JP3081110B2 - 電磁誘導加熱炉 - Google Patents

電磁誘導加熱炉

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JP3081110B2
JP3081110B2 JP06207069A JP20706994A JP3081110B2 JP 3081110 B2 JP3081110 B2 JP 3081110B2 JP 06207069 A JP06207069 A JP 06207069A JP 20706994 A JP20706994 A JP 20706994A JP 3081110 B2 JP3081110 B2 JP 3081110B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体用シリコンを非汚
染雰囲気で加熱するための加熱炉に関するものである。
詳しくは加熱炉の内壁をシリコンのブロックで作製し、
高周波誘導加熱により該シリコンブロックを発熱させ、
シリコンブロックで囲まれた被加熱体を熱伝導で加熱す
ることにより、シリコン以外の物質からの不純物の放出
を抑制し、非汚染状態にて被加熱体を加熱するための装
置を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体用シリコンの製造プロセスにおい
て、シリコンを加熱する工程は多く存在する。これらの
工程は、被加熱体であるシリコンの汚染を防ぐため、非
汚染雰囲気で行わなくてはならない。例えばシリコンの
単結晶基板を加熱する拡散炉においては、その炉体は石
英ガラスで作られている。なぜならば、一般の物質は高
温において、半導体用シリコンに悪影響を及ぼすよう
な、ガス状の不純物を放出する。しかし、高純度のシリ
コンと石英ガラスだけは、このようなガス状不純物を放
出しないため、該製造工程に採用できる。
【0003】一方、石英ガラスは不純物を放出しない反
面、その強度において問題がある。石英ガラスの軟化点
は、一般に1000℃程度であると言われているため、
その変形を防止するための様々な対策がなされてきた。
しかし、1000℃以上での使用において、その変形を
根本的に防止する方法は、今のところ存在しないため、
石英ガラスはその使用温度が制限され、また石英ガラス
を定期的に交換する等の対策が取られている。
【0004】半導体用シリコンの原料となる多結晶シリ
コンの製造工程においても、多結晶シリコンを加熱する
工程は存在する。例えば流動床中でモノシランを原料と
し、気相析出反応により造粒したシリコン(以下粒状ポ
リシリコンと記す)中に含まれる含有水素量を低減させ
る工程(以下脱水素と記す)は、通常粒状ポリシリコン
の加熱により達成されることが知られている。この場
合、粒状ポリシリコンを単に加熱しただけでは粒子同士
が焼結し、凝固するため、粒状ポリシリコンの加熱は、
流動床で行われることが多い。その方法は既に知られて
おり、例えば特開平2−153814号公報には流動床
中で水素を含有した粒状ポリシリコンを1000℃程度
に加熱することにより含有水素量を30ppma以下に
減少させる方法が提案されているが、生産効率、及び装
置内での汚染時間の短縮を考えた場合、できるだけ高い
温度例えば1100℃以上で行うことが好ましい。
【0005】粒状ポリシリコンを半導体用の原料として
使用する場合、この工程における重要なポイントは、水
素含有量を低減することはもちろんのこと、この工程を
非汚染状態で行うことにある。この工程においては、磨
耗が起こるため、石英ガラスは当然のことながら使用で
きない。また、上記特開平2−153814号公報にお
いては、粒状ポリシリコン粒子の純度を保つため、流動
床の内壁はシリコンあるいはシリコンで被覆されている
ことが望ましいとはされているものの、その具体的実施
方法については何等明記されていない。実はその方法の
開発こそが、まさに現在望まれている最重要課題であ
る。
【0006】一方、特開平2−167811号公報には
加熱容器をグラファイトで作成し、その内面を高純度シ
リコンでコーティングし、外部よりヒーターで加熱する
方法が提案されている。しかしながら、この方法によれ
ば容器壁と粒状ポリシリコン粒子との摩擦による壁の削
れは防止できるものの、ガス状の不純物の発生を抑制す
ることは、極めて難しい。即ちグラファイトはその表面
温度が600℃以上になるとガス状のリン含有化合物を
放出し、容器内で流動している高純度のシリコン粒子を
汚染する。また、磨耗の問題に関しても、短時間の使用
においては問題無いとしても、容器壁の温度を1000
℃以上に長時間保持すると、粒状ポリシリコンとグラフ
ァイトの相互拡散により、内表面にもカーボン原子、あ
るいはSiC成分が露出し、製品中に取り込まれ、問題
を生ずる。また、装置の昇降温を繰り返した時、シリコ
ンとグラファイト、及びSiCの熱膨脹率のわずかな違
いにより、表面に微小なひび割れが発生する。この状態
で粒状ポリシリコンを流動させた場合にも、カーボンあ
るいはSiCが製品中に混入する。
【0007】これに対し、加熱容器をシリコンそのもの
で作成すれば、上記の問題が発生しないことは容易に類
推できる。その方法として、シリコン製の筒体を外部ヒ
ーターで加熱する場合、被加熱体の温度を1000℃以
上にするためには、シリコン筒体の内壁の温度はそれ以
上、通常1100℃程度が要求される。シリコンは半導
体特有の性質により、高温では電気伝導度が大きくな
り、外部ヒーターが直接シリコンに接触すると短絡ある
いは地絡し事故に繋がる危険性がある。また、シリコン
は非常に脆い材料であるため、シリコン筒は機械的にも
保護されなくてはならない。従ってシリコン筒と外部ヒ
ーターとを仕切る保護管が必要となり、しかもこの管は
絶縁体でなくてはならない。絶縁体は、一般に断熱材と
しての作用を持つ。また、シリコン筒と保護管との間に
は空間が生じ、この空間もまた断熱効果を持つ。これら
の理由により、シリコン筒を外部から加熱し、筒の内壁
の温度を1100℃に保持するためには保護管の外壁温
度には1200℃以上が要求され、また外部ヒーター自
身の温度はさらに高い温度が必要になる。このような高
温の加熱条件においては、一般にヒーター自身には炭化
ケイ素が使用され、またシリコン筒を保護する絶縁体筒
には、アルミナ、ジルコニア等の焼結体セラミックスが
使用される。
【0008】ところで本発明者らは、実験により各材料
からのガス放出温度を調べた。その結果、炭化ケイ素で
は900℃、またアルミナ、ジルコニア等、焼結体セラ
ミックスは、それらのグレードにより、900℃から1
000℃で不純物ガスを放出し始めることを確認した。
唯一、石英ガラスのみが1200℃においても不純物の
発生は認められなかった。仮にシリコン筒の外周を石英
ガラスで囲い、外部よりヒーターで加熱するとした場
合、該石英ガラスには 、厚みのある不透明石英が使用
される。該不透明石英ガラスは熱伝導度が低いため、そ
の外表面温度は1200℃以上に設定する必要がある。
しかしこの温度は、石英ガラスの軟化点温度(1000
℃)以上であるため、結局石英ガラスの使用は不可能と
いうことになる。従って前述した高温の加熱条件におい
ては、それぞれの材質からの不純物ガスの放出から免れ
ることができず、非汚染状態の維持は極めて難しい。ま
た、特開昭63−55112号公報では、マイクロ波を
筒体上部より被加熱体に照射することにより、被加熱体
を直接誘電加熱する方法が提案されている。しかしこの
方法は、加熱されている部分の温度が加熱されていない
部分の温度に比べ高くなり、系内にある被加熱体全体の
均一な加熱は困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】多結晶、単結晶を問わ
ず、半導体用シリコンを熱処理するための加熱装置にお
いて、前述のように石英ガラスでは、その強度面と磨耗
において問題があり、また、カーボンにシリコンのコー
ティングを施しただけでは純度面における長期安定性に
難がある。また、筒体をシリコンで作成しても、外部ヒ
ーターによりシリコン筒体を非汚染雰囲気で加熱するこ
とは困難であり、また被加熱体を直接加熱することも困
難である。このような状況下において、半導体シリコン
を製造するプロセス中の様々な工程において使用できる
加熱炉、即ち、筒体が高純度のシリコンであり、加熱中
においてもガス状の不純物の放出が無く、またシリコン
粒子の流動による磨耗にも耐え、かつ被加熱体を均一な
温度に加熱できる加熱炉の開発が望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決すべく鋭意研究を行ってきた。その結果シリコ
ンの電気伝導度が高温域で大きくなることから温度、高
周波の周波数、シリコンの厚みを適当な値に設定すれ
ば、ある厚みを持ったシリコンブロックの高周波誘導加
熱が可能であることを見出だし、更に研究を続け、本発
明を完成し、ここに提案するに至った。即ち本発明は、
ブロックをシリコンで作成し、該ブロックを高周波誘導
加熱により直接発熱させることにより、シリコン以外の
物体の温度をシリコンブロックの温度以下に保ち、シリ
コン以外の物質からの不純物ガスの放出を防ぎながら、
内部の被加熱体を非汚染雰囲気で加熱する装置を提供す
るものである。
【0011】本発明の特徴は、シリコン製のブロック
を、直接発熱させることにあり、その手段として、高周
波誘導電流によるシリコンの自己発熱を用いることにあ
る。本発明で用いるシリコンブロックは、単結晶、多結
晶を問わず、公知のシリコンを何等制限なく採用するこ
とができる。しかし材料の強度の観点から、割れや欠け
の問題が起こりにくい、結晶粒径の小さい多結晶シリコ
ンを使用することが好ましい。
【0012】本発明に言う被加熱体は、その物質、形
状、大きさにおいて、何等制限を受けない。しかし、本
発明による加熱が極めて高純度の環境で行えることか
ら、極微量の不純物の侵入さえも嫌う半導体材料の製造
工程、及びその製造装置の熱処理、半導体以外の単結晶
の製造あるいは熱処理等に好適に採用される。被加熱体
を加熱するための加熱炉は、その形状において何等制限
を受けない。該加熱炉は、小さいものであれば、材料の
シリコンブロックの内部をくり貫き、一体物で形成する
ことができる。また、シリコンブロックを組み合わせる
ことにより、大きな加熱炉を形成することもできる。ま
た、シリコンブロックを円周状に組み合わせることによ
り、筒体を形成することもできる。シリコンブロックの
組み合わせにより得られる筒体の直径は何等制限を受け
ず、任意の大きさのものを作成することができる。ま
た、該シリコンブロックは、円周方向にも円周に対して
垂直な方向にも組み合わせて使用することができる。
【0013】例えば、円柱状または角柱状のシリコンブ
ロックを多数用意し、これらの1本1本を、隣接するシ
リコンブロックと相接するように、または、被加熱物が
外部に漏出しない程度に間隙を形成するように円周状に
配列することにより、これらシリコンブロックを壁とす
る筒体を形成することができる。また、直方体、立方体
等のシリコンブロックを同様に円周状に配列するととも
に、円周面に対して垂直方向に積重ねていくことによっ
ても筒体を形成することができる。このとき、筒体内部
の被加熱物が透視できるように、任意の箇所でシリコン
ブロックの積上げを省き、窓を形成させてもよい。この
場合、筒体の壁の厚さは2cm以上、好ましくは3cm
以上とすることが、より低いエネルギーで高周波誘導加
熱が可能である。
【0014】本装置を流動床として使用する場合、シリ
コンブロックにより、筒体を形成した後、該筒体は垂直
に設置されるが、固定床あるいは移動床として使用する
場合は、水平あるいは水平に近い角度で使用できる。ま
た、筒体の縦軸に垂直な断面形状は特に制限されない
が、円形に近い程、粒子の動きがスムーズになり、均一
な処理が行えるため、断面形状はできるだけ円形に近い
ものが望ましい。
【0015】本発明において、加熱炉を流動床として使
用する例としては、シリコンの粒子を流動させ、その表
面上にモノシランを分解することにより生成した新たな
シリコンを析出させ、流動床中で多結晶シリコンを成長
させる方法が挙げられる。この方法で製造された多結晶
シリコンは、粒状ポリシリコンと呼ばれる。また、該析
出により得られた粒状ポリシリコン中には、モノシラン
の分解時に発生した水素が粒状ポリシリコン中に取り込
まれる。この水素を粒状ポリシリコン中から取り除く工
程にも流動床が使用される。これらの工程は、いずれも
不純物の侵入を非常に嫌う工程であるため、本発明が好
適に採用される。
【0016】シリコンブロックに使用するシリコンは、
その比抵抗が小さいほど加熱するための周波数が小さく
なる。従ってその分エネルギー効率を上げることができ
る。しかしシリコンの比抵抗を小さくするには燐やホウ
素などのドーパント不純物を添加する必要があり、これ
らの不純物は、シリコンブロックにより加熱される被加
熱体の汚染に繋がる。従って、シリコンブロックの比抵
抗は被加熱体の汚染量とエネルギーコストの両者を勘案
しながら熱処理の目的に最も適した値を設定すればよ
い。シリコンブロックの比抵抗は、ドーパント不純物を
添加することで容易に調製することができる。
【0017】シリコンブロックの外側にはシリコンブロ
ックに誘導電流を発生させるための電磁誘導加熱コイル
(以下単に誘導コイルと言う。)が配置される。シリコ
ンブロックは加熱炉であるため、シリコンブロックの内
側には、被加熱体が置かれ、被加熱体の存在しない側を
シリコンブロックの外側と言う。誘導コイルの配置方法
は特に制限されないが、シリコンブロックを効率良く加
熱するには誘導コイルはシリコンブロックを取り囲む形
で配置することが好ましい。この場合、被加熱体は、シ
リコンブロックに囲まれる形となり、その周囲に誘導コ
イルが配置される。更に効率を良くするために、シリコ
ンブロック同士を接触させ隙間の無い筒状にし、誘導コ
イルをその周囲に配置することができる。この誘導コイ
ルは、高周波発生電源に接続される。
【0018】シリコンブロックと誘導コイルとの間に
は、絶縁性の板、あるいは筒体等の物体(以下、保護管
と記す)を挿入することができる。シリコンブロックを
高温で使用する場合には、不純物ガスを放出しない石英
ガラスが好適に採用される。この場合、石英ガラスの軟
化による装置の変形を避けるため、保護管の外表面温度
を1000℃以下にすることが好ましい。その方法とし
ては、誘導コイルを水冷し、シリコンブロックと誘導コ
イル間に温度差をつける、あるいは保護管の外の保温厚
さを薄くし、放射熱量を大きくすることにより、保護管
の外表面温度を下げる等の対策を施すことができる。保
護管の温度を下げ、保護管の内表面温度をガス不純物を
放出する温度よりも低く設定すれば、アルミナ、ジルコ
ニア等のセラミックスも使用できる。
【0019】誘導コイルは、コイルに電流を流した時の
電力ロスが小さいものであることが好ましい。従って、
その材質には銅が好適に使用される。また誘導コイルの
発熱による抵抗の上昇を防ぐため、誘導コイルは冷却さ
れていることが好ましい。その方法として、中空の銅管
を誘導コイルとし、内部に水を流すことにより、誘導コ
イルを水冷することができる。
【0020】シリコンブロックと誘導コイルとの間隔
は、特に制限されないが、距離が離れすぎると誘導加熱
の効率が低下し、また、加熱したくない部分の加熱が起
こる。逆に距離が近すぎるとシリコンブロックが均一に
加熱されにくくなるため、これらのバランスの取れた位
置を任意に選択すればよい。誘導コイルが筒状である場
合、これらの間隔は、誘導コイルの直径の1/5から1
/10であることが好ましい。
【0021】本発明は、加熱されたシリコンブロックに
より被加熱体を加熱するための加熱炉である。即ち本発
明の高周波誘導加熱は、シリコンブロック中に誘導電流
を発生させることにより、シリコンブロックを発熱さ
せ、その内側にある被加熱体を、熱伝導により加熱する
装置である。従って、被加熱体そのものをマイクロ波等
により直接発熱させる方法とは根本的に異なる。
【0022】本発明に言う電磁誘導によるシリコンブロ
ックの加熱には、マイクロ波(周波数が100MHz以
上の電磁波)を使用することは好ましくない。マイクロ
波によるシリコンの加熱は、電磁誘導加熱よりも誘電加
熱が支配的となるため、表面が優先的に加熱される。従
って体積の大きいシリコンブロックを加熱した場合、表
面だけの局部加熱が起こり、シリコンブロック内部に熱
衝撃が発生するなどの問題が生ずる。一方、電磁誘導加
熱における最適な周波数を選択した場合、シリコンブロ
ック内部に電磁誘導による渦電流が発生し(ブロックが
円周方向に分割されていない一体物の場合は円周に沿っ
ての電流が発生し)、ブロック全体が誘導電流による発
熱で均一に加熱される。また、この加熱方法において
は、シリコンのような電気抵抗の比較的大きい物質で
は、誘電加熱のような局部加熱が起こりにくく、しかも
粒状ポリシリコンのような、粒径が小さいシリコンは、
容易に加熱されないという特徴を持つ。従って、本加熱
方法を粒状ポリシリコンの加熱に適用した場合、サイズ
の大きいシリコンブロックのみが均一に加熱されるた
め、その熱伝導により加熱される粒状ポリシリコンも均
一に加熱されるという特徴を有する。
【0023】電磁誘導加熱の周波数は特に重要である
が、シリコンブロックの誘導加熱が効率良く行える範囲
であれば特に制限されない。周波数を必要以上に低く設
定し、その周波数がシリコン筒体の肉厚に対する適性値
を下回った場合、誘導加熱の効率が低下し、目的とする
温度が得られなくなる。また周波数を必要以上に大きく
した場合、筒体の表面が局部的に加熱され、表面が熱衝
撃によりチッピングする、あるいは筒体の一部にクラッ
クが発生する等の障害が発生する。
【0024】最適な周波数はシリコンの電気伝導度、及
びシリコンブロックの肉厚により異なるが、装置材料と
して最適な、結晶粒径が300μm以下であり、常温で
の比抵抗値が1000Ωcmの多結晶シリコンのブロッ
クを円周状に組み合わせて使用し、電源の効率の面から
できるだけ周波数を下げることを考慮した場合、シリコ
ンブロックの肉厚を20mm〜70mm、周波数を10
kHz〜500kHzの間に設定することが好ましい。
さらに好ましくは、装置コストの面から、高周波電源に
サイリスタインバータの使用できる範囲として、周波数
を10kHz〜100kHz、シリコンブロックの肉厚
が40mm〜70mmの間にあることが好適に採用され
る。
【0025】加熱炉をシリコンブロックの組み合わせで
はなく、一体物のシリコンの筒体で作成した場合、ある
いは、シリコンブロック同士を電気的に密着させた場
合、誘導電流はシリコンブロックの深さ方向の渦電流と
はならず、筒体の全周を流れる。従って上記の最適周波
数はさらに小さい値に設定する必要がある。またシリコ
ンブロックにP、B等のドーパント不純物を添加し、電
気伝導度を大きくすることにより、誘導電流を流れ易く
した場合も、ドーパント不純物濃度に応じ上記最適周波
数は下がる。
【0026】シリコンブロックは、高温では効率良く高
周波により誘導加熱されるが、400℃以下の低温域に
おいては殆ど加熱されない。従って、シリコンの電気抵
抗が十分下がる高温の領域まで、高周波誘導加熱以外の
方法でシリコンブロックを予熱する必要がある。予熱の
方法として、外部ヒーター加熱、マイクロ波誘電加熱等
も可能ではあるが、最も簡単な方法は、シリコンブロッ
クの内側にシリコンよりも電気抵抗の低い(例えばカー
ボン)物体(以下予熱体と言う。)を挿入し、シリコン
ブロックを加熱するための高周波で予熱体を加熱する方
法である。該予熱体はブロックでも筒体でもよい。この
方法で加熱を行った場合、予熱の初期段階において、シ
リコンブロックの温度が低い状態では、ブロックにかけ
られた高周波のパワーはほとんど素通りし、大部分はブ
ロックの内側にある予熱体の加熱に消費される。予熱体
が十分に加熱されると、予熱体からの熱放射により、シ
リコンブロックが予熱され始める。シリコンブロックの
温度が上昇するにつれて、高周波による誘導電流がシリ
コンブロックにも流れ始め、シリコンブロックの温度が
十分上昇した時点でシリコンブロックを流れる誘導電流
は予熱体を流れる誘導電流よりも大きくなり、予熱体か
らの予熱を受けなくてもシリコンブロックは誘導加熱に
より自己発熱できる状態になる。この状態が得られた
後、予熱体をゆっくり取りだせば、通常の誘導加熱状態
に入ることができる。
【0027】本装置を流動床として使用する場合には、
内部に被加熱体である粒子を充填した後、下部より水素
ガスあるいはアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを導入
し、粒子を流動させれば良い。流動に使用するガスは高
純度であることが好ましい。また、この装置において、
シリコンブロックの上部を粒子の加熱域、下部を粒子の
冷却域とした場合、装置の最下部より導入されるガス
は、粒子の冷却部では温度が低く、加熱部に入ると急速
に加熱される。従ってガスの線速は加熱部に入った途
端、大きくなる。その結果、粒子の加熱部でのみ粒子は
流動状態となり、冷却部の粒子は運動しない。そのた
め、冷却部の粒子と加熱部の粒子が混合することはな
い。また、冷却部の粒子が運動しないことにより、それ
らの粒子がガスの均一な分散に寄与するという効果も合
わせ持つ。また、本装置の下部より、粒子を連続的、あ
るいは半連続的に抜き出し、抜き出した量と同量の粒子
を上部より供給すれば、本装置を通過する粒子が加熱さ
れる時間は、全ての粒子において、ほぼ同じ時間とな
る。従って、本装置の連続的な運転も可能となる。
【0028】
【発明の効果】本発明の方法によれば、シリコンブロッ
クの内側にある被加熱体を加熱する場合、加熱炉におけ
る最高温度の部分をシリコンブロックとし、シリコンブ
ロックより外側はそれ以下の温度にすることができる。
従って外部ヒーターでは困難であった、シリコン筒体の
非汚染雰囲気での加熱が可能になった。これにより、こ
れまで非汚染環境が実現出来なかった、長期間使用可能
な単結晶シリコン基板の加熱炉、粒状ポリシリコンの析
出反応炉、粒状ポリシリコン中の水素低減のための流動
床加熱炉、FZ用多結晶シリコン棒の歪み除去のための
焼鈍炉等、広く応用することが可能である。
【0029】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するため以下の
実施例及び比較例を挙げて説明するが本発明はこれらの
実施例に限定されるものではない。 実施例1 図1に本発明を実証するために作製した加熱炉を示す。
円柱状の多結晶シリコン棒を長手方向に垂直な断面形状
が台形である角柱に切り出し、シリコンブロックを作成
した。このブロックを組み上げ、内径180mm、外径
280mmのシリコン製の筒体1を形成した。またその
外に外径300mm、厚さ10mmの石英ガラス製の筒
2を設け、保護管とした。保護管の外を厚さ30mmの
保温材3で囲み、その外に高周波誘導加熱用の銅製の誘
導コイル4を設けた。誘導コイルは内部を冷却水が流れ
る構造とし、コイルがシリコン筒体により加熱されるこ
とを防止した。シリコン筒体は、縦型の流動床として使
用した。全長は2000mmとし、筒体下部のガス導入
口5よりArガスを10Nm3/hrで流した。誘導コ
イルは50kHz〜−150kwの電源に接続した。シ
リコンは常温における比抵抗値が非常に大きい為、上記
電源にてシリコン筒体を誘導加熱するためには何等かの
予熱手段が必要である。本装置では、加熱炉の下部を6
の位置より切り離せる構造とし、装置下部よりシリコン
カーバイドのCVDコートを施したカーボンの筒7を出
し入れできる構造とした。
【0030】カーボン筒を挿入した後、誘導コイルの印
加電圧を所定値に設定し、この状態を保持した。シリコ
ン筒体の温度が低く誘導電流がシリコン内部を流れない
状態においては、シリコン筒体の内側に挿入されたカー
ボン筒に優先的に誘導電流が発生し、カーボン筒のみが
加熱された。この状態を維持し、加熱されたカーボン筒
からの熱放射によりシリコン筒体が加熱され、シリコン
自体に誘導電流が流れ、更にシリコン筒体の温度が上昇
し、シリコン筒体の温度が800℃を越えた時点で印加
電圧を下げ、カーボン筒をゆっくりと下から取り出し
た。その後シリコンの誘導加熱は自立し、カーボン予熱
の助けを受けずとも、更に温度は上昇した。シリコン筒
体の温度が1150℃になった時点で印加電圧を下げ、
温度が一定になるよう条件を設定した。シリコン筒の温
度を1150℃に保持するために必要な電力は、約50
kwであった。シリコン筒体を形成している、それぞれ
のブロックの温度を測定したところ、加熱初期において
はブロックによって温度差が見られたが、カーボン筒を
取り除き、シリコン筒体の温度が900℃を越えた付近
からそれぞれの角柱の温度はほぼ同じになり、1150
℃の定常状態における縦軸に垂直な円周上の内面の温度
差は2℃であった。また石英ガラスの外表面温度は92
0℃であった。以上により、シリコン筒体が、高周波誘
導加熱により均一に加熱できること、および石英ガラス
を変形温度以下で使用できることが確認された。
【0031】実施例2 流動床にてモノシランガスを原料として析出した粒状ポ
リシリコンを、実施例1に示す装置に充填し、シリコン
筒体の外表面温度を1150℃にコントロールし、筒体
下部より内部にアルゴンガスを導入し、内部に充填した
粒子を流動させた。この状態における流動粒子の温度は
筒体上部より筒体中程まで1130±5℃の均熱が得ら
れた。また均熱ゾーンの直下は流動が起こらず、粒子の
温度も急激に低下する。筒体の最下部には粒子を流動さ
せるためのノズルを設けたが、実際には粒子温度の急激
に低下する部分よりも下の粒子がガスの均一な分散に寄
与し、良好な流動が得られた。
【0032】実施例3〜5 実施例2の状態で温度測定用の熱伝対を取り去り、2.
5時間サイクルで粒子の抜き出しと供給を行い、実質流
動時間を2.0時間とした時(粒子の抜き出しと投入に
0.5時間を要した。)の、粒子の純度変化を測定し
た。金属成分についてはICP質量分析計で測定し、他
の成分は粒子を単結晶化した後、FT−PLおよびFT
−IRで測定した。表1にその結果を示す。
【0033】
【表1】
【0034】実施例6〜7 図1に示す加熱炉の排ガスラインに図2に示す析出装置
を設置した。加熱炉の内部には何も充填せずシリコンブ
ロックの内表面温度を1100℃とし、、水素ガスを流
した。析出装置内部には、単結晶シリコンの基板8が設
置されており、この基板は、析出管9の外から赤外線1
0によって加熱される。加熱炉と析出装置の間にはガス
導入ライン11があり、ここより高純度のモノシランガ
スが導入され、加熱炉の排ガスに同伴される。排ガスの
水素に同伴されたモノシランガスは析出管内で赤外線に
よって分解し、単結晶基板の上に析出する。仮に排ガス
中に不純物が含まれていた場合、その不純物は単結晶基
板8の上に析出するシリコン中に取り込まれる。表2の
実施例6に析出した単結晶シリコンの分析値を示す。実
施例7は、加熱炉の排ガスの替わりに、高純度の水素を
使用した時の分析値である。両者の分析値の間に大きな
差は無いことから、本発明の加熱炉からは、水素雰囲気
中においても不純物の発生が無いことが確認された。
【0035】
【表2】
【0036】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はシリコンブロックの筒体の周囲に電磁誘
導コイルを設けた加熱炉の概略図である。
【図2】図2は加熱炉からの排ガス中の不純物量を分析
する装置の概略図である。
【符号の説明】 1 シリコンブロック 2 保護管 3 保温材 4 電磁誘導加熱コイル 5 充填物の抜き出し口 6 下部フランジ 7 カーボン製の予熱ヒーター 8 単結晶シリコン基板 9 析出管 10 赤外線加熱ランプ 11 モノシランガス導入ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F27B 17/00 C23C 16/44 F27D 11/06 H01L 21/31 C30B 33/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電磁誘導により加熱されるシリコンブロ
    ックおよび該シリコンブロックの外側に位置する電磁誘
    導加熱コイルを有することを特徴とする、加熱された該
    シリコンブロックにより被加熱体を加熱するための加熱
    炉。
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