JP3082610B2 - 釉薬及びその製造方法,並びに施釉品 - Google Patents

釉薬及びその製造方法,並びに施釉品

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JP3082610B2 JP06330765A JP33076594A JP3082610B2 JP 3082610 B2 JP3082610 B2 JP 3082610B2 JP 06330765 A JP06330765 A JP 06330765A JP 33076594 A JP33076594 A JP 33076594A JP 3082610 B2 JP3082610 B2 JP 3082610B2
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C8/00Enamels; Glazes; Fusion seal compositions being frit compositions having non-frit additions
    • C03C8/14Glass frit mixtures having non-frit additions, e.g. opacifiers, colorants, mill-additions
    • C03C8/18Glass frit mixtures having non-frit additions, e.g. opacifiers, colorants, mill-additions containing free metals

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  • Glass Compositions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,抗菌性及び耐熱性に優
れた釉薬及びその製造方法,並びに釉薬を用いた施釉品
に関する。
【0002】
【従来技術】近年,衛生保全のために,陶磁器の表面に
抗菌剤を塗布することが試みられている。かかる抗菌剤
としては,従来,ジフェニルエーテル系殺菌剤,クロン
ヘキシジン系殺菌剤等の有機系抗菌剤が知られている。
また,特開平5−201747号公報には,抗菌性金属
を担持させたハイドロキシアパタイトを含有した無機系
抗菌剤が開示されている。
【0003】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記有機系抗
菌剤は,高温で熱分解してしまうため,高温焼成を必須
とする陶磁器等には用いることができない。また,焼成
後の陶磁器等に塗布した場合においても,洗浄により表
面から剥離し有効な効果が期待できない。上記無機系抗
菌剤としては,ハイドロキシアパタイトが用いられてい
るため,その合成にコストがかかり,製造原価が高くな
る。また,この無機系抗菌剤を釉薬に添加して塗布し,
焼成した場合には,焼成により抗菌力が低下し,有為な
効果も期待できない。
【0004】そこで,本発明はかかる従来の問題点に鑑
み,抗菌性及び耐熱性に優れた釉薬及びその製造方法,
並びに施釉品を提供しようとするものである。
【0005】
【課題の解決手段】本発明は,釉原料と抗菌性セラミッ
クスとよりなる釉薬であって,上記抗菌性セラミックス
は,リン酸カルシウム及び長石からなる複合セラミック
スの表面に,銀を担持させてなることを特徴とする釉薬
にある。
【0006】本発明において,上記抗菌性セラミックス
は,複合セラミックスの表面に,銀を担持させたもので
ある。また,この複合セラミックスは,粒子であること
が好ましい。これにより,複合セラミックスの比表面積
が増加し,複合セラミックスに多量の銀を担持させ,抗
菌性を向上させることができる。
【0007】更に,複合セラミックスの粒径は0.1μ
m〜50μmとすることが好ましい。0.1μm未満で
は釉粘度が上がってしまい,施釉が困難となる。一方,
50μmを超える場合には,釉原料の粒度よりも大きく
なるため,施釉面に凸凹が生じてしまう。
【0008】焼成時間が1時間を越える場合あるいは焼
成温度が1300℃以上の場合には,複合セラミックス
の粒径を50μm程度まで大きくしないと,複合セラミ
ックス自体も釉薬中に溶けてしまう恐れがあるが,作製
の容易さと,取扱いの容易さから,複合セラミックスの
粒径を1〜30μmとすることがより好ましい。
【0009】また,銀担持性の向上のため,複合セラミ
ックスの平均粒径は0.1μm〜10μmとすることが
好ましい。0.1μm未満ではそれ以上銀担持量を増加
してもそれに見合う効果は少ない。一方10μmを超え
ると複合セラミックスへの銀担持量が減少し抗菌性が低
下するおそれがある。
【0010】上記複合セラミックスは,リン酸カルシウ
ム及び長石からなる。上記リン酸カルシウムは,例え
ば,リン酸3カルシウム,ピロリン酸カルシウム,及び
水酸アパタイトのグループから選ばれた1種又は2種以
上を用いる。上記長石は,例えば,カリ長石,ソーダ長
石,灰長石,リチウム長石,バリウム長石,及びストロ
ンチウム長石のグループから選ばれた1種又は2種以上
を用いる。
【0011】上記複合セラミックスは,長石1〜99重
量%と,リン酸カルシウム99〜1重量%とからなるこ
とが好ましい。かかる配合率の場合には,釉薬の抗菌性
が最も高くなる。また,更に好ましくは,担持させた銀
の溶出を抑制するために,長石の量の下限は10重量%
であり,その上限は60重量%であって,リン酸カルシ
ウムの量の下限は40重量%であり,その上限は90重
量%である。
【0012】上記複合セラミックスの表面には,銀が担
持されている。上記複合セラミックスは,該複合セラミ
ックス99.999〜90重量%に,0.001〜10
重量%の銀を担持させてなることが好ましい。複合セラ
ミックスが99.999重量%を超える場合,又は銀が
0.001重量%未満の場合には,抗菌性が低下するお
それがある。一方,複合セラミックスが90重量%未
満,又は銀が10重量%を越える場合には,銀が溶出す
るおそれがある。
【0013】銀の担持量は,焼成時間が1時間程度の場
合には,銀の担持量は,上記の比率で十分である。しか
し,焼成時間が1時間を越える場合あるいは焼成温度が
1300℃以上の場合には,銀の担持量を更に増やさな
いと,銀が釉薬中に溶けてしまい,抗菌効果が得られな
い。また,複合セラミックスの粒径が10μm以上の場
合には,各粒子の表面積が大きいので,銀の担持量を更
に増やさないと,抗菌力を維持することができない。
【0014】即ち,上記複合セラミックスは,該複合セ
ラミックス99.999〜70重量%に,0.001〜
30重量%の銀を担持させてなることがより一層好まし
い。複合セラミックスが99.999重量%を超える場
合,又は銀が0.001重量%未満の場合には,抗菌性
が低下するおそれがある。一方,複合セラミックスが7
0重量%未満,又は銀が30重量%を越える場合には,
黄色く変色するおそれがある。
【0015】本発明の釉薬は,釉原料100重量部と,
抗菌性セラミックス0.1〜30重量部であることが好
ましい。抗菌性セラミックスが0.1重量部未満の場合
には抗菌性が弱くなるおそれがある。一方,抗菌性セラ
ミックスが30重量部を越える場合には,光沢,硬度,
なめらかさ等,釉薬本来の性質を損なうおそれがある。
【0016】上記釉原料としては,釉薬として一般的に
知られているもの全てを用いることができ,その成分と
しては,例えば,ホウ酸,リン酸,シリカ,アルミナ,
亜鉛華等の金属酸化物等がある。釉原料は,陶磁器,耐
熱磁器,ホーロー,又は金属等の耐熱部材に適したもの
を適宜選択して用いることが好ましい。上記釉薬には,
上記釉原料及び抗菌性セラミックスの他に,解こう剤,
展着剤等を含有していてもよい。これにより,施釉性向
上の効果が期待できる。
【0017】上記釉薬に含まれている抗菌性セラミック
スは,上記釉原料100重量部に対し,0.1〜30重
量部であることが好ましい。0.1重量部未満の場合に
は,抗菌性が低下するおそれがある。一方,30重量部
を越える場合には,釉薬本来の性質を損なうおそれがあ
る。
【0018】上記釉薬の製造方法としては,例えば,釉
原料と抗菌性セラミックスとを混合してなる釉薬の製造
方法であって,リン酸カルシウム及び長石を混合し,次
いで800〜1300℃において加熱焼成して複合セラ
ミックスを作成し,上記複合セラミックス粒子を,硝酸
銀アンモニア溶液中に攪拌しながら加えて銀鏡反応を行
ない,上記複合セラミックス粒子の表面に銀を担持さ
せ,その後,釉原料と混合することを特徴とする釉薬の
製造方法がある。
【0019】上記釉薬の製造方法において最も注目すべ
きことは,複合セラミックスを硝酸銀アンモニア溶液中
に攪拌しながら加えて銀鏡反応を行ない,上記複合セラ
ミックスの表面に銀を担持させていることである。上記
銀鏡反応を行なうことにより,銀が複合セラミックスの
表面に,強固に,かつ均一に担持される。
【0020】次に,銀が担持されるべき上記複合セラミ
ックスは,リン酸カルシウム及び長石を混合し,この混
合物を,例えば800〜1300℃で焼成して得られ
る。上記焼成温度が800℃よりも低い場合には,上記
ガラス成分が生じないおそれがあり,複合セラミックス
の強度が低下するおそれがある。一方,1300℃より
も高い場合には,長石がガラス化して消失するおそれが
ある。一方,上記銀鏡反応によらず,上記複合セラミッ
クスに硝酸銀を加えて銀を担持させたものは,銀が酸化
し,抗菌性が劣化する。また,リン酸カルシウムの合成
と同時に硝酸銀を加えて銀を担持させたものも,抗菌性
が弱い。
【0021】本発明の釉薬の製造方法において,上記複
合セラミックスにおける長石及びリン酸カルシウムは,
上記と同様の成分,又は重量比であることが好ましい。
また,上記複合セラミックスには,上記と同様の重量比
で,銀を担持させることが好ましい。更に,釉薬には,
上記の同様の配合比となるよう,抗菌性セラミックスを
添加,混合することが好ましい。
【0022】次に,上記釉薬を用いた施釉品としては,
例えば,セラミック部材又は金属部材からなる耐熱部材
の表面に釉薬を塗布してなる施釉品であって,上記施釉
品は,釉原料と抗菌性セラミックスとよりなり,該抗菌
性セラミックスは,リン酸カルシウム及び長石からなる
複合セラミックスの表面に,銀を担持させてなることを
特徴とする施釉品がある。
【0023】次に,上記耐熱部材としては,耐熱性のセ
ラミック部材,金属部材等がある。セラミック部材とし
ては,例えば,陶磁器,耐熱磁器,結晶化ガラス等の超
耐熱材料,又はホーロー等がある。金属部材としては,
例えばホーローに用いられる金属がある。陶磁器として
は,食器,花瓶,又はタイル,衛生陶器等がある。耐熱
磁器としては,土鍋,キャセロール等がある。上記施釉
品における釉薬は,前記と同様のものである。
【0024】上記施釉品は,例えば素焼きした耐熱部材
の表面に上記釉薬を塗布し,次いで焼成することにより
得られる。上記釉薬は,耐熱部材の表面に1又は2回以
上塗布される。上記焼成は,耐熱部材及び釉薬が焼結す
る温度,例えば600〜1350℃により行なうとよ
い。本発明の施釉品の製造方法において用いられている
釉薬としては,前記したものを用いる。
【0025】
【作用及び効果】本発明の釉薬は,リン酸カルシウムを
主成分とする複合セラミックスの表面に,抗菌性に優れ
た銀を担持させている。そのため,上記抗菌性セラミッ
クスは,雑菌及び各種病原菌の繁殖を防止することがで
きる。また,上記複合セラミックスには,長石が含まれ
ている。そのため,銀が複合セラミックスに強固に担持
される。それ故,釉薬から銀が溶出することがなく,毒
性がない。また,経時的変化もなく,長期間に渡って,
優れた抗菌性を発揮することができる。
【0026】更に,上記釉薬は,600〜1350℃で
焼成に供されるが,かかる高温において焼成しても優れ
た抗菌性を発揮し,耐熱性を有する。従って,上記釉薬
は,高温焼成される耐熱部材,例えば,陶磁器,耐熱磁
器,超耐熱材料,ホーロー等にも用いることができる。
また,この場合にも,前記した釉薬の優れた特性を十分
に保持することができる。また,釉薬は釉原料を含んで
いるため,施釉品の表面に絵付等の加飾も行なうことが
できる。
【0027】次に,本発明の釉薬の製造方法において
は,上記複合セラミックスを硝酸銀アンモニア溶液を攪
拌しつつ加えることにより銀鏡反応を行ない,上記複合
セラミックスの表面に銀を担持させている。そのため,
複合セラミックスの表面に,銀を強固,かつ均一に担持
し,更に上記の優れた性能を有する,釉薬を得ることが
できる。また,上記釉薬を製造する際には,加熱するこ
となく,複合セラミックスに銀を強固に担持させること
ができる。そのため,複合セラミックスや銀を変質,変
色させることなく,容易に釉薬を作製することができ
る。
【0028】次に,本発明の施釉品は,耐熱部材の表面
に,上記の優れた釉薬が塗布されている。そのため,上
記施釉品は,上記のごとく,抗菌性及び耐熱性ともに優
れている。以上のごとく,本発明によれば,抗菌性及び
耐熱性ともに優れた釉薬及びその製造方法,並びに施釉
品を提供することができる。
【0029】
【実施例】
実施例1 本発明の実施例に係る施釉品は,ボーンチャイナの表面
に釉薬を塗布したものである。釉薬は,釉原料100重
量部と抗菌性セラミックス10重量部とよりなる。抗菌
性セラミックスは,複合セラミックス100重量%に,
銀1重量%を担持させたものである。複合セラミックス
は,リン酸カルシウム50〜70重量%と,長石30〜
50重量%とよりなる。釉原料としては,ボーンチャイ
ナ用の,フリット釉を用いる。ボーンチャイナは,耐熱
部材であり,陶磁器の一種である。
【0030】次に,上記施釉品の製造方法について説明
する。まず,リン酸3カルシウム65重量%と灰長石3
5重量%とを混合した後,1250℃で焼成し,トロン
メルで18時間粉砕する。これにより,平均粒径約6μ
mの複合セラミックス粒子を調製する。
【0031】次に,ビーカーの中に,上記複合セラミッ
クス粒子10gを入れ,次いで,ホルマリン(ホルムア
ルデヒドの40%水溶液)を加え,更に,硝酸銀0.1
%溶液100mlとアンモニア1%溶液5mlとからな
る硝酸銀アンモニア溶液を入れる。そして,この溶液を
2〜3分間攪拌し,銀鏡反応を行う。これにより,上記
複合セラミックスの表面に銀が強固に,且つ均一に担持
される。その後,これを濾過,乾燥して,抗菌性セラミ
ックスを得る。
【0032】次に,ホウケイ酸系のボーンチャイナ用釉
原料100重量部と,上記の抗菌性セラミックス10重
量部とを混合して,釉薬を得る。次に,釉薬をボーンチ
ャイナ素地に施釉し,1150℃で1時間焼成する。こ
れにより,本例の施釉品を得る。
【0033】実施例2 本例に係る施釉品は,磁器の表面に釉薬を塗布したもの
である。釉薬は,釉原料100重量部と抗菌性セラミッ
クス1重量部とよりなる。抗菌性セラミックスは,複合
セラミックス100重量%に,銀15重量%を担持させ
たものである。複合セラミックスは,リン酸カルシウム
50〜70重量%と,長石30〜50重量%とよりな
る。釉原料としては,磁器用の生釉を用いる。
【0034】次に,上記施釉品の製造方法について説明
する。まず,リン酸カルシウム65重量%と灰長石35
重量%とを混合した後,1250℃で焼成し,トロンメ
ルで8時間粉砕する。これにより,平均粒径15μmの
複合セラミックス粒子を調製する。
【0035】次に,ビーカーの中に,上記複合セラミッ
クス粒子10gを入れ,次いで,ホルマリン(ホルムア
ルデヒドの40%水溶液)を加え,更に硝酸銀2.4%
溶液100mlとアンモニア2%溶液60mlとからな
る硝酸銀アンモニア溶液を入れる。そして,この溶液を
2〜3分間攪拌し,銀鏡反応を行なう。これにより,上
記複合セラミックスの表面に銀が強固に,且つ均一に担
持される。その後,これを濾過,乾燥して,抗菌性セラ
ミックスを得る。次に,磁器用生釉原料100重量部
と,上記の抗菌性セラミックス1重量部とを混合して釉
薬を得る。これを磁器素地に施釉し,1350℃で1時
間焼成する。これにより,本例の施釉品を得る。
【0036】実施例3 本例に係る施釉品は,陶器の表面に釉薬を塗布したもの
である。釉薬は,釉原料100重量部と抗菌性セラミッ
クス2重量部とよりなる。抗菌性セラミックスは,複合
セラミックス100重量部に,銀10重量部を担持させ
たものである。複合セラミックスは,リン酸カルシウム
50〜70重量%と,長石30〜50重量%とよりな
る。釉原料としては,陶器用の生釉を用いる。
【0037】次に,上記施釉品の製造方法について説明
する。まず,リン酸カルシウム65重量%と灰長石35
重量%とを混合した後,1250℃で焼成し,トロンメ
ルで10時間粉砕する。これにより,平均粒径10μm
の複合セラミックス粒子を調製する。
【0038】次に,ビーカーの中に,上記複合セラミッ
クス粒子10gを入れ,次いで,ホルマリン(ホルムア
ルデヒドの40%水溶液)を加え,更に硝酸銀1.6%
溶液100mlとアンモニア1%溶液80mlとからな
る硝酸銀アンモニア溶液を入れる。そして,この溶液を
2〜3分間攪拌し,銀鏡反応を行なう。これにより,上
記複合セラミックスの表面に銀が強固に,且つ均一に担
持される。その後,これを濾過,乾燥して,抗菌性セラ
ミックスを得る。次に,陶器用生釉原料100重量部
と,上記の抗菌性セラミックス2重量部とを混合して釉
薬を得る。これを陶器素地に施釉し,1200℃で2時
間焼成する。これにより,本例の施釉品を得る。
【0039】実施例4 本例にかかる施釉品は,ステンレスの表面に釉薬を塗布
したものである。釉薬は,釉原料100重量部と抗菌性
セラミックス1重量部とよりなる。抗菌性セラミックス
は,複合セラミックス100重量部に,銀1重量部を担
持させたものである。複合セラミックスは,リン酸カル
シウム50〜70重量%と,長石30〜50重量%とよ
りなる。釉原料としては,ホーロー用のフリット釉を用
いる。
【0040】次に,上記施釉品の製造方法について説明
する。まず,リン酸カルシウム65重量%と灰長石35
重量%とを混合した後,1250℃で焼成し,トロンメ
ルで48時間粉砕する。これにより,平均粒径1μmの
複合セラミックス粒子を調製する。
【0041】次に,ビーカーの中に上記複合セラミック
ス粒子10gを入れ,次いで,ホルマリン(ホルムアル
デヒドの40%水溶液)を加え,更に硝酸銀0.1%溶
液100mlとアンモニア1%溶液5mlとからなる硝
酸銀アンモニア溶液を入れる。そして,この溶液を2〜
3分間攪拌し,銀鏡反応を行なう。これにより,上記複
合セラミックスの表面に銀が強固に,且つ均一に担持さ
れる。その後,これを濾過,乾燥して,抗菌性セラミッ
クスを得る。次に,ホーロー用フリット釉原料100重
量部と,上記の抗菌性セラミックス1重量部とを混合し
て釉薬を得る。これをステンレスに施釉し,700℃で
5分間焼成する。これにより,本例の施釉品を得る。
【0042】実施例5 本例においては,上記実施例1〜4で作製した施釉品の
抗菌性試験を行なった。試験は,上記施釉品を50mm
×50mmに切り出して,試験片を得た。次いで,表1
に示す各種細菌の菌液を接種し,その表面にポリエチレ
ンフィルムを密着させた。次に,この試験片を35 ℃で
保持し,保存開始時と保存開始後48時間経過時との生
菌数を測定した。
【0043】また,比較のために,釉原料100重量部
と,ハイドロキシアパタイト99重量%に銀1重量%を
担持させた無機抗菌剤10重量部とを混合して釉薬を作
製した。該釉薬を用いて実施例1と同様に施釉品を作製
し,比較例とした。釉原料は,実施例1と同様のものを
用いた。上記比較例についても,上記抗菌性試験を行な
った。その結果を表1に示した。
【0044】同表より知られるごとく,実施例1〜4の
施釉品においては,大腸菌,黄色ブドウ球菌共に48時
間後に死滅した。一方,比較例の施釉品では,48時間
保存前後で,大腸菌の菌数はほとんど変わらず,黄色ブ
ドウ球菌でもその多くが生存していた。
【0045】このことから,本発明にかかる釉薬は,抗
菌性に優れていることがわかる。また,釉薬は塗布され
た後,700〜1350℃という高温で焼成されてい
る。それにもかかわらず,依然として優れた抗菌性を発
揮している。従って,本発明の釉薬及び施釉品は,耐熱
性及び抗菌性共に優れていることがわかる。
【0046】
【表1】

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 釉原料と抗菌性セラミックスとよりなる
    釉薬であって,上記抗菌性セラミックスは,リン酸カル
    シウム及び長石からなる複合セラミックスの表面に,銀
    を担持させてなることを特徴とする釉薬。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記リン酸カルシウ
    ムは,リン酸3カルシウム,ピロリン酸カルシウム,及
    び水酸アパタイトのグループから選ばれた1種又は2種
    以上であることを特徴とする釉薬。
  3. 【請求項3】 請求項1,又は2において,上記長石
    は,カリ長石,ソーダ長石,灰長石,リチウム長石,バ
    リウム長石,及びストロンチウム長石のグループから選
    ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする釉薬。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項において,
    上記複合セラミックスは,長石1〜99重量%と,リン
    酸カルシウム99〜1重量%とからなることを特徴とす
    る釉薬。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項において,
    上記複合セラミックスは粒子であって,その粒径は0.
    1〜50μmであることを特徴とする釉薬。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一項において,
    上記複合セラミックスは,該複合セラミックス99.9
    99〜90重量%に,0.001〜10重量%の銀を担
    持させてなることを特徴とする釉薬。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか一項において,
    上記複合セラミックスは,該複合セラミックス99.9
    99〜70重量%に,0.001〜30重量%の銀を担
    持させてなることを特徴とする釉薬。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか一項において,
    釉原料100重量部に対し,抗菌性セラミックスは0.
    1〜30重量部であることを特徴とする釉薬。
  9. 【請求項9】 釉原料と抗菌性セラミックスとを混合し
    てなる釉薬の製造方法であって,リン酸カルシウム及び
    長石を混合し,次いで800〜1300℃において加熱
    焼成して複合セラミックスを作製し,上記複合セラミッ
    クス粒子を,硝酸銀アンモニア溶液中に攪拌しながら加
    えて銀鏡反応を行ない,上記複合セラミックス粒子の表
    面に銀を担持させ,その後,釉原料と混合することを特
    徴とする釉薬の製造方法。
  10. 【請求項10】 セラミック部材,金属部材等からなる
    耐熱部材の表面に釉薬を塗布してなる施釉品であって,
    上記釉薬は,釉原料と抗菌性セラミックスとよりなり,
    該抗菌性セラミックスは,リン酸カルシウム及び長石か
    らなる複合セラミックス粒子の表面に,銀を担持させて
    なることを特徴とする施釉品。
  11. 【請求項11】 請求項10において,上記耐熱部材
    は,陶磁器,耐熱磁器,結晶化ガラス等の超耐熱材料,
    ホーロー,及び金属のグループから選ばれたものである
    ことを特徴とする施釉品。
JP06330765A 1994-03-28 1994-12-06 釉薬及びその製造方法,並びに施釉品 Expired - Fee Related JP3082610B2 (ja)

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