JP3078898B2 - コンプライアンス機構を用いたワークの挿入方法 - Google Patents
コンプライアンス機構を用いたワークの挿入方法Info
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- JP3078898B2 JP3078898B2 JP03281733A JP28173391A JP3078898B2 JP 3078898 B2 JP3078898 B2 JP 3078898B2 JP 03281733 A JP03281733 A JP 03281733A JP 28173391 A JP28173391 A JP 28173391A JP 3078898 B2 JP3078898 B2 JP 3078898B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ワークを把持するチャ
ックを備えた可動体に対してコンプライアンス機構から
作用させる復元力および減衰力を調節することによって
ワークの姿勢を制御するようにしたコンプライアンス機
構を用いたワークの挿入方法に関するものである。
ックを備えた可動体に対してコンプライアンス機構から
作用させる復元力および減衰力を調節することによって
ワークの姿勢を制御するようにしたコンプライアンス機
構を用いたワークの挿入方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、図14に示すように、ロボッ
トのアームCの先端部にコンプライアンス機構Eを設
け、ワークBを把持するチャック1c等を備えた可動体
1をコンプライアンス機構Eで支持し、可動体1に対し
てコンプライアンス機構Eより作用する復帰力および減
衰力を調節することによって、ワークBの姿勢を制御す
ることが考えられている。すなわち、可動体1の姿勢を
制御することにより、精密組立装置などにおけるワーク
Bの位置の微調整などを行うのである。
トのアームCの先端部にコンプライアンス機構Eを設
け、ワークBを把持するチャック1c等を備えた可動体
1をコンプライアンス機構Eで支持し、可動体1に対し
てコンプライアンス機構Eより作用する復帰力および減
衰力を調節することによって、ワークBの姿勢を制御す
ることが考えられている。すなわち、可動体1の姿勢を
制御することにより、精密組立装置などにおけるワーク
Bの位置の微調整などを行うのである。
【0003】ところで、コンプライアンス機構Eを用い
た組立装置では、ワークBをチャック1cによって把持
した状態で、ワークBを装着する位置までコンプライア
ンス機構Eを移動させることが必要である。コンプライ
アンス機構Eは、可動体1に対し復元力と減衰力とを作
用させることによって可動体1を支持しているから、コ
ンプライアンス機構Eの移動時に加速度が作用すると、
可動体1がコンプライアンス機構Eに対して移動するこ
とになる。とくに、組立時間の短縮などを目的としてコ
ンプライアンス機構Eを高速で移動させようとすると、
コンプライアンス機構Eを急加速、急減速することにな
って可動体1に作用する加速度が大きくなるから、可動
体1を移動させようとする力が大きくなる。
た組立装置では、ワークBをチャック1cによって把持
した状態で、ワークBを装着する位置までコンプライア
ンス機構Eを移動させることが必要である。コンプライ
アンス機構Eは、可動体1に対し復元力と減衰力とを作
用させることによって可動体1を支持しているから、コ
ンプライアンス機構Eの移動時に加速度が作用すると、
可動体1がコンプライアンス機構Eに対して移動するこ
とになる。とくに、組立時間の短縮などを目的としてコ
ンプライアンス機構Eを高速で移動させようとすると、
コンプライアンス機構Eを急加速、急減速することにな
って可動体1に作用する加速度が大きくなるから、可動
体1を移動させようとする力が大きくなる。
【0004】たとえば、図15の右方向にコンプライア
ンス機構Eを移動させる場合について考えると、加速時
には、図15(a)のように可動体1がコンプラアイン
ス機構Eの中心よりも左側に変位するとともに、可動体
1にモーメントが作用し可動体1が傾くことになる。ま
た、減速時には、図15(b)のように可動体1がコン
プライアンス機構Eの中心よりも右側に変位するととも
に、可動体1にモーメントが作用し可動体1が傾くこと
になる。このようにコンプラアインス機構Eの移動によ
って可動体1がコンプライアンス機構Eに対して移動す
ると、可動体1がコンプライアンス機構Eに対して衝突
しやすく、コンプライアンス機構Eや可動体1の破損に
つながったり、部品Bの落下を招いたりするという問題
がある。さらに、可動体1がコンプライアンス機構Eに
衝突しないとしても、加速や減速の状態から等速度での
移動状態に急に変化したり急停止したりすると、その後
は図15(c)のように可動体1が振動して整定時間が
長くなり、部品Bの位置決めに長時間を要するという問
題が生じることもある。要するに、組立時間を短縮する
ためにコンプライアンス機構Eを高速に移動させようと
すると、装置が破損したり、整定時間が長くなって組立
時間が短縮できなくなるという問題が生じるのである。
ンス機構Eを移動させる場合について考えると、加速時
には、図15(a)のように可動体1がコンプラアイン
ス機構Eの中心よりも左側に変位するとともに、可動体
1にモーメントが作用し可動体1が傾くことになる。ま
た、減速時には、図15(b)のように可動体1がコン
プライアンス機構Eの中心よりも右側に変位するととも
に、可動体1にモーメントが作用し可動体1が傾くこと
になる。このようにコンプラアインス機構Eの移動によ
って可動体1がコンプライアンス機構Eに対して移動す
ると、可動体1がコンプライアンス機構Eに対して衝突
しやすく、コンプライアンス機構Eや可動体1の破損に
つながったり、部品Bの落下を招いたりするという問題
がある。さらに、可動体1がコンプライアンス機構Eに
衝突しないとしても、加速や減速の状態から等速度での
移動状態に急に変化したり急停止したりすると、その後
は図15(c)のように可動体1が振動して整定時間が
長くなり、部品Bの位置決めに長時間を要するという問
題が生じることもある。要するに、組立時間を短縮する
ためにコンプライアンス機構Eを高速に移動させようと
すると、装置が破損したり、整定時間が長くなって組立
時間が短縮できなくなるという問題が生じるのである。
【0005】このような問題を解決するために、コンプ
ライアンス機構Eに位置決めピストンを設け、ワークB
を把持してから所望の位置までの移動期間中に、位置決
めピストンによってコンプライアンス機構Eに対して可
動体1を機械的に固定することが考えられている(特開
昭62−68231号公報)。
ライアンス機構Eに位置決めピストンを設け、ワークB
を把持してから所望の位置までの移動期間中に、位置決
めピストンによってコンプライアンス機構Eに対して可
動体1を機械的に固定することが考えられている(特開
昭62−68231号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
成では、移動期間中にのみ可動体1を固定するための機
械装置をコンプライアンス機構Eに設ける必要があり、
構成が複雑になるとともに全体が大型化するという問題
が生じる。また、コンプライアンス機構Eに対して可動
体1の位置を固定するために位置決めピストンを可動体
1に接触させる際に、可動体1に対して衝撃力が作用す
る場合もあり、チャック1cに対するワークBの位置ず
れや脱落が生じることがある。
成では、移動期間中にのみ可動体1を固定するための機
械装置をコンプライアンス機構Eに設ける必要があり、
構成が複雑になるとともに全体が大型化するという問題
が生じる。また、コンプライアンス機構Eに対して可動
体1の位置を固定するために位置決めピストンを可動体
1に接触させる際に、可動体1に対して衝撃力が作用す
る場合もあり、チャック1cに対するワークBの位置ず
れや脱落が生じることがある。
【0007】本発明は上記問題点の解決を目的とするも
のであり、コンプライアンス機構の移動時の加減速によ
って可動体に作用するモーメントを抑制し、もって可動
体がコンプライアンス機構に衝突しにくくなるように
し、コンプライアンス機構を従来よりも高速に移動させ
ることができるようにするとともに、ワークの孔への挿
入時にはワークを孔内に追い込みやすくしたコンプライ
アンス機構を用いたワークの挿入方法を提供しようとす
るものである。
のであり、コンプライアンス機構の移動時の加減速によ
って可動体に作用するモーメントを抑制し、もって可動
体がコンプライアンス機構に衝突しにくくなるように
し、コンプライアンス機構を従来よりも高速に移動させ
ることができるようにするとともに、ワークの孔への挿
入時にはワークを孔内に追い込みやすくしたコンプライ
アンス機構を用いたワークの挿入方法を提供しようとす
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明では、上
記目的を達成するために、電磁石の磁力によって可動体
を非接触で支持するコンプライアンス機構を用い、可動
体に設けたチャックによって把持したワークを所定の孔
に挿入できるように、電磁石の磁力の制御によりコンプ
ライアンス機構より可動体に作用させる復元力および減
衰力を調節することによって可動体の姿勢を制御するコ
ンプライアンス機構を用いたワークの挿入方法におい
て、座標軸に沿う方向の並進による変位と各座標軸の回
りの回転による角変位とのみによって可動体に作用する
復元力を表すことができるように設定した直交座標系の
原点の位置をコンプライアンス機構より可動体に作用さ
せる復元力に関する弾性中心とし、コンプライアンス機
構が可動体に対して相対的に移動する際に、弾性中心が
可動体の重心に一致するようにコンプライアンス機構よ
り可動体に作用する復元力を調節し、ワークを所定の孔
に挿入する際に、弾性中心をワークの先端付近に位置さ
せるのである。
記目的を達成するために、電磁石の磁力によって可動体
を非接触で支持するコンプライアンス機構を用い、可動
体に設けたチャックによって把持したワークを所定の孔
に挿入できるように、電磁石の磁力の制御によりコンプ
ライアンス機構より可動体に作用させる復元力および減
衰力を調節することによって可動体の姿勢を制御するコ
ンプライアンス機構を用いたワークの挿入方法におい
て、座標軸に沿う方向の並進による変位と各座標軸の回
りの回転による角変位とのみによって可動体に作用する
復元力を表すことができるように設定した直交座標系の
原点の位置をコンプライアンス機構より可動体に作用さ
せる復元力に関する弾性中心とし、コンプライアンス機
構が可動体に対して相対的に移動する際に、弾性中心が
可動体の重心に一致するようにコンプライアンス機構よ
り可動体に作用する復元力を調節し、ワークを所定の孔
に挿入する際に、弾性中心をワークの先端付近に位置さ
せるのである。
【0009】請求項2の発明では、請求項1の構成に加
えて、座標軸に沿う方向の並進による変位と各座標軸の
回りの回転による角変位とのみによって可動体に作用す
る減衰力を表すことができるように設定した直交座標系
の原点の位置をコンプライアンス機構より可動体に作用
させる減衰力に関するダンピング中心とし、ワークを所
定の孔に挿入する際に、ダンピング中心が可動体の重心
に一致するようにコンプライアンス機構より可動体に作
用する減衰力を調節するのである。
えて、座標軸に沿う方向の並進による変位と各座標軸の
回りの回転による角変位とのみによって可動体に作用す
る減衰力を表すことができるように設定した直交座標系
の原点の位置をコンプライアンス機構より可動体に作用
させる減衰力に関するダンピング中心とし、ワークを所
定の孔に挿入する際に、ダンピング中心が可動体の重心
に一致するようにコンプライアンス機構より可動体に作
用する減衰力を調節するのである。
【0010】請求項3の発明では、電磁石の磁力によっ
て可動体を非接触で支持するコンプライアンス機構を用
い、可動体に設けたチャックによって把持したワークを
所定の孔に挿入できるように、電磁石の磁力の制御によ
りコンプライアンス機構より可動体に作用させる復元力
および減衰力を調節することによって可動体の姿勢を制
御するコンプライアンス機構を用いたワークの挿入方法
において、コンプライアンス機構が可動体に対して相対
的に移動する際に、コンプライアンス機構より可動体に
作用する復元力と減衰力との少なくとも一方を、可動体
がコンプライアンス機構に対して移動しない程度の強さ
に設定するのである。
て可動体を非接触で支持するコンプライアンス機構を用
い、可動体に設けたチャックによって把持したワークを
所定の孔に挿入できるように、電磁石の磁力の制御によ
りコンプライアンス機構より可動体に作用させる復元力
および減衰力を調節することによって可動体の姿勢を制
御するコンプライアンス機構を用いたワークの挿入方法
において、コンプライアンス機構が可動体に対して相対
的に移動する際に、コンプライアンス機構より可動体に
作用する復元力と減衰力との少なくとも一方を、可動体
がコンプライアンス機構に対して移動しない程度の強さ
に設定するのである。
【0011】
【作用】弾性中心を上述のように定義すれば、可動体に
作用する外力は、全外力が可動体の重心に作用したのに
等しく、弾性中心のまわりのモーメントは、重心に作用
する外力によって生じると考えてよいから、請求項1の
方法によって、可動体に対してコンプライアンス機構か
ら作用する復元力(つまり電磁石による磁力)を調節す
ることによって、コンプライアンス機構が可動体に対し
て相対的に移動するときに可動体の弾性中心を重心に一
致させれば、可動体に対してモーメントが作用しないよ
うにすることができるのである。すなわち、コンプライ
アンス機構が移動したときに、可動体は回転移動を行わ
ずにコンプライアンス機構の移動方向における並進移動
のみを行うことになって、回転移動を行う場合に比較す
れば、可動体がコンプライアンス機構に衝突しにくくな
るのである。要するに、コンプライアンス機構から可動
体に作用させる復元力について弾性中心を設定し、電磁
石による磁力を制御することによって弾性中心の位置を
調節し、この弾性中心の位置を可動体の重心に一致させ
るから、可動体に外力が作用しても可動体にモーメント
が発生せず、可動体が回転しないのである。また、ワー
クの挿入時には弾性中心をワークの先端部付近に位置さ
せているから、重心まわりに小さな力が作用するだけで
可動体が傾くのであって、ワークを所望の孔に容易に追
い込むことができるのである。
作用する外力は、全外力が可動体の重心に作用したのに
等しく、弾性中心のまわりのモーメントは、重心に作用
する外力によって生じると考えてよいから、請求項1の
方法によって、可動体に対してコンプライアンス機構か
ら作用する復元力(つまり電磁石による磁力)を調節す
ることによって、コンプライアンス機構が可動体に対し
て相対的に移動するときに可動体の弾性中心を重心に一
致させれば、可動体に対してモーメントが作用しないよ
うにすることができるのである。すなわち、コンプライ
アンス機構が移動したときに、可動体は回転移動を行わ
ずにコンプライアンス機構の移動方向における並進移動
のみを行うことになって、回転移動を行う場合に比較す
れば、可動体がコンプライアンス機構に衝突しにくくな
るのである。要するに、コンプライアンス機構から可動
体に作用させる復元力について弾性中心を設定し、電磁
石による磁力を制御することによって弾性中心の位置を
調節し、この弾性中心の位置を可動体の重心に一致させ
るから、可動体に外力が作用しても可動体にモーメント
が発生せず、可動体が回転しないのである。また、ワー
クの挿入時には弾性中心をワークの先端部付近に位置さ
せているから、重心まわりに小さな力が作用するだけで
可動体が傾くのであって、ワークを所望の孔に容易に追
い込むことができるのである。
【0012】請求項2の方法によれば、ワークを所定の
孔に挿入する際に、ダンピング中心が可動体の重心に一
致するようにコンプライアンス機構より可動体に作用す
る減衰力を調節するのであって、ワークを所定の孔に挿
入する際に、弾性中心が可動体の重心から離れて位置さ
せたことによって可動体の支持が不安定になりやすいの
に対して、ダンピング中心を可動体の重心に一致させる
ことによって可動体の支持の安定性を向上させることが
できるのである。すなわち、ワークを孔に挿入しやすい
と同時に、可動体を安定して支持できるのである。
孔に挿入する際に、ダンピング中心が可動体の重心に一
致するようにコンプライアンス機構より可動体に作用す
る減衰力を調節するのであって、ワークを所定の孔に挿
入する際に、弾性中心が可動体の重心から離れて位置さ
せたことによって可動体の支持が不安定になりやすいの
に対して、ダンピング中心を可動体の重心に一致させる
ことによって可動体の支持の安定性を向上させることが
できるのである。すなわち、ワークを孔に挿入しやすい
と同時に、可動体を安定して支持できるのである。
【0013】請求項3の方法によれば、コンプライアン
ス機構の移動時に、可動体がコンプライアンス機構に対
して移動しない程度に、復元力と減衰力との少なくとも
一方を強く設定するので、コンプライアンス機構の移動
中に可動体がコンプライアンス機構に移動することが防
止され、結果的にコンプライアンス機構を高速に移動さ
せることができるのである。また、復元力や減衰力を強
く設定することによって、可動体に振動が生じたときの
整定時間を短縮できる効果もある。
ス機構の移動時に、可動体がコンプライアンス機構に対
して移動しない程度に、復元力と減衰力との少なくとも
一方を強く設定するので、コンプライアンス機構の移動
中に可動体がコンプライアンス機構に移動することが防
止され、結果的にコンプライアンス機構を高速に移動さ
せることができるのである。また、復元力や減衰力を強
く設定することによって、可動体に振動が生じたときの
整定時間を短縮できる効果もある。
【0014】
【実施例】本実施例では、コンプライアンス機構Eとし
て図8ないし図11に示す構造のものを用いる。このコ
ンプライアンス機構Eは、可動体1に設けた磁性体より
なる円板1aに対して、円板1aの下面の周部に対向す
るように3個の電磁石21 ,22 ,23 を周方向に沿っ
て等間隔で配置するとともに、円板1aの状面の中央部
に対向するように1個の電磁石6を配置することによっ
て、可動体1に対する磁気軸受を構成し、さらに、円板
の上面の周部に3個のリニアアクチュエータ31 ,
32 ,33 を周方向に沿って等間隔で結合した構成を有
している。ここに、電磁石21 ,22 ,23 の円板1a
との対向面は同一平面上に位置しており、この面をXY
平面に平行な面であると規定する。
て図8ないし図11に示す構造のものを用いる。このコ
ンプライアンス機構Eは、可動体1に設けた磁性体より
なる円板1aに対して、円板1aの下面の周部に対向す
るように3個の電磁石21 ,22 ,23 を周方向に沿っ
て等間隔で配置するとともに、円板1aの状面の中央部
に対向するように1個の電磁石6を配置することによっ
て、可動体1に対する磁気軸受を構成し、さらに、円板
の上面の周部に3個のリニアアクチュエータ31 ,
32 ,33 を周方向に沿って等間隔で結合した構成を有
している。ここに、電磁石21 ,22 ,23 の円板1a
との対向面は同一平面上に位置しており、この面をXY
平面に平行な面であると規定する。
【0015】リニアアクチュエータ31 ,32 ,3
3は、図12、図13に示すように、略E形に形成され
両側部の脚片と中央の脚片とが異極に着磁された永久磁
石3aと、永久磁石3aの中央の脚片に挿入される角筒
状の可動コイル3bとを備える。したがって、可動コイ
ル3bに直流を通電すれば電流の大きさに応じたローレ
ンツ力が可動コイル3bに作用することによって、可動
コイル3bが永久磁石3の中央の脚片に沿う方向に往復
移動するのである。このリニアアクチュエータ31 ,3
2 ,33 は、永久磁石3aの全脚片を含む平面がXY平
面と平行になり、かつ、脚片が周方向に沿って同じ向き
になるように配設される。また、各リニアアクチュエー
タ31 ,32 ,33 の可動コイル3bは、可動体1の円
板1aに機械的に結合されるとともに、脚片に直交する
面内で永久磁石3aに対して移動できるように永久磁石
3aから離間して配置されている。したがって、各リニ
アアクチュエータ31 ,32 ,33 の可動コイル3bに
通電する電流の大きさを制御すれば、可動体1をXY平
面に平行な面内で並進させたり回転させたりすることが
できるのである。
3は、図12、図13に示すように、略E形に形成され
両側部の脚片と中央の脚片とが異極に着磁された永久磁
石3aと、永久磁石3aの中央の脚片に挿入される角筒
状の可動コイル3bとを備える。したがって、可動コイ
ル3bに直流を通電すれば電流の大きさに応じたローレ
ンツ力が可動コイル3bに作用することによって、可動
コイル3bが永久磁石3の中央の脚片に沿う方向に往復
移動するのである。このリニアアクチュエータ31 ,3
2 ,33 は、永久磁石3aの全脚片を含む平面がXY平
面と平行になり、かつ、脚片が周方向に沿って同じ向き
になるように配設される。また、各リニアアクチュエー
タ31 ,32 ,33 の可動コイル3bは、可動体1の円
板1aに機械的に結合されるとともに、脚片に直交する
面内で永久磁石3aに対して移動できるように永久磁石
3aから離間して配置されている。したがって、各リニ
アアクチュエータ31 ,32 ,33 の可動コイル3bに
通電する電流の大きさを制御すれば、可動体1をXY平
面に平行な面内で並進させたり回転させたりすることが
できるのである。
【0016】一方、各電磁石21 ,22 ,23 は、円板
1aに対してXY平面に直交する方向、すなわち、Z軸
方向の力を作用させているから、各電磁石21 ,22 ,
23 に通電する電流の大きさを制御すれば、可動体1を
Z軸方向に並進させるとともに、XY平面に対して円板
1aを任意の向きに傾斜させることができる。上述のよ
うにして、可動体1を磁力によって非接触で支持した状
態で、並進および回転についてそれぞれ自由度が3であ
る姿勢制御が行えることになる。可動体1の姿勢は、6
個の位置センサ41 ,42 ,43 ,44 ,45 ,46 に
より検出される。各位置センサ41 ,42 ,43 ,
44 ,45,46 には、たとえば磁気式のものが用いら
れる。3個の位置センサ41 ,42 ,43 は、円板1a
の上面の周部に対向して配置されていて、それぞれZ軸
方向の変位を検出するから、可動体1のZ軸方向の並進
とXY平面に対する傾斜とを検出できる。また、残りの
3個の位置センサ44 ,45 ,46 は、図10のよう
に、円板1aの周面もしくは円板1aの周面に突設した
突片に対向するように配置されているから、XY平面内
での並進および回転を検出できる。
1aに対してXY平面に直交する方向、すなわち、Z軸
方向の力を作用させているから、各電磁石21 ,22 ,
23 に通電する電流の大きさを制御すれば、可動体1を
Z軸方向に並進させるとともに、XY平面に対して円板
1aを任意の向きに傾斜させることができる。上述のよ
うにして、可動体1を磁力によって非接触で支持した状
態で、並進および回転についてそれぞれ自由度が3であ
る姿勢制御が行えることになる。可動体1の姿勢は、6
個の位置センサ41 ,42 ,43 ,44 ,45 ,46 に
より検出される。各位置センサ41 ,42 ,43 ,
44 ,45,46 には、たとえば磁気式のものが用いら
れる。3個の位置センサ41 ,42 ,43 は、円板1a
の上面の周部に対向して配置されていて、それぞれZ軸
方向の変位を検出するから、可動体1のZ軸方向の並進
とXY平面に対する傾斜とを検出できる。また、残りの
3個の位置センサ44 ,45 ,46 は、図10のよう
に、円板1aの周面もしくは円板1aの周面に突設した
突片に対向するように配置されているから、XY平面内
での並進および回転を検出できる。
【0017】各位置センサ41 ,42 ,43 ,44 ,4
5 ,46 から出力される位置情報は、インタフェース7
を介してマイクロコンピュータ5に取り込まれ、可動体
1を所望の姿勢に制御するようにマイクロコンピュータ
5から出力される制御信号に対応した電流がインタフェ
ース7から出力されてアンプ8によって増幅された後、
各電磁石21 ,22 ,23 および各リニアアクチュエー
タ31 ,32 ,33 の可動コイル3bに通電される。ア
ンプ8には各電磁石21 ,22 ,23 および各リニアア
クチュエータ31 ,32 ,33 の可動コイル3bに通電
する所要の電流を確保するための駆動用電源9が接続さ
れる。このようなコンプライアンス機構Eとしては、電
磁石21 ,22 ,23 ,6による磁気軸受に代えて空気
軸受を用いたものや、電磁石6に代えてコイルばねを用
いたものや、リニアアクチュエータ31 ,32 ,33 に
代えて電磁石21 ,22 ,23 の磁界中で円板1aに固
定した偏平コイルを用いたものなどが考えられるが、い
ずれも6自由度の姿勢制御が行える点に変わりはない。
5 ,46 から出力される位置情報は、インタフェース7
を介してマイクロコンピュータ5に取り込まれ、可動体
1を所望の姿勢に制御するようにマイクロコンピュータ
5から出力される制御信号に対応した電流がインタフェ
ース7から出力されてアンプ8によって増幅された後、
各電磁石21 ,22 ,23 および各リニアアクチュエー
タ31 ,32 ,33 の可動コイル3bに通電される。ア
ンプ8には各電磁石21 ,22 ,23 および各リニアア
クチュエータ31 ,32 ,33 の可動コイル3bに通電
する所要の電流を確保するための駆動用電源9が接続さ
れる。このようなコンプライアンス機構Eとしては、電
磁石21 ,22 ,23 ,6による磁気軸受に代えて空気
軸受を用いたものや、電磁石6に代えてコイルばねを用
いたものや、リニアアクチュエータ31 ,32 ,33 に
代えて電磁石21 ,22 ,23 の磁界中で円板1aに固
定した偏平コイルを用いたものなどが考えられるが、い
ずれも6自由度の姿勢制御が行える点に変わりはない。
【0018】コンプライアンス機構Eは、図8に示すよ
うに、ロボットのアームCの先端に設けた外枠10の中
に収納され、可動体1の円板1aの下面中央に突設した
ペグ1bを介して、ワークBを保持するチャック1cが
設けられる。外枠10には、コンプライアンス機構Eの
電磁石21 ,22 ,23 ,6、およびリニアアクチュエ
ータ31 ,32 ,33 の永久磁石3aが固定される。こ
のように構成された組立装置を用いれば、方向性のある
部品Aの孔aにワークBを位置合わせして挿入できるの
である。
うに、ロボットのアームCの先端に設けた外枠10の中
に収納され、可動体1の円板1aの下面中央に突設した
ペグ1bを介して、ワークBを保持するチャック1cが
設けられる。外枠10には、コンプライアンス機構Eの
電磁石21 ,22 ,23 ,6、およびリニアアクチュエ
ータ31 ,32 ,33 の永久磁石3aが固定される。こ
のように構成された組立装置を用いれば、方向性のある
部品Aの孔aにワークBを位置合わせして挿入できるの
である。
【0019】ところで、上記コンプライアンス機構Eを
用いた組立装置を単純化すれば、図1に示すようなモデ
ルを考えることができる。すなわち、図1(a)に示す
ように、コンプライアンス機構Eによって可動体1が浮
上した形で支持され、可動体1に設けたチャック1cで
保持したワークBを部品Aの孔aに挿入するのであっ
て、可動体1は、コンプライアンス機構Eに対して、図
1(b)のように復元力を作用させる復元要素k1 ,k
2 ,k3 ,k4 と、図1(c)のように減衰力を作用さ
せる減衰要素c1 ,c2 ,c3 ,c4 とを介して結合さ
れていると考えることができる。コンプライアンス機構
Eは、復元要素k1 ,k2 ,k3 ,k4 による復元力、
および減衰要素c1 ,c2 ,c3 ,c4 による減衰力を
調節できるのである。
用いた組立装置を単純化すれば、図1に示すようなモデ
ルを考えることができる。すなわち、図1(a)に示す
ように、コンプライアンス機構Eによって可動体1が浮
上した形で支持され、可動体1に設けたチャック1cで
保持したワークBを部品Aの孔aに挿入するのであっ
て、可動体1は、コンプライアンス機構Eに対して、図
1(b)のように復元力を作用させる復元要素k1 ,k
2 ,k3 ,k4 と、図1(c)のように減衰力を作用さ
せる減衰要素c1 ,c2 ,c3 ,c4 とを介して結合さ
れていると考えることができる。コンプライアンス機構
Eは、復元要素k1 ,k2 ,k3 ,k4 による復元力、
および減衰要素c1 ,c2 ,c3 ,c4 による減衰力を
調節できるのである。
【0020】ところで、上述したコンプライアンス機構
Eによって可動体1を保持するから、6自由度系の運動
方程式を用いて可動体1の運動を記述することができ
る。すなわち、単純化のために一平面上だけを動くよう
に拘束されているものと考えると、復元力は、図2
(a)のように可動体1の並進移動による変位Δxに基
づいて作用する力F(=−k・Δx、kは定数)と、図
2(b)のように可動体1の原点まわりの回転移動によ
る角変位Δθに基づいて作用するモーメントM(=−k
r・Δθ、krは定数)とになる。同様にして、減衰力
は、図3(a)のように変位Δxの時間変化Δx′に基
づいて作用する力F(=−c・Δx′、cは定数、Δ
x′は速度)と、図3(b)のように角変位Δθの時間
変化Δθ′に基づいて作用するモーメントM(=−cr
・Δθ′、crは定数、Δθ′は角速度)とになる。ま
た、復元力と減衰力とは6自由度であるから、復元力を
6要素を持つベクトル{Fs}で表し、変位Δxおよび
角変位Δθとについてそれぞれ3要素ずつの合計6要素
を有した変位ベクトル{r}を考えると、復元力{F
s}は、次式のように表すことができる。
Eによって可動体1を保持するから、6自由度系の運動
方程式を用いて可動体1の運動を記述することができ
る。すなわち、単純化のために一平面上だけを動くよう
に拘束されているものと考えると、復元力は、図2
(a)のように可動体1の並進移動による変位Δxに基
づいて作用する力F(=−k・Δx、kは定数)と、図
2(b)のように可動体1の原点まわりの回転移動によ
る角変位Δθに基づいて作用するモーメントM(=−k
r・Δθ、krは定数)とになる。同様にして、減衰力
は、図3(a)のように変位Δxの時間変化Δx′に基
づいて作用する力F(=−c・Δx′、cは定数、Δ
x′は速度)と、図3(b)のように角変位Δθの時間
変化Δθ′に基づいて作用するモーメントM(=−cr
・Δθ′、crは定数、Δθ′は角速度)とになる。ま
た、復元力と減衰力とは6自由度であるから、復元力を
6要素を持つベクトル{Fs}で表し、変位Δxおよび
角変位Δθとについてそれぞれ3要素ずつの合計6要素
を有した変位ベクトル{r}を考えると、復元力{F
s}は、次式のように表すことができる。
【0021】{Fs}=〔K〕{r} ここに、〔K〕は6×6要素を有する行列であって、こ
わさマトリックス(スティフネスマトリックス)と称す
るものである。一方、減衰力についても同様の形式で示
すと、減衰力{Fd}は、 {Fd}=〔C〕{r′} になる。ただし−{r′}は変位ベクトル{r}の各要
素を時間微分したベクトルであり、〔C〕は6×6要素
を有する行列であって、減衰マトリックス(ダンピング
マトリックス)と称するものである。
わさマトリックス(スティフネスマトリックス)と称す
るものである。一方、減衰力についても同様の形式で示
すと、減衰力{Fd}は、 {Fd}=〔C〕{r′} になる。ただし−{r′}は変位ベクトル{r}の各要
素を時間微分したベクトルであり、〔C〕は6×6要素
を有する行列であって、減衰マトリックス(ダンピング
マトリックス)と称するものである。
【0022】こわさマトリックス〔K〕および減衰マト
リックス〔C〕は、それぞれ対称行列になり、適当な座
標変換を施せば対角化することができる。このような直
交座標系を設定したときには、復元力{Fs}を各座標
軸に沿う方向の変位と各座標軸まわりの角変位とのみに
基づいて表すことができ、減衰力{Fd}を各座標軸に
沿う方向の変位および各座標軸まわりの角変位との時間
変化のみに基づいて表すことができることになる。この
ような直交座標系は、復元力と減衰力とについてそれぞ
れ独立に設定することが可能であって、以下では、図4
に示すように、復元力について設定した直交座標系の原
点を弾性中心S、減衰力について設定した座標系の原点
をダンピング中心Dと呼ぶことにする。
リックス〔C〕は、それぞれ対称行列になり、適当な座
標変換を施せば対角化することができる。このような直
交座標系を設定したときには、復元力{Fs}を各座標
軸に沿う方向の変位と各座標軸まわりの角変位とのみに
基づいて表すことができ、減衰力{Fd}を各座標軸に
沿う方向の変位および各座標軸まわりの角変位との時間
変化のみに基づいて表すことができることになる。この
ような直交座標系は、復元力と減衰力とについてそれぞ
れ独立に設定することが可能であって、以下では、図4
に示すように、復元力について設定した直交座標系の原
点を弾性中心S、減衰力について設定した座標系の原点
をダンピング中心Dと呼ぶことにする。
【0023】上述のように、弾性中心Sおよびダンピン
グ中心Dを定義すれば、外力の作用線が弾性中心Sを通
る場合、可動体1は傾かずに外力の作用線上で並進移動
し、外力の作用線が弾性中心Sを通らない場合、可動体
1は弾性中心Sの回りに回転する。また、外力に時間変
化があるときには、外力の作用線がダンピング中心Dを
通る場合、可動体1は傾かずに外力の作用線上で並進移
動し、外力の作用線がダンピング中心Dを通らない場
合、可動体1はダンピング中心Dの回りに回転する。す
なわち、コンプライアンス機構Eの移動時における加速
度が一定である場合には、弾性中心Sを可動体1の重心
Gに一致させれば、可動体1は傾かずにコンプライアン
ス機構Eの移動方向に並進のみを行うことになる。ま
た、コンプライアンス機構Eの移動時における加速度が
変化する場合には、ダンピング中心Dを可動体1の重心
Gに一致させれば、可動体1は傾かずにコンプライアン
ス機構Eの移動方向に並進のみを行うことになる。い
ま、弾性中心Sが可動体1の重心Gに弾性中心Sが一致
している場合について考えると、コンプライアンス機構
Eが図5における右向きに移動しており、かつ、移動時
の加速度が一定であると仮定する。コンプライアンス機
構Eが加速するときには、図5(a)に示すように、可
動体1はコンプライアンス機構Eの中心線Lに対して左
に変位するが、このとき、可動体1にはモーメントが作
用しないから、比較的大きな外力が作用しても可動体1
はコンプライアンス機構Eに衝突しないのであって、モ
ーメントが作用する場合に比較すれば余裕度が大きくな
るのである。その結果、モーメントが作用する場合に比
較してコンプライアンス機構Eを高速に移動できるので
ある。同様に、コンプライアンス機構Eが減速するとき
には、図5(b)のように可動体1はコンプライアンス
機構Eの中心線Lに対して右に変位するが、モーメント
は作用しない。さらに、急に停止した場合などで可動体
1がコンプライアンス機構Eに衝突しなかったとして
も、図5(c)のように可動体1が振動することがある
が、可動体1に対して回転成分による振動は生じないか
ら、整定時間を比較的短くすることができる。
グ中心Dを定義すれば、外力の作用線が弾性中心Sを通
る場合、可動体1は傾かずに外力の作用線上で並進移動
し、外力の作用線が弾性中心Sを通らない場合、可動体
1は弾性中心Sの回りに回転する。また、外力に時間変
化があるときには、外力の作用線がダンピング中心Dを
通る場合、可動体1は傾かずに外力の作用線上で並進移
動し、外力の作用線がダンピング中心Dを通らない場
合、可動体1はダンピング中心Dの回りに回転する。す
なわち、コンプライアンス機構Eの移動時における加速
度が一定である場合には、弾性中心Sを可動体1の重心
Gに一致させれば、可動体1は傾かずにコンプライアン
ス機構Eの移動方向に並進のみを行うことになる。ま
た、コンプライアンス機構Eの移動時における加速度が
変化する場合には、ダンピング中心Dを可動体1の重心
Gに一致させれば、可動体1は傾かずにコンプライアン
ス機構Eの移動方向に並進のみを行うことになる。い
ま、弾性中心Sが可動体1の重心Gに弾性中心Sが一致
している場合について考えると、コンプライアンス機構
Eが図5における右向きに移動しており、かつ、移動時
の加速度が一定であると仮定する。コンプライアンス機
構Eが加速するときには、図5(a)に示すように、可
動体1はコンプライアンス機構Eの中心線Lに対して左
に変位するが、このとき、可動体1にはモーメントが作
用しないから、比較的大きな外力が作用しても可動体1
はコンプライアンス機構Eに衝突しないのであって、モ
ーメントが作用する場合に比較すれば余裕度が大きくな
るのである。その結果、モーメントが作用する場合に比
較してコンプライアンス機構Eを高速に移動できるので
ある。同様に、コンプライアンス機構Eが減速するとき
には、図5(b)のように可動体1はコンプライアンス
機構Eの中心線Lに対して右に変位するが、モーメント
は作用しない。さらに、急に停止した場合などで可動体
1がコンプライアンス機構Eに衝突しなかったとして
も、図5(c)のように可動体1が振動することがある
が、可動体1に対して回転成分による振動は生じないか
ら、整定時間を比較的短くすることができる。
【0024】次に、コンプライアンス機構Eの電磁石2
1 ,22,23 、リニアアクチュエータ31 ,32 ,3
3 の可動コイル3bへの通電電流を制御することによっ
て、可動体1の重心を弾性中心Sに一致させる方法を説
明する。まず、可動体1がコンプライアンス機構Eに対
して静止する条件を考える。すなわち、可動体1の静的
釣合い条件は、次のような運動方程式で表すことができ
る。
1 ,22,23 、リニアアクチュエータ31 ,32 ,3
3 の可動コイル3bへの通電電流を制御することによっ
て、可動体1の重心を弾性中心Sに一致させる方法を説
明する。まず、可動体1がコンプライアンス機構Eに対
して静止する条件を考える。すなわち、可動体1の静的
釣合い条件は、次のような運動方程式で表すことができ
る。
【0025】 {f}+〔C〕{r′}+〔K〕{r}=0 … ただし、〔C〕は減衰マトリックス、〔K〕はこわさマ
トリックスであって、{r}は変位のベクトル、{f}
は可動体1に作用する外力のベクトル、{r′}は
{r}の時間微分を示している。上記運動方程式のう
ち、コンプライアンス機構Eによって制御できるのは、
減衰マトリックス〔C〕およびこわさマトリックス
〔K〕の各要素である。一方、コンプライアンス機構E
は、位置センサ41 ,42 ,43 ,44 ,45 ,46 を
備えているから、位置センサ41 ,42 ,43 ,44 ,
45 ,46 の出力を6成分のベクトルで{dx}と表す
ことにすれば、変位のベクトル{r}は、次のように表
すことができる。
トリックスであって、{r}は変位のベクトル、{f}
は可動体1に作用する外力のベクトル、{r′}は
{r}の時間微分を示している。上記運動方程式のう
ち、コンプライアンス機構Eによって制御できるのは、
減衰マトリックス〔C〕およびこわさマトリックス
〔K〕の各要素である。一方、コンプライアンス機構E
は、位置センサ41 ,42 ,43 ,44 ,45 ,46 を
備えているから、位置センサ41 ,42 ,43 ,44 ,
45 ,46 の出力を6成分のベクトルで{dx}と表す
ことにすれば、変位のベクトル{r}は、次のように表
すことができる。
【0026】 {r}=〔S〕{dx} … ただし、〔S〕はコンプライアンス機構Eの構造によっ
て決定される行列であって、位置センサ41 ,42 ,4
3 ,44 ,45 ,46 の検出値を、弾性中心Sを原点と
する座標系の座標値に変換する座標変換行列である。ま
た、電磁石21 ,22 ,23 、およびリニアアクチュエ
ータ31 ,32 ,33 により可動体1に作用する電磁力
を6成分の電磁力ベクトル{fe}で表すことにすれ
ば、次式によって電磁力ベクトル{fe}を弾性中心S
に作用する力{f}に変換することができる。
て決定される行列であって、位置センサ41 ,42 ,4
3 ,44 ,45 ,46 の検出値を、弾性中心Sを原点と
する座標系の座標値に変換する座標変換行列である。ま
た、電磁石21 ,22 ,23 、およびリニアアクチュエ
ータ31 ,32 ,33 により可動体1に作用する電磁力
を6成分の電磁力ベクトル{fe}で表すことにすれ
ば、次式によって電磁力ベクトル{fe}を弾性中心S
に作用する力{f}に変換することができる。
【0027】 {f}=〔E〕{fe} … ただし、〔E〕はコンプライアンス機構Eの構造によっ
て決定される変換行列である。電磁力ベクトル{fe}
は、電磁石21 ,22 ,23 、およびリニアアクチュエ
ータ31 ,32 ,33 の可動コイル3bへの各通電電流
を要素とする電流ベクトル{ie}を用いることによっ
て、 {fe}=〔Ac〕{ie} … と表すことができる。ここにおいて、〔Ac〕は電流か
ら力に変換する変換行列である。すなわち、電磁石
21 ,22 ,23 に関しては磁力であるから、力=定数
×電流値2 /距離2 となるが、所定の範囲内では近似的
に力≒定数×電流値+一定値とすることができ、リニア
アクチュエータ31 ,32 ,33 に関してはローレンツ
力であるから、力=定数×電流値として表すことができ
るのであって、変換行列〔Ac〕はこのような電流値か
ら力への変換を行うための行列要素を有した行列であ
る。式に式および式を代入すれば、 〔E〕{fe}+〔C〕〔S〕{dx′}+〔K〕〔S〕{dx}=0 が得られ、さらに、この式に式を代入すれば、 〔E〕〔Ac〕{ie}+〔C〕〔S〕{dx′} +〔K〕〔S〕{dx}=0 を得る。したがって、電流ベクトル{ie}は、 {ie}=−〔E〕-1〔Ac〕-1〔C〕〔S〕{dx′} −〔E〕-1〔Ac〕-1〔K〕〔S〕{dx} になる。したがって、各位置センサ41 ,42 ,43,
44 ,45 ,46 の検出値に基づいて、上式のような演
算を行って各電磁石21 ,22 ,23、およびリニアア
クチュエータ31 ,32 ,33の可動コイル3bへの電
流をフィードバック制御すれば、弾性中心およびダンピ
ング中心を重心に一致させることになり、コンプライア
ンス機構Eの移動時に、可動体1に回転力が作用せず、
コンプライアンス機構Eの移動方向に並進のみを行うこ
とになる。
て決定される変換行列である。電磁力ベクトル{fe}
は、電磁石21 ,22 ,23 、およびリニアアクチュエ
ータ31 ,32 ,33 の可動コイル3bへの各通電電流
を要素とする電流ベクトル{ie}を用いることによっ
て、 {fe}=〔Ac〕{ie} … と表すことができる。ここにおいて、〔Ac〕は電流か
ら力に変換する変換行列である。すなわち、電磁石
21 ,22 ,23 に関しては磁力であるから、力=定数
×電流値2 /距離2 となるが、所定の範囲内では近似的
に力≒定数×電流値+一定値とすることができ、リニア
アクチュエータ31 ,32 ,33 に関してはローレンツ
力であるから、力=定数×電流値として表すことができ
るのであって、変換行列〔Ac〕はこのような電流値か
ら力への変換を行うための行列要素を有した行列であ
る。式に式および式を代入すれば、 〔E〕{fe}+〔C〕〔S〕{dx′}+〔K〕〔S〕{dx}=0 が得られ、さらに、この式に式を代入すれば、 〔E〕〔Ac〕{ie}+〔C〕〔S〕{dx′} +〔K〕〔S〕{dx}=0 を得る。したがって、電流ベクトル{ie}は、 {ie}=−〔E〕-1〔Ac〕-1〔C〕〔S〕{dx′} −〔E〕-1〔Ac〕-1〔K〕〔S〕{dx} になる。したがって、各位置センサ41 ,42 ,43,
44 ,45 ,46 の検出値に基づいて、上式のような演
算を行って各電磁石21 ,22 ,23、およびリニアア
クチュエータ31 ,32 ,33の可動コイル3bへの電
流をフィードバック制御すれば、弾性中心およびダンピ
ング中心を重心に一致させることになり、コンプライア
ンス機構Eの移動時に、可動体1に回転力が作用せず、
コンプライアンス機構Eの移動方向に並進のみを行うこ
とになる。
【0028】すなわち、図6のように、位置センサ
41 ,42 ,43 ,44 ,45 ,46 の検出値{dx}
を取り込んで(ステップS1)、可動体1の傾きを変位
のベクトル{r}の成分として求め(ステップS2)、
この傾きが0に近ければ弾性中心Sが重心Gにほぼ一致
していると判断する(ステップS3)。一方、傾きが比
較的大きいときには、傾きが小さくなる向きに弾性中心
Sの位置を決定し(ステップS4)、所望の電流値を得
るのに必要なフィードバックゲインを求めて(ステップ
S5)、求めた電流値を電磁石21 ,22 ,23 および
リニアアクチュエータ31 ,32 ,33 の可動コイル3
bに与えるのである(ステップS6)。
41 ,42 ,43 ,44 ,45 ,46 の検出値{dx}
を取り込んで(ステップS1)、可動体1の傾きを変位
のベクトル{r}の成分として求め(ステップS2)、
この傾きが0に近ければ弾性中心Sが重心Gにほぼ一致
していると判断する(ステップS3)。一方、傾きが比
較的大きいときには、傾きが小さくなる向きに弾性中心
Sの位置を決定し(ステップS4)、所望の電流値を得
るのに必要なフィードバックゲインを求めて(ステップ
S5)、求めた電流値を電磁石21 ,22 ,23 および
リニアアクチュエータ31 ,32 ,33 の可動コイル3
bに与えるのである(ステップS6)。
【0029】すなわち、図7でコンプライアンス機構E
が右に移動し加速中であるとすれば、図7(a)のよう
に可動体1はコンプライアンス機構Eの中心線Lに対し
て大きな傾き角度φで傾こうとする。そこで、図7
(b)のように弾性中心Sの位置を重心Gに近づけるよ
うに、電磁石21 ,22 ,23 およびリニアアクチュエ
ータ31 ,32 ,33 の可動コイル3bへの電流を調節
して弾性中心Sを重心に近づけるようにフィードバック
制御を行えば傾き角度φが小さくなり、図7(c)のよ
うに、弾性中心Sが可動体1の重心Gに一致すれば、可
動体1はコンプライアンンス機構Eの中心線Lに対して
傾かず、コンプライアンス機構Eに作用する加速度の方
向に並進のみを行うようになるのである。ここに、本実
施例の方法では、弾性中心Sのみではなくダンピング中
心Dも重心Gに一致させているから、加速度が変化する
場合でも可動体1は傾かないものである。
が右に移動し加速中であるとすれば、図7(a)のよう
に可動体1はコンプライアンス機構Eの中心線Lに対し
て大きな傾き角度φで傾こうとする。そこで、図7
(b)のように弾性中心Sの位置を重心Gに近づけるよ
うに、電磁石21 ,22 ,23 およびリニアアクチュエ
ータ31 ,32 ,33 の可動コイル3bへの電流を調節
して弾性中心Sを重心に近づけるようにフィードバック
制御を行えば傾き角度φが小さくなり、図7(c)のよ
うに、弾性中心Sが可動体1の重心Gに一致すれば、可
動体1はコンプライアンンス機構Eの中心線Lに対して
傾かず、コンプライアンス機構Eに作用する加速度の方
向に並進のみを行うようになるのである。ここに、本実
施例の方法では、弾性中心Sのみではなくダンピング中
心Dも重心Gに一致させているから、加速度が変化する
場合でも可動体1は傾かないものである。
【0030】一方、ワークBを部品Aの孔aに挿入する
際には、図1に示すように、弾性中心SをワークBの先
端付近に位置させる。このように、弾性中心Sが重心G
から離れて位置するようにすれば、可動体1は小さい力
で容易に傾くことになるから、ワークBを孔aに追い込
むのが容易になり、結果的に挿入に要する時間が短縮さ
れることになる。
際には、図1に示すように、弾性中心SをワークBの先
端付近に位置させる。このように、弾性中心Sが重心G
から離れて位置するようにすれば、可動体1は小さい力
で容易に傾くことになるから、ワークBを孔aに追い込
むのが容易になり、結果的に挿入に要する時間が短縮さ
れることになる。
【0031】(実施例2)実施例1では、弾性中心Sと
ダンピング中心Dとをともに重心Gに一致させるように
制御していたが、本実施例では、弾性中心Sとダンピン
グ中心Dとを個別に制御する方法について説明する。す
なわち、弾性中心Sに作用する外力のベクトル{fs}
と、ダンピング中心Dに作用する外力のベクトル{f
d}との合力が、全外力{f}になると考えられるか
ら、 {f}={fs}+{fd} とし、各外力のベクトル{fs},{fd}について、
静的釣合い条件を成立させるようにする。すなわち、 〔K〕{rs}+{fs}=0 …a 〔C〕{rd′}+{fd}=0 …b が成立するように、電磁石21 ,22 ,23 およびリニ
アアクチュエータ31 ,32 ,33 の可動コイル3bへ
の電流を制御するのである。ここに、{rs}は弾性中
心Sを原点とする座標系での変位ベクトル、{rd′}
はダンピング中心Dを原点とする座標系での変位ベクト
ルの時間微分を示す。電磁力についても弾性中心Sとダ
ンピング中心Dとに対して個別に考えると、位置センサ
41 ,42 ,43 ,44 ,45 ,46 の検出値{dx}
に対して、弾性中心Sを原点とする座標系での変位ベク
トル{rs}への変換、および、ダンピング中心Dを原
点とする座標系での変位ベクトル{rd}への変換は、
次のようになる。
ダンピング中心Dとをともに重心Gに一致させるように
制御していたが、本実施例では、弾性中心Sとダンピン
グ中心Dとを個別に制御する方法について説明する。す
なわち、弾性中心Sに作用する外力のベクトル{fs}
と、ダンピング中心Dに作用する外力のベクトル{f
d}との合力が、全外力{f}になると考えられるか
ら、 {f}={fs}+{fd} とし、各外力のベクトル{fs},{fd}について、
静的釣合い条件を成立させるようにする。すなわち、 〔K〕{rs}+{fs}=0 …a 〔C〕{rd′}+{fd}=0 …b が成立するように、電磁石21 ,22 ,23 およびリニ
アアクチュエータ31 ,32 ,33 の可動コイル3bへ
の電流を制御するのである。ここに、{rs}は弾性中
心Sを原点とする座標系での変位ベクトル、{rd′}
はダンピング中心Dを原点とする座標系での変位ベクト
ルの時間微分を示す。電磁力についても弾性中心Sとダ
ンピング中心Dとに対して個別に考えると、位置センサ
41 ,42 ,43 ,44 ,45 ,46 の検出値{dx}
に対して、弾性中心Sを原点とする座標系での変位ベク
トル{rs}への変換、および、ダンピング中心Dを原
点とする座標系での変位ベクトル{rd}への変換は、
次のようになる。
【0032】 {rs}=〔Ss〕{dx} …a {rd}=〔Sd〕{dx} …b ただし、〔Ss〕,〔Sc〕はそれぞれコンプライアン
ス機構Eの構造によって決定される行列である。また、
電磁石21 ,22 ,23 、およびリニアアクチュエータ
31 ,32 ,33 により可動体1に作用する電磁力{f
e}によって弾性中心Sおよびダンピング中心Dに作用
する力{fs},{fd}は、次のように表すことがで
きる。
ス機構Eの構造によって決定される行列である。また、
電磁石21 ,22 ,23 、およびリニアアクチュエータ
31 ,32 ,33 により可動体1に作用する電磁力{f
e}によって弾性中心Sおよびダンピング中心Dに作用
する力{fs},{fd}は、次のように表すことがで
きる。
【0033】 {fs}=〔Es〕{fe} …a {fd}=〔Ed〕{fe} …b ただし、〔Es〕,〔Ed〕はコンプライアンス機構E
の構造によって決定される変換行列である。電磁力ベク
トル{fe}は、電磁石21 ,22 ,23 、およびリニ
アアクチュエータ31 ,32 ,33 の可動コイル3bへ
の各通電電流を要素とする電流ベクトル{ie}を用い
ることによって、 {fe}=〔Ac〕{ie} … と表すことができ、また、電流ベクトル{ie}は、弾
性中心Sに作用する電磁力を与える電流ベクトル{i
s}と、ダンピング中心Dに作用する電磁力を与える電
流ベクトル{id}とを用いて、 {ie}={is}+{id} … と表すことができる。ここにおいて、〔Ac〕は電流か
ら力に変換する変換行列である。a式、b式に、そ
れぞれa式、b式およびa式、b式を代入すれ
ば、 〔Es〕{fe}+〔K〕〔Ss〕{dx}=0 〔Ed〕{fe}+〔C〕〔Sd〕{dx′}=0 が得られ、さらに、これらの式に式を代入すれば、 〔Es〕〔Ac〕{is}+〔K〕〔Ss〕{dx}=0 〔Ed〕〔Ac〕{id}+〔C〕〔Sd〕{dx′}=0 を得る。したがって、電流ベクトル{is},{id}
は、 {is}=−〔Es〕-1〔Ac〕-1〔K〕〔Ss〕{dx} {id}=−〔Ed〕-1〔Ac〕-1〔C〕〔Sd〕{dx′} これらの式を式に代入すれば、 {ie}=−〔Es〕-1〔Ac〕-1〔K〕〔Ss〕{dx} −〔Ed〕-1〔Ac〕-1〔C〕〔Sd〕{dx′} が得られる。このように、各位置センサ41 ,42 ,4
3 ,44 ,45 ,46 の検出値と検出値の時間変化とに
基づいて、弾性中心Sとダンピング中心との位置を個別
に制御できるように、各電磁石21 ,22 ,23 、およ
びリニアアクチュエータ31 ,32 ,33 の可動コイル
3bへの電流をフィードバック制御することができるの
である。
の構造によって決定される変換行列である。電磁力ベク
トル{fe}は、電磁石21 ,22 ,23 、およびリニ
アアクチュエータ31 ,32 ,33 の可動コイル3bへ
の各通電電流を要素とする電流ベクトル{ie}を用い
ることによって、 {fe}=〔Ac〕{ie} … と表すことができ、また、電流ベクトル{ie}は、弾
性中心Sに作用する電磁力を与える電流ベクトル{i
s}と、ダンピング中心Dに作用する電磁力を与える電
流ベクトル{id}とを用いて、 {ie}={is}+{id} … と表すことができる。ここにおいて、〔Ac〕は電流か
ら力に変換する変換行列である。a式、b式に、そ
れぞれa式、b式およびa式、b式を代入すれ
ば、 〔Es〕{fe}+〔K〕〔Ss〕{dx}=0 〔Ed〕{fe}+〔C〕〔Sd〕{dx′}=0 が得られ、さらに、これらの式に式を代入すれば、 〔Es〕〔Ac〕{is}+〔K〕〔Ss〕{dx}=0 〔Ed〕〔Ac〕{id}+〔C〕〔Sd〕{dx′}=0 を得る。したがって、電流ベクトル{is},{id}
は、 {is}=−〔Es〕-1〔Ac〕-1〔K〕〔Ss〕{dx} {id}=−〔Ed〕-1〔Ac〕-1〔C〕〔Sd〕{dx′} これらの式を式に代入すれば、 {ie}=−〔Es〕-1〔Ac〕-1〔K〕〔Ss〕{dx} −〔Ed〕-1〔Ac〕-1〔C〕〔Sd〕{dx′} が得られる。このように、各位置センサ41 ,42 ,4
3 ,44 ,45 ,46 の検出値と検出値の時間変化とに
基づいて、弾性中心Sとダンピング中心との位置を個別
に制御できるように、各電磁石21 ,22 ,23 、およ
びリニアアクチュエータ31 ,32 ,33 の可動コイル
3bへの電流をフィードバック制御することができるの
である。
【0034】本実施例の方法は、請求項2の方法に対応
する方法であって、図4(a)のように弾性中心Sが重
心Gから離れていると、可動体1が傾きやすくワークB
を孔aに挿入しやすいのであるが、実施例1の方法では
ダンピング中心DもワークBの先端付近に位置すること
になって重心Gから離れて位置することになる。この場
合、可動体1を安定して支持するのが難しくなることが
実験によってわかった。そこで、本実施例のように弾性
中心Sとダンピング中心Dとの位置を個別に制御するこ
とによって、ワークBを孔aに挿入する際に、弾性中心
SはワークBの先端付近に位置させながらも、ダンピン
グ中心Dを可動体1の重心に位置させることができ、ワ
ークBを孔aに追い込みやすくしながらも、可動体1を
安定して支持することが可能になるのである。
する方法であって、図4(a)のように弾性中心Sが重
心Gから離れていると、可動体1が傾きやすくワークB
を孔aに挿入しやすいのであるが、実施例1の方法では
ダンピング中心DもワークBの先端付近に位置すること
になって重心Gから離れて位置することになる。この場
合、可動体1を安定して支持するのが難しくなることが
実験によってわかった。そこで、本実施例のように弾性
中心Sとダンピング中心Dとの位置を個別に制御するこ
とによって、ワークBを孔aに挿入する際に、弾性中心
SはワークBの先端付近に位置させながらも、ダンピン
グ中心Dを可動体1の重心に位置させることができ、ワ
ークBを孔aに追い込みやすくしながらも、可動体1を
安定して支持することが可能になるのである。
【0035】(実施例3)本実施例は、コンプライアン
ス機構Eの移動時に、復元力と減衰力との少なくとも一
方を、ワークBを孔aに挿入するときよりも十分に大き
く設定しているのであって、このことによって、コンプ
ライアンス機構Eの移動時に可動体1がコンプライアン
ス機構Eに対して移動しないようにしているのである。
要するに、図1の復元要素k1 ,k2 ,k3 ,k4 と減
衰要素c1 ,c2 ,c3 ,c4 の少なくとも一方を、コ
ンプライアンス機構Eの移動時にのみ十分に強くするの
である。他の構成は実施例1と同様である。
ス機構Eの移動時に、復元力と減衰力との少なくとも一
方を、ワークBを孔aに挿入するときよりも十分に大き
く設定しているのであって、このことによって、コンプ
ライアンス機構Eの移動時に可動体1がコンプライアン
ス機構Eに対して移動しないようにしているのである。
要するに、図1の復元要素k1 ,k2 ,k3 ,k4 と減
衰要素c1 ,c2 ,c3 ,c4 の少なくとも一方を、コ
ンプライアンス機構Eの移動時にのみ十分に強くするの
である。他の構成は実施例1と同様である。
【0036】
【発明の効果】請求項1の発明では、座標軸に沿う方向
の並進による変位と各座標軸の回りの回転による角変位
とのみによって可動体に作用する復元力を表すことがで
きるように設定した直交座標系の原点の位置をコンプラ
イアンス機構より可動体に作用させる復元力に関する弾
性中心とし、コンプライアンス機構が可動体に対して相
対的に移動する際に、弾性中心が可動体の重心に一致す
るようにコンプライアンス機構より可動体に作用する復
元力を調節するので、可動体に対してモーメントが作用
しないようにすることができる。すなわち、コンプライ
アンス機構が可動体に対して相対的に移動したときに、
可動体は回転移動を行わずにコンプライアンス機構の移
動方向における並進移動のみを行うことになって、回転
移動を行う場合に比較すれば、可動体がコンプライアン
ス機構に衝突しにくくなるという利点を有するのであ
る。要するに、コンプライアンス機構から可動体に作用
させる復元力について弾性中心を設定し、電磁石による
磁力を制御することによって弾性中心の位置を調節し、
この弾性中心の位置を可動体の重心に一致させるから、
可動体に外力が作用しても可動体にモーメントが発生せ
ず、可動体が回転しないのである。その結果、可動体が
コンプライアンス機構に衝突しない範囲で、コンプライ
アンス機構を従来よりも高速で移動させることができ、
自動組立装置などに用いる場合には、組立時間を短縮す
ることが可能になる。また、可動体に回転力が作用しな
いから、急停止時などにおける振動も比較的はやく減衰
させることができ、整定時間が短縮できるのである。ま
た、ワークの挿入時には弾性中心をワークの先端部付近
に位置させているから、重心まわりに小さな力が作用す
るだけで可動体が傾くのであって、ワークを所望の孔に
容易に追い込むことができるという効果を奏するのであ
る。
の並進による変位と各座標軸の回りの回転による角変位
とのみによって可動体に作用する復元力を表すことがで
きるように設定した直交座標系の原点の位置をコンプラ
イアンス機構より可動体に作用させる復元力に関する弾
性中心とし、コンプライアンス機構が可動体に対して相
対的に移動する際に、弾性中心が可動体の重心に一致す
るようにコンプライアンス機構より可動体に作用する復
元力を調節するので、可動体に対してモーメントが作用
しないようにすることができる。すなわち、コンプライ
アンス機構が可動体に対して相対的に移動したときに、
可動体は回転移動を行わずにコンプライアンス機構の移
動方向における並進移動のみを行うことになって、回転
移動を行う場合に比較すれば、可動体がコンプライアン
ス機構に衝突しにくくなるという利点を有するのであ
る。要するに、コンプライアンス機構から可動体に作用
させる復元力について弾性中心を設定し、電磁石による
磁力を制御することによって弾性中心の位置を調節し、
この弾性中心の位置を可動体の重心に一致させるから、
可動体に外力が作用しても可動体にモーメントが発生せ
ず、可動体が回転しないのである。その結果、可動体が
コンプライアンス機構に衝突しない範囲で、コンプライ
アンス機構を従来よりも高速で移動させることができ、
自動組立装置などに用いる場合には、組立時間を短縮す
ることが可能になる。また、可動体に回転力が作用しな
いから、急停止時などにおける振動も比較的はやく減衰
させることができ、整定時間が短縮できるのである。ま
た、ワークの挿入時には弾性中心をワークの先端部付近
に位置させているから、重心まわりに小さな力が作用す
るだけで可動体が傾くのであって、ワークを所望の孔に
容易に追い込むことができるという効果を奏するのであ
る。
【0037】請求項2の発明は、ワークを所定の孔に挿
入する際に、ダンピング中心が可動体の重心に一致する
ようにコンプライアンス機構より可動体に作用する減衰
力を調節するのであって、ワークを所定の孔に挿入する
際に、弾性中心が可動体の重心から離れて位置させたこ
とによって可動体の支持が不安定になりやすいのに対し
て、ダンピング中心を可動体の重心に一致させることに
よって可動体の支持の安定性を向上させることができる
という効果がある。すなわち、ワークを孔に挿入しやす
いと同時に、可動体を安定して支持できるのである。
入する際に、ダンピング中心が可動体の重心に一致する
ようにコンプライアンス機構より可動体に作用する減衰
力を調節するのであって、ワークを所定の孔に挿入する
際に、弾性中心が可動体の重心から離れて位置させたこ
とによって可動体の支持が不安定になりやすいのに対し
て、ダンピング中心を可動体の重心に一致させることに
よって可動体の支持の安定性を向上させることができる
という効果がある。すなわち、ワークを孔に挿入しやす
いと同時に、可動体を安定して支持できるのである。
【0038】請求項3の発明は、コンプライアンス機構
の移動時に、可動体がコンプライアンス機構に対して移
動しない程度に、復元力と減衰力との少なくとも一方を
強く設定するので、コンプライアンス機構の移動中に可
動体がコンプライアンス機構に移動することが防止さ
れ、結果的にコンプライアンス機構を高速に移動させる
ことができるという利点がある。
の移動時に、可動体がコンプライアンス機構に対して移
動しない程度に、復元力と減衰力との少なくとも一方を
強く設定するので、コンプライアンス機構の移動中に可
動体がコンプライアンス機構に移動することが防止さ
れ、結果的にコンプライアンス機構を高速に移動させる
ことができるという利点がある。
【図1】実施例を示し、(a)は概略構成図、(b)は
弾性中心の概念、(c)はダンピング中心の概念を説明
する図である。
弾性中心の概念、(c)はダンピング中心の概念を説明
する図である。
【図2】実施例における可動体の変位と復元力との関係
を示し、(a)は並進、(b)は回転に対応する変位に
関する説明図である。
を示し、(a)は並進、(b)は回転に対応する変位に
関する説明図である。
【図3】実施例における可動体の変位と減衰力との関係
を示し、(a)は並進、(b)は回転に対応する変位に
関する説明図である。
を示し、(a)は並進、(b)は回転に対応する変位に
関する説明図である。
【図4】実施例における重心とダンピング中心との関係
を示す説明図である。
を示す説明図である。
【図5】本発明の方法を採用した場合の可動体の移動状
態を示す説明図である。
態を示す説明図である。
【図6】本発明の動作説明図である。
【図7】本発明の動作の概念を説明する図である。
【図8】実施例に用いるコンプライアンス機構の概略構
成図である。
成図である。
【図9】実施例に用いるコンプライアンス機構の要部の
斜視図である。
斜視図である。
【図10】実施例に用いるコンプライアンス機構の一部
の分解平面図である。
の分解平面図である。
【図11】図10におけるIV−IV線断面図である。
【図12】実施例に用いるリニアアクチュエータの平面
図である。
図である。
【図13】実施例に用いるリニアアクチュエータの正面
図である。
図である。
【図14】本発明に係るコンプライアンス機構の概略構
成を示し、(a)は一部破断した斜視図、(b)は断面
図である。
成を示し、(a)は一部破断した斜視図、(b)は断面
図である。
【図15】従来例の問題点を示す動作説明図である。
1 可動体 21 電磁石 22 電磁石 23 電磁石 31 リニアアクチュエータ 32 リニアアクチュエータ 33 リニアアクチュエータ 41 位置センサ 42 位置センサ 43 位置センサ 44 位置センサ 45 位置センサ 46 位置センサ c1 減衰要素 c2 減衰要素 c3 減衰要素 c4 減衰要素 D ダンピング中心 E コンプライアンス装置 G 重心 k1 復元要素 k2 復元要素 k3 復元要素 k4 復元要素 S 弾性中心
Claims (3)
- 【請求項1】 電磁石の磁力によって可動体を非接触で
支持するコンプライアンス機構を用い、可動体に設けた
チャックによって把持したワークを所定の孔に挿入でき
るように、電磁石の磁力の制御によりコンプライアンス
機構より可動体に作用させる復元力および減衰力を調節
することによって可動体の姿勢を制御するコンプライア
ンス機構を用いたワークの挿入方法において、座標軸に
沿う方向の並進による変位と各座標軸の回りの回転によ
る角変位とのみによって可動体に作用する復元力を表す
ことができるように設定した直交座標系の原点の位置を
コンプライアンス機構より可動体に作用させる復元力に
関する弾性中心とし、コンプライアンス機構が可動体に
対して相対的に移動する際に、弾性中心が可動体の重心
に一致するようにコンプライアンス機構より可動体に作
用する復元力を調節し、ワークを所定の孔に挿入する際
に、弾性中心をワークの先端付近に位置させることを特
徴とするコンプライアンス機構を用いたワークの挿入方
法。 - 【請求項2】 座標軸に沿う方向の並進による変位と各
座標軸の回りの回転による角変位とのみによって可動体
に作用する減衰力を表すことができるように設定した直
交座標系の原点の位置をコンプライアンス機構より可動
体に作用させる減衰力に関するダンピング中心とし、ワ
ークを所定の孔に挿入する際に、ダンピング中心が可動
体の重心に一致するようにコンプライアンス機構より可
動体に作用する減衰力を調節することを特徴とする請求
項1記載のコンプライアンス機構を用いたワークの挿入
方法。 - 【請求項3】 電磁石の磁力によって可動体を非接触で
支持するコンプライアンス機構を用い、可動体に設けた
チャックによって把持したワークを所定の孔に挿入でき
るように、電磁石の磁力の制御によりコンプライアンス
機構より可動体に作用させる復元力および減衰力を調節
することによって可動体の姿勢を制御するコンプライア
ンス機構を用いたワークの挿入方法において、コンプラ
イアンス機構が可動体に対して相対的に移動する際に、
コンプライアンス機構より可動体に作用する復元力と減
衰力との少なくとも一方を、可動体がコンプライアンス
機構に対して移動しない程度の強さに設定することを特
徴とするコンプライアンス機構を用いたワークの挿入方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03281733A JP3078898B2 (ja) | 1991-10-28 | 1991-10-28 | コンプライアンス機構を用いたワークの挿入方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03281733A JP3078898B2 (ja) | 1991-10-28 | 1991-10-28 | コンプライアンス機構を用いたワークの挿入方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05116089A JPH05116089A (ja) | 1993-05-14 |
JP3078898B2 true JP3078898B2 (ja) | 2000-08-21 |
Family
ID=17643230
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03281733A Expired - Fee Related JP3078898B2 (ja) | 1991-10-28 | 1991-10-28 | コンプライアンス機構を用いたワークの挿入方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3078898B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10286556B2 (en) * | 2016-10-16 | 2019-05-14 | The Boeing Company | Method and apparatus for compliant robotic end-effector |
-
1991
- 1991-10-28 JP JP03281733A patent/JP3078898B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05116089A (ja) | 1993-05-14 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
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