JP3085807B2 - 自動車運搬船用リフタブルデッキ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車運搬船における
自動車搭載用のリフタブルデッキに関し、特に複数枚の
デッキ板を並設して形成された分割式リフタブルデッキ
の昇降装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、自動車運搬船には、自動車搭載
用のデッキが装備されている。このデッキは、幅狭なデ
ッキ板を複数枚並設して形成されるとともに自動車の搭
載が可能な設置位置と、この設置位置の上方の格納位置
との間で昇降可能なリフタブルデッキとして、構成され
ている。ここで、リフタブルデッキを格納位置におくの
は、車高の高い自動車をロワーデッキに搭載するためで
ある。一方ロワーデッキに搭載される自動車の車高が低
いときには、リフタブルデッキを設置位置におき、リフ
タブルデッキ上にも自動車の搭載が行なわれる。

【０００３】図３，４は、従来のリフタブルデッキ装置
を示している。すなわち図３，４において、符号11ａは
デッキ板を示していて、複数枚のデッキ板11ａを並設し
て分割式リフタブルデッキが構成されている。そしてリ
フタブルデッキは、後述の昇降装置により自動車を搭載
可能な設置位置Ａと同設置位置Ａの上方の格納位置Ｂと
の間の昇降を可能に、取付けられている。符号19は上記
の昇降時にデッキ板を案内するために船体に取付けられ
た柱状のガイド部材を示していて、デッキ板11ａ上の案
内シュー12がガイド部材に摺接するようになっている。
また、符号18ａ，18ｂは、それぞれ設置位置Ａおよび格
納位置Ｂにおいてデッキ板11ａを保持するために船体に
取付けられたストッパを示している。なおストッパ18ｂ
は仰伏可能となっている。

【０００４】さらに、各デッキ板11ａ毎に、昇降用駆動
源17が設置けられている。駆動源17は油圧ラム装置17ａ
と、油圧ラム装置17ａにより上下方向に駆動される双胴
式の巻胴17ｂとで構成されている。一方、デッキ板11ａ
の左右両縁部の前部と後部とに合計４個のシーブ15が取
付けられ、これらのシーブ15および船体側に取付けられ
た固定シーブ16，16ｃ（符号16ｃは方向変換用シーブを
示す）を介して、巻胴17ｂの各ドラムに１組みのワイヤ
ロープ14ａ，14ｂがそれぞれ捲回されていて、油圧ラム
装置17ａの作動でデッキ板11ａを昇降できるようになっ
ている。符号14ｃはワイヤロープ14の端末固定部，符号
20はロワーデッキ，符号21はアッパデッキ，符号22は着
床検出用光電管をそれぞれ示している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のリフ
タブルデッキ装置では、各デッキ板毎に駆動源を設けて
いるため、デッキ板の格納および設置は個別操作とな
り、デッキ板の数と同数の駆動源が必要となる。また同
時に多数の駆動源の操作を行なうため多数の操作要員が
必要となる等の問題点がある。本発明このような問題点
の解決をはかろうとするもので、全てのデッキ板の格納
および設置を、１組みの駆動源で行なえるようにした、
自動車運搬船用リフタブルデッキ装置を提供することを
目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明の自動車運搬船用リフタブルデッキ装置は、
自動車の搭載が可能な設置位置から同設置位置の上方の
格納位置に、あるいは同格納位置から上記設置位置に移
動可能なリフタブルデッキをそなえ、同リフタブルデッ
キが複数枚のデッキ板を並設して形成されるとともに、
上記の設置位置および格納位置に上記各デッキ板を固定
可能なストッパが設けられ、同各デッキ板を上記の設置
位置と格納位置との間で任意の向きに移動可能な１台の
駆動源が設けられ、同駆動源に１組みの連動駆動される
ドラムが取付けられ、同各ドラムに、それぞれ１組みの
ワイヤロープが巻架され、同各ワイヤロープが、それぞ
れ上記各デッキ板の左縁部および右縁部に取付けられた
各シーブに船体側の固定シーブを介して順次張架されて
おり、昇降させようとするデッキ板に対するストッパの
みの固定を解除することにより、当該デッキ板のみを上
昇あるいは下降させることができることを特徴としてい
る。

【０００７】

【作用】上述の本発明の自動車運搬船用リフタブルデッ
キ装置では、昇降移動させようとするデッキ板のみの固
定を解除した後に駆動源を駆動することにより、当該デ
ッキ板のみを上昇あるいは下降させることができる。そ
して、この操作を順次行なうことにより、リフタブルデ
ッキを構成する全デッキ板を格納位置と設置位置との間
で１台の駆動源により昇降移動させることができる。

【０００８】

【実施例】以下、図面により本発明の一実施例としての
自動車運搬船用リフタブルデッキ装置について説明する
と、図１は斜視図、図２は模式斜視図である。この実施
例のリフタブルデッキも、複数枚のデッキ板１ａ，１ｂ
……１ｎを並設して形成され、各デッキ板は自動車の搭
載が可能な設置位置Ａと設置位置の上方の格納位置Ｂと
の間を、上下方向に移動可能に、配設されている。

【０００９】符号９は上下方向の移動時にデッキ板１ａ
等を案内するために船体に取付けられた柱状のガイド部
材を示しており、このガイド部材９に摺接可能な案内シ
ュー２が各デッキ板１ａ等に突設されている。また、設
置位置Ａおよび格納位置Ｂにおいて、各デッキ板１ａ等
を保持するためのストッパ８ａ，８ｂが船体に取付けら
れている。なおストッパ８ｂは仰伏可能となっている。
符号７は、複数枚のデッキ板１ａ，１ｂ……１ｎの昇降
用駆動源としてのウインチを示している。ウインチ７に
１組みのドラム７ａ，７ｂが設けられていて、両ドラム
７ａ，７ｂは連動して回転駆動されるようになってい
る。

【００１０】この実施例の場合、複数枚のデッキ板１
ａ，１ｂ……１ｎの昇降は１台のウインチ７によって行
なわれるようになっており、そのために、両ドラム７
ａ，７ｂに、次の要領で、１組みのワイヤロープ４ａ，
４ｂが巻架されている。すなわち、各デッキ板１ａ，１
ｂ……１ｎの左縁部および右縁部の各前部および後部
に、それぞれシーブ５が取付けられている。さらに、船
体上で各シーブ５の直上位置に固定シーブ６が取付けら
れている。符号６ａ，６ｃはワイヤロープ４の方向変更
を必要とする個所に取付けられた方向変換用固定シーブ
を示している。

【００１１】そして左側のドラム７ａに巻架されたワイ
ヤロープ４ａが、各デッキ板１ａ，１ｂ……１ｎの各左
端部に取付けられたシーブ５に、固定シーブ６を介して
順次張架されている。また、右側のドラム７ｂに巻架さ
れたワイヤロープ４ｂが、同様に各デッキ板１ａ，１ｂ
……１ｎの各右端部に取付けられたシーブ５に、固定シ
ーブ６，６ａを介して順次張架されている。符号４ｃは
各ワイヤロープ４ａ，４ｂの端末の船体側固定部を示し
ている。図１中の符号３はストッパリギンスクリューを
示している。また、図３に示したような着床検出用光電
管がそなえられている。

【００１２】次に、複数枚のデッキ板１ａ，１ｂ……１
ｎを設置位置Ａから格納位置Ｂに上昇させる場合、ある
いは格納位置Ｂから設置位置Ａに下降させる場合の操作
について説明する。いずれの場合にも、デッキ板１ａ等
の昇降がデッキ板を１枚ずつ上昇させたりあるいは下降
させたりして、行なわれる。すなわち移動させようとす
るデッキ板のストッパのみを固定解除状態にして、ウイ
ンチ７を駆動し当該デッキ板の上昇あるいは下降を行な
って、所定位置に到着後にストッパにより固定状態とす
る。

【００１３】この操作を順次遂行して、全部のデッキ板
の上昇あるいは下降を、１台のウインチ７で行なうこと
ができる。デッキ板は昇降移動中、左右各２本のガイド
部材９で案内されるため、横方向に揺動するおそれはな
い。なおストッパ８ａ，８ｂとしては、手動作動式，油
圧作動式のいずれの方式のものでもよいが、遠隔操作の
点から油圧作動式のものが望ましい。

【００１４】このようにして、この実施例の自動車運搬
船用リフタブルデッキ装置では、複数枚のデッキ板１
ａ，１ｂ……１ｎを並設して形成された分割式リフトデ
ッキを、格納位置から設置位置へ、あるいはこれと反対
向きに、１台のウインチによって移動させることがで
き、設置コストおよび据付け工事を大幅に低減すること
が可能となる。また、操作を少人数で行なえるととも
に、ウインチが１台なため、機械的損失も少なくかつメ
ンテナンスが簡単なため、ランニングコストの点でも有
利である。なお、着床検出用光電管装置を各デッキ板毎
に、かつ設置位置および格納位置のそれぞれに設けてお
くとき、上記の操作の自動化が可能となる。

【００１５】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明の自動車運
搬船用リフタブルデッキ装置によれば、次のような効果
ないし利点が得られる。 (1) 駆動源（ウインチ）を１台に集約したので、設置費
を大幅に減額できると共に据付け工事が容易となる。 (2) 操作が少人数でできる上、各駆動源毎の機械的損失
が１台に集約され、さらにメンテナンスが簡単となり、
省エネ，省力化をはかることができる。(3) 昇降させようとするデッキ板に対するストッパのみ
の固定を解除することにより、当該デッキ板のみを上昇
あるいは下降させることができる 。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例としての自動車運搬船用リフ
タブルデッキ装置の斜視図。

【図２】同模式斜視図。

【図３】従来の自動車運搬船用リフタブルデッキ装置の
斜視図。

【図４】同模式斜視図。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ……１ｎ，11 デッキ板 ２，12 案内シュー ４ａ，４ｂ ワイヤロープ ５ シーブ ６，６ａ，６ｃ 固定シーブ ７ ウインチ ７ａ，７ｂ ドラム ８ａ，８ｂ ストッパ ９ ガイド部材 Ａ 設置位置 Ｂ 格納位置

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動車の運搬船において、上記自動車の
   搭載が可能な設置位置から同設置位置の上方の格納位置
   に、あるいは同格納位置から上記設置位置に移動可能な
   リフタブルデッキをそなえ、同リフタブルデッキが複数
   枚のデッキ板を並設して形成されるとともに、上記の設
   置位置および格納位置に上記各デッキ板を固定可能なス
   トッパが設けられ、同各デッキ板を上記の設置位置と格
   納位置との間で任意の向きに移動可能な１台の駆動源が
   設けられ、同駆動源に１組みの連動駆動されるドラムが
   取付けられ、同各ドラムに、それぞれ１組みのワイヤロ
   ープが巻架され、同各ワイヤロープが、それぞれ上記各
   デッキ板の左縁部および右縁部に取付けられた各シーブ
   に船体側の固定シーブを介して順次張架されており、昇
   降させようとするデッキ板に対するストッパのみの固定
   を解除することにより、当該デッキ板のみを上昇あるい
   は下降させることができることを特徴とする、自動車運
   搬船用リフタブルデッキ装置。