの出力信号から、前記発振コ
    イルと前記受信コイルとの間を通過する金属を検出する
    装置において、前記差信号の周波数を、周波数変換手段
    により前記周波数と異なる他の一定周波数に変換した
    後、帯域フィルタを通し、その後、前記同期信号により
    検波して、前記金属を検出することを特徴とする金属検
    出装置。
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