JP3086278B2 - 多機能型のポリマー分別装置 - Google Patents

多機能型のポリマー分別装置

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JP3086278B2
JP3086278B2 JP03134326A JP13432691A JP3086278B2 JP 3086278 B2 JP3086278 B2 JP 3086278B2 JP 03134326 A JP03134326 A JP 03134326A JP 13432691 A JP13432691 A JP 13432691A JP 3086278 B2 JP3086278 B2 JP 3086278B2
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  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の背景〕技術分野 本発明は、ポリマーの化学構造ないし分子構造と分子量
との相互関係および、それぞれの単独因子について短時
間に解析を行うため、種々の組合せ測定を可能にした多
機能型のポリマー分別装置に関するものである。
【0002】一般にポリマーは、分子量、化学組成、分
子構造等の分子種のどれかまたは全部について不均一な
混合物である。そして、ポリマーの品質は、一般にこれ
ら分子種によって決まる。従って、これら分子種に関し
て正しい分布情報を得ることは、ポリマーの品質改良研
究には欠かせない。
【0003】ゲルパーミェーションクロマトグラフィー
(GPC)、分別沈殿ないし溶解法、その他のポリマー
の分別法はそのための手段である。しかし、これらの分
別法は、上記分子種のどれか一つについての情報しか与
えない。二種以上の分子種についてその相互関係が分か
れば、より高度の分子設計が可能になる筈であり、その
ために二種以上の分別手段を組み合わせることが考えら
れる。しかし、その場合には二種以上の分別法を二次元
的に実施する、すなわち最初ある分別法に従ってある分
子種に関して分別を行い、次いで得られた各区分につい
て別の分別法を適用して行く必要があって、膨大な人手
と時間とを必要とする(一般に一週間以上必要)。
【0004】先行技術 分別溶解法の範ちゅうに入るものとしてカラム法と称す
べきものがあって、ポリエチレン中のメチル分岐分布
(組成分布またはこの場合は結晶性分布)の決定法とし
て提案されている(「ポリマー・プレプリンツ」、第1
8巻(2)第182−187頁(1977))。
【0005】すなわち、不活性充填剤表面上にポリマー
をコーティングし、次にこのカラムの温度を連続的に上
昇させて、結晶性の低いものないしメチル分岐の多いも
のから順に溶出させ、溶出部を示差屈折計に導いて、示
差屈折計からのデータとカラム温度(カラム温度が高く
なるにつれメチル分岐の数は減少する)とからメチル分
岐分布曲線を得る。この文献にはこのメチル分岐分布
(結晶性分布)と分子量分布との結合が好ましいとの記
載があるが、その具体的なことに関しては記載はない。
【0006】一方、多孔性充填剤をカラムに充填し、そ
こへポリマー溶液を通じ、分子サイズの大きいものから
順に溶出させることからなる方法はGPC法と呼ばれて
ポリマーの分子量分布決定方法として賞用されている
(アルトゲルトら「ゲル・パーミェーション・クロマト
グラフィー」(米国マルセル・デッカー社1971年発
行))。
【0007】これらの両者を組み合わせれば、ポリマー
の化学構造ないし分子構造と分子量分布との相関関係が
解析される訳であるが、単に両者を組み合わせただけで
は、たとえば分別溶解カラム法によってポリマーを分子
構造別に分別し、その後各区分についてGPC法により
分子量分布を決定するのでは、分析速度の点に問題があ
ることは前記したところである。
【0008】上記の点に解決を与え、分子組成分別と分
子サイズ分別の二次元分別を短時間に行う方法として、
本発明者らは、既に、特公昭62−7975号公報にお
いて一つの方法を提案している。この方法は、分別溶解
カラム法により組成分別を行うに当たり、カラム中の充
填剤に分析対象ポリマーを析出させ、この析出ポリマー
の溶出を段階的な昇温により行い、各温度段階で分別さ
れたポリマー区分を回分的に分子量分布測定装置へ送る
という操作工程を骨子とするものである。また、前記公
報には、この方法を実施するための1つの装置例が紹介
されている。この装置例は、上記方法の効果的な具体化
手段の一つとして注目すべきものであるが、実用レベル
の視点から見ると必ずしも十分に満足すべきものではな
い。更に、本発明者らは、特開平1−227057号公
報において、長期連続運転を可能にするため個々の操作
機構の特性に応じた独立した温度コントロールシステム
の確立、カラム性能、ポンプの定流量性の確認のための
内部標準溶液注入機構の設置により、測定精度を高め長
期連続運転を可能にした実用レベルのポリマー分別測定
装置を提案している。
【0009】しかし、分子サイズ分別での分離能を損な
うことなく、組成分別の可能な範囲を広げ、より結晶
性の低い成分の分布についての測定を可能にし、組成
分別を行うために分別カラムを段階的に昇温してポリマ
ーを溶出するに際し、成分布が全く予測できない場合の
溶出温度条件を最適に設定し、より複雑なブレンド物
の構造を解析するには、上記の装置は必ずしも充分なも
のではない。
【0010】即ち、具体的には、例えば、組成分別の可
能な分別温度範囲を広げ、より結晶性の低い成分の分布
についての測定を可能にするためには、より低い溶解温
度から溶出する必要があり、隣接する流路切換えバルブ
オーブンとの温度差が拡大する。
【0011】前記特開平1−227057号公報によれ
ば、組成分別カラムからの溶出ポリマー移送時の移送溶
媒温度を溶出カラム温度に近づけ分別をシャープに行う
ため、予熱ループを設置している。しかし、予熱ループ
は、組成分別カラムへの溶液導入時のブロードニング
(溶液が広がる)の原因になり、分子サイズ分別での分
離能を損なう。ブロードニングを抑えるためには予熱ル
ープ体積を極力小さくする必要があるが、溶出ポリマー
移送時のカラム内温度安定性の点からは、内容積を溶出
に必要な体積まで大きくする必要があり、温度の安定性
と分離能とを最適の条件に設定することは困難である。
【0012】また、正確な組成分布、分子量分布の測定
を行うためには、各溶出区分の溶出量が極度に異ならな
いものとなるように溶出温度条件を設定することが望ま
しい。しかし、試料の結晶性分布の推定ができない場合
などは、測定当初から最適溶出温度条件を設定すること
が困難であり、一度の分別操作において、ほとんど溶出
しない区分と、逆にほとんど全てが溶出する区分が生じ
ることがある。
【0013】〔発明の概要〕本発明は、上記の問題点を
解決し、組成分布測定範囲が広く、種々の測定が可能な
多機能型のポリマー分別測定装置を提供することを目的
とし、(1) 分子サイズ分別における分離能を損なうこと
なく、組成分別における溶出ポリマーの移送時のカラム
内温度安定性の確保、(2) ポリマー組成分別における溶
出温度条件を検討するための連続的な昇温溶出分析、お
よび、段階的昇温分析と連続的昇温分析との組合せ測
定、(3) 本装置測定機能の一部である単なるGPC測
定、および(4) 吸着分離法との組合せ測定、等を、流路
切換えバルブ、機能切換えバルブの設置等によって可能
にし、この目的を達成しようとするものである。
【0014】従って、本発明による多機能型のポリマー
分別測定装置は、試料ポリマー溶液注入口、試料ポリマ
ー溶液定量ループ、組成分別カラム注入バルブ、流路切
換えバルブおよびGPC注入バルブを含む試料溶液注入
溶出機構、標準溶液定量ループおよびバルブを含む内部
標準溶液注入機構、並びに機能変更に用いる機能切換え
バルブを有する流路変更ユニットAと、充填材を充填し
たカラムを備え、上記試料ポリマー溶液定量ループより
移送される試料ポリマー溶液につきポリマーの該充填材
上への析出および該カラム内の段階的または連続的昇温
による分別溶解を行うことにより分子組成分別を行うた
めの組成分別ユニットBと、充填材を充填したカラムを
備え、ユニットBで組成分別され、回分的に移送される
試料ポリマー分別区分を分子サイズで分別するための分
子サイズ分別ユニットCと、ユニットBでの試料ポリマ
ーの分別溶解およびユニットCでの分子サイズの分別を
行うための溶媒を定流量で供給するための溶媒供給ユニ
ットDと、ユニットCで得られた分別結果を検出し分子
量分布を測定するための検出ユニットEと、システムコ
ントローラーと、上記ユニットA,B,CおよびEにそ
れぞれ接続され、各ユニット内でのポリマー溶液の自由
流通が保証される温度に各々独立に温度制御を行う自動
温度コントローラとを具備し、上記システムコントロー
ラーによって該温度コントローラの制御と上記ユニット
A内のバルブの制御とを行えるようにしたことを特徴と
し、ポリマーの組成および分子サイズの二次元分別、お
よび、それぞれの単機能的分別であるポリマーの組成分
別、分子サイズでの分別、並びに測定をインラインで自
動的に行うための多機能型のポリマー分別装置である。
【0015】本発明の多機能型のポリマー分別装置によ
れば、流路切換えバルブにより組成分別カラムへのポリ
マー溶液の導入方向とカラム充填材上析出ポリマー溶出
後の溶媒移動方向を逆にすることにより、組成分別カラ
ムへの溶液移送時に予熱ループを通す必要がなくなり、
溶液のブロードニングを最少限に抑えることができるた
め分子サイズ分別における分離能が損なわれず、一方、
溶出ポリマー移送時には移送溶媒を予熱ループに通すこ
とにより溶出ポリマ一移送時のカラム内温度安定性が図
られる。
【0016】更に、機能切換えバルブによって連続的な
昇温分別と段階的な昇温分別との組合せ測定が可能とな
り、また、ポリオレフィンとエチレンと比較的低極性の
コモノマーとの共重合体(例えば、エチレン‐酢酸ビニ
ル共重合体、エチレン‐メタクリル酸メチル共重合体
等)のブレンド物中のポリオレフィンのみの組成分布と
分子量分布の相互関係など、より複雑なポリマーに対応
した測定を行うことが本発明の装置によって初めて短時
間でかつ自動的に実施可能となり、より詳細なポリマー
構造解析が可能になった。
【0017】〔発明の具体的説明〕 1.分別測定系 図1は、本発明による分別測定装置の1例を示す系統図
である。ユニットAは、システムの流路を変更するため
のバルブが入ったオーブンである。オーブン中のバルブ
は、供試ポリマー溶液または分別されたポリマー溶液が
通過するため、ポリマー溶液の自由流通が可能な一定温
度にコントロールされている。バルブの切換えはシステ
ムコントローラーSによって行われる。
【0018】ユニットBは、供試ポリマーの溶媒に対す
る溶解度の温度依存性を利用した組成分別ユニットであ
り、これもオーブン中に収容されている。この分別は、
いったん析出させたポリマーの温度を段階的または連続
的に上昇させることにより行うため、ユニットBには自
動温度コントローラTB が接続している。自動温度コン
トローラはシステムコントローラーSにより昇降温の同
期がとられる。
【0019】ユニットCは、組成的に分別されたポリマ
ーを分子サイズで分別する分子サイズ分別ユニットであ
る。これも、オーブンの中に収納されている。
【0020】ユニットDは、ユニットBでの供試ポリマ
ーの分別溶解およびポリマー溶液移送用の溶媒を定流量
で供給するユニットである。
【0021】ユニットEは、ユニットCで得られた分別
結果を検出するユニットである。検出器のフローセル
は、ポリマー溶液の自由流通が可能な一定温度にコント
ロールされている。検出結果は、レコーダーまたはデー
タ処理装置によって記録される。
【0022】ユニットA,BおよびCのオーブンは、ポ
リマー溶液の自由流通が保証される温度に設定される
が、各々の機能の特殊性及び操作性から温度コントロー
ルが独立している。
【0023】ユニットAの流路切換えバルブV3 によ
り、ユニットBの組成分別カラムC1 へのポリマー溶液
注入時と溶出ポリマー移送時の流れ方向を反転すること
により、予熱配管内での溶液のブロードニングを無く
し、且つ溶出ポリマー移送時の移送溶媒温度を組成分別
カラム温度と同一にすることが可能になり、より広い組
成分別温度範囲での測定が可能となった。また、GPC
単独モードでの測定時に組成分別カラムを通過させるこ
となく測定ができ、ブロードニングを最小限にすること
が可能になった。
【0024】また、同じユニットA内の機能切換えバル
ブV6 の設置により、二次元的分別測定と単独の組成分
布測定およびその組合せ測定も可能となった。組成分布
のみの測定を実施する場合、ユニットBの組成分別カラ
ムC1 から溶出された成分は分子サイズ分別カラムC2
を通過することなく検出器Dに送られる。この間、分子
サイズ分別カラムへはカラム安定性保持のためユニット
Dの内部標準溶液等送液ポンプP2 より測定溶媒が常に
供給され、単独の組成分布測定から二次元的分別測定へ
の変更がスムーズに実施でき、測定の連続性を保ってい
る。もし分子サイズ分別カラムに送液していない場合
は、溶媒の微妙な変化のため検出器にゴーストピークが
現れたり、ベースラインの安定性が損なわれたりし、単
独の組成分布測定と二次元的分別測定の組合せ測定に支
障をきたすことになる。
【0025】また、機能切換えバルブは、図12に示す
例のように、分子サイズ分別カラム以外に吸着カラム等
との併用を可能にした。上記のように、本発明のポリマ
ー分別装置により、従来の測定装置では不可能であった
多機能的測定が可能となった。
【0026】2.分別操作 (1) 二次元的分別 ユニットA内のバルブをバルブ位置−1(図2)にセッ
トし、注入口Iより供試ポリマー溶液を注射器等で注入
する。溶液は注入口IよりバルブポートV2−3、V2
−2を経てループL3 に満たされる。過剰の溶液はバル
ブポートV2 −5、V2 −4を通って排出される。
【0027】ポリマー溶液がループ内に満たされた後、
システムコントローラーSの指示により自動的にバルブ
位置−2、3、4(図3〜5)と変化してループ内の溶
液の全量又は一部が組成分別カラムC1 に導入される。
溶液のカラム内への移送は、バルブ位置−3(図4)の
状態でユニットDより配管CP、V3 −4、V3 −1、
2 −2、により供給される溶媒によって押し出しによ
り行われ、溶液が配管V2 −5、V2 −6を経て移動す
る。
【0028】カラムC1 に導入する一定の溶液が移動し
た後、バルブ位置−4(図5)となる(導入される溶液
量は、定量ポンプとバルブ位置−3の設定時間によって
決まる。ただし、最大量は定量ループL3 により決ま
る。)。その後、溶液はカラムC1 の中央にセットされ
るまで移動し、バルブ位置−1となって停止する(この
タイミングは、定量ポンプの流量と配管V2 −6からカ
ラムC1 の入口間の内容積、カラムC1 内の体積により
設定される。)。次に、ユニットBは、カラムC1 内の
溶液の溶存ポリマーの大部分が析出してカラム内の充填
材表面に薄膜を形成するに充分な温度まで冷却される。
【0029】冷却によってカラムC1 内の溶媒は熱収縮
するが、溶媒は、常にユニットDからクロスジョイント
CPを経てカラムの両側より導入されて、熱収縮が補償
される。冷却に際して溶媒の熱収縮を補償しないと、カ
ラムC1 内への気泡混入を生じ(又は発生)、ポリマー
の溶出時溶媒が流通しない部分が生じて分別精度が悪化
するとともに、混入した気体が分子サイズ分別カラムに
送られると、分子サイズ分別の精度も低下する。また、
検出器のノイズの原因にもなる。
【0030】所定の温度に冷却して一定時間経過すると
自動的にバルブ位置−5、6(図6,7)となり、カラ
ムC1 内の未析出ポリマーのみを含む溶液は、カラム内
部を乱さない速度の一定体積の溶媒(ユニットDより配
管CP、V3 −4、V3 −3、予熱配管L4 、組成分別
カラムC1 )により、V2 −6、V2 −1、V3 −1、
3 −2、V4 −4、V4 −3を経て、その全量がユニ
ットCへ移送される。予熱配管L4 により、カラムC1
内に導入される溶媒の温度はカラムC1 の温度と同一に
なっている。その後バルブは自動的にバルブ位置−5
(図6)に戻る。
【0031】この場合にユニットCへ移送されたポリマ
ーは、ユニットBの温度で可溶なポリマーである。この
ポリマーについてユニットCのカラムC2 で分子サイズ
の分別が行われ、検出器D(示差屈折計、赤外分光光度
計等)で溶液中のポリマー濃度、特殊化学構造(たとえ
ばカルボニル基、メチル基)等が検出される。
【0032】ユニットCで分別が実行されている間に、
ユニットBは一定温度まで昇温され、その温度で組成分
別が行われる。先にユニットCに導入されたポリマー溶
液の分別に支障のない一定時間経過後に再び自動的にバ
ルブ位置−6(図7)の状態になり、上記温度で新たに
溶出したポリマー区分を含む溶液は、全量、一定の体積
の溶媒でユニットCへ移送される。ユニットCでは、前
記と同様の分別が行われる。
【0033】ユニットA内のバルブV5 およびループL
5 は内部標準物質をユニットCへ注入する機構である。
内部標準物質を注入する目的は、ポンプの定流量性の
確認、カラムC1 、C2 の性能の確認にある。内部標
準物質としては、室温で溶媒に可溶であり、検出器Dで
検出可能な物質であって、分子量分布がなく分別測定に
支障のない低分子量物質を一般に用いることができる。
内部標準物質は最初の溶出温度で可溶であるので、カラ
ムC1 内の可溶ポリマーをユニットCに移送すると内部
標準物質の全量がカラムC1 から消費される。2回目の
溶出からは、内部標準物質は存在しなくなり、ポリマー
のみの溶液がユニットCへ移送されることになる。
【0034】そこで、2回目以降の溶出操作の後でポリ
マー溶液の全量がバルブV4 を通過後、自動的にバルブ
5 はバルブ位置−7(図8)の状態となり、ループL
5 内の内部標準物質を含む溶液がユニットCへ移送され
る。その後、内部標準溶液はユニットDの内部標準溶液
等送液ポンプP2 によってループL5 内に導入される。
【0035】この操作は、カラムC1 の2回目の溶出以
降自動的に繰り返される。以下同様にして、ユニットB
の温度をあらかじめプログラムされた温度に段階的に昇
温させ、その都度新たに溶出したポリマー区分を含む溶
液を回分的にユニットCへ移送させて分子サイズに分別
して、組成−分子量に関する二次元的分別を行う。
【0036】(2) GPCとしての使用 サイズ分別カラムの分離性能を損なうことがないよう
に、ポリマー溶液は組成分別カラムC1 を通過させずに
サイズ分別カラムに移送され測定される。具体的には、
ポリマー溶液のループL3 への充填は二次元的分別と同
様に行われ、溶液をサイズ分別カラムに移送するためバ
ルブ位置−8,9(図9,10)になり、一定時間経過
後再びバルブ位置−5(図6)になることによってルー
プL3 内の溶液の一定量または全量がサイズ分別カラム
に移送され、分子サイズでの分別が行われ、検出器Dに
よって濃度などが検出される。
【0037】(3) 連続的な組成分別、および二次元的分
別との組合せ 組成分別カラムC1 内の充填材表面上への薄膜形成まで
の手順は先に述べた二次元的分別と同様に行われる。そ
の後、連続で組成分布のみを測定する温度範囲では、バ
ルブ位置−10(図11)になり組成分別カラムC1
温度は一定の速度で昇温され、溶解した成分は、分子サ
イズカラムを通過することなく、連続的に検出器Dに移
送され、濃度などが検出される。また、一部の組成範囲
でその分子量分布の測定が必要な場合は、バルブ位置−
5(図6)となり組成分別カラムの連続昇温は停止さ
れ、先に述べた二次元的分別と同様な回分的な分別が行
われる。これによって特定の組成範囲を詳細に測定する
ことが可能になり全測定時間が著しく短縮されるととも
に、溶出温度条件の最適化を行うに必要なデータをも得
ることができる。
【0038】(4) 特殊組成での分離測定 結晶性(溶解性)は類似しているが構造的に異なるブレ
ンドポリマー(例えば、ポリエチレンとエチレン−酢酸
ビニル共重合体のブレンド物)につき、極性モノマーか
らなるポリマー(エチレン−酢酸ビニル共重合体)と無
極性ポリマー(ポリエチレン)とを分離し、無極性ポリ
マーの分別測定を上記3種類の測定法と組み合わせて実
施することができる。
【0039】具体的一例をバルブ位置−11(図12)
に示す。測定はそれぞれの分析法に基づいて先に述べた
様に行うが、カラムC3 に保持された成分を溶出するた
め、測定区分のポリマー溶液がサイズ分別カラムに移送
された後、バルブはバルブ位置−12(図13)とな
り、内部標準溶液等送液ポンプP2 によりポリマーの脱
離が可能な溶媒がカラムC3 に送液され、保持された成
分を溶出する。その後、カラムC3 を元の溶媒組成にす
るためポンプP2 は測定溶媒を送液し、置換する。ポン
プP2 によって送液される溶媒の切換えはポンプ入口に
設置されたバルブによって行われる。このカラムC3
洗浄操作は全分析が終了してから実施しても良い。次
に、バルブ位置−11(図12)となり上記測定が繰り
返される。
【0040】3.分別測定の具体例 本発明の装置による分別測定の一具体例についてその要
点を述べれば、下記の通りである。これらの具体的条件
は被測定物、測定方法等によって適宜変更できることは
いうまでもない。
【0041】(1) 組成分別カラムC1 長さ5〜20cm、内径0.2〜1.0cm程度の大きさが
普通である。ステンレス剛製が適当である。充填材は、
不活性な物質たとえば「セライト」、ガラスビーズ等の
粒径50〜400メッシュ(タイラー)程度のものが適
当である。カラムの入口および出口のジョイント部に
は、それぞれ5〜10ミクロン程度の孔度の焼結フィル
ターまたはフィルター孔径400メッシュ(タイラー)
ステンレス鋼製フィルターを設けることが好ましい。本
発明の効果を最大限にするには、充填材充填後のカラム
内の空間体積が0.5〜2.0ml程度になるようにする
のがよい。
【0042】(2) 注入試料溶液 濃度は0.1〜20mg/ml程度である。5mg/ml前後が
適当である。注入量は0.3〜1.0ml程度(ポリマー
重量で0.03〜20mg程度)が普通である。
【0043】(3) 試料溶液定量ループL3 内容積0.2〜2ml程度が普通である。1ml前後が適当
である。
【0044】(4) ユニットBの冷却速度 0.1〜20℃/分が普通である。1℃/分前後が適当
である。
【0045】(5) カラムC1 内容液の押出し速度 0.5〜2ml/分程度が普通である。1ml/分前後が適
当である。
【0046】(6) カラムC1 内溶液の押出し体積 0.5〜3ml程度が普通である。2ml前後が適当であ
る。尚、この押出し体積は、カラム内で溶解したポリマ
ーを全量押し出すという観点から選択されるべきであ
る。
【0047】(7) カラムC1 昇温速度 0.5〜5℃/分程度が普通である。1℃/分前後が適
当である。
【0048】(8) 配管材料 ステンレス鋼が適当である。
【0049】(9) 分子サイズ分別カラムC2 カラムは長さ20〜90cm程度、内径4〜8mm程度のも
ので、充填材としては架橋ポリスチレン、多孔質シリカ
等の無機物などが適当である。カラムの長さ、本数など
は分子量分布の測定範囲、分離能等によって決定され
る。
【0050】(10)吸着分別カラムC3 カラムは長さ5〜20cm程度、内径4〜8mm程度のもの
で、充填材としては表面活性のあるシリカ、極性基を有
するポリマーの架橋物等が適当である。
【0051】(11)溶 媒 ポリマー濃度変化により屈折率が変化するもの、検出赤
外波長に吸収が少ないものが適当であり、溶出温度範
囲、溶媒の物理的性質(融点、沸点)、及び検出器とポ
リマーの組合せなどによって適宜選択される。具体的に
は、たとえば、O‐ジクロロベンゼン、トリクロロベン
ゼン、BTx、四塩化炭素、四塩化エチレン等が使用さ
れる。また、吸着分離し、カラムC3 に保持されたポリ
マーの溶出には、極性の高い溶媒が単独または上記溶媒
との混合系で使用される。極性の高い溶媒としては、た
とえば、ジメチルホルムアミドに代表される非プロトン
性極性溶媒、脂肪酸、脂肪酸エステル、フェノールおよ
びその誘導体、グリコールおよびそのエステル、アルコ
ール等が挙げられる。
【0052】(12)内部標準溶液定量ループL5 内容積0.2〜2ml程度が普通であり、1ml前後が適当
である。
【0053】(13)内部標準溶液タンク 内容積300〜500ml程度が適当である。内部標準物
質は、具体的には、例えば2,4‐t‐ブチル‐p‐ク
レゾールであり、溶媒o‐ジクロロベンゼン等に溶解し
ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による分別装置の一具体例を示す系統図
【図2】流路変更バルブユニットAのバルブ位置を示す
配管図
【図3】同上
【図4】同上
【図5】同上
【図6】同上
【図7】同上
【図8】同上
【図9】同上
【図10】同上
【図11】同上
【図12】同上
【図13】同上
【符号の説明】
A 流路変更バルブユニット B 組成分別ユニット C 分子サイズ分別ユニット D 溶媒供給ユニット E 検出ユニット S システムコントローラーー TA ,TB ,TC ,TE 温度コントローラー C1 組成分別カラム C2 サイズ分別カラム C3 吸着分別カラム CP クロスジョイント D 検出器 F フィルター I 試料溶液注入口 L1 ,L2 ,L4 予熱配管 L3 試料溶液定量ループ L5 内部標準溶液定量ループ P1 メインポンプ P2 内部標準溶液等送液ポンプ T1 〜T4 溶媒タンク V1 溶媒切換えバルブ(ロータリー4方バルブ) V2 組成分別カラム注入バルブ(6方バルブ) V3 流路切換えバルブ(4方バルブ) V4 GPC注入バルブ(4方バルブ) V5 内部標準溶液注入バルブ(6方バルブ) V6 機能切換えバルブ(6方バルブ)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料ポリマー溶液注入口、試料ポリマー溶
    液定量ループ、組成分別カラム注入バルブ、流路切換え
    バルブおよびGPC注入バルブを含む試料溶液注入溶出
    機構、標準溶液定量ループおよびバルブを含む内部標準
    溶液注入機構、並びに機能変更に用いる機能切換えバル
    ブを有する流路変更バルブユニットAと、充填材を充填
    したカラムであって、上記試料ポリマー溶液定量ループ
    より移送される試料ポリマー溶液につきポリマーの該充
    填材上への析出および該カラム内の段階的または連続的
    昇温による分別溶解を行うことにより分子組成分別を行
    うための組成分別カラムと、予熱ループとを有する組成
    分別ユニットBと、充填材を充填したカラムを備え、上
    記試料ポリマー溶液定量ループから移送されるポリマー
    溶液またはユニットBで組成分別され、回分的に移送さ
    れる試料ポリマー分別区分を分子サイズで分別するため
    の分子サイズ分別ユニットCと、ユニットBでの試料ポ
    リマーの分別溶解およびユニットCでの分子サイズでの
    分別を行うための溶媒を定流量で供給するための溶媒供
    給ユニットDと、ユニットB及び/又はユニットCで得
    られた分別結果を検出し測定するための検出ユニットE
    と、システムコントローラーと、上記ユニットA,B,
    CおよびEにそれぞれ接続され、各ユニット内でのポリ
    マー溶液の自由流通が保証される温度に各々独立に温度
    制御を行う自動温度コントローラとを具備し、 上記流路切換えバルブは、ユニットDからの溶媒流を該
    バルブを通して上記試料ポリマー溶液定量ループに移送
    し、それにより該定量ループ内の試料ポリマー溶液を上
    記組成分別カラムに導入し、分別溶解後、該バルブを通
    じる溶媒流路を変更し、ユニットDからの溶媒流を上記
    予熱ループを経て組成分別カラムに移送し、該カラム内
    の溶出ポリマーと共に該バルブを経てユニットCまたは
    ユニットEに移送する機能を有し、上記機能切換えバル
    ブは、イ)ユニットBでの組成分別後の試料ポリマーの
    分子サイズ分別ユニットCへの移送、ロ)ユニットBで
    の組成分別後の試料ポリマーの検出ユニットEへの移
    送、またはハ)上記試料ポリマー溶液定量ループ内の試
    料ポリマー溶液のユニットCへの移送、を選択的に行え
    る機能を有し、上記システムコントローラーによって該
    温度コントローラの制御と上記ユニットA内のバルブの
    制御とを行えるようにしたことを特徴とする、多機能型
    のポリマー分別装置。
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