JP3066689B2 - 加工性と疲労特性に優れた高強度複合組織熱延鋼板とその製造方法 - Google Patents

加工性と疲労特性に優れた高強度複合組織熱延鋼板とその製造方法

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JP3066689B2 JP21076993A JP21076993A JP3066689B2 JP 3066689 B2 JP3066689 B2 JP 3066689B2 JP 21076993 A JP21076993 A JP 21076993A JP 21076993 A JP21076993 A JP 21076993A JP 3066689 B2 JP3066689 B2 JP 3066689B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は加工性と疲労特性に優れ
た高強度複合組織熱延鋼板とその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の快適性、安全性に加えて
車体の軽量化に対する要求が大きくなってきている。こ
れは地球規模で考えた省エネルギー及び環境問題に対す
る要求であり、軽量化による車両燃費の向上とCO2
どの有害排気ガスの減少をその目的としている。このよ
うな目的を達成するためには車体構造に利用される材料
の強度を向上させてその材料厚みを減少させるか、ある
いは新たな低比重の材料を用いることなどが必要であ
る。
【0003】新たな低比重材料(例えばAl、Mg等)
を利用する場合、価格、安定供給量の観点から、従来車
体構成材料の中心として利用されてきた鋼板と共存状態
での利用が前提となると考えられる。この場合に最も問
題となるのはスクラップのリサイクルであり、他材料と
混合した鋼板スクラップはその後の利用では多くのエネ
ルギー、コストを費やして再利用する必要がある。従っ
て、地球全体としてのエネルギーミニマム、環境保持を
目指す上では、特殊な部位を除いては単一材料(即ち鋼
材)での軽量化対策が非常に重要となり、鋼材のより一
層の高強度化が期待されている。
【0004】上記要求に加えて、車体構成部位の一体成
形は、製造工程の簡略化、連続化のために重要な技術的
要請と考えられる。このような近代化されつつある成形
工程で用いられる鋼材の中で、特に薄鋼板を考えると、
良好な成形性を有することがその鋼板の選択基準とな
る。薄鋼板の成形性の良否は、伸び、ランクフォードの
塑性歪比(r値)、加工硬化指数(n値)や降伏強度で
判断され、複雑な部品の一体成形のためには伸びやn値
が高いことが一つの必要条件となる。
【0005】伸びやn値の大きな鋼板の例としては、従
来フェライトとマルテンサイト2相組織のDual P
hase(DP)鋼が知られている。DP鋼は、特公昭
56−18051号公報や特公昭59−45735号公
報などで示されているように、50〜80kgf/mm
2 で最大30〜35%程度の全伸びを得ることができ
る。しかしながら、従来比較的低強度(35〜45kg
f/mm2 )の薄鋼板が用いられているような複雑な加
工を要求される部位への適用では、十分な強度−延性バ
ランスとは言い難い。
【0006】この材質を更に向上させるための方法とし
て、最近、フェライト、ベイナイト及びオーステナイト
の混合組織(もしくは一部マルテンサイトを含む)をミ
クロ組織として持つ高強度複合組織鋼板が提案されてい
る。この鋼板は、室温で残留しているオーステナイトが
成形時にマルテンサイトに変態することによって高い延
性を示す「変態誘起塑性」を利用するものである。変態
誘起塑性を利用した鋼は、TRIP鋼として知られてい
るように、例えばZackayら(V.F.Zacka
yら:Trans.ASM vol.60(1967)
p252)が示すように、70kgf/mm2 以上で最
大90%程度の高延性が達成されている。しかしなが
ら、このようなTRIP鋼は、高価な合金元素を大量に
添加する必要があるなど、必ずしもここでの要求に合致
しない。
【0007】このような問題を解決する方法として、
開昭63−4017号公報に自動車用鋼板のような大量
生産が前提となる廉価な用途に合致した薄鋼板の製造方
法が示されている。この先願発明は、Siの添加によっ
て炭化物の析出を抑制し、低温でのフェライト変態(ベ
イナイト変態)を進行させることによって、未変態オー
ステナイト中に効果的に炭素を濃化させ、オーステナイ
トを安定化させるというものである。
【0008】鋼板が自動車車体部品として使用される場
合には、上記のような良好な加工性以外に、溶接性、靱
性、疲労特性、耐腐食性等も重要となる。中でも疲労特
性は鋼板が自動車の足回り構造部品として使用される場
合には特に重要となる。このような加工性(特にn値)
と疲労特性に優れた鋼板としてDP鋼が挙げられるが
(Proc.of the 4th Int.Con
f.on Fatigue and Fatigue
Thresholds、vol.3(1990)p16
67)、上記のごとく自動車車体軽量化に十分な特性と
は言い難い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、こ
のような問題を解消すべく創案されたものであり、DP
鋼では達成できない良好な加工性と疲労特性のバランス
を達成する高強度鋼板とその製造方法を提供することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは種々の成分
の鋼材を熱延もしくは熱処理し、室温で残留オーステナ
イトを含む鋼板を製造し、鋼材の材質(強度、加工性、
疲労特性)に及ぼす残留オーステナイトの性質の影響を
調査した結果、残留オーステナイトの性質をコントロー
ルすることによってDP鋼では達成できなかったレベル
の良好な鋼板の成形性と疲労特性のバランスが得られる
ことを見出した。本発明は、この知見に基づいて構成し
たものであり、その要旨とするところは下記のとおりで
ある。
【0011】(1)C:0.04〜0.25重量%を含
み、Mn、Ni、Cu、Cr、Moの1種もしくは2種
以上を合計で0.5〜3.5重量%含み、更にSi、A
lの内1種もしくは2種を合計で0.3〜3.0重量%
含み、面積率最大の相がフェライトであり、ベイナイト
と残留オーステナイト及び/または一部マルテンサイト
を含む複合組織を持ち、室温での残留オーステナイトの
体積率が3%以上で、かつ下記(1)式に示す残留オー
ステナイトのマルテンサイト変態開始温度(Ms)がM
s≦150℃であることを特徴とする加工性と疲労特性
に優れた高強度複合組織熱延鋼板。
【0012】Ms(℃)=561−325×Cγ%−3
3×Mn%−17×Ni% −17×Cr%−21×Mo
%−20×Cu% ・・・(1) ここで、Cγ%は残留オーステナイト中のC濃度、 Mn
%、Ni%、Cr%、Mo%、Cu%は鋼板中の濃度
【0013】(2)Nb、Ti、Vの中の1種もしくは
2種以上を合計で0.20重量%以下含むことを特徴と
する前項1記載の加工性と疲労特性に優れた高強度複合
組織熱延鋼板。(3) Ca:0.0005〜0.01重量%、REM:
0.005〜0.05重量%の1種もしくは2種を含む
ことを特徴とする前項1または2記載の加工性と疲労特
性に優れた高強度複合組織熱延鋼板。
【0014】(4)所定の成分に調整されたスラブを、
鋳造後直接もしくは一旦冷却した後に再度加熱し、Ar
3 −50〜Ar3 +140℃の範囲で熱延を終了し、そ
の後冷却して300〜500℃の温度範囲で巻取ること
を特徴とする前項1〜のいずれかに記載の加工性と疲
労特性に優れた高強度複合組織熱延鋼板の製造方法。
【0015】
【作用】室温で残留オーステナイトを含む複合組織鋼板
は、熱延まま、または、熱延後溶融めっき工程もし
くはそれに代わる熱処理工程により、冷延後焼鈍工程
や溶融めっき工程もしくはそれに代わる熱処理工程によ
って製造することができる。この時、最終的に鋼板中に
存在する残留オーステナイトの体積率は鋼材の化学成分
に大きく影響され、特にC添加量が得られる残留オース
テナイト体積率の上限値を決定する。
【0016】また、オーステナイトを室温で残留させる
ためには、C、Mn、Ni等のオーステナイト安定化元
素を多量に添加するか、熱処理工程でオーステナイト安
定化の効果が大きいCやN等をオーステナイトに濃化さ
せることが必要である。後者は溶接性やコストの面から
効果的な方法であり、比較的少量のC添加で残留オース
テナイトを得るためには、炭化物形成等でCを浪費する
ことを極力避ける必要がある。このような炭化物生成抑
制効果は特にSiやAlで高いことが知られており、他
のオーステナイト安定化元素と組み合わせることによっ
て効果的にオーステナイトを残留させることが可能であ
る。
【0017】残留オーステナイトを含む鋼板は、TRI
P効果によって良好な加工性を示す。鋼板の母相が全く
同一である場合には、残留オーステナイトの体積率が高
いほど、また残留オーステナイトが安定なほど良好な加
工性を示す。良好な溶接性を前提とした低炭素低合金鋼
で、残留オーステナイトを含む高強度鋼板の疲労強度と
残留オーステナイトの性質(加工安定性、サイズ、分布
等)との関係を明確にした報告はない。本発明者らは、
種々の成分の鋼を熱延もしくは熱処理することによって
製造したフェライトを主相としてベイナイトと残留オー
ステナイトを含む鋼板の疲労特性とミクロ組織(特に残
留オーステナイトの性質)の関係を調査した結果、以下
のような結論を得た。即ち、このような鋼板では、繰り
返し応力負荷時に、局所的な粒内すべりが、主相である
フェライト粒内に発生し、これらのすべりの成長により
粒界近傍で応力集中が起こり、粒界近傍に亀裂が発生
し、その亀裂が負荷応力により粒界に沿ってもしくは粒
内を進展し、最終的な破断にいたる。この時、粒内すべ
りを起こしたフェライト相に隣接して残留オーステナイ
トが存在する場合には、粒界近傍に発生する局所的な高
い応力によって残留オーステナイトからマルテンサイト
への変態が起こる。この結果として、フェライト粒内の
すべりの成長が抑制され、フェライト粒内にオーステナ
イトのマルテンサイト変態に伴う体積膨張による圧縮の
残留応力が発生し、その後の繰り返し応力負荷による疲
労の進展を大きく抑制する。この結果として、残留オー
ステナイトを含まないフェライト/ベイナイトを主相と
する複合組織鋼板に比べて長い疲労寿命を示すものと考
えられる。
【0018】以下に本発明の重要な要素の作用の詳細に
ついて述べる。 残留オーステナイト体積率:残留オーステナイト体積率
を増すことは鋼板の加工性及び疲労特性を上昇させる
が、得られる残留オーステナイト体積率の上限値は鋼板
の平均的な化学成分によって制限される。同一成分にお
いて得られる最大残留オーステナイト体積率を増加させ
るためには、C量の増加が最も直接的であり、更にM
n、Ni等のオーステナイト安定化元素や炭化物析出を
抑制するSi、Al等の添加も有効である。
【0019】鋼板中の残留オーステナイト量と鋼板の延
性及び疲労限度比(2×106 回の疲労強度/鋼板の破
断強度)との関係は図1、図2に示す通りであり、延性
は残留オーステナイト体積率の増加と共に単調に上昇
し、疲労限度比は残留オーステナイト体積率3%以上で
やはり単調に上昇する。疲労限度比を107 回の強度で
整理しても残留オーステナイト体積率の影響は同様であ
った。3%未満の残留オーステナイト体積率では、残留
オーステナイトが鋼材全面に分散できず、前述したオー
ステナイトからマルテンサイトへの変態によるフェライ
ト粒内すべり進行の抑制と圧縮残留応力の付与が十分で
なく、疲労強度を向上させないと考えられることから、
残留オーステナイト体積率の最小値を3%とする。
【0020】マルテンサイト変態開始温度(Ms): 残留オーステナイトのMsは、残留オーステナイトの加
工安定性を決定し、従って、鋼板の加工性や疲労特性を
決定する重要な因子である。残留オーステナイトのMs
は、鋼板の置換型合金元素及びX線解析やメスバウアー
分光により実験的に求められるC濃度やN濃度によって
決まる。鋼板中のN濃度はC濃度に比べて微量であるの
で、侵入型の元素としては主にC濃度を考慮すると良
い。残留オーステナイト体積率は、MoのKα線を用い
たX線解析により、フェライトの(200)面、(21
1)面及びオーステナイトの(200)面、(220)
面、(311)面の積分反射強度を用いて、Journ
al of The Iron and Steel
Institute、206(1968)p60に示さ
れた方法にて算出する。また、残留オーステナイト中の
炭素濃度は、後述する
【実施例】に示すように、CoのKα線を用いたX線解
析により算出することができる。 これらの元素濃度を用
いて、残留オーステナイトのMsは、下記(1)式で示
すように合金濃度を重量%で表現するとき、 Ms(℃)=561−325×Cγ%−33×Mn%−
17×Ni%−17×Cr%−21×Mo%−20×C
u% ・・・(1) を用いて計算することができる。ここで、Cγ%は残留
オーステナイト中のC濃度、 Mn%、Ni%、Cr%、
Mo%、Cu%は鋼板中の濃度である。
【0021】鋼板を自動車用の構造部品に適用する場合
には、一般にプレスもしくはロール等による成形がなさ
れた後に使用される。この時、塑性変形中に残留オース
テナイトが有効に利用されることが加工性の観点から重
要であるが、一方、実使用段階での疲労強度の点では、
加工後に有効な残留オーステナイトが残存していること
が必要である。加工性に及ぼすMs温度の影響は図3に
示す通りであり、Ms≦150℃とすることで良好な加
工性が得られる。疲労強度と残留オーステナイトのMs
の関係は図4に示す通りであり、延性同様Ms≦150
℃とすることで高疲労強度が達成される。また、室温で
残留オーステナイト体積率が3%以上の鋼板に、塑性加
工量として均一伸びの範囲で10%の予加工を与えた後
の疲労強度は、予加工前にMs≦150℃であれば劣化
しない。従って、本発明では残留オーステナイトのMs
を150℃以下に制限する。
【0022】C量:Cは、製造工程の中でオーステナイ
ト中に濃化し、オーステナイトの安定化に大きく寄与す
る。鋼材中の全てのCがオーステナイトに濃化するわけ
ではなく、フェライト中及び炭化物、更には一部マルテ
ンサイト中に取り残される。このような浪費を極力少な
くするような製造工程設計を行った場合に、加工性と疲
労強度を両立させるに必要な最低の残留オーステナイト
体積率3%を確保するためには、最低0.04重量%の
C添加が必要である。従ってC添加量の下限値を0.0
4重量%とする。
【0023】C添加量の増加は、得られる残留オーステ
ナイト量の増加につながるが、同時に溶接性を劣化させ
る。特に、C>0.25重量%では、溶接性の劣化が顕
著であるため、0.25重量%をC添加量の上限とす
る。 Si、Al量:SiとAlは共にフェライト安定化元素
であり、本発明の対象とするフェライトを主相とする鋼
板を製造するためには有効な添加元素である。またS
i、Al共にセメンタイト等の炭化物の生成を抑制し、
結果としてCの浪費を防ぐことができる。また、Si
は、フェライト相を固溶強化することによって強度を上
昇させる。しかしながら、これらの元素の添加量が、単
独もしくは合計で0.3重量%未満の場合にはこのよう
な効果は期待できないので、Si、Alの単独もしくは
合計の添加量の下限値を0.3重量%とする。
【0024】また、Si、Alが単独もしくは合計で
3.0重量%を超えて添加された場合には、鋼板の靱性
を著しく低下させることと、鋼材コストの上昇を招くこ
とから、3.0重量%を上限とした。 Mn、Ni、Cu、Cr、Mo量:これらの合金元素
も、SiやAlと同様、炭化物の生成を遅らせる働きが
あることから、オーステナイトの残留に貢献する添加元
素である。これに加えて、これらの合金元素は、オース
テナイトのマルテンサイト変態開始温度を低くする。従
って、加工性や疲労強度の上昇に有効である。しかしな
がら、これらの合金元素の添加量の合計が0.5重量%
未満の場合には、その効果が十分でないことから、0.
5重量%をこれらの元素添加の合計量の下限値とした。
【0025】一方、これらの元素添加量の合計が3.5
重量%を超えると、鋼材の焼入れ性が必要以上に上昇す
るために、フェライト主体とした加工性良好な鋼板の製
造が困難になり、必要以上に鋼板強度が上昇する可能性
があり、また、鋼材コストの上昇を招く。従って、これ
らの合金元素添加の合計量の上限値を3.5%とする。
【0026】Nb、Ti、V量:これらの元素は、炭化
物、窒化物(もしくは炭窒化物)を形成し、フェライト
相を強化することから、鋼板の高強度化に有効である。
しかしながら、合計で0.20重量%を超えて添加され
た場合には、鋼材のコスト上昇を招くのみならず、強度
上昇効果が飽和し、更に、不必要にCを浪費することか
ら0.20重量%を合計添加量の上限とする。
【0027】Ca、REM:Ca、REMは、Sと結合
して介在物を球状化し、冷間加工性や疲労特性を改善す
る。しかしながら、添加量がCaの場合には0.000
5重量%、REMの場合には0.005重量%未満であ
る場合にはその効果が十分でない。従って、0.005
重量%を添加量の下限とする。また、これらを過多に添
加しても、効果が飽和するだけでなく溶接部欠陥を増加
させるので、添加量の上限値をCaの場合0.01重量
%、REMの場合0.05重量%とする。
【0028】熱延条件:熱延ままで本発明の鋼板を製造
する場合には、所定の成分に調整されたスラブを鋳造ま
まもしくは一旦冷却した後に再度加熱し、熱間圧延を行
う。この時、熱延終了温度が鋼材の化学成分で決まるA
3変態温度−50℃未満である場合には、時に鋼板の
表層部及びその近傍に加工フェライト層が生成し、加工
性と共に疲労強度を著しく劣化させる。従って、Ar3
変態温度−50℃を熱延終了温度の下限値とする。ま
た、熱延終了温度がAr3+140℃を超える場合に
は、フェライト以外の低温生成層の割合が多くなり、必
要以上に鋼板の強度が上昇するのみならず、フェライト
粒の粗大化が起こり鋼板の疲労強度を劣化させる。ま
た、このような高温で熱延を終了させた場合には、鋼板
の表面粗度が大きくなり、鋼板の疲労強度を劣化させ
る。従って、Ar3+140℃を熱延終了温度の上限値
とする。
【0029】熱延終了後、冷却して巻取処理を行うが、
この時の巻取温度が500℃超では残留オーステナイト
が得られず、また300℃未満ではマルテンサイトの生
成が過多となって加工性を損なう。従って、熱延後の巻
取温度を300℃以上500℃以下に制限する。最終的
な鋼板の加工性と疲労強度のバランスを最適にするため
には、巻取温度を350℃以上450℃以下とすること
が望ましい。
【0030】
【実施例】表1に示す化学成分の鋼材を1050℃から
1250℃の範囲に加熱し、所定の熱延条件で熱延を終
了した後、10℃/secから150℃/secの範囲
の冷却速度で巻取温度まで冷却し所定の温度で巻取っ
た。これらの鋼板(板厚2.5mm)からJIS5号の
試験片を切り出し、引張特性を調査し、また、完全両振
りの平面曲げ疲労試験によって疲労強度を評価した。残
留オーステナイト体積率は、MoのKα線を用いてフェ
ライトの(200)と(211)面、オーステナイトの
(200)、(220)、(311)面の積分強度から
求め、残留オーステナイト中の炭素濃度は、CoのKα
線を用いてオーステナイトの(002)、(022)、
(113)、(222)面の反射角度を測定し、格子常
数を求め、 格子常数=3.572+0.033×C%(A) の関係を用いて求めた。
【0031】表1中の下線を付したものは本発明の範囲
外であることを示す。表2、表3(表2のつづき)には
熱延条件、機械的性質、残留オーステナイトに関する測
定結果、及び他の特性の評価結果について示す。FTは
熱延終了温度(℃)、CTは巻取温度(℃)、YPは降
伏強度(もしくは0.2%耐力:kgf/mm2 )、T
Sは破断耐力(kgf/mm2 )、Elは破断伸び
(%)、Vgは残留オーステナイト体積率(%)、Cγ
は残留オーステナイト中の炭素濃度(%)、Msは残留
オーステナイトのマルテンサイト変態開始温度(℃)、
主相はミクロ組織の中で面積率最大の相を示し、主相が
フェライトの場合に○、そうでない場合に×とした。溶
接性は良好な場合に○、溶接不良がでる場合に×とし
た。靱性については各強度レベルで従来鋼と同等以上の
ものを○、従来鋼レベル未満のものを×とした。σW は
平面曲げ疲労試験で得られた2×106 回での疲労強度
であり、σB はTSと同一である。表中のσW /σB は
これらの値の比を示す。また、表2、表3中*1は10
%引張加工後の疲労強度が加工前に比べて劣る場合を
×、加工前とほぼ同等もしくはそれ以上の場合を○とし
た。CγとMsの欄で?と示したものは、残留オーステ
ナイトの量が少ないかもしくは残留オーステナイトを含
まないために残留オーステナイト中の炭素濃度が測定で
きなかったことを示す。
【0032】表2、表3中の下線を付したものは、本発
明の範囲外であることを示す。表1、表2、表3共に本
発明鋼と記したものが本発明の例であり、本発明外の比
較例については比較鋼と記した。同表より、本発明の条
件を満たす鋼板(表中に本発明鋼と表示)は優れた破断
伸びと良好な疲労特性を有し、溶接性や靱性にも優れて
いることがわかる。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に従えば5
0〜120kgf/mm2 の優れた加工性と疲労特性を
有する高強度鋼板を提供することが可能となり、自動車
の部品に適用することで自動車車体軽量化に大きく貢献
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】55〜70kgf/mm2 の破断強度の熱延鋼
板の破断伸びと残留オーステナイト体積率の関係を示す
図である。
【図2】55〜70kgf/mm2 の破断強度の熱延鋼
板の疲労限度比と残留オーステナイト体積率の関係を示
す図である。
【図3】55〜70kgf/mm2 の破断強度の熱延鋼
板の破断伸びと残留オーステナイトのMs温度の関係を
示す図である。
【図4】55〜70kgf/mm2 の破断強度の熱延鋼
板の疲労限度比と残留オーステナイトのMs温度の関係
を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−195150(JP,A) 特開 平5−105986(JP,A) 特開 平4−341523(JP,A) 特開 昭63−241120(JP,A) 特開 昭63−4017(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 301 C21D 8/02 C22C 38/02 C22C 38/06 C22C 38/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.04〜0.25重量%を含み、
    Mn、Ni、Cu、Cr、Moの1種もしくは2種以上
    を合計で0.5〜3.5重量%含み、更にSi、Alの
    内1種もしくは2種を合計で0.3〜3.0重量%含
    み、面積率最大の相がフェライトであり、ベイナイトと
    残留オーステナイト及び/または一部マルテンサイトを
    含む複合組織を持ち、室温での残留オーステナイトの体
    積率が3%以上で、かつ下記(1)式に示す残留オース
    テナイトのマルテンサイト変態開始温度(Ms)がMs
    ≦150℃であることを特徴とする加工性と疲労特性に
    優れた高強度複合組織熱延鋼板。Ms(℃)=561−325×Cγ%−33×Mn%−
    17×Ni% −17×Cr%−21×Mo%−20×C
    u% ・・・(1) ここで、Cγ%は残留オーステナイト中のC濃度、 Mn%、Ni%、Cr%、Mo%、Cu%は鋼板中の濃
  2. 【請求項2】 Nb、Ti、Vの中の1種もしくは2種
    以上を合計で0.20重量%以下含むことを特徴とする
    請求項1記載の加工性と疲労特性に優れた高強度複合組
    織熱延鋼板。
  3. 【請求項3】 Ca:0.0005〜0.01重量%、
    REM:0.005〜0.05重量%の1種もしくは2
    種を含むことを特徴とする請求項1または2記載の加工
    性と疲労特性に優れた高強度複合組織熱延鋼板。
  4. 【請求項4】 所定の成分に調整されたスラブを、鋳造
    後直接もしくは一旦冷却した後に再度加熱し、Ar 3
    50〜Ar 3 +140℃の範囲で熱延を終了し、その後
    冷却して300〜500℃の温度範囲で巻取ることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加工性と疲労
    特性に優れた高強度複合組織熱延鋼板の製造方法。
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