JP3063373B2 - エッチング性にすぐれるFe−Ni系合金シャドウマスク用薄板の製造方法 - Google Patents
エッチング性にすぐれるFe−Ni系合金シャドウマスク用薄板の製造方法Info
- Publication number
- JP3063373B2 JP3063373B2 JP4086416A JP8641692A JP3063373B2 JP 3063373 B2 JP3063373 B2 JP 3063373B2 JP 4086416 A JP4086416 A JP 4086416A JP 8641692 A JP8641692 A JP 8641692A JP 3063373 B2 JP3063373 B2 JP 3063373B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- shadow mask
- thin plate
- resist
- based alloy
- unevenness
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
- Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)
- ing And Chemical Polishing (AREA)
Description
のムラの抑制効果にすぐれるFe−Ni系合金シャドウ
マスク用薄板の製造方法に関し、このFe−Ni系合金
シャドウマスク用薄板は、特に、カラーテレビブラウン
管のシャドウマスクや蛍光表示管等の電子機器製造用材
料として用いられるものである。
ャドウマスクは、Fe−Ni系合金薄板をフォトエッチ
ングして穿孔することにより製造されることはよく知ら
れているところである。この時フォトエッチングにより
形成された細孔の孔径および形状にバラツキが生じ、孔
径差および孔形状差のある細孔を持ったシャドウマスク
をカラーテレビ用ブラウン管に組み込むと、カラー受像
管に映しだされた映像に前記孔径差および孔形状差に起
因するスジムラ等のコントラストムラが発生することが
ある。
た場合、電子ビームはシャドウマスクの開孔部を通過す
るが、それは全体のうちの約20〜30%で大部分はシ
ャドウマスク本体に照射されるためにシャドウマスクは
時として80℃にも達するほど加熱され、この時、前述
の穿孔した細孔に孔径差および孔形状差があると、通過
ビームの量や発熱量が不均一となり、孔径や孔形状の乱
れがわずかであってもディスプレーの映像に局所的な色
ズレや色ムラが発生し、カラー受像管の品位を低下させ
てしまうと考えられている。
ャドウマスクに形成される原因は、(1) シャドウマ
スク素材とし用いるFe−Ni系合金薄板をエッチング
するとムラが生ずるものがあり、このエッチングムラの
生ずるFe−Ni系合金薄板をフォトエッチングして穿
孔すると得られた細孔に孔径差および孔形状差が生じ
る、(2) シャドウマスク素材とし用いるFe−Ni
系合金薄板の表面状態が適当でないためにレジストの密
着性が悪く、レジストの密着性のバラツキによりフォト
エッチング穿孔して得られた細孔に孔径差および孔形状
差が生じる、ことなどが考えられている。
のムラを抑制するための技術として、例えば、特開平2
−101115号公報ではインゴットを熱処理−鍛造を
施すことにより、ニッケルの成分偏析の軽減および結晶
方位の制御等によりエッチングスピードの不均一性を少
なくする提案がなされている。
により細孔に孔径差および孔形状差が生じることを抑制
するために、例えば、特公平3−73640号では、F
e−Ni系合金薄板のSmおよびRa(ただし、Smは
基準長さ内における表面粗さを示す断面曲線の凹凸の間
隔の平均値、RaはJISB0601の表面粗さであ
る。)を制御する試みがなされている。
ールによるダル圧延により行われているが、密着性と現
像性は、通常、相反する性質であり、密着性を優先した
ダルパターン(Raが大きく、Smが小さいダルパター
ン)では、現像時に十分現像が行えず、レジストが残留
しエッチングスピードが遅くなったり、孔形状が不均一
になることによるエッチングムラが生ずることがある。
ーン(Raが小さく、Smが大きいダルパターン)で
は、レジストの密着性不良によるレジスト剥離、孔形状
異常が発生することがある。従って、現状ではこれらの
性質の丁度中間的な表面粗さを持つダルパターンとなる
ように制御されている。
受像管の進歩はめざましく、そこで使用されるシャドウ
マスクに形成される細孔と細孔の間のピッチは益々小さ
くなり、細孔の孔径は均一でより形状安定なものが要求
されるようになり、従来のFe−Ni系合金のインゴッ
トに熱処理−鍛造を施すことによりニッケルの成分偏析
を軽減する手段を施したり、Fe−Ni系合金薄板の表
面粗さを制御することでレジストの密着性を高めたりし
ても、カラー受像管の進歩にともなう前記要求に十分対
応することができなかった。
ー側からもなされており、表面粗さの適正な範囲はユー
ザーのエッチング条件や製造されるシャドウマスクのピ
ッチ、孔径等のグレードによって変わってきており、素
材メーカーはこれらの要求に応じた条件を満足する表面
状態を有する材料の供給を常にせまられているが、いか
なるユーザーの要求に対しても満足のいくFe−Ni系
合金薄板はいまだ提供することができないのが現状であ
る。
かなるユーザーのエッチング条件に対しても対応するこ
とができ、かつシャドウマスクの孔径の不均一をなくし
孔形状を揃え、ムラの無い高品位のシャドウマスクを製
造することのできるシャドウマスク用薄板を製造すべく
研究を行った結果、ニッケルの成分偏析を軽減し結晶方
位を制御して偏析によるエッチングムラをなくした従来
のFe−Ni系合金薄板の表面状態がSm/Ra:20
0〜250の範囲内にあるFe−Ni系シャドウマスク
薄板を溶剤脱脂後、アルカリ比1.5〜2.0のNaO
Hをベースとする洗浄脱脂液にて洗浄すると、レジスト
の密着性と現像性がともに向上し、いかなるエッチング
条件に対しても満足のいく均一な孔径を形成することが
できかつ孔形状を揃えることができる、という知見を得
たのである。
たものであって、Niを30〜80%含み、残部がFe
および不可避不純物からなる組成を有し、表面状態がS
m/Ra=200〜250であるFe−Ni系シャドウ
マスク薄板を溶剤脱脂後、アルカリ比1.5〜2.0の
NaOHをベースとする洗浄脱脂液にて洗浄するエッチ
ング性にすぐれるFe−Ni系シャドウマスク用薄板の
製造方法に特徴を有するものである。
は密着性が強く現像不良となり、また露光時の素材表面
からのハレーション(乱反射)が大きくなり、孔の形状
が歪になったり、エッチングスピードが遅くなるので好
ましくない。一方、Sm/Raが250よりも大きい場
合は密着性が小さいため現像時にレジスト流れが生じや
すく、またレジスト剥離等による孔形不良が発生するこ
とがあるので好ましくない。
現像性を有しかつハレーションの防止される200〜2
50の範囲に規定するのが好ましい。SmおよびRaの
値はSm/Ra=200〜250の条件を満足すれば良
いが、より好ましくはRa=0.3〜0.8μm,Sm
=80〜150μmの範囲内にあるのが良い。Raが小
さすぎるとレジストの密着性が低下する危険があり、大
きすぎるとエッチング時の孔の形状が悪化する傾向があ
るためであり、またSmが小さすぎると現像後のレジス
トの剥離が悪くなり、Smが大きすぎるとレジストが必
要以上に剥がれる傾向にあるからである。
を30〜80%含み残部が主としてFeよりなる組成を
有する材料を使用するのが好ましく、熱膨脹係数を小さ
くする点からはNi含有量が30〜40%のFe−Ni
系合金薄板を用いるのがより好ましい。表面粗度の調整
方法としては、通常のダル調質圧延またはフッ化アンモ
ニウムを主成分とする化学研磨液で表面を研磨すること
によって調整することが可能である。
よる洗浄を行う理由は、従来の製品表面は圧延後トリク
レンやパークレン等の溶剤を用いて脱脂を行うのが通例
であるが、これらの溶剤は塩素化物系溶剤であり、塩素
化物系溶剤を用いて脱脂を行うと、素材表面に塩素また
はその化合物が吸着残留し、さらにこれらは分解して、
HClとして残る。このHClは空気中の水分と親和し
て素材表面を発錆させ、かかる表面にHClが残留し発
錆しているFe−Ni系合金薄板をユーザーが購入し、
更にユーザーが脱脂(アルカリ脱脂)しようとしても、
溶剤脱脂のため疎水性表面となっているところから浸潤
しにくく、塩素またはその化合物は依然として残留し、
ユーザーの前記不満となっていたのである。
の素材表面への密着性を著しく阻害して部分的なレジス
ト剥離を生じ、またエッチング時に孔径の不均一や形状
不良を起こす原因となっているのである。
合金薄板の製造工程において、溶剤脱脂後ただちにNa
OHをベースとするアルカリ脱脂液をもって脱脂洗浄を
行うと、残留するHClは中和され、さらに素材表面を
親水性表面とすることでユーザーでの浸潤処理(脱脂処
理)が効率良く行われ、その結果非常に密着性がすぐ
れ、かつ密着ムラのないレジスト膜を得ることができ、
精度良くムラのないエッチング穿孔が可能となるのであ
る。
はアルカリ比1.5〜2.0のものが最も好ましく、洗
浄方法としてはスプレー、あるいはブラシ洗浄等、通常
行われる方法で良い。ここでアルカリ比とは、アルカリ
比=(全アルカリ度)/(遊離アルカリ度)で定義さ
れ、前記全アルカリ度とは0.1規定HCl:10ml
に対してフェノールフタレイン変色となる当量であり、
また遊離アルカリ度とは0.1規定HCl:10mlに
対してメチルオレンジ変色となる当量である。
圧延後冷間圧延することにより板厚:0.2mmの薄板
を製造し、ついで薄板をダルロールにより調質圧延を行
い、また、あるものはダルロールによる調質圧延後さら
に化学研磨によって表面粗さを調整して、表1および表
2に示される、SmおよびRa並びにSm/Raの値を
有する表面状態のいずれも最終板厚が0.15mmに調
整された36Ni−Fe合金薄板を製造した。
等を取り除くためトリクレンの蒸気脱脂を行ない、素材
表面を乾燥させ、ついで、温度:90℃に暖められたN
aOH:20%の苛性ソーダ水溶液(アルカリ比:2)
にて2分間ブラシ洗浄する予備アルカリ洗浄を行い、ま
たは予備アルカリ洗浄を行なわずにそのまま水洗し乾燥
させ、本発明法1〜6および比較法1〜6を行ない、シ
ャドウマスク用薄板を製造した。
薄板に、さらに、ユーザーが行う浸潤脱脂処理を施し、
水洗、乾燥を行った後、シャドウマスク用薄板の両面に
親水コロイド系カゼイン(牛乳カゼイン)と重クロム酸
アンモニウムからなるレジスト液を塗布して乾燥させ、
前記両面の感光膜に大小のマスク孔のネガ像を有するシ
ャドウマスクのパターンを密着させ、近紫外光を発する
高圧水銀ランプにて露光させた。
一部を取り出して孔のレジスト現像状態を顕微鏡にて観
察し、 ○:レジストが完全に除去されている。 △:レジストが完全に除去されているが、一部に剥離が
ある。 ×:レジストの残留がある。 の3段階で評価し、それらの評価結果を表1および表2
に示した。
理後、塩化第二鉄を含むエッチング液にてエッチング穿
孔を行った。この様にして製造したシャドウマスクを暗
室内で透過光により観察し、 A:ムラは全く無く良好。 B:ムラはわずかにあるが問題なし。 C:ムラがやや強く部分的に認められる。 D:ムラが強く全面に認められる。 の4段階でムラ品位を評価し、それらの評価結果を表1
および表2に示した。
切で且つ、予備アルカリ洗浄を行ったため、現像状態は
良好で且つ、ムラの品位が良好なマスクが得られてい
る。これに対して、比較例1〜3はSm/Raの範囲が
外れるため現像性に問題があり、これがムラ品位を低下
させている。さらに比較例4〜6は予備アルカリ洗浄を
行っていない従来例でもあり、Sm/Raは適切な範囲
内であるが、表面の洗浄状態が悪く、レジストは残留
し、ムラ品位を低下させている。
れたFe−Ni系合金シャドウマスク用薄板はエッチン
グ性にすぐれるため、孔径や孔形状のばらつきがなく、
しかもエッチングムラの無いシャドウマスクが得られ、
工業的生産における歩留りおよび生産性の向上に寄与す
るものである。
Claims (1)
- 【請求項1】 Niを30〜80%含み、残部がFeお
よび不可避不純物からなる組成を有し、表面状態がSm
/Ra=200〜250(ただし、Smは基準長さ内に
おける表面粗さを示す断面曲線の凹凸の間隔の平均値、
RaはJISB0601の表面粗さ)であるFe−Ni
系シャドウマスク薄板を溶剤脱脂後、アルカリ比1.5
〜2.0のNaOHをベースとする洗浄脱脂液にて洗浄
することを特徴とするエッチング性にすぐれるFe−N
i系シャドウマスク用薄板の製造方法。ただし、アルカ
リ比=(全アルカリ度)/(遊離アルカリ度)で定義さ
れ、前記全アルカリ度とは0.1規定HCl:10ml
に対してフェノールフタレイン変色となる当量であり、
また遊離アルカリ度とは0.1規定HCl:10mlに
対してメチルオレンジ変色となる当量である。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4086416A JP3063373B2 (ja) | 1992-03-10 | 1992-03-10 | エッチング性にすぐれるFe−Ni系合金シャドウマスク用薄板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4086416A JP3063373B2 (ja) | 1992-03-10 | 1992-03-10 | エッチング性にすぐれるFe−Ni系合金シャドウマスク用薄板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05255757A JPH05255757A (ja) | 1993-10-05 |
JP3063373B2 true JP3063373B2 (ja) | 2000-07-12 |
Family
ID=13886276
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4086416A Expired - Fee Related JP3063373B2 (ja) | 1992-03-10 | 1992-03-10 | エッチング性にすぐれるFe−Ni系合金シャドウマスク用薄板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3063373B2 (ja) |
-
1992
- 1992-03-10 JP JP4086416A patent/JP3063373B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05255757A (ja) | 1993-10-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH0549727B2 (ja) | ||
JPH04104425A (ja) | シャドウマスクの製造方法及びシャドウマスク板材 | |
JPS6046420B2 (ja) | 耐食性ステンシルの製造法 | |
JP3063373B2 (ja) | エッチング性にすぐれるFe−Ni系合金シャドウマスク用薄板の製造方法 | |
US6384523B1 (en) | Color selection electrode, method of producing color selection electrode and cathode ray tube | |
JP2001131708A (ja) | ブラウン管用シャドウマスク | |
JPH0799025A (ja) | アパーチャグリルの製造方法及びアパーチャグリル | |
JP3237080B2 (ja) | シャドウマスク | |
GB2336940A (en) | Shadow mask for a color picture tube | |
JP3155782B2 (ja) | シャドウマスク用原板 | |
JPS6347347A (ja) | 平版印刷版用アルミニウム合金支持体 | |
JPH0637116B2 (ja) | 平版印刷版用アルミニウム合金支持体 | |
JPH0373640B2 (ja) | ||
JP2004043930A (ja) | シャドウマスク用Fe−Ni系合金素材及びその製造方法 | |
JPH02270249A (ja) | シヤドウマスク用金属薄板及びその製造方法 | |
JPS59232607A (ja) | シヤドウマスク用金属板の製造法 | |
JP3122442B2 (ja) | シャドウマスク用板材 | |
JP2568103B2 (ja) | アパーチャーグリル用素材の製造方法 | |
JP2000123754A (ja) | シャドウマスクおよびシャドウマスク用基材 | |
JPH02133104A (ja) | シャドウマスク材の製造方法 | |
JP2001262231A (ja) | エッチング穿孔性に優れたFe−Ni系合金シャドウマスク用素材の製造方法 | |
JP2001179305A (ja) | シャドウマスク用原板の製造方法 | |
JPH10130868A (ja) | 金属薄板のエッチングにおける面出し方法 | |
JPS62243781A (ja) | シヤドウマスク用薄板材 | |
JPH02270248A (ja) | シヤドウマスク用金属薄板及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090512 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090512 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100512 Year of fee payment: 10 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |