JP3066404B2 - カメラの鏡胴駆動装置 - Google Patents
カメラの鏡胴駆動装置Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、撮影レンズを保
持した鏡胴をカメラボディに対して進退させることによ
り、撮影レンズの焦点距離が切り替わる可変焦点装置を
備えたカメラのこの鏡胴を進退させる駆動装置に関す
る。 【0002】 【従来の技術】写真撮影を手軽に行なえるように、焦点
距離を標準撮影位置と望遠撮影位置に切り替えられる二
焦点カメラ、あるいは焦点距離を連続的に変化させられ
るズームレンズ付カメラのような可変焦点装置付カメラ
が普及している。この可変焦点装置は、モータなどの動
力を適宜に減速する動力伝達機構を介して撮影レンズを
保持した鏡胴に伝達し、該鏡胴をカメラボディに対して
光軸方向に進退させて焦点距離を変更している。 【0003】そして、この種の普及型カメラにあって
は、鏡胴の進退を円滑、且つ、適宜な速度で行なわせる
ために、前記動力伝達機構には大きな減速比を有するギ
ヤ列が用いられている。そのため、モータから鏡胴への
動力伝達は円滑に行なわれるが、鏡胴からモータへの動
力伝達にあってはギヤ列が大きな負荷となり、鏡胴に外
部からの力が加えられた場合には、鏡胴がロックされて
不用意に移動してしまうことが防止されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、鏡胴の
突出時に、カメラを不用意に落下させたり打ち付けたり
して鏡胴を押し込もうとする大きな外力が加えられたと
きや、途中位置にある鏡胴を引き出そうとする外力が加
えられたときに、上記ギヤ列に過大な力が作用すると、
ギヤの歯が破損してしまったり、鏡胴が変形あるいは破
損してしまうおそれがある。 【0005】そこで、この発明は、外部から鏡胴に過大
な力が加えられた場合に、所定の伝達要素まで当該力を
伝達させて鏡胴が当該力の方向に移動することを許容
し、大きな負荷となっているギヤ列などの伝達要素に伝
達されるまでにこの外力を緩衝するようにして、ギヤの
歯の破損や鏡胴の変形などを防止することを目的として
いる。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの技術的手段として、この発明に係るカメラの鏡胴駆
動装置は、モータの回転を動力伝達経路を介して鏡胴に
伝達することにより該鏡胴を回転させることなくカメラ
ボディに対して進退させて撮影レンズの焦点距離を変更
すると共に、上記鏡胴に該鏡胴を移動させる方向の外力
が加えられた場合には、該外力が該鏡胴から上記伝達経
路へ伝達されるカメラの鏡胴駆動装置において、前記モ
ータから前記鏡胴に至る動力伝達経路中に、モータから
鏡胴への動力は伝達し、鏡胴からモータへの動力の伝達
に対しては大きな負荷となる動力伝達手段を設け、前記
動力伝達手段から前記鏡胴に至る動力伝達経路中に、摩
擦力を介して動力を伝達させる動力伝達要素を設け、上
記鏡胴が所定以上の大きさの外力を受けた場合には、前
記動力伝達要素が空動して該鏡胴が該外力の方向に移動
し、前記動力伝達手段への外力の伝達を阻止することを
特徴としている。 【0007】鏡胴に過大な外力が作用した場合には、前
記動力伝達要素の摩擦力を上回ることになるから、該動
力伝達要素で滑りが生じて外力の伝達が断たれる。した
がって、この動力伝達要素からモータへの動力伝達経路
に外力が伝達されずこの間の伝達要素が破損したりする
ことがない。また、上記動力伝達要素までは外力が伝達
されるから、鏡胴は上記外力の方向に移動することにな
り、鏡胴が変形したりすることも防止される。 【0008】また、本願発明は、前記動力伝達経路をギ
ヤ列で構成したことを特徴としている。 【0009】上記ギヤ列を介してモータの動力を鏡胴に
伝達することにより、該鏡胴を安定して円滑に、且つ、
所定の速度で移動させることができる。しかも、モータ
の出力回転を大きく減速して鏡胴に伝達できるから、モ
ータに出力トルクの大きいものを使用しなくてもよい。
他方、鏡胴に加えられた外力をモータ側に伝達しようと
する場合には、ギヤ列が大きな負荷となる。このため、
過大な外力が鏡胴に加えられた場合には、前記動力伝達
要素において滑りが生じて該動力伝達要素からモータま
での伝達経路への外力の伝達が阻止される。したがっ
て、該動力伝達要素から鏡胴に至る伝達経路を、鏡胴に
加えられた外力で容易に動くギヤ列で構成すれば、鏡胴
が外力の方向に移動することが許容され、減速ギヤ列を
構成するギヤの歯の破損を防止できる。 【0010】さらに、本願発明は、前記動力伝達手段
を、ウォームギヤ装置によって構成したことを特徴とし
ている。 【0011】ウォームギヤ装置ではウォームとウォーム
ホイールとの間で大きな減速比を得られるから、多数の
ギヤを組合わせて減速する機構に比べて、小さなスペー
スに配設することができ、カメラの小型化を図るのに有
利である。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、図示した好ましい実施の形
態に基づいて、この発明に係るカメラの鏡胴駆動装置を
具体的に説明する。 【0013】 【0014】まず、第4図に基づいて、この鏡胴駆動装
置によってレンズ群が移動するズームレンズを装着した
コンパクトカメラのレンズ駆動部の構造について説明す
る。 【0015】このズームレンズは、前群レンズ1と後群
レンズ2との2群ズームである。前群レンズ1はシャッ
ターユニット3に収められ、このシャッターユニット3
を移動鏡胴4の前部に3本の止めネジ3aによって止着す
る。なお、この止めネジ3aのうち2本の止めネジ3aに
は、バネ座金3bを介在させることにより前群レンズ1の
光軸方向の倒れを調整できる。 【0016】移動鏡胴4はほぼ直方体の枠状部材に上記
シャッターユニット3を止着する取付板4aを形成した形
状としてある。移動鏡胴4の上面後方にはほぼ矩形状に
光軸と平行に透孔を形成してガイド孔4bを設け、このガ
イド孔4bに、後群レンズ2のレンズマウント5の上端部
に形成した突起部5aを挿通することによりこの後群レン
ズ2を移動鏡胴4の後部に配設する。 【0017】上記レンズマウント5の下部の側端部には
光軸と平行な方向の透孔を形成してガイド部5bを設け、
このガイド部5bにブッシュ5cを嵌着する。このブッシュ
5cに後群レンズ棒6aを挿通し、この後群ガイド棒6aの移
動鏡胴4側先端部を移動鏡胴4内に設けた支持部で支持
させる。後群ガイド棒6aの後端部には押さえ板6bを当接
させ、この押さえ板6bを止めネジ6cによって移動鏡胴4
に止着する。なお、後群ガイド棒6aのレンズマウント5
と移動鏡胴4内の上記支持部との間には押しバネ6dを巻
装し、その復元力を、レンズマウント5が前記ガイド孔
4bと後群ガイド棒6aとに案内されて後方に移動するよう
付勢してある。 【0018】レンズマウント5の下面には適宜な窪み部
を形成し、この窪み部に焦点調整ピン7の偏心ピン7aと
フランジ部7bとを嵌入し、押さえ板7cを止めネジ7dによ
ってレンズマウント5に止着することにより焦点調整ピ
ン7をレンズマウント5に固定する。レンズマウント5
に固定した上記焦点調整ピン7には円形の支点ピン7eを
形成してあり、この支点ピン7eを上記押さえ板7cの透孔
部7fを貫通させて連動レバー8の連動孔8aに遊挿する。 【0019】連動レバー8はほぼL字形をし、その一方
の腕部の先端に上記連動孔8aを形成してある。ほぼL字
形の屈曲部には透孔8bを形成し、この透孔8bを貫通する
支持ネジ8cを移動鏡胴4の下面に締め付けて、連動レバ
ー8を移動鏡胴4に対してこの支持ネジ8cを中心にして
回動自在に設ける。また、連動レバー8の他方の腕部の
先端には、移動鏡胴4とは反対の方向に指向して突出し
た連動ピン8dを設けてある。 【0020】移動鏡胴4の側面後方には、透孔を形成し
てカム部9を設けてある。 【0021】また、移動鏡胴4の上面の側端部には光軸
方向に透孔を形成した主ガイド部4cを設け、この主ガイ
ド部4cにブッシュ4dを嵌着する。この主ガイド部4cの側
方近傍にはカム面10a を形成したカム板10を固着してあ
る。なお、このカム板10は上記主ガイド部4cと共通にし
て、主ガイド部4cの側面に上記カム面10a を形成したも
のであっても構わない。移動鏡胴4の上記カム部9を設
けた側面とは反対側の側面の下部には、破線で示すよう
に、先端部をほぼU字形に切り欠いた副ガイド部4eを設
けてある。 【0022】以上のように前群レンズ1、後群レンズ
2、連動レバー8などを装着した移動鏡胴4を、カメラ
ボディA(第5図示)に固定した固定枠11に収容させ
る。このとき、上記主ガイド部4cに主ガイド棒4fを挿通
し、固定枠11の後端部上方にある支持部11a にこの主ガ
イド棒4fの後端部を支持させる。また、上記副ガイド部
4eの先端の切欠部に副ガイド棒4gを挿通し、その後端部
を固定枠11の内側の側面に設けた支持部11b に支持させ
る。そして、固定枠11の前側周縁に、枠状の蓋体12を止
めネジ12a で締め付けて止着する。 【0023】固定枠11の下面には、第4図および第5図
に示すように、カム面13a が形成されたカム孔13を設
け、前記連動レバー8の連動ピン8dの側面がこのカム面
13a に当接する。 【0024】また、固定枠11の側面には垂直方向を回転
軸としたウォーム14を配設してあり、このウォーム14の
回転軸を固定枠11の上面よりも上方に突出させ、この突
出部に駆動ギヤ15を設けてある。固定枠11の上面にはギ
ヤ16a など適宜枚数のギヤからなる適宜な減速比のギヤ
列16を配設し、図示しないモータの回転をこのギヤ列16
を介して駆動ギヤ15に伝達している。ウォーム14には固
定枠11の側面に軸支したウォームホイール17が噛合し、
これらウォーム14とウォームホイール17との組み合わせ
によって、鏡胴からモータへの動力の伝達に対しては大
きな負荷となる動力伝達手段が構成されている。このウ
ォームホイール17と同軸上に伝達ギヤ18を設けてある。
これらウォームホイール17と伝達ギヤ18とは相互に回転
自在としてあり、これらの側面間に適宜な摩擦力を付与
して、これらのギヤに加えられた負荷が所定の大きさ以
上になると、一方のギヤが停止し他方のギヤが空転する
ようにしてある。なお、この動力伝達系については後に
詳述する。 【0025】上記伝達ギヤ18には固定枠11に軸支した中
間ギヤ19が噛合し、この中間ギヤ19にエンコーダ20を駆
動するギヤ20a と扇形ギヤ21とが噛合している。 【0026】上記扇形ギヤ21の回転軸21a は固定枠11の
側面に形成した透孔11c を貫通し、この回動軸21a の先
端部は、前記移動鏡胴4の後方下端部に形成した切欠部
4hを通過して固定枠11に収容した移動鏡胴4の内側に位
置する。そして、この回動軸21a の先端部に入力レバー
22の基端部を止めネジ22a によって止着し、この入力レ
バー22と扇形ギヤ21とが同期して回動するようにしてあ
る。この入力レバー22の自由端部には扇形ギヤ21の方向
に指向して駆動ピン22b を突設してあり、この駆動ピン
22b を移動鏡胴4の側面に形成した前記カム部9に遊挿
してある。 【0027】固定枠11の上面であって、これに収容した
移動鏡胴4の前記カム板10のほぼ上方に位置する部分に
は、カム面10a に対応した形状の透孔11d を形成してあ
る。また、固定枠11の上面には連動板23を、止めネジ23
a によってそのほぼ中央部で回動自在に軸支してある。
この連動板23の一端部には下方に指向した係合ピン23b
を突設してあり、この係合ピン23b が上記透孔11d を貫
通してカム板10のカム面10a に当接している。連動板23
の他端部には上方に指向した入力ピン23c を突設してあ
り、この入力ピン23c をファインダーの図示しない変倍
機構に連動してある。なお、連動板23は、カメラボディ
Aあるいはファインダーのケースなどに軸支したもので
あっても構わない。 【0028】次に、ウォーム14から伝達ギヤ18に至る動
力伝達系を第1図ないし第3図に基づいて説明する。 【0029】第2図は一部を切断した正面断面図で、同
図に示すように、伝達ギヤ18は右方に長く延びたボス部
18a と一体に形成してある。このボス部18a の端部には
軸受36を設け、この軸受36を固定枠11に止着したブラケ
ット37に取り付ける。また、伝達ギヤ18の上記ボス部18
a とは反対側にはジャーナル部18b を形成し、このジャ
ーナル部18b を固定枠11に設けた軸受部に遊挿して、こ
の伝達ギヤ18を固定枠11に対して回転自在とする。 【0030】上記伝達ギヤ18のボス部18a にウォームホ
イール17を遊嵌して、これらウォームホイール17と伝達
ギヤ18とを相互に回転自在とするとともに、ウォームホ
イール17を伝達ギヤ18に対して軸方向に摺動自在とす
る。このウォームホイール17のボス部17a の端面を上記
軸受36に臨ませ、このボス部17a に押しバネ38を巻装す
る。この押しバネ38の復元力は、ウォームホイール17を
常時伝達ギヤ18に押圧するよう、ウォームホイール17の
側面と軸受36との間に付勢してある。 【0031】ウォームホイール17と伝達ギヤ18との対向
したそれぞれの面には、放射状に山部39を形成し、この
山部39の両側を傾斜面39a、39bとしてある。そして、傾
斜面39a は緩斜面に、傾斜面39b は急斜面にしてあり、
ウォームホイール17の緩斜面39a と伝達ギヤ18の緩斜面
39a とが対向し、ウォームホイール17と伝達ギヤ18の急
斜面39b 同士が対向する。 【0032】また、ウォーム14とウォームホイール17と
は、条数や進み角を適宜にすることにより、図示しない
モータの回転はウォーム14からウォームホイール17に伝
達されてウォームホイール17が回転するが、ウォームホ
イール17が回転しようとしてもウォーム14が負荷となっ
てウォームホイール17が回転しないようにしてある。 【0033】以上により構成したこの発明に係る鏡胴駆
動装置の動作を、前群レンズ1と後群レンズ2の移動動
作とともに説明する。 【0034】図示しないモータが回転すると、ギヤ列16
を介して駆動ギヤ15が回転してウォーム14が回転する。
ウォーム14が回転するとこれに噛合したウォームホイー
ル17が回転し、このウォームホイール17との間の摩擦力
により伝達ギヤ18が回転する。この伝達ギヤ18の回転が
中間ギヤ19を介して扇形ギヤ21に伝達され、この扇形ギ
ヤ21が回動軸21a を中心に第4図上矢標P方向に回動す
る。なお、扇形ギヤ21をこの方向に回動させるときのモ
ータの回転を正回転とする。 【0035】扇形ギヤ21が回動すると、これと同軸上に
ある入力レバー22が同期して同方向に揺動する。このた
め、入力レバー22の駆動ピン22b は回動軸21a を中心に
扇形ギヤ21と同方向に旋回する。この駆動ピン22b の旋
回によりカム部9が押され、駆動ピン22b がカム部9の
上端部から下端部に移動する。したがって、このカム部
9を形成してある移動鏡胴4が、主ガイド部4cと副ガイ
ド棒4gに案内されて固定枠11に対して前方、即ち被写体
側に移動する。移動鏡胴4の前部には前群レンズ1を含
むシャッターユニット3が止着してあり、前群レンズ1
も前進する。 【0036】移動鏡胴4が前進すると、この移動鏡胴4
に軸支してある連動レバー8も同様に移動する。連動レ
バー8の連動ピン8dは固定枠11に形成したカム孔13のカ
ム面13a に当接しているから、連動レバー8が固定枠11
に対して前進すると、この連動レバー8はカム面13a に
案内されて支持ネジ8cを中心として第5図上反時計回り
方向に回動する。他方、連動レバー8には焦点調整ピン
7を介して後群レンズ2のレンズマウント5が連繋して
いるから、連動レバー8の回動により押しバネ6dの復元
力に抗してレンズマウント5が移動鏡胴4に対して前方
に移動する。このため、後群レンズ2が移動鏡胴4に対
して前方に移動し、前群レンズ1との間隔を狭めること
になり、焦点距離を連続的に変化させる。移動鏡胴4が
最前方まで移動したときに、前群レンズ1と後群レンズ
2とが最前方に位置するとともに、後群レンズ2が前群
レンズ1に最も近づき、焦点距離が最長となる。また、
駆動ピン22b がカム部9の下端部に位置し、移動鏡胴4
の先端部が固定枠11から突出した位置となる。なお、前
群レンズ1と後群レンズ2がズーミングを行なう場合に
光学的な位置関係を確保するには、カム面13a のカム曲
線を所定のものとなるように設計すればよい。 【0037】駆動ピン22b がカム部9の下端部に位置し
て移動鏡胴4が最前方に位置している状態から、移動鏡
胴4を後退させるには、図示しないモータを逆回転させ
ればよい。モータの逆回転により扇形ギヤ21が第4図上
反矢標P方向に回動するから、駆動ピン22b も同方向に
旋回する。このため、移動鏡胴4は上述とは逆に固定枠
11に収容されながら後退する。 【0038】レンズマウント5は常時後方に移動するよ
う押しバネ6dの復元力を受けていて、連動レバー8は焦
点調整ピン7を介して、第5図上時計回り方向に回動す
る力を受けているから、その連動ピン8dはこの力により
カム面13a に当接している。したがって、連動ピン8dは
カム面13a に案内されて支持ネジ8cを中心として第5図
上時計回り方向に旋回する。このため、支点ピン7eも同
方向に旋回し、レンズマウント5が移動鏡胴4に対して
後退する。これにより後群レンズ2が後退し、移動鏡胴
4に伴われる前群レンズ1の後退と協働して焦点距離を
最短距離まで連続的に変化させる。 【0039】そして、移動鏡胴4が固定枠11から突出し
た状態で、カメラを不用意に落したり打ち付けたりして
不用意に鏡胴に外力が加えられたときには、この外力に
よって移動鏡胴4が後退して扇形ギヤ21が第4図上反矢
標P方向に回動する。扇形ギヤ21のこの回転により中間
ギヤ19が回転し、この回転が伝達ギヤ18に伝達される。
他方、この伝達ギヤ18と傾斜面39a、39bによって係合し
ているウォームホイール17は負荷となっているウォーム
14と噛合しているから、ウォームホイール17は回転しな
い。そのため、伝達ギヤ18の回転によりウォームホイー
ル17に加わる力が、押しバネ38の復元力に抗してウォー
ムホイール17が第2図上右方向に摺動する。この摺動に
よりウォームホイール17と伝達ギヤ18の傾斜面39a、39b
の係合が解除される。また、ウォームホイール17の山部
39が伝達ギヤ18の山部39を乗り越えると、押しバネ38の
復元力によりウォームホイール17が左方向に摺動して、
第2図に示すように上記傾斜面39a、39bが係合する。こ
のように、傾斜面39a、39bが係脱を繰り返して、伝達ギ
ヤ18はウォームホイール17に対して空転する。したがっ
て、前記外力により移動鏡胴4の後退が許容される。な
お、ウォームホイール17の摺動時には、ウォーム14とウ
ォームホイール17の歯すじがねじられているから、この
歯すじに案内されて僅かに回転する。 【0040】また、後退している移動鏡胴4を不用意に
引き出してしまう場合にも、移動鏡胴4の前進による扇
形ギヤ21の回転が伝達ギヤ18に伝達されてこれが回転す
るが、ウォームホイール17は回転しないから、伝達ギヤ
18が空転して移動鏡胴4の前進が許容される。 【0041】図示しないモータの回転により移動鏡胴4
が進退する場合に、移動鏡胴4が前進端あるいは後退端
に位置したとき、または移動鏡胴4の進退が妨害された
ときなど移動鏡胴4の停止により伝達ギヤ18が回転しな
い場合には、モータが回転し続けても、停止した伝達ギ
ヤ18に対してウォームホイール17が空転して、他の動力
伝達要素などを損傷しない。 【0042】本実施形態では山部39の側面を緩斜面39a
と急斜面39b とに形成したが、等しい角度の傾斜面39
a、39bであっても構わない。しかし、一般にはモータの
伝達トルクと外力により生じる伝達トルクとの大きさが
異なるから、傾斜角を異ならせることにより、ウォーム
ホイール17と伝達ギヤ18との間の摩擦力を回転方向に応
じて異ならせることができ、回転方向により最大伝達ト
ルクを異ならせることができる。たとえば、移動鏡胴4
を後退させる方向の外力に対しては、伝達ギヤ18が容易
に空転することが好ましく、従ってこの方向の外力によ
って生じる伝達ギヤ18の回転方向では、緩斜面39a 同士
が接触するようにする。また、山部39の数の変更、山部
39の半径方向の長さの変更、押しバネ38の弾性係数の変
更などによってもウォームホイール17と伝達ギヤ18との
間の摩擦力の大きさを調整できる。 【0043】 【発明の効果】 【0044】以上説明したように、この発明に係るカメ
ラの鏡胴駆動装置によれば、モータから鏡胴に至る動力
伝達経路中に摩擦力によって動力を伝達する動力伝達要
素を設けたから、外力などの負荷が摩擦力よりも大きい
場合には、この動力伝達要素において外力の伝達が断た
れ、鏡胴に加えられた外力がこの動力伝達要素まで伝達
されることにより、該鏡胴が外力によって移動すること
が許容され、この鏡胴や鏡胴の駆動機構を構成する内部
部品などが変形したり破損したりしない。このため、鏡
胴や部品の耐久性を高められる。
持した鏡胴をカメラボディに対して進退させることによ
り、撮影レンズの焦点距離が切り替わる可変焦点装置を
備えたカメラのこの鏡胴を進退させる駆動装置に関す
る。 【0002】 【従来の技術】写真撮影を手軽に行なえるように、焦点
距離を標準撮影位置と望遠撮影位置に切り替えられる二
焦点カメラ、あるいは焦点距離を連続的に変化させられ
るズームレンズ付カメラのような可変焦点装置付カメラ
が普及している。この可変焦点装置は、モータなどの動
力を適宜に減速する動力伝達機構を介して撮影レンズを
保持した鏡胴に伝達し、該鏡胴をカメラボディに対して
光軸方向に進退させて焦点距離を変更している。 【0003】そして、この種の普及型カメラにあって
は、鏡胴の進退を円滑、且つ、適宜な速度で行なわせる
ために、前記動力伝達機構には大きな減速比を有するギ
ヤ列が用いられている。そのため、モータから鏡胴への
動力伝達は円滑に行なわれるが、鏡胴からモータへの動
力伝達にあってはギヤ列が大きな負荷となり、鏡胴に外
部からの力が加えられた場合には、鏡胴がロックされて
不用意に移動してしまうことが防止されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、鏡胴の
突出時に、カメラを不用意に落下させたり打ち付けたり
して鏡胴を押し込もうとする大きな外力が加えられたと
きや、途中位置にある鏡胴を引き出そうとする外力が加
えられたときに、上記ギヤ列に過大な力が作用すると、
ギヤの歯が破損してしまったり、鏡胴が変形あるいは破
損してしまうおそれがある。 【0005】そこで、この発明は、外部から鏡胴に過大
な力が加えられた場合に、所定の伝達要素まで当該力を
伝達させて鏡胴が当該力の方向に移動することを許容
し、大きな負荷となっているギヤ列などの伝達要素に伝
達されるまでにこの外力を緩衝するようにして、ギヤの
歯の破損や鏡胴の変形などを防止することを目的として
いる。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの技術的手段として、この発明に係るカメラの鏡胴駆
動装置は、モータの回転を動力伝達経路を介して鏡胴に
伝達することにより該鏡胴を回転させることなくカメラ
ボディに対して進退させて撮影レンズの焦点距離を変更
すると共に、上記鏡胴に該鏡胴を移動させる方向の外力
が加えられた場合には、該外力が該鏡胴から上記伝達経
路へ伝達されるカメラの鏡胴駆動装置において、前記モ
ータから前記鏡胴に至る動力伝達経路中に、モータから
鏡胴への動力は伝達し、鏡胴からモータへの動力の伝達
に対しては大きな負荷となる動力伝達手段を設け、前記
動力伝達手段から前記鏡胴に至る動力伝達経路中に、摩
擦力を介して動力を伝達させる動力伝達要素を設け、上
記鏡胴が所定以上の大きさの外力を受けた場合には、前
記動力伝達要素が空動して該鏡胴が該外力の方向に移動
し、前記動力伝達手段への外力の伝達を阻止することを
特徴としている。 【0007】鏡胴に過大な外力が作用した場合には、前
記動力伝達要素の摩擦力を上回ることになるから、該動
力伝達要素で滑りが生じて外力の伝達が断たれる。した
がって、この動力伝達要素からモータへの動力伝達経路
に外力が伝達されずこの間の伝達要素が破損したりする
ことがない。また、上記動力伝達要素までは外力が伝達
されるから、鏡胴は上記外力の方向に移動することにな
り、鏡胴が変形したりすることも防止される。 【0008】また、本願発明は、前記動力伝達経路をギ
ヤ列で構成したことを特徴としている。 【0009】上記ギヤ列を介してモータの動力を鏡胴に
伝達することにより、該鏡胴を安定して円滑に、且つ、
所定の速度で移動させることができる。しかも、モータ
の出力回転を大きく減速して鏡胴に伝達できるから、モ
ータに出力トルクの大きいものを使用しなくてもよい。
他方、鏡胴に加えられた外力をモータ側に伝達しようと
する場合には、ギヤ列が大きな負荷となる。このため、
過大な外力が鏡胴に加えられた場合には、前記動力伝達
要素において滑りが生じて該動力伝達要素からモータま
での伝達経路への外力の伝達が阻止される。したがっ
て、該動力伝達要素から鏡胴に至る伝達経路を、鏡胴に
加えられた外力で容易に動くギヤ列で構成すれば、鏡胴
が外力の方向に移動することが許容され、減速ギヤ列を
構成するギヤの歯の破損を防止できる。 【0010】さらに、本願発明は、前記動力伝達手段
を、ウォームギヤ装置によって構成したことを特徴とし
ている。 【0011】ウォームギヤ装置ではウォームとウォーム
ホイールとの間で大きな減速比を得られるから、多数の
ギヤを組合わせて減速する機構に比べて、小さなスペー
スに配設することができ、カメラの小型化を図るのに有
利である。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、図示した好ましい実施の形
態に基づいて、この発明に係るカメラの鏡胴駆動装置を
具体的に説明する。 【0013】 【0014】まず、第4図に基づいて、この鏡胴駆動装
置によってレンズ群が移動するズームレンズを装着した
コンパクトカメラのレンズ駆動部の構造について説明す
る。 【0015】このズームレンズは、前群レンズ1と後群
レンズ2との2群ズームである。前群レンズ1はシャッ
ターユニット3に収められ、このシャッターユニット3
を移動鏡胴4の前部に3本の止めネジ3aによって止着す
る。なお、この止めネジ3aのうち2本の止めネジ3aに
は、バネ座金3bを介在させることにより前群レンズ1の
光軸方向の倒れを調整できる。 【0016】移動鏡胴4はほぼ直方体の枠状部材に上記
シャッターユニット3を止着する取付板4aを形成した形
状としてある。移動鏡胴4の上面後方にはほぼ矩形状に
光軸と平行に透孔を形成してガイド孔4bを設け、このガ
イド孔4bに、後群レンズ2のレンズマウント5の上端部
に形成した突起部5aを挿通することによりこの後群レン
ズ2を移動鏡胴4の後部に配設する。 【0017】上記レンズマウント5の下部の側端部には
光軸と平行な方向の透孔を形成してガイド部5bを設け、
このガイド部5bにブッシュ5cを嵌着する。このブッシュ
5cに後群レンズ棒6aを挿通し、この後群ガイド棒6aの移
動鏡胴4側先端部を移動鏡胴4内に設けた支持部で支持
させる。後群ガイド棒6aの後端部には押さえ板6bを当接
させ、この押さえ板6bを止めネジ6cによって移動鏡胴4
に止着する。なお、後群ガイド棒6aのレンズマウント5
と移動鏡胴4内の上記支持部との間には押しバネ6dを巻
装し、その復元力を、レンズマウント5が前記ガイド孔
4bと後群ガイド棒6aとに案内されて後方に移動するよう
付勢してある。 【0018】レンズマウント5の下面には適宜な窪み部
を形成し、この窪み部に焦点調整ピン7の偏心ピン7aと
フランジ部7bとを嵌入し、押さえ板7cを止めネジ7dによ
ってレンズマウント5に止着することにより焦点調整ピ
ン7をレンズマウント5に固定する。レンズマウント5
に固定した上記焦点調整ピン7には円形の支点ピン7eを
形成してあり、この支点ピン7eを上記押さえ板7cの透孔
部7fを貫通させて連動レバー8の連動孔8aに遊挿する。 【0019】連動レバー8はほぼL字形をし、その一方
の腕部の先端に上記連動孔8aを形成してある。ほぼL字
形の屈曲部には透孔8bを形成し、この透孔8bを貫通する
支持ネジ8cを移動鏡胴4の下面に締め付けて、連動レバ
ー8を移動鏡胴4に対してこの支持ネジ8cを中心にして
回動自在に設ける。また、連動レバー8の他方の腕部の
先端には、移動鏡胴4とは反対の方向に指向して突出し
た連動ピン8dを設けてある。 【0020】移動鏡胴4の側面後方には、透孔を形成し
てカム部9を設けてある。 【0021】また、移動鏡胴4の上面の側端部には光軸
方向に透孔を形成した主ガイド部4cを設け、この主ガイ
ド部4cにブッシュ4dを嵌着する。この主ガイド部4cの側
方近傍にはカム面10a を形成したカム板10を固着してあ
る。なお、このカム板10は上記主ガイド部4cと共通にし
て、主ガイド部4cの側面に上記カム面10a を形成したも
のであっても構わない。移動鏡胴4の上記カム部9を設
けた側面とは反対側の側面の下部には、破線で示すよう
に、先端部をほぼU字形に切り欠いた副ガイド部4eを設
けてある。 【0022】以上のように前群レンズ1、後群レンズ
2、連動レバー8などを装着した移動鏡胴4を、カメラ
ボディA(第5図示)に固定した固定枠11に収容させ
る。このとき、上記主ガイド部4cに主ガイド棒4fを挿通
し、固定枠11の後端部上方にある支持部11a にこの主ガ
イド棒4fの後端部を支持させる。また、上記副ガイド部
4eの先端の切欠部に副ガイド棒4gを挿通し、その後端部
を固定枠11の内側の側面に設けた支持部11b に支持させ
る。そして、固定枠11の前側周縁に、枠状の蓋体12を止
めネジ12a で締め付けて止着する。 【0023】固定枠11の下面には、第4図および第5図
に示すように、カム面13a が形成されたカム孔13を設
け、前記連動レバー8の連動ピン8dの側面がこのカム面
13a に当接する。 【0024】また、固定枠11の側面には垂直方向を回転
軸としたウォーム14を配設してあり、このウォーム14の
回転軸を固定枠11の上面よりも上方に突出させ、この突
出部に駆動ギヤ15を設けてある。固定枠11の上面にはギ
ヤ16a など適宜枚数のギヤからなる適宜な減速比のギヤ
列16を配設し、図示しないモータの回転をこのギヤ列16
を介して駆動ギヤ15に伝達している。ウォーム14には固
定枠11の側面に軸支したウォームホイール17が噛合し、
これらウォーム14とウォームホイール17との組み合わせ
によって、鏡胴からモータへの動力の伝達に対しては大
きな負荷となる動力伝達手段が構成されている。このウ
ォームホイール17と同軸上に伝達ギヤ18を設けてある。
これらウォームホイール17と伝達ギヤ18とは相互に回転
自在としてあり、これらの側面間に適宜な摩擦力を付与
して、これらのギヤに加えられた負荷が所定の大きさ以
上になると、一方のギヤが停止し他方のギヤが空転する
ようにしてある。なお、この動力伝達系については後に
詳述する。 【0025】上記伝達ギヤ18には固定枠11に軸支した中
間ギヤ19が噛合し、この中間ギヤ19にエンコーダ20を駆
動するギヤ20a と扇形ギヤ21とが噛合している。 【0026】上記扇形ギヤ21の回転軸21a は固定枠11の
側面に形成した透孔11c を貫通し、この回動軸21a の先
端部は、前記移動鏡胴4の後方下端部に形成した切欠部
4hを通過して固定枠11に収容した移動鏡胴4の内側に位
置する。そして、この回動軸21a の先端部に入力レバー
22の基端部を止めネジ22a によって止着し、この入力レ
バー22と扇形ギヤ21とが同期して回動するようにしてあ
る。この入力レバー22の自由端部には扇形ギヤ21の方向
に指向して駆動ピン22b を突設してあり、この駆動ピン
22b を移動鏡胴4の側面に形成した前記カム部9に遊挿
してある。 【0027】固定枠11の上面であって、これに収容した
移動鏡胴4の前記カム板10のほぼ上方に位置する部分に
は、カム面10a に対応した形状の透孔11d を形成してあ
る。また、固定枠11の上面には連動板23を、止めネジ23
a によってそのほぼ中央部で回動自在に軸支してある。
この連動板23の一端部には下方に指向した係合ピン23b
を突設してあり、この係合ピン23b が上記透孔11d を貫
通してカム板10のカム面10a に当接している。連動板23
の他端部には上方に指向した入力ピン23c を突設してあ
り、この入力ピン23c をファインダーの図示しない変倍
機構に連動してある。なお、連動板23は、カメラボディ
Aあるいはファインダーのケースなどに軸支したもので
あっても構わない。 【0028】次に、ウォーム14から伝達ギヤ18に至る動
力伝達系を第1図ないし第3図に基づいて説明する。 【0029】第2図は一部を切断した正面断面図で、同
図に示すように、伝達ギヤ18は右方に長く延びたボス部
18a と一体に形成してある。このボス部18a の端部には
軸受36を設け、この軸受36を固定枠11に止着したブラケ
ット37に取り付ける。また、伝達ギヤ18の上記ボス部18
a とは反対側にはジャーナル部18b を形成し、このジャ
ーナル部18b を固定枠11に設けた軸受部に遊挿して、こ
の伝達ギヤ18を固定枠11に対して回転自在とする。 【0030】上記伝達ギヤ18のボス部18a にウォームホ
イール17を遊嵌して、これらウォームホイール17と伝達
ギヤ18とを相互に回転自在とするとともに、ウォームホ
イール17を伝達ギヤ18に対して軸方向に摺動自在とす
る。このウォームホイール17のボス部17a の端面を上記
軸受36に臨ませ、このボス部17a に押しバネ38を巻装す
る。この押しバネ38の復元力は、ウォームホイール17を
常時伝達ギヤ18に押圧するよう、ウォームホイール17の
側面と軸受36との間に付勢してある。 【0031】ウォームホイール17と伝達ギヤ18との対向
したそれぞれの面には、放射状に山部39を形成し、この
山部39の両側を傾斜面39a、39bとしてある。そして、傾
斜面39a は緩斜面に、傾斜面39b は急斜面にしてあり、
ウォームホイール17の緩斜面39a と伝達ギヤ18の緩斜面
39a とが対向し、ウォームホイール17と伝達ギヤ18の急
斜面39b 同士が対向する。 【0032】また、ウォーム14とウォームホイール17と
は、条数や進み角を適宜にすることにより、図示しない
モータの回転はウォーム14からウォームホイール17に伝
達されてウォームホイール17が回転するが、ウォームホ
イール17が回転しようとしてもウォーム14が負荷となっ
てウォームホイール17が回転しないようにしてある。 【0033】以上により構成したこの発明に係る鏡胴駆
動装置の動作を、前群レンズ1と後群レンズ2の移動動
作とともに説明する。 【0034】図示しないモータが回転すると、ギヤ列16
を介して駆動ギヤ15が回転してウォーム14が回転する。
ウォーム14が回転するとこれに噛合したウォームホイー
ル17が回転し、このウォームホイール17との間の摩擦力
により伝達ギヤ18が回転する。この伝達ギヤ18の回転が
中間ギヤ19を介して扇形ギヤ21に伝達され、この扇形ギ
ヤ21が回動軸21a を中心に第4図上矢標P方向に回動す
る。なお、扇形ギヤ21をこの方向に回動させるときのモ
ータの回転を正回転とする。 【0035】扇形ギヤ21が回動すると、これと同軸上に
ある入力レバー22が同期して同方向に揺動する。このた
め、入力レバー22の駆動ピン22b は回動軸21a を中心に
扇形ギヤ21と同方向に旋回する。この駆動ピン22b の旋
回によりカム部9が押され、駆動ピン22b がカム部9の
上端部から下端部に移動する。したがって、このカム部
9を形成してある移動鏡胴4が、主ガイド部4cと副ガイ
ド棒4gに案内されて固定枠11に対して前方、即ち被写体
側に移動する。移動鏡胴4の前部には前群レンズ1を含
むシャッターユニット3が止着してあり、前群レンズ1
も前進する。 【0036】移動鏡胴4が前進すると、この移動鏡胴4
に軸支してある連動レバー8も同様に移動する。連動レ
バー8の連動ピン8dは固定枠11に形成したカム孔13のカ
ム面13a に当接しているから、連動レバー8が固定枠11
に対して前進すると、この連動レバー8はカム面13a に
案内されて支持ネジ8cを中心として第5図上反時計回り
方向に回動する。他方、連動レバー8には焦点調整ピン
7を介して後群レンズ2のレンズマウント5が連繋して
いるから、連動レバー8の回動により押しバネ6dの復元
力に抗してレンズマウント5が移動鏡胴4に対して前方
に移動する。このため、後群レンズ2が移動鏡胴4に対
して前方に移動し、前群レンズ1との間隔を狭めること
になり、焦点距離を連続的に変化させる。移動鏡胴4が
最前方まで移動したときに、前群レンズ1と後群レンズ
2とが最前方に位置するとともに、後群レンズ2が前群
レンズ1に最も近づき、焦点距離が最長となる。また、
駆動ピン22b がカム部9の下端部に位置し、移動鏡胴4
の先端部が固定枠11から突出した位置となる。なお、前
群レンズ1と後群レンズ2がズーミングを行なう場合に
光学的な位置関係を確保するには、カム面13a のカム曲
線を所定のものとなるように設計すればよい。 【0037】駆動ピン22b がカム部9の下端部に位置し
て移動鏡胴4が最前方に位置している状態から、移動鏡
胴4を後退させるには、図示しないモータを逆回転させ
ればよい。モータの逆回転により扇形ギヤ21が第4図上
反矢標P方向に回動するから、駆動ピン22b も同方向に
旋回する。このため、移動鏡胴4は上述とは逆に固定枠
11に収容されながら後退する。 【0038】レンズマウント5は常時後方に移動するよ
う押しバネ6dの復元力を受けていて、連動レバー8は焦
点調整ピン7を介して、第5図上時計回り方向に回動す
る力を受けているから、その連動ピン8dはこの力により
カム面13a に当接している。したがって、連動ピン8dは
カム面13a に案内されて支持ネジ8cを中心として第5図
上時計回り方向に旋回する。このため、支点ピン7eも同
方向に旋回し、レンズマウント5が移動鏡胴4に対して
後退する。これにより後群レンズ2が後退し、移動鏡胴
4に伴われる前群レンズ1の後退と協働して焦点距離を
最短距離まで連続的に変化させる。 【0039】そして、移動鏡胴4が固定枠11から突出し
た状態で、カメラを不用意に落したり打ち付けたりして
不用意に鏡胴に外力が加えられたときには、この外力に
よって移動鏡胴4が後退して扇形ギヤ21が第4図上反矢
標P方向に回動する。扇形ギヤ21のこの回転により中間
ギヤ19が回転し、この回転が伝達ギヤ18に伝達される。
他方、この伝達ギヤ18と傾斜面39a、39bによって係合し
ているウォームホイール17は負荷となっているウォーム
14と噛合しているから、ウォームホイール17は回転しな
い。そのため、伝達ギヤ18の回転によりウォームホイー
ル17に加わる力が、押しバネ38の復元力に抗してウォー
ムホイール17が第2図上右方向に摺動する。この摺動に
よりウォームホイール17と伝達ギヤ18の傾斜面39a、39b
の係合が解除される。また、ウォームホイール17の山部
39が伝達ギヤ18の山部39を乗り越えると、押しバネ38の
復元力によりウォームホイール17が左方向に摺動して、
第2図に示すように上記傾斜面39a、39bが係合する。こ
のように、傾斜面39a、39bが係脱を繰り返して、伝達ギ
ヤ18はウォームホイール17に対して空転する。したがっ
て、前記外力により移動鏡胴4の後退が許容される。な
お、ウォームホイール17の摺動時には、ウォーム14とウ
ォームホイール17の歯すじがねじられているから、この
歯すじに案内されて僅かに回転する。 【0040】また、後退している移動鏡胴4を不用意に
引き出してしまう場合にも、移動鏡胴4の前進による扇
形ギヤ21の回転が伝達ギヤ18に伝達されてこれが回転す
るが、ウォームホイール17は回転しないから、伝達ギヤ
18が空転して移動鏡胴4の前進が許容される。 【0041】図示しないモータの回転により移動鏡胴4
が進退する場合に、移動鏡胴4が前進端あるいは後退端
に位置したとき、または移動鏡胴4の進退が妨害された
ときなど移動鏡胴4の停止により伝達ギヤ18が回転しな
い場合には、モータが回転し続けても、停止した伝達ギ
ヤ18に対してウォームホイール17が空転して、他の動力
伝達要素などを損傷しない。 【0042】本実施形態では山部39の側面を緩斜面39a
と急斜面39b とに形成したが、等しい角度の傾斜面39
a、39bであっても構わない。しかし、一般にはモータの
伝達トルクと外力により生じる伝達トルクとの大きさが
異なるから、傾斜角を異ならせることにより、ウォーム
ホイール17と伝達ギヤ18との間の摩擦力を回転方向に応
じて異ならせることができ、回転方向により最大伝達ト
ルクを異ならせることができる。たとえば、移動鏡胴4
を後退させる方向の外力に対しては、伝達ギヤ18が容易
に空転することが好ましく、従ってこの方向の外力によ
って生じる伝達ギヤ18の回転方向では、緩斜面39a 同士
が接触するようにする。また、山部39の数の変更、山部
39の半径方向の長さの変更、押しバネ38の弾性係数の変
更などによってもウォームホイール17と伝達ギヤ18との
間の摩擦力の大きさを調整できる。 【0043】 【発明の効果】 【0044】以上説明したように、この発明に係るカメ
ラの鏡胴駆動装置によれば、モータから鏡胴に至る動力
伝達経路中に摩擦力によって動力を伝達する動力伝達要
素を設けたから、外力などの負荷が摩擦力よりも大きい
場合には、この動力伝達要素において外力の伝達が断た
れ、鏡胴に加えられた外力がこの動力伝達要素まで伝達
されることにより、該鏡胴が外力によって移動すること
が許容され、この鏡胴や鏡胴の駆動機構を構成する内部
部品などが変形したり破損したりしない。このため、鏡
胴や部品の耐久性を高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る鏡胴駆動装置の要部を示す側面
図である。 【図2】この発明に係る鏡胴駆動装置の要部の一部を切
断した正面断面図である。 【図3】摩擦力を介して動力を伝達させる動力伝達要素
のうちの一方のものの対向面を示す一部省略した斜視図
である。 【図4】この発明に係る鏡胴駆動装置を具備したズーム
レンズの一実施例を示す分解斜視図である。 【図5】移動鏡胴が固定枠に収容された状態の水平面に
沿った一部断面図である。 【符号の説明】 1 前群レンズ 2 後群レンズ 4 移動鏡胴 11 固定枠 14 ウォーム 17 ウォームホイール(動力伝達要素) 17a ボス部 18 伝達ギヤ(動力伝達要素) 19 中間ギヤ 21 扇形ギヤ 22 入力レバー 36 軸受 37 ブラケット 38 押しバネ A カメラボディ
図である。 【図2】この発明に係る鏡胴駆動装置の要部の一部を切
断した正面断面図である。 【図3】摩擦力を介して動力を伝達させる動力伝達要素
のうちの一方のものの対向面を示す一部省略した斜視図
である。 【図4】この発明に係る鏡胴駆動装置を具備したズーム
レンズの一実施例を示す分解斜視図である。 【図5】移動鏡胴が固定枠に収容された状態の水平面に
沿った一部断面図である。 【符号の説明】 1 前群レンズ 2 後群レンズ 4 移動鏡胴 11 固定枠 14 ウォーム 17 ウォームホイール(動力伝達要素) 17a ボス部 18 伝達ギヤ(動力伝達要素) 19 中間ギヤ 21 扇形ギヤ 22 入力レバー 36 軸受 37 ブラケット 38 押しバネ A カメラボディ
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 恩田 和彦
埼玉県大宮市植竹町一丁目324番地 富
士写真光機株式会社 内
(72)発明者 高村 雅司
東京都港区西麻布2丁目26番30号 富士
写真フイルム株式会社 内
(56)参考文献 実開 昭58−168703(JP,U)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.モータの回転を動力伝達経路を介して鏡胴に伝達す
ることにより該鏡胴を回転させることなくカメラボディ
に対して進退させて撮影レンズの焦点距離を変更すると
共に、上記鏡胴に該鏡胴を移動させる方向の外力が加え
られた場合には、該外力が該鏡胴から上記伝達経路へ伝
達されるカメラの鏡胴駆動装置において、 前記モータから前記鏡胴に至る動力伝達経路中に、モー
タから鏡胴への動力は伝達し、鏡胴からモータへの動力
の伝達に対しては大きな負荷となる動力伝達手段を設
け、 前記動力伝達手段から前記鏡胴に至る動力伝達経路中
に、摩擦力を介して動力を伝達させる動力伝達要素を設
け、 上記鏡胴が所定以上の大きさの外力を受けた場合には、
前記動力伝達要素が空動して該鏡胴が該外力の方向に移
動し、前記動力伝達手段への外力の伝達を阻止すること
を特徴とするカメラの鏡胴駆動装置。 2.前記動力伝達経路をギヤ列で構成したことを特徴と
する請求項1に記載のカメラの鏡胴駆動装置。 3.前記動力伝達手段を、ウォームギヤ装置によって構
成したことを特徴とする請求項1または請求項2のいず
れかに記載のカメラの鏡胴駆動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8353207A JP3066404B2 (ja) | 1996-12-16 | 1996-12-16 | カメラの鏡胴駆動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8353207A JP3066404B2 (ja) | 1996-12-16 | 1996-12-16 | カメラの鏡胴駆動装置 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62273917A Division JPH087313B2 (ja) | 1987-10-29 | 1987-10-29 | 可変焦点装置付カメラの鏡胴駆動装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09292562A JPH09292562A (ja) | 1997-11-11 |
JP3066404B2 true JP3066404B2 (ja) | 2000-07-17 |
Family
ID=18429290
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8353207A Expired - Fee Related JP3066404B2 (ja) | 1996-12-16 | 1996-12-16 | カメラの鏡胴駆動装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3066404B2 (ja) |
-
1996
- 1996-12-16 JP JP8353207A patent/JP3066404B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09292562A (ja) | 1997-11-11 |
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