JP3084288U - ワッシャ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボルトの取付孔が大きくてもワッシャの機能
を十分に果たすことができるだけでなく、下座が取付孔
から抜けるのを防止することもできるワッシャを提供す
る。 【解決手段】 輪形に形成されるワッシャ本体の上下両
面または一面に、ボルトの取付孔においてボルトとの隙
間に嵌めるための環状突部を形成した。 【効果】 ボルトの取付孔が大きくても、ナットやボル
ト頭、コイルばねが抜ける不都合を防止し、ナット等の
座面が狭くても安定着座させ、ねじの締め付けを強く
し、ねじの弛み止めとなる等のワッシャの機能を十分に
果たすことができるだけでなく、逆止めとなる下座が取
付孔から抜けるのを防止することもできる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、各種工作物にボルトを取り付ける場合に、そのボルトの取付孔に 当てられるワッシャに関する。

【０００２】

【従来の技術】

ワッシャは、普通には軟鋼板を打ち抜いて輪形に作られるものであるが、構造 的に機能を付加したばねワッシャ、爪付きワッシャ等がある。いずれの場合も、 ボルトに挿入することにより、ナットやボルト頭の下に敷かれ、特別の場合には コイルばねの掛止受けとしても使用される。

【０００３】 基本的な機能については、ボルトの通し孔が大きいときにナットやボルト頭、 コイルばねが抜ける不都合を防止し、ナット等の座面が狭くても安定着座させる 働きがある。また、ねじの締め付けを強くし、ねじの弛み止めの働きもある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

工作物、特に建築物に予め開けられるボルトの取付孔は、規格に基づいてその 大きさが決まっているため、ボルトを通すだけの理想的な大きさを過度に超えて 隙間が生じることがある。このような場合には、ナット等の締め付けにより、殊 に板ワッシャであると、中央が取付孔に落ち込むために、上記したワッシャの機 能を十分果たせなくなることがあった。

【０００５】 また、壁に雌ねじボルト（これに他のボルトが取り付けられる）を埋め込むと きや、後記の実施形態の吊り金具１０においては、雌ねじボルト１１に取付孔２ ７の裏側に掛かる下座１５を設け、それを弾性変形させて取付孔２７に通して裏 側に掛止させるボルトの取付け形態を取ることもあるが、このような場合には、 取付孔が大きいと下座１５を通しやすく作業がしやすいが、逆に抜けやすいため に掛止状態が不十分となるという問題があった。

【０００６】 この考案は、上記のような実情に鑑みて、ボルトの取付孔が大きくてもワッシ ャの機能を十分に果たすことができるだけでなく、下座が取付孔から抜けるのを 防止することもできるワッシャを提供することを目的とした。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために、この考案は、輪形に形成されるワッシャ本体の 上下両面または一面に、ボルトの取付孔においてボルトとの隙間に嵌めるための 環状突部を形成したことを特徴とするワッシャを構成した。

【０００８】 上記の構成によれば、ナットやボルト頭の下に敷く使用の仕方であると、ボル トと取付孔との間の隙間を環状突部が塞ぐだけでなく、リブの作用を果たすため に、ねじを強く締めても落ち込むことがなく、ナット等との共回りもなく、これ によりねじの弛みが防止されるが、取付孔にきつく嵌まっていると弛み防止がさ らに強力となる。また、コイルばねの受けとして使用する場合にも、それを強力 に支持し得る。さらに、ボルトの下端に取付孔の下に逆止めに掛かる下座を取り 付けたボルトの取付けにおいては、下座が取付孔から抜けるのが防止される。

【０００９】

【考案の実施の形態】

次に、この考案の実施の形態を図面に基づいて説明する。

【００１０】 図１は一実施形態を示し、図２および図３はそのワッシャＷの使用例を示す。 ワッシャＷは、円形の板状のワッシャ本体１の中央部に、輪孔５と同心において 円形の環状突部７を設けてある。環状突部７の一体化については、プラスチック の射出成形が最も量産的であるが、金属では鋳造、鍛造等の手段によって一体化 できる。また、環状突部７を別体に形成し、板状本体１に嵌着手段やねじ込み手 段により一体化しても良い。

【００１１】 図２および図３は、天井吊りボルト９の吊り金具１０の一部品として使用した 場合を示したもので、その吊り金具１０は、天井吊りボルト９が螺着される雌ね じボルト１１を主体として、それにコイルばね１３と、この考案のワッシャＷと 、下座１５とが組み付けられる。

【００１２】 雌ねじボルト１１は、下端にその雌ねじ１８が形成され、上端にコイルばね１ ３の掛止鍔１９が設けられたもので、下端部に下座１５が固着され、掛止鍔１９ と下座１５との間にコイルばね１３とワッシャＷとが挿入されている。下座１５ は、金属筒をプレス加工したもので、上端部に花弁状に開く複数の逆止弁１７， １７，１７が形成される。なお、下座１５の取付けについては、雌ねじボルト１ １の下端外周に環状に掛止溝２１を設け、下座１５の下端部にはその掛止溝２１ に掛かる逆止爪２３が形成される。

【００１３】 吊り金具１０の取付については、床コンクリート２５が打設されるデッキプレ ート２４に予め取付孔２７を穿設してあるので、その取付孔２７に上から落とし 込むが（図２）、その際に、環状突部７が逆止弁１７の閉じる障害とならないよ う、ワッシャＷをコイルばね１３の弾力に抗して持ち上げながら（同図二点鎖線 ）、雌ねじボルト１１と共に下座１５を通すと、逆止弁１７が弾性変形して通過 することにより、通過と同時に開拡して取付孔２７の口縁の下に引っかかるから （図３）、ワッシャＷをコイルばね１３の弾力に任せて下ろすことにより、環状 突部７を取付孔２７に嵌める。

【００１４】 そうすると取付孔２７が塞がれて逆止弁１７が抜けることがなく、コンクリー ト２９を打設する際の衝撃に耐えて姿勢を保持するから、天井吊りボルト９の取 付けに不都合が生じない。

【００１５】 図４は他の実施形態を示したもので、そのワッシャＷは、取付孔２７の規格に 対応しやすいように、ワッシャ本体１の上下両面に外径の異なる環状突部７，７ を突設し、選択的にいずれかの環状突部７を取付孔２７に嵌めるようにした。

【００１６】

【考案の効果】

以上説明したように、この考案のワッシャによれば、ボルトの取付孔が大きく ても、ナットやボルト頭、コイルばねが抜ける不都合を防止し、ナット等の座面 が狭くても安定着座させ、ねじの締め付けを強くし、ねじの弛み止めとなる等の ワッシャの機能を十分に果たすことができるだけでなく、逆止めとなる下座が取 付孔から抜けるのを防止することもできるという優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案のワッシャを示す斜視図である。

【図２】同ワッシャを天井吊りボルトの吊り金具に使用
した例をその金具の取付け要領において示す正面図であ
る。

【図３】同使用例を吊り金具の取付け状態において示す
一部切欠した正面図である。

【図４】他の実施形態を示すワッシャの断面図である。

【符号の説明】

Ｗ ワッシャ １ ワッシャ本体 ７ 環状突部 １１ ボルト ２７ 取付孔

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 輪形に形成されるワッシャ本体の上下両
   面または一面に、ボルトの取付孔においてボルトとの隙
   間に嵌めるための環状突部を形成したことを特徴とする
   ワッシャ。