JP3072937B2 - レンチキュラーレンズシート - Google Patents

レンチキュラーレンズシート

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JP3072937B2
JP3072937B2 JP04114099A JP11409992A JP3072937B2 JP 3072937 B2 JP3072937 B2 JP 3072937B2 JP 04114099 A JP04114099 A JP 04114099A JP 11409992 A JP11409992 A JP 11409992A JP 3072937 B2 JP3072937 B2 JP 3072937B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、背面側より映像をスク
リーンに投影し、そのスクリーンを透過した映像を手前
側から観察する、いわゆる透過型プロジェクションテレ
ビジョン(以下テレビジョンをTVと略記する)に用い
られる透過型スクリーン用レンチキュラーレンズシート
に関し、特に従来のものより、外光照明がある状態でも
より明るくコントラスト感のよい映像を提供できるレン
チキュラーレンズシートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、透過型プロジェクションTVに用
いられる透過型スクリーンには、視野角度を水平および
垂直に拡大するために、レンチキュラーレンズシートが
用いられている。
【0003】図3に示すように、透過型プロジェクショ
ンTVにおいては、一般に赤色、緑色、青色の3本のブ
ラウン管(CRT)9,10,11を横一列に並べて、
各CRT上の画面を投影拡大レンズ12,13,14で
拡大し、フレネルレンズ15及びレンチキュラーレンズ
16より成るスクリーン17上で結像合成する構成がと
られている。
【0004】この構成では、スクリーン中心と各投影レ
ンズ中心とを結ぶ直線のなす角度(図3中ではεとして
いる)は、通常8°以上となっており、各色の光線のス
クリーン17への入射角度は異なっている。このため、
スクリーン17を観察する位置により色調が変化した
り、スクリーン上の位置により色調が異なるというプロ
ジェクションTV特有の問題がある。前者の色調変化を
カラーシフト、後者の色調ずれが大きいことをホワイト
・ユニホーミティが悪いと読んでいる。
【0005】カラーシフト、ホワイト・ユニホーミティ
のレベルを向上させるために、従来は、図4に示したよ
うに、入射面側にシリンドリカルレンズからなる入射側
レンズ18を形成し、出射面側にもシリンドリカルレン
ズからなる出射側レンズ19を形成し、さらに出射側面
の光の非集光部に光吸収層20を形成した両面レンチキ
ュラーレンズ16が用いられ、それらの形状及び、配置
に関してさまざまな提案がなされている。
【0006】また、一般的にレンチキュラーレンズシー
ト全体に、均一に光拡散性微粒子(以下単に微粒子とい
う)を分散し、水平方向の視野角はおもにレンチキュラ
ーレンズで、垂直方向の視野角は、微粒子の拡散性によ
り確保することがなされている。更に、フレネルレンズ
の同心円模様とレンチキュラーレンズの縦縞模様とで発
生するモアレを低減させるために、出射レンズ面表面に
微細な凹凸を設けることが一般的である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
レンチキュラーレンズシートは、映像をより明るく、よ
りコントラストの高いものに改良する上で次のような課
題がある。
【0008】第1に、レンチキュラーレンズ18に入射
した光は、出射レンズ19表面に達する前に、拡散性微
粒子により拡散されるために、その一部はレンズ表面に
達せず、光吸収層20に達してしまうために、光利用効
率が悪い。
【0009】第2に、レンチキュラーレンズの入射表
面、出射表面での界面反射があるため、約8%以上の反
射ロスがあり、やはり光利用効率を低下させている。
【0010】第3に、レンチキュラーレンズの出射表面
の反射は約4%以上あるため、外光照明がある環境下で
は外光がレンチキュラーレンズ表面で反射し、観察者の
目に達するため、コントラストを悪化させている。特
に、出射レンズ表面に微細な凹凸を形成している場合に
は、レンズ表面の反射が拡散反射となるため、あらゆる
方向からの外光の反射光が観察者の目に達し、よりコト
ンラスト感の悪い映像となる。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は、次の本発明
により達成することができる。すなわち、本発明のレン
チキュラーレンズシートは、複数の入射側レンズを有す
る入射側レンズ層と、入射側レンズによる光集光点また
はその近傍にレンズ面が形成された複数の出射側レンズ
を有する出射側レンズ層とを有し、該入射側レンズ層と
出射側レンズ層とが実質的に透明な熱可塑性樹脂から形
成され、さらに少なくとも出射側レンズ層には光拡散性
微粒子が含有され、次式(I)および(II)
【数3】
【数4】 (式中、t1 は入射側レンズ層の厚さ、t2 は出射側レ
ンズ層の厚さ、Δn1は入射側レンズ層における熱可塑
性樹脂と光拡散性微粒子との屈折率の差、Δn2 は出射
側レンズ層における熱可塑性樹脂と光拡散性微粒子との
屈折率の差、c1 は入射側レンズ層における拡散性微粒
子の重量濃度、c2 は出射側レンズ層における拡散性微
粒子の重量濃度、ρ1 は入射側レンズ層における拡散性
微粒子の比重、ρ2 は出射側レンズ層における拡散性微
粒子の比重、d1 は入射側レンズ層中の拡散性微粒子の
平均粒径、d2 は出射側レンズ層中の拡散性微粒子の平
均粒径を表す。)を満足する両面レンチキュラーレンズ
シートにおいて、光の出射側、入射側の少なくとも一方
に、該レンチキュラーレンズシートを形成する透明熱可
塑性樹脂よりも小さい屈折率を有する高分子化合物より
なる薄膜が成形したことを特徴とする。ここで、Δn・
c/ρdは光拡散性粒子による光の拡散性の程度を表し
ている。
【0012】本発明を図面を参照しながら説明する。図
1は本発明のレンチキュラーレンズシートの断面拡大図
を示す。同図に示したように、この発明のレンチキュラ
ーレンズシートは、光の入射側に入射レンズ層1を有
し、光の出射側に出射側レンズ層2を有する画面レンチ
キュラーレンズとなっている。この入射側レンズ層1に
は複数のシリンドリカルレンズからなる入射側レンズ1
Aが形成されており、また、出射側レンズ層2には、入
射側レンズ層1の各入射側レンズの光集光部またはその
近傍にレンズ面を有する、シリンドリカルレンズからな
る出射側レンズ2Aが形成されている。また、出射側レ
ンズ層2の光の非集光部には光吸収層3が形成されてい
る。このような入射側レンズ層1および出射側レンズ層
2は実質的に透明な熱可塑性樹脂から形成されるが、少
なくとも出射側レンズ層2には光拡散性微粒子が含有さ
れ、入射側レンズ層1にも必要に応じて光拡散性微粒子
が含有できる。この場合、各層の微粒子は単一の種類で
ある必要はなく、いずれかの物性値の異なる2種類以上
の微粒子を混合しても良い。また、2つの層の透明熱可
塑性樹脂は屈折率の異なるものを使用しても良い。さら
に、この発明のレンチキュラーレンズシートは、出射側
レンズ層2上あるいは、出射側レンズ層2上と入射側レ
ンズ層1上に上記熱可塑性樹脂よりも屈折率が0.05
以上小さい高分子化合物よりなる薄膜が形成されてい
る。屈折率の差が0.05未満であると、目的とする効
果がわずかであることを確認している。尚、図1におい
ては、屈折率の低い薄膜4Aの下に光吸収層3が形成さ
れているが、光吸収層3を屈折率の低い薄膜4Aの上に
形成しても光学特性の差が実質的にはないため、製造上
の容易性あるいは薄膜4Aや光吸収層3の密着性を考慮
して決定される。
【0013】本発明のレンチキュラーレンズシートは、
このようにΔn・c/ρdで表される光拡散性粒子によ
る光拡散性を式(II)に示したように、入射側レンズ層
1に比べて出射側レンズ層2で強化し、式(I)に示し
たように、出射側レンズ層2の厚さを入射側レンズ層1
に比べて薄くしていることを特徴としている。出射側レ
ンズ層2の光拡散性を入射側レンズ層1に比べて強化す
るに際しては、出射側レンズ層2の厚さt2 を、40μ
m <t2 <500μm とすることが好ましく、さらに
は、製造上あるいはスクリーンとしての特性上の問題が
ない限り、各層の厚みの差及び光拡散性の差は大きい方
が望ましい。第1層の光拡散性はゼロとなっても良い。
【0014】このように、本発明のレンチキュラーレン
ズシートは、光拡散性微粒子が出射レンズ面の表面近く
に集中しているため、光吸収層側に達する光は少なく、
光利用効率が高い。また、レンチキュラーレンズシート
表面に屈折率の低い高分子化合物よりなる薄膜を形成し
ているために、界面反射を低減し、より明るく、コント
ラストの良い映像を達成することができる。更に、本発
明のレンチキュラーレンズシートは、上述のモアレを低
減させるために、出射レンズ面表面に微細な凹凸を形成
する必要がないため、コントラストの悪化が少ない。
【0015】レンチキュラーレンズ表面に形成する屈折
率の低い高分子化合物としては、ポリ−1,1−ジヒド
ロパーフルオロヘキシルアクリレート、ポリ−1,1−
ジヒドロパーフルオロブチルアクリレート、ポリトリフ
ルオロイソプロピルメタクリレート、ポリビニルイソブ
チルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、セルロース
アセテートブチレート、セルロースアセテート、ポリブ
チルアクリレート、ポリ−tert.−ブチルメタクリ
レート、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチルアセテ
ート、ポリビニルアセテート、ポリ2−トリフルオロメ
チルプロピルアクリレート、ポリ2−トリフルオロメチ
ルプロピルメタクリレート、ポリ−1,1−ジヒドロパ
ーフルオロプロピルアクリレート、ポリ−1,1−ジヒ
ドロパーフルオロプロピルメタクリレート、ポリ−1,
1−ジヒドロパーフルオロペンチルアクリレート、ポリ
−1,1−ジヒドロパーフルオロペンチルメタクリレー
ト、ポリ−1,1−ジヒドロパーフルオロヘプチルアク
リレート、ポリ−1,1−ジヒドロパーフルオロヘプチ
ルメタクリレート、有機ケイ素化合物などがあり、特に
フッ素系高分子化合物は屈折率が低いため、界面反射を
より低減させるために有効である。
【0016】薄膜の厚みは、光の干渉効果が期待できる
1μm 以下であることが望ましく、特にλ/4n(λ:
光の波長、n:薄膜を形成する高分子化合物の屈折率)
にすることにより波長λの光の透過率を高めることがで
きる。プロジェクションTVに用いる3色のブラウン管
の中で、青色のブラウン管は発光する輝度が相対的に小
さいため、それを補うため、上記の波長λを400〜5
00nmとすることにより、赤、緑、青の光の強度のバラ
ンスをとることも可能である。
【0017】更なるコントラスト向上のため、出射レン
ズ層を形成する透明熱可塑性樹脂あるいは光拡散性微粒
子に可視光線を吸収する材料を添加してもよい。
【0018】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明する。図1に示した構造のレンチキュラーレンズシ
ートを製造した。この場合、レンチキュラーレンズシー
トのピッチ(p)を0.6mm、t(全体の厚み)=0.
95mm、t1 (入射側レンズ層の厚み)=0.8mm、t
m (出射側レンズ層の厚み)=0.15mmとした。出射
側レンズ層2の熱可塑性樹脂としてはポリメチルメタク
リレートを使用し、それに含有させる光拡散性微粒子と
して粒径ds =17μm 、熱可塑性樹脂と光拡散性微粒
子との屈折率の差Δns =0.07の有機系の微粒子を
m =15.0重量%を用いた。
【0019】レンズ形状は、前式(III)において入射側
では主曲率C=3.2、円錐定数K=−0.45、出射
側では主曲率C=−2.9、円錐定数K=3.5とし
た。
【0020】このようなレンチキュラーレンズシートを
製造するためには、図2のような押出成形機を用い共押
出成形法により製造した。即ち、この押出成形機は入射
側レンズ層1を押出すためのメイン押出機4と出射側レ
ンズ層2を押出すためのサブ押出機5とから成り、両方
の押出機より2層の樹脂シート6を押出し、あらかじめ
レンチキュラーレンズシートの形状が刻まれている一対
の金型ロール7,8の間に流し込み成形を行った。押出
成形機の押出量を調整することにより二つの層の厚みを
制御した。
【0021】また、このように押出成形したシートに対
して、光吸収層を常法により印刷した。
【0022】更に、低屈折率高分子化合物として、旭硝
子株式会社製透明フッ素系樹脂(CYTOP)(商標)
を溶剤に溶かした溶液中にレンチキュラーレンズシート
を浸漬して引き上げ、乾燥させることにより、屈折率
1.34の低屈折率の透明薄膜を入出射面表面に形成し
た。その膜厚は約0.11μm とした。
【0023】このようにして製造したレンチキュラーレ
ンズシートは、同等の水平、垂直光拡散性を有する従来
のレンチキュラーレンズシートと比べて、中心輝度が1
0%向上、約350ルクスの外光照明の下でのコントラ
ストが40%向上した。
【0024】本実施例においては、ブラックストライプ
を印刷した後に、薄膜を形成しているが、逆に薄膜を形
成した後にブラックストライプを印刷しても、光学的性
能上の差はほとんど見られなかった。
【0025】
【発明の効果】本発明のレンチキュラーレンズシートに
よれば、従来よりも、より明るく、外光照明下でもコン
トラストの向上した映像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレンチキュラーレンズシートの断面構
成図である。
【図2】本発明のレンチキュラーレンズシートを製造す
る装置を示す概略図である。
【図3】プロジェクションTVの構成図である。
【図4】従来のレンチキュラーレンズシートの断面構成
図である。
【符号の説明】
1 入射側レンズ層 2 出射側レンズ層 3 光吸収層 4 低屈折率薄膜

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の入射側レンズを有する入射側レン
    ズ層と、入射側レンズによる光集光点またはその近傍に
    レンズ面が形成された複数の出射側レンズを有する出射
    側レンズ層とを有し、該入射側レンズ層と出射側レンズ
    層とが実質的に透明な熱可塑性樹脂から形成され、さら
    に少なくとも出射側レンズ層には光拡散性微粒子が含有
    され、次式(I)および(II) 【数1】 【数2】 (式中、t1 は入射側レンズ層の厚さ、t2 は出射側レ
    ンズ層の厚さ、Δn1は入射側レンズ層における熱可塑
    性樹脂と光拡散性微粒子との屈折率の差、Δn2 は出射
    側レンズ層における熱可塑性樹脂と光拡散性微粒子との
    屈折率の差、c1 は入射側レンズ層における拡散性微粒
    子の重量濃度、c2 は出射側レンズ層における拡散性微
    粒子の重量濃度、ρ1 は入射側レンズ層における拡散性
    微粒子の比重、ρ2 は出射側レンズ層における拡散性微
    粒子の比重、d1 は入射側レンズ層中の拡散性微粒子の
    平均粒径、d2 は出射側レンズ層中の拡散性微粒子の平
    均粒径を表す。)を満足する両面レンチキュラーレンズ
    シートにおいて、光の出射側、入射側の少なくとも一方
    に、該レンチキュラーレンズシートを形成する透明熱可
    塑性樹脂よりも小さい屈折率を有し、屈折率の差が0.
    05以上である高分子化合物よりなる薄膜が形成されて
    いることを特徴とするレンチキュラーレンズシート。
  2. 【請求項2】 レンチキュラーレンズシートを形成する
    出射側レンズ層の光拡散微粒子、熱可塑性樹脂の少なく
    とも一方に可視光線を吸収する材料を含むことを特徴と
    する請求項1記載のレンチキュラーレンズシート。
  3. 【請求項3】 レンチキュラーレンズシートを形成する
    透明熱可塑性樹脂よりも小さい屈折率を有する薄膜がフ
    ッ素系樹脂化合物よりなる、請求項1あるいは2記載の
    レンチキュラーレンズシート。
  4. 【請求項4】 分光透過率スペクトルのピークを示す波
    長が400〜500nmの範囲となるように、レンチキュ
    ラーレンズシート表面に形成された薄膜の厚みを制御す
    る、請求項1〜3記載のレンチキュラーレンズシート。
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