JP3082317B2 - ワイヤ放電加工機の断線検出装置 - Google Patents

ワイヤ放電加工機の断線検出装置

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JP3082317B2 JP03165244A JP16524491A JP3082317B2 JP 3082317 B2 JP3082317 B2 JP 3082317B2 JP 03165244 A JP03165244 A JP 03165244A JP 16524491 A JP16524491 A JP 16524491A JP 3082317 B2 JP3082317 B2 JP 3082317B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、放電加工中にワイヤ電
極が断線したことを検出するワイヤ放電加工機の断線検
出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ワイヤ放電加工機は、ワイヤ電極を被加
工物に所定の間隙を介して対向せしめ、当該間隙に放電
を発生させることにより被加工物を任意の形状に加工す
る装置である。このようなワイヤ放電加工機を図11に
より説明する。図11はワイヤ放電加工機の概略構成図
である。図で、1は被加工物、2は被加工物1と放電間
隙を介して対向せしめられたワイヤ電極である。このワ
イヤ電極2は放電加工中、常時新しいワイヤ部分が被加
工物1に対向するように移送せしめられる。3、4、5
はそれぞれ案内ローラであり、ワイヤ電極2が巻回され
ている繰出しボビン(図示されていない)から繰出され
たワイヤ電極2を案内する。6a、6bはワイヤ電極2
を引出して移行させる引張りローラである。7はピンチ
ローラ、8はブレーキローラ、9はテンションローラで
あり、いずれも引出されたワイヤ電極2に適切な張力を
与えるための機能を有する。10はワイヤ電極2の放電
終了部分を収納するワイヤタンクを示す。11は被加工
物1の上側に配置されたワイヤガイド、12は下側に配
置されたワイヤガイドである。13はワイヤ電極2と被
加工物1との間に放電を発生させるための加工パルス電
源である。14、15はそれぞれ加工パルス電源13の
負側に接続された上側給電子、下側給電子であり、上側
給電子14は被加工物1の上側においてワイヤ電極2と
摺動接触し、下側給電子15は被加工物1の下側におい
てワイヤ電極2と摺動接触する。16はワイヤ電極2と
被加工物1との間の放電間隙に加工液を供給する加工液
ノズルを示す。
【0003】上記ワイヤ放電加工機では、ワイヤ電極2
が所定の張力に維持され、かつ、被加工物1に対して所
定の間隙で対向して移送されている状態で、加工パルス
電源13から間歇的にパルス状電圧を出力して放電加工
が実施される。即ち、被加工物1は加工パルス電源13
の正側に接続されており、一方ワイヤ電極2は上側給電
子14および下側給電子15を介して加工パルス電源1
3の負側に接続されているので、加工パルス電源13か
らのパルス状電圧出力の都度、被加工物1とワイヤ電極
2との間に放電が発生し、この放電により被加工物1の
加工が行われることとなる。ところで、ワイヤ電極2
は、前述のように放電加工中常時張力が付与されている
とともに、各ローラ、各ワイヤガイド、各給電子との間
で摺動が存在し、かつ、放電を発生する一方の放電体と
なっているので、加工中に断線を生じる場合がある。こ
のようなワイヤ電極2の断線は放電加工を不能とするの
で、断線発生時には速やかに加工パルス電源13の出力
を遮断し、自動結線装置(図示されていない)により再
度ワイヤ電極2を結線して図示の状態とし、放電加工を
再開する必要がある。このため、ワイヤ放電加工機に
は、断線検出手段が備えられている。この断線検出手段
が図11に示されている。
【0004】図11で、17はリミットスイッチ、18
はパルス発生器、19は光学的検出器を示し、いずれも
断線検出機能を有する。即ち、リミットスイッチ17
は、ワイヤ電極2の断線時にその張力が失われ、テンシ
ョンローラ9が落下してリミットスイッチ17を閉とす
ることにより加工パルス電源13を遮断する信号を出力
する。又、パルス発生器18は、案内ローラ4と連結さ
れており、ワイヤ電極2の断線により案内ローラ4とと
もに回転が停止し、パルス出力がなくなることにより加
工パルス電源13を遮断する信号を出力する。さらに、
光学的検出器19は、光源19a、その受光器19bお
よびスリット19cより成り、ワイヤ電極2の断線によ
りワイヤ電極2の影がなくなり、これを受光器19bが
検出して加工パルス電源13を遮断する信号を出力す
る。このような断線検出手段は、図示のように1つ又は
複数(同一方式又は異なる方式)設けられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のワイヤ放電
加工機の各断線検出手段は、ワイヤ電極2の断線を確実
に検出することができる。しかし、これら断線検出手段
は、実際の断線発生時点からこれを検出して加工パルス
電源13へ信号を出力するまでに相当の時間を要し、こ
の時間は実験によって約60msであることが確認され
ている。ところで、このような検出遅延時間の間、加工
パルス電源13からは加工パルスの出力が継続されるこ
とになるが、ワイヤ電極2の断線状態において加工パル
スが出力されると種々の悪影響が生じる。これを以下に
述べる。
【0006】ワイヤ電極2が断線すると、短時間ではあ
るが、ワイヤ電極2と、各給電子14、15との間、又
は被加工物1との間に、軽接触状態や開離状態が生じ
る。これにより、上側給電子14、下側給電子15、被
加工物1には確実に放電損傷を生じる。そして、上側給
電子14および下側給電子15が放電損傷すると、放電
加工再開後、給電状態が究めて悪化し、接触抵抗が増大
してワイヤ電極2が断線し易くなる。これを防ぐために
は、断線の都度各給電子14、15を研磨しなければな
らず、この研磨には多くの手間と時間が必要となる。
又、被加工物1が放電損傷すると、所期の加工面が得ら
れなくなる場合が生じ、この場合、この被加工物1は廃
棄しなければならず大きな損失となる。さらに、上記軽
接触や開離状態により生じる放電により、ワイヤ電極2
の側に再度の断線(2次断線)が生じる場合がしばしば
あり、この場合、2次断線したワイヤ電極2の切断片は
加工液の粘着力により加工壁に接着し、加工溝内に残留
する。この状態においては、自動結線装置による自動結
線も不能となり、又自動結線ができたとしても、放電加
工再開時、当該切断片によりワイヤ電極2と被加工物1
との間が短絡され、放電加工不能となる。
【0007】以上のような悪影響を回避するため、断線
検出の応答性を向上すべく、例えば特開昭64−117
26号公報に記載されているような手段が提案されてい
る。この手段は、上側給電子14と下側給電子15に流
れる電流値を比較し、両者の差の値が所定値以上になる
とワイヤ断線検出信号を出力する構成となっている。し
かし、実際の加工電流は、数アンペアから数百アンペア
の間で大幅に変化すること、および各給電子の摩耗によ
る接触抵抗の差が存在することにより、誤動作の発生を
避けることはできない。さらに、放電加工のパルス電流
のパルス幅は、0.5〜5μsであり、このように微小
なパルス幅で、かつ、前述のような大電流を検出するの
は困難であり、又、これを行うには極めて高価な検出器
を要し、実用上採用し難いという問題もある。
【0008】本発明の目的は、上記従来技術における課
題を解決し、容易かつ迅速にワイヤ電極の断線を検出す
ることができるワイヤ放電加工機の断線検出装置を提供
するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は次のような構成を採用する。被加工物と放
電間隙を介して対向するワイヤ電極と、前記ワイヤ電極
と前記被加工物との間に放電電圧を印加する加工パルス
電源と、前記加工パルス電源に接続されるとともに前記
被加工物の両側で前記ワイヤ電極に摺接する第1の給電
子及び第2の給電子と、を備えたワイヤ放電加工機にお
いて、前記第1の給電子と前記第2の給電子との間を抵
抗で接続し、前記加工パルス電源に基づく前記抵抗の両
端電圧の絶対値がワイヤ電極の断線によって予め定めら
れた基準電圧以上のとき断線検出信号を出力する断線判
別手段を設け、前記断線判別手段は、前記両端電圧が正
電圧のとき、前記正電圧が前記基準電圧以上のとき断線
検出信号を出力する第1の判別手段と、前記両端電圧が
負電圧のとき、前記負電圧が前記基準電圧以上のとき検
出信号を出力する第2の判別手段と、で構成されるワイ
ヤ放電加工機の断線検出装置。
【0010】
【作用】放電加工中、第1の給電子と第2の給電子との
間の電圧が断線判別手段に取込まれる。この断線判別手
段は、取込んだ電圧(絶対値)と予め定められた基準電
圧とを比較し、前者が後者以上のとき検出信号を出力す
る。さらに、断線判別手段から検出信号が出力される
と、遮断信号出力手段は、電源に対して電源を遮断する
ための所定期間の信号を出力する。断線判別手段では、
断線の検出が極めて高速で行われるので、電源の遮断も
迅速に実行される。
【0011】
【実施例】以下、本発明を図示の実施例に基づいて説明
する。図1は本発明の実施例に係るワイヤ放電加工機の
概略構成図である。図で、図11に示す部分と同一又は
等価な部分には同一符号を付して説明を省略する。20
は上側給電子14と下側給電子15に接続されたシール
ドケーブルであり、そのシールド部(接地される)が破
線で示されている。21は上側給電子14と下側給電子
15との間(ケーブル20の端部)に接続された終端抵
抗であり、両給電子14、15間の電圧と放電加工時に
生じる放電ノイズとの比(S/N比)を大きくするため
に設けられている。実験によると、この終端抵抗21の
値は約400Ω程度でよく、これ以下の値では断線時に
おける電圧が低下する。22、23は両給電子間の電圧
を分圧する分圧抵抗であり、以下に接続される回路に適
した電圧(IC回路使用の場合は約5V)が得られるよ
うにそれらの抵抗値が選定されている。24はバッファ
増幅器であり、分圧抵抗23の両端電圧を増幅するとと
もにその極性を反転する。25、26はそれぞれ比較増
幅器を示し、基準電圧Eref (比較増幅器26では−E
ref )とバッファ増幅器24の出力電圧とを比較し、入
力電圧が基準電圧以上のとき高レベル信号を出力する。
27は比較増幅器25、26の出力を入力とするOR回
路、28はOR回路の出力が高レベルのとき一定時間高
レベル信号を出力する単安定マルチバイブレータであ
る。この単安定マルチバイブレータ28の高レベル出力
により加工パルス電源13が遮断される。
【0012】ここで、本実施例の動作を説明する前に、
その動作原理を図2〜7を参照しながら説明する。図
2、3、4はワイヤ放電加工機の一部の概略図であり、
図1に示す部分と同一部分には同一符号が付してある。
u 、Ld はそれぞれ加工パルス電源13と上側給電子
14および下側給電子15との間を接続する各ケーブル
20のインダクタンス、iu 、id は当該各ケーブル2
0を流れる電流、Eg は両給電子14、15間の電圧を
示す。又、×印はワイヤ電極2の断線個所を示し、Zは
断線時に発生する放電個所を示す。前述のように、ワイ
ヤ電極2には通常状態では適正な張力が付与されている
ので、断線が生じるとワイヤ電極2は断線点を境として
加工溝内でフリーな状態となる。図2、3はこのような
状態を示す図であり、図2では、上側のワイヤ電極2は
上側給電子14から離れ、下側のワイヤ電極2は下側給
電子15と接触した瞬間の状態が示され、又、図3で
は、上側のワイヤ電極2は上側給電子14と接触し、下
側のワイヤ電極2は下側給電子15から離れた瞬間の状
態が示されている。
【0013】ところで、加工パルス電源13は断線と同
時には遮断されないので、図2、3に示す状態において
はワイヤ電極2と被加工物1との間の放電個所Zで放電
を生じる。この放電により、図2に示す場合は放電電流
d が、又、図3に示す場合には放電電流iu が流れ各
インダクタンスLd 、Lu の存在により両給電子14、
15間には電圧Eg が発生する。これら電圧Eg は、例
えば図2に示す場合、(Ld ・did /dt)であり、
0.1μs程度の細いパルス状電圧となる。なお、ワイ
ヤ電極2と給電子とが離れている側のケーブル20には
放電電流は流れず、インダクタンスによる起電力は発生
しない。上記電圧Eg 発生の状態を図5に示す電流、電
圧波形図により説明する。なお、当該波形図中、電圧E
g の波形は下側給電子15を基準点として表されてい
る。図2に示す場合、電流id が流れると電圧Eg が発
生する。図5では、この電圧Eg を符号Eg2で表してい
る。この場合の電圧Eg2は負極性を有する。図3に示す
場合の電圧Eg は図5に示すように電圧Eg3で表され、
正極性を有する。以上、ワイヤ電極2の断線時に両給電
子14、15間に発生する電圧Eg について説明した。
この断線時の状態と比較するため、非断線時に両給電子
14、15間に発生する電圧Eg について説明する。図
4は非断線時の状態を示す図で、この場合、両側のケー
ブル20にはそれぞれ電流iu 、id が流れるが、各イ
ンダクタンスLu 、Ld の値はほぼ等しいので、両給電
子14、15間に発生する電圧Eg は小さい。この電圧
が図5に電圧Eg4として示されている。図6は両給電子
間の距離に対する電圧Eg の実験値のグラフである。断
線時の両給電子14、15間の電圧Eg (電圧Eg2、E
g3)は250〜300Vであるが、非断線時の電圧Eg
(電圧Eg4)は20〜60V程度である。なお、図7は
上記実験を行ったときの終端抵抗21の値に対するS/
N比の実験値のグラフである。終端抵抗21の抵抗値を
約400Ωとしたとき、ケーブル20上に重畳される放
電による高周波成分が低減され、S/N比が改善される
ことが確かめられた。
【0014】以上のように、両給電子14、15間の電
圧は、非断線時の場合と断線時の場合とでは明確に区別
することができる。本実施例はこの原理を利用するもの
であり、図1に示す基準電圧Eref (−Eref )を、図
6に示すような適切な値(例えば、80〜100V)に
設定することにより、迅速な断線検出、ひいては加工パ
ルス電源13の迅速な遮断が可能となる。
【0015】ここで、図1に示す本実施例の動作を説明
する。ワイヤ電極2に断線が発生し、例えば図2に示す
状態が出現したとすると、電流id が流れて分圧抵抗2
3の両端には図5に示す負の電圧Eg2が生じる。バッフ
ァ増幅器24はこの電圧Eg2を反転増幅して出力する。
したがって、その出力電圧は正極性の電圧Eg2となる。
この電圧Eg2は比較増幅器25、26に入力され基準電
圧Eref (−Eref )と比較されるが、電圧Eg2の絶対
値は基準電圧Eref の絶対値より大きいので、比較増幅
器25からのみ高レベル信号が出力される。したがっ
て、OR回路27から高レベル信号が出力され、単安定
マルチバイブレータ28は所定の一定期間高レベル信号
を加工パルス電源13に対して出力する。この結果、加
工パルス電源13は直ちに遮断され、有害な放電の発生
を阻止する。図3に示す状態の場合、電圧Eg3は正極性
であるので、比較増幅器26のみから高レベル信号が出
力される。勿論、非断線時にはいずれの比較増幅器2
5、26からも信号は出力されない。なお、加工パルス
電源13においては、単安定マルチバイブレータ28か
ら高レベル信号が入力されると、先ずこの信号を図示さ
れていないスイッチングトランジスタのゲートに入力し
て次のパルス電圧の発生をカットしておき、次いで、パ
ルス大電流を供給するための直流電源のリレーを遮断す
る処理がなされる。当該リレーを遮断するまでの所要時
間は通常数10msec程度であるので、前記スイッチ
ングトランジスタはこの所要時間以上カット状態に保持
される必要があり、したがって、単安定マルチバイブレ
ータ28に設定される期間は当該所要時間に基づいて決
定される。
【0016】このように、本実施例では、両給電子間の
電圧を基準電圧と比較し、両給電子間の電圧が基準電圧
以上のとき、加工パルス電源に対して単安定マルチバイ
ブレータから一定期間高レベル信号を出力して電源を遮
断するようにしたので、迅速に断線を検出することがで
き、ひいては断線時の電源遮断を迅速に行って両給電子
および被加工物の損傷を著しく低減することができる。
又、ワイヤ電極断線の都度、又は数回断線が続いた場合
でも両給電子を研磨する必要がないので、加工能率を向
上させることができる。図8は従来の断線検出装置にお
ける両給電子電圧の波形図、図9は図1に示す本実施例
の装置における両給電子電圧の波形図である。図8にみ
られるように従来の断線検出手段を用いた場合、両給電
子には断線後も引続いてパルス電圧が印加されているの
に対して、本実施例の手段を用いた場合、断線後直ちに
パルス電圧がカットされていることが判る。これによ
り、確実に上記効果が発揮されることが明らかである。
【0017】図10は本発明の他の実施例に係るワイヤ
放電加工機の断線検出装置の概略構成図である。図で、
図1に示す部分と同一部分には同一符号を付して説明を
省略する。図で、31、32は終端抵抗を兼ねた分圧抵
抗、33、37は限流抵抗、34、38は安定抵抗、3
5、39は逆電圧防止用ダイオードである。36、40
はホトカプラであり、それぞれ発光ダイオード36a、
40a、およびホトトランジスタ36b、40bで構成
されている。ホトダイオード36a、40aは、両給電
子14、15間の電圧Eg が基準電圧Eref 以上のとき
発光するように、限流抵抗33、37および安定抵抗3
4、38の値が選定されている。各ホトカプラ36、4
0の出力はOR回路27の入力となる。
【0018】次に、本実施例の動作を説明する。ワイヤ
電極2に断線が発生し、両給電子14、15間に電圧E
g が発生すると、この電圧Egは分圧抵抗31、32で
分圧されホトカプラ36、40に入力される。電圧Eg
が正極性の場合ホトカプラ36から高レベル信号が出力
され、電圧Eg が負極性の場合ホトカプラ40から高レ
ベル信号が出力される。ホトカプラ自体の動作は周知で
あるので説明は省略する。ホトカプラ36又はホトカプ
ラ40から高レベル信号が出力されると、さきの実施例
と同様、OR回路27を経て単安定マルチバイブレータ
28が作動し、加工パルス電源13に対して高レベル信
号が出力される。これにより、加工パルス電源13が遮
断される。本実施例はさきの実施例と同じ効果に加え
て、回路素子を減らすことができるとともに、ホトカプ
ラを用いたので、これに入力する信号レベルを高いレベ
ルとすることができ、ノイズに影響され難い回路構成と
することができる。
【0019】なお、上記実施例の説明では、断線状態と
して図2、図3に示す状態を例示したが、これらに限る
ことはなく、例えば、断線したワイヤ電極の一方側の一
部が被加工物と接触し同じ側のワイヤ電極と給電子との
間で放電が発生している状態の場合にも断線検出可能で
あるのは明らかである。又、比較増幅器およびホトカプ
ラを2つずつ設ける例について説明したが、入力電圧の
絶対値を取出すことができるものであれば、これらは1
つ設ければよい。又、加工パルス電源の電源遮断機構の
構成によっては、OR回路27の出力を直接当該電源遮
断機構へ入力することもできる。
【0020】
【発明の効果】以上述べたように、本発明では、両給電
子間の電圧を基準電圧と比較し、両給電子間の電圧が基
準電圧以上のとき、検出信号を出力するようにしたの
で、迅速に断線を検出することができ、ひいては断線時
の電源遮断を迅速に行って両給電子および被加工物の損
傷を著しく低減することができる。又、ワイヤ電極断線
の都度、又は数回断線が続いた場合でも両給電子を研磨
する必要がないので、加工能率を向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るワイヤ放電加工機の断線
検出装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す断線検出装置の一部の概略図であ
る。
【図3】図1に示す断線検出装置の一部の概略図であ
る。
【図4】図1に示す断線検出装置の一部の概略図であ
る。
【図5】図2〜4に示す装置の所定個所の電流、電圧の
波形図である。
【図6】両給電子間の距離に対する両給電子間電圧の実
験値のグラフである。
【図7】図1に示す終端抵抗値に対するS/N比の実験
値のグラフである。
【図8】従来装置の断線時の両給電子電圧の波形図であ
る。
【図9】本実施例の断線時の両給電子電圧の波形図であ
る。
【図10】本発明の他の実施例に係るワイヤ放電加工機
の断線検出装置の概略構成図である。
【図11】従来のワイヤ放電加工機の概略構成図であ
る。
【符号の説明】
1 被加工物 2 ワイヤ電極 13 加工パルス電源 14、15 給電子 20 ケーブル 24 バッファ増幅器 25、26 比較増幅器 27 OR回路 28 単安定マルチバイブレータ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工物と放電間隙を介して対向するワ
    イヤ電極と、前記ワイヤ電極と前記被加工物との間に放
    電電圧を印加する加工パルス電源と、前記加工パルス
    源に接続されるとともに前記被加工物の両側で前記ワイ
    ヤ電極に摺接する第1の給電子及び第2の給電子と、を
    備えたワイヤ放電加工機において、 前記第1の給電子と前記第2の給電子との間を抵抗で接
    続し、前記加工パルス電源に基づく前記抵抗の両端電圧
    の絶対値がワイヤ電極の断線によって予め定められた基
    準電圧以上のとき断線検出信号を出力する断線判別手段
    を設け、 前記断線判別手段は、前記両端電圧が正電圧のとき、前
    記正電圧が前記基準電圧以上のとき断線検出信号を出力
    する第1の判別手段と、前記両端電圧が負電圧のとき、
    前記負電圧が前記基準電圧以上のとき検出信号を出力す
    る第2の判別手段と、で構成される ことを特徴とするワ
    イヤ放電加工機の断線検出装置。
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