JP3071228B2 - チャック用回転流体圧力シリンダ装置 - Google Patents

チャック用回転流体圧力シリンダ装置

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JP3071228B2
JP3071228B2 JP3040988A JP4098891A JP3071228B2 JP 3071228 B2 JP3071228 B2 JP 3071228B2 JP 3040988 A JP3040988 A JP 3040988A JP 4098891 A JP4098891 A JP 4098891A JP 3071228 B2 JP3071228 B2 JP 3071228B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、旋盤等に於て工作物を
把持して回転するチャックを流体圧力によって締付駆動
する回転流体圧力シリンダ装置に関し、詳しくは、チャ
ックによる締付力を可変とするものに関する。
【0002】
【従来の技術】工作機械による切削加工では、加工時間
を短縮して能率を向上させる為、まず大きな切削代で荒
加工を行ない、次いで小さな切削代で仕上加工を行なう
という加工工程が採られる。工作物を回転駆動されるチ
ャックに把持して切削加工を行なう旋盤では、チャック
による工作物の把持は、荒加工等重切削の際には大きな
締付力を必要とする一方、仕上加工の際にも重切削の際
と同じ締付力のままでは該締付力に起因する工作物の変
形で加工精度に狂いを生じる虞がある為、仕上加工時に
は荒加工時より締付力を小さく変更する必要がある。
【0003】この荒加工から仕上加工に移行する際の締
付力変更は、作業効率上工作物をチャックに把持したま
まの状態でしかも回転中に行なえることが望ましく、こ
のようなチャックの締付力変更を可能とするものとし
て、本出願人は先に特開昭62−228307号に示す
構成を提案した。これは、作動流体として例えば油を利
用し、その圧力(油圧)によってチャックを把持駆動す
ると共に、作用油圧を変化させることでその締付力を可
変として構成したものである。
【0004】その一例の概念構成を図13に示す。図示
構成は、ポンプPからの高圧の作動油が、高圧と低圧の
異なる出口油圧に設定された高圧減圧弁2A及び低圧減
圧弁2Bと、該減圧弁2A,2Bからの油圧を択一的に
出力するよう切換える高低圧切換弁2Cと、を備えた変
圧機構2に供給され、該変圧機構2からの圧油をチャッ
ク開閉切換弁3が、シリンダ4のピストンPSによって
隔絶される左右何れかのシリンダ室4A,4B(把持側
シリンダ室4A,解除側シリンダ室4B)に油路6A,
6B(把持側油路6A,解除側油路6B)を介して選択
的に供給し得るようになっており、又、ピストンPSは
ロッドRを介してチャックCに連結されて、該ピストン
PSの図中左側への移動によってチャックCが工作物W
の外径を把持する側に駆動されるようになっているもの
である。
【0005】シリンダ4は、回転可能に構成されてお
り、チャック開閉切換弁3からシリンダ室4A,4Bに
至る油路6A,6Bは、その途中で回転継手5を介して
接続され、該回転継手よりシリンダ4側の油路6A,6
Bには、夫々、圧力保持機構7(把持側圧力保持機構7
A,解除側圧力保持機構7B)と、圧力開放機構8(把
持側圧力開放機構8A,解除側圧力開放機構8B)がシ
リンダ4に一体に設けられている。これら把持側及び解
除側の油路構成は全く同様に構成されており、以下特に
区別せずに説明するが、図中符号の末尾にAを付したも
のが把持側、Bを付したものが解除側を示している。
【0006】圧力保持機構7は、回転継手5よりシリン
ダ4側の油路6に逆止弁71を油圧供給側を一次側とし
て介設すると共に、該逆止弁71と対向させてそのポペ
ット弁を押圧して開放操作可能なプランジャ72を設け
て構成されており、該プランジャ72を逆止弁71開放
操作側に駆動する油圧室はパイロット通路71Pによっ
て他方側の圧力保持機構7よりシリンダ4側の油路6に
接続されている。又、圧力開放機構8は、圧力保持機構
7の逆止弁71を挟む油路6の上流側と下流側(油圧供
給側とシリンダ4側)とを連通させるバイパス通路71
Bに、油圧供給側を一次側として逆止弁81を介設する
と共に、該逆止弁81と対向させてそのポペット弁を押
圧して開放操作可能なプランジャ82を設けて構成さ
れ、該プランジャ82を逆止弁81開放操作側に駆動す
る油圧室には、ポンプPからの油圧がパイロット用切換
弁9を介して供給乃至供給停止されるようになってい
る。
【0007】上記の如き構成により、変圧機構2からの
圧油をチャック開閉切換弁3により油路6A,6Bの何
れかを介してシリンダ室4A,4Bの何れかに供給する
と共に他方のシリンダ室4A,4B内の油を排出させる
ことにより、シリンダ室4A,4Bに供給される油圧に
応じた締付力でチャックCが工作物Wの外径を把持す
る。即ち、図示状態は、変圧機構2の高低圧切換弁2C
は低圧減圧弁2B側に切換えられると共に、チャック開
閉切換弁3は変圧機構2からの油圧を開放側シリンダ室
4Bに至る開放側油路6Bに供給する側に切換えられて
おり、解除側圧力保持機構7Bの逆止弁71を介して開
放側シリンダ室4Bに圧油が供給され、又、該開放側油
路6Bの圧力がパイロット通路71Pを介して把持側圧
力保持機構7Aのプランジャ72に作用し、該プランジ
ャ72を移動駆動して逆止弁71を開放させて把持側シ
リンダ室4A内の油は把持側油路6Aを介して排出可能
になっており、この時、チャックCは開いている。
【0008】この状態から、荒加工の際に適用される工
作物Wを大きな締付力で把持するには、変圧機構2の高
低圧切換弁2Cを高圧減圧弁2A側に切換えると共にチ
ャック開閉切換弁3を変圧機構2からの圧油を把持側油
路6Aに供給するよう切換え、変圧機構2からの高圧油
を把持側油路6Aに供給すると、圧油は把持側圧力保持
機構7Aの逆止弁71を介して把持側シリンダ室4Aに
流入し、この把持側油路6A内の油圧がパイロット通路
71Pを介して解除側圧力保持機構7Bのプランジャ7
2に作用して逆止弁71を開放させる。その結果、把持
側シリンダ室4A内に圧油が供給されると共に解除側シ
リンダ室4B内の油は解除側油路6Bを介して排出さ
れ、ピストンPSは図中左側に移動駆動されてチャック
Cを把持駆動する。把持側圧力保持機構7Aのプランジ
ャ72は解除側油路6Bの圧力低下によって逆止弁71
を開放操作しない位置に退避するが、逆止弁71は把持
側シリンダ室4Aに圧油が流入している間はその圧力差
によって開放状態にあり、その上流と下流側(チャック
開閉切換弁3側とシリンダ4側)の圧力が変圧機構2か
らの出力油圧で一定となって把持側シリンダ室4Aへの
圧油の流入が停止した段階で閉止状態となる。この時、
チャックCは変圧機構2からの出力油圧(高圧減圧弁2
Aの出口圧)に応じた締付力即ち荒加工の際に適用され
る大きな締付力で工作物Wを把持する。
【0009】この大きな締付力で工作物Wを把持した状
態での荒加工が終了した後、仕上加工に移行する際に
は、変圧機構2の高低圧切換弁2Cを低圧を出力する低
圧減圧弁2B側に切換えると共に、パイロット用切換弁
9を切換えて把持側油路6A及び解除側油路6Bの両方
の圧力開放機構8(把持側圧力開放機構8A,解除側圧
力開放機構8B)のプランジャ82,82を移動駆動し
て逆止弁81,81を開放させる。その結果、シリンダ
室4A内の油圧は低圧減圧弁2B側の出口油圧に低下
し、チャックCによる工作物Wを把持する締付力は変圧
機構2からの圧力(低圧減圧弁2Bの出口圧)に応じた
仕上加工用の小さな締付力に変更されるものである。
【0010】
【従来技術の課題】上記の如き従来構成では、荒加工工
程から仕上加工工程に移行する際の締付力変更時に、例
えば停電等によって圧油の供給が停止した場合、把持側
油路6Aを介しての油圧の供給が停止することとなって
把持側シリンダ室4A内の圧油は把持側圧力開放機構8
Aの逆止弁81を介して供給側に逃げる状態となる。こ
れは、把持側圧力開放機構8Aのプランジャ82の作動
油圧低下によって逆止弁81がプランジャ82を押し戻
しつつ閉塞状態となることによって阻止されるが、この
圧力供給停止から逆止弁81が閉塞に至る迄に要する時
間は逆止弁81の復帰スプリングの付勢力に依存し、強
い程迅速に閉塞状態とすることができる。しかし、この
逆止弁81の復帰スプリングの付勢力はプランジャ82
による押圧操作力との関係で設定されるものであって無
闇に強くすることはできず、圧力供給停止から逆止弁8
1閉塞迄にタイムラグが生ずることは避けられない。更
に、油路6Aには、把持側シリンダ室4Aからの圧油の
逃げを規制するものは何ら備えられていないものであっ
た。
【0011】その結果、締付力変更中に圧油の供給が停
止されると、この油圧供給停止から逆止弁81が閉塞さ
れる迄のタイムラグの間にシリンダ室4A内の圧油が逆
止弁81を介して逃げ、チャックCによる工作物Wを把
持する締付力が低下してしまうという問題がある。更
に、チャックCが高速回転中である場合には、逆止弁8
1及びプランジャ82は作用する遠心力によってその移
動抵抗が増加し、逆止弁81閉鎖に至るタイムラグが一
層増大する。つまり、締付力変更中に油圧の供給が停止
されるような事態が生ずると、チャックCによる工作物
Wを把持する締付力が低下して保持が不安定となる虞が
あり、安全性確保の為にはチャックCの回転を停止して
締付力変更を行なわなければならず、これが効率向上の
障害となっていた。尚、前記圧力開放機構8を逆止弁8
1のみとすると共に該逆止弁81を油圧供給側の圧力が
シリンダ4側より所定量低圧となった時バイパス通路7
1Bを閉ざす圧力バランスとして設定し、変圧機構2か
ら常時所定の油圧を供給し油圧供給側とシリンダ4側の
圧力が等しい時には常時開放する構成も考えられるが、
その場合も油圧供給停止から逆止弁81が閉塞される迄
のタイムラグの間にシリンダ室4A内の圧油が逆止弁8
1を介して逃げてチャックCによる工作物Wを把持する
締付力が低下するという問題は前述の場合と同様であ
り、更にこの構成では締付力変更時のみでなく工作物把
持作用中常にその危険を有するものである。
【0012】
【発明の目的】本発明は、上記の如き事情に鑑み、流体
圧供給側の圧力を低下させることによってシリンダ側の
圧力を所定低圧に低下させてチャックによる工作物把持
締付力を小さく変化させることができると共に、油圧の
供給が停止して流体圧供給側の圧力が低下した場合には
逆止弁を迅速に閉塞させることによってシリンダからの
圧油の流出を防いでチャックの把持締付力を維持するこ
とができ、チャックの回転中でも締付力変更を安全に行
なえ、作業効率の向上に寄与できるチャック用回転流体
圧力シリンダ装置の提供、を目的とする。
【0013】
【発明の構成】このため、本発明に係るチャック用回転
流体圧力シリンダ装置は、チャックを把持駆動するシリ
ンダへ流体圧力発生源から圧力流体を供給する流体通路
に、流体圧供給側の圧力によって開放作動するチェック
弁と、該チェック弁を強制的に開放操作可能なプランジ
ャとにより構成される把持ロック機構を介設したものに
於て、把持ロック機構のチェック弁を迂回するバイパス
通路を形成し、該バイパス通路に、流体圧供給側に復帰
スプリングによってシール付勢される逆止弁と、該逆止
弁を開放側に移動操作可能な操作部材を介設し、逆止弁
と操作部材の受圧面積比と復帰スプリングによる復帰力
とを流体圧供給側の圧力がシリンダ側より所定量低圧の
時バランスするよう設定すると共に、逆止弁の開放時に
流体圧供給側とシリンダ側とが所定の流通抵抗を有する
抵抗通路を介して連通状態となるよう構成したものであ
る。
【0014】
【発明の作用】上記構成によれば、抵抗通路を介して連
通状態にあるシリンダ側の圧力が追従し得る速さで流体
圧供給側の圧力を低下させることによりシリンダ側の圧
力を所定低圧に低下させてチャックによる工作物把持締
付力を小さく変化させることができる。一方、停電等に
よって流体圧供給側の圧力が急激に低下した場合には、
シリンダ側の圧力低下は抵抗通路を介して遅い為に流体
圧供給側とシリンダ側の圧力にアンバランスが生じ、更
に、シリンダ側の流体圧力は逆止弁を閉止側に駆動する
方向に作用することとなり、逆止弁が迅速に閉塞作動し
てシリンダ内の圧力低下を僅かに抑えてチャックの把持
締付力を維持する。
【0015】
【発明の実施例】以下、本発明の実施例を図面に基いて
説明する。図1は、本発明に係るチャック用回転流体圧
力シリンダ装置の一実施例の外形斜視図であり、図2は
そのA−A断面図、図3はB−B断面図、又、図5は油
圧回路構成の概念図である。尚、本実施例は流体として
油を用いるものである。図示チャック用回転流体圧力シ
リンダ装置1は、大径の胴部41の一方側面(図中左側
面)に小径の軸部42を同中心で延設形成した回転軸4
0を、その軸部42にベアリング91,91を介して外
挿されたスリーブボディ50によって回転自在に保持
し、該回転軸40の胴部41の側面に該胴部41と同径
のシリンダボディ31をボルト92で結合して構成され
ている。
【0016】シリンダボディ31には、回転軸40と対
向する側に円板状のシリンダ室30が形成されており、
このシリンダ室30内にピストン70がその外周とシリ
ンダ室30内壁との間にシール部材であるOリング93
を介して摺動可能に嵌挿されて、該ピストン70がシリ
ンダ室30内を把持側シリンダ室30Aと解除側シリン
ダ室30Bとの二室に気密的に隔成している。
【0017】ピストン70は、その中心から左右に延設
形成された小径のピストンロッド71,72の一方(ピ
ストンロッド72)が回転軸40の中心を長手方向に貫
通すると共に他方(ピストンロッド71)はシリンダボ
ディ31を貫通し、更に、シリンダボディ31側の側面
に植設されたガイドピン94がシリンダボディ31に形
成されたガイド孔32に嵌合してその軸方向に摺動可能
として配設されており、シリンダボディ31との間に形
成された両シリンダ室30A,30Bへの詳しくは後述
する油路63(63A,63B)を介する作動油(油
圧)の供給乃至排出により、シリンダ室30A,30B
間の圧力バランスに応じて移動駆動されるようになって
いるものである。本実施例では、把持側シリンダ室30
Aに油圧が把持側油路63Aを介して供給されてピスト
ン70が図中左方向に移動駆動されると図示しないチャ
ックを外径把持駆動し、解除側シリンダ室30Bに油圧
が解除側油路63Bを介して供給されてピストン70が
図中右方向に移動駆動されるとチャックを外径把持解除
駆動するようになっている。
【0018】回転軸40のスリーブボディ50側の端面
には、ストッパ80がボルト95によって固定されてお
り、このストッパ80は軸端側のベアリング91の内輪
に当接して軸部42がスリーブボディ50から抜け落ち
ることを防いでいる。又、これと対応するスリーブボデ
ィ50の側面にはスリーブカバー81がストッパ80に
外挿されてボルト96によって固定され、両者の対向す
る面にはオイルの流出を防ぐラビリンス溝が形成されて
いる。
【0019】回転軸40の軸部42は、前述の如くベア
リング91,91を介してスリーブボディ50に支持さ
れているが、両者(42,50)の嵌合部は例えば数1
0ミクロンメータ程度の極めて微小な間隔に設定されて
おり、ここに、スリーブボディ50側から回転軸40側
に作動油を供給する回転継手5が構成されている。即
ち、スリーブボディ50には、その外面所定位置から中
心に向けて供給路61(把持側供給路61A,解除側供
給路61B)が貫通形成されると共に、該供給路61
A,61Bが開口する内周部位に円周方向に連続する環
状溝62(把持側環状溝62A,解除側環状溝62B)
が形成され、この環状溝62A,62Bと対応する軸部
42外周に、後述する圧力保持機構10(把持側圧力保
持機構10A,解除側圧力保持機構10B)及び圧力開
放機構20(把持側圧力開放機構20A,解除側圧力開
放機構20B)を介してシリンダ室30(30A,30
B)に連通する油路63(把持側油路63A,解除側油
路63B)及びバイパス油路65(把持側バイパス油路
65A,解除側バイパス油路65B)が開口形成されて
いるものである。ここで供給路61から供給される圧油
は環状溝62を介して油路63及びバイパス油路65内
に供給されるが、スリーブボディ50と軸部42の微小
な隙間を介する微量の油はベアリング91,91の潤滑
に供された後スリーブボディ50の下側に設けられたド
レン溜り82に至り、回収されるようになっている。
【0020】回転軸40の胴部41内には、図2に示す
如く把持ロック機構としての二つの圧力保持機構10
(10A,10B)が中心を挟む対称位置に設けられる
と共に、図3に示す如く二つの圧力開放機構20(20
A,20B)が中心を挟む対称位置に設けられている。
これら圧力保持機構10A,10Bと圧力開放機構20
A,20Bは、図1の左側面図相当の概略図である図4
に示す如く、同一円周上に等角度(90度)間隔で交互
に配置されているものである。回転継手5からシリンダ
室30に至る油路63及びバイパス油路65と夫々に介
設された圧力保持機構10及び圧力開放機構20は、把
持側と解除側とが全く同じ構成となっており、以下特に
区別せずに説明するが、図中符号の末尾にAを付したも
のが把持側、Bを付したものが解除側として示してあ
る。
【0021】圧力保持機構10は、回転継手からシリン
ダ室30に至る油路63にその油圧供給側(回転継手5
側)を一次側としてチェック弁11を介設すると共に、
該チェック弁11と対向させて該チェック弁11を押圧
して開放操作可能なプランジャ12を設けて構成されて
おり、該プランジャ12をチェック弁11開放操作側に
駆動する油圧室13は、パイロット油路64によって他
方側の圧力保持機構10のチェック弁11より油圧供給
側の油路63に接続されている。この圧力保持機構10
のチェック弁11を挟む油路63の上流側と下流側(油
圧供給側である回転継手5側とシリンダ室30側)とが
バイパス通路としてのバイパス油路65で結ばれ、この
バイパス油路65に、圧力開放機構20が介設されてい
る。
【0022】圧力開放機構20は、上述の圧力保持機構
10と基本的には同様の構成であって、バイパス油路6
5に、油圧供給側を一次側として逆止弁21を介設する
と共に、該逆止弁21と対向させてそのポペット22を
押圧して開放操作可能な操作部材としてのプランジャ2
3を設けて構成され、該プランジャ23を逆止弁21開
放操作側に駆動するチャンバ25には、油圧供給側のバ
イパス油路65が接続されているものである。以下、こ
の圧力開放機構20をその拡大図である図6に基いてよ
り詳細に説明する。圧力開放機構20は、回転軸40の
胴部41のシリンダ室30側に所定深さで穿設された配
設穴41Aに円筒状のハウジング24を嵌挿すると共
に、このハウジング24の左右端部にプランジャ23と
ポペット22を内設して構成されている。ハウジング2
4の内周には、その軸方向中央に内周を小径とした隔壁
24Aが形成されており、該隔壁24Aのポペット22
と対向する側の壁面には、後述するポペット22先端の
シール面22Aと合致するテーパ状の弁座24Bが形成
されている。配設穴41Aの開口部は、回転軸40のシ
リンダ室30側の側面41Bにボルト97によって固定
された押えカバー83によって支持された封塞リング8
4によって閉塞され、該封塞リング84の内端部がハウ
ジング24の端部に当接して該ハウジング24は移動不
能となっている。
【0023】プランジャ23は、ハウジング24の端部
内周に摺動可能に嵌合する大径部23Aから隔壁24A
内周に摺動可能に嵌合する小径部23Bが突設されると
共に、その中央軸方向に連通油路23Cが貫通穿設され
て形成されており、ハウジング24の配設穴41A底面
側に摺動移動可能に嵌挿されている。小径部23Bの先
端は更に一段小径化されており、連通油路23Cは先端
部近傍で屈曲されてこの段部に開口されている。又、こ
のプランジャ23の背面(図中左側面)と配設穴41A
の底面との間にチャンバ25が形成され、該チャンバ2
5には前述の如く同じ側の圧力保持機構10より油圧供
給側のバイパス油路65が接続されている。尚、プラン
ジャ23を貫通してチャンバ25と先端側を連通する連
通油路23Cは後述するポペット22の先端側に圧油を
供給する為のものであり、同機能であれば構成は適宜変
更可能である。図5はプランジャ23を貫通させること
なくハウジング24の側部から直接ポペット22側に供
給する図になっている。又、プランジャ23の大径部2
3A側面と小径部23Bの外周及び隔壁24Aのプラン
ジャ23側の壁面に囲まれた空間部28は、油排出通路
であるドレン通路66に接続されて大気圧となってい
る。
【0024】ポペット22は、先端に先細りのテーパ状
のシール面22Aが形成された略円柱状であって、先端
テーパ部22Aを隔壁24Aに向けてハウジング24の
シリンダ室30側の端部に摺動可能に嵌挿されている。
又、先端シール面22Aの所定部位にシールリング溝2
2Bが形成されてここにシールリング22Cが装着さ
れ、更に、このシールリング溝22Bより背面側(図中
右側)で且つハウジング24内周面によって閉塞されな
い部位と背面側とを連通する抵抗通路としての小径通路
22Dが穿設されている。ポペット22の背面側には、
封塞リング84との間に油室26が形成されてこの油室
26には圧力保持機構10よりシリンダ室30側に連通
するバイパス油路65が接続されると共に、該油室26
内に復帰スプリング27が介設されており、ポペット2
2はこの復帰スプリング27によってその先端シール面
22Aがハウジング24の弁座24Bと密着する側に押
圧付勢されている。
【0025】つまり、ポペット22,ハウジング24,
復帰スプリング27によって逆止弁21が構成され、該
逆止弁21はプランジャ23内の連通油路23Cによっ
て連通するチャンバ25を一次側とし油室26を二次側
として配置されていることとなる。ここで、ポペット2
2の背面側外周は該ポペット22が復帰スプリング27
の付勢力に抗して移動された場合でもハウジング24の
内周と気密的な嵌合状態にあり、チャンバ25と油室2
6とは小径通路22Dを介してのみ連通状態となるよう
に設定されている。チャンバ25にはシリンダ室30A
側と連通するバイパス油路65が接続されると共に油室
26は油圧供給側のバイパス油路65に接続されている
ことから、結局、上記逆止弁21は圧力保持機構10を
迂回するバイパス油路65内に油圧供給側を一次側とし
て介設されていることとなる。
【0026】上記の如く構成された把持側圧力開放機構
20では、チャンバ25に油圧が作用していない状態で
は、図6に示す如くプランジャ23は図中左側に位置す
ると共に、ポペット22は復帰スプリング27の押圧付
勢力でシール面22Aがハウジング24の弁座24Bに
押圧されてシール状態にあり、従って、バイパス油路6
5を閉塞した状態にある。この状態から、チャンバ25
に油圧が作用すると、プランジャ23はポペット22側
(図中右側)に移動駆動され、その先端がポペット22
に当接してこれを押圧し、該ポペット22をそのシール
面22Aがハウジング24の弁座24Bから離れる側に
移動させる。その結果、シール面22Aと弁座24Bと
のシール状態は解除されることとなり、この時、チャン
バ25と油室26とは小径通路22Dを介して連通状態
となる。つまり、バイパス油路65が小径通路22Dを
介して連通状態となる。
【0027】ここで、圧力開放機構20は、夫々の構成
要素の油圧受圧面積を、プランジャの大径部をS1,プ
ランジャの小径部をS2,ポペット22のシール面22
Aより先端側をS3,ポペット22の背面側をS5,こ
のポペット22の背面側(S5)からポペット22のシ
ール面22Aより先端側(S3)を差し引いた残りをS
4(即ちS4=S5−S3),とすると共に復帰スプリ
ング27の付勢力をFとし、バイパス油路65の上流
(油圧供給側:即ちチャンバ25)の圧力をPP,バイ
パス油路65の下流(シリンダ室30側:即ち油室2
6)の圧力をPCとした場合、PP=PCとなる通常使
用時に於て、 PP(S1+S3+S4−S2)>PC・S5+F …式1 S4=S5−S3 であるから、 PP(S1+S5−S2)>PC・S5+F …式2 となって逆止弁21は開放状態となるように設定されて
いる。又、できれば上述の式1に加えて更に、後述する
高圧減圧弁2Aの出口圧力をP1,低圧減圧弁2Bの出
口圧力をP2とした場合(P1>P2)、 P2(S1+S3+S4−S2)−Δα=P1・S5+F …式3 を満たすように設定することが望ましい。
【0028】上記の如く設定された圧力開放機構20
は、その逆止弁21が油圧供給側圧力:PPの変化(低
下)状況に応じて作用が異なり、次にこの作用を図12
のグラフによって説明する。まず、油圧供給側圧力:P
Pとシリンダ室30側圧力:PCがPP=PCであって
圧力開放機構20の逆止弁21が開放している状態か
ら、油室26の油がポペット22の小径通路22Dを介
してチャンバ25に流れて両者の圧力が等しい状態を維
持し得るように徐々に油圧供給側圧力:PPを低下させ
た場合には、シリンダ室30側圧力:PCは油圧供給側
圧力:PPに追従して(PC=PPを維持して)低下
し、従って、前述の式2から、 PP(S1+S5−S2)−PP・S5>F PP(S1−S2)>F 従って、 PP>F/(S1−S2) であって、図12中破線で PP=F/(S1−S2) …式4 を示した低速降圧臨界圧力線より下側の領域で逆止弁2
1が作動してバイパス油路65を閉塞する。
【0029】次に、上記の場合とは異り、圧力開放機構
20の逆止弁21が開放してPP=PCの状態から油圧
供給側圧力:PPが急激に低下した場合には、シリンダ
室30側の油圧は該シリンダ室30側の油がポペット2
2の小径通路22Dを通って油圧供給側に至ることによ
って低下するが、シリンダ室30側の油圧は油圧供給側
の低下に追従することができずに油圧供給側圧力:PP
とシリンダ室30側圧力:PCとに差が生ずる。つま
り、シリンダ室30側の油はポペット22の小径通路2
2Dを通らなければ油圧供給側に移動できないことから
シリンダ室30側の油圧(PC)が油圧供給側の油圧
(PP)低下に追従できずに両者の間に圧力差を生ずる
ものである。この場合には、PP=PCがPP≠PCと
なる為、前述の式2から、 PP>(PC・S5+F)/(S1+S5−S2) であって、図12中二点鎖線で PP=(PC・S5+F)/(S1+S5−S2) …式5 を示した高速降圧臨界圧力線より下側の領域で逆止弁2
1が作動してバイパス油路65を閉塞する。
【0030】更に、この油圧供給停止によって上流側
(チャンバ25)の圧力が無くなった(PP=0)際の
逆止弁21の作動時には、前述の式1乃至式2から、ポ
ペット22は(PC・S5+F)の力で弁座24B側に
移動付勢されることとなる。つまり、ポペット22は復
帰スプリング27の付勢力:Fとポペット22の背面側
の受圧面積:S5にシリンダ室30側(即ち油室26)
の圧力:PCを乗じた力:PC・S5を合算した力で弁
座24B側に移動付勢されるものであり、これにより、
ポペット22が移動してそのシール面22Aが弁座24
Bに当接してシール状態となる(即ち逆止弁21が閉塞
する)迄の時間(タイムラグ)が短縮されるものであ
る。ポペット22の移動付勢力はシリンダ室30側の圧
力:PCが高い程大きくなり、従って、PCが高い程タ
イムラグを短縮化できる。即ち、上記の如き圧力開放機
構20では、例えば、図12に示すPP=PC=P1の
状態からPP=PCを維持し得るよう徐々に油圧供給側
圧力:PPを低下させれば、シリンダ室30側圧力:P
Cも低下して前述の式4が成り立つ圧力(低速臨界圧
力)となった時点で逆止弁21が閉塞状態となる。一
方、PP=PC=P1の状態からPPを前述の式5が成
り立つ圧力:PX(高速降圧臨界圧力)以下に急激に低
下させた場合には、逆止弁21は即座に閉塞状態となっ
てシリンダ室30側圧力:PCを略P1に保持するする
ように作用する。尚、PP=PCを維持し得る油圧供給
側圧力:PPの圧力低下速度は、ポペット22の小径通
路22Dの流路面積に依存し、適宜設定することが可能
である。
【0031】次に、上記の如く構成された圧力保持機構
10と圧力開放機構20を含む全体の油圧回路構成を概
念図である図5に基いて説明する。流体圧力発生源であ
るポンプPからの高圧の作動油は、高圧と低圧の異なる
出口油圧に設定された高圧減圧弁2A及び低圧減圧弁2
Bと、該減圧弁2A,2Bからの油圧を択一的に出力す
るよう切換える高低圧切換弁2Cと、を備えた変圧機構
2を経て、チャック開閉切換弁3によって把持側供給路
61A又は解除側供給路61Bに択一的に供給される。
把持側供給路61Aは回転継手5及び把持側油路63A
を介してシリンダ室30Aに接続され、又、解除側供給
路61Bは回転継手5及び解除側油路63Bを介してシ
リンダ室30Bに接続され、これら油路63A,63B
には、既に詳説した圧力保持機構10(10A,10
B)が介設されると共に、該圧力保持機構10を迂回す
るバイパス油路65(65A,65B)に圧力開放機構
20(20A,20B)が介設されている。尚、変圧機
構2の高圧減圧弁2A及び低圧減圧弁2Bの出口圧力
は、高圧減圧弁2Aからの高い油圧:P1がシリンダ室
30Aに供給されるとチャックが荒加工の際に適用され
る大きな締付力で工作物を把持すると共に、減圧弁2B
からの低い油圧:P2がシリンダ室30Aに供給される
とチャックが仕上加工の際に適用される小さい締付力で
工作物を把持するように設定されているものである。
【0032】而して、上記の如く構成されたチャック用
回転流体圧力シリンダ装置1は、下記の如く作用する。
図示しないチャックで工作物を把持する場合には、チャ
ック開閉切換弁3を把持側供給路61A側に切換えて、
把持側シリンダ室30Aに圧油を供給する。この時、変
圧機構2の高低圧切換弁2Cは高圧減圧弁2A側に切替
えておく。これは通常初期工程は重切削を行なう荒加工
工程であることによる。
【0033】チャック開閉切換弁3からの圧油は回転継
手5を経て把持側圧力保持機構10Aのチェック弁11
を介して把持側シリンダ室30Aに流入し、同時に把持
側油路63A内の油圧がパイロット油路64Aを介して
解除側圧力保持機構10Bのプランジャ12に作用して
そのチェック弁11を開放させる。その結果、把持側シ
リンダ室30A内に圧油が流入すると共に解除側シリン
ダ室30B内の油は解除側油路63Bを介して排出さ
れ、ピストン70は図中左側に移動駆動されることとな
ってチャックを把持駆動する。把持側圧力保持機構10
Aのプランジャ12は、該プランジャ12を移動駆動す
る油圧室13にパイロット油路64Bを介して作用する
解除側油路63Bの圧力が低下することによってチェッ
ク弁11を開放操作しない位置に退避するが、チェック
弁11は把持側シリンダ室30Aに圧油が流入している
間はその圧力差によって開放状態にあり、その上流と下
流側(油圧供給側とシリンダ室30A側)の圧力が変圧
機構2からの出力油圧:P1で一定となって把持側シリ
ンダ室30Aへの圧油の流入が停止した段階で閉塞状態
となる。この時、チャックは変圧機構2からの出力油
圧:P1に応じた締付力即ち荒加工の際に適用される大
きな締付力で工作物を把持する。この状態では、把持側
圧力保持機構10Aを迂回するバイパス油路65Aに介
設された把持側圧力開放機構20Aは、チャンバ25と
油室26に同一油圧:P1が作用することとなり、前述
の各構成要素受圧面積の関係からポペット22のシール
面22Aがハウジング24の弁座24Bから離れ、バイ
パス油路65が連通した状態にある。この状態で変圧機
構2を介しての把持側供給路61Aへの油圧供給は油
圧:P1を維持して継続される。
【0034】このチャックが変圧機構2からの出力油
圧:P1に応じた締付力で工作物を把持している状態
で、停電等によって把持側供給路61Aへの油圧供給が
停止し、把持側供給路61A内の油圧が急激に低下して
圧力が無くなる(PP=0)と、把持側圧力開放機構2
0Aのチャンバ25内の油圧は無くなり(=0)、その
結果、把持側圧力開放機構20Aの油室26内の油圧
(把持側シリンダ室30A内の油圧)はP1のままで供
給側圧力:PPが図12に於る逆止弁閉塞臨界圧力:P
X1より低下することとなって逆止弁21が閉塞状態と
なる。この時、把持側圧力開放機構20A内に於て、小
径通路22Dを通過する際の流通抵抗によって流量が規
制される為に把持側シリンダ室30A内の油圧は急速に
低下することはなく、更に、前述の如くポペット22の
背面(油室26側の面)には把持側シリンダ室30A内
の圧力が作用してポペット22は復帰スプリング27に
よる復帰付勢力に加えてその背面に作用する油圧によっ
て迅速に移動駆動されることとなり、僅少のタイムラグ
で作動して(ポペット22のシール面22Aがハウジン
グ24の弁座24Bに密着してシール状態となって)把
持側シリンダ室30Aからの油の流出を防いで当該把持
側シリンダ室30A内圧力を油圧供給停止前の圧力:P
1から僅かに少ない圧力に維持し、チャックによる工作
物把持力が低下することを防ぐことができる。
【0035】荒加工工程が終了し、工作物を把持する締
付力を小さくして仕上加工工程に移行する際には、変圧
機構2の高低圧切換弁2Cを出口圧力の低い低圧減圧弁
2B側に切替え、把持側供給路61Aに供給される油圧
を低圧減圧弁2Bの出口圧力:P2に対応した低いもの
とする。ここで、把持側圧力開放機構20Aが前述の式
3が成立するように設定されていれば(図12に於てP
2=PX+Δα)、油圧供給側圧力:PP(チャンバ2
5内の油圧)を一気に低圧減圧弁2Bの出口圧力:P2
迄低下させても把持側圧力開放機構20Aの逆止弁21
は作動せずバイパス油路65Aを連通した状態が維持さ
れ、シリンダ室30A内の油圧は該把持側圧力開放機構
20Aを介して把持側供給路61Aにより供給される圧
力即ち低圧減圧弁2Bの出口圧力:P2となり、その結
果、チャックによる工作物把持力は仕上加工の際に適用
される小さな締付力となる。一方、式3が成立せず、 P2(S1+S3+S4−S2)<P1・S5+F の設定となっている場合には、油圧供給側圧力:PP
(チャンバ25内の油圧)を一気に低圧減圧弁2Bの出
口圧力:P2付近迄低下させると把持側圧力開放機構2
0Aの逆止弁21は作動してバイパス油路65Aを閉塞
してシリンダ室30A内の油圧を維持するように作用し
てしまう為、油圧供給側圧力:PPを PP>(P1・S5+F)/(S1+S3+S4−S2) の範囲で段階的乃至連続的に低下させることにより、シ
リンダ室30A内の油圧を低圧減圧弁2Bの出口圧力:
P2迄低下させることができる。
【0036】この仕上加工の際に適用される小さな締付
力でチャックが工作物を把持している状態の時、停電等
によって把持側供給路61Aへの油圧供給が停止し、把
持側供給路61A内の油圧が急激に低下して圧力が無く
なった(PP=0)場合には、前述のチャックがP1に
応じた荒加工の際に適用される大きな締付力で工作物を
把持している状態の時と同様に、把持側圧力開放機構2
0Aの油室26内の油圧(把持側シリンダ室30A内の
油圧)はP2のままで供給側圧力:PPが図12に於る
逆止弁閉塞臨界圧力:PX2より低下することとなって
逆止弁21が直ちに閉塞状態となり、把持側シリンダ室
30A内圧力を油圧供給停止前の圧力:P2から僅かに
少ない圧力に維持し、チャックによる工作物把持力が低
下することを防ぐことができるものである。
【0037】尚、圧力開放機構20は、上記構成に限る
ものではなく、適宜変更可能なものである。この圧力開
放機構20の他の実施例を図8乃至図11に示す。図8
は、ポペット22の先端側に圧油を供給する油路24C
(上記実施例に於る連通油路23C)を図5と同様にハ
ウジング24の側部に形成すると共に、抵抗付与手段を
ポペット22とハウジング24との嵌合隙間(環状隙間
28)として構成したものである。本構成によれば、環
状隙間28の油路面積をより高精度に設定することがで
きる。
【0038】図9は、ポペット22の先端に、ハウジン
グ24の隔壁24Aの内周に気密的に嵌合する円柱部2
2Fを小径部22Eを介して延設すると共に、円柱部2
2Fにその上流側と下流側を連通する小径通路22Gを
貫通形成したものである。本構成によれば、隔壁24A
の開口端部を弁座として利用できる為シール性が向上す
るものである。
【0039】図10は、ポペット22を、ハウジング2
4の隔壁24Aの弁座24Bに当接してシールする球体
22Hと、小径通路22Lが貫通形成された操作通路部
材22Kと、に分割構成したものである。本構成によれ
ば、シール性を向上させることができる。
【0040】図11は、ポペット22の前端部にハウジ
ング24の隔壁24Aの内周に気密的に嵌合する円柱部
24Fを延設すると共に、該円柱部22Fの上流側と下
流側を通路溝22Mで連通し、更にポペット22の後端
部もハウジング24の内周に気密的に嵌合させ、シール
部位より背面側(油室26側)で且つハウジング24内
周面によって閉塞されない部位と背面側とを連通する小
径通路22Dを形成したものである。又、プランジャ2
3と隔壁24Aとの間に、該プランジャ23をポペット
22を押圧操作しない側に付勢するスプリング29を介
設したものである。これにより、ハウジング24へのポ
ペット22の嵌合長さを長く構成でき、当該シリンダ装
置が回転中であって遠心力が作用している場合でも、ポ
ペット22が円滑に摺動移動するよう成し得ると共に、
ポペット22の遠心力の作用による傾きを防止してシー
ル性を向上させることができる。更に、スプリング29
によってプランジャ23が復帰付勢される為、油圧供給
側(チャンバ25)の圧力が低下した際迅速に退避移動
してポペット22によるシールを迅速に行なわせること
ができる。
【0041】尚、上記実施例は、シリンダ室30に作動
させる油圧を利用して圧力開放機構20を作動させるよ
うに構成したものであるが、別の油圧源を利用して作動
させるよう構成することもできる。そうすれば、プラン
ジャ12(又は23)に作用する油圧をシリンダ室30
に供給する油圧とは無関係に任意に大きく設定できる
為、逆止弁21のリターンスプリング(ポペットを移動
させるスプリング)の付勢力を大きくしてより閉塞に要
する時間(タイムラグ)の短縮を図ることができる。
【0042】
【発明の効果】上記の如き本発明に係るチャック用回転
流体圧力シリンダ装置によれば、流体圧供給側の圧力を
所定の範囲で低下させることによってチャックによる工
作物把持締付力を小さく変化させることができると共
に、圧力供給が停止して流体圧供給側の圧力が急速に所
定圧力より低下した場合には、僅かなタイムラグで圧力
開放機構の逆止弁を閉塞することができ、シリンダ側の
圧力を保ってチャックの把持締付力を維持することがで
きる。その結果、チャックの回転中でも締付力変更を安
全に行なうことができ、作業効率の向上に寄与するもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るチャック用回転流体圧力シリンダ
装置の一実施例の外形を示す斜視図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図1のB−B断面図。
【図4】図1の左側面図相当の概略図。
【図5】油圧回路構成の概念図。
【図6】圧力開放機構の拡大断面図。
【図7】図6から作動した状態を示す図。
【図8】圧力開放機構の他の実施例の断面図相当の概念
図。
【図9】圧力開放機構の他の実施例の断面図相当の概念
図。
【図10】圧力開放機構の他の実施例の断面図相当の概
念図。
【図11】圧力開放機構の他の実施例の断面図相当の概
念図。
【図12】圧力開放機構の逆止弁の作用を説明するグラ
【図13】圧力開放機構の他の実施例の断面図相当の概
念図。
【符号の説明】
1…チャック用回転流体圧力シリンダ装置 10…圧力保持機構(把持ロック機構) 11…チェック弁 12…プランジャ 20…圧力開放機構 21…逆止弁 22…ポペット 22A…シール面 22D…小径通路(抵抗通路) 22E…小径部(首部) 22F…円柱部 22G…小径通路(抵抗通路) 22H…球体(弁部材) 22K…操作通路部材(通路部材) 22L…小径通路(抵抗通路) 23…プランジャ(操作部材) 23A…大径部 23B…小径部 24…ハウジング 24A…隔壁 24B…弁座(弁座面) 27…復帰スプリング 28…環状隙間(抵抗通路) 29…スプリング(操作部材を流体圧供給側に付勢する
スプリング) 30…シリンダ室(シリンダ) 63…油路(流体通路) 65…バイパス油路(バイパス通路) P…ポンプ(流体圧力発生源)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23B 31/30 F15B 13/01 F15B 20/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チャック把持作用を駆動するシリンダへ
    流体圧力発生源から圧力流体を供給する流体通路に、流
    体圧供給側の圧力によって開放作動するチェック弁と、
    該チェック弁を強制的に開放操作可能なプランジャとに
    より構成される把持ロック機構を介設したものに於て、 前記把持ロック機構のチェック弁を迂回するバイパス通
    路を形成し、該バイパス通路に、前記流体圧供給側に復
    帰スプリングによってシール付勢される逆止弁と、該逆
    止弁を開放側に移動操作可能な操作部材を介設し、前記
    逆止弁と前記操作部材の受圧面積に作用する流体圧力
    によって生じる作用力と前記復帰スプリングによる復帰
    力とによって前記逆止弁を閉塞させる力と開放させる力
    とが前記流体圧供給側の圧力前記シリンダ側の圧力
    り所定量低くした時バランスするよう設定すると共に、
    前記逆止弁の開放時に前記流体圧供給側と前記シリンダ
    側とが所定の流通抵抗を有する抵抗通路を介して連通状
    態となるよう構成したこと、を特徴とするチャック用回
    転流体圧力シリンダ装置。
  2. 【請求項2】上記逆止弁を、円筒状でその内部両端側を
    小径の隔壁で画成したハウジングの隔壁の開口端部に形
    成されたテーパ状の弁座面と、前記ハウジングの弁座面
    側の端部内周に摺動可能に嵌合配置されその端部に前記
    弁座面と対応するテーパ状シール面が形成されたポペッ
    トと、該ポペットを隔壁側に押圧付勢する復帰スプリン
    グと、により構成すると共に、上記操作部材を、前記ハ
    ウジング内に前記逆止弁と対向させて配置し、前記逆止
    弁の端部側に上記シリンダ側と連通する油室を、又、前
    記操作部材の端部側に上記流体圧供給側と連通するチャ
    ンバを夫々形成して構成したこと、を特徴とする請求項
    1記載のチャック用回転流体圧力シリンダ装置。
  3. 【請求項3】上記逆止弁のポペットの先端側に前記隔壁
    の内周に気密を保って摺動可能に嵌合する円柱部を突設
    したこと、を特徴とする請求項2記載のチャック用回転
    流体圧力シリンダ装置。
  4. 【請求項4】上記逆止弁に至る上記流体圧供給側の通路
    が上記操作部材を貫通して形成されていること、を特徴
    とする請求項2又は3記載のチャック用回転流体圧力シ
    リンダ装置。
  5. 【請求項5】上記逆止弁のポペット外周と上記ハウジン
    グ内周の嵌合部を、前記ポペットの摺動移動によっても
    上記流体圧供給側と上記油室側は気密的な隔絶状態を維
    持するよう構成すると共に、前記ポペットに、そのシー
    ル面より油室側で且つ前記ハウジング内周面によって閉
    塞されない部位と前記油室側とを連通させて上記抵抗通
    路を形成したこと、を特徴とする請求項2又は3記載の
    チャック用回転流体圧力シリンダ装置。
  6. 【請求項6】上記抵抗通路を、上記ポペットの弁座面を
    除く外周と上記ハウジングとの間の間隙によって形成し
    たこと、を特徴とする請求項2又は3記載のチャック用
    回転流体圧力シリンダ装置。
  7. 【請求項7】上記ハウジングの隔壁と上記操作部材の間
    に該操作部材を上記流体圧供給側に押圧付勢するスプリ
    ングを介設して構成したこと、を特徴とする請求項2又
    は3記載のチャック用回転流体圧力シリンダ装置。
  8. 【請求項8】上記ポペットを、弁座面と密着してシール
    する弁部材と、上記抵抗通路が形成された通路部材に分
    割構成したこと、を特徴とする請求項2記載のチャック
    用回転流体圧力シリンダ装置。
  9. 【請求項9】上記ポペットから上記円柱部を小径の首部
    を介して突設し、前記円柱部に上記抵抗通路を上記流体
    圧力供給側と前記シール面側とを連通させて貫通形成し
    たこと、を特徴とする請求項3記載のチャック用回転流
    体圧力シリンダ装置。
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