JP3083510B2 - 無刷子電動機およびその製造方法と磁石回転子の製造方法 - Google Patents

無刷子電動機およびその製造方法と磁石回転子の製造方法

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JP3083510B2
JP3083510B2 JP10354270A JP35427098A JP3083510B2 JP 3083510 B2 JP3083510 B2 JP 3083510B2 JP 10354270 A JP10354270 A JP 10354270A JP 35427098 A JP35427098 A JP 35427098A JP 3083510 B2 JP3083510 B2 JP 3083510B2
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昌亨 ▲高▼田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主にルームエアコ
ンや給湯機や換気扇などの送風ファン駆動源として用い
られる小型電動機の一種である無刷子電動機およびその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、この種の無刷子電動機は、低コス
ト化、部品点数・加工工数の削減を実現した上で高品
質、高出力および高効率化が強く要求されている。無刷
子電動機の高出力および高効率化は、固定子は磁気飽和
限界までスロット面積を拡げるとともに、高密度実装巻
線により実現し、また、回転子は磁束密度の高い磁石を
使用することにより対処されている。さらに、最近では
多極化することによって高効率化を実現している。
【0003】磁石は形状面からはリング型磁石とセグメ
ント型磁石に区分され、セグメント型磁石の方が磁束密
度は高い。また、磁性粉体を金型内で成型するときに磁
場をかけて配向するか、磁場をかけないで配向しないか
によって、異方性磁石、等方性磁石に区分され、磁場を
かけて得られる異方性磁石には、磁場配向によってラジ
アル異方性磁石と極異方性磁石に区分され、極異方性磁
石はラジアル異方性磁石よりも20%程度磁束密度が高
く、着磁波形は正弦波となるので、低振動化、高出力お
よび高効率化には極異方性磁石が用いられるようになっ
てきた。
【0004】従来、この種の無刷子電動機について、図
16および図17を参照しながら説明する。
【0005】図に示すように、固定子54は、6つのス
ロットを有する固定子鉄心51を一体成形あるいは軸方
向からの挟み込みによりインシュレータ52にて絶縁
し、電機子巻線53を直接巻装して構成され、磁石回転
子55は、シャフト56を圧入した回転子鉄心57に4
枚のフェライト異方性セグメント磁石58を貼り付け、
フェライト異方性セグメント磁石58の軸方向長さは固
定子鉄心51の軸方向長さ以上と構成され、59は磁石
回転子55の磁極位置を検出するための位置検出素子で
あるホール素子60を搭載したプリント基板であり、ホ
ール素子60はフェライト異方性セグメント磁石58の
漏れ磁束を検出する構成であった。しかし、このような
6スロット4極の無刷子電動機では、極端な高効率化は
できないため、固定子鉄心51のスロット数を6スロッ
トから9スロットあるいは12スロットにし、磁石回転
子55の極数を4極から8極にすることによって、高効
率化する構成が提案されてきている。しかしながら、磁
石回転子55の極数を4極から8極に増やすことによっ
て、磁石回転子55の加工工数は2倍になってしまうた
め、コスト高となるので、リング型磁石である極異方性
磁石の採用が増えてきている。中でも、プラスチックフ
ェライト極異方性磁石の採用が増えてきているが、プラ
スチックフェライト極異方性磁石では減磁耐力が劣化す
るうえ、高出力および高効率化が困難であるため、フェ
ライト焼結極異方性磁石が採用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このフェライト焼結極
異方性磁石など焼結リング型磁石は、軸方向長さが38
mmを超えるものは、成型プレスのストロークおよび耐
圧力の関係で製造できないため、高出力および高効率化
のためには、磁石外径を大きくするとともに固定子鉄心
外径を大きくして対応しているため、電動機が大きくな
り、コスト高になるという課題があった。また、無刷子
電動機を搭載する電気機器の寸法等の制約から大径化で
きない場合があるという課題があった。また、軸方向長
さが23mmを超えるものは、通常の機械式プレスでは
製造できないため、油圧プレスにて製造するので、生産
タクトが約3倍となり、コスト高となるという課題があ
り、また、軸方向長さが長くなると軸方向の磁性粉体の
密度分布にバラツキが生じて割れやすくなり、コスト高
となるという課題があり、低コストで電動機外径を大き
くすることなく、高出力・高効率が実現できる無刷子電
動機が要求されている。
【0007】また、焼結極異方性磁石は磁場配向しなが
ら圧縮しているため、成型時に磁石の軸方向において上
側は5%〜10%程度磁束密度が低くなるので、無刷子
電動機の構成によっては、軸方向の振動が発生するとい
う課題があり、磁石の軸方向の磁束密度分布が軸方向中
心を境に対照になり、軸方向の振動が抑制できる無刷子
電動機が要求されている。
【0008】また、プリント基板59を電動機内部に内
蔵し、ホール素子60を用いて磁石回転子55の磁極位
置を検出する場合、磁石の軸方向長さは固定子鉄心51
に巻装された電機子巻線53の軸方向長さ以上とする必
要があり、前述した軸方向長さが38mmを超える磁石
が必要となるという課題があった。
【0009】なお、極異方性磁石の軸方向への積層につ
いては、各種産業機器に用いられるACサーボモータに
おいて、コギングトルクを低減するために、極異方性磁
石を軸方向に複数個に分割して磁極をずらしたあと着磁
して、みかけのスキュー着磁をしたACサーボモータ
(特開平8−340652号公報参照)の構成が開示さ
れているが、その目的はコギングトルクの低減であり、
この構成をそのまま送風ファン駆動源用の無刷子電動機
に適用した場合、実際の誘起電圧位相とホール素子60
の検出した磁石回転子55の位置ズレを生じることから
効率が極端に劣化したり、トルクリップルが増大するな
どの課題があった。また、フェライト焼結極異方性磁石
は磁性粉体を金型内に充填し、磁場をかけて配向しなが
ら、軸方向に3分の1程度まで圧縮した成型体を脱磁
し、焼成し、寸法精度を確保するために、外径・軸方向
端面を研磨して製造されているため、開示されたように
磁極の極間に線を設けることは実際にはできない。さら
に、凹凸を設けて勘合させて積み重ねることも容易に考
えられるが、焼成時の収縮にバラツキが生じるので、積
み重ねた磁石の間に大きな隙間を生じるなど、確実に磁
極を合わせて積み重ねることは困難であるという課題が
あった。また、研磨された焼結極異方性磁石とシャフト
の固定は、ACサーボモータでは焼結極異方性磁石の内
径をさらに研磨して、シャフトに接着固定している。こ
こで、焼結極異方性磁石の内径研磨は加工が困難である
ため、コストが異常に高くなるという課題があり、磁石
の内径研磨を施さなくてもシャフトに磁石を固定でき、
低コストで高出力・高効率の無刷子電動機が要求されて
いる。
【0010】また、ホール素子60などの位置検出素子
を搭載したプリント基板59を電動機内部に内蔵する無
刷子電動機において、固定子鉄心51の軸方向長さに関
係なく、電機子巻線53が固定子鉄心51よりも軸方向
に突出する長さは変わらないために、固定子鉄心51の
軸方向長さが短い場合、磁石の軸方向長さに対する固定
子鉄心51の軸方向長さの比率が大きくなるため、固定
子鉄心51が磁気飽和し、誘起電圧に歪みが生じて、誘
起電圧位相とホール素子60によって検出した位置検出
信号の位相がずれ、効率の劣化や振動が大きくなるとい
う課題があり、固定子鉄心の軸方向長さが短く、ホール
素子を内蔵するために磁石の軸方向長さを長くしても磁
気飽和などの影響が無く、効率の劣化および振動の抑制
ができる無刷子電動機が要求されている。
【0011】本発明は、このような従来の課題を解決す
るものであり、電動機の軸方向長さが長くても、ホール
素子などの位置検出素子を搭載したプリント基板を電動
機内部に内蔵でき、高品質を確保するとともに、焼結極
異方性磁石を使用した低コストで低振動・高出力・高効
率を実現できる無刷子電動機を提供することを第1の目
的とする。
【0012】また、高品質を確保するとともに、極異方
性磁石の軸方向長さを長く構成し、低コストで低振動・
高出力・高効率を実現できる無刷子電動機の製造方法を
提供することを第2の目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の無刷子電動機は
上記第1の目的を達成するために第1の手段は、磁石回
転子は複数段の焼結極異方性磁石を磁極表示マークを合
わせて軸方向に積み重ねて構成され、前記磁極表示マー
クは外径側軸方向角の磁極ピーク部に形成されたことを
特徴とする無刷子電動機の構成としたものである。
【0014】これにより、磁石の磁性粉体の密度低下が
抑制できることによって、磁石の安定生産ができるとと
もに、高品質を確保でき、加工工数の削減ができ、磁極
合わせが容易になることによって、焼結極異方性磁石の
軸方向長さを容易に長く構成できるので、安価に低振
動、高出力、高効率の無刷子電動機が得られる。
【0015】また、上記第1の目的を達成するために、
第2の手段は、磁石回転子は複数段の焼結極異方性磁石
をそれぞれの磁極表示マークを合わせて軸方向に積み重
ねて構成され、前記磁極表示マークはくぼみ状に形成さ
れたことを特徴とする無刷子電動機の構成としたもので
ある。
【0016】これにより、磁石の磁性粉体の密度低下が
抑制できることによって、磁石の安定生産ができるとと
もに、高品質を確保でき、部品点数および加工工数の削
減ができ、安価で低振動、高出力、高効率の無刷子電動
機が得られる。
【0017】また、上記第1の目的を達成するために、
第3の手段は、磁石回転子は複数段の焼結極異方性磁石
をそれぞれの磁極表示マークを合わせて軸方向に積み重
ね、シャフトに樹脂で一体成型にて構成されたことを特
徴とする無刷子電動機の構成としたものである。
【0018】これにより、磁石が安価に安定生産ができ
るとともに、高品質を確保でき、部品点数の削減がで
き、さらに作業時間の削減ができ、より安価で、低振
動、高出力、高効率の無刷子電動機が得られる。
【0019】また、上記第1の目的を達成するために、
第4の手段は、磁極表示マークは同一面上に2カ所18
0度等配で設けたことを特徴とする無刷子電動機の構成
としたものである。
【0020】これにより、磁石の安定生産ができるとと
もに、高品質を確保でき、部品点数の削減ができ、さら
に磁石の磁極合わせが短時間ででき、より安価で、低振
動、高出力、高効率の無刷子電動機が得られる。
【0021】また、上記第1の目的を達成するために、
第5の手段は、1つの磁石の軸方向長さを23mm以下
としたことを特徴とする無刷子電動機の構成としたもの
である。
【0022】これにより、磁石の安定生産が低コストで
できるとともに、高品質を確保でき、さらに安価で低振
動、高出力、高効率の無刷子電動機が得られる。
【0023】また、上記第1の目的を達成するために、
第6の手段は、磁石回転子の軸方向長さを38mm以上
としたことを特徴とする無刷子電動機の構成としたもの
である。
【0024】これにより、低振動、高出力、高効率の無
刷子電動機が得られる。
【0025】また、上記第1の目的を達成するために、
第7の手段は、磁石回転子は2段に積み重ねられた焼結
極異方性磁石によって構成され、焼結極異方性磁石の高
磁束側軸方向端面を重ね合わせたことを特徴とする無刷
子電動機の構成としたものである。
【0026】これにより、軸方向の振動が抑制され、低
振動、高出力、高効率の無刷子電動機が得られる。
【0027】また、上記第2の目的を達成するために、
第8の手段は、磁石回転子の磁石部は着磁された状態の
前記極異方性磁石を極性の異なる磁極ピーク同士を合わ
せて軸方向に複数段積み重ねた後、脱磁することを特徴
とする磁石回転子の製造方法としたものである。
【0028】これにより、容易に極異方性磁石の軸方向
長さが長くでき、安価で、低振動、高出力、高効率の磁
石回転子の製造方法が得られる。
【0029】また、上記第2の目的を達成するために、
第9の手段は、磁石回転子の磁石部は着磁された状態の
前記極異方性磁石を極性の異なる磁極ピーク同士を合わ
せて軸方向に複数段積み重ねた後、非磁性金型内にシャ
フトと積み重ねられた磁石をセットし、樹脂を金型内に
注入し、シャフトと磁石を固定した後、脱磁することを
特徴とする磁石回転子の製造方法としたものである。
【0030】これにより、容易に極異方性磁石の軸方向
長さが長い磁石回転子ができ、低コストで、低振動、高
出力、高効率の磁石回転子の製造方法が得られる。
【0031】また、上記第2の目的を達成するために、
第10の手段は、磁石回転子の磁石部は着磁された状態
の極異方性磁石における軸方向の平坦面に接着剤を塗布
した後、極性の異なる磁極ピーク同士を合わせて軸方向
に複数段積み重ねた後、脱磁することを特徴とする磁石
回転子の製造方法としたものである。
【0032】これにより、容易に極異方性磁石の軸方向
長さが長い磁石回転子ができ、低コストで、低振動、高
出力、高効率の磁石回転子の製造方法が得られる。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、磁石回転子は複数段の焼結極異方性磁石を磁極表示
マークを合わせて軸方向に積み重ねて構成され、前記磁
極表示マークは外径側軸方向角の磁極ピーク部に形成さ
れたことを特徴とする無刷子電動機の構成としたもので
あり、磁石の磁性粉体の密度低下が抑制できることによ
って、磁石の品質が高レベルで安定するとともに、焼結
極異方性磁石の磁極の位置合わせが容易になり、焼結極
異方性磁石の軸方向長さを長く構成できるという作用を
有する。
【0034】本発明の請求項2に記載の発明は、磁石回
転子は複数段の焼結極異方性磁石をそれぞれの磁極表示
マークを合わせて軸方向に積み重ねて構成され、前記磁
極表示マークはくぼみ状に形成されたことを特徴とする
無刷子電動機の構成としたものであり、焼結極異方性磁
石の磁性粉体の密度分布がほぼ均一になることによっ
て、磁石の品質が高レベルで安定するとともに、焼結極
異方性磁石の磁極の位置合わせが容易となるという作用
を有する。
【0035】本発明の請求項3に記載の発明は、磁石回
転子は複数段の焼結極異方性磁石をそれぞれの磁極表示
マークを合わせて軸方向に積み重ね、シャフトに樹脂で
一体成型にて構成されたことを特徴とする無刷子電動機
の構成としたものであり、磁石の内径研磨および積層さ
れた回転子鉄心のシャフトへの圧入が不要となるという
作用を有する。
【0036】本発明の請求項4に記載の発明は、磁極表
示マークは同一面上に2カ所180度等配で設けたこと
を特徴とする無刷子電動機の構成としたものであり、積
み重ねる磁石の磁極合わせに要する時間が短くなるとい
う作用を有する。
【0037】本発明の請求項5に記載の発明は、1つの
磁石の軸方向長さを23mm以下としたことを特徴とす
る無刷子電動機の構成としたものであり、磁石の生産が
機械式プレスにて製造できるので磁石の生産性が向上す
るという作用を有する。
【0038】本発明の請求項6に記載の発明は、磁石回
転子の軸方向長さを38mm以上としたことを特徴とす
る無刷子電動機の構成としたものであり、磁石回転子の
外径を大径化することなく、磁石回転子の磁束量が増加
するという作用を有する。
【0039】本発明の請求項7に記載の発明は、磁石回
転子は2段に積み重ねられた焼結極異方性磁石によって
構成され、焼結極異方性磁石の高磁束側軸方向端面を重
ね合わせたことを特徴とする無刷子電動機の構成とした
ものであり、磁石の軸方向の磁束密度分布は軸方向中心
部が最大になるとともに、軸方向中心部を境に対照にな
るという作用を有する。
【0040】本発明の請求項8に記載の発明は、磁石回
転子の磁石部は着磁された状態の前記極異方性磁石を極
性の異なる磁極ピーク同士を合わせて軸方向に複数段積
み重ねた後、脱磁することを特徴とする磁石回転子の製
造方法としたものであり、積み重ねる磁石において磁場
の方向を容易に合わせることができるという作用を有す
る。
【0041】本発明の請求項9に記載の発明は、磁石回
転子の磁石部は着磁された状態の前記極異方性磁石を極
性の異なる磁極ピーク同士を合わせて軸方向に複数段積
み重ねた後、非磁性金型内にシャフトと積み重ねられた
磁石をセットし、樹脂を金型内に注入し、シャフトと磁
石を固定した後、脱磁することを特徴とする磁石回転子
の製造方法としたものであり、磁石回転子において積み
重ねる磁石の磁場の方向を容易かつ確実に合わせること
ができるという作用を有する。
【0042】本発明の請求項10に記載の発明は、磁石
回転子の磁石部は着磁された状態の極異方性磁石におけ
る軸方向の平坦面に接着剤を塗布した後、極性の異なる
磁極ピーク同士を合わせて軸方向に複数段積み重ねた
後、脱磁することを特徴とする磁石回転子の製造方法と
したものであり、積み重ねる磁石において磁束の配向を
容易かつ確実に合わせることができるという作用を有す
る。
【0043】以下、本発明の実施例について図面を参照
しながら説明する。
【0044】
【実施例】(実施例1) 図1〜図6に示すように、1は複数のスロットを有する
固定子鉄心4に絶縁材にて形成されたインシュレータ2
を介して電機子巻線3を巻装した固定子で、固定子1は
熱硬化性樹脂16にてモールド成型されて外被を形成し
ており、17はブラケットA、18はブラケットBで軸
受け14を保持している。19はホール素子20を搭載
したプリント基板で、10は磁石回転子であり、フェラ
イト焼結極異方性磁石5を使用している。
【0045】以上のように構成された無刷子電動機の電
動機本体内部の磁石回転子10について説明する。焼結
極異方性磁石5は8極に配向されるとともに、外径側軸
方向角7の磁極中心部8に曲面にて形成されるくぼみ状
の磁極表示マーク6を180度等配にて2カ所設け、単
体の軸方向長さは23mm以下であり、磁石外径と軸方
向端面は研磨されており、軸方向端面は平坦面9であ
る。また、着磁の位置決め用の凹部13を軸方向端面の
平坦面9に設けている。磁石回転子10は磁極表示マー
ク6を突き合わせて軸方向に複数段焼結極異方性磁石5
を積み重ね、シャフト11に樹脂12で一体成形されて
構成されている。ここで、磁石回転子10の磁石部の全
軸方向長さは38mm以上であり、焼結極異方性磁石5
単体の軸方向長さは略同一であり、樹脂12は軸受け1
4を保持する突部15を軸方向に形成している。なお、
図において磁束の配向を示す線は仮想線である。
【0046】このような本発明の無刷子電動機によれ
ば、磁極表示マーク6を設け、この磁極表示マーク6を
突き合わせて軸方向に平坦面9にて積み重ねて磁石回転
子10を構成することによって、焼結極異方性磁石の軸
方向長さを、寸法精度を損ねることなく長くでき、磁石
回転子10の重量アンバランス量の増加を抑制でき、鎖
交磁束が確実な正弦波であり、磁束量を大幅に増加でき
るので、低振動、高出力、高効率の無刷子電動機が得ら
れる。
【0047】また、磁極表示マーク6を外径側軸方向角
7に設けることによって、焼結極異方性磁石5の磁極の
位置合わせが容易となるため、磁極合わせに要する時間
が短時間化でき、磁石の金型構造が単純化でき、磁石の
外径研磨および軸方向端面研磨は容易にできるので、安
価に低振動、高出力、高効率の無刷子電動機が得られ
る。
【0048】また、電機子巻線3の軸方向長さよりも磁
石回転子10の磁石部の軸方向長さを長くできるので、
ホール素子20を搭載したプリント基板19を内蔵する
高出力・高効率の無刷子電動機が得られる。
【0049】また、磁極表示マーク6を磁極中心部8に
設けことによって、磁石の磁性粉体の密度低下が抑制
できるため、磁石焼成時に割れの発生が抑制でき、磁石
の品質が高レベルで安定することとなり、安価に、割れ
にくい焼結極異方性磁石5が製造できるので、高品質を
確保でき、安価で低振動、高出力、高効率の無刷子電動
機が得られる。
【0050】また、磁極表示マーク6を曲面にて形成さ
れたくぼみ状としたことにより、焼結極異方性磁石5を
構成する磁性粉体の磁極表示マーク6部の密度分布がほ
ぼ均一になるため、磁石焼成時に割れの発生が抑制で
き、磁石の品質が高レベルで安定することとなり、安価
に、割れにくい焼結極異方性磁石5が製造でき、磁極の
位置合わせが容易となるので、磁極合わせに要する時間
が短時間化できるとともに、高品質を確保でき、安価で
低振動、高出力、高効率の無刷子電動機が得られる。
【0051】また、磁石回転子10は複数段の焼結極異
方性磁石5の磁極表示マーク6を合わせて軸方向に積み
重ね、シャフト11に樹脂12で一体成型にて構成する
ことによって、焼結極異方性磁石5の内径研磨および積
層された回転子鉄心のシャフトへの圧入が不要となるた
め、焼結極異方性磁石5が安価に安定生産ができるとと
もに、部品点数の削減ができ、さらに作業時間の削減が
できるので、より安価で、高品質、低振動、高出力、高
効率の無刷子電動機が得られる。
【0052】また、磁極表示マーク6を同一面上に2カ
所180度等配で設けることにより、積み重ねる磁石の
磁極合わせは、磁石を90度回転させるのみでよく、磁
極合わせに要する時間が短くなるので、より安価で、高
品質、低振動、高出力、高効率の無刷子電動機が得られ
る。
【0053】また、1つの焼結極異方性磁石5の軸方向
長さを23mm以下とすることにより、焼結極異方性磁
石5の生産が機械式プレスにて製造でき、割れにくくな
るため、焼結極異方性磁石5の生産性が向上するので、
さらに安価で、高品質、低振動、高出力、高効率の無刷
子電動機が得られる。
【0054】また、磁石回転子10の磁石部の軸方向長
さを38mm以上とすることにより、焼結極異方性磁石
5の生産性の向上による磁石のコスト低減効果が大きく
なるとともに、磁石回転子10の外径を大径化すること
なく、磁石回転子10の磁束量が増加するので、低振
動、高出力、高効率で低コストの無刷子電動機が得られ
る。
【0055】なお、実施例1の図では2段積み重ね磁石
回転子10aおよび3段積み重ね磁石回転子10bのみ
を示したが、4段積み重ね以上の磁石回転子とする場合
は3段積み重ねと同様の構成にて実現できる。
【0056】また、焼結極異方性磁石5の軸方向端面の
平坦面9に着磁の位置決め用の凹部13を設けている
が、磁極表示マーク6を着磁の位置決めに用いて、凹部
13を無くしてもよく、その作用効果に差異を生じな
い。
【0057】また、図5に示すように、2段積み重ねの
場合は磁極表示マーク6を一方の軸方向端面側のみに設
ければよく、さらに、極表示マーク6は1カ所のみでも
よく、極表示マーク6の数が少なければ、無刷子電動機
の組立における磁石回転子10の搬送時に磁石の割れや
欠けの生じる率は減少するが、磁極表示マーク6の数の
変更によって、その作用効果に差異を生じることはな
い。
【0058】また、焼結極異方性磁石5単体の軸方向長
さは略同一としたが異なる軸方向長さとしてもよく、そ
の作用効果に差異は生じない。しかし、同一軸方向長さ
とすることによって、磁石の生産性は向上するので、磁
石は安価となり、無刷子電動機の低コスト化が図れる。
【0059】また、磁石3段積み重ねとしたときに、中
に設置される焼結極異方性磁石5のみ両軸方向端面に磁
極表示マーク6を設け、上段および下段に設置される焼
結極異方性磁石5は中に設置される焼結極異方性磁石5
に接する軸方向端面側のみ磁極表示マーク6を設けても
よく、その作用効果に差異は生じない。しかし、同一形
状の磁石とすることによって、磁石の生産性は向上する
ので、磁石は安価となり、無刷子電動機の低コスト化が
図れる。
【0060】(実施例2) 図7に示すように、磁極表示マーク6を有する軸方向端
面21側が磁石のプレス成型時に下型側になるよう設定
して製造された焼結極異方性磁石5は、磁石の軸方向に
おいて磁極表示マーク6を有する側の磁束密度が高くな
っている。この高磁束側軸方向端面21を、磁極表示マ
ーク6を合わせて重ね、図2に示す2段積みの磁石回転
子10の構成とする。ここで、上段側磁石および下段側
磁石の軸方向長さは、ほぼ同一になるように構成されて
いる。なお、その他の構成は実施例1と同じである。
【0061】このような本発明の無刷子電動機によれ
ば、磁極表示マーク6を焼結極異方性磁石5の軸方向に
おいて高磁束密度側に設け、高磁束側軸方向端面21を
重ね合わせて磁石回転子10aを構成することによっ
て、磁石の軸方向の磁束密度分布において、軸方向中心
部が最大になるので、鎖交磁束がより高くなる。また、
軸方向中心部を境に磁束密度分布が対照になるため、軸
方向の振動が抑制され、低振動、高出力、高効率の無刷
子電動機が得られる。
【0062】(参考例1) 図8〜図11に示すように、23は極異方性磁石で、2
2は焼結ラジアル異方性リング型磁石であり、その外径
寸法は焼結極異方性磁石23と同一である。焼結極異方
性磁石23の軸方向長さは固定子鉄心4の軸方向長さ以
上に長く、軸方向長さが略同一の焼結ラジアル異方性リ
ング型磁石22によって、焼結極異方性磁石23を挟み
込むように設置し、樹脂12でシャフト11に一体成形
して磁石回転子24が形成され、磁石回転子24の磁石
部の軸方向長さは電機子巻線3部の軸方向長さ以上と
し、着磁は外周側正弦波着磁して構成されている。な
お、図において磁束の配向を示す線は仮想線である。ま
た、無刷子電動機としての主要な構成は実施例1と同じ
である。
【0063】このような本発明の無刷子電動機によれ
ば、磁石回転子24は焼結極異方性磁石23を焼結ラジ
アル異方性リング型磁石22にて軸方向に挟み込んで構
成することによって、それぞれの磁石の磁場方向を合わ
せることなく、高出力・高効率化のために磁石の軸方向
長さを長くできるうえ、焼結極異方性磁石23の磁束が
主に電機子巻線3に鎖交するので、鎖交磁束が比較的正
弦波に近づくとともに、磁石回転子24の磁石部の軸方
向長さが長くなっても、固定子鉄心4の磁気飽和が抑制
されるので、固定子鉄心4の軸方向長さが比較的短い無
刷子電動機としても、ホール素子20を搭載したプリン
ト基板19が内蔵でき、出力および効率を高めることが
できるとともに、振動の発生を抑制できる安価な無刷子
電動機が得られる。
【0064】また、無刷子電動機の要求される出力およ
び効率によっては、焼結ラジアル異方性リング型磁石2
2の代わりに焼結等方性リング型磁石としても、焼結極
異方性磁石23単体で磁石回転子を構成するよりも、磁
石の軸方向長さを長くできるので、鎖交磁束が増加し、
出力および効率の向上が図れる。
【0065】また、焼結極異方性磁石23の軸方向長さ
を固定子鉄心4の軸方向長さ以上にすることによって、
出力および効率を、より一層高めることができる。
【0066】また、シャフト11に樹脂12で一体成型
にて構成することによって、焼結極異方性磁石23およ
びラジアル異方性リング型磁石22または焼結等方性リ
ング型磁石の内径研磨および積層された回転子鉄心のシ
ャフト11への圧入が不要となるため、磁石が安価に安
定生産ができるとともに、部品点数の削減ができ、さら
に作業時間の削減ができるので、より安価で、高品質
で、振動を抑え、出力および効率を高めた無刷子電動機
が得られる。
【0067】また、焼結極異方性磁石23の内径D1よ
りも、焼結ラジアル異方性リング型磁石22または焼結
等方性リング型磁石の内径D2を大きくし、シャフト1
1に樹脂12で一体成形することによって、焼結ラジア
ル異方性リング型磁石22および焼結等方性リング型磁
石の金型構造が単純化でき、磁石材の量を減らすことが
でき、焼成時に割れにくくなるため、磁石がより安価に
生産できるので、より低コストで、軽量、高品質で、振
動を抑え、出力および効率を高めた無刷子電動機が得ら
れる。
【0068】また、外周側正弦波着磁することによっ
て、焼結ラジアル異方性リング型磁石22または焼結等
方性リング型磁石から鎖交する鎖交磁束についても、正
弦波となるため、出力および効率が高く、低振動な無刷
子電動機が得られる。
【0069】また、焼結等方性リング型磁石の軸方向端
面のどちらか一方にホール素子20検出用の面着磁を施
した後、外周側正弦波着磁した磁石回転子24とするこ
とによって、固定子鉄心4に鎖交する磁束が供給できる
とともに、ホール素子20に対しても確実に磁束を供給
できるので、電機子巻線3からの電機子反作用の影響を
受けることのない位置にホール素子20を搭載できるた
め、確実な位置検出が可能となり、低コストで、出力お
よび効率が高く、低振動な無刷子電動機が得られる。
【0070】なお、焼結極異方性磁石23の軸方向長さ
は、固定子鉄心4の磁気飽和の状態から決定すればよ
く、固定子鉄心4の軸方向長さの1.5倍程度以内であ
れば、磁気飽和も抑制でき、鎖交磁束も正弦波化でき、
その作用効果に差異を生じない。
【0071】(実施例3) 図12および図13に示すように、25aおよび25b
は着磁された同一の内・外径および軸方向長さの極異方
性磁石で、26は非磁性材料にて製作された金型で、2
7はシャフト、28は熱可塑性の樹脂であり、以下、磁
石回転子29の製造方法について説明する。着磁された
極異方性磁石25aのN極と、極異方性磁石25bのS
極とを軸方向端面を合わせて磁石の吸引力によってくっ
つける。このとき極異方性磁石25aと25bは互いの
磁極ピーク同士でのみ安定してくっつくこととなる。次
に、この磁石を非磁性の金型26の下型26a内にセッ
トした後、シャフト27についても非磁性の金型26の
下型26a内にセットし、上型26bを閉じて、樹脂2
8を金型26内に射出して、シャフト27、極異方性磁
石25a、25bを樹脂28にて一体的に成形固化して
磁石回転子29を形成し、金型26から取り出した後、
脱磁して無刷子電動機の部品としての磁石回転子29の
製造が完了する。それ以後の組立は通常の無刷子電動機
の製造方法と同じである。
【0072】このような本発明の無刷子電動機の製造方
法によれば、着磁された状態の極異方性磁石25a、2
5bの極性の異なる磁極ピーク同士を合わせて軸方向に
複数段積み重ねた製造方法としたことによって、積み重
ねる磁石において磁束の配向を容易に合わせることがで
きるので、磁石回転子において極異方性磁石の軸方向長
さを容易に長くでき、安価で、低振動、高出力、高効率
の無刷子電動機の製造方法が得られる。
【0073】また、磁石の吸引力によってくっつけた磁
石を非磁性の金型にセットし、シャフトと磁石を樹脂で
一体成形する製造方法とすることによって、金型26と
磁石が吸引されることはなく、シャフト27と磁石を固
定するのに要する時間が短縮できるため、低コストで、
低振動、高出力、高効率の無刷子電動機の製造方法が得
られる。
【0074】なお、実施例では磁石を金型26内にセ
ットしてからシャフト27を金型26内にセットした
が、シャフト27をセットしてから磁石をセットしても
よく、その作用効果に差異を生じない。
【0075】また、極異方性磁石25a、25bの着磁
の状態については、フル着磁された状態でなくても、磁
石の吸引力によってくっつけばよく、その作用効果に差
異を生じない。
【0076】また、シャフト27と磁石は一体成形によ
り固着したが、接着剤によってシャフト27と磁石ある
いはシャフト27に圧入された回転子鉄心を固定しても
よく、その作用効果に差異を生じない。
【0077】また、極異方性磁石2段を積み重ねた磁石
回転子29の製造方法について説明したが、3段以上の
積み重ねについても、同様の方法にて製造可能である。
【0078】(実施例4) 図14および図15に示すように、25aおよび25b
は着磁された同一の内・外径および軸方向長さの極異方
性磁石で、30は非磁性材料にて製作された治具で、2
7はシャフトで、31は接着剤で、34は一般的な金型
材(磁性材)の金型であり、以下、磁石回転子32の製
造方法について説明する。着磁された極異方性磁石25
a、25bの軸方向の平坦面33に接着剤31を塗布
し、治具30にセットして外径の振れなどを矯正しなが
ら、極異方性磁石25aと25bを接着固定する。次
に、この磁石を治具30から取り出して脱磁装置(図示
せず)によって脱磁し、磁性材の金型34の下型34a
内にセットした後、シャフト27についても金型34の
下型34a内にセットし、上型34bを閉じて、樹脂2
8を金型34内に射出して、シャフト27、極異方性磁
石25a、25bを樹脂28にて一体的に成形固化して
磁石回転子32を形成し、金型32から取り出して無刷
子電動機の部品としての磁石回転子32の製造が完了す
る。それ以後の組立は通常の無刷子電動機の製造方法と
同じである。
【0079】このような本発明の無刷子電動機の製造方
法によれば、着磁された状態の極異方性磁石25a、2
5bの平坦面33に接着剤31を塗布し、極性の異なる
部分を合わせて軸方向に複数段積み重ねて接着固定する
製造方法としたことによって、積み重ねる磁石において
磁束の配向を容易に合わせることができるので、磁石回
転子において極異方性磁石の軸方向長さを容易に長く一
体化でき、安価で、低振動、高出力、高効率の無刷子電
動機に用いる無刷子電動機の製造方法が得られる。
【0080】また、極異方性磁石25a、25bを積み
重ねて接着固定してから、脱磁してシャフトに固定する
磁石回転子の製造方法とすることによって、金型、設備
などが一般的で安価な磁性材にて構成でき、磁石回転子
32の製造過程において、鉄粉などのゴミが磁石にくっ
つく可能性が激減するため、寸法精度が高く維持でき、
品質が高く、低コスト、低振動、高出力、高効率の無刷
子電動機に用いる磁石回転子の製造方法が得られる。
【0081】なお、実施例では磁石を金型34内にセ
ットしてからシャフト27を金型34内にセットした
が、シャフト27をセットしてから磁石をセットしても
よく、その作用効果に差異を生じない。
【0082】また、極異方性磁石25a、25bの着磁
の状態については、フル着磁された状態でなくても、磁
石の吸引力によってくっつけばよく、その作用効果に差
異を生じない。
【0083】また、シャフト27と磁石は一体成形によ
り固着したが、接着剤によってシャフト27と磁石ある
いはシャフト27に圧入された回転子鉄心を固定しても
よく、その作用効果に差異を生じない。
【0084】また、極異方性磁石2段を積み重ねた磁石
回転子32の製造方法について説明したが、3段以上の
積み重ねについても、同様の方法にて製造可能である。
【0085】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなように本発明
によれば、磁極表示マークは外径側軸方向角の磁極ピー
ク部に設けことによって、磁石の磁性粉体の密度低下が
抑制できるため、磁石焼成時に割れの発生が抑制でき、
磁石の品質が高レベルで安定することとなり、安価に、
割れにくい焼結極異方性磁石が製造できるので、高品質
を確保でき、安価で低振動、高出力、高効率の無刷子電
動機を提供できる。
【0086】また、磁極表示マークをくぼみ状に形成し
たことにより、焼結極異方性磁石を構成する磁性粉体の
磁極表示マーク部の密度分布がほぼ均一になるため、磁
石焼成時に割れの発生が抑制でき、磁石の品質が高レベ
ルで安定することとなり、安価に、割れにくい焼結極異
方性磁石が製造でき、磁極の位置合わせが容易となるの
で、磁極合わせに要する時間が短時間化できるととも
に、高品質を確保でき、安価で低振動、高出力、高効率
の無刷子電動機を提供できる。
【0087】また、磁石回転子は複数段の焼結極異方性
磁石を磁極表示マークを合わせて軸方向に積み重ね、シ
ャフトに樹脂で一体成型にて構成することによって、焼
結極異方性磁石の内径研磨および積層された回転子鉄心
のシャフトへの圧入が不要となるため、焼結極異方性磁
石が安価に安定生産ができるとともに、部品点数の削減
ができ、さらに作業時間の削減ができるので、より安価
で、高品質、低振動、高出力、高効率の無刷子電動機を
提供できる。
【0088】また、磁極表示マークを同一面上に2カ所
180度等配で設けることにより、積み重ねる磁石の磁
極合わせは、磁石を90度回転させるのみでよく、磁極
合わせに要する時間が短くなるので、より安価で、高品
質、低振動、高出力、高効率の無刷子電動機を提供でき
る。
【0089】また、1つの焼結極異方性磁石の軸方向長
さを23mm以下とすることにより、焼結極異方性磁石
の生産が機械式プレスにて製造でき、割れにくくなるた
め、焼結極異方性磁石の生産性が向上するので、さらに
安価で、高品質、低振動、高出力、高効率の無刷子電動
機を提供できる。
【0090】また、磁石回転子の磁石部の軸方向長さを
38mm以上とすることにより、焼結極異方性磁石の生
産性の向上による磁石のコスト低減効果が大きくなると
ともに、磁石回転子の外径を大径化することなく、磁石
回転子の磁束量が増加するので、低振動、高出力、高効
率で低コストの無刷子電動機を提供できる。
【0091】また、磁極表示マークを焼結極異方性磁石
の軸方向において高磁束密度側に設け、高磁束側の軸方
向端面を重ね合わせて磁石回転子を構成することによっ
て、磁石の軸方向の磁束密度分布において軸方向中心部
が最大になるので、鎖交磁束がより高くなる。また、軸
方向中心部を境に磁束密度分布が対照になるため、軸方
向の振動が抑制され、低振動、高出力、高効率の無刷子
電動機を提供できる。
【0092】また、着磁された状態の極異方性磁石の、
極性の異なる磁極ピーク同士を合わせて軸方向に複数段
積み重ねた後、脱磁する製造方法としたことによって、
積み重ねる磁石において磁束の配向を容易に合わせるこ
とができるので、磁石回転子において極異方性磁石の軸
方向長さを容易に長くでき、安価で、低振動、高出力、
高効率の無刷子電動機の製造方法を提供できる。
【0093】また、磁石の吸引力によってくっつけた磁
石を非磁性の金型にセットし、シャフトと磁石を樹脂で
一体成形した後、脱磁する製造方法とすることによっ
て、金型と磁石が吸引されることはなく、シャフトと磁
石を固定するのに要する時間が短縮できるため、低コス
トで、低振動、高出力、高効率の無刷子電動機の製造方
法を提供できる。
【0094】また、着磁された状態の極異方性磁石の平
坦面に接着剤を塗布し、極性の異なる部分を合わせて軸
方向に複数段積み重ねて接着固定した後、脱磁する製造
方法としたことによって、磁石回転子において極異方性
磁石の軸方向長さを容易に長く一体化でき、安価で、低
振動、高出力、高効率の無刷子電動機の製造方法を提供
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の無刷子電動機の断面図
【図2】同無刷子電動機の磁石2段積み重ね磁石回転子
の斜視図
【図3】同無刷子電動機の磁石2段積み重ね磁石回転子
の断面図
【図4】同無刷子電動機の磁石3段積み重ね磁石回転子
の斜視図
【図5】同無刷子電動機の磁石2段積み重ね用焼結極異
方性磁石単体の斜視図
【図6】同無刷子電動機の磁石3段積み重ね用焼結極異
方性磁石単体の斜視図
【図7】本発明の実施例2の無刷子電動機の焼結極異方
性磁石単体の斜視図
【図8】本発明の参考例の無刷子電動機の磁石の斜視
【図9】同無刷子電動機の断面図
【図10】同無刷子電動機の磁石回転子の断面図
【図11】同無刷子電動機の磁石回転子の斜視図
【図12】本発明の実施例3の無刷子電動機の製造方法
における極異方性磁石を積み重ねる時の斜視図
【図13】同磁石回転子の樹脂成型時の状態を示す要部
詳細断面図
【図14】本発明の実施例4の無刷子電動機の製造方法
における磁石接着時の状態を示す斜視図
【図15】同磁石回転子の樹脂成型時の状態を示す要部
詳細断面図
【図16】従来の無刷子電動機の固定子、磁石回転子お
よびプリント基板を示す分解斜視図
【図17】同無刷子電動機の断面図
【符号の説明】
1 固定子 2 インシュレータ 3 電機子巻線 4 固定子鉄心 5 焼結極異方性磁石 6 磁極表示マーク 7 外径側軸方向角 8 磁極中心部 9 平坦面 10 磁石回転子 11 シャフト 12 樹脂 13 凹部 14 軸受け 15 突部 16 熱硬化性樹脂 17 ブラケットA 18 ブラケットB 19 プリント基板 20 ホール素子 21 高磁束側軸方向端面 22 焼結ラジアル異方性リング型磁石 23 焼結極異方性磁石 24 磁石回転子 25a 極異方性磁石a 25b 極異方性磁石b 26 非磁性材の金型 26a 非磁性材金型の下型 26b 非磁性材金型の上型 27 シャフト 28 樹脂 29 磁石回転子 30 治具 31 接着剤 32 磁石回転子 33 平坦面 34 磁性材の金型 34a 磁性材金型の下型 34b 磁性材金型の上型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H02K 29/08 H02K 29/08 (56)参考文献 特開 昭58−56401(JP,A) 特開 平6−311678(JP,A) 特開 平6−245472(JP,A) 特開 平5−308756(JP,A) 特開 平2−311147(JP,A) 特開 平11−146618(JP,A) 特開 平10−201152(JP,A) 特開 平4−34903(JP,A) 特開 昭59−144350(JP,A) 実開 平6−88156(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 1/27 - 1/28 H02K 15/03 H01F 7/00 - 7/02 H01F 41/02

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定子鉄心に電機子巻線を巻装した固定
    子と、極異方性磁石を用いた磁石回転子よりなる無刷子
    電動機であって、前記磁石回転子は複数段の焼結極異方
    性磁石を磁極表示マークを合わせて軸方向に積み重ねて
    構成され、前記磁極表示マークは外径側軸方向角の磁極
    ピーク部に形成されたことを特徴とする無刷子電動機。
  2. 【請求項2】 磁極表示マークはくぼみ状に形成された
    ことを特徴とする請求項1記載の無刷子電動機。
  3. 【請求項3】 磁石回転子は複数段の焼結極異方性磁石
    をそれぞれの磁極表示マークを合わせて軸方向に積み重
    ね、シャフトに樹脂で一体成型にて構成されたことを特
    徴とする請求項1または2記載の無刷子電動機。
  4. 【請求項4】 磁極表示マークは同一面上に2カ所18
    0度等配で設けたことを特徴とする請求項1から3のい
    ずれかに記載の無刷子電動機。
  5. 【請求項5】 1つの磁石の軸方向長さを23mm以下
    としたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記
    載の無刷子電動機。
  6. 【請求項6】 磁石回転子の軸方向長さを38mm以上
    としたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記
    載の無刷子電動機。
  7. 【請求項7】 磁石回転子は2段に積み重ねられた焼結
    極異方性磁石によって構成され、焼結極異方性磁石の高
    磁束側軸方向端面を重ね合わせたことを特徴とする請求
    項1から6のいずれかに記載の無刷子電動機。
  8. 【請求項8】 極異方性磁石を用いた磁石回転子の製造
    方法であって、前記磁石回転子の磁石部は着磁された状
    態の前記極異方性磁石を極性の異なる磁極ピーク同士を
    合わせて軸方向に複数段積み重ねた後、脱磁することを
    特徴とする磁石回転子の製造方法。
  9. 【請求項9】 極異方性磁石を用いた磁石回転子の製造
    方法であって、前記磁石回転子の磁石部は着磁された状
    態の前記極異方性磁石を極性の異なる磁極ピーク同士を
    合わせて軸方向に複数段積み重ねた後、非磁性金型内に
    シャフトと積み 重ねられた磁石をセットし、樹脂を金型
    内に注入し、シャフトと磁石を固定した後、脱磁するこ
    とを特徴とする磁石回転子の製造方法。
  10. 【請求項10】 極異方性磁石を用いた磁石回転子の製
    造方法であって、前記磁石回転子の磁石部は着磁された
    状態の極異方性磁石における軸方向の平坦面に接着剤を
    塗布した後、極性の異なる磁極ピーク同士を合わせて軸
    方向に複数段積み重ねた後、脱磁することを特徴とする
    磁石回転子の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項8から10のいずれかにより製
    造された磁石回転子を着磁することを特徴とする磁石回
    転子の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項8から11のいずれかにより製
    造された磁石回転子を電機子巻線を有する固定子に組み
    込んだことを特徴とする無刷子電動機の製造方法。
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